PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<覇竜侵食>破滅を祓う咆哮を響かせよ

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●争う者たち
 亜竜集落ウェスタの周辺には、幾つかの水場がある。
 それらは亜竜種のみならず、付近のモンスターや亜竜たちが利用することもある。
 ……特に危険なことではない。普段の生活が危険そのものであるが故に、その中では取り立てて危険と騒ぐことではない、という意味ではあるが。
 此処で大事なのは、ウェスタ周辺に点在する水場はあらゆる生物を癒す場所であり……生活における重要な場所ということでもある。
 そしてそれは時として、そこに集まるものを狙う狩場となることがある。
「ガアアアアアアアアア!」
 髭面の巨人型モンスター、アトラスが大木を削って作った槍を振り回す。
 流石に覇竜を闊歩するモンスターの一角だ、通常であれば粗末と笑われる槍の一撃は破城槌の如き破壊力で地面ごと敵対者を貫き潰す。
 だが、アトラスと戦っている相手は誰なのか?
 ネオサイクロプス? 否。
 ドレイク? 否。
 ワイバーン? 否。
 アリだ。アダマンアントの群れである。
 総勢20にも及ぶ……いや、1体減ったから残りは19。
 違う。18に減った。
 だが、アダマンアントの数は圧倒的だ。
 アトラスを囲み、前衛が噛みつき後衛が酸を放つ。
 弱者が強者に挑む為の集団戦というものを本能で理解した戦い方に、アトラスが傷つき苦悶の声をあげる。
 アダマンアントが攻め切るのが速いか、アトラスが叩き潰すのが速いか。
 正直、どっちに転んでもおかしくない状況ではあるだろう。

●静李より
「アダマンアントの情報が入った。どうも連中、ウェスタ近辺の水場でアトラスを襲ってるみたいだ」
 静李はそう言うと、小さくキュッと拳を握る。
 正直、こんな大きすぎる話の中心になるとは思わなかった。
 奏音は修行バカだし棕梠は昼寝バカだし、そうなると私が動くしかないじゃないか。
 そもそもどうして3人娘とか一括りにされているのか。
 誰が言ったんだったか。思い出した、相賀の爺様だ。あのファンキージジイ。
 そんなちょっと本人たちが聞いたら抗議の声をあげそうなことを思いながら、静李は集まったイレギュラーズを見上げる。
「アトラスがアダマンアントに負ける事はない……普通なら。でもアダマンアントはかなりの数をアトラスを狩る為に出してきてる。だから、状況によってはアトラスが負ける事は充分に有り得る状況だ」
 そうなれば、アトラスの死骸をアダマンアント達は即座に巣穴に運んでいくだろう。
 それはアダマンアントに……いや、アダマンアントクイーンに更なる勢力拡大を許すことに繋がってしまう。
 だから、防がなければならない。
 アトラスを助け、アダマンアントを撃退しなければならない。
「これは出来るか出来ないかの話じゃない……やらなきゃいけないんだ。あなた達が失敗したら、覇竜の滅びに一歩近づく。これは、そういう話なんだ」
 静李のトラウマが、静李をチクチクと苛む。
 こんなに死の香りを近く感じたのは、いつ以来だろうか?
 それでも、静李は「それ」を言わなければならない。
「あなた達が頼りだ。あのアリ共を……ブッ潰してくれ」 

GMコメント

ウェスタ近辺の水場でアダマンアントの群れとアトラスが戦闘中です。
皆様は此処に介入し、アダマンアントを全滅させる必要があります。
万が一アトラスが死んでしまった場合、アダマンアントは即座に撤退と運搬に移行します。
その際、仲間を呼ぶ可能性が非常に高く、そうなれば皆さんの不利は必至です。
アトラスを死なせないようにする方向で頑張る必要があるでしょう。

なお、アトラスは戦闘開始時点で結構ボロボロです。
かなり荒れているので、皆さん諸共アリを攻撃してくる可能性は非常に高いです。
更に状況が悪化すればアトラスとの戦い……つまり二連戦になる可能性すらあります。
アトラスに「敵ではない」と思わせる事が出来れば、一時的な共闘関係に持ち込めるでしょう。

