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シナリオ詳細

<spinning wheel>Brennender Wald

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 深緑が茨に覆われるという事件が発生してから暫く――
 内部への侵入もままならぬ状況だったが、遂に光明が見出された。

 それが、妖精郷の門……アーカンシェルを介した攻略である。

 妖精郷は――魔種ブルーベルの思惑と動きもあるが――茨による被害が無かったのだ。
 そして妖精女王との謁見を経て、大迷宮ヘイムダリオン越しに深緑への道が拓かれた。ヘイムダリオンを経由したのは、直接に深緑との門を繋げば茨の影響が直接に襲い掛かってくる恐れもあったからだ――故にヘイムダリオンを挟む事で被害を避ける。
 ……無論。ヘイムダリオンは神秘の迷宮。
 かの地に足を踏み入れれば何が起こるかは分からぬ――
 それでもマトモに正面から入れない以上はこの道を進むしかないのだ。

「――で。なんだここは?」

 そして。深緑に到達するためのヘイムダリオンへと向かったイレギュラーズは、見た。
 不思議な光景を。迷宮の中であるというのに、空が見える――光景を。
 同時に。眼前には燃え盛る森林地帯が広がっていた。
 ……成程。これが大迷宮ヘイムダリオンという訳だ。
 少し歩けばまるで異世界の如く――目まぐるしく全てが変質する大迷宮。
 此れも真か、それとも虚か。
 ――いや。どうであれ今はこの迷宮を超える事に専念するとしよう。
「気を付けろ。茨は妖精郷までは届いてないが……繋がれた以上、ヘイムダリオンに影響がないとは限らないからな。それと――敵も、だ」
 燃え盛る森林地帯を突き進む。
 ここを無事に超える事が出来れば――深緑のアンテローゼ大聖堂へと繋がっている筈だ。
 かの地へと到達すれば、遂に閉ざされていた深緑の内部へと往ける。
 一体深緑の中枢はどうなっているのか……
 気になる所だ。故にこそ、ここでは仕損じられない。
 警戒しながら歩を進めれば――周囲の火災の原因は分からぬが、しかし炎自体は本物である様に感じられた。熱があり、近付けば明確な熱さをも感じ得る……下手に触れれば火傷してしまうだろうか。
 幸いにして深緑を覆っている『茨』の姿は見えない――が。
「――んっ。待て」
 気付いた。火災の影で、何かが動いた事を。
 ……こんな場所に一般人などいよう筈もない。では、敵か。
 警戒していれば――さて、案の定だ。
 ――唸り声。
 炎の間から姿を現したのは大狼とも言うべき存在。
 その毛並みは炎を纏いて、赤々と照らされている……これは。
「魔物……いや、正確には邪妖精の類か」
 かつて。妖精郷を巡る事件の際に敵として現れていた邪妖精(アンシリーコート)
 妖精達が恐れるモンスターの一種である。
 ……あの時から何者かに操られ、その配下として動いている節はあった、が。
「ここでもか。邪魔するなら容赦は出来んぞ」
 いずれであろうと、此方の歩みを妨害する意図があるのならば――押し通る。
 誰の思惑があろうと。誰の意志が在ろうとも。
 阻まれてなるものか。深緑の幻想種を救ってくれと……受けた依頼があるのなら。

「……参るッ!」

 激突。衝撃――此処に在り。

GMコメント

●依頼達成条件
 全ての敵勢力の撃破

●フィールド
 大迷宮ヘイムダリオン――その一角です。
 皆さんに担当してもらう戦場は火災の発生している森林地帯となります。
 どういう経緯なのかは不明ですが、周囲は倒壊している木が多く、障害物も多いです。そして全てが燃え盛っています――触れれば熱く感じる為、本物の火として考えても良いでしょう。(触れれば多少ダメージがありそうです。ご注意を)

 また、周囲には深緑を覆っている謎の茨の効果は無いようですが……火災の影響で灼熱で満たされており、かなり熱いです。長く戦っているとHPとAPが段々と減少していく効果に見舞われる事でしょう。
 その為、灼熱への耐性などがあると比較的楽に戦えるかと思われます。

