シナリオ詳細
ホワイトデーウィズユー
オープニング
●白きこの日は春めいて
たとえばここに真っ赤な苺があったとして、君はそれをどうするだろう。
まずはひとくち食べてしまうだろう。そうだね、でも少し待ってほしい。
今日はなんの日だろうね。
思い当たらないならそれでもいい。
もしかしたら誰かの記念日かもしれない、それは素敵なことだ。ぜひ祝ってほしい。
それはそれとして、今日が何の日か、ウォーカーなら知っているかもしれないね。
あるいは情報通のあの人ならご存知かもしれないね。
もしかすると風のうわさで聞いたことがあるかもしれないよ。
今日はホワイトデー、グラオ・クローネのお返しをする日。
君はどうしたい?
異郷のお祭りの雰囲気だけ楽しむのもいいだろう。
誰かへ日頃の感謝を伝えるのもいいだろう。
もちろんグラオ・クローネのお返しをしたっていい。
町にはお菓子があふれ、あなたを誘惑する。
ほら桃のプリン。薄荷のマシュマロ。ホワイトチョコのかかったボーロ。お手製のアップルパイ。どれもきらきら輝いている。もちろん、苺もね。
- ホワイトデーウィズユー完了
- GM名赤白みどり
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2022年03月27日 22時05分
- 参加人数11/30人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 11 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(11人)
リプレイ
「グラオ・クローネからもう一ヶ月経つんだねぇ」
重いしがらみから逃れることができたヨタカは晴れやかな笑みを浮かべた。
「でも、早いながらも…一日一日が大切な日で…今日こうやってこの日を迎えられて良かったなぁって心から思う…。」
「うん、パパさんもお父さんも無事でよかった」
ラスヴェートが小さな白い包みを抱えて微笑んだ。
「それはなんだい、ラス?」
「あのねお父さんたちみたいにすごいのは作れないから、苺をチョコレートで包んだものにしてみたんだ」
「すてきじゃないか、小鳥もそう思うだろぅ?」
武器商人はラスヴェートの頭を撫で、柔らかな金の髪の感触を楽しんだ。
「我(アタシ)は苺のミルフィーユを作ってみたよぉ。ラスも食べやすいように小さく作ってあるからね。ぱくりといっておくれ」
「うん、お父さんありがとう。パパさんは何を作ったの?」
「俺はね、以前贈ったお茶に合うようにいちご大福。甘くて白くて柔らかくて可愛い…作ってるときに紫月を思い出しちゃったんだよね…。ふふ、美味しくできたから食べてね……。」
「いちご大福から我(アタシ)を連想したって初めて言われたなァ。美味しそうだね小鳥、食べさせて?」
「もちろんだよ紫月」
ヨタカの肩へ頭をあずける武器商人の口元へ、ヨタカはせっせと大福を運ぶ。仲の良いふたりの仕草にラスヴェートまでうきうきと楽しい気分になってきた。その気分のまま空間をつなげる武器商人についていき、豊穣の屋敷へつく。孤児院の子どもたちから歓声を受けるヨタカと武器商人の姿がラスヴェートには誇らしかった。
「俺のいちご大福、みんなで食べてね…。」
「ボクのもどうぞリリコお姉さん」
代表で受け取ったリリコは薄くゆるやかな笑みを浮かべた。
「……とってもありがとう」
「我(アタシ)からはミルフィーユだよ。愛してるよぉ、我(アタシ)の可愛いお気に入り」
「……とってもありがとう、私の銀の月」
リリコはごくわずかに柔らかな表情になっていた。それを見たラスヴェートはなぜだかちくんと胸がいたんだ。
茶会には少々ラフな格好で来るものだ。たとえばヴィクトールのように、白のリネンシャツへ結いた髪を散らして。
茶会には少々気合を入れてみるものだ。たとえば未散のようにピンクのノースリーブニットで。
そわりそわりふくらんでいくのは乙女心か。羞恥心か。ときめきもまた春曜日。やわらかそうなベッドが眠気を誘うアフタヌーン。茶を入れる香りが舞う。
机上には予想外のすてきなお客様。はたして花を活けるなどという典雅な趣味をこの隣人が持っていたなどと誰が知っていようか。それが自分のためなのかそれともただの気まぐれなのかはわからねど、机の上へふたつそろって並べられた包みへ視線を走らせ、未散は春先飾る花々へわざとらしく問うてみる。
「ねえ、あなたさまはあの包みの中身をご存知ですか?」
「ああ、それならこれと同じものですよ」
