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シナリオ詳細

しきみの祈り天へと届く~シャークライト強襲~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 R.O.Oが3.0にアップデートされる前の事――
 花榮・しきみ (p3p008719)はヴァークライト領中央教区『ドクトゥス・フルーメン』へと訪れていた。勿論敬愛すべきスティア・エイル・ヴァークライト (p3p001034)には事前に了承を取ってきた(取ってない)から何も問題ない。お姉さまなら分かってくれる!
「あぁ……お姉さま。ここがお姉さまの、掌の上にある領地なんですね……!!」
 言い方! ともあれ想像が飛躍するしきみは、自分がスティアの掌に包まれている様な感触を得て鼓動の速度が上がっていた。もしやこれは――お姉さまが私を掴んでいる――!?
 段々呼吸も荒くなってきたしきみ。今日は中々絶好調である様だ、が。
 こうまで至ればやはり想像だけでは物足りぬ――

「ああお姉さま! 今すぐお傍に参りますね!!
 そうです……『あのような』ものになんて、負けたりはしません!!
 私こそが!! 一番、お姉さまの魂に近い事を証明してみせますから――!!」

 天へと向かって叫ぶしきみ。周囲の人間が不審者かと警邏を呼ぼうか迷っていれば。
 その時なんと不思議な事が起こった。
 しきみの身を――光が包んで――


「んっ? いまなんか……声が聞こえなかったかな?」
「スティアちゃん、待って。こういうタイミングでスティアちゃんが何か言うと、いつも『アレ』が来るから――お願いだからちょっとの間だけお口チャックしてて?」
 なんでー!? と不服そうにスティアは己が親友たるサクラ (p3p005004)へと言を。
 所変わってここは天義の中でも鉄帝との国境線に近い森の中である。
 彼女らが何故ここにいるのかというと――依頼だ。
 なんでも国家が干渉し辛い国境線にて山賊行為を繰り返している面々がいるという……まぁその依頼自体はもう先程終わった所である。奴らのアジトを割り出し皆と共に山賊らを捕らえて、身柄は騎士団に。そしてその帰路の途中――
 スティアは何か妙な『気配』を感じたのだ。
 首を傾げる様に周囲を見据えて……しかし、うん。当然だが特におかしい事はなにも……
「待て――川の中に、何か光が見えないか?」
「んっ? あ、ホントだ! 何あれ……?」
 が、その時。近くにあった川の様子がおかしいとベネディクト=レベンディス=マナガルム (p3p008160)が指摘すれば笹木 花丸 (p3p008689)も『ソレ』を見つけた。
 ――川の中に光がある。
 なんだ? よく見えないが、神秘なる魔力を感じて……と、その時。

「お姉さま~~!! 貴方のしきみが、参りました――!!」

 その光の中から飛び出してきた影が一つ――なんとそれはしきみであった!
 愛の抱擁! とばかりにスティアの胸に飛び込まんとする、が。突然の事態に反射的に回避行動をスティアがとってしまえば、抱擁の手は空を切ってそのまま後方の木にしきみは衝突――ああ、これが愛の痛みなのですねお姉さま! なんだ元気そうだ。
「ええ、しきみちゃんどうして――!? サメならともかく、人間が召喚されるなんて!」
「いやサメならまだ納得してたのか? それでいいのか?」
「今のは……何の原理でしょうか? 空間転移?
 それともしきみさんが川から迫ってただけでしょうか……?」
 スティア、大慌て。サメならまだすぐ理解が及んだのに、どうしてしきみちゃんが……いやそれもおかしい気がすると久泉 清鷹 (p3p008726)は思うものだ。まぁでも実際どうして光の中から人間が、と。川を覗き込むのはリンディス=クァドラータ (p3p007979)である。
 まぁ世の中不思議な事も起こるものだ。
 些か事情は違うが、カムイグラに転移するバグ召喚という事例もあれば……こういう人をワープさせてしまうような神秘の暴走だって偶にはあるか……も……ってあれ?
 光がまだ収まってない気がするんですけど?
「あれれ、どしたの? まだ何かあ――」
 る? とリンディスの背後から更に川を覗き込まんとしたのはコラバポス 夏子 (p3p000808)。が、その瞬間――光の中から飛び出してきた影に夏子が飲み込まれ、こ、これは!!