●敵戦力
・邪妖精『バル・グラム』×3
 その姿は大狼とも言うべき存在です。
 毛並みが炎の様に赤々としており、周囲の環境のダメージは無いように見受けられます。
 戦場を縦横無尽に駆け抜け、視界の外から攻撃する様な動作を幾度か見せています。
 全体的な性能としては俊敏かつ、強靭な爪や牙を宿しています。反応、回避、機動力、EXAなどに優れている事でしょう。反面、範囲攻撃などの類は宿していないと思われます。

・切裂(A):BSの類はありませんが、攻撃力が比較的高い傾向にあります。
・地獄炎(A):攻撃力は中程度。【火炎】【出血】系列のBSを付与する事があります。
・炎魂(P):HPが40%以下になると発動。あらゆる攻撃で【致命】【火炎】系列のBSが発動する様になり、更に【呪い】が追加発動します。ただしこの状態だと自身のHPが減り続けていく性質を宿している様です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <spinning wheel>Brennender Wald完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年04月05日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サイズ(p3p000319)
カースド妖精鎌
ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
白き寓話
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
紅獣
ゼファー(p3p007625)
風と共に
ヴェルグリーズ(p3p008566)
桜舞の暉剣
グリーフ・ロス(p3p008615)
紅矢の守護者
ニル(p3p009185)
眠らぬ者

リプレイ


 焼ける音が周囲より響き渡る。
 見渡す限りどこまでも続いている焼け野原――いや焼け森林というべき場所か。その中で。
「ここがヘイムダリオン……
 迷宮な筈なのに広いなんて、とってもとっても不思議な場所なのです」
 『おかえりを言う為に』ニル(p3p009185)は保護なる結界を張り巡らせながら微かに滲み出る汗を拭うものだ――熱波が襲い来れば、ただいるだけでも厳しい環境。あまり長々といる訳にはいかないと……見据えるは、木々の間にて動き回る存在。
 ――故に狙いすますは高位の霧氷魔。
 紡ぎあげる冷気が狼らの身へと炸裂し、彼らを追い立てんとして。
「迷宮に試練は付き物だけれどこれは、思っていたより迫力のある光景だね。
 が……ここで溶かされる訳にもいかない。早々に抜けさせてもらおうかな」
「この程度の熱に臆してたら……鍛冶仕事なんて務まらないんで、ねッ!」
 更に狼達を狙うのは『全てを断つ剣』ヴェルグリーズ(p3p008566)に『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)らである。火は鉄に取って親しいものだが……己が切っ先が向けられるのは『此処』ではないのだと。
 故にタイミングを見計らう。ニルの一撃で散った彼らの行く末には――

「さて。止まっていただきましょうか……我々が進む為にも」

 立ちはだかる『抱き止める白』グリーフ・ロス(p3p008615)がいるのだから。
 真正面より引き付ける。名乗り上げる様に狼らの眼前に立ちふさがり、そして本能に感じさせる『希少性』らしき気配を纏わせれば、グリーフへと至る牙があるものだ。しかし、突き立てられようとグリーフは揺らがぬ。
 数多の撃を無効化せんとする加護を宿しているのだから。無論……そんなグリーフであってさえも熱波による影響は少なからず受けるが故に延々とはいかない。だからこそグリーフが狼らを止めた瞬間に、先のヴェルグリーズとサイズが斬撃を成すもの。
『グ、ルルルルッ……!!』
「まーったく。妖精と言う割には一寸、獰猛に過ぎる連中ですこと。
 牙を剥いて……おぉおぉ怖い怖い。怒ったのかしら?」
 が。狼らも只の動物の類ではない、邪妖精の類であればイレギュラーズの攻撃にむしろ敵意を燃え盛らせるものだ――その様子に『雪風』ゼファー(p3p007625)は吐息を一つ零しながら、往く。
 お行儀の悪い連中だ、と。
 ひとふりの槍をその手中にて一回転させながらゼファーは敵を見据え。
「まあ、フェアリーテイルはいつだって残酷ですものね。
 でもね。こちとら貴方達如きに足を止めている暇はないのよ……」
 穿つものだ。グリーフにより動きが淀んでいる個体の身へと。
 さすれば狼らも反撃の一手を紡ぎあげる――鋭利なる爪と牙にて人の身を裂かんとし。
「もう、貴方達少しは落ち着きなさい! こんなにも燃やしちゃって……
 なんとも思わないのかしら! ううっ、ドレスが燃えたりしないといいのだけれど!」
 そこへ『白き寓話』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)は炎の粉が身に降り注がぬか注意しながら一手を放つ。全てを見通す視座を得ながら狙えば、俊敏たる彼らと言えども逃れられぬもの――
 邪魔な木々を諸共吹き飛ばす暴風が放たれる。
 全てを巻き込み天へと掻き挙げるが如き見えぬ質量が――戦場に瞬いた。


