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シナリオ詳細

死せる小夜啼鳥の為のパヴァーヌ

完了

参加者 : 14 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 天義の高台に、未開拓の森がある。
 ――いや、正確には、敢えて開拓されない森がある。
 其の森に、冬にのみ現れる青い鳥。運ぶのは幸せではなく秘めるべき秘密。
 とある神官は彼らを呼ぶ冬の冷たさを“告解の魔力”と呼んだ。どんなに口が堅い罪人も、この森に入ってしまえばあっという間に罪を吐き落とすからだ。
 胸から飛び出した罪は青い鳥の形を取り、声高に歌う。

『私が罪を犯した!』

 神官たちは其の鳥――“小夜啼鳥”の歌に真実を見る。故に、罪を犯すやましい心があるものは冬を恐れる。小夜啼鳥の森に連れていかれるのが恐ろしいのだ。
 北風に耳を澄ませば、過去の誰かの秘密が聞こえてくるかもしれない。
 其れは捕まえ損ねた秘密。誰が置いたか、小夜啼鳥の森にはおびただしい数の鳥籠があった。其処に入れてしまえば、まるでネジが壊れたかのように小夜啼鳥は大人しくなるからだ。
 だから、森を訪れるのは罪人と神官だけではない。恋を募らせたもの、恥を隠し通したいもの、あらゆる人間がこの森を訪れる。
 秘密の重さを、小夜啼鳥の歌声に閉じ込めるために。



「小夜啼鳥の森、というのがあってね」
 グレモリー・グレモリー(p3n000074)が鳥籠を一つ、カウンターに置く。
「天義にある、一つの懺悔室のようなものだよ。冬にしか使えないけどね。冬の森には“告解の魔力”が満ちると言われているんだ。そうして、秘密を抱いた者が森に踏み入ると、胸から青い鳥が飛び出して、秘密を歌ってしまうんだって」
 怖いね。
 グレモリーは矢張り、何処か他人事のように言うのだ。彼には秘密というものが存在しない。あるがままを描き、恥じる事なく見せてきた画家だからかもしれない。
「でもね、其れを防ぐ術もちゃんと存在する。こんな鳥籠がね、森中に散らばっているから。胸から飛び出した青い鳥――小夜啼鳥を捕まえて鳥籠に入れてしまえば、秘密は護られる」
 かしゃん。
 細い金属で作られた鳥籠を揺らし、不思議だね、とグレモリーは首を傾げる。
「あとは、敢えて秘密を歌わせる人もいるみたい。懺悔の為だったり、言い聞かせる為だったり、自分では言えない事を小鳥に伝えて貰ったり。あ、そうだ。魔法の呪文があるんだ。森には今まで放たれて掴まってない小夜啼鳥がいるんだけど、彼らに呪文を唱えると、秘密を喋ってくれるんだ」

 “誰が殺したの?”

「――って唱えると、小鳥は答えてくれるよ。不穏だね。でも、誰の秘密かは判らないよ。下らない秘密だったりするかも知れないね。君たちは、秘密とかあるのかな」
 グレモリーは不思議そうな顔で、イレギュラーズを見渡した。
 あのね、君みたいに秘密のない人間の方が珍しいんだよ。

GMコメント

 こんにちは、奇古譚です。
 胸に秘めた気持ちが、飛び出して伝わってしまえば良いのに。
 そんな事を思った事はありますか?
 今回はお節介な青い鳥が住む森のお話です。

●目的
 小夜啼鳥の森に行ってみよう

●立地
 天義の高地地帯にひっそりと佇む森です。
 春~秋はなんて事のない森ですが、冬になると“告解の魔力”が森に満ち“小夜啼鳥”が姿を現すようになります。
 彼らが秘密を吐露する事を避けるために、森のあちこちに鳥籠が仕掛けられています。

●出来ること
1.小夜啼鳥で想いを伝える(伝えない)
 グレモリーが案内した通り、此処で言う小夜啼鳥は青い小さな鳥です。
 彼らは訪れた者の秘密を抱いて胸から飛び出し、枝にとまると其の秘密を歌うように鳴いてしまいます。
 其れを阻止するためには、胸から飛び出す小夜啼鳥を捕まえて、そこら辺に散らばっている鳥籠に閉じ込めてしまわなければなりません。
 しかしこれはある意味でチャンスです。言いたくても言えなかった事を、小夜啼鳥に代わりに歌って貰う事も出来るのですから。

2.過去の小夜啼鳥から秘密を聞き出す
 これまでに鳥籠に捕まえられなかった小夜啼鳥は、この時期だけ幻影のように現れて、あちこちの木々に止まっています。
 誰の秘密かは最早判りませんが、合言葉である「誰が殺したの?」を唱える事で、小夜啼鳥は彼らが抱いた秘密を歌い上げてくれます。
 恥ずかしい秘密かもしれません。秘めるべき恋心かもしれません。
 或いは、本当に秘められるべき禁断を、彼らは抱いているかもしれません。