「ああああああああ――!! サメだああああああ――!!」

 夏子ォ――!! あああどうして――!!
 おかしい! 今回『は』スティアは特にサメを召喚しようとなんて思ってないのに!
「ああああサメの口の中あったかい! なんで! 知りたくなかったこんな感覚!
 あ、だめだ飲み込まれるうわうわうわうわ~~!! あまがみ~~~!!」
「夏子さーん!」
 頭から飲み込まれた夏子、そのままサメと共に川に還る……夏子ォ――!!
 まずいよまずいよこのままじゃあ夏子が行方不明になっちゃうよ。いやそれだけじゃない! このままだと――
「た、大変だ! このままじゃあサクラちゃんの……
 ロウライト領にサメちゃん達がなだれ込んじゃうよ――!!」
 そう! 更に異常事態。なんとこの川、実は下っていくとサクラさんの一族が統括している――『ラクス・ヒエマリス』という都市に繋がっているのだ! かの都市は大きな湖が広がる風光明媚な地で……そんな所にサメの大群が到着したら、大混乱!
「こら――!! スティアちゃん、いい加減にしてよね――!!」
 怒る親友。と、とにかくまずいよ! サメに慣れたイレギュラーズ達ならともかく、マトモな人達の精神は当然、正気なんだ! いきなり川を泳ぐサメなんて見かけたら大混乱が起こっちゃうかもしれない! え、そもそもサメが川を泳げるのかって? ばか! 今、目の前で悠々と泳いでることが全てなんだ!
「とにかくどうすればいいんだこれは……サメの追加は無いようだが……」
「……はっ、そうです! 光の中から来たなら――光の中に戻せば――」
 思案するベネディクト。であればとリンディスは閃いた。
 光はまだ残っている。しきみ達を運んできた、あの不思議な光は。
 あの中に押し戻せばサメたちは戻っていくのではなかろうか。幸いにして、サメたちはいきなりの転移に戸惑っているのかまだ周辺をうろうろしている……サメの伝道師スティア・エイル・シャークライトがいれば、なんとでもなろう!
 まぁ最悪押し戻せなくてもいい。要はトラブルが無ければいいのだから。
 例えば……餌付けするとか、調教するとか……人を襲わなければヨシッ!

「どうにかしないと……どうにかしないと、叔母さんに怒られちゃうよー!」

 スティアの叫び。ロウライト領にはかの有名なゲツガ殿もいるのだ――
 もしもスティアの叔母様の耳に入ったらどうなるか。
 その前になんとか片を付けるとしようか……!

GMコメント

 場所はいい感じの所と言われたので、親友のサクラさんの領地の近くにしてみました!
 叔母さん卒倒するかもしれませんね。以下詳細です!

●依頼(?)達成条件
 サメちゃん達をどうにかこうにか大人しくさせる事!

●フィールド
 ここは天義。比較的鉄帝との国境線に近い森の中です。
 近くには少し大きめの川があります――何故かそこに不思議な神秘の光の玉が発生しました。この光の玉はどこからかサメたちを転移させてきている様です……逆に言えば押し戻せば彼らも戻っていくことでしょう。

 まぁでも必ずしも押し戻す必要はありません。
 要はトラブルが無いように飼いならしてもいいのですから……
 サメとの戦いを幾度と繰り広げたであろう皆さんならそういう事も、きっと!

