PandoraPartyProject

シナリオ詳細

最高の、酔いどれを。

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●調子に乗ってるから一度シバいておくね
「ちょっとぉ三弦ちゃあん、何処かに広いお風呂に浸かれるダンジョンとかないかしらぁ。もしくは施設」
「そうでありますねえ。なんか浴槽も全部酒とか。そういうのないんでありますか」
「この間サウナになってるダンジョンがあったんだからそういうのもあるはずですわ! 探しなさいな!」
 アーリア・スピリッツ (p3p004400)、エッダ・フロールリジ (p3p006270)、ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ (p3p001837)のとんでもねえリクエストを聞いた日高 三弦 (p3n000097)はこの世の終わりのような顔をしていた。当たり前だよ。そんなご都合主義の塊みたいな設備がおいそれとあってたまるか。
「ここは依頼の斡旋をする場所であって物件探しの窓口じゃないのですが……私は此方の世界の宅〇持ってませんし……」
「あ゛? そんな分かりきった意見を垂れるでありますか。ネタは上がってるでありますよ。眼鏡を外せばポンコツになってトンチキな服を着せても許されるってなァ!」
「えっ、ちょっ」
 エッダはそんな三弦の意見を求めていなかったので、ここでデジタルタトゥーを刻み込んで強引にでも探させようと思っていた。その発想がまずかった。
 直後、三弦はなぞの犬笛めいたものを思い切り吹いたではないか。
「何も聞こえないであります。全くビビらせやがttttttt」
「グッ――」
 エッダが言い切るより早く、頬をすりこぎが押し込む。全霊の突きは不意打ちだからこその威力でエッダを横回転させつつ壁まで持っていった。
「――バイゆ鉄帝大佐。ちょっと話がややこしくなるからおとなしくすゆ」
「やりすぎですわ! いくらなんでも吹き飛ばさなくてもいいではありませんの!?」
「大丈夫ゆ。なんか動きが派手なだけで全然傷つけた手応えなかったゆ」
 そういう問題でもないのだが。いきなり現れたパパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)は抗議の声を上げるヴァレーリヤ、すぐに起き上がってメンチ切ってくるエッダ、呆然とするアーリアの前に地図を置いた。
「なんかそこの情報屋のメガネが多分そろそろそういう依頼を探しに来るだろって読んでたから探してたんだゆ。ダンジョン。酒。飲まなきゃ出られない異空間。風景が壁面投影で変わる的アレ。全部条件満たしてるはずゆ」
「なぁにそれぇ……」
「わたちが聞きたいゆ」
 アーリアの呆れたような言葉に、パパスは肩をすくめた。あ、どこかのドラマでよく見る動作だ!
「そういうワケでわたちはこれで失礼すゆ。メガネと相談して行くか決めてほしいゆ」
 パパスはそう言うと颯爽と去っていく。嵐かなにかかな?
 三弦はいつの間にか予備のメガネ(なぜか丸フレーム)をかけて「で、どうします?」と聞いてくるのだった。

●こんなのは聞いてないんだよな
 果たして、目的地はラサの某所、某ダンジョンのさらに奥。何故かあった隠し扉を降りていくと、そこには広々とした露天風呂、意味深な箱、水風呂(酒ではない)、子ども用プールじみたもの、そしてこれ見よがしに大量のつまみが転がっていた。
「……これは……?」
 考え込むアーリアの傍ら、同行する仲間が看板を見つけ、読み上げる。
『ここは酒を飲み干さないと出られないフロアです。
 酒は露天風呂の中にあります。熱燗だぞ喜べよ。なお風呂も兼ねます。
 周りの景色は逐一変わっていきます。箱の中はサウナです。水風呂もあります。おつまみもあります。
 粘り強く頑張って飲み干してください。
 なお複数名で来た時は最下位に厳しいお仕置きが合ったりします。がんばってね』
「クソであります」

GMコメント

 リクエスト内容を忠実に再現した結果、最下位争いの醜さにスパイスがほしいなって思ったんですよ。どうしてこうなっちゃったんだろうなあ。
 なお話題のソシャゲとかそういうものは全く関係ないです。関係ないってば。