●NPC
 グレモリーは今回はお声がけがあれば同行します。秘める感情がないので、余り興味がないようです。
 一方でリリィリィは秘密を聞くのが好きな悪い子なので、あちこちで呪文を唱えています。
 どちらもお声がけはご自由に。

●注意事項
 迷子・描写漏れ防止のため、同行者様がいればその方のお名前(ID)、或いは判るように合言葉などを添えて下さい。
 また、やりたいことは一つに絞って頂いた方が描写量は多くなります。


 イベントシナリオではアドリブ控えめとなります。
 皆さまが気持ちよく過ごせるよう、マナーを守ってイベントを楽しみましょう。
 では、いってらっしゃい。

  • 死せる小夜啼鳥の為のパヴァーヌ完了
  • GM名奇古譚
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2022年01月26日 22時05分
  • 参加人数14/30人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 14 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(14人)

ソフィラ=シェランテーレ(p3p000645)
盲目の花少女
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
メイメイ・ルー(p3p004460)
約束の力
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
閠(p3p006838)
真白き咎鴉
ネーヴェ(p3p007199)
星に想いを
星穹(p3p008330)
約束の瓊盾
ヴェルグリーズ(p3p008566)
約束の瓊剣
朔(p3p009861)
旅人と魔種の三重奏
ミソラ・アベンチュリア(p3p010031)
新たな可能性
イオルデア・ザ・ワールド(p3p010269)
赫焉

サポートNPC一覧(2人)

グレモリー・グレモリー(p3n000074)
リリィリィ・レギオン(p3n000234)

リプレイ


 イオルデアが見上げる先には、小鳥が数羽並んで秘密を歌っていた。
 数羽も並んでしまうと全く何を言っているか判らないのだが、ある意味鳥らしいとも言える。
 秘密が飛び立ち、歌う森。さて、訪れた者たちは――


「ひみつ」
 メイメイは首を傾げた。誰かに聞かれてしまうのは、ちょっと恥ずかしいかもしれない。例えば今日はおやつを食べ過ぎただとか、そんな他愛もないひみつばかりがメイメイの日常には振り積もっている。
 ならせめて、此処で秘密を歌う鳥たちを、嘗ての誰かの為に捕まえてみよう。
「という訳で、ご助力を、お願いに……」
「えー、捕まえちゃうの? メイメイは人の秘密を掴んでフフフ、ってしたくないの?」
 協力を請うたリリィリィは、不満そうに薔薇色の唇を尖らせる。
「其の、フフフ、とは、あまり……」
「むー。メイメイは真面目っ子なんだから。じゃあ僕が聞いた後なら捕まえてもいいわ。其れでも良い?」
「はい、……ありがとう、ございます」
「決まり! じゃああっちでね、何かお金の話をしている小鳥がいたんだ! 聞きに行こう!」
「待ってください、……お金……!?」
 物騒な秘密へと連れて行こうとするリリィリィ。メイメイは慌てながらも、彼の後を付いていくのだった。


「朔は何か秘密はあるの?」
 桃色をしたリリィリィの瞳が、朔を見上げた。
「俺? 俺は、別に」
「ふうん? 僕、君のヒミツ聞いてみたかったのに」
「趣味が悪いぞ」
「あら。僕と一緒にいるって事は、君だって其れなりに悪趣味なのでしょう?」
 意地悪げに笑う吸血鬼。まあいいや、と話題をすんなり変えてくれたので、朔は心中でほっとする。余り追及されるのは好きではない。
「……まあ、一風変わったゴシップ誌みたいだな、とは思った」
「君はゴシップ好き?」
「人並みには」
「成る程。じゃあ一杯聞きに行こうよ! 人間って本当に噂好きだよね」
 ふふふ、と笑うリリィリィに、朔は笑みを返さなかった。巧く笑う事が出来ないから。
「聞くなら折角だ、沢山聞いてみたい」
「あっちの方に密集してたよ。行ってみようよ」
 リリィリィが指差す方へ、二人で歩む。さて、どんな秘密が聞けるのだろう。


「孤児院で暮らしてた頃、悪い事して隠そうとする子どもに「この森に連れてくぞ」ってシスターが脅してたな」
「そうなんだ」
 怖いよな、とベルナルドはグレモリーに笑い。
「俺には別に秘めてる事なんて――」
「あ」
 グレモリーが見たのは、ベルナルドの胸元から一羽の鳥が羽撃いた光景。嘘だろ!? とうろたえるベルナルドを他所に、鳥は歌いだす。
 ――女心なんて判らない
 ――本当はもっと、アネモネに笑って欲しい。嬉しそうに笑って欲しい
 ――俺は絵を描く事しか出来ないし、顔を合わせりゃすぐ喧嘩。それでもせめて、男らしく……
「ああああ!?」
 ベルナルドの行動は速かった。さっと鳥籠を取ると、鷹もかくやたる速さで鳥を捕まえて投げ込む。
「……」
「……何も聞いてなかったよな?」
「うん、僕は何も聞いてないよ。別に、ベルナルドがいまでもアネモネ嬢の事を想っているなんて一言も」
「全部聞いてんじゃねえかせめて聞いてないふりをしてくれ!!」


