シナリオ詳細
\ナイトミケランジェロランド、開園/
オープニング
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天義――サン・サヴォア領に存在するアルベール湖は自然豊かな草原の中に存在している。
もふもふとした人懐っこい動物達と風光明媚な湖の様子に加え、危害を与えるようなモンスターもいないことから、領民の憩いの場となっている……そうだが、その湖の守人をご存じだろうか?
その名も『勘解由小路・ミケランジェロ』
健鶏王国の王位継承権3位に該当する王子であったが、親類の元へと養子に出されて王位継承権を呆気なく手放す事になったそうだ。
ある日自分の姉が悪役令嬢で何処かの世界から来た転生者と言うことを知り破滅回避のために頑張るも、第二王子の策略で油湖落ちかけた時に目を開いたら空中庭園に召喚された――という思い出を堂々と語ったミケランジェロ(ミケ君)は『美味しいとり』と認識されて身の危険を何時も感じていたのだ。
と、言うのがこの地、アルベール湖の守人であるミケランジェロの経歴である。
おいしそうなとりであるミケランジェロの羽毛を堪能していたアーリア・スピリッツ (p3p004400)の様子から『ふわふわもこもこ癒しの空間ミケランジェロランド』のアイデアを得た彼は困っていた――
鉄帝国にも程近い北方教区。鉄帝国にまで言ってしまえば涼やかな風が吹くが、夏のアルベール湖はそこそこ暑い。
ミケランジェロも羽毛を脱いでしまいたいと思うほどの……つまり、ふかふかでもふもふでふわふわなこのミケランジェロランドは『ほこほこ地獄』なのである。鳥たちの匂いもそれなりに。一日三度のシャワータイムでエチケットに気を遣ってもミケランジェロランドの客足は減り続ける。
さて、如何した事だろうか。
「ミケ君、お困りならコレがおすすめよぉ」
なんて、領主殿が提案してくれた『混沌のテーマパーク教本! これで貴方もワンダーランド経営者!?』をまじまじと眺めた。
かの有名なとらぁなランドについても掲載されている。
「ふむふむ。なるほど、なるほど」
小さな手羽先を駆使し、ミケランジェロは勉強し続けた。
「ふむふむ――ピコーン!」
ミケランジェロが跳ねた。驚かんばかりに飛び上がりビールを片手に唐揚げを食べていたアーリアの元へと走り寄る。
「領主殿! 涼しくなるにはこれです――肝試しです!」
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「めぇ……」
年パスを『ミケケース』へと仕舞っていたメイメイ・ルー (p3p004460)は首をこてりと傾げた。
彼女に誘われてミケランジェロランドへとやって来た苺大福みたいで美味しそうな白文鳥『シューヴェルト』は「オイラ、此処は初めてきたぞ?」と首を傾いだ。
「そうですね。今日は日中とは違うミケランジェロランドを見ることが出来るらしいですが。
待ってください、たいやきと言えども口を開かせて唐揚げを詰めれば新商品が出来るなんてそんなことあり、ありま、アアアア――!」
生命の危機を感じるベーク・シー・ドリーム (p3p000209)を一瞥したシューヴェルトがメイメイに助けを求めるような視線を送った。
「ど、どうして……」
「おいしそうだったから、なんじゃないだろうか。鳥たちの夕食はまだだろうか?」
たいやきなら鳥たちもつまみ食いしそうだとアーマデル・アル・アマル (p3p008599)が呟いた。
因みに彼は念願の初来園なのである。
「さあさあ、皆さん、よくぞいらっしゃいました!
どなた様でも大歓迎の我がミケランジェロランドの夏は暑い! 客足も三割減でございます。これでは従業員(とり)達もがっかりしてしまう……そこで、この『素晴らしい教本』によるところの夏のイベントを模索しました!
名付けて『サマーホラーナイトミケランジェロランド』! 従業員(とり)達が皆さんを驚かせましょう。
やや、勿論! 勿論! 皆さんが驚かす役でも構いません。私も皆さんと一緒に園内を廻ることも出来ましょう!」
えへんと胸を張ったミケランジェロ。そのおいしそうな体で懸命にアピールをして……えらいねえ……。
「あっ、こちら、特別招待券です! ホラーイベントを是非体験してください! こちら、お近づきのフライドチキンです!