●露天酒風呂
 全面酒の露天風呂です。当たり前ですが湯気もほんのりアルコール入っております。ダンジョンに常識と理解を求めちゃいけねえんだ。
 当然といえば当然だけど混浴だから水着着ろよ。着せるからな。
 調べてもいまいちわからなかったんですが貸切風呂で「家族でのんびり」サイズが750Lでしたので大体3倍くらいして2250Lくらいあるものとします。
 ざっくりいうと12.5石です。大名かよ。
 この風呂はまあ色々あって凄いダンジョン的なアレで『浸かっても個々人の汚れが移らず』『温度が一定に保たれ』『継続して温めることによる味の劣化がありません』。あと『飲用として飲んだ場合に好みの酒として味わえます』。ですが度数がここで変わると非常に不公平なので一律15度として扱います。
 量は純減するので飲み干したらゲームセットです。いや別に浴槽の底まで舐めとれとは言ってねえよ。

●飲酒バトルロイヤル
 全員で酒を飲んで飲み干した時点で飲んだ量で勝負だ。未成年で飲めないよとかいうカマトトぶってるお前。お前は子ども用プールからレフリーだ。なお全員酔いつぶれた後に虹を一身に受けても知らんぞ。回れ右したほうが良い。
 自称ザルの君達。そう君達だ。君達が割と頼りだ。いや2250Lをガブる胃袋と肝臓ってなんだよ。
 1位が優勝でビリがなんらかの罰とかうけることになるのですが、1位はザルの人に譲って醜い最下位争いに興じてください。手を叩いて笑わせてもらえます。
 なおそれだけだと自称ビリですいえいえ私がビリです合戦するのでルールを追加させていただきました。
「最下位は2人まで道連れを指定して(1位除く)罰ゲームに挑んでいただきます」。
 さあ争え。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 最高の、酔いどれを。完了
  • GM名ふみの
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年04月10日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
嶺渡・蘇芳(p3p000520)
お料理しましょ
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
※参加確定済み※
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
※参加確定済み※
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
※参加確定済み※
エル・ウッドランド(p3p006713)
閃きの料理人
彼岸会 空観(p3p007169)
トスト・クェント(p3p009132)
星灯る水面へ

リプレイ

●無茶振りってんだよそういうのは
『築浅
 ワープポータル徒歩10分
 セキュリティ完備
 バストイレ別
 冷暖房完備
 酒飲み放題
 ↑の条件でダンジョン探しよろしくねぇ♪ ――『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)』
「……ク〇がッ!」
 ローレットにて、こんなクソ条件を渡された情報屋が割とガチ目にカウンター台を蹴り割ったのは記憶にあたらしいところではあるが[誰にとって?]、その無茶振りの当人は既に幻想にはいなかったのである。ハイハイワロワロ。

