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シナリオ詳細

冬に春の風うらら

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●冬に春の風うらら
 凍える様な寒さの風やら雪が吹く、冬の一時。
 しかしながらここ、深緑『アルティオ=エルム』に眠る遺跡の先……伝説の土地『妖精郷アルヴィオン』は真冬であっても常春の温暖な気候に包まれており、冬であっても半袖で過ごせる様な場所。
 そんな温暖な気候の中、妖精達はふわりふわりと空を飛び周りながら、妖精郷を訪れるイレギュラーズの皆さんを歓迎すると共に、彼らの困りごとの解決を御願いしたりする。
 勿論、そんな妖精さんの困りごとの一つには、自分達を喰らおうとする迷惑千万な獣達を退治してきて欲しい、というのもある訳で。
『キャー!! みんなー、逃げて逃げてーー!!』
 悲鳴を上げる妖精さんと。
『ガルゥゥゥ……!!』
 と唸り声を上げて、涎を迸らせながら妖精郷を駆け回る、黒狼の群れ。
 そう、黒狼の群れは妖精達を餌として喰らうべく、妖精郷にどこからか迷い込んでしまった者達の様で。
 ……そんな妖精さん達が逃げ惑うのを、偶然通りがかった『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)が見つけると共に。
「みなさん……こっちです……こっちへ!!」
 妖精さん達を怖がらせないように、でも緊迫した声で呼びかけ、妖精さん達を避難させる。
 そして牙を剥く黒狼一匹を、その鎌で一閃、返り討ちにすると、黒狼達は散りじりにその場から撤退。
「……ふぅ。大丈夫でしたか?」
 とサイズが言うと、こく、こくと頷きながら。
『ありがとうなの……でも、あの黒狼さん達、度々襲い掛かってくるの。このままじゃ、私達、安心して暮らせないの……』
 目をうるうるさせながら言う妖精さん達に、サイズは頷き。
「判りました……皆さんが安心して暮らせる様に、精一杯の力を尽くします。ただ一人では限りが有るので、少しの間安全な所で待って居てくれますか?」
『うん……宜しく頼みます、なの!』
 ぺこりと頭を下げる妖精達……そしてサイズは、急ぎギルド・ローレットへと向かうのであった。


「みんな、突然話を持ってきてごめん。でも、妖精達の危機が迫っていて、俺一人の力だけだと完全に対処し切れなさそうで……皆の力を貸して欲しいんだ」
 そう、ギルド・ローレットでサイズの声を受けて集まった君達。
 その中の一人、『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174) は。
「いえ……妖精さん達が危ない目にあっているというのなら、どうにかして救いたいですし……それで、どういう事件があったのでしょうか?」
「うん。一年くらい前に、妖精郷に狼の様な獣が突如姿を表して、妖精さん達を喰らうって事件があったんだ。それに何か違和感を感じて、妖精郷を時々巡回してたら……また同じような事件が起きそうになっているんだ」
「妖精さん達は、取りあえず安全な所に避難して貰っているんだけど、どうやらその黒狼達が根城にしている場所を発見してしまった様なんだ。同様の事件を繰り返さない為にも、今ここで、黒狼達の根城を直接叩いて、根本から対処したいって訳なんだ」
「……そうですか……そうですね。現況を叩けば、黒狼の事件に一段落はつくかもしれません。とは言え黒狼の根城となると……中々の数が居そうですね……」
「そうだと思う。でも……妖精さん達が困っているのを、放っては置けない。だからみんな、ちょっとでいいから力を貸して欲しいんだ」
 深く頭を下げるサイズに、勿論です、と頷くルリア、そして皆。
 そしてイレギュラーズ達は、急ぎ妖精郷へと向かうのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 妖精郷の黒狼襲撃事件、やっと黒狼達の根城が見つかった様です。

 ●成功条件
   黒狼の根城に攻め入り、黒狼を『全て』殲滅する事です。
   尚、皆様の周りには、数匹の道案内の妖精さん達もいますので、彼女達を護るのも依頼の内に含まれます。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  黒狼の根城は、妖精郷の中の緑生い茂る森の中にあります。
  木々が生い茂っており、足場はボコボコしており、灯りがないと殆ど視界もない、という状況です。
  視界確保と共に、足場対策も必須でしょう……飛行があれば、足場はさほど関係無いでしょうが、地に足が付いている方々はその辺りご注意下さい。
  勿論、黒狼達はここが根城故、その足場の悪さは慣れっこになっているので足場の制限は受けません。

