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シナリオ詳細

採土場を探して

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●覇竜領域にて
 覇竜領域デザストルは大陸南方の山脈に拠点を置く竜種の領域だ。
 国というよりは棲家といった方が適切でしょう。住民である人種『亜竜種』たちは領域(くに)と呼んでいる。
 竜種の住処であるという危険性から人類未踏の地ともされ、地理に関してはほとんど分かっていない。
 人間(人類)とは土台存在の異なる上位竜種の存在が多数観測されており、亜竜種と呼ばれる人種以外の混沌生命体は進んで此の山脈には近付きもしない。
 竜は自身の認めた勇者にのみ力を貸すとされているが、実際の所その観測例は殆どなかった。
 伝説や記録には極々稀に『竜を従えた勇者』の存在は記録されているのだが、実際の所それが可能であるかどうかは定かではなく夢物語であった。
 だが、絶望の青にて観測されイレギュラーズと敵対した『滅海竜』リヴァイアサン、練達で観測された『怪竜』ジャバーウォック等、その存在は夢物語ではない。
 そして……そのデザストルの亜竜集落フリアノンから地下通路を通ると、亜竜集落ペイトと呼ばれる場所に到着する。
 地竜とあだ名された亜竜種が築いたとされる洞穴の里。
 暗い洞穴に更に穴を掘り、地中深くに里を築いたこの場所は武闘派の亜竜種が多く住んでいる。
 基本的にはペイト周辺は蟻の巣のような地下空洞が広がっており、地中生物たちがわらわらと存在している。
 そう聞くとフリアノンやウェスタよりも安全に聞こえるが……そうではない。
 アーマデル・アル・アマル(p3p008599)やルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)という面々が関わった、とある一件。
 甕を作るために必要な採土場にアダマンアントが現れ、その場所が使えなくなった事件がつい最近あったばかりだ。
 その件に関しては先祖代々の道具を持って帰ってくることで、1つの解決を見た。
 だが……「その後」を思う者がいるのは、当然のことであるだろう。

●採土場を探したい
「ほう!」
 自分を訪ねてきたルシアとアーマデルの話を聞いて、黒鉄・相賀(くろがね・そうが)は面白そうに声をあげた。
 アーマデルは採土場の候補があるなら偵察に行きたいと。
 ルシアは新しい採土場探しを手伝うと、それぞれ言いに来たのだ。
 珱・琉珂の提案である『覇竜領域トライアル』。それは簡単に言ってしまえば覇竜領域での雑用仕事の始まりだ。
 前人未踏とされた危険領域だ。亜竜種達もその危険性を重々承知の上でイレギュラーズ達との友誼を図るための手立てとして提案したのだろう。
 仲良くなれようとも、この領域で生き残れなくては友誼を結ぶことは難しい。それは自身等の戦力強化でもある。
 竜種の脅威を目前とするこの覇竜領域でイレギュラーズと出会った『数奇な運命を宿した』亜竜種達は共に冒険を始めるのであったが……相賀もまた、積極的にイレギュラーズと関わっている一人だ。
 そして相賀は今、この雑用で関わっただけの採土職人のその後を憂う2人に、それなりの好感を抱いていた。
「なるほどのう。それを聞けば先方も喜ぶじゃろ」
「なんだったら魔砲でトンネル掘るのでして!」
「嬢ちゃんは魔砲が好きじゃのう。でもダメじゃ」
 しんなりしたルシアにその辺から歩いてきたドラネコが乗っかって丸まるが、それはさておき。
「それで、採土場の候補はあるのか?」
「あるっちゅーか、1つじゃないのう。ふむ。それなら、そうじゃなあ……」
 相賀は考えるような様子を見せると、やがて思いついたように手を叩く。
「うむ、うむ。それなら1つやってほしい仕事があるんじゃよ」
「つまり魔砲」
「は関係ないのう」
「でしてー……」
「にゃー」
 ルシアに乗っかるドラネコが1匹増えて、アーマデルがチラリと視線を向ける。
 ……すでに3匹目がスタンバイしていた。
「この前お主等が行ってきた採土場じゃがの。穴からアダマンアントが消えとった。恐らく偶然あそこに出てきたんじゃろうが……それなら、塞いでしまっても構わんと思わんか?」

