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シナリオ詳細

最強最速ワイバーンGP!

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 覇竜へと至ったローレットイレギュラーズの変化。
 亜竜種が加わったことも大きいが、一部メンバーがワイバーンを駆るようになったことがその一つ。
 覇竜、フリアノン某所にはワイバーン用の厩舎、牧場が設置されている場所も存在する。
 先日、イレギュラーズはこの場で、卵から還ったばかりの幼体を観察したり、ワイバーンの調教を行ったり、世話をしたりした。それをきっかけに、実際に手懐けて現在同行させている者もいるのだとか。
 このイベントにベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)も参加し、ワイバーンと触れ合った。
 その後少しして、ベネディクトが思い立ったのは……。
「最強最速ワイバーンGPなんてどうだろうか」
「それ、いいな」
「興味あります。どんなGPになるでしょうか」
 あまりにも唐突な思い立ちではあったが、それを聞いていた ルカ・ガンビーノ (p3p007268)、リースリット・エウリア・ファーレル (p3p001984)など、近場のイレギュラーズ達は思った以上に乗り気で。
「ワイバーンのレースか、どんなイベントになるかな」
「やるなら、私も参加するよ、楽しみだね!」
 スティア・エイル・ヴァークライト (p3p001034)や笹木 花丸 (p3p008689)も、まだ企画段階であるこのイベント参加への意欲を見せていた。

 ベネディクトを主として、ワイバーンによるレースの準備が進む。
 徐々に参加者が集まり、メンバー達は所持、もしくは借りたワイバーンを自在に飛行できるよう馴らす。
「何処まで飛べるんだ、お前は」
 秋月 誠吾 (p3p007127)がその最中、ワイバーンに問う。クアアアと声を上げるワイバーンは一緒にいればいるほど愛らしく感じられる。
「よろしくね、一緒にがんばろー!」
 フラン・ヴィラネル (p3p006816)も優しく声をかけると、ワイバーンは彼女へと顔を摺り寄せる。皆、ワイバーンとの親密度を少しずつ高めていたようだ。

 レース当日。
 イレギュラーズを乗せたワイバーン達も気力充実してレースに臨む。もちろん、騎乗するイレギュラーズも戦意を高め、最初にゴールを目指す。
 今回は、牧場関係者及び、ローレット所属外の亜竜種達がコースの警備に当たってくれる。
「亜竜種の方々には感謝ですね」
「ああ、彼らの為にも盛り上げねばな」
 タイム (p3p007854)の言葉に、國定 天川 (p3p010201)が同意する。
 10頭のワイバーンが並ぶ牧場のスタート地点。
 皆、一通りコースを巡ってこの場所へと戻ってくる。
「負けないよ」
 皆に、ワイバーンとの絆を、マルク・シリング (p3p001309)は見せつける構え。
 皆、口々にレースへの気構えを語り合う中、スタートを知らせるピストルが天高く撃ち上げられたのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
 今回はリクエストシナリオのご依頼、ありがとうございます!

●目的
 ワイバーンレース覇竜カップに参加する

●シナリオ概要
 リプレイは事前準備、レースの描写、事後とに分けて描写予定です。

 自身の所有ワイバーンでレースに参加できます。
 未所有の方は、借りることも可能ですが、基本的には自身所有の方が判定は有利となります。また、レース出場に騎乗スキルは不要ですが、ある方が有利に働きます。
 3日ほど準備期間があり、ワイバーンとの交流、馴らし飛行、コースの下見等が行えます。

 レース当日、出場者は3種のコースを順に進むことになります。

・天空コース:スタート直後、20体ものワイバーンがいる為、高低差も生かしつつ、前方を目指します。

・アスレチックコース:主に山間部のコースで、トンネル、渓流、岩場間のチェックポイントを通過しつつ、先を目指します。
 チェックポイントは垂直面で判定され、いずれも数体が同時に通過できる広さと幅がありますので、よほどのせめぎ合いでも仕掛けなければ、ぶつかることはないでしょう。

・レーシングコース:ゴール前の牧場があります。低空飛行しつつ、ゴールを目指します。ゴールも面で判定される為、高度を調整して突っ込む形となるでしょう。

 レース後は互いの健闘を讃え合い、騎乗したワイバーンを労うといいでしょう。
(借りていた方は正規の手続きでの購入さえあれば、この場で購入したことにしてもOKです)