●EN-ZAI
「この面子で生き残らなければならないのが絶望的だな……」
「温泉!? こ、混浴……!?」
 事あるごとに酒絡みのトラブルに巻き込まれている『侠骨の拳』亘理 義弘(p3p000398)にとって、ぶっちゃけ現状はいつもの大惨事の前触れにすぎなかった。酒のために来たはいいものの混浴の酒風呂と聞いて混乱しきりの『微睡む水底』トスト・クェント(p3p009132)に比べれば、絶望こそすれ落ち着いている辺りが彼の風格と経験則を思わせる。
「お酒の温泉に入れる……と聞いて、ここまで来てしまいました」
「エルくんは子供風呂でお留守番よぉー、ワイン風呂やそういったものとは全く違うから! 本当なら呑めるまで2年契約で自動更新と行きたいところだけど、無理よねぇ」
「エルちゃんは呑めないのに大変ねー。お食事だけでも楽しんでねー?」
 『見たからハムにされた』エル・ウッドランド(p3p006713)はもうちょっと増しな、浴用として老若男女入れそうなタイプの酒風呂を期待していた。のだろうが、残念ながら醸造酒をちょっと混ぜた風呂も子供入れちゃならねえとされているので残当っちゃ残当だ。情報屋は今頃頭を抱えていることだろう。
 アーリアと『お料理しましょ』嶺渡・蘇芳(p3p000520)はそんな彼女の不幸に同情こそすれど具体的な対処までは明言できず。社会的責任と飲酒喫煙は別問題ってばっちゃが言ってた。なおここまでで特に注記はないんだが義弘はブーメランパンツ、トストは普通の海パン、アーリアと蘇芳はそれぞれビキニ、エルはなぜか全身タイツ型のアレを着ていた。多分用意してないとダンジョンが勝手に着せるんだと思う。
「酒池肉林とはこのような状況を表すのでしょうか」
「そ、そうかなぁ……?」
 ちょっと、いや大分違うような気がする。彼岸会 空観(p3p007169)のしみじみとした口調に、トストは大いに疑問を持っていた。酒池ではあるんだけど……なんか思ってたのと違う気がする。空観は行衣(行水用の着物)なのでセーフ。何がかはわからんがギリギリセーフだ。
 イレギュラーズは雰囲気に酔っていた。完全に、この状況を楽しんでいた。
 だが悲しいかな、このダンジョンに訪れているのは良識がある5人~ギリギリ良識をわきまえているアーリアまでの範囲ではないのだ。
『昔々あるところに、酔いどれ御一行様がいました。お兄さんは露天風呂に、お姉さんも露天風呂へ行きました。要はお酒が呑みたかったのです。
 すると、流れてきたのです。前乗りしたは良いものの、はしゃぎ過ぎて滑って転んで頭を強打したアル中が、上流からどんぶらどんぶらと……』
 いきなり流れ始めた不穏極まりないアナウンス(あらすじ)に、一同は身構えた。空観は何が起きたのかわからず首を傾げた。
 この池に流れ込む川はないし、上流も下流もありゃあしねぇハズである。あるが、流れてきたのだ。
 頭に瘤を作った『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)と。
「いいかー貴様ら。飲むとか飲まないとかそんなことを最初に言い出したのは誰なのかしら?」
 既に飲んでいるんだよ!! とヴァレーリヤの上に乗ってふんぞり返った『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)が。
 なお、ヴァレーリヤが何故沈まないかというととんでもなく浮力が強い酒樽に載っているからだ。昔の偉い漫画家さんの知識すげーな。混沌でも通じるぞオイ。
「じ、事故物件……」
「……で、どーしていきなりサスペンスな現場になってるのかしらー?」
 こんな登場の仕方をされれば誰だって驚く。アーリアは絶句し、蘇芳は不思議そうに首を傾げる。義弘はなにか察したようで首を振り、エルとトストは信じられないものを見る目で二人の登場を見守った。
「まあまあ。皆までいうな。お前達の言いたいことはよーーくわかってる」
 エッダはうんうんと頷くと、蘇芳の手に何かを握らせた。
「な? これ、な? おみやげな?」
 賄賂である。誰がどう見たって好意的に考えても賄賂だ。受け取ったからどうということでもないのだが何をしたかったんだ。エッダは下手人ではないだろ。
「その辺見なかったことにしといてやるからよ、一先ず体洗って飲もうぜ。汚れが落ちないとしても体洗って入ったほうがいいだろ」
「わ、私はサウナ! サウナいってきます!」
 義弘はいそいそと体を洗う準備に向かい、エルは巻き添えに遭う可能性を加味して即座にサウナ(謎の箱)へと逃げに転じた。小癪なことを……。
「それはさておき、酒と言えば鬼退治。ふふ、さて……どう退治して頂けるのでしょうか」
 空観は故郷の世界の逸話を引き合いに出し、『退治される側』として興味深げに笑ってみせた。恐らく彼女を退治できる剛の者はいないと思うが(武力的に)、酒の面ではどうなのだろうか? 飄然としているだけに気になるところだ。
「う、うう。お酒、全部私のもの……はっ、名探偵は! 私を殺した犯人は誰ですの!?」
「まあまあ、ヴァレーリヤちゃんも飲みましょう? お酒よ! 私は既に本気の用意ってワケ」
「こんな酒と肴しかない場所で何を躊躇うことがあるというのでありますか。いやいや飲み放題とは景気いいですなガボガボガボガボ」
 完全な自爆でどんぶらこしてきたヴァレーリヤは原因を他所に求めたが、当たり前ながら見つかるわけがない。アーリアはそんな彼女をいい感じに言いくるめて飲ませれば万事うまくいくと分かっている。エッダは放っておいても勝手に盛り上がるしエンジンかかっていくので大丈夫だろう吐くまでは。今すでにスク水姿でバタフライしてるじゃんすげースピードで。
「みんな、おれが知らない、いいお酒の味を知ってるんでしょ~~~~!! 気になる 教えて 教えてください……」
「私達にお酒の飲み方を教えて欲しいんですの? ……いいんですのね?」
 トストは少しお酒を嗜んでから、酒の種類や飲み方の知識がおもったより少ないことに気付いた。この酒の風呂をなんとかするとなると、バリエーションは大事だ。だが、彼はこの選択を後悔することになる。きっと。絶対後悔する。ヴァレーリヤに聞いて良いことってあるか……?

