シナリオ詳細
小芝居しないと進めないダンジョン~ブラック企業新入社員編~
オープニング
●小芝居しないと進めないダンジョン
そこは幻想で最近発見されたダンジョンの系譜。
世界各地にあるソレは今回、鉄帝で発見されていた。
奥には素晴らしい宝があるとされながらも、誰もクリアできないでいた。
その理由は、そのダンジョンのギミックにあった。
そして今……ダンジョンギミックをクリアできなかった敗者たちがダンジョンの外に射出されてくる。
「ぐあー!」
「うおおおお!」
スパーン、とダンジョン外に怪我1つなく排出された男2人だが……悔しそうに地面を叩く。
「くそっ! 何が社畜だ!」
「もうあの頃の気持ちなんて残ってねえですよ!」
中々苦労しているようだが、ダンジョンギミックは冷徹だ。出来なければ追い出されるだけ情がある方だろう。
再挑戦するか、帰るか。2人に出来るのはそれだけなのだ。
「おい、ジョン。さっきのテンションでもう1回いけるか……?」
「無理っす。大体俺等勤め人とは縁遠い人種じゃないですかね」
「だよなあ……こんなダンジョンクリアできるのは相当だぜ」
「そもそもブラック企業ってなんすか?」
「鉄帝じゃねえの?」
鉄帝に対する熱い風評被害が出ているが、さておいて。
2人の男達は顔を見合わせると、溜息をついて立ち上がる。
「……帰るか」
「ええ。もっとマトモなダンジョン探しましょう」
「つーか、前にも似たようなダンジョンあったよな」
「ほんと、なんで来ようと思ったんすか」
「お前が止めねえから……」
●With新田
「なんか前に似たタイプのダンジョンに行った覚えが……ウッ、頭が!」
「突然のビンタ!?」
新田 寛治(p3p005073)がアーリア・スピリッツ(p3p004400)に唐突なビンタをされて綺麗に吹き飛ぶが、きっと顔に何かビンタしないと死ぬ系の虫がついていたに違いない。
ともかくなんか社畜の恨みを晴らした的なスッキリ感と共に、アーリアは飛んできた眼鏡を着席させる。
これで何の問題もない。
「えー……そんなわけで2人はもう知ってると思うですがダンジョンです」
チーサ・ナコックはそう言うとダンジョンの資料を取り出した。
正式名称は不明。
愛称は「小芝居しないと進めないダンジョン~ブラック企業新入社員編~」だ。
前に「社畜編」があったが似たようなギミックのダンジョンがまだあったらしい。古代人本気で怖い。
というか、順番的にはこっちが先だった可能性すらある。
なんでシリーズ化してるんだろう。ブラック企業は長い時を経ても根絶されなかったというのだろうか。
ちなみにどんなに法律で規制しても規制された側に守る気がなくて規制する側に取り締まる気がないと書類だけ法律通りで実情は過労死とかあったりするらしい。超怖い。
ちなみにこのダンジョンの情報を掴んできたのはアーリアだ。
そこに寛治も居合わせたのは、何か嫌な感じの運命的なものを感じる。
アーリアは今のうちにもう5,6発ビンタしておいたほうがいいのではないだろうか。さておいて。
「ルールは簡単で、部屋に入った後に「ブラック企業新入社員」をテーマにした小芝居をする。2人1組でも3人1組でもいいらしいです」
必要なのは芝居にかける「熱」……つまり演技だ。
それを部屋の古代機械が判定し、クリアすれば次に進めるという仕組みだ。
「必要な芝居数は不明ですが……ま、前回を考えるに芝居の熱量次第だと思うです」
芝居自体も難しいものではなく、本当に小芝居で良いらしい。
ブラック企業新入社員をテーマにしてさえいればシリアスでも恋愛でもヒャッハーでもなんでもいい。
というか古代にもブラック企業があったのだろうか、こんなダンジョンが幾つも存在する辺りヤバげではある。
そして、奥に進めば進むほど熱量の高い演技が必要になってくるだろう。
恥ずかしがらずにそういう事を出来る度胸が大切ということだ。
失敗したらダンジョンの外に射出されるが、再挑戦は可能だ。
また熱量が足り無さそうだな……と思うなら演技の追加なども可能だ。
これぞブラック企業新入社員と一撃で分かるような、そういうのである。
……なんだろう、幾らでもありそうな気もする。
無論、それは最後の手段ではあるだろうが……そういう手もあるということだ。
「無事に奥にある宝を手に入れれば完遂です。ま、頑張ってくるですよ」
- 小芝居しないと進めないダンジョン~ブラック企業新入社員編~完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年04月19日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●新入社員の皆さん、ようこそ!