フライドチキン以外も食べたいなら園内は持ち込みオッケーです! 私もご一緒に頂きますね!」
やっぱり、ミケ君もフライドチキン、食べるの……?
- \ナイトミケランジェロランド、開園/完了
- GM名夏あかね
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年09月25日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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「ようこそいらっしゃいました~~~~!!!!」
クラッカーでも鳴らしそうな程に喜び勇んだ様子の勘解由小路・ミケランジェロに『挽いても叩いても食えない』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)はほっと胸を撫で下ろした。最近はハードな戦闘が多かった。現実では鳳圏に赴くこともあれば、アドラステイアの関連を調査し、ヴィーグリーズの会戦の折ではフレイス・ネフィラとさえ相対した。R.O.Oとて忙しさに目が回るほどである。
「息抜きするのもいいでしょう…………ようやくから揚げ食べ終わった……」
けぷっと呟いたたい焼き。ウェルカムチキンから『とりだらけ』のミケランジェロランドに招かれて、酒が欲しくなってくる『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)。勿論、エールを持ち込んだが、その前に『肝試し』にも参加してやらねばならない。
嬉しそうに短い手をぴこぴことさせているミケランジェロを一瞥してからエッダは首を傾いだ。
「え、具体的に何なんでありますかこの生き物??」
「美味しいとりよぉ」
ねえと微笑んだ『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)に、そろそろ美味しい鶏=素晴らしい存在だと認識し始めるミケランジェロもどや顔である。
「勘解由……ミケ殿、宜しく。ちょっとだけ……そう、ちょっとだけだ……撫でてもいいだろうか」
「ああ、どうぞどうぞ!!! 暑苦しいかも知れませんがお気軽に!」
『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)はお言葉に甘えて、とウェルカムチキンに複雑な気持ちを抱きながらミケランジェロをもふもふと撫でた。
「柔らかくしっとりとして、適度な油分を含んだ羽毛……ふかふかだな。ここの噂はかねがね。一度来てみたかったんだ」
来園を望んでいたアーマデルにミケランジェロは喜ばしいと笑みを浮かべる。彼が嬉しそうなだけで『ひつじぱわー』メイメイ・ルー(p3p004460)は嬉しいのだとほっと胸を撫で下ろした。
「あの……今日は、夜、なんですね……?」
「ああ! メイメイさま! いつも有難うございます。そうなんです。我々のもふもふの羽毛では皆さんも暑苦しいだろうと、肝試しを考えたのです!」
ホラーデイですと胸を張った美味しそうなとりにメイメイは不安げに「ホラー……こ、こわいのはあまり得意ではありません、が、」と呟いた。
「我々スタッフが仕掛け役、メイメイさまにも満足いただけますよ!」
「なるほど、……涼しい気分になれそうです、し、ミケさまたちが仕掛け人なら、楽しめそうです。今日も、たくさん、もふもふしていきます、ね」
慣れている彼女は普通にフライドチキンを食べているのであった。暑苦しく感じる、それは確かにそうである。端から見てる側がそうならば『毛皮』の所有者はその苦労もひとしお。『謡うナーサリーライム』ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)は分かると小さく頷いた。
「羽毛はもふっと可愛いけれど、夏は暑くて大変よね。ワタシも普段は鹿だから、夏に毛皮を脱ぎたくなる気持ち、とってもわかるのよ。