 秘密なんてないって思ってたのに。寧ろ人の秘密を聞いてみようかな? なんて思ってたのに。
 どうしてこうなっちゃうの! フランは枝の下で恨めし気に、己の胸元から飛び出した青い鳥を見上げるのだった。
 手を伸ばして飛んでも届かない。鳥籠を振り回してもじっとしているばかりの鳥が、フィーヨ、と鳴いた。
 ――貴方に会えると嬉しいの
 ――優しいあなた。かっこよくて、強い人。
 ――誰かの為に一生懸命。そんなあなたが素敵なのに、どうしてかしら
 ――胸が締め付けられそう
 ああ、どうか。周りに誰もいませんように。
 あけすけに歌う鳥の声を聴きながら、フランは祈るしか出来ない。


 秘密を飲み込んでくれる。そんな巧い話もないわよね、とミソラは己から飛び出した小鳥を見上げて思った。きっとあの子も直ぐに歌いだすに違いない。小鳥は口を閉じてしまえば、生きていられないものだから。
 ――まだあの人は、姉ねの事がすきなのかしら
 ほら、歌いだした。そんな事、秘密にするまでもなくわかるし……気になるのは当然でしょう。弟の事を気にするのは当然だわ。例え年上でも、血のつながりがなくても、あたしが先にいたんだもの。其れ以上でも其れ以下でもない。
 ――誰が何を好きだって、自由よね?
 そうよそうよ。……って、其れ以上言うのは赦さないわよ!?
 ミソラは白翼をはためかせて飛び立つ。早くあの小鳥を捕まえて、鳥籠の中に押し込めなくちゃ!


 ボクの罪も、歌ってくれますか。
 閠はいつも一緒に居るシロとクロに留守を頼んで、一人で小夜啼鳥の森へ。
 胸がぶわっと焔のように熱くなる。ああ、あの日も赤かった。大切な兄を亡くした日の色。視界一杯に広がったあの赤色のように胸元が熱くなったかと思うと、羽撃きの音が正面から右へと動く。
 ――誰が殺した、お前の兄を
 ――其れは一族、血の繋がった彼らです
 ――誰が殺した、その一族を
 ――其れは私、私です
「……嗚呼」
 兄は自死した。ボクの一族が追い込んで。其の一族を、ボクが殺した。
 ああ、紅い色が見える。あれは血と炎、そして怒りの赤色だ。
 鳥が閠の肩へと戻って来る。適当に拾った鳥籠に収めると、思わず蹲った。痛い。全身の傷跡が痛む。喉が焼けるように熱い。
 其れでも、ボクに出来るのは……


 ネーヴェ、白うさぎ。
 胸元から飛び出した鳥を追いかける。歌ってしまわないように、木を枝を揺らして鳥を落とす。
 落ちてきた小鳥を手の中にしっかりと閉じ込めると鳥籠へと押し込んで、扉に鍵をする。
 白うさぎから飛び出した小夜啼鳥。どうか、鳴かないでいて。
 わたくし自身が聞きたくないの。白うさぎは耳を押さえる。
 ずっと言い聞かせているの。大丈夫だって、覚悟はもう決まっているって、ずっと。
 あの人をいざ前にしたら、其の覚悟が脆くなってしまうかも知れないだなんて。
 不安で、怖くて仕方がない、だなんて。
 そんな事、言える訳がないから。だから小夜啼鳥、貴方にも歌って欲しくない。
 ネーヴェは鳥籠の中で歌ってしまうのではないかと、暫く不安げに小夜啼鳥と向かい合っていた。


「秘密を歌ってしまう小夜啼鳥――まあ、まあ」
 すごいのね!
 忌避するのではなく、ソフィラが紡いだのは称賛の言葉だった。ぴぃぴぃ、ちりり。あの人が好き、あの人が嫌い。嘘をついてしまった、道ならぬ恋をした。様々な秘密が交じり合って、小鳥のさえずりのような音の奔流がソフィラの耳に入って来る。
 ソフィラの翼がほんのり輝いて熱を持ったかと思うと、ばさり、と小鳥が飛び出す。ソフィラの指先に止まると、彼女の秘密を歌い上げる。
 ――特別が、出来ました
 ――平等に幸せを分け与えたかったけど、そうできなくなってしまった
 ――誰にも伝えない、私の秘密。ただほんの少しだけ、あの人を大事に想わせて欲しいの
「……そうね」
 ソフィラは手探りで大地に落ちていた鳥籠を手に取ると、鳥を鳥籠へと導いた。
 言ったでしょう? 私だけの秘密だって。ああ、今は貴方と私の秘密かしら。
 もう他の誰にだって、歌ってしまっては嫌よ?


