PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<オンネリネン>唇に甘き死を

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「……では、ご要望の通りに。あなたとはよい関係が築けたと思いますよ」
「わざわざこんなところに通されたのだ。良き結果が頂けなければ私としても困るのでね」
 少女然とした慇懃な女性が頭を下げると、対面に座っていた傲岸な男――身なりをみるに幻想貴族だろうか――は乱暴に席を立ち、高級感ある革袋に包まれた金貨を置いて去っていく。革袋の価値だけでも、ここに住む子供の何人かを一ヶ月は食わせられるだろう、と女は思った。依頼料がそれどころではないのもまた、問題だが。
 ここはアドラステイア下層のとある空き家で、出ていった貴族、ノクト卿? ナンド卿? そんな名前だったか、そのような『大人』には茶の一つも出さずに商談だけで終わらせた。
 仕事は仕事として、あのような男が不機嫌極まる表情をするのは酷く気分がいい。女は口元を歪め、合図をしようとし。
「なりませんよ、マザー・エクィル。ニレイド卿が幻想に戻らねば、依頼の発効は成りません。なにせ、今このやり取りを知るのはお互いのみなのですから、事情も知らぬまま子供達を派遣しても無用な混乱を生むだけです」
「わかっておりますよ、ブラザー・ノア。あなたは随分と……そう、随分と人の名前を覚えるのが得意なのですね」
「マザー、貴方が『大人』と十把一絡げにするから神職者同士でもなければ覚えないだけです」
 女、素性をアドラステイア構成員『マザー・エクィル』という彼女は、諫言を弄したブラザー・ノアの言葉に乙女のように苦い顔をして、それから毒婦の如き鋭い視線を向ける。
「それで、今度の子供達に『あれ』をもたせるのでしたか。同行させる聖獣は?」
「選定済みです。派遣先が厄介ですので、私も同行し目的地までは旅の芸人一座を装いますよ」
「結構。わたしはあの2つの国、どちらがどうなっても結構ですが……多く積んだのが幻想だったと言うだけの話ですね」


「と、いう情報を此方で掴んでね。私によし、君達によし、君達を憎む先方によし、三方良しだと思ったんだがどうかな」
「仮想敵国での動きを掴んで、実際の敵国であるここに依頼の為に乗り込んでくる貴方の胆力に比べれば些末な話だと思いますよ」
 ローレット内、個室。鉄帝の情報部員を名乗る男は、ローレットへと依頼を持ち込んだ。よりにもよって『南方戦線』、つまり幻想の北方のゴタゴタを。しかも、幻想側が『オンネリネン』を雇ったという情報を。
 だからこそ、『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)の機嫌が最悪になっているのだが。
「事情は理解しました。北方に向かっている怪しい集団……それが幻想北方駐留軍と合流してひと暴れしようとしていると。ところで、私達の拠点は幻想なのですが?」
「おや、ローレットは不偏不党ではなかったかね? それに、オンネリネンが聖獣を外に持ち出したことも――それが『マザー・エクィル』の手引であることも、放置できないとは思うが」
「すいません、今なんと?」
「マザー・エクィル。君達のお仲間、その一部が血眼で探している相手じゃなかったかな? 彼女は戦場にいないらしいが」
 三弦は暫し絶句したあと、依頼人が持ち込んだ情報を素早く纏め、整理しなおすと相手から依頼料の前金と依頼書をふんだくると、すぐさまイレギュラーズを集めるべく動き出した。
 情報部の男は満足げに、人波へと溶けていく。

GMコメント

 マザー・エクィルの外見エッッッッッ

●成功条件
・子供達、及び聖獣の無力化
(オプション)
・17ターン以内(以後、20、23、26……と3ターン刻み以内)の聖獣の撃破
・聖獣の20ターン以上の生存
・ブラザー・ノアの撃破(逃走阻止)
・『神の御印(マーカー)』の回収

●子供達(マーカー)×8
 『神の御印(マーカー)』を服用した子供達。通常の『オンネリネン』構成員より相当レベルの強化がされており、聖獣に指示を飛ばすことができる。
 全体的に遠距離攻撃用武器を使用する。リーダーのノックス少年のみ、先端に刃のついた鞭を使用。
 総じてEXFが高い。