何もかもがキラキラしている4月。新しい何かが始まっていく4月。
キラキラ輝く4月が始まった。
「ユウェル・ベルク16歳! 高卒社会人として頑張っていきたいと思います! え? この会社にした理由? 履歴書だしたら面接だけして当日に採用だって言ってくれたから……ごえんがあったとおもいます!」
「新入社員としてキラキラ輝く、私エーミール……34歳って新入社員っていうよりは中途採用な気がするんですけど。まあそれはそれとして、私はこの新しい会社に入ることで沢山の業績を作り、ステップアップを図ろうと思っています!」
『宝食姫』ユウェル・ベルク(p3p010361)と『夕焼けに立つヒト』エーミール・アーベントロート(p3p009344)が手を重ね合わせ、フレッシュ感を出す。
一体どうしたというのか。春だからそういう気分なのか。
勿論違う。此処は小芝居しないと進めないダンジョン~ブラック企業新入社員編~である。
故に今は小芝居中……なのである。
「私アーリア・スピリッツにじゅうは 22歳のぴちぴち新卒!!! この不景気の中ようやく内定を掴んだブラックタイガー社、同期は全部で8人。ちょっと新卒にはキツそうな三十路二人とキャリア採用らしき眼鏡がいるけど、皆でがんばろうねって4/1に約束したの
仕事も頑張ってアフター5は買い物して英会話教室に行って同期飲みしての夢は……ウッ頭が」
だから『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)も、決して28歳であることを忘れているわけではない。
これはそういうものなのだ。そう、アーリア達は新入社員。
ブラックタイガー社のキラキラ輝く夢溢れる新入社員。
とらぁ部長の挨拶も過ぎていき……これから楽しい夢溢れる生活が始まろうとしている。
「……しかし、ここ(企業)へ来たのは間違いだった……」
エーミールの、そんな声が響く。そう……此処は物凄いブラック企業だったのである……!
では、具体的にどうブラックか……『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)を見てみよう。
「新入社員エルシア・クレンオータ、特技は火線砲で、敵超貫に3000以上のダメージを与えられます! 初日の仕事は……成る程、弊社に襲ってくるしつこい営業電話を倒すんですね! ……って、どうやって倒すんですか……!?」
鳴り響く電話にエルシアが出れば、相手も慣れていない……どことなく疲れたような声だ。
だからこそ、エルシアはオロオロしてしまう。これは、本当に倒していいのだろうか?
「だって、相手も新人さんみたいじゃないですか! あちらも慣れてない仕事で成果を出さないといけないんだと思うと、つい親身になって話を聞いてしまい……しょ、少々お待ち下さい……」
「とらぁ……」
「はい何でしょう部長……あっはい、これはどのタイミングで断ろうか慎重に判断しているだけでして……あっそうですね、業務とは無関係な電話に時間かけても業務時間扱いにならないのは当然ですよね……わかりました今すぐ断ります!」
ファイナルとらぁバスターの姿勢に入ったとらぁ部長にエルシアが慌てて電話の続きに移る。危ない、もう足がちょっと浮いている。
「……お待たせ致しました、そんな訳で、何を仰ろうとお断りします! でも……じゃないんです……あっ、また少々お待ち下さい……あの部長……相手がしつこすぎる場合はどうすればいいんでしょう……はい、質問料は支払いますので教えて下さい……えっガチャ切りでいいんですか!? わかりました、ここは心を鬼にして……ガチャ!」
しかしまたジリリンとなる電話。つらい。
…なのにまたすぐに電話が鳴ったのですけれど!?