 狼の唸り声がする。遠吠えの様にも聞こえるその声色――を『紅獣』ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)は『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)と共に耳にて捉え。
「やれやれ……国や組織が変われど俺らがやることは基本変わらんな……
 練達の次は深緑の国家的危機か――」
「深緑も大変だねぇ。ほとんど全部が眠りにつくなんて、ね?
 しかも正規のルートは使えないから、この迷宮の踏破が必須と来た。
 んーまぁ、良いさ。さ、ルナール先生、火が他所に伝播する前に初手から飛ばすよー!
「初手から全開、了解ルーキス」
 それでも、数多の出来事を乗り越えてきた彼らが今更斯様な声一つに臆すものか――
 背合わせ。動き回る狼の動きの軌跡をその双眸が捉えれば、放たれる一手があるものだ。
 ルーキスの絶大なる魔力が放出され木々を薙ぎ払い。
 壁がなくなり開けた視界あらば狼の動きが見えるもの――
 接近してくる動きをルナールが呼応し、一閃。防の構えから解き穿たれる撃が狼の首筋へと直撃し。
「ひゃー流石旦那様! 愛してるー! じゃ、火力はお任せ☆」
「何時も通りのカバー対応とサポート、これが俺らは安定だな――さぁまだまだ行こうか」
 口笛一つ。ルーナルが己が片割れへと視線を流せば、ルナールはそのままの勢いを継続するものだ。
「動きが鈍り始めている奴から狙っていこう……戦術の基本だ、まずは弱った奴からッ!」
 そして、その間隙を縫うようにサイズが攻撃を集中させるもの。
 こいつらを放置していればいずれ妖精に害を成さんとも限らない……それだけはサイズにとって許しがたい事であった。そうでなくともこの一帯の火災を巻き起こしている原因であるのは間違いなかろう。故に、斬滅せんとする。
 己が懐に在りし短剣を放ちて続けざまに直死の一撃が如き一閃を狼へと――さすれば。
「今です。抑えつけます――私諸共で構いません、彼らを打ち倒しましょう」
 紅く猛々しい一体をグリーフが全霊を持って押しとどめる。
 彼らの宿す熱がグリーフを襲う――それでも数多の加護が全てを抱きとめて。
 煩わしく思わせるものだ。グリーフの存在を、その魂を。
 必ずやその心の臓に牙を届かせんという想いを彼らに抱かせ……
「OK、頼りにさせて貰うわよ。
 なる早で叩き潰して来るから、痛いのは少し我慢して頂戴な?
 ――さあて。そういう訳で、ね。向こうにも覚悟してもらいましょうか。
 これだけお行儀が悪いと――殴るのも心が痛まなくて良い事だし、ね」
「うごくだけで、火の勢いがつよくなりそうです……!
 でもでも、そうはさせません。ニルたちは必ず、先に進むんですから……!」
 そして狼の横っ面をゼファーの渾身が弾き飛ばす。
 速度の儘に身を跳躍させ、一閃。更に終わらず連撃連打――一刻も早くこの戦いを、そしてグリーフの負担を減らしてやらんと往くものである。狼の炎による反撃が紡がれようとも多少であればニルの治癒術が放たれ左程の問題には至らぬ。
 ――戦況は概ねイレギュラーズ側が優勢に進めている、と言った所だろうか。
 グリーフが積極的に狼らの注意を引かんとし、ゼファーやサイズなどが其処を狙い穿つ。狼らに素早く動く機動力があろうとも引き留める事さえ出来ていればその強みは潰せよう――ただ、狼らも凶悪なりし邪妖精の類。
 未だ体力が失われるには一歩足りぬのか、その瞳からイレギュラーズらを滅さんとする意志は在り。
「まったく、お仕置きが必要みたいね。
 ……それにしてもどうしてこんな事をしているのかしら。
 まぁ、こういう風になっちゃってる妖精さんからお返事貰えた事はないのだけれどね……」
「所詮誰かの使い魔か配下にしか過ぎないから、という事かな……
 野生動物以上の知能も感じられないし、彼ら自身に理由はないのだろうね」
 だからこそヴァイスやヴェルグリーズはより強く攻め立てる。ヴァイスは暴風を引き続き顕現させ、時としてグリーフの近くにも着弾させるものだ。グリーフの攻勢を無効化する加護さえあればダメージは通じないが故に――
 そしてヴェルグリーズはそれらの攻勢から身を捩じり、躱さんとする動きに合わせる形で斬撃を紡ぐ。ソレは、敵の根源を斬り捨てんとする概念を宿した一撃だ。
 狼の身を切り裂きその血肉を散らす。
 さすれば如何に強靭なる身を持とうとも狼の身が揺らぎ始めるものだ。
『ガ――ァ、ァア、ア――ッ!』
 刹那。狼『バル・グラム』の毛並みがより赤々と照らし出される。
 それは最期の灯火の様に。周囲の火災に負けぬ程の熱量を醸し出して。
「はは! 最期は閃光の様に……という感じかな?」
「だがそれは追い詰められている証でもある――さぁ」
 あと一息と行こうか、ルーキス。
 そう紡ぐのはルナールである。例え敵の輝きが増そうともなんの関係があろうか。
 変わらぬ。奴らを追い詰め、打ち倒すのみだと――息を合わせて撃を放った。