GMコメント

亜竜集落フリアノンに住む「黒鉄・相賀」からの依頼となります。
亜竜集落ペイトに行き、採土場にアダマンアントが開けた穴に潜り、原因となっているルートを塞いでしまいましょう。
それに伴い、相賀から幾つかの道具を借りる事ができます。

●採土場所とアダマンアントの穴
亜竜集落ペイトから地図通りのルートに従い採土場所に到着します。
採土場所に入って右側の岩壁にアダマンアントの開けた大穴があり、そこから中に入る事が出来ます。
複雑に掘られた穴が広がっていますが、奥に進めば進むほどアダマンアントの住み家に近づくでしょう。
ただし、そこに近づくことは死とほぼ同じ意味を持っています。近づかないでください。

幾つかのルートを塞ぐことでアダマンアントが再び採土場にやってくることを防ぐ事が出来るでしょう。
アダマンアントに見つからないように隠れながら道を塞いでいくのが今回のミッションです。
どの程度塞いでいくかは皆さん次第です。
そして最後に採土場に空いた穴を塞ぐことで完了となります。相賀に道具を返しに行きましょう。

●道具について
・塞ぐ用の土
採土場から好きなだけ掘ってください。
・採土用、穴塞ぎの道具
必要なものを指定すれば相賀から借りられます。
・発熱石
ペイトでたまに採掘できる不思議な石。
削って粉にすると高い熱を発します。
穴を土で塞いで壁を作った後、粉をかけることで頑丈な陶器の壁が出来上がります。
焼き上がりまではおよそ30秒。この間にアダマンアントに見つかると「なんか不審な熱を持ってる」として壊されてしまうでしょう。

●地中生物
・アダマンアント
嫌になる程硬い巨大アリ。攻撃方法は岩をも溶かす酸を弾丸のように飛ばす技と、強靭な顎による振り回し&叩きつけ攻撃です。
なお、アダマンアントの総数は不明です。見つからないように隠れるのが最適であり、アダマンアントは敵対生物が巣の中に入ってくることを想定していません。
また、戦闘行動によって他のアダマンアントを呼び寄せる可能性があります。

●黒鉄・相賀(くろがね・そうが)
亜竜集落フリアノンで酒職人を営む亜竜種の老人。
それなりに戦えるらしく、今回は採土場まではついてきてくれます。
気の良い酔っ払いに見えますが、概ねその通りです。
義理には相応の友好を、不義理には相応の冷徹さを返してきます。
今のところイレギュラーズに好意的に見えますが、実際に何を考えているかは分かりません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 アダマンアントの巣の中は未知の危険領域であり、不用意に奥に進み過ぎれば不測の事態が起きる可能性があります。

  • 採土場を探して完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年02月13日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
ディアナ・クラッセン(p3p007179)
お父様には内緒
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
ブライアン・ブレイズ(p3p009563)
鬼火憑き
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星
浮舟 帳(p3p010344)
今を写す撮影者
ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)
ラッキージュート