淹れたての紅茶がさしだされ、その美しい湖面が未散を映し出す。
「ローズヒップにベリー、ネトルにダンディライオン……春らしいハーブティと聞いておすすめされたものを自分用と贈り物用に」
「あら、買って来て下さったのですか。お寝坊さんの貴方様が珍しい」
うやうやしく貢物をを受け取り、蓋を開けたならば、スンと鼻へ抜ける春の香りの詰め合わせ。
「良い香りだでは今度はぼくの部屋で淹れて下さいな。あなたさまの淹れる紅茶は美味しいから」
「そういえば貴女様のお部屋にお邪魔したことはあまりなかったでしょうか。ではその時はそのように」
眠たげな王の頬を慰撫し、ヴィクトールはベッドを指差す。
「……どうぞ、おやすみなさい」
慧は鼻歌を歌いながら豊穣の地元までの道のりを急いだ。
今日は主さんから呼ばれている。なんだろな、なんだろな、きっとグラオ・クローネのお返しだ。むず痒いやら楽しみやら。まぁしかし……。
「帰ってくるように、帰ってきていいんだと言われるのは、嬉しいもんですねえ」
しみじみしていると、里の入り口で大きく手をふる人影に出くわした。
「けーちゃん! おかえり!」
へへっ、待ちきれなくってさと笑う百華につられて慧も笑みを誘われる。
「グラオ・クローネのお返し、作ってみたんだ」
上等な紙包みの向こうにプレーンクッキーが透けて見えている。
「ありがたく頂きましょう」
多聞家当主の百華が料理とは珍しい、他の仕事の隙間を縫ってわざわざ作ってくれたのだと思うとありがたみが一層増した。
「来年は、私がグラオ・クローネ用意しよっか?」
「俺だって来年何贈るかって考えてるんすけどね」
「両方のほうが楽しいかもねぇ」
「なら、来年からはお返しの方も考えなきゃっすかね」
景色のいい公園の細道を、ノルンとアリスは歩いていた。木漏れ日が舞い降りてさながら森へいるかのようだ。進んでいるうちに座り心地の良さそうなベンチを見つけ、どちらからともなくそこで足を止めた。
「あ、あの、あの、アリスさん、この前はありがとうございました。お、お返しに……ボクからも、プレゼントです。」
思い切って差し出した一口サイズのチョコレート包み、アリスは感激でいっぱいになった。
(グラオ・クローネ……ノルンに喜んでも貰えて、それだけでも嬉しかったのに、ノルンがお返しくれる……それはもっと嬉しい……)
「アリスさん?」
「…! ……ありがとう……! 凄く嬉しいよ……」
アリスはひとまず包みを受け取り、ベンチへ腰掛け、隣をぽんぽん叩く。ノルンがそこへ座る。
「ねぇノルン、また…一緒にたべよ…! いっぱいあるから…また、あーん…ってしよ」
「アリスさん…」
先月のことを思い出したのか、ノルンは真っ赤になった。そんなノルンが愛おしくて自然とアリスは微笑む。
「ぁ、あーん…」
ノルンが緊張したまま指先でチョコをつまむ。それがアリスへ向けて差し出された。チョコを半分かじったアリスは満面の笑みになった。
「……とっても美味しい…、…ノルンがアリスの為を思って探してくれた気持ちが……いっぱい詰まってる……」
そして溶けかけた半分のチョコを受け取り、ノルンへ向けて差し出す。それに目を見開きながら、それでもゆっくりとノルンは口を開けた。
ふふん、今日はね、わたしがジゼルのこと喜ばせてあげるんだから! ジゼルはわたしの命の恩人。グラオ・クローネのお礼くらい当然じゃない。
「目一杯お返しするわ、覚悟しなさいよね」
「うふふ、お返しだなんて。わたしは貴方の笑顔だけで十分よ? でも、とっても嬉しいわ」
街中を歩く二人は見るからにお似合い。メーテルは店先をのぞき、そのたびに目を奪われている。
「わ、このタルトかわいい……」
きらきらした瞳が愛らしくてジゼルはついついメーテルを甘やかしたくなる。本当は縛って閉じ込めてしまいたいけれど、でも。こうしてメーテルが笑って外を歩いてくれることも、嬉しいの。
「じゃあそれにする?」
ジゼルが助け舟を出せば、メーテルは首を振る。
「……はっ。だ、ダメ! わたしが好きなの選んだら意味ないじゃない! ジゼルにお返しするんだからー!」
「私は貴方と楽しめる物がいいのだけれど? ほら、二人で分けるにはちょうどいいサイズじゃない。帰ったら紅茶、淹れるわね。ゆっくりお話でもしながら一緒に食べましょう」
「本当に、いいの? ……わかった」
帰り道、ぽつりとメーテルがつぶやいた。
「ねえ、ジゼル。……大好きよ」
「せっかくのホワイトデーなんだしお菓子の交換会しよ。ね? いいでしょ、決定!」
