PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<神異>光と風が呼び込む天狗と狐

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 希望ヶ浜に異変が起こっている。
 混沌という地に飛ばされた者達が身を寄せ合い、元の世界と同じように暮らすこの地域で、停電やネットワーク障害、信号機の混乱とライフラインに大きな悪影響が発生していたのだ。
 そんな状況の中、まさに火事場泥棒と言わんばかりに活動する犯罪者コンビの姿が……。
「「ククク……!!」」
 光が差すかのような違和感を覚える中、空から舞い降りてくるそれらは飛行種を思わせる姿をした2人組だった。
 1人は大柄な山伏服姿の鳥人間。葉っぱのような扇を手にしたそいつの顔面は烏のようなクチバシがついていたのが特徴的だ。
 もう1人は、前者より一回り背丈が小さく、子分といった印象。
 ただ、突風と共に現れるそれらは被害者達に姿をまるで見せることなく、道行く人から追いはぎしたり、近隣の店から強盗を働いたりとやりたい放題。
 姿こそ見せないが、彼らはこう言い残す。
「我らは夜妖……」
「全てを我が物にせんとせし者」
 天狗達はまさに風のように去ってしまうのである。


 練達、希望ヶ浜。
 R.O.Oの謎を解明しようと、イレギュラーズは情報を集めようと動いていた。
 内外からの干渉によって、マザーにも異変が起こっており、首都セフィロトのドーム内でシステムの混乱が。同時に、希望ヶ浜でもライフラインに大きな乱れが発生している。
「併せて、R.O.Oではアップデートがあり、神光……神咒曙光で大きなイベントがあっているのだそうです」
 希望ヶ浜に集まったイレギュラーズへ、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)が話を進める。
 アップデートの内容は、patch3.0『日イヅル森と正義の行方』。なんでも、『神光と希望ヶ浜を取り巻いた真性怪異』の本領発揮とのこと。
 どうやら、今回はR.O.Oの神光と混沌の希望ヶ浜、同時に起きる異変の解決に動かねばならないらしい。
 R.O.Oでのイベントも気になるところだが、今回、アクアベルが話す依頼は希望ヶ浜でのもの。
 なんでも、希望ヶ浜では夜妖を名乗る犯罪者が現れているのだという。
 それらは比較的最近、この希望ヶ浜へとやってきたらしいのだが、やってきたことを幸いにと悪さを働いているらしい
「夜妖を名乗る犯罪者……?」
 白夜 希(p3p009099)がその言葉に反応を示す。
 希望ヶ浜に住む一般人が蛮行に及べば、夜妖を名乗る者も案外いるのではないかと彼女は考えていたのだ。
 そこで、アクアベルは首を振る。
「いえ、この地域に住む旅人はそうした非日常的なもの全てを信じたくないと考えるのが自然です」
 では、この犯罪者は何者なのか。答えは簡単。本当に夜妖なのだ。
「特徴的なのは、彼らが現れるタイミング、光が差すのと合わせて突風が発生する点です」
 突風は犯罪者が発生させているが、光が差すのは異世界の扉を開いて現れているからだとみられる。
 彼らが得意としているのは風を使うこと。突風を起こしながら現れる2体の天狗はまさに怪異。
 現状、人的被害は確認されていないが、悪事をエスカレートさせる彼らはこの先、人を殺めるだろうとアクアベルは予知している。
「その前に、討伐しなければなりません」
「うん、夜妖なら倒さないと」
 同意する希
 ただ、今回の夜妖討伐はそう簡単には済まない。
 突発的に現れる存在に注意してほしいと、アクアベルはイレギュラーズに注意を促すのである。


 希望ヶ浜、豊小路。
 日出神社を中心とするこの地域に、その日はライフラインの異変が起こる。
 周囲の電力が突如として消え、辺り一面停電してしまう。
 だからこそ、そこに差す光は非常に印象的で。
「「ククク……」」
 光の中、どこからともなく聞こえる笑い声。
 そして、突如発生する突風に乗って表れたのは2体の鳥人間……いや、夜妖だった。
 彼らはイレギュラーズへと強襲しようとしてきたのだが、風下から巨大な何かが夜妖達を襲う。
「ぐああっ!」
「何……!?」
 グルルルルルル……。
 夜妖達を吹っ飛ばしたそれは、黄金の毛並みを持つ巨大な狐だった。
 守護幻影と呼ばれる存在であるその狐は、日出神社へと近づいた夜妖を排除すべく現れたと思われる。
 しかし、『侵食の月』の影響が狐にも現れていて。
 グルルルルルル……!!
 守護幻影の狐はイレギュラーズ側にも飛びかかってくる。
 また、吹っ飛ばされたはずの夜妖達……烏天狗と木っ端天狗も翼を羽ばたかせて。
「姿を見られたからには」
「口を封じねばなるまい」
 強い風を巻き起こし、この場にいる自分たち以外の勢力へと襲い掛かってきたのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 <神異>のシナリオをお届けいたします。
 また、白夜 希(p3p009099)さんのアフターアクションから発生したシナリオでもあります。

