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シナリオ詳細

亜竜集落ウェスタにて

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●覇竜領域にて
 覇竜領域デザストルは大陸南方の山脈に拠点を置く竜種の領域だ。
 国というよりは棲家といった方が適切でしょう。住民である人種『亜竜種』たちは領域(くに)と呼んでいる。
 竜種の住処であるという危険性から人類未踏の地ともされ、地理に関してはほとんど分かっていない。
 人間(人類)とは土台存在の異なる上位竜種の存在が多数観測されており、亜竜種と呼ばれる人種以外の混沌生命体は進んで此の山脈には近付きもしない。
 竜は自身の認めた勇者にのみ力を貸すとされているが、実際の所その観測例は殆どなかった。
 伝説や記録には極々稀に『竜を従えた勇者』の存在は記録されているのだが、実際の所それが可能であるかどうかは定かではなく夢物語であった。
 だが、絶望の青にて観測されイレギュラーズと敵対した『滅海竜』リヴァイアサン、練達で観測された『怪竜』ジャバーウォック等、その存在は夢物語ではない。
 そして……そのデザストルの亜竜集落フリアノンから地下通路を通ると、亜竜集落ウェスタと呼ばれる場所に到着する。
 ピュニシオンの森と呼ばれる深き森の近くに存在する地底湖周辺に集落を築いた水竜が始祖である集落です。
 地底湖に繋がる湖には獣よけの魔法が施されており、許可なき者を決して通さないという、その場所だが……。
 何故かフリアノンに、そのウェスタから度々やってきているという少女の姿が見受けられる。
 そして今、その少女が困ったような表情をしているのも。
 今、このフリアノンで必要とされているものがある。
 それを手に入れるには……『覇竜領域トライアル』を利用するのが、最適であるだろう。

●亜竜集落ウェスタへ
「正直、関わりたくはないんだ。でも、同胞からの頼まれごとを断ることもできない」
 亜竜種の少女はそう前置きすると、甕(かめ)の並んだ建物の前に座りヒラヒラと手を振っている老人に視線を向ける。
 確かあの老人は……黒鉄・相賀とかいう酒職人の亜竜種だっただろうか。
「一応言っておくと、私はあなたたちに積極的に関わろうとは思っていない。だから、この名前は覚えなくても構わない」
 念押しするようにそう言って、少女は自分の名前を告げる。
「静李(しんり)。それが私の名前だ。今回は『覇竜領域トライアル』の体に則り、あなた達に仕事を頼みたいと思っている」
 この亜竜集落フリアノンから地下通路を通ると、亜竜集落ウェスタに辿り着く。
 ピュニシオンの森と呼ばれる深き森の近くに存在する地底湖周辺に集落を築いた水竜が始祖である集落だ。
 地底湖に繋がる湖には獣よけの魔法が施されており、許可なき者を決して通さない。
 そして周囲には水場や氷の洞窟など「水」に関連するスポットが多くあるが……今回は「水」がその目的の品となる。
「良いお酒には良い水が重要……らしいんだ。でも、ウェスタの周囲も危険地が多い。ついでに言えば、私たち『水竜の一族』ほど水に長けている亜竜種も存在しない」
 つまるところ、静李の教えるルートで指定した水場に辿り着き、水を持って帰ってくる必要がある……ということだ。
「ウェスタまでは連れていく。そこから先は地図を貸すから、ルートを外れないように水を持って帰ってきてほしいんだ」

GMコメント

亜竜集落ウェスタに住む「静李」からの依頼となります。
フリアノンから静李の案内に従い地下通路を通ってウェスタに行きましょう。
そこから先は静李がルートを記載した地図を貸してくれるので、水場に行き水を持って帰りましょう。
なお、水を持って帰る用の甕(かめ)は必要数を酒職人のご老人が貸してくれます。
大きさ、数などはご指定ください。
以下、必要情報です。

●水場
ウェスタからゴツゴツした荒れ地や岩山の間を抜け、少し離れた水場が存在します。
静李に渡された地図のルートを辿る限り、行きに関しては然程の危険はありません。
汲んでくる「水」ですが、お酒に適した水であるらしいのですが、水場にはいつの間にか強大なモンスターが居るようです。
甕に水を汲んで何処かに行こうとする皆さんを面白がって追いかけてきます。
相手してもちっとも良い事はないので逃げましょう。そのうち飽きて帰っていきます。