リプレイ

●アリの穴を塞げ
「今回は本当に「雑用」という感じの仕事だねえ。まあ、たまには悪くないか」
『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は言いながら手押し車の確認を『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)と行っていた。
 動作向上のためにチェンジギアを取り付けていたのだが、動作確認しなければ流石に現地の一発勝負は出来ない。
 何しろ相手はデザストルのモンスターの一種であるアダマンアントだ。
 その領域に踏み込もうとしている以上、適当に準備するわけにはいかない。
「覇竜に生息するのは蟻でもやばいのばっかりか……極論入り口と少し埋め塞げば終わりだが、そんなケチ臭い仕事は出来んな。まあ戦闘よりこういう依頼の方が職人としての腕の見せ所ってことだな!」
「ああ。最近は色々と大きな動乱が多くて、こういった暮らしに結びつくような仕事も受けていなかったからね。せっかく覇竜領域での仕事だし、未知の土地の冒険に期待しつつ、仕事はしっかりこなすとしようか」
 錬とゼフィラは言いながらチェンジギアの調子を確認する。特に問題は無さそうだ。
 そして『Utraque unum』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)もまた、持っていく物資の確認をしていた。
 前回の仕事でアダマンアントの実物を見ているだけに、アーマデルはその恐ろしさも身に染みていた。
「もしかして、前回はヒトが巣穴に入り込んでくるのを警戒して見張ってたのだろうか。巣の奥には相当数のアリがいるだろうし、迂闊に踏み込み過ぎないようにしなくてはな」
「魔砲がなくても、魔砲がなくても! 何とか頑張っていくのですよ……慰めてくれてありがとうでして……!
 一方、仕事の内容がスニークミッションなので魔砲を使えそうにない『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)はへんにょりとして、ドラネコに乗っかられていた……ので、乗っかったドラネコをなでなでして、猫吸いを楽しんでいた。
 ちなみにドラネコに慰める意図があったかは不明だ。さておいて。
「普通のアリに準拠するなら、蛋白質も好むかも。あの環境ならワームの幼生等を餌にしているのだろうな」
 状況を思い出しながら、アーマデルは持っていくものを確認していた。
「流石に餌狩りからは余裕がないからな……ハムやソーセージで足りればいいんだが。使わなければ自分達で食えばいいしな」
 そう、アーマデルが用意しているのは誘導が必要な際に使う餌だ。
 備えあれば憂いなしとはいうが、まさにそんな感じである。
「あと酢酸……酢の類は好まないだろう。匂い(フェロモン)で伝言するなら強い匂いを厭うだろうから万一に備え酢を入れた瓶を携帯しておくべきか」
 その様子を見ながら、『鬼火憑き』ブライアン・ブレイズ(p3p009563)も溜息をつく。
(戦って白黒つけられねえ問題ってのは面倒臭くて仕方ねえぜ! ……ま、それでもやってやンのが腕の見せ所ってコトなのかね? 単純に腕っ節だけが信用を勝ち取る手段とは限らねえワケだ。へいへい、面倒でも依頼主の意向にゃ従いますよっと)
 思っても言わない辺りはブライアンの男気のようなものなのだろうか。
「ところでよォ。まず差し当たり、この依頼中に必要になる物品について、ちと依頼主の爺さんに交渉しておかねえとな。タフネゴシエイトの出番だぜ!」
 言いながらブライアンは自分の仕事を果たすべく黒鉄・相賀の所へと向かっていく。
「担当人数分の採土用具、採土運搬用の車輛、予備の発熱石、アリンコが熱に反応するってンなら熱を発さない灯りの宛、後は誰かが言ってたが……砂糖菓子ィ? 一応聞いておくけど、ンなモンあるのかよ爺さん」
「砂糖菓子かの?」
「いや、無いなら無いで構わねえ。どうせ持ち込みで何とかするだろう、多分。だが前半言ったモノの方はマジで頼むぜ! 俺達だって墓石に『準備不足で死す』なァんて刻んで欲しくねえからよ!」
「ほれ、角砂糖。一袋か? もっと持っていくか?」
「あんのかよ!」
「そりゃまあ、酒のつまみに砂糖だって舐めるじゃろ」
 あるならあるに越したことはない。
 ブライアンはちょっと納得いかない面持ちで角砂糖を1つ齧って。
 こうして手に入れた砂糖やルシアの砂糖菓子には、錬が調香と職人魂で香付け、袋から取り出す事で虫寄せの匂いを発するように加工する。
「ふーん。採土場ねぇ。良質な土が取れる場所は甕を作るのに大切よね。何やらお酒を入れるのに適してるみたいだけれど、小さいのを一つお土産に持って帰りたいわね。お金はちゃんと払うわよ? 幻想のお金使えるのか知らないんだけど」
「ハッハッハ。そんなもんが欲しいなら帰る時に焼いてやるわい」
『お父様には内緒』ディアナ・クラッセン(p3p007179)と相賀がそんなことを言っているが、そんな提案が出るという事実が相賀との良い関係の証拠に他ならないだろう。
 アーマデルからアダマンアントの説明を聞きながら『今を写す撮影者』浮舟 帳(p3p010344)はグッと拳を握る。
「流石は覇竜、アリさんもそこまででっかくなるんだね! そんなにでっかいのが何回も来たらすごく困るもんね! 害虫はちゃんと対策しないとだ。分かった、全力で塞いでみせるよ!」
「特異運命座標って案外泥臭い仕事も請け負ってんだな? まぁ任せてくれよラッキーボーイ&ラッキーガール! ずぶの初心者なりにお役に立つぜ、周囲をあっと驚かせる程の強運で!」
『幸運の引鉄』ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)もアビスウォークを活用しながら少しでも知識を得ようとして行く。
 まあ……ジュートの言うような幸運でもあれば、今回の仕事も簡単に済むかもしれない。
 逆に不運であれば、全員アダマンアントにボリボリと齧られてしまうかもしれない。
 全てはコインの表と裏。すでにコインは投げられたのだ。