 灼熱の環境。
 息をすれば喉もやられそうな場がイレギュラーズ達の体力を奪い続けていた。
 ――だが。
「気休めぐらいにはなるものね。
 さぁ……そろそろ決着を付けましょうか。さっさと斃れて頂戴な!」
 その対策をしている者はいる――例えばゼファーだ。
 身に付けしぬいぐるみから発せられる香りが不思議と彼女に力を宿すのだ。苦痛に耐える力を。四方から襲い来る熱波を完全に防ぐことは叶わねど――しかし、確かに一歩を歩む力となる。
 故に、彼女は力の限りに動き続けるのだ。
 その目は常に狼を捉えている。縦横無尽に動きまわらんとしている奴らの姿を捉えて。
「輝き? 今更そんなモノを恐れたりしないわよ。熱ければ近寄れないとでも思ってんの?」
『――!!』
 直後。跳躍して来た狼の動きに合わせ――一撃をぶち込んだ。
 それはいつか見た、師の技にして殺しの業。今の己が全霊を叩き込む、絶技の一閃。
 あぁ――ちょこまか動いてあちこち飛び回って鬱陶しいこと。
「だからこそ奪わせてもらうわ」
 その足を、と。ゼファーが狙うのは奴らの機動力たる足。
 叩き折ってやる。速度に合わせた一撃穿ちて、何かがへし折れる様な音が響き渡れば。
「喰らえ――妖精達を救う邪魔をするというのなら、容赦はしないッ!!」
 瞬間、サイズが往く。
 動きが鈍った刹那を捉え一気に踏み込むのである――狙いは当然狼らの命。
 これ以上足止めされる訳にはいかないのだから。その首筋を掻き斬る斬撃を――此処に。
『ゴ、ガッ――!!』
「ごめんなさいね。でも、私達も必ず此処を通らないといけないの」
「そうです……! だから、通らせてもらうのです……!」
 そしてヴァイスとニルがダメ押しの一撃を紡ぐ。
 魔力の奔流。絶大なる収束が力となり離れて――燃えている森林ごと何もかもを吹き飛ばすのだ。狼の纏う炎よりも鮮烈なる全力を此処に。特にニルの零距離で放つ極撃は跡形もなく狼を消し飛ばす程で……
『グルル――ァア!!』
 それでも残った狼達は諦めぬ。いや諦める以外の道を知らぬのか?
 牙を、炎を輝かせ尚にイレギュラーズ達に立ち向かうのだ――
 撃を放った直後の間隙を突く様にニルへと襲い掛かり爪を喰い込ませ……
「させません。貴方達の相手は、私が務めましょう」
 ――ようとした刹那、グリーフが介入する。
 堅牢たるグリーフは未だ健在。その身に降り注がれた負の要素――例えば炎や出血の災いは纏わりついているが為に無傷ではないが。それでも動けるだけの体力は未だ在り、故にこそ決死の盾とならんと動き続けるものだ。
 それになにより。
「申し訳ありませんが、私も深緑の領地を預かる身です」
 今、あそこにいる者達は無事だろうか。
 想えばこそ急がねばならぬ。だから。
「道を開けさせていただきます」
 その道を阻むというのなら――容赦は出来ぬ。
 傷つけば傷つくほどにいざとなれば『ソレ』が力ともなるのだから。
 ……復讐の権能。あまり、嬉しい力ではありませんが。