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 最強最速ワイバーンGP!完了
  • GM名なちゅい
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年03月31日 22時05分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
秋月 誠吾(p3p007127)
虹を心にかけて
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き
タイム(p3p007854)
女の子は強いから
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
笹木 花丸(p3p008689)
堅牢彩華
國定 天川(p3p010201)
決意の復讐者

リプレイ


 覇竜某所の牧場。
「「レースだ!」」
 『純白の聖乙女』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)と『青と翠の謡い手』フラン・ヴィラネル(p3p006816)が同時に声を上げる。
 ワイバーンレース覇竜カップ開催の為、メンバーは色々動いていたのだ。
「最初はワイバーンを調教するのも一苦労って話だったのに――何だか凄い話だよね?」
 こうしてレースが実現できるようなった状況に、『可能性を連れたなら』笹木 花丸(p3p008689)も『紅炎の勇者』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)も驚きつつも、心躍らせていた。
「唐突にGPだ!ていい出した時はどうしたのかと思ったが、いざ参加するとなると楽しいな」
 『虹を心にかけて』秋月 誠吾(p3p007127)は仲間と準備を整えるイベントを素直に楽しむ構えだ。
「レース開催まで来れたは良いが、この後の事もきっちりこなさねばな」
 主として企画に動いていた『竜撃の』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)だが、さらに次へと繋げられるようイベントを成功させるべく最善を尽くす。
 そんなイベントに参加を決めたメンバー達。
「ワイバーンは敵にしかなれないのかなぁって思ってたから、こうやって懐いてくれて嬉しいなぁ」
「私と愛竜のスティアワンダーの絆の強さをみせなきゃね!」
 愛リトルワイバーン略して愛バーンと戯れるフラン。スティアもやるからには全力で勝利をとレース勝利に意気込みを見せる。
「まさか自分の人生でワイバーンに乗るなんてことがあるとは思わなかったな……」
 元刑事の経歴を持つ『求道の復讐者』國定 天川(p3p010201)も、自身のリトルワイバーンを引き連れる。
「だがやるからには勝つぜ! 行くぞ! ハリー!」
 名前は某刑事映画からとのこと。天川の目標はでっかく覇竜カップ優勝である。
「がんばろうね、マルクブルボン号」
 マルク・シリング(p3p001309)は騎乗技術の為か、陸鮫のリク君と共に同乗する。
「僕は、君と勝ちたい。君はもう一人のパートナーだ」
「俺もレースに参加する以上、盛り上げる為にも全力でレースを勝ちに行く。宜しく頼むぞ」
 高く嘶いて返事するマルクブルボン号。傍には、イベントを盛り上げるべく全力でレース勝利を目指すベネディクトと彼のワイバーン、マチカネポメキタルがいる。
「最強最速ワイバーンGPを勝つのはどんなワイバーンか知ってるか? 最も格好いいワイバーンが勝つのさ!」
 そう豪語する『竜撃』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)の愛竜はミスタージービー。
 皆、どこかで聞いた名であるのは、気のせいだろう。
「へぇ~、ワイバーンって結構人に懐くものなのねえ。う~んわくわくしちゃう!」
 『揺れずの聖域』タイム(p3p007854)は仲間とワイバーンの交流を見つめ、放牧されたワイバーンを見回す。
「……確かに最近ローレットで流行ではありましたけど、皆もう自分のワイバーンを手に入れてるんですね」
 同じく、牧場へと視線をやるリースリットは、とあるタイニーワイバーンに目をつける。
「――まず、『キングファーレル』で」
 とりあえず、レースに当たっては登録名が必須ということで、慌ただしくも時間がないながらも、リースリットはスティアへと相談した名で申請していた。