ミケ君も従業員(とり)さん達も、お仕事おつかれさまですの気持ちを込めて、たくさんなでなでもふもふさせてもらいましょう。いいかしら?」
「勿論です。ああ~~~そこを撫でてください」
よしよしと背を撫でるポシェティケトにミケランジェロは嬉しそうに身を揺らして。金色砂のいたずら妖精クララシュシュルカ・ポッケはふわりふわふわ、揺れ動きながらミケランジェロの頭にぽすりと落ちた。
「ねえクララ、ミケランジェロランド、たっぷり楽しませてもらいましょうね」
ミケランジェロランドの新たな催し物。名付けてサマーホラーナイト。そんな紹介をまじまじと見ながら『恋揺れる天華』上谷・零(p3p000277)は「努力家だな」と頷いた。
「夏にはもってこいだよな。折角盛り上げるんだ、俺も全力で協力するとも。
今回は驚かされる側……正直俺恐いの得意じゃねぇんだけども……まあ、きっと……?」
「ええ、零さまを満足させられることでしょう!」
――満足するのがちょっと怖いなどとは口が裂けても言う事はできない零なのであった。
「サン・サヴォア領。訪れるのは初めてだが良い所だな。アーリア君が納める土地ならば、さもありなん。彼女の人望と能力なら領地も栄えるというモノだ」
『神異の楔』恋屍・愛無(p3p007296)は焼き鳥が好きだ。鶏もの、ねぎま、ハツ、砂肝やヤゲンも良い。
「……ミケ君サイズなら希少部位もそれなりに食べ応えもあるだろう。いや。じょーくだ。小粋でうぃっとに富んだ怪生物じょーく」
「本当ですかぁ?」
「ああ。こう見えて、僕は可愛いものが好きなのだ。無益な殺生も好まない。ゆえに安心してくれたまえ。うぇるかむフライドチキンだけいただいておこう」
こくりと頷いた愛無の傍らで「……毛が短いので丸焼きにしやすいでありますね」と呟くエッダの声を聞かぬまま優しい人達ばかりで良かったとミケランジェロがぴょんと跳ねた。
「ミケくんと出会って早一年、すっかり立派な守人兼園長さんになっちゃって!
今日は私もPtuberとして、ミケランジェロランドの宣伝を頑張っちゃいましょー! えい、えい、おー」
「おー!」
小さなおててをぴょんと掴めば嬉しそうなミケランジェロ。ナイトミケランジェロランド、ホラーイベントのはじまりなのである。
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「ミケランジェロランドで遊びましょうか。一応肝試しもしましょう……本題ですしね、コレ。
……怖いのとかは特にないんですけれど、驚かせる系はあんまり得意じゃないんですよね。
ほら、幽霊とか海にはいっぱいいますから……此処にいる霊は、なんというか、その、個性的な……あんまり気にしないことにしましょうか」
そう呟いて周囲を見回したベーク。『ミケランジェロガーデン』は春先には普通に開放してやればフォトスポットとして受けそうなものである。
驚かされる側であるベークを掴んだ零は「い、いや~怖いな~」と露骨に恐怖を感じていたのだった。
「べ、別にガチやば現象に巻き込まれる訳では……あれ、本職来るとか言ってたな? 後皆結構驚かせに来るよな? もしかして俺今日(精神的に)死ぬ?」
「どうでしょう? まぁ、確かに居ますけれど」
「ど、どこに!?」
慌てる零にポシェティケトがくすくすと小さく笑う。クララと共に驚かされる役をするが――さて、それでもガーデンの迷路は一人では不安だ。
「鹿はおどろかされに行きたいわ。でもね、おばけ迷路がちょっぴり不安だから、従業員(とり)さんのどなたかご一緒してくださると嬉しいのだけれど……お願いできるかしら?」
「よければご一緒しますよぉ」
もふもふの巨大な文鳥君はてこてこと歩み寄ってくる。丁度抱き上げられるサイズである彼女をそっと抱き上げ名を問い掛ければガリレオと彼女は名乗ったのだった。
「夜のミケランジェロガーデン、いい匂いで素敵だわ」
「わ、わ、夜のガーデンはまた雰囲気が一味違います、ね……やはりこわくなってきまし、た……」
そわそわとするメイメイに頑張りましょうねとポシェティケトは微笑んで。こくりと頷いたメイメイは怯える零達の出発を見送ってからさて、進むぞと勇気を振り絞ったのだった。