●後悔する(開始30分後のすがた)
「ぐぇ……もう飲めないってば……」
「湯船の底に逃げても無駄ですわー! この酒の量を減らすためにはちょっとやそっと無理しても追いつきませんのよ!」
 トストは海種である。ゆえに水底に沈んだところでどうということはない。だが、これが酒であるということで皮膚からもじわじわ浸透することを加味すると、ずーっと浸かっていられるわけでもない。30分くらい問題ないはずだが、それはシラフならだ。一度気絶してリミッターでも外れたのか、ヴァレーリヤはノリノリでいろんなお酒へと変化させ楽しむよう促してくる。当然つまみも多種多様であるため、実質的に『酒に飽く』ということが起きない。
「ところで、おみやは飲んだでありますか。あれを飲んでいない? 馬鹿な、どうかしているであります。酒を前にして飲まないなんて酒に対する冒涜でありますよ、ぼーとく。わかってるでありますか」
 エッダは先程の賄賂がその辺に留め置かれていることに納得がいっていなかった。あんなにいい酒を賄賂にしてやったというのに、なんて奴らだ。彼女は鼻を鳴らし、大いに憤慨した。したのだが、自分でちゃんと言えているつもりでもだいぶ呂律が回っていない。この状況でまだ勝利の目があると認識している彼女の面の皮は金剛石か何かで出来ているのだろうか。
「も……やば、ちょっと少し……出……」
「逃げるでありますか。その人数でぞろぞろと……いや、何人応援に呼んだでありますか……」
 自身の限界を悟って風呂から上がろうとしたトストを足止めしようとし、しかしエッダの手は空を切った。明後日の方向へむけて話しかける彼女は、多分なにか見てはいけないものを見てしまっている気がする。トストはそそくさとトイレへ向かう。堅実な判断力だ。
「でーきた♪ これで沢山呑めるわぁー♪」
「凄えな、即席で作っちまったのか……」
 その頃、蘇芳は湯桶を改造して大盃を作り上げ、義弘の度肝を抜いていた。物欲しそうな顔の彼に向かって笑顔でそれを渡し、もう一つ作り出すあたり彼女は特上のサービス精神の持ち主なのだというのがわかる。
「そして肴も持ち込んじゃったわー。蒲焼きにー、牛筋煮込みでしょー。濃い目の味付けを、熱燗の大盃でぐいーっと……うふふー♪」
「こっちにはお焦げチップスもある。のんびり飲むか……」
 この二人は酒が好きだけど飲み方をわきまえている。そこそこ呑めるけど下り坂をエンジンブレーキでゴリゴリ減速して降りていくタイプである。上りだろうが下りだろうが突っ込んでいくどこかのアルハラとは違うのである。
「そういやこれ、ビールを念じたら温いままなのかね」
「冷やしたら味も変わるのかしらねー?」
 両者は熱燗も楽しめるタチだが、ぬる燗とか冷酒も楽しみたいと思っていた。日本酒基準の度数だが冷たいのが旨い酒というのもある。それが飲みたい……その願いが奇跡を齎した。両者は酒に口をつけ、顔を見合わせた。
「風呂が冷たくなった様子は微塵もねえのに、口をつけた分だけビールの喉越しと冷たさが……風呂との相性が堪んねえな」
「冷やす手間が省けるのは助かるわー♪ それに味わいもやっぱり結構変わるのね……!」
 義弘の喉をビールの涼やかな味わいが駆け抜ける。ビールよりかなり度数は高いが、それ以外完璧なもの。蘇芳の口に広がったのはキンキンに冷えた冷酒の味わい。恐らく、熱燗のときの酒の味とは別の『冷えて美味い酒』が彼女の舌に乗ったのだろう。
「うふふふー、いくらでも飲めちゃうわー♪」
 蘇芳の「いくらでも」がどれだけのものなのかを、ここにいる者達はあまり知らない。
「ていうか今気づいたけどくーちゃんこんなとこにいていいの? ここは地獄よ?」
「地獄となれば矢張り私の往く道に相違ないのでしょう」
 アーリアはちょっとだけ酔い始めているのだが、空観は手で酒を掬いながら平然と応じている。切った張ったは達人級なれど宴会に関しては……という類例がローレットには2~3人転がっているのでアーリアが不安がるのも当然なのだが、空観の『嗜む程度』の定義も大概おかしいのである。「酔う」という概念を知らぬまま、味を重視して飲んでいるので嗜む程度。あーはいはい成程、それなら大丈夫かーってそれはブレーキが壊れてるんだわ。鬼だからね。そうだね。
「ジョッキで掬って飲むの面倒ねぇ、うーんストロー! これも飲みにくいし……」
 ストローはかなり酔いが回るのが早い。希望ヶ浜だとアーリア先生が缶チューハイをストローでいってる図が思い浮かぶがここは遺跡だ。これでは終わらぬ、と悟った彼女は思い切って潜水した。そして口を開き「これでもう飲み放題」って言いかけて溺れた。水中行動ないのに……。
「ねぇくーちゃん、私今彼岸ってものを見たわ」
「その彼岸は大層心地良さそうですね」
 この世ならざる世界の境目を見たアーリアに、空観は至極真顔で……いや、やや喜色すら感じる視線で応じた。死線に身を投じる人間には、彼岸の手触りは心地いいのだろう。こんな場所で見ていいものではないが。