●目的
 守護幻影、及び夜妖2体の討伐

●敵……守護幻影&夜妖
 それぞれ独立して動き、別勢力とイレギュラーズを敵視し、襲い掛かってきます。

〇守護幻影×1体
 全長5mほど。巨大な狐を思わせる姿をしています。
 『侵食の月』の影響もあって狂気に侵されてしまっています。
 狐火を操って攻撃するほか、軽やかに跳躍して踏みつけ、複数のしっぽの巻き付け、眼力での行動封じなど、巨躯と妖力を合わせて攻撃を仕掛けてきます。

〇夜妖×2体
 夜妖の名をかたる犯罪者……と思ったら、その正体は夜妖そのものだったようです。
 姿を見られたことで、全ての目撃者を排除しようと目論んでいるようです。

・烏天狗
 身長2m強。一般人間種よりは大柄です。
 木っ端天狗の相方。竜巻を使いこなす他、風を使いこなして自らを強化し、強力な風を巻き起こして敵陣を壊滅させようとします。

・木っ端天狗
 2m弱。一般人間種成人並み。烏天狗の子分といったところ。
 天狗というよりは大きな鳥人間といった風体の夜妖です。
 疾風で攻撃するほか、銃弾を素手で発射することができます。
 また、相手を挑発して自身へと気を引くこともあるようです。

●状況
 希望ヶ浜にて盗みを働いていた犯罪者コンビ。夜妖を自称していたようですが、そのままずばり夜妖だったようです。
 彼らはライフラインに異常がある場所を察知して突風と共に現れ、悪事を働くようです。
 この討伐を行うのですが、同時に侵食の月の影響で狂気に侵された守護幻影が襲い掛かってくる為、合わせて対処する必要があります。

●Danger!(狂気)
 当シナリオには『見てはいけないものを見たときに狂気に陥る』や『反転に類似する判定』の可能性が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

●侵食度<神異>
 <神異>の冠題を有するシナリオ全てとの結果連動になります。シナリオを成功することで侵食を遅らせることができますが失敗することで大幅に侵食度を上昇させます。

●重要な備考
 <神異>には敵側から『トロフィー』の救出チャンスが与えられています。
 <神異>ではその達成度に応じて一定数のキャラクターが『デスカウントの少ない順』から解放されます。
(達成度はR.O.Oと現実で共有されます)

 又、『R.O.O側の<神異>』ではMVPを獲得したキャラクターに特殊な判定が生じます。

 『R.O.O側の<神異>』で、MVPを獲得したキャラクターはR.O.O3.0においてログアウト不可能になったキャラクター一名を指定して開放する事が可能です。
 指定は個別にメールを送付しますが、決定は相談の上でも独断でも構いません。(尚、自分でも構いません)
 但し、<神異>ではデスカウント値(及びその他事由)等により、更なるログアウト不能が生じる可能性がありますのでご注意下さい。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <神異>光と風が呼び込む天狗と狐完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年11月02日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
グレイル・テンペスタ(p3p001964)
青混じる氷狼
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
魔風の主
恋屍・愛無(p3p007296)
獏馬の夜妖憑き
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)
チャンスを活かして
月錆 牧(p3p008765)
Dramaturgy

