PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Harvest Tea Party

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●シーツ? おばけ? いいえ、いいえ
 古い御伽噺(フェアリーテイル)が伝えるのは幻想の建国王の逸話。
 世界中を不思議な魔法がヴェールのように覆い、全てを隠して変えてしまう。
 ――なりたいじぶんになれるんだって。
 ある子どもが言いました。
 ――なりたいじぶんってなぁに?
 ――うーん、わからない。
 ――けれどそれでもこのおまつりは、『ぼく』たちのおまつりだ。
 10月31日のお月さまが昇ってから、11月3日がおやすみなさいを告げるまで。
 不思議な魔法の掛かるその日は、子どもたちの成長を願う収穫祭。
 子どもたちはお菓子を入れる籠を手に、魔法の言葉を唱えて駆け回る。

『トリック・オア・トリート!』

 それは、お菓子が貰える魔法の呪文。
 被ったシーツから足を覗かせた子ども等も、収穫祭の日は『みんなといっしょ』。

●ティーパーティへの案内
 世界は魔法にかかったように、収穫祭色一色で。
 ローレットの中とて、小物や飾りが『それらしい』もので溢れている。
 そこへ顔を覗かせた『浮草』劉・雨泽(p3n000218)はおいでと柔らかに口にして、一人の青年をイレギュラーズへ紹介した。彼が今日の依頼人――『埋れ翼』チック・シュテル(p3p000932)だ。
「おれの……友達の、おばけの子たちが、色んな人と……友達になる、うれしい」
 チックのおばけの友だち『レムレース』は今日――つまり、毎年秋に行われる収穫祭が大好きなのだと言う。初めて会った日にチックが語った収穫祭のお菓子に興味津々で、いつか自分たちも一緒に皆と楽しめたらと願っているのだ。
「収穫祭は子どもたちの成長を願うお祭りだからね、良かったら彼等と一緒に過ごして欲しいんだ」
「みんな、いいこ。だから……お願い、できる……?」
「ゆっくり過ごせる場所は、僕が整えておいたよ」
 とあるカフェを貸し切って、とびきりの収穫祭のお菓子を揃えてあるのだと雨泽が告げれば、チックも「飾り付け、がんばる……した」と大きく頷いて。
 コウモリや南瓜、黒と橙。沢山のハロウィンの飾り付けがされた部屋。
 テーブルの上にはハロウィンアフタヌーンティーのセット。
 がおーっと口裂けおばけのクリームパンは怖いのは顔だけ。中身はあまぁいクリームたっぷり。白いおばけのモンブランも少し怖いけれど甘くて美味しい。ムースの上に乗ったギョロッと見つめる目玉は、意を決して食べればブルーベリー味ともちもちとした食感が口に広がることだろう。
「それから、えっと……」
「他は見てのお楽しみにしようか」
「ん……」
「それより――チック」
 他にも頼み事があるのでしょう?
 促す視線に、チックはこくりと頷いて。
「みんなの特技、見せてもらえる……うれしい、かな」
 収穫祭には『魔法』がつきものだ。
 いたずらも、甘味も、過ごす時さえも、全てが『魔法』。

 トリック・オア・トリート。
 ねえ、素敵な魔法を見せてくださいな。

GMコメント

 ハッピーハロウィン、壱花と申します。
 こちらはチック(p3p000932)さんからのリクエストシナリオになります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。想定外の事態は絶対に起こりません。

●シナリオについて
 このシナリオは『収穫祭の日』になります。
 レムレースとお話したり、収穫祭限定スイーツを楽しめます。

●レムレース
 チックさんの関係者。
 白い布を被った、おばけの様な格好をした子供たち。通称は『レムレース』ですが、男の子や女の子、複数の個体がいます。
 甘味や皆さんの特技に興味津々です。

●ドレスコード
 あなたはハロウィンの魔法に掛けられています。
 見た目はいつもと違っても、あなたはあなた。やれることはいつもと同じ。
 ところであなたは、どんな姿をしているのでしょうか?
(出発を11/1朝にしておきますので、ハロウィンSDをご指定頂いても大丈夫です)