●本来であれば穏やかなアトラス
髭の大男みたいなモンスター。全長5mほどの大巨人。
その辺で引っこ抜いてきたと思われる巨木を槍にしています。
突き刺し攻撃、連続突き攻撃をしてきます。
魚が好きで、本来は此処に魚を獲りにに来ていました。
まあ、いるのはモンスター魚なんですがアトラスの槍で一撃です。

●アダマンアント(13体)
嫌になる程硬い巨大アリ。攻撃方法は岩をも溶かす酸を弾丸のように飛ばす技と、強靭な顎による振り回し&叩きつけ攻撃です。
アトラスを狙っているようですが、皆さんを狙わないわけではありません。

●静李
覇竜領域デザストルに存在する亜竜集落ウェスタで生まれ育った少女。青き鱗の己等を『水竜の一族』と称しています。
基本的に物静かで、一歩引いたところから全てを見遣るスタンスを貫こうとしているようです。
……なのですが、今回はなんと同行。彼女にとっても悩んだ末の選択であるようです。
使うのは水の魔法。勿論ですが、一騎当千の強さを持っているわけではありません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <覇竜侵食>破滅を祓う咆哮を響かせよ完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年03月21日 22時05分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
ディアナ・クラッセン(p3p007179)
お父様には内緒
ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)
名無しの
リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)
黒狼の従者
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
橋場・ステラ(p3p008617)
夜を裂く星
ウルフィン ウルフ ロック(p3p009191)
復讐の炎
熾煇(p3p010425)
紲家のペット枠