リプレイ


 練達希望ヶ浜の豊小路を訪れたイレギュラーズ。
 突如、街灯が消えた直後、一行は光の中で、突風に乗って飛来する2体の夜妖と邂逅する。
「我らは夜妖……」
「全てを我が物にせんとせし者」
 光を背に強襲しようとしてきた自称夜妖達はそのままイレギュラーズへと強襲してこようとする。
 グルルルルルル……。
 しかし、黄金の毛並みが飛び込み、夜妖を名乗る2体の天狗が吹っ飛ばされた。
「夜妖を名乗る夜妖って……素直か!」
「正直な夜妖だね。良い事……かなぁ?」
 その姿を視認した『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)や『魔風の主』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)は、まさに夜妖そのものであると判断していた。
「……自ら夜妖を名乗るなんて……迷惑な人もいるものだと思ってたけど……まさか本当にそれだとは……」
 何はともあれ、マザーへの攻撃によって起きた混乱に乗じて、火事場泥棒を働く狡い連中だ。放置するわけにはいかない。
 ただ、ふわりと降り立つ巨大な金狐がイレギュラーズをも威嚇してくる。
「こんな時に限って、第三勢力も来るとは困ったものだぜ」
「……しかも……よりにもよってこの状況でさらに敵が増えるなんて……これは非常にマズいな……」
 錬、『獏馬の夜妖憑き』恋屍・愛無(p3p007296)が見つめる狐は守護幻影と呼ばれるこの地の人々を守るはずの存在。
 ただ、本来あるべき姿が『侵食の月』によって歪められ、狂気に侵されてしまっている。
「哀れな事だが、是非も無し」
 首を振る愛無だが、『青混じる氷狼』グレイル・テンペスタ(p3p001964)はあることに気付く。
「……でも……この狐って……僕達だけを敵視してる訳じゃないみたいだね……?」
 先程夜妖らを奇襲したのがこの狐。
 狐が明らかに夜妖……2体の天狗をも威嚇しているのを、他メンバー達も視認していて。
「守護幻影と夜妖との三つ巴の戦いか……」
「ぶはははッ、なかなか面倒な三つ巴になっちまったねぇ!」
 この状況を険しい表情で見つめる『竜食い』シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)。一方で、『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)は豪快に笑って双方の敵をしっかりと捉えていた。
「何だかややこしい事になってしまったけど、どうしようかこれ」
 ウィリアムが主張するのも無理はない。下手に動けば、やられるのはこちらなのだ。
 とはいえ、うまくいけば夜妖を利用できるかもしれないとシューヴェルトが話す。
「なら、このチャンスに乗っかってみる価値はあるかもしれないな」
「ああ、ややこしい事になってはいるが、この状況を利用しない手はない」
 それに、『『幻狼』灰色狼』ジェイク・夜乃(p3p001103)も乗る様子だ。
 全てを排除しようとする守護幻影の狐。そして。
「姿を見られたからには」
「口を封じねばなるまい」
 自分らの正体が割れ、天狗達もまた双方を倒そうと考えていたようだ。
「……姿を見られたから口封じって……この夜妖は何がしたかったんだろうね……?」
 訝しむグレイルだが、犯罪を繰り返す夜妖達の真意など、推し量れようはずもない。
「上手く利用すれば有利になるかもしれないけど、僕はそういうのはよく分からないし」
 ここは、この場を有利にすべく仲間達が動くとのこと。
 ウィリアムはどちらの首からとればいいのか、その交渉を見守ることにしたのだった。