●Menu
・<スイーツ>
 おばけモンブラン
 パンプキンタルト
 南瓜伯爵のシュークリーム
 スパイダークッキー
 目玉ムース
 パンプキンスコーン
 魔女の帽子ムースショコラ
 おばけマシュマロ

・<フード>
 口裂けおばけのクリームパン
 ミイラ男のソーセージパイ
 魔女窯のポタージュ(紫キャベツのポタージュ)

・<飲み物>
 バタフライピーティー
 マロンティー
 ドラキュラワイン(ブドウジュース)
 その他各種飲み物

●NPC
 『浮草』劉・雨泽(p3n000218)は、話しかけられたりすれば応じられる範囲で動きます。
 特になければ描写しません。

 それでは、素敵な一日となりますように。

  • Harvest Tea Party完了
  • GM名壱花
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年11月11日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談10日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

チック・シュテル(p3p000932)
赤翡翠
※参加確定済み※
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
築柴 雨月(p3p008143)
夜の涙
カルウェット コーラス(p3p008549)
旅の果てに、銀の盾
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
エドワード・S・アリゼ(p3p009403)
太陽の少年
ミザリィ・メルヒェン(p3p010073)
レ・ミゼラブル

リプレイ

●おばけたちとおまつり
 大きな大きなお月さまが空を彩れば、それがパーティの始まりの時間。
 大通りはいつもと違う雰囲気で、行き交う人々もいつもと違う。
 箒に跨り空飛ぶ魔女がイヒヒと笑えば、ミイラだってひっひー!
 だって今日は、とってもとっても楽しい日。
 貸し切られたカフェで『あの子』たちを待つみんなは、今か今かと入り口を囲んで待機中。
「ここにおにいちゃんがいるの?」
「そうだよ」
「なんだかあまいにおいがするね」
「うん、開けてみて」
 扉の外から聞こえてくるのは、幼い声と少し前にも聞いた声。
 ピエロのふたりが顔を合わせ、吸血鬼のふたりはマントの形を整えて、アライグマと狼は互いの身体をチェック。
「みんな……よろしく、ね」
 冬と春の僅かな隙間の季節から訪れた妖精が最後に一同の顔を見れば全員は大きく頷いて、それぞれのポーズをしっかり決めた。
 扉が開く。
 それに合わせて掛ける声は――。

 ――トリック・オア・トリート!!!!!!!!