 レースまで与えられた猶予は3日間。
「それじゃあ行くよ、『フランバクシンオー』!」
 フランは早速、軽くコースの下見と、呼びかけたワイバーンと飛翔する。
 飛びながら、愛竜の好きな走り方、癖を掴みたいとフランは様々な飛行法も試す。
「一番にだって勿論なりたいけど、何より最高のパートナーになりたいんだもん!」
 フランは動物疎通でコミュニケーションをはかり、お肉が大好きと聞き出していた。
「よろしくね。早速だけどあなたの為に名前を考えてきたの」
 タイムも先程、見定めたワイバーンを引き連れていて。
「その名も! †アルティメットシャイニングスターネオエターナルタイム†!!」
 笑顔のタイム曰く、†はカッコいいから囲んでみたそうで、力強くキラキラして素敵な名でしょうとネームプレートまで用意する力の入れよう……なのだが。
「……ん~? なんかしょっぱい顔してる? 気のせいかな?」
 当のワイバーンは難色を示していたようだ。
「ブラック、優勝を目指して頑張るよっ!」
 花丸も相棒ハナマルブラックと馴らし飛行、コースの下見を行う。
 しっかりと信頼関係を築けるよう、両社は飛行中も休憩中も交流を挟む。
 大事なのは本番。花丸はそれを念頭に置き、入れ込みすぎぬよう注意していた。
 スティアもまたコースの下見がてらに飛行し、実際に加速のタイミングをイメージする。
「体に覚えさせて本番に活かさないと!」
 とはいえ、スティアもワイバーン、スティアワンダーに無理させぬよう適度に休息をとる。
「ご飯とかは何が好きかな? 果物がいい?」
 スティアは様々な食べ物を与える中、瑞々しい食べ物は肉、果物問わず喜んで食べてくれていた。
 そんな中、メンバー達はワイバーンとの触れ合いに様々な問題も抱えて。
「馬なら多少は覚えもなくは無いのですが、ワイバーンともなると……」
 不安を覚えながらも、リースリットはキングファーレルと空を舞う。
 他メンバー同様、慣らし飛行に下見。その間に、飛び方のコツを掴もうとする。
「吹き荒ぶ風の様にも優しく吹きゆく風の様に飛べるこの子には……風の名が似合う」
 そこで、ふと自らの意志で思いついた名前を、リースリットは口にする。
「……シルフィス。貴方の名前、決めました」
 その名を、タイニーワイバーンも快く受け入れていた。
 続いて、天川はというと、残念そうにワイバーン、ハリーへと語り掛ける。
「まず残念な知らせだ。俺には騎乗スキルはない!」
 己に最大限ハリーを活かす発揮こそできず、飛行することもできないが、天川は勝つつもりでいる。
「陸路には陸路の利点もある! やってやろうぜ!」
 皆、空を飛ぶからこそ、陸路で如何にスムーズに進めるかといったルートを決めるべく、天川は入念に下見する。
 マルクもまた、特別な騎乗技術はないようだったが。
「けれど、準備と戦術で、君と1位を目指すよ」
 コースを流し、距離感を把握するなどは他メンバーと一緒だったが、マルクが重点を置いていたのは中盤、山間部のアスレチックコース。
(3コースに渡るレースは長丁場)
 このコースを全力で翔け抜ける為には、マルクブルボンの疲労を最小限に抑える騎乗が必要とみていた。
 理想となる線を描いて飛行し、翼に負荷をかけないなど疲労も小さく、短い距離で進むことのできるコース取りをじっくりと検証し、そのレコードラインを外れぬよう飛翔できるよう、マルクはアスレチックコースを何度も反復していた。
 誠吾はワイバーンと呼吸を合わせて軽く飛行する。
 コースを下見しながら、高低差、スピードに変化を付け、カーブをつけるなど、飛び方を工夫していたのだが。
「しかし……結構酔うな。この世界に酔い止めってあるのか?」
 今のうちに慣れておかねば、本番が苦しくなると、軽く吐き気を感じてしまう誠吾は、後で知人の幻想種女性に薬がないか尋ねることにしていた。
 ルカはというと、じゃじゃ馬なワイバーンを駆っていたようだ。
 ヌルい騎乗を行えばすぐ、騎乗するミスタージービーから地面へと叩き落されてしまう。
「ったく、お前は乱暴で負けず嫌いで我儘で……。とんでもねえワイバーンだよ」
 正当性なく、負けん気だけで落とそうとしてくるミスタージービーに対し、ルカは負けじとねじ伏せようとする。
 まるで喧嘩のような練習を繰り返し、ルカはワイバーンとの信頼関係を強める。
「だが、相棒にするには最高だ。俺の相棒はお前以外あり得ねえ」
 最高のパートナーと疑わぬワイバーンの首を撫で、ルカは誓う。
「獲るぜ、GP」
 ギャウと、ミスタージービーも力強く鳴く。
 もちろん、他メンバー達だって負けてはいない。
 一通り練習を終えた各メンバー。タイムやスティアのように性格や好みの把握、互いの希望を察する程度に仲良くと寝食まで一緒にする者も。
 フランは飛行を続けたワイバーンを労い、体中をブラッシングする。天川はさらにマッサージなども行っていた。
「絶対、君を勝たせてみせる」
 マルクは十分な餌を与えたワイバーンが寝静まった後も、机上で優れたラインを模索するなど思案していた。
「3日間もあるんだ。俺達はまだまだお互いの事を知らないし、交流を深めよう」
 ベネディクトは翌朝から、晩まで厩舎でワイバーンと寝泊まりする。主催として仕事をこなそうと考えたのだろう。
 合わせ、彼は飼育の手伝いまで買って出ており、自身のマキカネポメキタルだけでなく、他のワイバーンまで性格や得意とする飛行など把握する。
 もちろん、空いた時間はワイバーンに乗って満足する程度に慣らし飛行も。
「明日のレースは宜しく頼むぞ、ポメキタル」
 下見はばっちり。ベネディクトも万全を期してレースに臨む。