「何かを護るためには時に有用な力です」
「ああ全く。『護る』事は多彩多様だ――
 人を守護する事もそうであれば、敵を倒す事もまた『護る』という事にも繋がる」
 そしてグリーフが引き留める狼へと、ルナールの撃が再び紡がれた。
 絶好のタイミングでの支援。カバーと成し、反撃に転じんとした狼らの出鼻を挫き。
「あっはっは残念! 距離を取ろうって? 逃がさないさ! 君達はここで終わりだ!」
「流石、うちの奥さん。追撃の機を見るに富んでる――やるときは徹底してるな!」
 直後にはルーキスが敵のみを穿つ彼方からの呼び声を、此処に。
 更にはグリーフやルナールによる撃から逃れんとした動きを先読みし狙撃もしよう。血を好む『何か』達が顕現へと至れば、狼にも劣らぬ獰猛さと貪欲さで執拗に狙いを定めて食い破らんとし。
 そして狼――邪妖精達は追い詰められていく。
 いずれもが炎の魂を身に宿し敵を排さんと攻撃を続けていくが――
 それ以上に、狼達の傷が増えていく方が早いのだ。
 決して崩れぬグリーフが最前線で牙を受け止め。ルナールとルーキスが巧みなる連携により息を付かせぬ連撃を。木の陰に逃げ込まんとしてもヴァイスによる絶大なる暴風が纏めて吹き飛ばし、そこからも逃げんとすればサイズによる斬撃一つ。
 ダメージを与えてもいざとなればニルが治癒を行っていく形だ――
 狼達の攻勢の息が付き始めており。
『ガ、ァ……! グルルルルッ!!』
「どれだけの力を宿していたとしても、動物の知性だけでは限界もあるものだ、ね」
 そして――威嚇の唸り声を鳴らす狼へとヴェルグリーズが相対した。
 連中は一匹一匹が大狼とも言うべきサイズを兼ね揃えており俊敏にして、その爪や牙も強靭であった。その上にこの環境に適応しうる身を宿しているなど――かなり強い個体であったと言えるだろう。
 それでもイレギュラーズ達は各々が長所を活かし知恵をもってして立ち向かった。
 過酷なる環境に対する備えをした者多数。
 ヴェルグリーズに至っては火炎の力自体を無効化する術も宿している――
 その上で攻撃を可能な限り集中させて効率よく敵を排していたのだ。
 狼達の息があがり、限界が近いのは決して偶然などではない。
 イレギュラーズ達の狙い通りなのだ。
「進ませてもらうよ。俺達の目的地は此処じゃない――」
 もっともっと奥なのだからと。
 狼が跳躍する。口を開き牙を突き立てんとして。
 故に交差。
 姿勢を低く、地を這うように跳んだヴェルグリーズの一撃は――万象を穿ち断つ剣の一閃。
 両断する。大狼の身を、邪妖精の身を――打ち倒したのだ。
「ふぅ、ふぅ。これでおわり、ですね?
 けがをした人は、いますか? すぐに癒すのです!」
 であればと。ニルがすぐさまに皆の状況を確認する。
 先にヴェルグリーズが述べたように――ニルたちは、先に向かわないといけないのです。
 ここで戦うために来たのではない。ここで終わりではないのだ、だからと。