リプレイ

●アトラス救援
 アトラスとアダマンアント。2つのモンスターの戦闘の現場へ向かう『紅炎の勇者』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)たちの姿には、僅かな焦りがあった。
「まるで手当たり次第。巨人種のような強力な個体すら襲うとは……」
「流石覇竜領域といったところだね…生存競争も大迫力だ。成程、確かにこのまま見過ごしてあの大蟻が繁殖するのはいただけないなぁ……」
 リースリットに『咎人狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)が頷く。
 そう、同時多発的に起きている今回のアダマンアントの地上への進出事件。
 それはアダマンアントという生き物の性質からして有り得ない事であり、だからこそリースリットは今回の原因を考えざるを得なかった。
「この動きの活発化の原因は分からないけれど、食料を集めている……のでしょうか? アダマンアントが大規模に食料を集めるような理由……あの巣の中で、やはり何かが起きているのか……ともあれ、アダマンアントを見過ごすのは危険ですね」
「そうなると今回は漁夫の利を狙えばいい訳ではないのですね? ……成る程、巨人を助けて蟻を蹴散らせと」
「おー? アトラス、ご飯獲りに来たらアリにいじめられたのか。かわいそ、だな。どーにかして助けてあげたいな!」
「挟撃作戦だったか。もうそろそろ到着するはずだが……」
『斬城剣』橋場・ステラ(p3p008617)と『紲家のペット枠』熾煇(p3p010425)も納得したように頷くが、『復讐の炎』ウルフィン ウルフ ロック(p3p009191)のそんな声に耳を澄ませる。
 遠くから聞こえてくる、地響きのような音。まだ距離があるようだが……今この瞬間もアトラスが戦っているのだろう。
「アリさんがお引越しで、アリさんの晩ご飯が巨人さん? 覇竜領域ともなるとアリさんもすごいのがいるの」
『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)がそんな事を言うが……アダマンアントの「引っ越し」はあまり考えたくない事態ではある。
「生き物に水は必要なもの。水場はそこに住まう皆にとって必要な場所。そこに異なる生き物が集ったとき、共存できなければこうなる訳で」
『お父様には内緒』ディアナ・クラッセン(p3p007179)は言いながらも、アダマンアントとの共存は無理だろうな……と思う。
 たとえ普段穏やかでも、クイーンを得ればこうなるというのであれば危険生物でしかない。
「アダマンアントの勢いを削ぐためにも、本来は穏やからしい巨人のためにも。共闘を目指しましょ」
「傷だらけのアトラスの傷を治してー、一緒にアリを倒すんだな。アトラス、俺達の言葉わかるかな?わかるなら、一緒に戦おーって言えば戦えるけど、わからなかったらジェスチャー…とかでわかる? わかんなかったら、しょーがないからアリを倒して敵じゃないってことを教えたら良いな! あと傷も治すし、大丈夫だな」
 大丈夫、かどうかは分からないが……熾煇の言う通りにいくのが理想ではあるだろう。
 そうして辿り着いたその場所では、すでに激しい戦いが行われていた。
「アトラス……我よりでかいな、中々の奴だ」
 今回のメンバーの中では身長3mという巨漢の『復讐の炎』ウルフィン ウルフ ロック(p3p009191)でも、アトラスほどではない。
 そんなアトラスの突き出す槍がアダマンアントを貫き、撃破する。
 あんな雑な作りの槍でそれだけ出来るのは、まさにその腕力故だろうか?
 だが、対するアダマンアントたちも負けてはいない。
 しっかり組んだ隊列は前衛と後衛に分かれており、アダマンアントを抑え込み酸でダメージを与えるという、その硬さを最大限に活かした戦法だった。
「数の優位ってぇのはおっそろしいもんだな。ちりも積もれば山となるってか?」
『名無しの』ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)がそんな事を呟くが……まさにそういった感じの戦い方だ。
 どんなに強力な相手でも皆で力を合わせれば勝てる。
 ある意味でイレギュラーズと同じだが……決定的に違うのはアダマンアントたちは死んでも構わないという戦法であることだろうか?
「恐怖を感じることなく、システムの様に獲物を狩る相手か……実力、数も決して侮れんとなると厄介だ」
「やはり数の暴力というのは恐ろしいものですね。それに恐怖を感じず、ただ戦い続ける敵というのも厄介です……少しでも戦力を削ぐ為にこの場で全滅させておきましょう」
『竜撃の』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)と『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)は、互いに頷きあう。
「俺達が退けば、覇竜の未来にも大きく影響が出るかも知れない。是が非でも殲滅させて貰う!」
「はい。それでは参りましょうか? 御主人様」
「頼りにさせて貰うぞ、我が従者」
 1つの主従の絆が輝いて。ベネディクトは、ふと傍らに立つ静李へと視線を向ける。
「静李、君が戦場に出るというのは本気なのか?」
 戦いは俺達に任せておけば、と言いそうになるが彼女が決めた事なのだ、とそれ以上は何も言わないベネディクトに、静李は深い……深いため息をつく。
「正直に言えば、甚だ不本意だ。私自身の決めた事に反してはいる」
 けれど、と静李は続ける。
「奏音も棕梠も、一応友人でね。私だけが安全圏でのうのうとしていられるほど、強くはないんだよ」
「そうか……なら共に戦い、君の故郷を守ろう。その為の戦いだものな」
 頷き、ベネディクトは腕を振り上げる。
「故郷が戦火に巻き込まれる悲しみも、憤りも、不安も俺は知っている。だからこそ、俺はこの戦い、負ける訳にはいかない! 必ず、皆無事に帰ろう!」
 その言葉を合図に、全員が戦場へと突入していく。
 それはこれまで敵であったアトラスとの共闘を目指すという、新たな次元の戦いの始まりであった。