 ちなみにこの辺りはサクラさんの……というかロウライト領の都市である『ラクス・ヒエマリス』という場所の近くです。遂に友人の縁が深い土地にまでサメが……

●サメちゃんズ!
 突然川に転移されてしまったサメちゃん達です。どうしてー!
 皆困惑してるのか動きは鈍いです。とりあえず夏子さんを齧って落ち着こうとしています。ですがその内、下流を目指して動き始める事でしょう……

●光の玉
 しきみさんが天に祈ったらなんか発生した光の玉です。
 それが偶然なのか、神様が聞き届けたのか、スティアさんの魔力に反応したのかなんなのか分かりませんが、どっからかサメちゃん達も運んできました。ぴえ~
 でも消えかかってます。押し戻すなら早い内にだね!

●でんじゃー!
 このシナリオではスティアさんの近くに居るとサメの加護を受ける可能性があります。
 詳細は不明ですが、不思議なサメ事象が起こるかもしれません! でもそれはそれとして夏子さんは普通に食べられます。

 それではよろしくお願いします!!

  • しきみの祈り天へと届く~シャークライト強襲~完了
  • GM名茶零四
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年10月31日 23時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

コラバポス 夏子(p3p000808)
八百屋の息子
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
サクラ(p3p005004)
聖奠聖騎士
リンディス=クァドラータ(p3p007979)
ただの人のように
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
笹木 花丸(p3p008689)
堅牢彩華
花榮・しきみ(p3p008719)
お姉様の鮫
久泉 清鷹(p3p008726)
新たな可能性

リプレイ

●『お姉様の鮫』花榮・しきみ(p3p008719)の証言
 ええ、ええ。私、お姉様の鮫に嫉妬していたのです。
 彼らは何時いかなる時も(呼んでいなくとも)やってくるでせう。
 実に羨ましいとは思いませんか? なぜ鮫に出来て私に出来ないのでしょうか?
 病める時も健やかなる時もお姉様の片時に!
 花榮しきみ、鮫様たちと此処まで参りましたが、心を鬼と致します

 お姉様の隣に立つのは――たった一人で十分なのですから!


 ――まずはどうしても言いたい事があるので言っておこうと『新たな可能性』久泉 清鷹(p3p008726)は決心していた。

「……どうしてこうなった! どうして!」

 不覚――妹分であるしきみの所為でこんな事態が起ころうとは! いやもしかしたらしきみは偶々謎現象に巻き込まれただけとかそういう可能性無いわけではないが……でもしきみなのでやっぱりしきみの所為かもしれないと彼は思うものだ。
 あの娘(姉妹)のやる事は昔から突拍子もなかったので、もはや慣れてしまったが――しかし他の者が慣れてるとは限らぬもので――実際、ご覧の有り様であると視線を向ければ。
「という訳でスティアお姉様! いずれお姉様の叔母様にお会いする機会が来ると待ち望んでおりましたが……成程これは外堀ですね! サクラさんのご家族に私をスティアお姉様の配偶者であると認識して貰うという……鮫様、おぬしも悪よのう!」
「違うよしきみちゃん! ま、まだ叔母様に怒られると決まった訳じゃないから!! ね、サクラちゃん!」
「スティアちゃんには後でみっちりお話があるから、来てね」
 なんでえええええ、どうしてえええ!!!
 親友の冷たい瞳に『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)は思わず叫んでしまいそうになるものである――でも『聖奠聖騎士』サクラ(p3p005004)にとっては本当に冗談じゃないのだ! この先にはお祖父様がいるんですよ! ホントまずいんだって!!