●聖獣
 子供達に引き連れられた(牢に入れて連れられてきた)、目を糸のようなもので縫い付けられたオオサンショウウオのような姿の聖獣。
 サイズは通常の人間よりずっと大きい(体長2mくらい)。
 動きは鈍重だが頑丈で、粘液を飛ばしてきたり、【反】による消耗戦がメイン。近扇の尻尾攻撃なども行う。
 17ターン経過後、使用スキルに『逆棘舌(物超単・万能、致命、流血、必殺)追加。このスキルは基本的に対象固定、3ターンに1回程度の発動率となっている。
 規定ターン経過後、条件を満たすと性能強化。

●ブラザー・ノア
 マザー・エクィル配下の神父。
 子供達の護衛というよりは、情報収集のため同行している。積極的な敵意は見せないが、狙われれば反撃はするし、生存のため最大限努力し立ち回る。
 外見を見た限り、武器を持っていないように見えるが……。

●マザー・エクィル
 本件に一枚?んできた。登場シナリオは『収穫祭』~『後夜祭』参照。
 北方戦線に関与する泡沫貴族に鼻薬を嗅がせてオンネリネン派遣を通した模様。『神の御印(マーカー)』を用意したのも彼女。

●『神の御印(マーカー)』
 水飴を板状にしたようなものをオブラートで挟んだ感じの外見をした謎の物体。
 これを摂取することで身体機能の向上と、聖獣の操作が可能になっている模様。子供達は舌にのせた状態を保持している。
 ほかの効能もあるかもしれないし、ないかもしれない。

●『オンネリネンの子供達』とは
https://rev1.reversion.jp/page/onnellinen_1
 独立都市アドラステイアの住民であり、各国へと派遣されている子供だけの傭兵部隊です。
 戦闘員は全て10歳前後~15歳ほどの子供達で構成され、彼らは共同体ゆえの士気をもち死ぬまで戦う少年兵となっています。そしてその信頼や絆は、彼らを縛る鎖と首輪でもあるのです。
 活動範囲は広く、豊穣(カムイグラ)を除く諸国で活動が目撃されています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●注意事項
 この依頼は『悪属性依頼』です。
 成功した場合、対応国家における名声がマイナスされます。
 又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。

  • <オンネリネン>唇に甘き死を完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常(悪)
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年10月11日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
グドルフ・ボイデル(p3p000694)
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
極楽院 ことほぎ(p3p002087)
悪しき魔女
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)
復讐者
小金井・正純(p3p008000)
ただの女