「もう二度とかけてこないで下さい……ガチャ! ……って、えっ今の電話番号は偶然ぴったりのタイミングにかけてきたお得意様!? ううっ…このミスは痛すぎます……罰金で初任給が全額消えてしまいました…今月の生活費は、社長の知り合いの銀行員さんの業績UP用に作らされたカードのキャッシング枠で凌ぐしかありませんね……」
やっていることがヤバい上にファイナルとらぁバスターが炸裂して、エルシアは床に沈んだ。
ちゃんと運んでくれる辺り、とらぁ部長は優しい部長である。さておいて次にスポットライトが当たったのはアーリアとユウェルである。
「名簿を片手にひたすら電話。ブラックタイガーと銘打った金属製の海老フィギュアを売りつける仕事……どう見ても海老なのにこれは虎と言わなきゃいけなくて、このフィギュアからは特殊な波長が出ていて誰だって虎になれるなんて詐欺よ」
いや、まだ分からない。精神的に虎とかいう話かもしれない。スピチュアルはその辺線引きが難しいんだ。言い切ると不味いかもしれない。どこに不味いのかは分からない。
「決算だから今が一番忙しいって先輩は資料を渡してくれただけ。解らないことがあれば何でも聞いてね→自分で考えて→どうして聞いてくれなかったの? のコンボももう慣れたわ」
「えくせる? ぱわーぽいんと? どらっぐ? だぶるくりっく? そんなのがっこーじゃ教えてくれなかったからわかんないよぉぉぉぉ……先輩たちは人に聞いてすぐ答えを求めるんじゃないって言ってるし……ひ゛え゛え゛え゛た゛す゛け゛て゛アーリアおねーさん……」
「はいはい。それはこうよぉ」
カタカタと音が鳴るユウェルのキーボードが、実に物悲しい。
「隣の席の高卒新人ユウェルちゃんに今日もダブルクリックとドラッグと変換を教えた。今日も書庫に同期が呼ばれ蒼い顔や赤い目で出てくる、ああ今度は腕を押さえてる。産業医のチーサ先生は「それは自分で転んだ怪我ですね」って流して上司から商品券を貰ってた。クラススキル装備を整え苦行に耐性ができても辛い。今日のお弁当はストロングZ、残業は勉強なのでタイムカードは切る」
なんと恐ろしいことか。明らかに違法でも外に証拠が出なけりゃ合法なのである。
たぶん顧問契約した税理士も何人か逃げて「アイツイモ引きやがった……」とか言われている。
そしてスポットライトはアーリアからユウェルへ。
「時計の針はもう12時。だけどわたしのノルマはまだ足りない。完品ブラックタイガーフィギュアのチェックがあと334個」
なんたることか、たぶんとらぁ部長の顧客へのサービス精神でランダムチェックではなく全品チェックである。
その精神が従業員にも向かないものか。
「今日もおひるぬきかぁ……おなかすいたな……トラチェックヨシ! あ、触角折れてる」
「とらぁ……」
「え、あ、と、とらぁ部長?わたしが折ったんじゃないですよ? 最初から折れて……しゅ、修復ですか? 違う? じゃ、じゃあ買い取り? これも違う? ま、まさかとらぁバスターですか!? うわぁぁぁぁぁん! あ゛り゛が゛と゛う゛ご゛ざ゛い゛ま゛し゛た゛ぁ……グスッ」
―ファイナルとらぁバスタータイムー
「わたしは高卒だから他のみんなよりはまだマシなんだ……みんなはもっと死にそうな顔してる……」
物理的に死にそうなのは違うと思うが、さておいて。
見て覚えろ、という言葉がある。便利だ。便利過ぎて教える時間を削る理由になっている。
そしてスポットライトはエーミールへ。
「ブラックタイガー……?? え、それってエビの品種……あ、はい。黒い虎ですね。私に課せられたのはこのブラックタイガーなるもののフィギュア製作に関する仕様書の調整。どう見たって破綻してるのに先輩は「それが仕様だ」としか言わないし、部長に言っても「それがうちのやり方だから」で済ませる。この意味不明なやり取りの繰り返しで出来上がったフィギュアを販売担当の皆さんにも説明しなければならないのが私です。きっつ」
きっつ。なんでも仕様で済ませるんじゃない。
仕様書をアップデートしないのは「言ってない」の言い訳作りだぞ。気をつけろ。
次にスポットライトが当たるのは『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)だ。