 今日はいつもの彼とではなくて、ひとりで散歩。
 置いてきちゃったから、もしかしたら拗ねているかも。其れは其れで可愛い、なんてアーリアはくすくすと笑う。
 彼女の胸の奥には、幾つもの秘密が燻っている。其の内の一つが飛び出そうと、彼女の胸元に輝きを灯す。ああ、駄目よ、歌っては駄目。アーリアは優しく小鳥を捕まえて、真鍮で出来た鳥籠へと閉じ込める。受け取るだけ受け取らせて、歌わせないで不自由にさせてごめんなさい。鳥籠の中でじっとする小夜啼鳥をつつけば、ぴぃちりり、と美しい声を返すばかり。
 ああ、貴方の中にはきっと私の独占欲(ひみつ)が凝ってる。
 本当はね、いつだって箒の後ろに私を乗せて欲しい。
 旅にだってついていきたい。お師匠様の話をする時には、其のふにふにの頬をつねりたくなってしまう。
 彼の事もこうして、鳥籠に入れて置けたらいいのに、なんて思うの。自由に歩いて、お酒を飲んで、そんな日常が幸せなのも判っているのにね。
 わがままだって言うかしら。当たり前だわ。女の子はね、いつだって我儘なものなの!


「んー。秘密。秘密なあ」
「あるっちゃあるが……」
 ルーキス・ルナールの夫婦は、知られても別になぁって顔で首を傾げている。深い秘密が二人の間にないのは良い事だ。
 だけれども、二人の胸には光が宿って、鳥がふわりと飛び立つのだ。ルーキスから飛び出した一羽が、先に歌った。
 ――貴方を拾ったのは、私が一目惚れしたからよ
「そんな理由もあったなあ!?」
「……ルーキス」
「待って今はこっちを見ないで頂けると!!」
 ルーキスはルナールの胸板に飛び込んで、己の顔を隠す。今きっと熱いから赤いから。そんなの見られたくないから。
 そんな二人をよそに、今度はルナールから飛び出した小夜啼鳥が応えるようにちりりと歌った。
 ――貴方にちょっかいを掛ける男が、過去からずっと嫌いだったんだ
「……」
「……あー、とんでもない忘れ物を……思い出したな……」
 人の秘密は楽しく聞けるなあ、とルーキスはルナールの腕の中で思う。
「んー、あー……これはつまり最初から、両想いだったという事で?」
「そう……なるな」
「今はどうなの? 今は」
「今はもう気にしてない、けど……あー、お互いこういうのは恥ずかしいな」
「あれこれ理由付けて素直になれないのも困りものだねえ」
 秘密なんて“今は”なかったけれど、“昔は”秘密だらけだったんだね、私達。
 ルーキスは少し笑いながらそういうと、頭を撫でてくれる大きな旦那様の手にすり寄ったのだった。ああ、あの鳥は後で回収しなくちゃね。別に誰と知られる訳でもないけど、恥ずかしいからさ。


 ――貴方が眩しい。眩しくて、苦しい。
 星穹の胸元から飛び出した小鳥は、あれよあれよと枝に止まって、そう歌い始めた。
 ――強さが妬ましい。私なんていなくても、貴方は戦えるのでしょう
 ――いつだってそう。私ばかりが貴方を追いかけている
 ――いつだって
 ぱん、と破裂音が響いた。
 其れは星穹の銃が、小夜啼鳥の傍の枝を射抜いた音だった。ちりり、と小夜啼鳥が飛んでいく。
 ヴェルグリーズは、星穹を見ていた。鳥の美しい声が、なんて悲しい声を紡ぐのだろうと。妬まれる事が苦しいのではなくて、彼女が其れをずっと抱えていた事実が苦しかった。どうせなら、吐き出してくれて良かったのに。
 星穹が駆け出す。ヴェルグリーズが追い掛ける。
「……星穹!」
 ヴェルグリーズが腕を掴んで引き留める。
「わたし、」
 あなたに、あんな愚かな感情を抱いていた。あなたを傷付けた。
 星穹の瞳から零れる雫を、ヴェルグリーズはそっと拭う。愚かなんかじゃない。其れは、俺がキミに手を伸ばさない理由にはならない。
 例え零れるものがあっても。俺が何度だって掬い上げてみせるよ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様でした。
いやあ~色んな秘密がありますな~!
とても楽しく書かせて頂きました。
ご参加ありがとうございました!

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