 ●討伐目標
   黒狼の群れですが、この黒狼の群れの中、一匹だけ他の黒狼から二回りくらい巨大な黒狼がいます。
   この黒狼は、この群れの中の親玉であり、異常な能力を手にしている様です。
   範囲攻撃の能力で、妖精さん達が喰らえばひとたまりもない攻撃の様です。
   また、黒狼達全員が共通して行うのは、鋭い牙での噛みつき攻撃と咆哮を上げる事によって、戦場に居る全員に恐怖と痺れを与えてくる様です。

   この依頼にはルリアも同行させて頂きますので、指示などはプレイングに記載して頂けるよう御願いします。
   又、〆切りまで少々短めなので、ご注意下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 冬に春の風うらら完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年12月30日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
虹色
エマ・ウィートラント(p3p005065)
Enigma
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
グリーフ・ロス(p3p008615)
紅矢の守護者
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女

リプレイ

●春の咆哮
 凍えるような寒さの冬……しかしそんな寒さとは無縁の、常春の地『妖精郷アルヴィオン』。
 そんな温暖な気候故か、優しく朗らかで、無邪気な妖精さん達。
 花から花に飛び回り、その香りを身に受けて楽しんだり、訪れてくれたイレギュラーズの皆さんを、自分達の出来る部分でおもてなししたり……。
 でも……そんな妖精さん達が持ちこんでくるのは、自分達の手で解決出来ない困りごとでもあったりする。
「そうなのね。妖精さんたち、狼さんたちに襲われて、安心して暮らせないのね……」
 と『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)が悲しげに呟くと、それに頷くのは依頼を持ち込んだ『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)。
「ああ。黒狼……最近勢力を広げているな……妖精達に被害が出る前に、殲滅しないとな……!」
 と言うサイズに、『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は。
「ああ……だが、面倒そうな依頼だな、とは思ったんだが、サイズの御願いとなれば無碍にする訳にも行かないからな……微力ながら力になれるなら幸いだ。と言っても、そもそも訪れた回数はたったの1、2回程度ではあるがな」
「そうなのね? 大丈夫、妖精さんが案内してくれるらしいし! でも、安心して暮らせる環境は大事なのよ! 狼さんたちも妖精さんたちをご飯と思って襲っているのかもしれないけれど、妖精さんたちお友達だから、ルシェたちは妖精さん達を護るのよ!」
 ぐっと拳を握りしめて気合いを入れるサイズに呼応するようにキルシェもえいえいおー、と拳を振り上げる。
 そんなイレギュラーズ達に、依頼主であり案内役の妖精さんは。
『わーん、ほんとうにありがとうなのー!! 狼さん唐突に襲ってきて、本当に困っていたのー……!』
『それに狼さん、わたしたちのおはなし、ぜんぜんきいてくれないのー……いれぎゅらーずのみなさんは、おはなしきいてくれるのー!』
 頭上をぐるぐると飛び回りながら、その身体一杯に感謝を示す。
 そんな妖精達の輪舞に仄かな笑みを浮かべつつ、目を細めるのは『抱き止める白』グリーフ・ロス(p3p008615)。
「……こちらは暖かいですが、もう、妖精郷の件から二度目の冬ですね……」
 そんなロスの言葉に、『Enigma』エマ・ウィートラント(p3p005065)も。
「ふむ。妖精郷に入るのは初めてでごぜーます。確か以前依頼で深緑に来た時は森をも……いや、それは置いておく事といたしましょう。今回は黒狼の襲撃の様ですが、狩りか何かでごぜーますかね? それならそれで、自然の摂理ではありんすが」
「そうなのですね……練達の件もあって、個人的にも静かに過ごしたい所ですが……その為には脅威を取り除かなければいけないようですし、お手伝いさせて頂きます」
「そうでごぜーます。まあ……一度妖精郷に来てみたいとは思って居たので、もののついででごぜーます。手を貸してあげんしょう」
 そんな二人の言葉に、『白き寓話』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)も。
「そうね。これは広義で言えば、森の治安維持にあたるのかしらね? 弱肉強食は自然の掟と言われればそうなのだけれど……それじゃあお話も進まないし。お話が通じるのなら、別の道もあるのだけれどね?」
 と軽く首を傾げると、それに『魔風の主』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)と『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)の二人からも。
「そうだね。どこからやってきた狼達が妖精を狙っているというという話は聞いていたけれど、こんなところに塒(ねぐら)があったんだね」
「こんな森の奥深くに黒狼とやらが潜んでいるのか……かなり危険だと言うのに、良く見つけたもんだな」
「そうだね。ここを潰せば妖精達の危険も一つ減るだろうし。でもかなりの数が居る様だから、大変そうだけど頑張ろうか……ああ、ルリアも怪我しないように気をつけてね?」
「ええ……でも、足手まといにならない様、精一杯頑張りますね……?」
 ウィリアムの言葉に『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174) が頷き、そしてイズマも。
「そうだな。妖精さんが二度と襲われないように、黒狼を討伐するぞ!」
 と発破を掛ける。
 ……そんなイレギュラーズの仲間達の協力に、サイズは。
「本当、皆ありがとう」
 と頭を下げると、周りの妖精さん達も。
『わたしたちからも、ありがとうなの……! ぜったい、ぜーったいにいつかおれいはさせてもらいます、なの!!』
 輝く鱗粉を振りまきながら、感謝の舞をイレギュラーズ達の頭上で舞踊るのであった。