なに? ホワイトデー? 月色はため息をついた。
また雪蝶のよくわからん気まぐれか。まったく昔からのことではあるが、なぜに吾輩にこうして構うのだろうか。といいつつ星や三日月を模した愛らしいクッキーを自作して持ってくる月色。そんなところが雪蝶は好きだ。
「月色、はいこれ。ハッピーホワイトデー! 君の事、僕の気持ち。全部を考えて選んだお菓子だよ。受け取って」
雪蝶が用意したのは、フルーツキャンディの詰合せとくまさんマカロンのセット。あなたが好き、特別な人。そう思って選んだ。
(このお菓子を食べている間だけでも僕の事、想ってくれると嬉しいんだけど……)
一途なるかな、されど残念。手渡されたのは手作りクッキー。クッキー自体に問題はない。見るからに美味しそう。だけど……。
「クッキー!? クッキーの意味って確か」
お・と・も・だ・ち。
「ゆ、月色ひどいよ~~~~!」
あんまりだ! 返せ純情! つめよると月色は顔をしかめた。
「……吾輩はホワイトデーの意味をよく知らん。菓子の意味も知らん。貴様が交換をしたいというから用意した。それ以上でも以下でもない」
菓子に罪はない。罪があるとすればこの男だ。伝えたいことがあれば口にすればいいだろうなどと、しれっと言いやがる。まったくわかってない。わかってないのに嫌いになれない。雪蝶は頬を膨らませた。
「いいから黙って食え」
自分なんかと仲良くしてくれくれるなんて、やっぱり貴重だと思うんだ。
煌氷はそう思う。
万事ネガティブな自分を引っ張ってくれる彼女。太陽みたいに明るいのは名前に炎が入っているせいか。
その炎華からチョコをもらって一ヶ月。もう一ヶ月か、まだ一ヶ月か。丁度いい機会だから、お返しをしようと思い立ってうろうろ。幻想の街中は自分が今まで居た場所とあまりにも違う。ついつい物見遊山がてら足を伸ばしてしまい……。
「あ、もう時間だ」
あわてて菓子屋へ飛び込み、値段も見ずにいちばんおいしそうなものを買った。
「炎華、待たせてしまってごめんな」
「平気平気、僕も今来たところだし!」
今日も幼馴染はかわいい。かわいいが服を着て歩いている。煌氷はすっと菓子の入った紙袋をさしだした。
「え。僕に? ホント?」
あ! ホワイトデーって今日だし! と、叫ぶ炎華。
「これ、チョコのお返しだよ。炎華が好きそうなのを選んだ、けど……口に合うか……」
だんだん尻すぼみになる言葉。煌氷を元気づけるように炎華は笑った。
「ありがと! めっちゃ嬉しいに決まってるっしょ! 気になるカフェ見つけたから、そこで一緒に食べよ!」
水温む、春。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
おつかれさまでしたー!
皆様それぞれのホワイトデー、いかがでしたか。
貴重な一日を執筆させていただいて嬉しいです!
またのご利用をお待ちしてます。
GMコメント
苺って酸っぱいイメージだったんですけど、最近の苺はどれも甘いですよね。
苺潰すスプーンって知ってる? あのさきっぽがひらたいやつ。知らん?
はい、それはともかくホワイトデーです!
場所も時間帯もいつでもどこでもフリーダムですが、名声は幻想に入ります。その点だけご了承ください。
●いつもの
一行目 同行タグ または空白
二行目 行先タグ
三行目 プレ本文
●行き先
【調理】
ホワイトデー用のお菓子を作るか、買い物にいきましょう。きっと喜んでもらえるはず。
場所はあえて決めませんが、とっかかりがあったほうがいい方は下記を参照してください
・作成→ローレット本部で材料器具はすべてそろっている状態
・買い物→幻想の高級菓子店が並ぶ大通り
【譲渡】
ホワイトデーっぽいことをしましょう。
お菓子食べたりお菓子渡したりお菓子配ったりお菓子もらったり。
※1・このイベシナではEXプレイングを利用して関係者を呼び出すことができます。
※2・NPCは呼び出しに応じて登場します。
リリコ:両親を失ったトラウマで無口無表情な女の子 好意は素直に表す 「だって明日が来るかなんて、わからないから」
ベネラー:天義の辺境出身の男の子 礼儀正しくおとなしい 魔種に狙われてるなう 「何か僕にできることはないかな……」
その他孤児院の子も呼び出しに応じて登場します。孤児院の子って誰? という方はみどりのGMページをごらんください、フレーバー情報が載っています。
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