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シナリオ詳細

蠅王の影

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●忌まわしき群体
 ヴヴヴヴヴヴヴ……と。無数の羽音の群れのような音が響く。
 それは覇竜においては特に危険な音の1つだ。
 その音を聞いたら逃げろと、そう言われる程度には忌まわしき音。
 ヴヴヴヴヴヴウ……と。その忌まわしき音が響く。
 一体何なのか?
 音の「元」を辿れば、そこに黒い影のような何かを見つけることが出来るだろう。
 それは、黒い影……なのだろうか?
 違う。それは群体だ。まるでワイバーンか何かのような姿をとりながら、それは飛翔している。
 だが、それは群体だ。小さな羽虫のようなものが集まっているとすぐに気付く。
 時折それは地面に貼りつくような姿で飛び、まるで長い影のような形になる。
 そうしてしばらく飛ぶと、今度は亜竜種の群れのような姿になる。
 ヴヴヴヴ、ヴヴヴヴヴヴ。
 それは忌まわしき羽音をたてて飛んでいる。
 それは、忌まわしき音。
 近づいてはならないそれが、荒野を飛び回っていた。

●蠅王の影
「蠅王の影……と呼ばれるモノについては知っとるかの?」
『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)は、とある絵のようなものを取りだす。
 黒い影のような人型……に見えるが、これがなんだというのか?
「これが『蠅王の影』じゃよ」
 蠅王の影。それは実際のところは、小型の蠅型モンスターが構成する群体のようなものだ。
 ようなもの……というのは、このモンスター達は互いを恐らくは独自のスキルのようなものでリンクさせており、合わせて1つの強力なモンスターとしてその身を構成しているのだ。
 故に、集まれば集まる程強くなる……そうした性質を有している。
 そして、その性質と群体ゆえの変幻自在の姿、そして黒色……これらが合わさることで「蠅王の影」という名前がつけられたのだという。
 その姿はまさに影の如し……だが、影などでは決してない。
 獲物を見つければ弱らせてから喰らい尽くすという、とんでもない習性をも持っている。
 狙われれば、骨すら残りはしないだろう。
「そういうもんがフリアノンの近辺にいるようなんでの。放っとくわけにもいかんじゃろ?」
 蠅王の影はリスクに対する感覚が鋭いようで、明らかに待ち構えていると出てこないのだという。
 その生態上、何処かに追い込むということも非常に難しい。
 ばらばらに逃げられてしまえば、完全に滅しきることは難しい。
 だからこそ、蠅王の影が纏まって行動するとき……つまり、獲物に襲い掛かるときに反撃のような形で倒す必要がある。
「つまり……こちらが完全に油断している、と思わせる必要があるわけじゃな」
 丁度、格好の場所がある。
 フリアノンから離れた場所、草地に囲まれたそれなりの大きさの水場がある。
 比較的平和な場所であり、他のモンスターなども中々来ない、そんな場所だ。
「そこで野外料理でもして、匂いでおびき寄せるっつーわけじゃな」
 明らかに油断していると見せかければ、蠅王の影も襲ってくるだろう。
 そうすれば撃退して、今度は本当に料理を楽しめばいい。
 それは「蠅王の影」という恐るべきモンスターを倒した者に与えられる、当然の報酬だろうから。

GMコメント

水場で楽しくレジャーしておびき寄せて倒して、終わったら遊ぼうぜって話です。
大体半々くらいで書けば問題ないと思われます。

●今回の現場
フリアノンからちょっと離れた場所にある水場と、その周囲の草地です。
ちょっと騒いだくらいでは平気な程度の安全度です。

●蠅王の影
とんでもない数の蠅型モンスターが集まってできた群体型モンスター。
全長9m。リンク中に倒すと全部が死ぬので、逃がすようなことはありません。
人型、ワイバーン型など様々な形に変形します。
細いビームの集合した極太ビームを放つ「集束光線」と無数の細いビームを放つ範囲攻撃「拡散光線」を使用します。
人型の時は光の剣、ワイバーン型の時はブレスのような見た目になります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • 蠅王の影完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年05月05日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
コータ・ヤワン(p3p009732)
鍛えた体と技で
炎 練倒(p3p010353)
ノットプリズン
秋霖・水愛(p3p010393)
雨に舞う
熾煇(p3p010425)
紲家のペット枠
煉・朱華(p3p010458)
未来を背負う者