「わあ!」
 綺麗に揃った声に、扉を開けたシーツのおばけ――レムレースたちはびっくり!
 パタパタとシーツを揺らして驚きを顕にしている子、不思議な姿の人たちを興味深げに見つめている子、吃驚しすぎて連れてきた龍神の後ろに隠れてしまう子……反応は様々だ。
「いらっしゃい、レムレース。さあ、入って」
 今日はね、収穫祭のパーティだよ。
 彼等の大好きな『おにいちゃん』、『埋れ翼』チック・シュテル(p3p000932)が柔らかく微笑めば、おばけのこどもたちはぴょんっと跳ねて半透明な翼を揺らすチックへと飛びついた。
「おにいちゃん! いつもとちがう……!」
「パーティ? ほんとうに?」
「しゅうかくさいの? ゆめみたい」
「おかしもあるの? みんなとあそべるの?」
 憧れていたのと喜ぶこどもたちを抱きとめて、まずは皆にご挨拶しようかと促せば、チックに隠れたり、前に立ったり、興味深げにウロウロしたりと個性豊かに、こどもたちはこう言った。
「ぼくたちはレムレース! おにいちゃんのおともだち!」
 そんなおばけだけれど元気なこどもたちを前にして、慌てたのはピエロのひとり――『激情の踊り子』ヒィロ=エヒト(p3p002503)だった。こっそりツンツンと傍らのお揃いピエロの『あの虹を見よ』美咲・マクスウェル(p3p005192)をつっついて、何を話そう! と悩みを口にしてしまう。
 お菓子の話、特技の話、ローレットの話……それからレムレースたちの日常だって知りたい。
「どうしよう、美咲さん!」
「大丈夫、順番に交互に話題を出していけば、ずっと楽しめるよ」
「おねえちゃん、いっぱいおはなししてくれるの?」
「ぼくたちもいっぱいおはなししたいな」
 思わず出た大きな声に、レムレースたちは楽しげに笑った。
「おにいちゃんはきゅうけつき?」
「そうだよ、吸血鬼。エドワード君ともお揃いさ」
「ひひっ、お前たち、食べちゃうぞ~~」
 トマトジュースが入ったワイングラスを軽く傾けて『夜の涙』築柴 雨月(p3p008143)がポーズを決めれば、歯を覗かせた『ドキドキの躍動』エドワード・S・アリゼ(p3p009403)が両手でガオッと脅してみせる。きゃーと上がる悲鳴は、キャッキャとした歓声に近い。
 俺なんかが参加しちゃってよかったのかな? なんてほんの少し前まで思っていた雨月だけれど、レムレースたちが喜ぶ姿に考えを改めた。ちゃんと喜んでくれているし、楽しんでくれている。弟と一緒に近所を回ってお菓子を貰ったのを思い出し、少し懐かしい気分となった。
「とりっく、おあ、とりーと! 今日は、みんなと、楽しむ日、聞いた!」
「はじめまして、レムレースの皆さん。今日はよろしくお願いしますね」
「ミイラとおおかみだー」
「じんろうだよ」
「どうちがうの?」
 包帯グルグルの『旅色コットンキャンディ』カルウェット コーラス(p3p008549)におそろいみたいと裸足の足を見せ、『ライカンスロープ』ミザリィ・メルヒェン(p3p010073)の丁寧な口調もレムレースたちは気にしない。
「ふわふわなおみみとしっぽ、いいな~」
「引っ張らなければ……どうぞ」
「ありがとう!」
 世話好きなミザリィはレムレースに尾を貸し出した。
 ミザリィの『母様』はお菓子を差し出しても悪戯をしてきたが、レムレースたちはいい子たちばかり。ちゃんとお礼も言えるし、悪戯だってしない。満足したらありがとうをもう一度言って、すごいね、ふあふあだったねと仲間たちで感想を口にして、とても楽しそうだ。
「あ、どうぶつ!」
「わたし、しってるよ。たぬき!」
「あらいぐマデルだ」
「どうちがうの?」
「わからない」
「アライグマは洗うんだぞ」
 おまえの綿飴も洗ってやろうかと威嚇のポーズをしてみせる『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)にレムレースたちはキャーと笑ってチックの後ろに駆けていく。
「あらわれちゃう」
「びしょびしょになっちゃう」
「なんで、たぬ……アライグマ、なの?」
「チック殿、よく聞いてくれた。これには深い訳があってだな」
 レムレースたちと手を繋いだチックが尋ねながら飾り付けられたテーブルへと向かう。後を追うアーマデルが「最近恋人がアライグマに傾倒していてな」と話すのを、チックは楽しげに相槌を打った。アーマデルが幸せそうだから、よかった、と。
 一通りの挨拶を済ませたら、チックがレムレースたちへとみんなのことを詳しく紹介した。
 美咲とヒィロとアーマデルは一緒に依頼を受けたことがある人で、とても頼りになる仲間。
 ミザリィと雨月は初めましてだけれど、レムレースたちと友だちになりにきてくれた優しい人。
 エドワードとカルウェットは、一緒に居ると暖かな気持ちになれる素敵な友だち。
「おにいちゃんのおともだち、すてきなひとだね」
「ぼくたちともなかよくなってくれる?」
「勿論だ!」
「いっぱいおしゃべりしようね!」
「ひっひー、お菓子とおしゃべり、みんなともだち!」
 みんなでまぁるいテーブルにつけば、楽しいパーティのはじまり、はじまり。