●モンスター
・ネオサイクロプス
覇竜領域デザストルを闊歩する強大なモンスターのうちの1体。
1つ目の巨人であり、その辺の岩山を割って作った巨大な剣を持っています。
その剣を思いきり突き刺してくる墓標撃、地面を砕く蹴とばし攻撃を使用します。
どちらの攻撃も派手な音をたてるため、周囲のモンスターの興味を強く引くでしょう。
戦えば戦うほど、皆さんの生還の可能性が減っていきます。
なお、皆さんが水場に到着した時には向こう岸で胡坐をかいています。
水を汲んでいる最中は皆さんが挑発行為をしない限りは興味深くじっと見ているだけでしょう。
帰ろうとした瞬間が鬼ごっこの始まりです。

●静李
覇竜領域デザストルに存在する亜竜集落ウェスタで生まれ育った少女。青き鱗の己等を『水竜の一族』と称しています。
基本的に物静かで、一歩引いたところから全てを見遣るスタンスを貫こうとしているようです。
今回皆さんに仕事を頼んだのは「同胞に頼まれたので仕方なく」といった理由であるようです。
今回も案内はフリアノンとウェスタの間のみ。
今後どういうスタンスで皆さんと関わっていくのか、いかないのか。
彼女にとっても、今回はその見極めをしようとしています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 指定されたルートを通る限り、行きに関しては想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 亜竜集落ウェスタにて完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年01月26日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
ウォリア(p3p001789)
生命に焦がれて
冬越 弾正(p3p007105)
終音
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
一条 夢心地(p3p008344)
殿