リプレイ

●蠅王の影を呼び寄せろ
「さて今回の仕事は、蠅王の影という怪物退治だ。蠅の集合体だからといって侮るなかれ、集られて食われるのは勘弁だ。さっさと排除しねえとな」
 そんなことを言う『侠骨の拳』亘理 義弘(p3p000398)が味噌煮缶を火にかけてつまみにして、ちびちび酒をやっているのには、理由がある。
 此処はフリアノンから少し離れた水場だが……今回の目標である「蠅王の影」はリスクに対する感覚が鋭いようで、明らかに待ち構えていると出てこないのだという。
「ただの蠅だと油断するなかれ、だねぇ。しかも用心深いんだ、自然の生き物なのにすごいなぁ……油断したらいいんだね、なら結構得意かも。家族にもよくぼんやりしてるって言われるし、別にぼーっとしてるつもりはないんだけど不思議だねぇ」
「油断したらいいってわけでもねえけど……まあ、合ってはいるな」
 『雨に舞う』秋霖・水愛(p3p010393)に義弘が答えるが……まあ、そういうことだ。
 そんなものは気にしていないよ、水場に遊びに来ただけだよ……といった「てい」でいる必要があるのだ。
 無論、義弘はハイセンスで周囲の警戒は怠らないようにしている。
(蠅の集合体、羽音は凄まじいだろうから、特に聴覚は働かせておかなければ)
 だからこそ、『めいど・あ・ふぁいあ』クーア・ミューゼル(p3p003529)は「なるほど、油断した姿を見せればよい、と。ならば私におまかせなのです。こげねこメイドの本領発揮、素敵なリラクゼーションをお届けするのです!」と宣言し……そのクーアのこだわりの発揮されたのがこの場所であった。
 更には機材と食材……現地調達できればなお良しではあるが、そうした料理も「遊び」アピールには必要だ。
「いつ戦闘になるか分からないので、少なくとも戦闘前はあまり時間調節が肝要な調理に手を付けられないのが難点。朱華さんやベネディクトさん達は戦闘後に釣りをなされるそうなので、メインディッシュは釣れた魚にするとして。それより前は前菜のサラダと、それだけではお腹が寂しいかもしれないのでサンドイッチの類。あと戦闘後にすぐご提供できるように煮込むだけの簡単なスープを準備しておきましょうか」
 煮ている最中にやってきてスープが煮詰まったりしないようにご用心、ではあるがクーアはメイドとしてそんな愚は犯さない。
 そんなクーアから少し離れた場所では、『ノットプリズン』炎 練倒(p3p010353)が忙しく動き回っている。
「先ずは蠅王の影をおびき寄せる為に自由に動けばよいのだな。では吾輩はこの辺りの植生の調査をしようではないか。フリアノン周辺は余り来たことがないから良い機会であるな」
自然知識を活用する練倒は、料理に使えそうな香草や珍しい植物が等があれば採取しておこうと考えていた。
香草が見つかれば後で料理をするクーア殿に渡しておこう……などと考えていたが、クーアならばうまく活用してくれるだろう。
「なるほど、蠅王の影か……群体の敵は俺は初めて経験するが、いい経験になるだろうか。それを討伐する為に誘き寄せる必要がある、と」
「また面倒なモンスターが現れたわね。まっ、どんな敵が現れようとフリアノンに害を為そうって言うなら、このフリアノンの炎の剣が纏めて焼き尽くすだけだけどねっ!」
 そんなことを言い合う『竜撃の』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)と『炎の剣』朱華(p3p010458)の2人も料理の準備をしているが……朱華がやっているのはバーベキューの準備だ。
「朱華はバーベキューの準備でもしておくわ。匂いでおびき寄せるって言ったらやっぱりこれよね! 皆でわいわい騒ぎながら楽しめるものっ!」
「ならば、俺はこの間手に入れたこれを早速使って見るか。以前の依頼で手に入れたブタウシ鳥レシピ集、これさえあれば余計な事をしなければ俺も美味しい料理を作れる筈だ」
 言いながらベネディクトはレシピ集を取り出す。以前の依頼で手に入れたコレは豚、牛、鶏の各種部位を併せ持つ不可思議な生き物の調理の為のレシピ集であり……つまるところ、どんな肉にでも大抵対応できるレシピであり共に戦った仲間達の叡知の結晶なのだ。
「……とはいえ、手の込んだ代物は難しいかな。此処は簡単な物を用意する事にしよう、何が良いかな? ……ふむ、相賀殿は何か食べたい物は?」
「ん? おお、そうじゃのう。こういう場所では煮込みが無難なんじゃないかのう」
 同行して貰っていた『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)からそんな返答を受けながら、ベネディクトはレシピを捲っていく。
「お料理を作ってくれる人がいるから、私は材料になりそうなものがないか探してみるね」
 そうして料理が進む中で……水愛はそう言うと、水に潜っていく。
 釣りをする人がいる場合にも邪魔にならないように潜って捕まえられそうな魚とか貝とかがいないか探そうというのだ。
 とはいえ、水中にいても外の様子には気を配るのは忘れない。
 敵の気配を感じたらざばって水場から出ていこうと、そう考えていた。
「うんうん、いい感じの焼け具合ね。これならそろそろ……って」
 朱華を含め、警戒を怠っていなかった者達が次々と気付いていく。
 そうしていると……聞こえてくる。ヴヴヴ……という、明らかに異質な音が。
「うぉー?あれは蠅なのか?みんなで固まって、色んな姿になるんだなー?面白いから、見てるだけならずっと見てられるなー! でもこっち攻撃するし、危ないから倒さなきゃなんだよな! 蠅はなんか食っても美味そうじゃないな。美味しく食べられるなら全然良いのにな」
「うわ、実際に見ると本当に気持ち悪いというか、本能的にヤバイって感じるというか。それに、蝿があんなに群れて、なおかつ一個の個体みたいに統率が取れてるなんて、世界は広いなぁ、すごいなぁ……って現実逃避しかけたぜ。気合い入れて頑張るか!」
 『紲家のペット枠』熾煇(p3p010425)と『それいけ柔道オクトパス』コータ・ヤワン(p3p009732)が真逆の感想を言って顔を見合わせるが……やるべきことは同じだ。
「……できれば戦闘後にも引き続きおもてなしができるよう、極力場を荒らさずに戦いましょうか。できればですが」
「まだまだ一線級とは言えないかもだけど、やれることは全部やるぜ!」
 クーアの呟きに、全員が頷く。相手は蠅王の影。此処からが本番だ……!

