PandoraPartyProject

シナリオ詳細

胸に秘めしはあなたへの……

完了

参加者 : 11 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●それは甘くもあればほろ苦くもあり
 この時期になると、そわそわする様子を見せる人が増えてくる。
 グラオ・クローネ。大切な人に『灰色の王冠』を渡す日。
 要はチョコレイトを贈る日、なのだが、贈る品は必ずしもチョコレイトでなくてもよい。
 自分で作って用意する者も居れば、既製品を購入して用意する者も居る。贈る品も人それぞれだ。
 だが、全てのプレゼントに共通して言えることがひとつだけ、確かに存在する。

 大切な『あなた』に幸運を祈って。

●人の想いは胸の内にて
 幻想王都メフ・メフィート。中心市街地ともなれば、大小様々な店が建ち並び、浮き足立つ人々を飲み込んでいく。
 装飾店や雑貨店、お菓子の店などから出てくる人々の顔は面白い。
 ある者は笑顔、ある者は緊張で強張り、またある者は不安そうな顔をしている。
 軽食をつまめる喫茶店もあり、休憩するにも最適だ。
 大通り沿いの喫茶店は人々の流れを俯瞰し易く、そんな人々の往来を観察しながら軽食を口にする好事家なども、少数ながら存在する。『性別に偽りなし』暁月・ほむら (p3n000145)はそんな例に漏れず、緊張と期待のあわいにある人々の表情を観察しつつホットココアに口を付けた。

「毎年の事だけど、面白いよねえ、こういう時期って」
 自分とて男だ。混沌に召喚される前にはそういうのを楽しみに浮き足立っていた時期もある。ここに来てからは浮き足立つような事も無くなったが。
 彼が座る喫茶店の雰囲気は割と穏やかで、そのせいか周囲の話し声も耳に届く。
「ねぇ、彼、喜んでくれるかしら?」
「あなたのだったら喜ぶんじゃない?」
 想い人が居る様子の女性に対して微笑む友人。
 その友人が実は……な展開だったら面白いよね、と胸中で呟くほむら。
「どうしよう……緊張してきた……。手作り、重いって言われないかな……?」
 不安げに呟く声。
 頑張れ、とだけ胸中でエールを送る。
「ちょっと早いけど、当日は会えないから今日渡そうと思って……。
 う、受け取ってくれる?」
「嬉しい! ありがとう!」
 勇気を出した声の主に対し、相手の嬉しそうな声。
 良かったね、と心の中で頷きながら拍手を送る。
 ホットココアを一口喉に通して、一つ息を短く吐いた。
 それからもう一度窓の外を見る。
 行き交う人の中にはイレギュラーズの姿も見える。彼らも何かしらの想いを抱えているのだろうか。
 どんな想いで渡すのか。
 それは当人にしか分からない。
「――貴方に幸福を。灰色の王冠(グラオ・クローネ)を」

 『あなた』は、誰に何をあげる?
 大切な贈り物、何をあげましょう。

GMコメント

 久しぶりに甘いのを書きたいな、と思ったので。
 苦いのばかりでは胸焼けするんです。女の子ですから。もう女の子じゃないだろうというツッコミは無しで。心は乙女なの!

 さて、当シナリオはグラオ・クローネ前日譚のようなもの、と思っていただければ幸いです。
 選択肢は大きく分けて三つに分かれます。
【A】贈り物の準備をする
【B】贈り物を渡す
【C】贈り物を受け取る
 上記三つに対しての心情をメインとしたプレイングが当シナリオでの行動となります。
 プレイングにて以下の点について留意しながら書くと描写しやすいかと思いますので、ご参考までに。

●場所
 ・何かのお店(中もしくは外)
 ・自宅or誰かの家
 ・大通り

●渡す相手
 ・恋人
 ・友人
 ・気になる人
 ・知人
 ※名前の明記は無しでもOK
 ※誰かと一緒に参加の場合のみ名前の明記をお願いします

●シチュエーション例
 ・ちょっと早いけど渡すぞ
 ・当日までに用意しよう!
 ・準備しようかなどうしようかな?