 3日経ち、グランプリ当日。
「――来たよ、花丸ちゃん達のお祭りがっ!」
 レースに勝利すべく、投資を燃やす花丸はハナマルブラックへと声をかける。
 勝つのが一番だが、それ以上にブラックが最後まで元気に飛び続けられるように、そう願って。
「怪我に気を付けて、このレースを一緒に楽しもう。ねっ、ブラック?」
 レース前に気合を入れる花丸ペア。
 ルカペアも意気揚々と存在感を示す。
「優勝するのは俺と、俺の愛バーンのミスタージービーだ!」
 今の俺は騎乗のエキスパートだと、ルカは傷も残る体で大見得を切る。
 対し、タイムペアは。
「わたしと†アルティメットシャイニングスターネオエターナルタイム†ちゃんなら優勝間違いなし!」
 みっちりと共に過ごした……のだが、タイムに呼ばれたワイバーンは素知らぬ顔。
「ねっ? こっち向いて? ねえ~?」
 しかしながら、すでにスタートは間近。
 スタート担当の亜竜種の号砲が響き、ワイバーンが前方へと飛び出す。
「先手必勝!」
 真っ先に前へと出たのはフランだ。
 彼女の作戦は――大逃げ。スタートから一気に加速して他メンバーから距離をとる。
「いっぱいいるなら、それを全部振り切っちゃえばいい!」
 今日のフランは猛獣使いでレーサー。思いっきりぶっ飛ばす。
「よし。そろそろ出番だな『セーゴスカーレット』」
 改めて、人前でワイバーンに自分の名前を付けたことを誠吾は意識し、恥ずかしさを感じたが、今更だと割り切って。
「F1とかだと前の車のスリップストリームについて……ってやるんだが、ワイバーンでも一緒だろ」
 作戦は先行。逃げるフランを追って飛ぶ。誠吾はラストに加速して一気に抜く算段だ。
「ハリー! 楽しんでいうこうぜ!」
 天川は地上を駆け、上空のワイバーンと歩調を合わせる。
 少し後方は固まっており、位置取りを配慮しているようだ。
「ここでちょっとでもモタついてくれりゃあいいが。ハリー、無理はするなよ。急がば回れの精神だ」
 前方はすでに先に向かっており、天川も下見で想定した最短ルートで追いかける。
 そこから少し離れて、中団。
 力を温存するルカ。慎重に進むリースリット。
(相手の出方を窺いながら、翼を休めておかないとね)
 後程、差すことを考え、スティアは騎乗するスティアワンダーの体力消耗を抑える。
 その後ろにマルク。スリップストリームに入ったかれもまた力の温存をはかっている。
 さらに後方に花丸、ベネディクト。
 2人は後方……他ワイバーンとぶつからぬ、皆の位置が確認できる場所に位置取る。
 感覚を高め、広域を見渡す花丸はできるだけ翼をため、終盤にスパートを仕掛ける予定だ。
「皆のワイバーンも十分な準備が整っている様だな」
 前方を観察するベネディクトもまた負けてはいられないと、後半から仕掛ける作戦だ。
 さて、タイムは開幕から全力で行こうと考えていたのだが、大きく出遅れてしまった。
「どうして?ねえ!†アルティメットシャイニングスターネオエターナルタイム†ちゃん!」
 なんとか飛んでくれるようにはなったが、ワイバーンはつんとした態度で滅茶苦茶に飛び回っていた。