 三つ巴の状況で、ジェイクが提案したのは敢えての夜妖、天狗2体の説得だ。
 まず、狐へと飛び出したゴリョウと愛無。
「ぶははっ、横槍が入らねぇようにはしねぇとな」
 ジェイクはしっかりと身構え、狐が他の仲間やイレギュラーズへと茶々を入れぬようブロックへと当たる。
「今は刺激しすぎぬよう流星せねばな」
 愛無も交渉を行う場のお膳立てをと、粘膜で生成された触手を伸ばして傷口からその粘液を流し込んで狐を牽制する。
 グルルルル……。
 加えて、狐が尻尾での巻き付けなど攻撃を行えば、すぐさま反撃できる態勢も愛無は取っていた。また、狐火などはしっかり対策を練っており、
 さて、ジェイクはシューヴェルトと共に天狗の方へと向かう。
「俺の言葉を、状況を見定める為の計器として聞け!」
「「……?」」
 まずは、ジェイクが一喝。思わぬ状況に顔を見合わせる天狗……木っ端と烏。
 相手は夜妖。しかしながら、ジェイクのタフネゴシエイトにシューヴェルトの人心掌握術を合わせ、より説得しやすい状況を作っていた。
「狐と俺達が相手じゃ、お前達には分が悪い!」
 戦場のハッタリは基本中の基本。
 そんな内心を悟られぬよう、ジェイクは堂々たる態度で語り掛ける。
「…………」
 シューヴェルトはいつでも天狗がこちらへと攻撃を仕掛けてきていいよう反撃態勢をとり続ける。
 とはいえ、この作戦に乗ったシューヴェルトだ。分が悪くなれば、口を挟むことも考え、成り行きを見守る。
「お前達だって分かっている筈さ、守護霊獣はお前達を殺すまで地の底まで付け回すぞ。別に俺達はお前達を見捨てて帰ったって構わないんだ」
 その間もジェイクは天狗らの説得を続け、傍らで大型拳銃の引き金を引いて狐を狙撃していた。
 成り行きを見守る他のイレギュラーズも、説得の可否でいかなる立ち回りができるよう散開した状態で待機していた。
 例えば、ウィリアムは狐と夜妖のどちらを叩きに行ってもいいよう程よい位置を保っていたし、呪符を構える錬は交渉役とアタッカーの間に、グレイルも狐に自らのスキルがギリギリ当たる位置をキープして完全に孤立せぬよう気を付けていた。
(同時に相手をするのは厄介だが、果たして天狗との交渉が上手く行くかどうか)
 最終的にどちらも倒す前提。それに至る道筋は整えねばならぬと、錬は練達上位式を発動させて周囲から一般人を遠ざける。何せ、現状でもライフラインの異常が頻発していて危険なのだ。
 加えて、錬も説得がうまくいくよう、ジェイクの交渉術をテスタメントによって強化し、交渉役2人の存在感を強くして説得力を持たせようとしていた。
「そういえば、希望ヶ浜、とは皮肉な名前ではありませんか」
 途中、交渉結果が出るまで待っていた『Dramaturgy』月錆 牧(p3p008765)が、徐に口を開く。
 いま起こっている事態に目を背け続ければ、やがて手の施しようのない状況になるのは目に見えるほどにわかります。
「もっとも、わたしはそれでいいと思います。因果応報、とはこういうものなのですから」
 ともあれ、特に思い入れはない牧としては、どちらも斬る相手。
 面倒で済むならそれで構わないとのことだ。
 
 さて、ジェイクの交渉は続く。
 天狗らの心を徐々に掴んでいたことを彼は察して。
「狐を倒すまでは俺達と共闘をしないか?」
 三つ巴状態で戦うのと、共闘して狐を倒した後に俺達と雌雄を決するのとで、どちらがお前達の勝率が高いかは考えるまでもない。
 ジェイクは熱い言葉で天狗達を諭そうとする。
 狐の力は強大で、自分達では勝てるかも怪しいと天狗達も囁き合う。
「狐を倒すまで竜巻はやめろ。この陣形が崩れたらお前達もヤバいぜ」
 嘘でないことも互いに理解している。だからこそ、木っ端、烏の天狗達も決めたのだろう。
「狐を倒すまでか」
「なら、いいだろう」
「…………」
 ひとまず、交渉は成功したが、シェヴァリオンに跨るシューヴェルトは天狗達が小さく笑いを浮かべていたのを見逃さなかった。