リプレイ

●美味しい水のために
 酒の味は水で決まるという話がある。
 無論、水が全てというわけではない。ないが……それだけ重要なファクターであるということだ。
 故に、良い酒の産地には名水と呼ばれる類の水があることが少なくない。
「良い酒には良い水が重要、か。興味深いねぇ。水の豊富さで言やぁうち(海洋)は群を抜いているだろうが、酒造りに使えるような真水ってのはそう簡単に手に入る代物じゃねぇからなぁ。ここの水なら、どれだけ旨い酒ができるのか……酒好きとしては、是非とも後で一杯飲ませて貰いたいモンだ」
『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)は言いながら、ゴクリと喉を鳴らす。
 海洋の住人として、その良さが理解できるからだろう。
「水竜さまに助けられた身、違う竜だろうけども何かの縁だ。全力で手伝うぜ? ……あ、それと俺もお酒飲みたい! 竜すら酔わせるような強いやつなのか?」
「お酒のことはよく分からない、けど」
 静李は思い出すように『空の王』カイト・シャルラハ(p3p000684)へと言葉を返す。
「色んなのは作ってるらしいよ」
「そりゃ期待できるなあ」
「だよな!」
 縁とカイトは盛り上がり始めるが、酒好き同士気が合うのかもしれない。
 そしてそんな2人から視線を外すと、静李は自分を見ていた『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)へと視線を向ける。
「静李さん、どうぞよろしくおねがいします。雨宿りの雨宮利香、今は名を覚えて貰わずとも戦いっぷりを目に焼き付けてあげましょう、ってね!」
「そう」
 頷く静李に、利香はなんとも言い難い笑みを向ける。
「ふふ、無理に信用しろとはいいませんよ、むしろ受け入れてくださってありがたい限りです」
(対価と仕事があればおっけーが私のモットーですし!)
「元よりまずは注文に応えてこそだろう。水竜が水場を許す、それだけで言外の「品定め」になろう事は想像に難くないものだ。トライアルと題されるなりに粛々とオーダーをこなすまで……余計な馴れ合いを求め合う段階でもあるまいさ」
『戮神・第四席』ウォリア(p3p001789)もそう言って、ゆっくりと歩く。
 事実、しっかり結果を出しさえすれば静李は利香のことを評価するだろう。そういう意味では、利害が一致しているといえるだろうか。
「良い酒には良い水が不可欠というのは当然知っているよ。酒は大好きだからね。さて、それがどれ程の名水なのか……少しくらいは現地で味見していこうかな」
『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)は言いながら、周囲を見回す。
 フリアノンからウェスタへと続く地下通路。それは物見遊山も兼ねているマルベートにとっては、中々興味深いものではある。
「甕を背負って走るとは。何だか少年漫画の修行の様でワクワクするな!」
 しかしこれもまた覇竜との友好を築く大事な任務。はしゃぎすぎていつも通りに派手な音を立てないようにしなければ……と『長頼の兄』冬越 弾正(p3p007105)は自戒するが、静李が「少年漫画の修行……」と呟いているのを見て少し驚く。
 修行自体に興味を覚えているわけではないだろうが、外界の情報に興味を持ったのかもしれない。
 だがまあ、実際には甕が幾つも馬車に積まれている。
 これでは修業とは言い難いかもしれないが……今回の目的を考えれば、これが最適解だろう。
 そして『特異運命座標』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は、静李のその一歩引いたような態度を観察していた。
(彼ら、亜竜種からすれば俺達はまだまだ隣人には遠い関係性だろう。俺達が彼らに関わって行くというのならこう言った困りごとを解決する事もきっと役に立つ時が来る……急がば回れ、という奴だな)
 どの亜竜種も、イレギュラーズにすぐに心を開くというわけでもないだろう。
 静李は、その心理的な壁がかなり高い気もするが……まさに「急がば回れ」だ。
 結果を急いでも、良い結果は出ないだろう。
「確かに今回の件は引き受けた。静李。今回の仕事が終わったら、良かったらまた話をしないか」
 俺としては、君達と仲良くしたいのだが……という意思を籠めてベネディクトが問えば、静李はなんとも複雑そうな表情になってしまう。
「事前に言ったけど、私はあなたたちに積極的に関わろうとは思っていない。私はもう二度と……」
 言いかけて静李は黙り込んでしまうが……ベネディクトは、静李の瞳の中に自分を覚えている「色」があるのを感じ取る。
 これは、本当に時間をかける必要がありそうだ。
 そして、そんな空気を変えようとしたわけでは別にないだろうが、『殿』一条 夢心地(p3p008344)が笑い出す。
 奔放自在にして行雲流水な殿様は場の空気とかいう目に見えないものに流されはしない。
「美味い酒を造る為に、適した水が必要、とはの。なーーーっはっはっは! 亜竜の頼み事ゆえ身構えておったが、いやはや。うむ、うむ。美酒を追い求める情熱は、時代も、土地も、種の垣根すら飛び越えるというものよ。はっは。大船に乗ったつもりで、この一条夢心地に任せておくが良いぞ」
 言いながら、夢心地は馬車を引いている亥勢海老『Kutsche』を指さす。スタイリッシュに。
「この仕事に必要なのは、水を運ぶ為の荷車の類じゃな。そこで麿の方で一騎用意したのが、馬車代わりのこの運搬用の大海老。その名も「え~び~君」じゃ! 元より陸路に適した種じゃが、更に麿の調教術によって多少のトラブルもなんのその!」
「……この人は?」
「……殿だ」
 そう説明するしかないのが心苦しくて、けれどベネディクトは目だけは逸らさない。
 ともかく、静李の案内でウェスタまで到着した後は、水場への移動である。ババンガバン。