●蠅王の影
「おら、蝿ども! 俺を餌にでもしてみるか!?」
「まとめて焼き払って差し上げましょう! 冥途の土産を差し上げるのです!」
 コータの名乗り口上が響き、攻撃集中したクーアの放火が蠅王の影を薙ぎ払うべく放たれる。
 蠅王の影。それは近くで見れば、確かに影ではないとよく分かる。
 小さな蠅型モンスターの集合体。無数のモンスターが1つのモンスターに不可思議な力でリンクするその姿は、生理的な嫌悪感をもたらすには充分すぎた。
「打ち漏らしはしねえぜ……!」
 義弘が八岐大蛇を放てば、蠅型モンスターがそれぞれ平等にダメージを分散しているのがよく見えた。
(体力を全体で共有しているっつー話だったから、単体攻撃でも全体にダメージが入るだろうとは思っていたが……複数体巻き込む事によってよりダメージが入るってわけでもなさそうだな)
 群体ではあるが1体。そういった扱いなのだと義弘は理解する。しかし、それならそれでやりやすい。
 だからこそ黒顎魔王を熾煇も繰り出すが……しっかりと「効いて」いる。
「なるほど、そういう生態なんだな!」
 そんな納得したような声もあがるが……同時に、それは恐ろしい可能性をも示していた。
 目の前の蠅王の影は、数さえいれば何処までも強い「個」になれるのかもしれない。
 同じような個体が集まれば更に強く、強く。それは……あまりにも恐ろしすぎる故に、此処で絶対に逃がすわけにはいかない。
 だからこそベネディクトも黒狼の槍と直剣を振るう。
「どの様な相手であろうと、障害となるならば打ち倒すのみ!」
 繰り出すのは絶刺黒顎。裂帛の気合と鋭い踏み込みから繰り出されるその一撃は、蠅王の影に多大なダメージを与えていく。
「一撃で駄目なら、二撃。それでも駄目ならさらに重ねて威力を高める……黒狼の牙は決して獲物を逃しはせん!」
 そう、逃がしはしない。練倒は、まさにそれを意識した行動をしていた。
「ガーハッハッハ、炎か毒か雷、風、好きな物を選ぶがよい。まぁ貴様達がここで果てる運命に違いはないがな」
 繰り出すのは魔曲・四重奏。多重展開した中規模魔術を立て続けに放ちながら、周り込み蠅王の影の後方に陣取り万が一にも逃げない様に退路を断ち備えようとする。
「そして……残念だがこちらは行き止まりである」
 だが当然、蠅王の影の攻撃も苛烈だ。ワイバーンのような姿に変化した蠅王の影の集束光線がコータを幾度も貫き、しかしその傷を水愛のミリアドハーモニクスが癒していく。
「折角これからだって時に邪魔するんじゃないわよ、この虫野郎っ!」
 群体だろうと単体だろうと焼き尽くしてやろうと朱華は灼炎剣・烈火を振るう。
「相手が小型の蠅の群体って言うなら朱華の炎で纏めて焼き尽くすだけよっ!」
 その一撃は、蠅王の影に確実にダメージを与えて……段々と弱っていくその姿を見て、クーアはぽつりとつぶやく。
「……群体の浮いてる部分を狙って叩き落としてみましょうか。害虫駆除と地対空はメイドたる私の得意分野なのです!」
 はたして地対空が本当にメイドの得意分野かどうかは分からないが……苛烈な攻撃の前に、ついに蠅王の影はボトボトと力を失ったかのように一斉に地面に落ちていく。
「とりあえずこいつらは焼却しておかねえとな」
「お任せなのです!」