 説得の結果を受け、イレギュラーズはそれぞれ動き出す。
 ジェイクはそのままの位置で銃弾を発射して守護幻影である狐を狙撃する。先程の狙撃に加え、魔弾を籠めた弾丸を撃ち込むことで、相手の動きを止めようとしていたのだ。
 続き、シュヴァリオンに跨るシューヴェルトが厄刀を抜くと共に呪詛の刃で狐を貫通する。
 その一太刀は傷を残さぬが、その体内にはしっかりと呪詛を残し、狐の体力を削る。
「これは」
「かなりの力」
 攻撃を躊躇していた天狗達だったが、思わぬイレギュラーズの力に驚いてもいたようだ。
「君たちとしても、この場は生き残りたいのだろう? なら、答えはわかっているはずだ!」
 そんな相手に、シューヴェルトが次なる攻撃を用意しつつ告げる。
「言っておくが、君たちは僕が見ているからな。何か裏切る素振りを見せたらすぐに攻撃をするぞ」
「よかろう」
「留意しよう」
 木っ端も烏も風を操り、巨躯の狐へと浴びせかける。
 その力は烏が格上で、激しい竜巻を巻き起こして狐の体を引き裂かんとする。木っ端も決して弱いというほどではなく、素手で飛ばす銃弾はなかなかの威力だ。
 しかしながら、どこか天狗達の動きはぎこちなさも感じ、シューヴェルトだけでなく、ジェイクもハイセンスやギフトの「獣の嗅覚」を使ってまで警戒を続けていた。
「ぶははっ!」
 ゴリョウは変わらず狐の抑え。ただ、先程と違って金眸で見つめることで相手のヘイトを強く買い、一層激しい狐の攻撃をその身で引き受ける。
 仲間に攻撃を生かせぬのはもちろんだが、天狗らに大義名分を与えない為、ゴリョウは狐のみ対応しているのだ。
 グルルルルルゥゥ……!
 狐もいきり立っており、激しく空中を舞い踊ってイレギュラーズを中心に踏みつけ、妖力を使って動きを封じようとしてくる。
 ウィリアムもまずは狐を弱らせるべく、相手の動きを見つつ近距離から強力な神秘の一撃を叩き込む。その威力は絶大だ。
(防御は脆い方だからな)
 ただ、攻撃されれば一溜まりもないと孤立を避けるウィリアムは、合わせて近辺の仲間の気力と異常の回復も行っていた。
 仲間の援護を受けつつ、錬も前方に位置取る。
(思った通り、天狗が近寄る様子はないが……)
 錬は抑えに当たる仲間達のことを考え、式符・炎星の利用を止め、別の式符より鍛造した無数の木槍で狐を攻め立てる。
 錬の式符から狐の体へと突き刺さる木槍はただ傷を負わせるだけでなく、内なる妖力を霧散させる効果もある。
「やはり、こちらは強敵ですね」
 これだけの人数で攻め立てているのに、同等に戦う狐の守護幻影。
 対するに当たって、牧は近未来観測で回避力を高め、狐の至近後方に迫る。
 その尻尾を包み込むようにして、牧は全身から放った闘気の糸を展開する。
 相手の動きが少しでも止まればこちらのもの。
 一斉に攻撃するメンバー達だが、グレイルは魔術で生み出した獰猛な白狼をけしかけ、狐の態勢を崩す。
 防御が崩れたところで、グレイルは一気に伝承の神狼を自らに投影させ、朧げに体の一部である魔力媒体を光らせて刹那の猛攻を打ち込んでいく。
(天狗だけが一方的にアドバンテージを握る事は避けたい)
 愛無は臭いによって、敵味方全ての位置を把握する。とりわけ、彼女が意識していたのは2体の天狗だ。
「我が竜巻、見せてくれようぞ」
「疾風の刃、とくとご覧じろ」
 天狗らが確かに一見すれば力の限り攻撃しているようにも感じらせる。
 ただ、常に狐からは距離をとっており、ほとんどダメージを受けているように見えない。しかも、どこか退路を確保しているようにも感じられた。
(やはりな)
 愛無はその位置取りを常に把握しつつ、触手で攻撃を続けて狐の生命活動の阻害を続けていた。
 天狗達もおかげで戦いにくそうにしていたが、さすがに人数もあってか、守護幻影を思った以上に早く追い込む形となる。
 キュウウウ、キュウウウウゥゥゥ……。
 その鳴き声が弱弱しくなったこともあり、ゴリョウはシューヴェルトへとハンドシグナルを使って『要警戒範囲』に達したことを伝える。
 狐が次なる攻撃へと出る前に、動いたのは夜妖達だった。
「そろそろいいだろう」
「人目に姿をさらしたくはないのでな」
 もはや、そいつらは守護幻影を見てはおらず、敵視するイレギュラーズへと構えをとる。
「待て、本当にいいのか?」
 ジェイクが止めようとするが、天狗らは構うことなくこちらへと風を浴びせかけてくる。
 それに対処していたグレイル、シューヴェルトの動きは速い。
 天狗の視線からそれるようにして動くグレイルはカンテラ型の幻狼燈より青白い炎を木っ端目掛けて放つ。
 シューヴェルトもまた限界まで呪いの力を高めた刃を手に木っ端目掛けて振るう。
 両者とも手ごたえは十分。ただ、そちらに意識を向けすぎた為に、最後の力を振り絞った守護幻影の攻撃への対処が遅れた。
 グルルオオオオオオォォオオオォ……!
 これまでになく強い方向。残された妖力が太い尾を分裂させ、イレギュラーズへとつかみかかる。
 あいにくと木っ端もそれに巻き込まれたのは自業自得か。
 しかしながら、グレイルもシューヴェルトも強力な締め付けを受け、パンドラを使わねばなら亡くなっていたようだった。
 その攻撃をギリギリで避けたウィリアムは、刹那的に高めた神秘の力を狐へと叩き込む。
 キュウゥゥゥゥ…………ン。
 ウィリアムの一撃を受けて弱弱しく鳴いた金色の狐は虚空へと消え去り、夜闇と同化してしまった。
 牧は完全に守護幻影を倒したかを鬼眼判官で確かめて。
「大丈夫、狐は確実に倒したわ」
 狐は往々に人を騙すという話もあり、牧はそれを防ぎたかったのだ。
 もっとも、そんな狐よりも下手くそな騙し方でイレギュラーズを謀ろうとした夜妖達がこの場に残っていたわけだが。
「さあ、夜妖を排除しましょう」
 牧は改めて、仲間と共にその殲滅へと乗り出すのである。