「おばけのおどろかし役のみなさんがどこにいるのか分からないから、ちょっぴりどきどきするけれど。そわそわ、わくわく、どんどん行くわ」
一報で驚かす側のアーマデルはその辺りに存在する協力的な霊に声を掛けていた(零が精神的に死ぬ)。
「夏の盛りは過ぎてしまったが、まだまだできることはあるぞ。酒蔵の聖女、あんたにも勿論手伝って貰うぞ。とり繋がりでGペリ殿もだ」
人員確保を行うアーマデルにGハイペリオン様と酒蔵の聖女は頷いた。本職が参加するならば、驚かし方は工夫しようと愛無は此処には居ない誰かの振りをして参加者を驚かすことに決めていた。
「さて。腹ごなしもすんだ。仕事といこう。安心してくれ。僕は傭兵だ。受けた仕事は、きっちりこなす。幸いにして、僕の見た目は肝試し向きだ。任せてくれて構わない。入って来た者を驚かせばいいのだろう」
「まあ、やる気十分」
微笑むアーリアに愛無はこくりと頷く。ミケランジェロ達では迫力が欠ける。突然、共に居た筈の参加者が化物になったならば恐怖は膨れ上がるはずなのだ。
「やはり多少のゴアは大事でありますよ。全年齢向けとはいえスパイスなしに恐怖は生まれないのであります。
――そうつまり死体。そしてこのランドのコンセプトを見れば答えは明白」
あら、と首を傾いだアーリアは「お任せするわねぇ」と微笑んだ。エッダはと言えばお化け屋敷の中にフライドチキンを吊して――それが、死体……?
「うーん恋屍ちゃんといい本職(?)のアーマデルくんといい、案外本格派でウケそうねぇ。
従業員(とり)ちゃん達、良いかしら? 水に濡れた後お客さんにぺちょっとアタックすれば中々びっくりなじっとり感触を味わって貰ったりするのよ」
詳しくレクチャーするアーリアは白い布をかぶって赤ワインを飲みながら待機していた。夜は少し肌寒い。仕方が無いのである。
「自分の発想が恐しいでありますね……うーん、やはり隠れておどかすのは鉄板でありますよね。
ところでアーリア、赤より白のほうが闇夜に紛れてよいのでは? 丁度そこに瓶が……ほら」
同じように布の中に隠れていたエッダは白ワインも開けようと立ち上がり――寄って足をふらつかせていたアーリアは「そうねぇ?」とふらりと足を縺れさせ。
「あ」
エッダが勢いよく布を踏めばアーリアは持ち上げていた赤ワインの瓶の中身全て自身とエッダへと振りかけた。
「……ま、まさか、りょ、領主……どの、そんな……解体されていたなんて」
まるでスプラッタの現場を見たかのような反応をしたミケランジェロ。
「あああミケくん私よ怖くないわよおおお」「痛……前が見えないでありますよおおお」
其れを追い縋るアーリアとエッダ。「いやあああ」と叫ぶミケランジェロの叫び声が木霊して零が「もう無理!!」と叫んだのだった。
「今の叫び声は!?」
「めぇ……」
不安だと身を揺すったメイメイに零が問い掛ける。ベークは何となく事の顛末に想像が付いていた。屹度アーリアとエッダが酔っ払って追いかけ回しているのである。
「――ひっっ」
「め、めぇ! 急に飛び出してくるのは、ちょ、ちょっと……心臓に悪い、です」
可愛らしい反応をするメイメイと零。その背後に気付いた頃には誰かが立っている。ベークは何も言わなかった。
驚かす鳥が喜んでいるのに安心する二人はまだ、気付いていないのだ。
「今度は、しっとりした感触のものが、手に……? ひぇ……あ、とりさんでしたか。よかった……」
「ふふ、ふふふ、大丈夫、俺は大丈夫。流石に鳥には慣れてkひゅっっ……あれ、だれ……あ、あの、あ、だい、丈夫ですが?」
メイメイと零の視線が『愛無』を捉え――こくりと頷いたその姿が変貌する。
「ぎゃああああああああああああああ!? で、でもまだ慣れきr―――ホラーにがちもんの奴ぅぅうう――――!?」
「うわびっくりした!! ……思わず敬語がとれる程度には……」
零が叫んだ。勢いの良さにベークが肩を跳ねさせる。アーマデルはきちんと『本物』に演技指導をしておいたのだ。