●アダマンアントを撃破せよ
 作戦は、挟撃。アトラスと共闘を目指すグループとアダマンアントを背後から襲うグループに分かれている。
 アトラス側はリースリット、ディアナ、ベネディクト、リュティス、静李、ステラ、ラムダ。
 アダマンアント側はニコラス、胡桃、ロック、熾煇。
 このうちラムダはアトラスを回復させた後ポジションチェンジの予定になっている。
 まずはタイニーワイバーンで突っ込んだロックが骸槍【狂骨】を振るう。
「クククッ……一旦離れてろ。巻き添えを喰らうぞ」
 放つ戦鬼暴風陣は、注意をアトラスから外す為の手段でもある。
「あの巨人が倒れちゃこっちとしては困るってものでね。悪いけどよ、山になることなく散ってもらうぜ、アダマンアント!」
 ディスペアー・ブラッドを構えたニコラスのアッパーユアハートが発動し、アダマンアント達の攻撃を引き寄せようとする。
「欲を言えば全員釣れりゃいいんだがよ」
 だが、如何にニコラスとて全部は支えきれないだろう。
 そこに胡桃がらいとにんぐすた〜りんぐからのヘビーサーブルズを叩き込んでいく。
「コャー! コャー! わたしは、味方!!」
「俺、ナカマ! 敵、チガウ!」
 そのついでに胡桃はアトラスへと猛アピールを開始する。
 あのサイズならこっちも見えているだろうと、そう考えたのだ。
 更にはニコラスもそれに続いてアピールしていく。
(アトラス側から俺たちも敵だと思われるかもしれないんだよな。反対側にいる俺たちもアトラス側で行動してる人らの仲間と思ってくれりゃいいんだが)
 ニコラスはそう考えるが……このアピール自体は無駄ではないと、そうも考えていた。
 だからこそ身振り手振りで必死にアピールをしていく。
 肉体言語をも使った猛アピールをアトラスはじっと見ていたが、伝わったかどうかはまだ分からない。
 リトルワイバーンに乗った熾煇の魔砲もアダマンアントに炸裂するが、やはりアダマンアントは強い。
 それが14体もいるこの状況は、中々に辛いものだが……アトラスがどう出るか、といったところだろうか?
 そのアトラスは今、リュティスとリースリット、ラムダによる回復を受けていた。
「穏やかな性格の相手と敵対する理由もありませんし……アトラスも生き残りたいのであればこちらの意図は汲み取ってくれるでしょう」
「そうですね。傷が癒えてくれば、アトラスも冷静になってくる……でしょう、恐らく。言葉が通じればいいのですが、せめて行動で敵ではないと理解してもらうしかないですね」
 3人による回復で傷が癒えていることを確認したのだろう、アトラスはじっとリュティスたちを見ていたが、即座に近くに寄ってきたアダマンアントを槍で刺し殺す。
「巨人さん。アトラスさん。アナタの手助けに来たわ」
 ディアナはそんなことを言いながらアダマンアントたちへスケフィントンの娘を放っていく。
 そしてアトラスに理性らしきものが戻ってきているのを見計らうと、ベネディクトはアトラスにはドリームシアターで「一緒に魚を取って食べている」ような幻影をアトラスの近くに作り出してみる。
 言葉は通じずとも、これで言いたいことは分かるのでは……と期待したのだ。
 更には武器を蟻にだけ向ける仕草をして、アトラスには笑みを向ける。
(……少しでも効果があれば良いんだが)
 ダメ押しとばかりにラムダがハイテレパスでアトラスにイメージでの意思疎通を図ってみる。
(知能は高いみたいだからニュアンスで通じてくれることに期待したいところだね。こちらの動きを汲んで動いてくれると更にグッドといったところ。さて……)
『崩れないバベル』の対象内かどうかは賭けといったところだが……帰ってきたのは「やれ」といったような短い念話での返答。
 どうやら賭けには勝ったようだが、こちらとの会話に応じてくれるほど怒りが収まっているわけではないようだ。
 ともかく、これで「こちら側」でのラムダの役割は終わったので、挟撃側に合流するべく動いていく。
 ならばとステラもアトラスの視線がこっちに向いたのをチャンスと肉体言語で敵ではないアピールをしてみる。
 身振り手振り、蟻だけを攻撃する行動等々、伝わるかは兎も角、やれる限りの全力だ。
(何か通じれば良いのですが……)
 そんなステラに、アトラスは槍でアダマンアントの群れを指し示す。
「ふふ……いいからやれ、といったところでしょうか?」
 ならばやらざるを得ないだろう。ステラは炎天・星火燎原と氷天・凍星を嵌めた指輪をアダマンアントへと向ける。
 どうやらアトラスとの交渉は成功したらしい。
 それはこの状況において、強力な仲間を得たに等しい。
 ベネディクトのH・ブランディッシュが放たれ、リュティスの死舞がアダマンアントへと叩き込まれる。
「やはり簡単には倒せはせんか。だが、アトラスをお前達に殺させる訳にはいかない! 一気に押し切る!」