●すてきなまほう
 美味しいお菓子と素敵なおしゃべりは、楽しい時間を作り出す魔法。
 これ美味しいねと食べ合えば、話題も時間も弾むもの。
 暫く会話をして打ち解けたら、次は素敵な出し物の――『魅せる魔法』の時間。
「まずはボクたちからいくね! いこう、美咲さん!」
「え、なになに? なにがはじまるのかな」
「なんだろう、すごくドキドキしちゃうね」
 美咲の手を取って席を立ったヒィロは少し開けたスペースへと向かい、ふたり揃って並び立つ。顔を見合わせてこくりと頷きあったなら、ふたりのステージの始まりだ。
「瞬きして見逃したら損よ」
「ボクたちの『魔法』を見せるよ」
「まほう!? たのしみ!」
 ふたりの背後に唐突に現れたハロウィンっぽい背景だけでもレムレースたちはパチパチと手を叩いて喜ぶのに、ふたりは玉に乗り……そのまま息のあったジャグリング。
 ドリームシアターの幻影は一分で消えてしまうけれど、それが消えたのが気にならないくらいにレムレースたちはふたりの『魔法』に魅せられている。
「こおりがポンポンされてく……!」
「すごいね……って、わっ!」
 お互いに投げ合うジャグリングの最中、突然投げていた氷塊が割れた。
 それはとても小さく綺麗に割れて、照明の中、キラキラと降り注ぐ。
「きれー」
「ヒィロ」
「うん、美咲さん。それ!」
「中に自作のお菓子があるから、明日にでもどうぞ」
 最後に全員の元へと小さな包みを放り投げて、ふたりの『魔法』はおしまい。
「あしたもおかし、たべれるんだ」
「うれしい、ありがとう!」
「俺は特技……いや、『得意な魔法』は特にないですけど、怪我は治せます」
「おにいちゃんは、おいしゃさん?」
「雨月、お医者さん学生! 何でも、治す! すごい!」
 ボク、知ってる! とカルウェットが主張する。雨月がいれば怪我しても大丈夫! はしゃいでも大丈夫!
「怪我をしないに越したことはありませんが……怪我したらいつでも俺に言ってね。我慢して痛いの隠しちゃダメだよ?」
 はしゃぐ、するぞー! と元気なカルウェットを見て小さく笑った雨月がレムレースたちへと告げれば、レムレースたちはうんと大きく頷いた。
 雨月の隣に座っていたレムレースのひとりはチラリとチックを見てからこっそりと雨月の服を引っ張って、チックには聞こえないように内緒話。
「おいしゃさんになれたら、チックおにいちゃんのたすけになれるかなぁ」
「そうだね、きっとなれるよ」
 ないしょはなしのお返しに、おばけマシュマロをおいしいよと手渡した。
「ボク、早食い、得意、する!」
「お! カルウェットが早食いするのなら、オレも挑戦だ!」
 オレは挑戦することが得意なんだと主張したエドワードが、ハイッと手を挙げたカルウェットに続く。
「では私も」
 控えめに手を上げるミザリィは、実は『大食らい』。お婆さんだって丸呑みできてしまうのですよと冗談めかして片目を瞑って見せれば、レムレースたちが「すごーい!」と声を揃えた。
(母様は「お行儀が悪いのよ」と仰られるかもしれませんが……)
 でも、ここにはミザリィの母はいない。
 ちょっとばかしお行儀が悪くても、咎める人はいない。
「ん、これも、おいしい!」
「こっちもうまいぜ!」
「良いお味ですね」
 早速三人がパクパクモグモグムシャムシャと料理を食べていけば、みるみる料理が減っていく。口裂けおばけのクリームパンをぺろり、魔女の帽子ムースショコラをぺろり。後食べたことないのはどれだっけ?
「手伝う、するぞ! これ、おいしい、して!」
「ああ、カルウェット。食べさせてくれるのですね」
 おすすめだとフォークを差し出すカルウェットに礼を告げてあーんと口にすれば、確かにとても美味しい。
「とっても美味し、もご、ちょ、ペースが、んきゅ、んぐんぐ、カルウェ」
「おいしい! いっぱい、食べる、して! うれしい!」
 カルウェットは次々ミザリィの口へとフォークを突っ込んでいく。全て善意から行われる行動なので、ミザリィは必死に咀嚼した。
 そしてそれはミザリィにだけ行われている訳ではない。