●アダマンアントの巣へ
「まずは埋める場所を決めるためにも周囲のマッピング、ですけども……それは得意な人に任せて、ルシアは埋めるための土を運んでおくのですよ。運んだ実績ならあるから多分大丈夫でして!」
 そう、ルシアはアダマンアントに追われながら土を載せた台車を運んだ経験がある。
「……とは言ったけども、普通の台車だとやっぱり重いのですよ。それでも普通に運ぶ分には問題無しでして! きっと普段から魔砲で鍛えてるおかげなのですよ!」
 それはどうだか分からないが、かなり手際は良い。
「……超寝不足っ! 徹夜明けの妙なテンションで挑むぜ!」
 ジュートは叫びながら、他の皆と一緒に土を掘る。
 アダマンアントの習性はある程度理解できても巣の中がどうなっているかまでは結局分からなかった。
 仕方ない。硬い岩盤でも掘り進もうとするアダマンアントだ。
 何を考えて巣を広げているのか誰にも予測がつくはずもない。
 さながら巣の中はちょっとしたダンジョンと同様だろう。
 ゼフィラも土運びをしながらアダマンアントの行動パターンを読めないか穴をじっと観察してみるが……一般的なアリと比べるとかなり攻撃的な生き様であろうという程度しか理解できない。
「なるべく奥からガチガチに塞いでやりたいけど、アリと鉢合わせるのはご免よね」
 ディアナはファミリアーのネズミを先行させて、巣穴の詳細を把握しようとしていく。
「酒蔵の聖女、先行偵察を頼む」
 アーマデルも酒蔵の聖女を偵察に出すが……そうして得られた情報を、やってきたジュートが地図にしていく。
「地道な努力とか根性論は任せろってんだ、うおぉぉ!」
 そうやってジュートも頑張っていくが……地図を描いていけばいくほど、その顔は青くなっていく。
 当然だろう……そうして分かったのは恐ろしく複雑で、かつ底が見えないという事実だった。
 ディアナのファミリアーが見つかって潰された時点で探索は中断となったが、もしかすると予想以上に複雑で大きい巣なのかもしれない。
 どうにかするにしても、この採土場を戦場にするわけにはいかないだろう。塞ぐのは正解であるとしか思えなかった。
「よし、ちょっとゾッとする結果になったけど……何処を塞げばいいかは見えたわね」
 サイバーゴーグルをつけるディアナに、ゼフィラも頷く。
「さて、手足は機械じかけの義手だし、肉体労働でも疲れはしないだろう。張り切って働くとしようか」
 例えば排泄物や移動の後などを判別できるなら、その痕跡の多い場所は定期的にアダマンアントが通るルートなのだろう。
 そうした提案を仲間にしながらもゼフィラは気合を入れ直す。此処から先は死地。
 だが、準備は充分すぎる程にしている。
「蟻たちの数を考えると出たとこ勝負も出来ないしな。事前準備は大事ってこった」
「とにかく静かにしつつ厳戒態勢で臨まなきゃだね! 耳と鼻をすっごく利かせていかないと。 普通のアリさんと一緒なら巣まで匂いがするはずだよね? ならその匂いが濃くなる少し前まで気をつけながら進もう!」
「そしてどうしてもという場合は(破式)魔砲を使うのですよ。何かあってからでは大変なので、どうしてもという場合は魔砲を使うのですよ! 出来ればバレずに終わりたいけど、どうしてもという場合は魔砲を使うのですよ!!」
 大事なことなのでルシアが3回言ったが、そうならないように頑張らなければならないだろう。
 錬と帳も言いながら、穴の中へと潜っていく。
 穴の内部では暗視を頼りにして明りは用いない。光はこちらが思っている以上に遠くに届くからだ。
 香りや音を気にするのも同じだ。
 少しでもアダマンアントに気付かれる可能性を減らそうと考えていた。
 静かに、静かに進んで。時折砂糖菓子をバラまきながらアダマンアントの誘導を試みていく。