●狼戒
 そしてイレギュラーズ達と妖精達は深い森を分け入っていく。
 うねる木の幹が足場を不安定にさせ、更に殆ど陽射しもさしこまないので、かなり真っ暗。
 ……かなり不気味な雰囲気は、常春の地にはそぐわない……でも、それこそが黒狼達が此処を塒に選んだ理由なのかもしれない。
 そんな薄暗闇に。
『うぅ……やっぱり、ちょっと怖いの……』
 とびくびくしている妖精さん。
 そんな妖精さん達に、ルリアは。
「大丈夫です……私達が絶対に護ります。だから、わたしの周りを離れないで下さい……ね?」
『う、うん……判ったのー……』
 と妖精さん達を優しく宥め、従う妖精さん。
 ともあれ、辺りが暗いと満足に歩く事すらも出来ないので、ウィリアムはナイトゲイザーを射し、イズマやキルシェは暗視を活用する事で視界確保。
 更にはカンテラなどの灯りも灯すことで、足元を確りと照らす事で転倒しないように注意する。
 そして、暫し森の中を歩いて行くと。
『……グルゥゥ……』
 と、低く不気味な呻き声が、遠くの方から響いてくる。
 その唸り声を、的の気配と共に察知したイズマが立ち止まり。
「……あっちか?」
 と指を差す。
 勿論その方向は、鬱蒼と生い茂る木々に覆われており、視界不良。
 かなり分け入るような森の中故に歩くのも大変だが、足元に注意しつつ、更に飛べる者は少し飛ぶことで足場の不利を最小限に抑える。
 そして、更に森の奥へと分け入っていくと。
『グルゥゥゥ……!!』
 今度ははっきり、イレギュラーズと妖精さん達の耳に聞こえる咆哮。
 明らかに敵対心剥き出しなその咆哮に妖精さん達が悲鳴を上げる……が、サイズは。
「大丈夫です。皆さん、バラバラになったら思う壺ですから、僕達の周りから離れないで下さいね」
 そう周りの妖精達に呼びかけ、安心させる様に呼びかける。
 ……すると。
『……グルゥゥウ!!』
 怒りに耐えかねたのか、獰猛な呻き声と共に、森の中から次々と飛び出してくる黒狼。
「おやまぁ……こりゃ沢山おりんすなあ」
 と、的の牙を軽く薙ぎ払いながらエマが笑うが、流石に数は多い。
 そんな敵の無差別襲撃に、咄嗟にイズマとキルシェが。
「いい? 俺とサイズさんが敵の注意を惹きつけるから、そうしたら妖精さんを連れて俺達二人から離れて欲しい。妖精さんを戦いに巻き込まないようにな」
「そうね! でも、危ない事はしないでね!」
 とルリアに指示を与え、妖精さんを連れてその場から少し離れるルリア。
 それを追い立てようと、黒狼達は攻め立てるが、その進路に立ち塞がるサイズとウィリアム。
「絶対に、この先には通さない……!」
「そうだね。さぁ、始めようか。狼よ、妖精に手出しをさせない……まずは、俺を破壊してからにしな!」
 二人叫び、そして敵陣ど真ん中で名乗り口上を上げるサイズが、敵の怒りを惹きつけつつも、己の守りを確りと固める。
 更にエマが。
「くっふふ、まあ個人的に恨みなどごぜーませんけど、仕事でありんすから、恨むんじゃごぜーませんよ?」
 と笑いながら少し飛んで、熱砂の嵐を吹き荒れさせて攻撃しヴァイスも。
「……話し合えるかと思ったけれど、話を聞く余地も無い様ね……哀しいわ」
 とぽつり零しながらの攻撃を行い、加えてキルシュも。
「暗いところで暮らしている狼さんなら、明るいの苦手だと思うの。だから、ちょっと眩しくさせるのね!」
 とその場で発光を行い、戦場の視界確保と黒狼達の目眩ましを行い、怯ませる。
 怯んだ黒狼達……だが、荒ぶり更に牙を剥く黒狼達。
 その牙が狙うは、イレギュラーズの中で一番小さい体躯のサイズ。
 だが、そこに割り込むように世界が聖なる結界を付与し守りを固める。
 そして黒狼達の攻撃をひとまずはやり過ごした所で、改めてイレギュラーズ達の猛襲開始。