●美味しい水を回収せよ
 水場に到着すると、まず驚いたのはネオサイクロプスの威容だった。
 巨大なその姿は事前の情報通りに水場の対岸にあり、優雅に胡坐をかいて座っているのが見える。
「とりあえず、あのでっかいのは水を汲んでいる間は何もしてこねぇようだし、さっさと必要な分だけ甕に汲んで、ベネディクトと夢心地の馬車に積んで行くとしようかね」
 縁の言葉通り、ネオサイクロプスは今のところ立ち上がる気配もない。
 ここまでのルートはマルベートとベネディクトより地図だけに頼らない目視の確認……躓きやすそうな箇所や間違えやすそうな小道などがないかなどの観察、そして予め退かせる障害物がないかなどの確認と情報共有も行っている。
 そして結論としては、あのネオサイクロプスがいなければ特に問題はない……のだが、奴とて永遠にあそこに居座る気でもないだろう。無理に倒す必要性は感じられない。
 これもベネディクト曰く「これも仕事の内になるだろうし、道のりを覚えておかないと逃げるにしても大変な事になるだろうからね」とのことだが……この後待っている撤退戦のことを思えば、それは大切なことだろう。
「やはり事前の情報通り、平坦な道では無いな。馬車を使うにしても上手く使わねば」
「ああ、そうだね。とはいえ……上手くやるしかない、といったところだね」
 どれだけ調べても、こんな命の危機に直結した撤退戦はそうはない。
 全てが上手くいくとも思えないが……いや、だからこそ事前の準備は大切だ。
「うむ。行きは特段問題無い道程ゆえ、ルート内のちょっとした障害などはきれいに除いておきたいところじゃったの。歩くには問題なくとも、水を積んだ馬車や海老が通行するには、難儀する場合もあるからの」
 そしてそんなマルベートたちに夢心地は少しばかり悔しそうに言う。
 散らばった砂利や木々等を可能な範囲でぽいっとどかしつつ、超方向感覚を用い、当該ルートの記憶をしてはいたが、流石に整地だけはそう簡単にはいかない。
 そして今回の場合、その「整地する余裕がない」ことが最大の問題なのだ。
 まあ、整地した場合の問題点もあるだろうが……。
「あーあー、そういう奴ですか。びっくりお水零しちゃいましたー! なんて、驚く様ならここまで生きてませんって」
 そんな利香の冗談が飛ぶ中で、ウォリアの指示により水の積み込みが始まっていく。
 水場から水を甕に手早く汲み、終わった甕から持ち上げ、ネオサイクロプスを刺激しないように馬車に規則正しく並べていく。
 この2台の馬車と甕により、持って帰れる量はそれなりにあるが、それゆえに増えた容器の管理が重要になる。
 撤収にもたつかず、相手が追い掛けるその走り出しには此方も逃げを開始出来るようにしなければらない。
 だからこそ汲み出し作業がその鍵になる。万が一途中で甕が割れてもいいように、いくつか多めに汲んでおくのも忘れない。
「帰り道も悪路とくれば、揺れて甕がぶつかる音も他のモンスターの「呼び水」になるかもしれん。きっちりと整頓して並べておけば、甕が多少ぐらついても前後左右の甕で抑えられるだろう」
「ああ、それは重要なことだ。音に関しては、どれだけ気をつけても足りない」
 ウォリアに弾正も頷き、積み込み具合を何度も調整していく。
「音」の因子を持つ弾正としては、ウォリアの懸念は琴線に触れることだったのだろう。
 積極的に、何度も話し合いと調整を実施している。
「……にしても、確かにいい水だ」
 水を汲みながら、縁はそう呟く。
「特段詳しいわけじゃねぇが、透き通り具合だとか匂いだとか、そこらの水とは違うってのはわかるぜ。海種らしく褒めるなら「泳ぎ回りたくなる水」って所だ。いや、流石にやらねぇがね」
 それは縁としては最大の賛辞だろう。
 事実、酒に合う水というのは通常の水とは判断基準が異なる。その辺りの違いを縁も感じ取ったというところだろう。
 そして、水の積み込みが終われば後は帰るだけ、なのだが。
「では、追いかけっこの開始と行こうか」
「よし。水を汲んでえ~び~君にも水を飲ませたし、いざとんずらじゃ」
「殿が御者って凄い構図だ……」
 カイトが夢心地の頭に振ってくるタライを幻視するが、さておいて。
「汲み終わったら、案外このまま楽に帰――れる訳ねぇわな、そりゃそうだ」
 夢心地の運転する馬車とベネディクトの運転する馬車が動き出そうとしたその瞬間、ネオサイクロプスがゆらりと立ち上がる。