「あのー、先輩、ここのやりかた……あっ、自分で考えるでありますか……そっすか……マニュアル……マニュアル……あった。これを見て……あ、先輩。これやったんで見て下さ……え、勝手なことするなって……いやマニュアル見たんでありますけど……それに自分ずっとほっとかれて……あっ……」
ちなみにマニュアルと上司の考えるやり方は違ったりするので注意が必要である。マニュアルとは一体。
「朝……また朝が来てしまったであります……始業が9時……朝礼が8時半からだから……8時15分には出社し……えっ、部長もう来てる……タイムカード……7時半……」
「とらぁ……」
通り過ぎていくとらぁ部長は中々アレな上司の見本である。
「仕事……あっ、先輩これ昨日の……えっ、でも昨日は明日までに完成させればいいって……なんでもありません……」
背中を丸めてとぼとぼと仕事をしに行く姿は実にブラック。
(こんな感じでありますかね。周りの奴らはなんだかんだ働こうとする陽のブラック新卒。自分は教育係の先輩から地味なモラハラを受け続ける陰のブラック新卒。ふふーん楽勝でありますね)
おっと、精神的には中々余裕があるよう、だが……?
(ハッ、手が震えて……馬鹿な、軍人たる自分がこの程度のストレスで……そうか……慣れてしまっていた。ハラスメントをする立場にあまりにも慣れ過ぎて……クソッ、鎮まれ自分の拳……!)
どうやら演技に熱が入り過ぎた結果のようだ。問題ないので、あとでファイナルとらぁバスターを処方しておけば大丈夫だ。
朝昼晩の食前に1発ずつキメましょうね。
しかしどうやら社内は地獄だ。ならば外回りの人間ならば救われているのだろうか?
その謎を探る為、『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)を見てみよう。
ブラックタイガー社の夜は遅い。朝も早い。そう、これは前日の夜の話である。
「すみませーん!新人研修の一環で名刺交換お願いしているのですが、よろしければお名刺いただけませんか?」
20時以降に、仕事帰りで急がない人を狙う。酔客ならカモだ。
そこそこ稼いでそうな中年以上の男性を狙っていく。
ちなみに新人研修で名刺交換をやらせる会社はちょっと考えた方がいい。
そして翌日。集めた名刺で営業である。こういうことするから……。
電話の受話器をガムテープで頭に固定し、集めた名刺の電話番号にひたすら営業電話だ。
ちなみにこの電話営業、断られるのを前提にノルマがあるので必死である。
「投資のご案内なんですが、今ブラックタイガーの養殖がビッグビジネスのチャンスで……」
ガチャ切り罵倒は当たり前。100件掛けて1件話を聞いてもらえれば良い方だ。
「くそっ! ノルマまであと5件だってのに!」
『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)に露骨に舌打ちをして寛治は電話営業を継続する。
「午後は飛び込み営業! 雑居ビルの上から下まで入居してる企業に全部アポ無しで行くぞ!」
出来るだけ申し訳なさそうにするのがポイントだ。
基本的に「帰れ」と言われる辛い仕事ではある。名刺も大抵ゴミ箱行きだ。
「とらぁ……」
「とらぁ部長! ノルマ?! す、すんませんまだ後5件足んなくて……え、会議室ですか、はい行きます!」
―ファイナルとらぁバスタータイムー
「あざっす部長! 気合入りました! 駅前の人通りが多いとこで社訓と今月目標叫んできます!」
ちなみにSNS全盛期、こういうのは人から見えないところでやることになったようだ。
「今週末の新人歓迎会の店も予約しなければ。はい、今週金曜日に40人で飲み放題3時間付きで。ブラックタイガー社新人歓迎会、で予約お願いします。あ、幹事は私、新田寛治です。幹事だけに。はっはっは」
何故新人が新人歓迎会の幹事なのかは分からない。聞くと大抵「下っ端の仕事だろ?」と返ってくる。
「金曜に新人歓迎会で、土日は宿泊研修か……着替え用意して、会社泊まろう……」
これはひどい。普通に夜中まで稼働している。ちなみに会社に帰れば普通に『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)が仕事をしている。