リプレイ


 北方戦線へ向け、早馬に引かせた馬車が駆ける。御者は一般人、戦線への本格侵入を前に取って返すように言い含めてある。その上で、オンネリネンの馬車を待ち受け襲撃する。幻想に害を成す者が幻想から現れては話しにならない。あくまでこの戦いは、当の貴族が割を食う暗闘でなければならぬ。
「アドラステイア、今回はマザーエクィルが関わっている……」
「ハッ。あの女の名前をここで聞くたあね。胸糞悪ィぜ」
 『未来を願う』小金井・正純(p3p008000)と『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)の2人にとって、否、加えて『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)にとっても、今回の事件の裏で糸を引く『マザー』の名前は無視できるものではない。『オンネリネン』がそもそもアドラステイア絡みであるだけにかなりセンシティブな案件になるのだが、加えて因縁深い相手の手引ときた。穏やかであれ、というのは無理な相談なのかもしれぬ。
「マザー・エクィル……確か、『反転した聖獣』の運用実績のある御仁でしたか」
 過去の資料を思い返し、『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)は今回現れる敵が何れも油断ならない相手であることを再確認する。北方戦線、突き詰めればアーベントロート麾下の戦場で悪事の為に長居したくもない。速攻を目指したいが、なかなかどうして状況は面倒だ。
「言い得て妙だな。アレはそうとしか表現できなかったし、奴絡みなら派遣されて来るガキ共が身綺麗だとは考え難い。……それでも殺したくないというなら、貴様らであやしつけろ」
 エッダはこの面子の中で、最もマザー・エクィルの手口について詳しいだけに、子供達が『施し』を受けている時点でまともな末路が期待できるとは思えない。正直、生かして確保するのも懐疑的だ。
「まー私は脚が手に入るのならとーだって構いませんがねー。子供のが駄目なら聖獣のをもらいましょーかー」
「でもガキでも戦場に出てくるなら、そーゆー覚悟はあるってコトだよな? 情けも容赦も要らねーよな?」
 『《戦車(チャリオット)》』ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)の常にましてダウナーな言葉に、『悪しき魔女』極楽院 ことほぎ(p3p002087)はしかし、と口を挟む。子供の生存支持が多いのは事実だが、事態が逼迫したらその限りではないだろう、と。この面々で危機的状況に陥ることはないだろうが、さりとて計画通りに行くとも言い切れない。その言葉にピリムは一片の希望を見たような表情を見せたが、正純の視線を受けてこれは無理かな、と理解を示した。
「ガキ共には『戦場って何なのか』を。貴族共には『取引相手を選ばないと如何に損するか』を。
 マザー共には……ま、『世の中そんなおいしくねえって道理』を。おしえてやんねーとな」
「よりにもよって、アドラステイアに接触するとは、幻想の腐敗も相変わらず、か」
 『横紙破り』サンディ・カルタ(p3p000438)の語る道理には強い説得力がある。アドラステイアと取引し、子供を戦場に引っ張り出すことを罪と思わぬ幻想貴族がローレットに目をつけられるのは道理であり、当のアドラステイアも因縁浅からぬ相手である。そんなものに縋らねばならない貴族の病理というものを、『倫敦の聖女』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)が感じ取ったのは無理もない。
「ひとまずこの辺で降りましょう。有難うございました、離脱して構いませんよ」
 一同が馬車から降りると、御者は慌ててその場から離脱する。見れば、やや離れたところから現れた馬車の幌からずるりと、巨大な何かが身をおろしたではないか。ついで、子供達が。最後に御者が大仰に降りると、恭しく一礼をしてイレギュラーズに正対する。
「こんなところで奇遇ですね。貴方達も戦場に御用ですか」
「貴様達が『奴』の息がかかっていることはとうに承知している。我が国の為にも、あの女に吠え面かかせるためにも、ここから生きて帰れないと思え」
 御者台から降りた男――ブラザー・ノアの言葉に、エッダがすぐにでも襲いかかりそうな殺気を纏って応じる。子供達は即座に懐から赤いなにかを口に含んだかと思えば、顔面を含む全身の血管が隆起し、浅く思い呼気を伴って各々の武器を身構える。ムチを構えた少年、ノックスという名前だったか。彼の鞭捌きは既に常人のそれではなく、既に先端が並の動体視力では視認できぬまでに達している。
「幻想(このくに)の平和と神の敵に誅伐を」
「残念だった、な。ローレット、は、総ての味方で、」
「大体どっからも嫌われる準備が出来てるんだ、オレ達はさ」
 鋭く指揮を飛ばすノアに対し、呆れたようにエクスマリアとことほぎが返す。どこにも依らないということは、どこからも敵視される覚悟があるということだ。
 それは恐らく、この場にいる男達の方がよくよく理解しているのだろうけれど。