「まるでステルスアクションのキャラクターになった気分だね」
 こっそり帳がそう呟くが、まさにそんな感じではあるだろう。
 見つかれば死。そんなところまで一緒なのだから。
「空の加護を得た亜竜種が土の中でくたばるのは御免だぜ」
 そうジュートが呟くが……こんな場所で死にたくないのは誰も同じだろう。
 そして埋める予定の場所を見つけると、周りにアリがいないことを確認してからルシアが少し離れた場所に砂糖菓子を置いていく。
「普通のと好みが同じかは分からないけどもきっとやる価値はあるのでして!」
 そして、その間に錬とディアナが協力して土を盛って穴を塞ぎ、発熱石の粉を振りかけていく。
 そうすると、陶器を作るのにも使っている土はあっという間に陶器の壁へと焼き上がる。
 積んだ土の分厚さからして、相当に硬い壁が出来上がったはずだ。
 アダマンアントが本気で壊そうとすればどうなるかは分からないが、そうならないように有用な塞ぎ方を事前に検討している。
「発熱石……面白い性質だな、「かがくへんか」とかいうやつだろう知ってるぞ……使い捨てカイロみたいなものか……?」
 アーマデルがそう呟くが、実際それに似ているだろう。
 地面に落ちた発熱石の粉はもう熱を失っているし、ディアナが事前に試したところ、削った粉はその時点から効力を発揮してしまうようだった。
「うし、次行くか。こんな場所にいると気も滅入るしな」
 そんなブライアンの軽口に全員が笑って。響いた足音に全員が息をひそめ、その場に佇む。
 どうやら塞いだ場所の「向こう側」にアダマンアントがいるようだが……陶器の壁を気にしている様子もない。
 目論見は成功していると言っていいだろう。
 だが、此処に「居る」と気付かれれば全てが台無しだ。
 静かに、静かに……確実に居なくなったと確信できた瞬間に、全員が息を吐く。
「この調子で、あと2か所行きましょ。移動はゆっくりでも確実に、よ?」
 ディアナの掛け声に全員が頷いて。そうして無事に3か所を塞ぎ終わると全力で採土場まで撤退し、最後の穴を念入りに塞ぐ。
 しっかりと焼き上がった陶器の壁は、さながら封印だが……これでどうにか、といったところだろうか。
「うむうむ。無事に戻ってきたのう」
「今回のメンバーは慎重派揃いっぽいからよォ、ま、当然の結果だな」
 ブライアンがそう言えば、相賀は楽しそうに笑う。
「それでいいんじゃよ。元より勇気と蛮勇の境目は曖昧じゃが、此処では慎重すぎるくらいで丁度良い」
「……なるほどね」
 ゼフィラはくえない人だ、と言いながら小さく息を吐く。
 この覇竜領域デザストルは死と常に隣り合わせの場所だ。
 アダマンアントの巣の中は、それを比較的安全に……しかし色濃く感じることのできる場所であるのだろう。
「ま、これでお仕事おしまい。アリともこれでお別れでしょう」
「だといいがのー。何処に穴が開くか分からんからの」
 冗談交じりに言う相賀にディアナが嫌そうな顔になるが……事実、それもあり得るのだろう。
 今回の仕事もまた、対処療法に過ぎない。
 過ぎないが……此処に暮らす亜竜酒たちは、そうして生きている。
 それを誰もが、強く感じたのだった。

成否

成功

MVP

ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)
ラッキージュート

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
黒鉄・相賀の好感度が上がりました!
採土場が使えるようになりました!

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