「そう言えば……サウナって、何分間位入っていれば良いのかな?」
 場所は変わって、ここはサウナの中。
 早々に一人逃げに入ったエルはよくわからないままサウナにいた。イレギュラーズなので多少は耐久力があるのだろうが、さりとて長時間は命に差し障りがある。
 よくわからない……といいつつ限界が来たときに水風呂に飛び込んだ彼女は、そこでトストが這いつくばり、エッダの口端にこびりついた虹の跡を見て取った。あんなところに居たら間違いなく巻き添えを食らう。酒が飲めないのはいいとして、ヨゴレにはなりたくないという気持ちが見て取れる。残念ながらここはクソ遺跡であることを忘れてはならない。そしてサウナにいると腹が減る。
 そうなると肴に手を出さねばならぬわけで、外に出た際、彼女はアーリアが沈むさまを目撃した。
 あかん。彼女は何度めかのサウナダイブにて、サウナ室の隅に設置された石と、壁にかけられた木の枝を見た。
「確か……サウナの中に設置されてある石に水をかけるんだよね? 手元の水とか……ええっとこれかな?」
 エルは近くにあった瓶を手に取る。温冷交代浴で程よく思考がぼやけている彼女は、そのラベルの意味を理解できなかった。

「サウナの中に設置して釣れたバカの毛穴という毛穴からアルコールを摂取させてやるでありま」
 そのちょっと前、持ち込んだ酒をサウナに投げ入れたバカがいた。エッダである。
 賄賂として渡したのに誰も飲みやしねえ。かくなる上はロウリュ水として置くしかねえ。そう考えた彼女はたしかに正しかった。未成年が混じっているという事実さえ加味すれば。
「……あのほどよくあったまったお酒美味しそうでありますなあ」
 そして、その惨劇が起きるやいなやのタイミングで、彼女はその事実に思い至った。「温まった酒が旨そう」という事実。相手に未成年がいるとかじゃなくて。
 倫理観が鉄帝なんだよなあ。

「うおー我慢出来ねえ!! 自分も飲むでありますー!!!」
「えっ何を? これ? お酒???」
「うおおおおお全身で飲むであります!」
 間一髪、エルはサウナから蹴り出されエッダはサウナストーンに酒をぶちまけた。
 これが何を意味するのか、わからぬ者はいないはずだ。

「アーリア、ヴィーシャ、道連れであります」
「……えっ、私も? 聞いていないのだけれど?」
「お医者様に罰ゲームは禁じられてて……」
「うるせぇ! ドクターストップは最下位権限で無視でありますよ!」
 結局。
 酒クズ3名がなかよく罰ゲーム部屋へと謎のベルトコンベアでドナドナされていく様は見ていて非常に興味深いものであったのだが、それはそれとして彼女らの末路は予定調和みたいなノリだったのは否めない。トストがなんで逃れたかというと、エッダの首に吊るされた「私は未成年者をアル中にしかけました」の看板が全てである。
「マヤコフスカヤさん……賑々しい方ですね」
「賑々しいでいいのかな、あれ……?」

成否

成功

MVP

彼岸会 空観(p3p007169)

状態異常

ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)[重傷]
願いの星
アーリア・スピリッツ(p3p004400)[重傷]
キールで乾杯
エッダ・フロールリジ(p3p006270)[重傷]
フロイライン・ファウスト
エル・ウッドランド(p3p006713)[重傷]
閃きの料理人

あとがき

 未成年が混じってたからこういうことになりかねないとは思ってたけど、思ってたんと(悪い意味で)違う……。

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