「短期決戦がご所望でしたねー。では一気に決めるとしましょうかー」
 ピリムは言うなり姿勢を低く保つと、恐ろしい速度でもって聖獣へと斬りかかる。唸りを上げる一撃は、普通に当たれば恐ろしい威力を見せたのだろう。事実、彼女が踏み出した地面はその加速に耐えられず轍を残している。だからこそ、一足のズレで聖獣の皮膚の表面を撫で付けるのみで終わったのはただただ惜しい。紫電が迸ったが如き激しい舌打ちは、敵味方にその危険性を改めて認識させた。
「ハハッ、走ってんなあピリム! 慌てなくてもそいつは逃げねえぜ! それより」
「子供達の無力化が優先、でしょうか。撃ち合いなら、経験の長幼が物を言います」
 ピリムの初手を見て、ことほぎと正純はなおも落ち着いたものだった。彼女の動きが逸るのは分かっている。それでも一定の成果をあげることも。だからこそ、煙の監獄魔術、そして天狼の一撃を向ける姿勢に淀みはなく、その狙いは過たず子供達を直撃する。そう、直撃はしたのだ。彼女らの術式を躱せるような身のこなしは、常道では有り得ない。
 ……だからこそ、半数を超える子供達が動きを微塵も緩めず、身の丈を大きく超えた長弓やヘビーボウガン、大口径の銃をこともなげに操る彼等の姿は彼女らを驚嘆せしめた。
「おらあガキどもォ! その飴玉、とっとと寄越しな!」
 グドルフは動きを止めた子供の間合いに飛び込み、斧を振り上げ……今の自分が手加減など出来ない気分であることを認識する。自分を狙わせればいいと思ったが、今できるのは思い切り振り下ろして動きと守りを鈍らせることぐらい。殺さないようにするには、相応の準備が要る。
「なに慌ててんだよグドルフ!? らしくねえ!」
「へッ、うるせえやい。サンディ、おめえがこいつら引っ張って走りな。おれさまは死なない程度にその背中を斬って回ってやるよ」
 割って入るように子供達の間合いに踏み込み、挑発に出たサンディは返ってきた言葉に一瞬だけ逡巡を見せると、即座に「殺すんじゃねえぞ」と返す。予定調和というのはどこにもない、ままならないものである。それでも軌道修正が利くだけ、互いの信頼が十分あるという証明だろうが。
「目標は、3分以内の聖獣の撃破です」
「鈍重な相手なら得意であります。新田様、狙われないようお気をつけくださいませ」
 寛治が黒い傘を翻し、2発の弾丸を素早く打ち込む。威力に長じた一発はブラフ、本命は貫通力に優れた2発目だ。一発目を身を震わせて受け止めた聖獣も、次の一発の威力までは殺しきれぬ。相応の傷を受けた姿はしかし、それでも倒れるに程遠いことを理解させた。エッダの放つ『第三套路』は聖獣の盲だ目には映らぬが、その動きが邪魔だということは認識できる。……つまりは、その敵意をひきつけられたということだ。
 不定形の声をあげて暴れまわる聖獣の尾を徹甲拳で弾き、どさくさ紛れに飛んでくるボウガンの矢をへし折りつつエッダは目前の敵だけを観察する。
(3分20秒を超えての生存を任務に据える理由、子供に妙なものを与えて戦わせる理由、それを口にしている限り子供の指示を聞く構造……不可解なことばかりですね)
 寛治は聖獣に銃弾を叩き込みつつ、その肉体に秘めた『何か』を詳らかにするべく意識を向ける。ピリムの高速斬撃は確実に聖獣に向けられている。だが、子供が咄嗟に狙いを彼女に絞るよう告げた際、エッダの挑発こそ無視できぬまでも、ピリムを巻き込むように攻撃を仕掛けようとした。無理が祟って動きを鈍らせたが。
「チッ、殺さねえようにってのはやりづれえな!」
「そう、言うな。マリアも、攻撃に回れれば早いが、子供達の攻撃が思ったよりも、激しい」
 グドルフは子供達に翻弄される自分、という状況に激しい怒りを感じていた。いけすかないマザーの思考を想定すれば、殺さぬのが一番の敵対行動なのだが、十分に加減できはしない。
 サンディやことほぎ、正純らがそのあたりの準備を周到にしていたのは救いだったが、万事それで解決とも言えない。どころか、2人に射線が通らぬように、そして聖獣に指示を出せぬよう邪魔するように動くことでかなり神経を削られる。エクスマリアの治療が万全であるゆえにまだ戦えている、後衛の負傷が限定的だが、長期戦になればなるほどジリ貧だ。さらに言えば、ブラザー・ノアが暗器かなにかで執拗に妨害を行ってくることもまた、神経をすり減らす要因のひとつではあった。
 ――だから、グドルフが細心の注意を払っても尚、振るった斧がノックスの鞭の先端を叩き切り、その先端が子供の首を貫いたことも。ノックスを深々と切り裂き、命を奪ってしまったことも。全く意図の外にあったことは誰の目にも明らかだった。
(死体の脚は貰っても仕方ないんですよねー。殺してもよかったなら私も遠慮な)
 ピリムがちらりと、その状況に視線を向けた時だった。それまで鈍重な動きに終始していた聖獣が、突如口を開き滑らかで平たい舌を突き出し、ノックスの口元へと巻き付いたのだ。
 ぎゅるんと巻きつけられたそれが螺旋を描き、血を撒き散らしながら聖獣の口元に飛び込む様は、あまりに鮮やかで誰も止めることが出来なかった。つぶさに観察していた寛治ですら、縫い目ごと目を潰したことである程度の行動を封じられた、と誤認していたくらいだ。
 ひとのみにした聖獣の『喉の奥から咀嚼音がした』。寛治が潰した両目が奥から排出され、新たな眼球が飛び出す。
 4足だった聖獣の脚が、更に2本増え6本となる。
「おお……おお! このまま殺されるがままだと思えば、最後の最後に! 全く――これだから人というのは面白い!」
 ブラザー・ノアの感極まったような声は、然しその背景に子供達の恐慌の悲鳴を伴って。
 それが幸いにして致命的な隙となり、正純達の攻勢が残る子供達から立ち上がる気力を奪ったのは皮肉というほかはない。
 死体を後回しにして子供達を引き離し、2度目の舌を弾いたエッダは、喉の奥から生えた腕じみた舌が2人目の死体を飲み込むところを呆然と見ていた。