●その他
 ・グループで参加の場合はグループタグ(例:【彗星】)をつけていただけると迷子防止になります
 ・相手が居る場合、ご相談の上、内容の摺り合わせを推奨しています
 ・NPCが相手の場合は、【A】の選択肢のみとなります

(プレイング例)
【A】
 装飾店の中。イヤリングを購入。
 渡すのは○○くんに。今日急に会える事になったから嬉しいな。
 御守りになるといいな。受け取ってくれるかな……?

 プレイング例を参考にしてみていただけると幸いです。
 最後に。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 皆様のグラオ・クローネ前日譚をお待ちしております。

  • 胸に秘めしはあなたへの……完了
  • GM名古里兎 握
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2022年02月24日 22時05分
  • 参加人数11/∞人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 11 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(11人)

ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)
同一奇譚
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)
高貴な責務
鏡禍・A・水月(p3p008354)
夜鏡
八重 慧(p3p008813)
歪角ノ夜叉
トスト・クェント(p3p009132)
星灯る水面へ
オウェード=ランドマスター(p3p009184)
黒鉄守護
エドワード・S・アリゼ(p3p009403)
太陽の少年
エア(p3p010085)
白虹の少女
ユーフォニー(p3p010323)
誰かと手をつなぐための温度

リプレイ

●楽しみを胸に
 お菓子屋では、グラオ・クローネを迎える人々の為の特設売り場が設けられていた。
 可愛らしいリボンでラッピングされたハート型の容器に入ったクッキー。
 ハート柄の袋に入ったマシュマロ。もしくはキャンディ。
 どれを食べようかな、と思った所でトストは我に返り、頭を振った。
 そうではない。友達や同居人にあげるものを選ばなくては。
 ふと浮かぶ、自分に懐いてくれる彼の事。
 自分に甘えてくれる。というよりは、甘やかせてくれる、が正しいのか。
 そんな彼に何かをしてあげたくて。反応を知りたくて。
 クスッと笑う。改めて考えるとなんだか照れてしまうな、と。
 商品に視線を迷わせた末、結局、トストは選ぶのを止めた。
 どうせ自分用にも色々と欲しいのだ。その中からいいのをもう一回買えばいい。
 どれが美味しいだろうか。どれが彼の好きそうな物だろうか。
 知らずに緩やかな弧を口元に描き、彼の手は再び商品に伸びていた。

●楽しみは君と共に
 オーブンの中から焼ける匂いがする。
 甘いチョコレートの匂い。焼いているのはケーキで、作ったのはヴァレーリヤとマリアの二人。
 レシピ本を見ながら、自宅での共同作業に勤しんだ二人は、使用した道具類を片付けた後、焼き上がった後の準備に入る。
 ヴァレーリヤはオーブンの小窓から中を覗き込み、焼き具合を確認する。
 甘い匂いと共に膨らみを見せる生地。
「よしよし、もう少しで完成ですわね!
 マリィ、紅茶を淹れて来るけれど、ジャムは何がよろしくって?」
「紅茶のジャムかぁ! 私はねー……王道のいちごジャム! 酸味も効いているのがいいな!
 なければ君と同じもので!」
「あら、嬉しいですわね。いちごジャムでしたら、ありましてよ!」
 しまっていた場所から該当の品を取り出すと、念の為スプーンで掬って味を見る。
「悪くはなっていないと思うわ」
 うん、と一度頷いて、自分の使うコケモモジャムと一緒に並べると、マリアがそれらを持ってテーブルへ運んだ。
 ヴァレーリヤがお湯を沸かし、紅茶の用意をして、二人分のカップに注ぎ入れる。
 二人分のスプーンと皿も添えてトレイに乗せて運び、並んで座る。
 ジャムを舐めながら紅茶をいただけば、果実の甘みと紅茶の味が混ざり合って。
「ふふっ! いい匂いがしてきたね。焼き上がりが楽しみ!」
「美味しいケーキが焼き上がると良いですわね」
「うん! 君とこうして恋人として過ごすのも一年になるんだね……。なんだかあっという間だった気がするよ……。
 これからも来年も再来年も……ずーっと一緒にいようね♪」
「そうですわね。来年も再来年も……こうして、ゆったりした平和な時を過ごせると良いですわね」
 恋人の笑顔を見れば、ヴァレーリヤの艶やかな唇も綻ぶというもの。
 オーブンからは、二人の空気に負けぬ程の甘い匂いが漂ってきていた。