「え!? 追加データの処理!? その日の夜まで!? で、でもそんなのそれこそ一日デスクに張り付いてないと……今から出社?今からやれば間に合う? そ、そんなぁ……て、手当は……サービス、会社貢献……はい……今から行きます……終電終わったのでタクシーで……はい……これは経費で……はい……自腹で行きます……」
そんなこんなでやってきてみれば同期達が仕事をしているのである。
「なんとかタクシー拾えたけれど、遠回りされて遅れた上に金額が半端ないことになったわ……」
タクシーの運転手さんもブラックなのだろうか。
「おはようございまぁす。うっ……皆もう席に着いて仕事してる。ちょ、アタシ悪くないのに空気が! 空気が! 仕方ない、後で栄養ドリンク差し入れして機嫌とろ」
何やら寛治が死にかけている。こちらを睨んでいるのは気のせいではないだろう。
「はぁ〜終わらない終わらない、こんなのやってらんないわぁ。休憩……ちょっとマリア、お金渡すからなんかコーヒーでも買ってきてよぉ。同期の仲でしょう?」
声をかけるのは『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)だが、こちらも目が死んでいる。
「はぁはぁ! おかしいね??? さっき寝たばかりの気がするけどもう出社時間かい??? どうやって会社に来たのか覚えてないよ???」
これはダメだ。コルネリアはすぐに同期を諦める。
「ちょっとくらいサボっても……まぁいっか。どうせ新人に与えられる仕事なんて大したことないだろうし、爆弾処理するゲームで遊ぼ遊ぼ」
おっと、マリアの視線も加わった。
「え、とらぁ部長!? なんで!? あ、あそんでなんか、いやこれはそのあの……とらぁバスターだけはかんべn……ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!」
―ファイナルとらぁバスタータイムー
「ノルマなんて達してるわけないのにぃ、歓迎飲み会かぁ……家でゲームしてたいんだけど、ただでさえ拘束時間半端なくてやれてないのに。ちょっとぉぉぉ!!アーリアアンタアタシがクッキーぽちぽちするゲームやってたことバラすんじゃなちがうんですこれはンア゙」
―ファイナルとらぁバスタータイムー
「はぁはぁ……! 終わらない!!! アーリア君や新田君も手一杯! コルネリア君は部長にめちゃくちゃにされてる」
もはや小芝居だということを忘れながらもマリアは叫ぶ。
「ほ、他の皆は? 駄目そうだね……」
エッダも稼働が怪しいので、何かしでかす前にとらぁ部長がアルティメットとらぁクラッシュで沈めている。
「いや、待って? よくよく考えたらブラックタイガー社ってエビじゃあないか!!!」
今更である。
「絶対におかしいよ! あ! とらぁ部長……!」
「とらぁ……」
「嘘! 嘘だよ! 虎! ブラックタイガーは虎!!! ぐわぁぁぁぁぁ!?」
―ファイナルとらぁバスタータイムー
「うぅ……一体この地獄からいつ解放されるんだい??? 新田君は順応しすぎじゃないかい!? アーリア君! もう少し! もう少しだよ! 残業さえなければもう少しで帰れるんだ! コルネリア君はもう助から無さそう…ユウェル君とエッダ君は割と余裕ありそうだね……」
ユウェルとエッダはファイナルとらぁバスターで地面に刺さっているのだが、ベッドで寝ているように見えているようだ。末期である。
「は? 残業!? 嫌だ! コルネリア君だけ残業すればいいんだ!!! 私は帰るよ!!」
叫んでいるマリアの近くではアーリアが叫んでいる。
「私は一度聞いたことが覚えられないクズです!」
「お酒も休肝日週2予定が週1になっている意志の弱い人間です!」
「コルネリアさんが社用PCでクッキーぽちぽちするゲームしてるのを注意できませんでした!」
おっと、コルネリアがファイナルとらぁバスターを喰らっている。
全員の社畜状況が示される中、寛治に再びスポットライトが当たる。
上司に終電後まで付き合わされて、会社泊まって宿泊研修へ。上司はタクシー券使って帰った。
登山研修は登頂順が今後の出世に影響するらしい。全力で駆け上がって1位を取りに行く!