「その辺りに纏まってくれてると嬉しいんだけどね? という訳で、間髪入れずに攻めていくよ」
 そうウィリアムが言うと共に、掌握魔術で狼を巻き付き切り刻む。
 また、エマも熱砂の刃で刻み、ヴァイスは薔薇の暴風を吹き荒れさせてて、纏めて攻撃していく。
 後衛のイレギュラーズ達が着実に黒狼達を傷付けて行く事で、彼らは多少ではあるが恐怖に後ずさり。
 ……だが、後ずさりする黒狼達の背後に、二回りほど巨大な別の黒狼が立ちはだかる。
『グゥゥゥ……』
 巨躯の獣は、怯んだ周りの黒狼達に発破を掛けると共に、退路を完全に封じて攻め入るように指示。
 なくなく攻撃するしか無くなった黒狼らは、決死の覚悟で前へ出てかじりつき、噛みつく。
 だが、その攻撃をすっ、と流れる様な動きで躱しつつ、グリーフはその巨躯の黒狼に対峙。
「攻撃の隙が、一番の隙ですよ。ナイトメアユアセルフ」
 そして敵の動きに応じる様に足止めブロックを行い、敵の動きを封鎖する。
 更にもう一匹の黒狼には、イズマが進み出て。
「さぁ来い! 俺が相手だ!!」
 とこちらも強烈な口上を述べて挑発し、ターゲットをしっかり自分にロックする。
 そう巨躯の黒狼の動きを封鎖した所で、サイズと世界が連携して行動。
 走り回る黒狼達一匹一匹を確実に集中攻撃する事で、一匹ずつに確実な止めを刺していく。
 とは言え暴れ回る黒狼達の攻撃は収まる事無く、中々大きなダメージになってしまう。
 しかし、ダメージを受けた仲間達をキルシェが出来るだけ巻き込める位置に移動した上で回復を飛ばす事で、倒される事の無い様に戦線を維持。
 勿論妖精さん達については、ルリアが離れた所に誘導した上で、決して離れないように声掛ける事で、そちらに対する被害が及ばないように立ち回る。
 そんなイレギュラーズ達の動きにより、普通の体躯の黒狼達が倒れていき……十数刻の時が経過。
『グゥゥ……』
 イレギュラーズ達の動きに、かなりの苛立ちの呻き声を上げる巨躯黒狼。
 そして、地面に転がる仲間達をも足蹴にして暗闇の戦場の中を跳ね回り、頭上からワンチャンスにかけて、妖精達を喰らおうとする。
 ……だが。
「……させません」
 とグリーフがカバーリングして、その噛みつき攻撃をその身で受ける事で妖精には被害を決して及ばせない。
 そして、そんな黒狼にヴァイスが。
「なぜ、こんなことをするのかしら? それほどの力なら、もっと穏便な方法だってあるでしょう?」
 と、あえて声を掛けての投降を期待する。
 ……だが、やはりというべくか。
『ガルゥ!!』
 血走る瞳はもはや正気を失いつつあるようで、その言葉も届かない。
「もはや声が届くことはなさそうですね……となれば、もう倒す他に無いでしょう」
 とグリーフが寂しげに零すと、それに頷きながら世界が。
「そうだな……ま、仕方ない。ならばさっさと倒す迄の事だ」
 と冷たく吐き捨て、更にイズマとサイズも、妖精達に聞こえるように。
「大丈夫だ、俺達は負けない! 絶対に護るし、必ず全て倒す! それを果たすまで……俺達は絶対倒れるものか!!」
「ええ、大丈夫です! 俺が護りきります!!」
 気合いを込めた叫びで己を鼓舞し、全力のビートで敵を揺さぶり、魔性の大顎で喰らい尽くしていく。
 そんなイレギュラーズ達の強力無比な一撃、二撃。
 重なる双撃に一匹が崩れ墜ちると、残るは後一匹。
 それが逃げられないよう、イレギュラーズ達がその周りを完全に取り囲む。
 ……でもまだ、諦めずに暴れ回る黒狼。
「本当に、仕方ないわね……」
「ああ。ま、もう容赦は不要だな」
 ヴァイスと世界が宣告、そしてグリーフが必殺の一撃を叩き込み、加えてエマの虚無の剣の一閃。
 ……その一撃に最後の黒狼は、断末魔の絶叫を上げて……地へと全て臥すのであった。