●この愛は楽しや楽し
 自宅兼作業場としているこの場所で、オラボナは作業に没頭していた。
 愛しい彼に贈る為、お菓子作りに勤しんでいる。
 しかしながら、手元で動かす器具から聞こえるのは、ぐちゅぐちゅという形容しがたい、こねているのか潰しているのかわからない音。
「嗚呼――※※※※、愛しの※※※※、貴様に渡すべきはやはりプディングなのだ」
 何を作ろうか悩んだ結果、選んだお菓子。
 加工した腸と肉を用いて作られしそれを扱う手つきは無駄の無い動きを見せる。彼女の胸中にあるのは、「此度こそ、あの女よりも先に渡すのだ」という確固たる意思。
 ※年前の灰冠、あげた心臓を思い出す。
(いっそ心臓が増えたら好い)
 莫迦げた発想が浮かぶが、彼女は至って真面目だ。
 それこそが彼女の愛。彼女なりの永久の愛。
(永劫なのだよ、私も堕ちた人よ)
 彼女が渡そうとするその物を受け取った相手の反応や如何に。

●乙女のような高鳴りと、想いを届ける楽しみと
 オウェードは王都の大通りを歩きながら、一冊の本とにらめっこをしていた。
 彼はあちこちの店の外観を確認しつつ歩いている。『ブッチャー紫髪の、この肉が熱い』と書かれたタイトルの本には、様々な店で扱われている肉について記されている。
 本命の片想い相手である有名な令嬢へ「楽しみにしてほしい」と言った手前、デートの為にあちこちを回っていた彼。
 本を読んでジャンルをステーキハウスと決めたはいいものの、どの店にするか。
「むむむ、喜びそうな店はどこがいいのか……それに都合がいい時間に合わせなければ……」
 相手の令嬢の都合を優先出来る男。大切にしたい相手だからこその気配り。
 グラオ・クローネ当日に渡す為のチョコは用意してある。今年は去年のように渡すだけで精一杯……という事にはならないようにしたい所だ。
 営業時間と、相手の都合に合わせられそうな店を求めて、歩みを進める。
 胸を打つ緊張と楽しみの高鳴りが、彼を動かしていた。

●選ぶ楽しさと、願う気持ち
 大通りに並ぶ一つの雑貨屋の扉をくぐる。軽快な鈴の音が鳴り、客達の視線が玄関へと向く。
 鏡禍は多くの女性客からの視線に一瞬だけ身を震わせたが、すぐに外れた視線に胸を撫で下ろした。
「ここ僕みたいな男が一人で入っていいお店何でしょうか……」
 小声で呟くも、足を踏み入れて以上は目的の品を探すしかない。彼は客の間を縫って、目当てであるリボンが並ぶ棚へと向かう。
 多くのリボンを一つずつ手に取り、彼女から借りた鍵と照らし合わせながら、似合う色を求める。
 そうして、彼が選んだのは、白地に赤い糸で花柄の刺繍がされている物。赤い糸が彼女の髪色を思い起こさせたから。
 精算を終えて店外へ。
 一休みできそうな場所へ移動し、袋から出したリボンを鍵に結ぶ。
(驚いて喜んでくれるといいなぁ)
 結ぶリボンとは逆に、彼の表情は綻んで。
 手元の鍵は、お洒落を喜んでいるように見えた。

●共にある楽しみを胸に抱えて
 ミーフィアと名付けた猫亜竜を抱いて、ユーフォニーはグラオ・クローネに向けて彩られた街並を歩く。
 動物向けの雑貨もあり、それらを中心に見ていくユーフォニー。
 気になった店に入り、目にとまったのは一つの首輪。
「あれ? この首輪、私の髪飾りにそっくり……」
 思わず呟く彼女の腕で、ミーフィアも気になるようで短く鳴いた。
「ミーちゃんもこういうの好き? ……ほんと??」
 自分を見つめる視線を受けて、その首輪を買う事を決意する。
 精算し、店外にてそれをミーフィアに装着させると、嬉しそうな声で鳴いた。
「えへへ、お揃いだね♪」
 彼女の声と同じ高いトーンで鳴く猫亜竜。
 再び抱きかかえて街を歩き出す一人と一匹。
 甘い雰囲気を出す二人組を何回か見て思うのは、自分にもそんな人が居たのだろうかという事。
(いつかそんな人に出会えるかな?)
 はにかみつつ笑う彼女に、猫亜竜が短く鳴いた。