「……グドルフ。あの神父、逃げの算段に入ったぞ。殺してきてくれねえかな?」
「こいつを暴れさせたおれさまがテメエの尻を拭けねえのかよ?」
「あのクソ神父、逃げ始めてんだよ! 早く!」
 ブラザー・ノアの素早い転身に、サンディは唯一追いつく目のあるグドルフにあとを託す。死にかけだっただろう聖獣は、全快とはいかずともかなりの履きを取り戻し、得体のしれぬ器官を増やしている。戦力としては『鈍重で頑丈なだけの盲目の獣』から、『明らかな強敵』へと姿を変えている。
「寛治、は、あれを、どう思う」
「どうも、こうも……死んだことを察知して最優先に捕食しにきましたから、やはり『マーカー』は命令発振器や身体強化薬に見せかけた『餌の識別子』なのでしょう」
「うっわ性悪。オレでも思いつかねえぜそんなもん」
「馬鹿な子供がどうなろうと勝手でありますが、未来を食いつぶしてまでこんなクソの塊に与えていい命ではないのであります。……腹が立つ。完膚無きまでにすり潰して、あの女の吠え面が拝みたくなったであります」
 エクスマリアの、治療を伴う問いかけに寛治も混乱しつつ応じる。正純は殺さずの構えを解き、徹底して聖獣を叩き潰すべく死力を尽くす。敵の攻撃を引き付けるのはエッダ、そしてその調子を削り取るのがことほぎやサンディの攻撃技術だ。彼等が総力を上げれば、恐らく苦戦こそすれ敗戦はありえない。
「……あのクソ神父の首だ。受け取れよ」
 ややあって、グドルフが雑に投げつけたノアの首は、心からの狂喜を体現しているようにおもえた。

 後にわかることだが。
 『マーカー』と聖獣には、共通の血液が『混じっている』ように思われた、のだとか。

成否

成功

MVP

エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト

状態異常

ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)[重傷]
復讐者

あとがき

 オンネリネンの子供達、生存6。
 副目標「聖獣の覚醒条件(2):子供の死亡時の死体処理」、並びに強化段階2の発生を確認。
 ブラザー・ノア、情報確認後に死亡。マザー・エクィル側に情報確認手段があったかは現状不明。
 最優戦果:エッダ・フロールリジ。表明スタンスと行動の不一致(好評価に該当)による。

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