 汝、悔い改めるか――

 お祖父様の声がなんだか聞こえてきた気がする。
 やだあああ悔い改めさせられるうううう!!
「あれは…\サメちゃんだーっ!/ わー! 話には聞いてたけど、これだスティアさんのサメちゃんなんだね。あ、折角だからaPhoneで写真撮っておいて今度ひよのさんに見せてあげようかな? ひよのさん、このサメちゃん達を見たらなんていうだろ――驚くかな、それともそれとも……」
 天義出身組が色々と身内からの来るかもしれないお説教に震えている中『人為遂行』笹木 花丸(p3p008689)は念願のサメ現象に立ち会えた事に些か感動していた――これがサメちゃん!
 まさかこれほどサメサメしてるとは。今まで何度かスティアさんトコにお邪魔した事はあったが……これは初めてだからスッゴイ不思議っ! なんだかじっと見てると愛らしい様な気もしてきて……って。
「ひとまず。ひとまずですね――夏子さんが危ないので最優先で助けましょう。夏子さーん!」
「うんわわわあぁ~何もみえなぁ~い!! 今まで何度かサメに大ピンチされた事はあったけれど今日は頭からかよ~~!! その内お尻からとかあるんじゃないかなぁこれ、うわ冗談言ってる場合じゃないや暗い! 怖い! コレ川の水ザブザブ来てない?」
 が! とりあえず『夜咲紡ぎ』リンディス=クァドラータ(p3p007979)は飲み込まれた『八百屋の息子』コラバポス 夏子(p3p000808)を救わんと奮闘する――!!
 うおー噛死が先か溺死が先か! 美少女に引っ張られて助けられるのはやぶさかではないが、しかし女性ちゃんたちが危険な目にあうのは避けたい! 男はどうでもいい! 男共ならどうなってもいい! 助けて――!!
「ああ、夏子さんが! いけません! そんな鮫の胃袋の中でグッドナイトしてしまうと、今世とさよならララバイです! お姉さまのサメ様に食べられるだなんてそんな……それはつまりお姉様に食べられている……? お姉様の一部になるという事ですか? 誰を差し置いて?」
 嫉妬の炎が思わず不可視の刃のファントムレイザー。あぁん、猛り狂ぅ!
「まぁ夏子さんなら大丈夫いけるいけるっ! ほらサメに食べられた男として世界記録に挑戦だよ! ほらほら時間が測ってるから! え、もう直ぐ逝けるって? ……またまた御冗談をーっ!」
「光が! 光が欲しい! 花丸ちゃんの光をプリーズ! だめ!?」
「やれやれ……また夏子は鮫に噛まれているのか。とりあえず落ち着く為に夏子を噛んで貰うのは止めて貰ってだな……いや、それだけ良い嚙み心地なのか? ならば止めるのも些か可哀想だろうか……」
 とにあえず夏子どうしようか。悩むところもあるが――しかし救わんとした聖人は『黒狼の勇者』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)――
 だが。ふと手を止める。
 もしや……サメちゃん達が夏子を狙うのは、ポメ太郎がよく噛む歯磨きガムと同じような感覚なのでは……と。あの時のポメ太郎の表情たるや中々至福に満ちていた気がする。今のサメたちも同じ気持ちであるならば、夏子を嚙ませるぐらいならいいんじゃないか――いややっぱり駄目だな。うん。
「突然の出来事で混乱していると思うが、あの光に入れば戻れる筈だ。夏子はお土産にはやれんので返してくれ。どうしても夏子がいいなら、今度夏子が自分の人形を制作するだろうからそれで我慢を」
「ワッツ!?」
 そんなこんな事で辛うじて夏子を引っ張り出すベネディクト。サメちゃんは満足したのか川の方へと帰っていく……元気でね、サメちゃん……って違う違う違う!! 夏子を助けて終わりじゃないよ!
「もはや事の始まりはともかくとして……サクラ殿の領地まで迷惑をかける訳にはいかぬ。
 早急にサメを光へと押し戻さねばな。分かっているな、しきみ」
「あれ? 清鷹さん、凄い顔をしていませんか? どうして……」
 きょとんとした顔のしきみ。
 この妹分、本当にどうしたものかと――清鷹は吐息を零すのであった。
 ……ところで結婚とは男女がするもので間違いはなかったよな……? 最近自信なさげな清鷹なのであった。