●喜びを胸に、楽しみを抱き
 慧はチョコレイトを扱う店が並ぶ通りを歩いていた。
 屋敷の者達にも贈るが、一番しっかり選んで贈りたい相手は『主さん』だ。
 作るのは苦手なので購入した物を、と考えて散策に出たものの、種類が多くて選べない。見た目だけでも様々な形があるので、見るだけでも飽きないというのは良い事なのだが。
 味の説明などを聞きながら回り、そうして選んだのはアソートと呼ばれる、見た目や味が何種類か入っている箱だ。
(『主さん』、こういうの好きそうっすね)
 そもそも、豊穣から出た事のない方だ。豊穣外の土産なら何でも喜んでくれそうにも思うが、それでも、あの方を思って選ぶ楽しさというものがある。
 包んでもらった箱を受け取り、次の店へと気の向くままに歩く。次は屋敷の者達の分を探す番だ。
 胸に抱いた物の存在を感じながら独り言を呟く。
「喜んでくれると嬉しいっすねー……ああでも、主さんは一緒に食べたがりそうっすねぇ」
 その時は一緒に食べるとしよう。

●君に贈る楽しみ
 グラオ・クローネの本番を前に、ルチアは並ぶチョコレイトから何を選ぶか真剣に見つめ、悩んでいた。
 近く、豊穣へと向かう用事がある故、その為の品は既に買い込んだのだが。
(どうも決め手に欠けるというのが正直なとこよね。何かいいものはないかしら、ね……?)
 ルチアの脳裏に浮かぶ一人の少年。彼に贈るのは何がいいだろうか。
 友人の為に探す彼女の顔は真剣だ。
 そんなに真剣になってまで探す彼女の想いの根底は、おそらく本人にもまだ気付かぬものだろう。
 口元が綻ぶのさえ、気付かないのだから。
 色々と見て、「これにしよう」と決めたチョコレイト。
 受け取ってもらえたら、来月楽しみにしている事も伝えよう。
 綺麗なラッピングがされた箱を大事に抱えて、ルチアは帰路につく事にした。
 鼻歌がいつの間にか流れていた。

●君と共に分け合う楽しさ
 喫茶『メーティス』は、エドワードが居候している所だ。
 今日はここに相方であるメアを呼んでいる。
 入店しての開口一番、彼女は「おしゃれな雰囲気ですね」と褒めてくれた。
 席についた彼女の目の前に、エドワードはこの日の為に作った物をコトリ、と置いた。
 目にしたメアの目が輝く。
「じゃーん! ガトーショコラってお菓子! 我ながら会心の出来だぜ!」
「わぁ!これ、エドワード君が作ったんですか!?
 すごい! とっても可愛くて美味しそう……♪」
 シンプルなチョコレート生地に粉砂糖を振りかけ、その上にハートの旗を刺した物。
 彼女の笑顔を見て、嬉しそうに笑う。
「エア。
 いつもオレに付き合ってくれてありがと。
 これはちょっとした感謝の気持ち。受け取ってくれよな」
 混沌に来てから出来た、『相方』と呼べる大事な相手。
 何を持って『相方』とするかは分からないけれど、彼女と居ると一層胸が温かくなるのだ。
 彼の言葉を受けて、エアもまたはにかむ。
「……わたしにとっても、エドワード君の存在は特別です。
 貴方と一緒なら何でも出来るって……そんな風に思えるんですよ♪
 これからも一緒にいて下さいね……♪」
「おう!」
 力強い返事にふふっと笑って。
 それから、彼女もチョコレイトが入った箱と、もう一つを差し出した。
 それは太陽のペンダント。
「こっちはチョコ以上に気持ちを込めて作ったんだ……!
 良かったら、受け取って下さい!」
 笑顔で差し出したそれを見て、エドワードの笑顔が太陽のように輝いた。

 グラオ・クローネに、大切な人へ贈り物を。
 あなたの笑顔を見たい。
 それだけの気持ちで動いた自分を、どうか、どうか、見てほしい。
「――貴方に幸福を。灰色の王冠(グラオ・クローネ)を」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ありがとうございました。
甘いものを摂取出来て大変元気が出ました。
皆様のグラオ・クローネも良き日でありますように。

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