上司にも社長令嬢の同期マリアにもゴマをすって、どんな無茶振りも笑顔で受ける。
この新田寛治には夢がある! 出世して部下にパワハラしまくる!
ブラック幹部候補生に、俺はなる!
凄まじい台詞である。
しかしご存じだろうか、「名ばかり役職」という言葉を。
給料上がらん残業しても残業代つかない、そんなものである。
そして続くは土日新人歓迎呑み会と地獄の研修である。どちらも精神の削れるクソ行事だ。
「……しんっっどい!! 小芝居と言えどこれしんどくないですか!?」
それでも全てやり切って、終了のベルが鳴って。
死屍累々の中にエーミールが倒れこむ。
一気に開いていくドアは、全員参加の小芝居が全てのドアを開けた合図。
はてさて、今回クリスタル板に記録されたのは誰なのか。
「とらぁ……」
「え!? ちょ、もうそれはいらな……」
―ファイナルとらぁバスタータイムー
そして全員寝かしつけた後、とらぁ部長……もとい、とらぁ君は全員を外まで運んでいく。
企業戦士たちは頑張った。小芝居なのにマジで徹夜した。
だからもう寝ていい。いいのだ……。
ブラックタイガー社は、これにて解散だから。
給料? 出ないよ?
小芝居だからね。
成否
大成功
MVP
状態異常
あとがき
皆様の熱量が凄い。
MVPを誰にしようかほんと悩みますが、今回はマリアさんに贈ります!
GMコメント
今回はアーリア・スピリッツさんからのアフターアクションです。ありがとうございます。
まさかの小芝居しないと進めないダンジョン……幾つやったんだっけ、これ。
そんな感じで「With新田」らしいです。いえーい、寛治寛治(もはや一発変換で出てくる)
さて、小芝居しないと進めないダンジョン~ブラック企業新入社員編~です。
チームを組んでブラック企業新入社員系の小芝居を実施しましょう。
皆さんなりのブラック企業新入社員としての演技をぶつけてきてください。
プレイング全部を内容と相手で埋めてOKです。
互いにNGシーンを打ち合わせてプレイングを決めると良いと思います。
なお、相手が見つからない悲しい子はチーサを拉致できます。ちゃんと適宜合わせてくれます。
ちなみにですが、無理矢理突破しようとした場合には古代ゴーレムが現れます。
無茶苦茶強いので、無理矢理突破はしない方が無難でしょう。
一応こんな感じです。
・無粋な奴をぶっ飛ばす古代ゴーレム
全長10Mの謎金属製の古代ゴーレム。
ゴーレムパンチと範囲攻撃のゴーレムビームを使います。
もうとんでもない強さです。
一番重要なのは「最後の部屋」なので、そこの担当はしっかり決めておいた方が良いでしょう。
なお、お宝は「各演技の激熱シーンを激写したクリスタル板」です。
破壊不能のすげーやつです。思い出は永遠に……。
それでは、皆様の熱い演技をお待ちしております!
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●天野からのお知らせ
ブラック企業滅ぶべし
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