 レースは中盤。舞台は山間部のアスレチックコースへと移行する。
 先頭はフラン。トンネルや渓流、岩場にぶつかりかけて多少バランスが崩れても、ギフトの蔦でできた特製の手綱でコントロール。そして、実際ぶつかる分は茨の鎧で衝撃をガードする。
 もし、落ちかけた人がいれば、蔦での救出も考えるが、フランは先頭。今は進むのみ。
 だが、オーバーペースだったからか、スピードが落ちてしまう。
 そのフランを先行組が追い抜く。
「どうどう、落ち着け……」
 誠吾は傍を飛ぶメンバーが気になりながらも、愛竜を宥めて加速を抑え
、機を窺う。
 そこで、順位を上げてきたマルク。錬数を繰り返した甲斐もあり、スムーズな飛行ができていたのだ。
 スタミナを使うことなく、レコードラインを翔け抜けるマルクを、後方から少しずつ前に出るルカが追う。
 力を温存するルカはスピードを抑え、大回りしないよう飛距離の短いコースでチェックポイントを通過していく。
「あ、ほらほらここ! 一昨日も来たけど綺麗だよね」
 フランは順位を落としたフランだが、ワイバーンを元気づけながら進む。
 真下を天川が猛追する。
「ここで差を詰めたい所だな! どう考えても飛べない俺達は不利だ。だが諦めるな! 最善を尽くそう!」
 山間部の起伏を、ワイバーンで三角蹴りの要領で蹴って加速し、突き進む。渓流でハリーの水分を補給、足場の岩場でダッシュしつつも、心理的に飛行し辛いトンネルで順位を着々と上げていたのだ。
 その後ろ、スティアも岩や地面にぶつからぬよう、少し速度を上げる。
 コース取りは丁寧に行い、徐々にペースアップ。スティアも先団を捉える程距離を詰めていた。
 続き、リースリットはコースが変わろうとも、風を読み、風の声を聴き、風の道を往く。シルフィスも心地よく空中を舞う。
 後続はベネディクト、そして、花丸。
 逸る気持ちを抑え、終盤のスパートに備える花丸は、出来る限り後ろからプレッシャーをかけようと、鋭い視線を投げかけたり、他のワイバーンに迫ったりと、皆が満足に進めぬよう画策する。
 大きく遅れていたタイムは、はっと何かを思いついて。
「名前を呼ぶ度に不機嫌そうに唸る……? も、も、もしかして名前がイヤだった!?」
 実はちょっと呼びにくいな~と思っていたタイムは、素直に謝る。
「ごめんね、1人だけ張り切り過ぎちゃったね」
 そこで、タイムは先程まで読んでいた名前からいくつか音を選んで。
「『アルルム』ちゃんはどう?」
 それに応じ、瞳がきゅるんとなったアルルムがようやく安定して飛行し始める。
(うん、わたし達、やっと心が繋がったんだわ)
 ここから、タイムの猛追が始まる。
「全員ぶち抜け、マチカドポメキタル!」
 その少し前、ベネディクトもまたアスレチック後半に差し掛かって仕掛ける。
「最後に勝つのは──俺達だ!」 
 後方から続々と迫ってくるワイバーン。マルクも愛竜に塩にぎりを食べさせて栄養補給し、ラストスパートだ。


 再び、牧場に戻ってくるワイバーン達。
 ただ、ゴール地点となるのはレーシングコース。訓練にも使う場所で速度を出すことができる。
 皆、力を尽くす中、後ろから見ていくと。
「一緒に奇跡を起こすのよ! 目指せ優勝!」
 気持ちだけはPPP発動と気合を入れるタイムは追い込みをかけるが、少しばかり距離が離れすぎていたか。
「あと少しだ。終わったら沢山餌やるからもう少し頑張ってくれな。俺のスカーレット」
 低空を飛び、誠吾は風の抵抗を受けぬよう身を屈め、前との距離を縮めようとする。
(馬に乗ったときもこんな感じなんだろうか? 動物と一体になるって、案外悪くない)
 風と一体になるのは近場のリースリットも。風精の声に耳を傾け、最も負担が軽く、速く飛べる風を見つけてそれに乗る。
「おし! ここまでくりゃぁ飛べるかどうかは関係ねぇ! 突っ込め!」
「いっくよー!」
 地上からは天川が前のめりに加速して前を追う。フランも能力を高めて最後のコースに臨む。
 皆、加速し、順位も入れ替わりをみせる中、トップ争いも苛烈だ。
「一気に勝負を仕掛けるよっ!」
 残るブラックのスタミナと、スピードを考え、花丸が猛追する。
 傍には同じく一気に追いかけるベネディクト。スティアも前方を差すべく全力でラストスパート。
 苦しいのは皆同じ。だからこそ、スティアは自らの活力をスティアワンダーに分け与え、不屈の精神、全力全開で勝利をもぎ取りに向かう。
「僕に構うな! 全力で翔べ、マルクブルボン!」
 騎竜と一体化するよう身を低くしたマルク。トップスピードを出すワイバーンから落竜せぬよう必死でしがみつく。
 ただ、このレース、執念はルカが勝っていた。
「格好いい勝ち方ってのは何だ? 俺にとっては……最後に全員ぶち抜く事だ!!」
 加速するメンバーに追い抜かれてなお、やり合う以上は真剣に全力だと
るかは温存していたスタミナを燃やし尽くし、直線一気に駆け抜ける。
「いくぜミスタージービー!! 全部置き去りにして勝つぞ!!」
 見事に先団を突っ切り、ルカはミスタージービーと共に勝利をもぎ取って見せたのだった。