「手伝ってくれんのか? へへ。それじゃあお願いしちゃおっかな~~」
 なんて口にしてしまったばかりに、エドワードも同じ目にあっている。
「おにいちゃんたちすごーい」
「わたしたち、あんなにたべられないね」
「ねー」
「このおばけモンブラン、すごく可愛いね。それに美味しい! 他もいっぱいあって次は何を食べようか迷っちゃうね」
「シュークリームもおいしかったよ」
「それじゃあ次はそれにしようかな」
 早食いをしていない他の皆は、普通に料理を楽しんでいる。
「美咲さん、好きなものあった?」
「今日のだと、ドラキュラワインとか好きかな……飲んでみる?」
「美味しそうだねって……えっ」
 飲みかけのドラキュラワインをはいっと差し出されて。
(それって間接キス……!?)
 瞬時に意識して、はわわとなってしまうヒィロ。
「いらない?」
「いる。いる! いただきます!」
 ヒィロが欲しがることなんてわかっているから、ちょっと意地悪なトリック。
 美味しくて幸せで、ハロウィンとは違う甘い魔法に掛けられる。
「あっなんだこの綿飴、濡らすとパチパチってうわわ」
「おにいちゃん、だいじょうぶ!?」
「大丈夫、大丈夫」
 早食い三人の手伝いをしようかと思ったあらいぐマデル……もといアーマデルは最初こそ急いで食べてみたが、あまり自分には向かないことが解った。料理を小分けにしたり、食べ易さを考慮して並べてあげたりと手伝いながら、自分のペースで食事を楽しんだ。
「練達の、洗濯物を入れるやつ、知ってるかな」
「しらなーい、どんなのー?」
「ぐるんぐるん回るんだ。……あれちょっと入って回ってみたいよな、一度」
「アーマデルおにいちゃん、まわっちゃうの?」
「……アーマデル、あぶないこと教えるの、だめ」
「そうだよ、レムレースたちは君ほど丈夫ではなさそうだしね」
 すぐに保護者のチックが注意をすれば、黒猫のマカロンばかりを口に運んでいた雨泽もうんうんと頷き後押しをした。
「ひっひー、全種類食べる、した! あとは、制覇、目指す!」
「無理はなさらぬ範囲で召し上がってくださいね。……ああ、エドワード、胃腸薬がありますから必要であれば言ってくださいね。ああほら、カルウェット、口の周りが汚れていますよ」
「ありがとな、ミザリィ。オレ、もう少し頑張れそう! カルウェット、これ、半分食べるか?」
「ミザリィ、ありがとう、する! エドワード、食べる、する!」
 エドワードは太陽みたいで、カルウェットは綿菓子みたい。ふたりの世話が焼けて、愛想がないと言われがちミザリィの頬が微かに緩む。
「あ! チックの歌!」
 アーマデルが弦楽器を爪弾いてチックが歌いだせば、一生懸命料理と口とを往復していたカルウェットの手が止まる。
 カルウェットはチックの歌が大好きだ。一番最初に『感動』という気持ちをしれたもので、それは今でもずっと、聞く度に心を震わせてくれるもの。
「チックは、すごい。きらきら、かっこよい」
「おにいちゃん、きらきら」
 わかるわかるとレムレースたちが頷いた。
 音と音とが重なって、弾んで、響き合う。
 今日という特別な日が一層楽しくなりますように。
 これから先も憧れている事が叶えられていきますように。
 チックが紡ぐ歌はアーマデルの奏でる音に乗って、屋外へと流れていく。

 今日は特別な日。
 お化けも吸血鬼も人狼もピエロも妖精もミイラもアライグマも、皆楽しく過ごす日。
 おいしいねって笑い合って、楽しいねって歌って踊って。
 だからきっと、祭りに紛れた本物の霊だって楽しく踊っていることだろう。
 特別な日の夜を、優しい音楽が彩った。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ハッピーハロウィーン!
お家に帰るまでがハロウィンです。

レムレースたちはとても幸せな時間を過ごせたそうですよ。
よかったね!

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