 後は夜妖、天狗2体との勝負。
 シューヴェルトは相手に反省なども見られぬことを確認し、そのまま次なる一撃をと構える。
「やはり、こうでなくてはな」
 日頃から犯罪を働く者達であり、木っ端は相手を煽るのはうまい様だ。
 本性を露わにする天狗らに対し、ウィリアムは刹那我を忘れかけるが、慈悲と無慈悲の一撃を繰り出して冷静になりつつも、木っ端を追い込む。
「ぐおっ……」
 なにせ、そいつは狐の最後の強撃をもろに受けているのだ。体力はほとんど残されていないはず。
 ジェイクも再度の説得は聞き入れてはもらえぬと悟り、木っ端目掛けて連続して銃弾を撃ち込む。
 続けざまにシューヴェルトが空を駆けて攻め入り、抜刀した勢いでその体を断ち切る。
「おおおおぉぉぉ……」
 その全身が木の葉のようになり、木っ端はひらりひらりと地面に落ちていく。
「なんと……!」
 相方が倒れたことに烏は衝撃を隠せぬようだが、そこは己の力を高めるべく全身に風を纏う。
 牧がすぐさま烏へと「破秀滅吉」掘られた刀で切りかからんとする。
 しかしながら、烏の動きは目で追えぬほどに速さが増し、連続して浴びせる竜巻で牧の体を引き裂こうとした。
 牧も体が引きちぎられそうになりながらもパンドラにすがり、茶色の目を見開いてから刃を袈裟懸けに振るう。
 刃は烏の体へと食い込み、体を纏う風が弱まっていく。
「むう」
 唸る烏はなおも竜巻を起こすが、ゴリョウがその前に立ち塞がる。
「ぶはははッ、この図体を飛ばすにゃ微風だねぇ!」
 じっとゴリョウが金の双眸で見つめたことで、彼に意識を向けた烏を、イレギュラーズは全力で叩く。
 グレイルは出し惜しみせず、態勢を崩しかけた烏へと魔術で作り出した白狼で爪痕を刻み込む。
 そして、仲間達の攻撃の合間に、グレイルは僅かな間だけ己に投影した神狼の力で烏の体を引き裂こうとする。
 風を操って対抗する烏だが、錬もその体に氷の薙刀を突き入れて身体を凍らせ、傷を増やす。
 そいつが翼を羽ばたかせたのを愛無は見逃さず、粘膜塊を直接叩き込んだ。
「な、んだ、と……」
 強い酸性の粘膜によって体の腐食を感じる烏。
 ただ、すでに体力が尽きたそいつはそれがどうなるかをかくにんできるまま、全身を木の葉と化して消えていった。
 直後、強く吹く突風に、牧は夜妖の正体を掴む手掛かりが得られるかと思ったのだが。思うように体が動かず、結局は確かめることはできなかった。


 狂える守護幻影を沈め、夜妖を倒したイレギュラーズ。
「……そういえば……この辺りの電気って」
 グレイルが見回すと、街灯の照明が復旧する。
 明かりに照らされたその場にはもう、イレギュラーズが倒した3体の姿は消え去っていた。
「天狗にせよ、狐にせよ。本来ならば祀られるモノたちであったのだろう」
 この決戦が終わった後、信仰が残っていれば、また正しい姿で蘇るかもしれないと愛無は考え、近場にある日出神社へと供養に出かけることにする。
「油揚げの一つでもお供えしとかなきゃな!」
 どうやら、供え物はゴリョウと意見を同じくしたようだ。
 そんな愛無、ゴリョウを中心に守護者に傷を癒してほしいと、メンバー達は参拝に出かけることにしたのだった。

成否

成功

MVP

ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは交渉によって、一時的にでも夜妖と共闘態勢をとることに成功した貴方へ。
 今回はご参加、ありがとうございました!

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