『キャーコワーイと距離を縮める、それくらいのビックリと怖さでいいと思う。あまり脅かしすぎるとミケ殿やとりたちが怯えてとりはだになってしまうから』としっかりと教えておいたがヒトが居るはずのないスペースからにゅっと生えてきた本職の方に零とメイメイが慌てて走り出す。
「……反則だって……反則……あれ、は……ひぃ―――!? やべぇの居る―――!?」
零が指させばポシェティケトは首を傾いだ。
「あらまあ。そこにいるのは、あなたね。びっくりしちゃった。あら? 知らない方が、いた気がするわ……」
まあ、びっくりと微笑む彼女の前を血塗れと思わしきアーリアとエッダが走り抜け――残されたガリレオとポシェティケトは首を傾いで迷路をゴールしたのだった。
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「内容は……うん。まぁ……これはこれで売れるんじゃないですか? イレギュラーズが居るとこといないとこの差があれですけど……
あ、ちょっとつつかないでください……齧られるの痛いの知ってるでしょう……?」
キャンプファイヤーの準備をしながらもベークはミケランジェロに評価を伝えていた。こうした物は派手な方が良い。
BBQや焼き鳥でも風情があった方が素晴らしいだろうとベークが準備する側でぐったりとしていた零は溜息を吐いた。
「お酒は普段飲まないが、今日ぐらいはまぁ良いだろう、ちびちび飲むさ。ミケくん食えるのか?? ……俺も……良いのか……?」
アレは食べて良い鳥なのだろうか。虚な目をして居る零ははっと思い出す。折角ならばこのミケランジェロランドとも良い関係を気付きたいものだ。
「そういやミケくん。良ければ、うちのパン仕入れてみません?
ほら、チキンと合うこと間違い無いし、他にも使用できる用途は有るし、お安くしときますんで定期的に仕入れてくれたり……どうです?」
「おお、素晴らしいですね! 是非お願いします。パンのレシピも教えてください!」
今から食べられそうな鳥にレシピを教えるのかと零は少しばかり遠い目をして居た。
「はあー。あっふかふか、そして齧るといい味」
「齧らないでください! アアアアアアア」
肩を揉んで貰ってほっとするアーリア。改めて飲み直して日頃の疲れをとっておきたいのである。
「お酒持ってきたでありますよ。鉄帝からエール……これは、南の方の街のやつなのでありますが。
あとワイン……ヴォードリエの。いっぱいお酒は持ってきたのであります。
でありますからツマミはお任せであります。じゅるり。……冗談でありますよ」
視線が注がれた気がしたミケランジェロがアーマデルの背後に隠れる。愛無は「逃げてしまったが」とミケランジェロを指さした。
「まあ」
「ああ、アーリア君。一杯おごるよ。普段から世話になっているゆえに。ミケ君にも奢ろう」
「いっぱいですか!?」
「いや。いっぱいではない。一杯だ。自慢ではないが、僕も其処まで手持ちがない」
肩を竦める愛無にサービスをしてやれとアーマデルが酒蔵の聖女を突いた。あれよあれよと姿を現す『宝』にエッダとアーリアが歓喜の声を上げる。
料理を続けて居た零も「お!」と笑みを零した。因みに、胃薬を準備しているアーマデルは色々と任せてくれと自慢げなのであった。
「焼き鳥、チキンステーキ…じゅうじゅう、匂いが食欲を誘います、ね。
あ、シューヴェルトさま、怪訝なお顔はしないで、ください……。ここは、そういうえんたーていめんと? と言うのでしょうか、
とりにくが美味しい、ランドなのです。そうだ、シューヴェルトさまも、こちらで就業体験をしてみてはいかがでしょう、か?」
「えっ、オイラも?」
「いいではないですか! 同じ鳥同士、仲良くしましょう!」
メイメイの友人である白文鳥『シューヴェルト』も此れからはミケランジェロランドでの就業体験に勤しむことになるのだろう。
よろしくと挨拶をするアーマデルに「オイラと仲良くしてくれ!」とシューヴェルトも嬉しそうなのである。
「何というかアーリア、貴女の周りには常々笑顔があるでありますよね。
……自分? 笑っているでありますよ。顔はともかく、心で笑っているのであります。