 呟く義弘に、他にとられてたまるかとばかりにクーアが進み出て蠅王の影の死骸……というか蠅型モンスターの死骸の山に火を放つ。
「しかし、彼らの攻撃の方法は彼らにとっての脅威の形をした物という事なんだろうか?」
 ベネディクトはそう呟くが……まあ、人型はともかくワイバーンは覇竜における驚異の代表格だ。
 それを模すのは非常に有り得る事だろう。
「蠅は、一体一体が弱いから、あんな風にすることでこの覇竜でも生き残ろうとしたんだろーな。すっげーな。まぁ危険だから俺達に駆除されちゃったんだけどな」
 熾煇も納得したように頷いて、すぐにリトルワイバーンと共に水場へと走っていく。
「終わったからここで遊べるんだよな! めーしー! いっぱい食べるぞー! 魚も獲れたらいっぱいがもっといっぱいになるんだろ? じゃあ釣りしてるとこから離れて手掴みで獲るぞ! ワイバーンと一緒に!」
 そんな熾煇を見て、朱華も思い出したように声をあげる。
「そうだ、バーベキューを……って焦げてるー!?」
 まあ、火をつけたままであればそうなるだろう。
「まあ、釣りでもして食材を追加しようか」
「そ、そうね! お肉が焦げてるなら他の物を調達すればいいって話よね。ベネディクトと一緒に魚釣りに挑戦するわっ!」
 なだめるベネディクトに朱華も頷き、釣り具に手を伸ばし向かっていく。
 しかしながら釣りは初心者には中々難しい。これはこれで戦いだからだ。
「そういえば魚釣りって初めてなのよね。えっと、こんな感じでいいのかしら?」
 おっかなびっくりという感じだが、中々に楽しいモノではある。
「ここだとどの様な魚が釣れるんだろうか?」
「そういえばここら辺ってどんな魚が釣れたかしら……」
「む、釣れたか……覇竜は生態系が面白い生物が多いな。研究学者が泣いて喜びそうだ」
 家族や知り合いの話を思い出すように頭に思い浮かべる朱華の横でベネディクトがよく分からない魚を釣っていたが……同時に朱華の竿も引きを見せていた。
「……もしかしてこれって引いてる? って、引き強!? ベネディクト、ちょっとこっち手伝ってくれる!?」
 ぎゃー、と悲鳴を上げている朱華を見ながらクーアは「メインディッシュは魚尽くしになりそうなのです」と見守る。
「俺は料理そのものが出来ないから準備の手伝いしかできないけどね……あっちに行ってもよかったかな?」
「まあ、裏方も楽しいものである」
 コータに練倒がそう言いながら、食器を並べるのを手伝っていく。
「そうそう、それに……」
 同じように手伝っていた水愛は、コータに笑いかける。
「コータさんは本当にお疲れ様でしたー、かっこよかったよ」
 戦闘中引き付け役をやっていたコータをねぎらいたかったと、水愛は笑う。
 それにコータは少しだけ照れたように返すが……そんな光景に義弘は「平和だな」と笑う。
「ま、これで仕事は終わりだ。もう一度のんびりやらせてもらおう」
 そう、仕事は終わり。あとはたっぷりと食事を楽しんで帰ればいい。
 それは義弘たちが享受すべき、当然の権利なのだから。


成否

成功

MVP

煉・朱華(p3p010458)
未来を背負う者

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!

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