●祝福のキモチ
 そして……。
「ふむ……どうやらこれで終いでありんすな?」
 と、周囲を見渡しながらエマがぽつり呟くと、それにイズマも。
「そうだな……うん、もう黒狼はいない様だ。これで一安心だな」
 とほっと胸をなで下ろす。
 ただ、倒れた黒狼達に、少なからず此処を炒めているのも居る。
 とは言え、妖精さん達を苦しめていたのも事実……先ずは周りの妖精さん達の様子はというと。
『ほんとうに、ほんとうにありがとうございましたなのー!』
『ほんとう、うれしいのー! あの、えっと……なんかでどうにかして、みなさんに感謝を伝えるのー!!』
 イレギュラーズ達の視線の間で舞い、踊り、感謝の舞を披露する妖精さん。
 そんな妖精さん達にキルシェは、落ちつく水を作り出して。
「妖精さん、大変だったと思うのよ。これでも飲んで、ちょっと落ちついてね?」
 と、それをのませる。
「うーん……うん、これ、美味しいのー!』
『キルシェさん、ありがとうなのー!!』
 水を飲んでも、そんなに代わらない妖精さん達……ともあれ、そんな妖精さん達の感謝の気持ちに
『あの、あのね、も私達が出来る事ならなーんでもしてあげるの! ねえ、何か無いかな、なのー?』
 裾を引っ張ってくる妖精さんに、エマが。
「んー……そうどすなぁ。折角でありんすから、ちょいと観光でもして帰りんしょうか。別に構わないでごぜーますよね?」
『ん、アルヴィオンの案内なら、おまかせあれなの!! それじゃー…まずはわたしたちのまちを案内させてもらいます、なのー!!』
 先導するように妖精さん達が飛行し、皆を連れて行く。
 ……そんな中、キルシェとウィリアムの二人はその場に残る。
「……倒したの、ルシェたちだけど……どうか、安らかに眠って下さい」
 キルシェはウィリアムに協力して貰い、黒狼達の亡骸を、地を掘りその地中に埋葬し、しっかりと弔う。
 そして黒狼達を一通り弔った後に、ウィリアムは黒狼の向かってきた方向を更に進んでいく。
「もしかしたら、戦闘に加わらなかった個体がいるかもしれませんし……ね」
 そうウィリアムは言うと共に、周囲を虱潰しに調べる。
 ……ただ、それ以上の狼の痕跡が見つかるような事は無く、子狼の姿も無く……まずは根絶できた模様。
「……まぁ、取りあえず良かった、という所ですね……では、帰りましょうか」
 と、一匹ずつ埋葬を終えたキルシェとウィリアムは合流し、その場を後にするのであった。

成否

成功

MVP

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド

状態異常

なし

あとがき

妖精郷のシナリオに参加、ありがとうございました!
ぬくぬくした気持ちになってくれれば、嬉しいです……。

そして今年一年、大変おせわになりました……!

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