 そう言った矢先、アトラスの槍が傷ついたアダマンアントを刺し潰す。
「フッ……」
 敵であれば恐ろしいが、味方であれば頼りになる。その事実にベネディクトは思わず笑みが漏れる。
「アダマンアント、名前を聞くだけでも固そうですね? まあ、それならそれで取れる手段はありますが!」
 ステラのH・ブランディッシュが炸裂し、リースリットがダイヤモンドダストを放つ。
「共闘も成りました! これならいけますね!」
 そう、リースリットの言う通りにアトラスとの共闘は成った。
 ならば後は攻めるのみ。アトラスが倒されないように注意はしなければならないが……もう、その心配はほとんどないだろう。
「最近ちょくちょく戦いに赴いて、多少なりとも動けるようになってきたと思うのだけれど……んん。まだまだ経験不足かしらね。でも」
(不足している経験なら、この戦いを糧にしましょう。力の差に俯いている暇はないわ)
 ディアナもそんなことを言いながら傾国を振るう。
「こちら側」の戦力は大きく上昇した。そして、挟撃側だって負けてはいない。
「蟲ってのは感情がなくただ餌を捜し捧げる為に行動しているそうだ。だから恐怖ってものを知らんらしい、それを此処で教えてやる……お題は貴様等の命でな」
 化ケ之皮がはがれてきているロックが煉気破戒掌を放ち、熾煇の紅焔撃が叩き込まれる。
「幾ら硬いったって、関節部まではそうじゃねえだろ!?」
「甲殻の硬いアリさんといえども、ダメージは通るはずだし、わたしの炎は伊達じゃないところを見せてあげるの」
 ニコラスのH・ブランディッシュが炸裂し、胡桃のこやんふぁいあ〜がニコラスに合わせて放たれる。
 そうしてアダマンアントは1体、また1体と倒されて行き……最後の一体にロックがトドメを刺すと、その場に動くアダマンアントは居なくなる。
 リースリットのエレメンタルブレスが仲間達の傷を癒していくが……自分達を見下ろしているアトラスの視線だけは、これはどうしようもない。
「……コミュニケーションの困難さから考えれば、早々に離脱した方が良いのでしょうね。今のところ敵意は見えませんが……」
(……できれば、離脱で終わらせたい所ですが)
 そう、此処にはアトラスが残っている。
 覇竜領域をある程度冒険した者であれば、アトラスの強さはよく知っているし、今共闘したばかりのアトラスの実力も明らかだ。
 もしアトラスが襲ってくるというのであれば……それはかなり危険度の高い状況とは言える、のだが。
「こんな大きな体してるんだもの。肩に載せたりしてくれないかしら。見晴らし良さそう……なんて、ね」
「俺達を仲間と思ってくれてりゃ有り得るが、ね」
「良き隣人として彼との友好関係を築くことができればよいのだけどね?」
 ディアナとニコラス、ラムダはそう冗談めかすが、アトラスからの反応はない。
「一時的にとはいえ、共闘した相手と戦いたくはありませんね。ですが、襲ってくるのであれば倒すしかありません……この気持が通じて去ってくれると嬉しいですね」
「さて、どうかな……」
「仲良くなれたとは思いたいのですけれどね」
 リュティスとベネディクト、そしてステラは、アトラスの瞳をじっと見つめ返す。
 大分穏やかな色を取り戻したようには見えるが、だからどうなるか……までは分かるはずもない。
「巨人さんとも仲良くできればいいのだけれども。わたしはお魚を焼くぐらいしかできませぬが~」
 胡桃がそんなアピールをして。
 黙って見ていたアトラスは、水場に槍を突っ込むと、その先に刺さった何かを胡桃たちに投げてくる。
 ズドン、と。その場に投げられたソレは……水場に生息しているのであろう巨大魚だ。
 いや、ここまでいくと怪魚といったほうがいいのかもしれないが……。
「コャー。くれるってことでいいのかしら」
 そんな胡桃には答えず、アトラスはもう1度水場に槍を突っ込むともう1匹の魚を手に入れ……そのまま何処かへと歩き去っていく。
 お礼、ということでいいのだろう。どう持ち帰ったものか、食べられるものかどうかは謎だが。
「穏やかな魔物なら、もう戦場では会わない事を願いたい物だな」
「そうだな」
 ベネディクトに、アダマンアントの残骸をチェックしていたロックがそう答える。
 あのアトラスと仲良くなれたかは分からないし、もしかすると何処かで敵として相まみえることもあるのかもしれない。
 しかし……そうならない事を、誰もが祈っていた。

成否

成功

MVP

ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

状態異常

なし

あとがき

見事アトラスと共にアダマンアントを退けました!

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