 面白い玩具を見つけた、と。そう言いたげな笑みを浮かべて。
「\殿!後ろ!後ろ!/って聞こえ……うわもう来やがった!」
「馬車の皆さん、後はよろしく頼みましたよー♪ いひひ!」
 笑いながら利香がミルキーチャームでウィンクを飛ばす。
 まずこの作戦の最優先は、馬車を確実に逃がす事。だからこそ、多少の……けれど命がけの時間稼ぎを選んだ。
 だからこそ、利香は思う。
「騒がず焦らず落ち着いて、躱して受け流して翻弄して見せましょう、宿娘流の防戦を」
(ええ、増援も来るわね? 騒ぎ立てて親の助けを呼ぶ子供みたい……でも大丈夫)
「心配しなくたって、みんな、みぃんな……愛してあげますよ♪」
 私(サキュバス)は襲ったりしないですが、来た子はみぃんな搾り取ってあげるんですよ? と、利香が浮かべるのは妖艶な笑み。
 その間に馬車は走り出し、ウォリアも併走し……弾正もネオサイクロプスの進路に錆びた画びょうを蒔いてから走り出す。
「……どうだ、ちょっと忍者っぽくて格好いいだろう!」
 まあ、サイズと表皮的に効果は微妙かもしれないが……ないよりはずっとマシというものだ。
「遊びてぇんだろ、お前さん。だったら、そんな物騒なモンは振り回しなさんなよ」
 そして縁もその場に残り、片足を狙って攻撃を加えていく。
「俺の得意分野、回避特化だ! 空を飛ぶ俺は一つ目ごときじゃ捕まえられねぇぜ?」
 カイトも飛び回り、時間を稼ぐ中……ベネディクトたちはウェスタに向けて馬車を全力で走らせていく。
「普段から名水を飲んでいるであろう生き物の肉の味も気になるのだけど……今日の所は我慢しておこうか。食べ応えのありそうな目玉やよく発達した筋肉なんかは本当に捨てがたいのだけどね」
 マルベートがそんな冗談……冗談ということにしておこう……冗談を言いながら場を和ませていく。
 ネオサイクロプスを引き付けて貰っているおかげでこちらへの襲撃は今のところないが、必ずないというわけでもないだろう。
「多少の悪路であればこの程度、乗り切れると信じているぞ」
 ベネディクトは馬にそう語り掛け、夢心地も真剣な表情を見せる。
「覇竜領域にて絶対にしてはならぬのは「指定されたルートを外れること」と認識しておる。どんなヤバめの状況にあったとしても、この点だけは破らぬよう心得つつ、逃げて逃げて逃げるのじゃ!」
 それはまさに歴戦の勇士の言葉。そうして2つの馬車は1つの甕も割らずに、ウェスタまで辿り着き……利香たちも少し遅れてボロボロになりながらもウェスタに戻ってくる。
 そこから、少しだけ安心した様子の静李と共にフリアノンに戻ると……酒職人の老人、相賀が「おお、戻ったか」と歓迎してくれる。
「あー、喰われるかと思った。あの眼、どう見ても鶏肉と思ってやがったぞ!?」
 そんなことを言うカイトに利香が笑うが、どうであるにせよ生き残ったなら正義である。
「……ところで、件の名酒とやらは味見出来ないのかな? 正直依頼を受けた時から気になって仕方なかったのだけど」
「ん? 名酒っつーと……おお、竜牙酒か。うむ、いい仕事をしてくれたのだ。馳走するのは吝かではないのう」
 相賀の作る覇竜独自の名酒のことを言うマルベートに頷きながら、相賀は弾正の取り出した『M』の果実酒に視線を向ける。
「差し入れだ。酒盛りでもしないか?」
「ははっ! 分かっとるのう!」
 そうして始まった酒盛りに静李が溜息をついているのを見てベネディクトが苦笑する。
 あのノリにのっていくのは中々難しい性格であろうことは、もう分かっている。
 そして、そんな静李にウォリアが声をかける。
「任務完了……中々いい運動だった。気が向いたらまた依頼を出すがいい。今度は「試験」ではなく、な。積極的には関わらずとも、一本や二本の助けの手がいる時もあろうよ」
「……そう」
 そっけない返事。
 けれど、多少の信用は得られた。そう感じる、そんな返事だった。

成否

成功

MVP

ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

状態異常

なし

あとがき

黒鉄・相賀からの好感度がほんのちょっとだけ上がりました!
静李からの好感度が微妙に上がりました!

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