 夏子はまさか自分が助かるとは思っていなかった――だって相手サメちゃんだぜ?
「えっ? どうして? 助かったの?
 でもなんなの夏子人形って?
 どどどうすればいいの?
 向こうも納得したの?
 ありがとう!!
 うわぁ――!」
 危ない! また川に潜むサメちゃんに食べられる所だった……! 今度は尻を狙われてた尻。全く油断も隙もあったもんじゃないねホント!
「まぁなるほどとにかく――あの光へ追い込んで行けば良いんだね。
 僕が死ぬほど欲しかった キラキラと輝く。
 あの光の元へ このサメ達を……
 追い込んで 光の中へ」
「そうだよ! とにかく! このままサメちゃんを野放しには出来ない!
 みんなでえいえい! って下流から光の中に押し戻すんだよ!
 出来る出来ないじゃなくてやるんだー! じゃないとお祖父様が来ちゃうううう!」
 常識的に考えてそれが一番現実的な案だと! サクラは心に恐怖を抱きながらも己に喝を入れて――動き出す。でもサメちゃん達がいきなり飛び出てくる現状における常識ってなんだろう……? うっ、考えすぎると頭が……!
「そうですね。シャークマスタースティアさんがいるとはいえ数匹を一気に手懐けるのは大変そうです……となると戻すしかないですよね。スティアさんの飼育能力にも限界があるでしょうし……」
「ち、違うよ。今回は本当に私は悪くない、悪くない……だっていきなりしきみちゃんが現れた事にはビックリしたんだもん!」
「それは逆に言うとサメだけ現れたら比較的驚かなかったという事か……?」
 リンディスの思考。返答する形でスティアが言を紡ぐが――ベネディクトの声には沈黙をもって答えるものだ。サメちゃん、今までに何度も現れてるもんね。ローレットトレーニングでも現れるし……
 まぁともあれ実際問題押し返すのが一番だ――或いはスティアが全部飼いならせるなら話は別だが。
「――そう、追い込み漁で行きましょう! これしかありません!」
「そ、それだよ! 流石リンディスさんの作戦! 良い感じだね!」
 ともあれ皆で行動する。リンディスの言うように魚を――いやサメちゃんを追い込んでいくのだ! 下流より放つ聖なる光や魔術の奔流を川へとぶち込み、文字通りに追い立てる。突然の事態に驚いた魚は上流の方へと逃げて行こうッ――!
「かえれー! かえってー! 現れるならスティアちゃんの屋敷だけにしてー!
 そこならいくらでも現れていいからー! この先だけはおねがい止めて――!」
「そうだよ、サメちゃん達! 此処にいるより元の住処で過ごすのが一番だと思うんだ――具体的に言うならスティアさんの領地とか? だから、驚かせてゴメンねだけど……必ずスティアさんの領地に届けてあげるからね!」
「なんでこの子達が来た場所が私の屋敷からって決めつけてるのおおおどうしてえええ」
「ご安心くださいお姉様! ほら、私、マエストロですし? 何匹増えようと私がお姉様も含めてお世話できます!! ですのでなんとかなりますなります! 例えこの子達の行く先がお姉様のベッドの下であろうとも!」
 続く形でサクラの剣撃も川へと数閃。花丸も飛行しながらサメ達を追い込む――
 なんだかスティアの抗議と楽し気なしきみの声が聞こえてくる気がするが、こ、細かい事は良いんだよ、うん! もし仮に全然違う野良サメちゃんだったとしても、今更何匹か増えても問題ないでしょ!
「さて真実はともかく……まさかこのような所で川を泳ぐサメの追い込み漁をやる事になるとは。人生、生きていると何が起こるかわからないものだな……むっ!?」
 更に清鷹も追い込みをかけて一気に光の玉との距離を縮めていく――
 が、その時気づいた。一匹のサメが、猛スピードで下流へと向かっている事に……
 いや違う! 厳密には下流に、ではないアレは――!!
「オラァー! 吹っ飛べぇッ! こんちきちぃ! ドッタンバッタン大騒ぎだァらぁー!! いつもオイラを丸呑みしやがって反逆だ! はっはー! どうだ思い知ったかこの野郎、丸呑みにされる気持ちが分かったかうわっまたこっち来たうわああああああ~~!!!」
「夏子殿ッ――!! ああ、まずいぞ!! 夏子殿がまたサメに飲み込まれた!!」
 爆音撒き散らし追い込み掛けてた――夏子の懐へと、だ!
 噛み付き、川へと引きずり込まれる。ああ――そんなばかな――あんなに注意していたのに――くそ! 手が足りないってのかよ!? このままじゃあ世の女の子たちがこのサメちゃんに食べられちまうぜ!!