「いたいのいたいの飛んでけ、です」
 すぐに、進んでいけるようにとニルは治癒の力を紡ぐ。
 ……ニル自体はすぐに痛いのも疲れたのもなくなっちゃうので大丈夫ですから、と。
 他の者の治癒を優先するのだ。
「ふむ。戦闘が終わったらこの世界の光景が消えるかと思ったけれど……そうではないみたいだね。ただ、彼らが消えればもう邪魔をしてくる連中もいないだろうし……もう少し、と言った所かな?」
 同時。ヴェルグリーズは周囲を窺う――
 どうにもこの地帯は――燃えている事はともあれ――元々あった空間なのか、邪妖精が朽ち果てても存在し続けていた。ならばもう少し出口を探す必要がありそうだ……まぁ、彼の言った通り邪魔さえいなければきっと出口はそう遠くない内に見つかる事だろう。
「さて迷宮とは言うけど次は何があるんだろうね?
 宝物とかあったりするのかな? それとも癒しの泉でも?
 迷宮なのに空まで見えるなんでもありだ――報酬もなんでもあり、がいいよねぇ」
「……宝物とかあれば触媒にも出来る可能性はあるなぁ。
 ただ、持っては帰れないぞ多分な? だからあまり目を輝かせるといけないぞ?」
 そしてルーキスとルナールはこの後の算段を。
 少しばかり息を整え道を進むのだ。
 もしかすれば何かあるかもしれぬ迷宮の神秘を想像しながら……
「うまく行けばすぐにアンテローゼ大聖堂、か? ……取り残された妖精達は無事だろうか」
「……さて。一体どのような状況なのでしょうね。やはり茨が全てを覆っているでしょうか」
 そしてサイズやグリーフが思い起こすは現在の深緑の状況。
 ヘイムダリオンを超えた先は順当ならばアンテローゼ大聖堂に繋がっている筈だ。
 そこから見えてくる深緑の様子とは――はたして如何に紡がれるものか。

「さ。そろそろ行きましょうか――こんな所に留まってると肌にも悪いわ。
 此の仕事の結果云々で漸く、あれこれが少しは解決する足掛かりになりそうですからね。
 ……希望があると信じて進んでいきましょ」

 直後。言うはゼファーである。
 額に滲む汗を拭いながらも彼女は思考する。あぁ――さっさと片付けて熱いシャワーでも浴びたい気分だ、が。この仕事の先にあるものを想えばこそ、もう少しばかりの辛抱だと己に言い聞かせて。
 進もう。この大迷宮を踏破した先にある、大自然の街中へと。
 アンテローゼ大聖堂へと――突き進んでいくのだ。

成否

成功

MVP

グリーフ・ロス(p3p008615)
紅矢の守護者

状態異常

なし

あとがき

 依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ!
 見事ヘイムダリオンの一角は突破できました。そして続くは深緑国内へ……
 アンテローゼ大聖堂の更に先、ファルカウはどうなっているのでしょう。

 ありがとうございました。

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