何というか。安心感がある。ただ隣に居て良いという安心感を貰える」
エッダの口角を一生懸命持ち上げようとするミケランジェロを取り敢えず掴み上げた。何となく遠慮のなくなってきたとりである。
「……さて。おつまみのお代わり、取りに行きましょうかね。
貴女も要ります? アーリア……うーん。アーリャ? リーヤ? 仇名付けというのは毎度むつかしいものですね」
エッダが渾名に悩む傍らで「お料理にあうかしら?」とポシェティケトは笑みを零し『魔女の果実酒』を差し出した。
「みなさんとっておきをお持ちになると聞いたから、ワタシもママから良いものを持ってきたのよ。
どうぞどうぞ、お酒もジュースもどちらもあるわ。美味しくて楽しくて、とってもいい気持ち。ふわふわのみなさんに乾杯〜」
「乾杯~! 零くんのフランスパン×とりのオリーブオイル煮で優勝! ほらほら、みんな食べて飲んでデザートは炙りたいやきよぉー!」
ポシェティケトの準備してくれた果実酒も果物水も皆で楽しめる物ばかり。とりたちも嬉しそうに踊り出す。
彼等は皆、ベークの作ったキャンプファイヤーに誘われたのだろう。
アーリアはゆっくりとその背中に近付いて――
「……最近気づいたんですけど、なんかあんま人いないところの方が気が休まるんですよね。なんででしょうね。ってあーっアーリアさん今ちょっとしんみりしてるところなのに火ア"ア"ア"ア"ア"……食べないでくだア"ア"ア"ア"ア"!!!!!」
――たい焼きは美味しいのであった(彼がどうなったのかはランド的に公表は控えるそうです)
「――次回はとらぁなランドとコラボイベよぉー!」
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
\またのご来園をお待ちしております!/
GMコメント
ナゲット食べたい。夏あかねです。
●目的
・肝試しを行いましょう
・ミケランジェロランドで思う存分遊びましょう
●勘解由小路・ミケランジェロ
とり。アーリアさんの関係者。おいしい。
王子様的なナイスな丁寧語で喋る旅人です。美味しそうな鳥であるのはたしかです。
アーリアさんを領主と呼び、領地アルベール湖の守人を務めています。
「ミケ君と呼んでくださいね! あっ、フライドチキン食べますか? えっ、齧りたい? あっ……ちょっとだけですよ……?」
●ミケランジェロランド
アルベール湖のミケランジェロプロデュースのテーマパークです。とりたちと沢山触れあいながらとり料理を食べれます。いいのかな……。
今日はナイトイベントですので日が落ちてしまったテーマパーク内を練り歩きます。
●肝試しのフィールド『ミケランジェロガーデン』
美しいバラや花々が咲き誇るガーデンです。迷路になっており、この迷路で肝試しを行うようです。
ゴールは中央の東屋です。そこまで様々な鳥たちが驚かせてくれます。
怖さ度でいうとそれ程高くありません。寧ろ可愛らしくて和む程度です……。(ミケ君はそれでもめちゃくちゃビビってくれます)
また、皆さんが驚かす側になる事もOKです。お好きな役割で思う存分にミケランジェロランドを楽しんで下さいね。
●従業員(とり)
たくさんいるもふもふした鳥たちです。心をケアするために存分にモフモフしてあげてください。おでぶちゃんやほっそりさん、キーウィもいます。
皆驚かす役割ですが、肝試しを楽しむ側の係としても参加可能です。
●肝試し後のお楽しみ
ミケ君達が夏の夕涼みの気分で準備してくれているエールやワイン、鳥料理です。焼き鳥など何でも、あります。
持ち込みもオールオッケーです。ランドを堪能しましょう。BBQしますか? いいですよ! しましょう、領主殿、あ、違いますよ、私は食べるものでは……
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
のんびりしましょう! よろしくお願いします。
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