『――仕方ない、奥の手だ三千の夏子うおおー!』

 瞬間。夏子の脳裏に広がるは三千の夏子――サメちゃんを凌駕する夏子ズ!
 此れだけいれば山ほど喰われてもいくらか残る! ハッハハハ! サメに襲われすぎて出来た対サメテクニック! これで、これで危機的状況にある女性は全てこの夏子が――庇うぞ――やった――夏子さん素敵――
「ガハハ! 任せろ~! ぶくぶくぶくぶくぶく」
「まずい、夏子が窒息して幻覚を見ている!!」
「サメちゃん、離してあげてサメちゃん! 人は水中じゃ生きられないんだー!」
 再度ベネディクトが救出に戻り、花丸がサメちゃんに触れる様に語り掛けるものだ。
 折角の機会だし、花丸は噂のサメちゃんと少しぐらい触れ合ってみたいとは思っていた所……言うことを聞いてくれる子がいないだろうかと。諦めずに語り掛ければ、一匹ぐらい―!
「サメちゃん、サメちゃーん! うう、だめだ! スティアさん、どうすればこの子達と心を通じ合わせることが出来るの、教えて!!」
「えええええ? そう言われても……なんと言えばいいか……」
 だけど困るよー! 聞かれても勝手に懐いてくるんだもん!
 サメちゃん……懐かせる秘儀があるのだろうか? うーんと悩む姿勢を見せた、その時。
「スティアちゃん! 光の玉が消えそうだよ――急ごう! サメちゃん達を返せなかったらしきみちゃんと結婚してもらうからね!! あ、式には呼んでね!!」
「え、サメちゃん達を返せなければ婚姻届けにサインして頂けるんですか!?」
 なんでええええどうしてええええ!
 しきみの眼が妖しく輝く――! 彼女の心が上限解放IV(リミット・ブレイク)!
 まずいまずいまずい! あと一息なのに、そんなー!
「……妹分のしでかした事は保護者として責任を持たねばなるまい。
 しきみ、今雑念は捨ててサメに対応するのだ――彼らを故郷に戻してやらねば」
 しかしそんなしきみを優しく諭すのが清鷹だ。
 スティアと結婚とかどうのこうのという話は後だ。今サメを止めれねば……関係各所(大体主にサクラ)に迷惑が掛かる――それは防がねばならないのだと。
「すまない、いきなり召喚されて貴殿らも混乱しているだろうが、どうか落ち着いて光りへと戻ってくれ。そちらへ行けばおそらく貴殿らの故郷へそのまま帰してくれるだろう――さぁ行くのだ。貴殿らがいるべきはこの地ではない」
「――――」
 話の通じやすそうな瞳を宿したサメに、清鷹が声を掛ける――彼も順調にこのサメ事態に染まってきましたね。ヨシ。ともあれ諭されたサメは清鷹の心に胸打たれたのか――光の方へと向かっていく。
「はい、大丈夫です怖くないから戻りましょう、戻ってください、ね?
 多分光の玉の先は故郷ですから……! 違ってもスティアさんの屋敷ですから……!」
「……あっ! 夏子さんは救助してる!? このままじゃ夏子さんも光の中に――!」
 次いでリンディスも優しく語り替えて一体一体光へと押し戻す――が。
 瞬間、サクラが気付いた。
 この光……しきみも通ってきたのであれば、サメに呑まれた夏子も行ってしまうのでは……!? まずい。夏子、夏子ォォォオ!
「大丈夫だ――夏子は俺が救い上げた!」
「へへ……光……下半身が光の下に……光を、求めて……ああ……溶け て  い  」
 が、やはりそこはベネディクトがやるものである! 夏子を救助し、陸へと一直線。
 さればもはや心残り無し――後は最後のサメを押し戻すのみ――!
「皆、すごい……! 頼りになるなぁ……!」
 突発的な事態であったにも関わらず皆の動きは適格だとスティアは思考する――
 リンディスが作戦を打ち立て、サクラや花丸、清鷹にベネディクトが追い込み。
 夏子が身を呈してサメちゃんたちを引き付けて、しきみちゃんはしきみちゃん。
 どんなサメが訪れたって――皆と協力すれば、必ず解決するんだ!
「ふふ、お姉様――ご安心ください。如何なサメがこれから現れようとも……」
 私はこれからもいつでも呼ばなくてもおそばに参りますよ! サメちゃんがいなくとも!
 しきみ。謎の宣誓と共に最後の刃をサメの近くに投じれば――その個体も光の中へ。
 さすれば、丁度のタイミングで……空間転移を宿した神秘性が消失した。
 ――光が消え失せる。
 あの謎の光はなんだったのか、未だ分からぬが、しかし……
「これが最後のサメ騒動だとは俺には到底思えない……むしろこれは始まりに過ぎないのかもしれないな……いやずっと前からサメ騒動はあったが……」
 ともあれ、ベネディクトは思う。
 またきっとその時は夏子が犠牲になり、他の者達が今回の様に大騒ぎをしながら事件を解決に導くだろう――と。しかし、仮にその未来が待ち受けていたとしても。