 全員がゴールし、ワイバーンを降りて。
「ふえぇ、どうなる事かと思ったけど楽しかった! みんなもお疲れ様ー!」
 開口一番、安堵の声を漏らすタイム。傍では、フランが愛竜フランバクシンオーの全身をマッサージし、早速労っていた。
「1番を目指したやつは、全員格好いいに決まってる」
 ルカは皆の健闘を称えてから、自身の愛竜へと寄り添って。
「よくやったぜ、相棒!」
「それでは、勝者と最後にこのレースに参加してくれた者に大きな拍手を!」
 ベネディクトの呼びかけを受け、皆から惜しみない拍手がルカとミスタージービーへと送られる。警戒を行っていた亜竜種達も割れんばかりの拍手が起こっていた。
「流石だな! 今回は楽しませてもらった。またやろうぜ!」
「思考錯誤が進めば、まだまだ変化が起きるかもしれませんね、このレース……」
 仲間と共に優勝者を祝福する天川。
 同じくワイバーンを労っていたリースリットは、まだまだこのレース自体に新たな展開があるかもしれないと考えていたようだ。
「皆には盛り上げてくれた礼として、ささやかながら食事を用意してある」
 ベネディクトは主催として、参加したメンバーへと最大限のもてなしをと手を回していた。もちろん、ワイバーンにも里の亜竜種達へと相談の上、ゆっくりできるようにしてくれているとのこと。
「皆でお疲れ会しよー!」
 楽し気に叫ぶフランに、皆笑顔を浮かべて頷く。
「皆とのお疲れ様会。健闘を讃え合わないとね」
 スティアが皆に声を掛け合っている傍ら、誠吾は作ってきた弁当を仲間達へと振舞う。酒がないのはご愛敬だが、なかなかに好評だったようだ。
「負けちゃったけど、それはそれっ! ブラック、今日は一緒に飛んでくれてありがとね?」
 花丸が礼を告げると、会に同席していたハナマルブラックは嬉しそうに声を上げ、ご馳走を口にしていた。
 亜竜種らがご馳走を持ち寄る合間に、誠吾はセイゴスカーレットに餌を沢山食べさせる。
 彼は落ち着いたところで、ベネディクトの使い魔ポメ太郎がそこまでワイバーンに乗せてもらえなかったことに、不満げな表情をしていて。
「俺の竜で良ければ乗せてやるよ」
 後でまた改めてと誠吾が約束すると、ポメ太郎は嬉しそうに鳴いていたのだった。

成否

成功

MVP

ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ公開です。楽しく執筆させていただきました。
 以下、順位です。優勝者にMVPもお送りしております。
 勝負は時の運もあります。
 以下の順位は今回の成果であって、これが実力とは限りませんのでご了承くださいませ。

4  スティア(スティアワンダー)
2  マルク (マルクブルボン)
6  リースリット(キングファーレル(シルフィス))
7  フラン(フランバクシンオー)
9  誠吾 (セーゴスカーレット)
1  ルカ (ミスタージービー)
10 タイム (†アルティメットシャイニングスターネオエターナルタイム†(アルルム))
3  ベネディクト(マチカドポメキタル)
5  花丸(ハナマルブラック)
8  天川(ハリー)

 一つ、訂正です。
 事前は亜竜種も参加を検討しておりましたが、今回はイレギュラーズのみということで10頭のみの参加としました。
 GMコメントの20頭はその名残で、修正ミスです。正しくは参加された皆様10頭のみです。お詫びして訂正いたします。

 余談ですが、アクアベルがワイバーンに乗るならアクアテイオー、オリヴィアならエアオリヴィアとかでしょうか(笑)。
 改めて、リクエスト、並びにご参加いただき、ありがとうございました!

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