「……さて、肩は貸してやる。帰るぞ、夏子。今は休め、次のサメに備えて──」

 きっとまたお前が齧られるだろうが――その時までゆっくりと休め。夏子――
 戦いを終えた戦士を支える。その顔は――満足げな顔に包まれていた――どうして?
「しかし、サメさん達もいきなりで振り回されて大変でしたね……噛まれさえしなければ、本当に噛まれさえしなければ可愛いとも思うのです。或いは猫や犬の甘噛み程度ならまだしも……」
「ううっ。サメちゃん……もっと触れ合いたかった……今度会ったら、必ず手懐けるよ……!」
 想起するリンディス。強い目標(?)を抱く花丸――
 まぁ何はともあれ今回のサメ騒動はこれにて収束。
 良かった良かったと一安心――していれば。スティアの肩を、誰かが掴んで。

「じゃあスティアちゃん、ちょっぴり大事なお話をしようね?」

 それはサクラだった。表情は微笑んでいるが――目が笑っていない――
「あ、サクラさんは……その……ごめんなさい。お、お姉様を怒らないでー!
 怒るならばお姉様の伴侶たる私を! 私を代わりに――!!」
 身代わりになろうとするしきみ。でも違うんだ。私はスティアちゃんに話があるんだ。
 この後なんらかの『お話』があったかは――さて、それは彼女達だけが知る事。
 何はともあれラクス・ヒエマリスは辛うじて……難を逃れたのであった。

 なお。上流で何か騒動があった事はお祖父様と叔母様の耳に入ったとか入ってないとか。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 サメちゃーん!!!!!!!!!!!!!
 なんだかシナリオを経る事にサメちゃんって進化してるような気がします。気の所為かな?

 ともあれありがとうございました!!!!!!!!

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