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シナリオ詳細

ギアホース、発進せよ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●実験室にて
 ガタゴト、ガタゴト。鉄帝のとある研究者の工房で、怪しげな音が響いている。
「くっくっく……既存の馬より強く、速い! 文句も言わぬ機械の馬! これさえ完成すれば……!」
 そう、研究者の眼前にあるのは機械の馬。何やら額にユニコーンの如き角がついているのは、趣味だろうか?
「よし、ギアホース28号! 今こそ動きだせ!」
 ガタゴトいっていたギアホースの目が輝き……ガシャンと足を動かす。
 一歩、そして一歩。動く度に研究者の目が輝いていく。
「おお、おお! ついに……ついに!」
 ビキュウンッと。ギアホースの目に強い輝きが灯る。
 ガシャン、ガシャン、と。一歩ずつ歩くその姿に、科学者の男は人生最大のガッツポーズをきめる。
「いよっしゃああああああああ! ついに動いたぞワシのギアホース! 一度動けば、あとは改良を進めるのみ! ふはは、ざまあみろ! ついにワシはこの域に至った!」
 ドクター・マッド。そう呼ばれる研究者の男は、自分をじっと見ているギアホースを優しく撫でる。
「ふふふ、しかしお前にも性能試験の場を用意してやらねばならんな!」
 これから性能を高めていくにせよ、ギアホースの性能限界や問題点を洗い出さなければどうしようもない。
 しかし、それをするには護衛が要る。
「……ふむ」

●ドクター・マッドからの依頼
「と、いうわけで依頼人のマッド氏です」
「うむ、よろしく頼む」
 疲れた表情で言う『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)と違い、マッド氏は実に元気そうだ。
「マッド氏が研究してるギアホースとやらがついに完成したそうでして」
「完成はしとらん。ワシはまだ納得せんぞ」
「だそうです。性能試験とやらを求めてまして、その護衛になるです」
 鉄帝の町から一歩出れば、無法地帯ではないが危険地帯ではある。
 街道を進めばモンスターもいるが、そんなのに邪魔されたくはない。
 あくまで今回は街道を進む事が目的なのである。
「毎日爆発してたマッド氏の研究所が爆発しなかったということで、研究の完成を推測したスパイ連中も」
「完成しとらん」
「あー、もう。うるせーです。とにかくギアホースを奪おうとする連中が出てくる可能性もあるです」
 何しろ新技術の塊だ。是が非でも欲しいという輩は多くいるだろうし、マッド氏の性格を知っていれば奪った方が速いと考えるものだって多くいるだろう。
 倫理的にどうかという点を除けばその対応が正解だろうというのがなんとも……だが、そんな事を許すわけにはいかない。
「無事に性能試験を終えるです。頑張ってくるですよ」

GMコメント

ギアホース28号の性能試験です。
マッド氏の乗るギアホース28号は3日間の距離を進みます。
途中で突然ダッシュしたりジャンプする可能性があるので、しっかりと御してください。マッド氏を。
なお、途中に出てくる障害は以下の通りです。

・ゴブリン×たくさん
街道に変なのがいるので襲ってきます。つまりギアホースが最優先で狙われます。
武器は色々です。

・盗賊
ギアホースを奪う事を狙っているならず者集団。
所詮やとわれですので仲間意識もありませんが、逆に色々と面倒かもしれません。
なお、集団は1つではない可能性があります。

・マッド氏
落ち着けいい年した大人。無駄にテンション高いのをやめなさい。
無理? そっかあ……。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • ギアホース、発進せよ完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年09月09日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

レッド(p3p000395)
赤々靴
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
ソア(p3p007025)
無尽虎爪
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
暁 無黒(p3p009772)
No.696
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星
杜里 ちぐさ(p3p010035)
見習い情報屋

リプレイ

●ギアホース、発進せよ
 ギアホースの性能試験。合計3日間の道程をイレギュラーズの面々はマッドと共に進んでいた。
 古代文明の技術に可能な限り頼らないというコンセプトで作られているギアホースはまともに動いているだけで興味の対象であったらしく、此処に来るまでに町中で「本当に動いてるぞ……」という驚愕の声がいくつもあった。
 まあ、それだけ注目されていたかどうせ爆発すると思われていたのか。
 そして今、鉄帝の道をガシャンガシャンと軽快な音をたててギアホース28号が進んでいる。
 その動きは非常に軽快で、実在の馬をかなり正確に模しているとよく分かる。
 エネルギー源については不明だが、とりあえず3日間連続稼働させても問題ない「はず」とはマッドの言葉である。
 そして……そんなギアホースに対する反応は、実に様々だった。
「馬よりも強くそして早い! ギアホース28号っすか?! ガシャンガシャン動いてカッコいいー!」
 そんな事を言いながらHMKLB-PM……ハイパーメカニカル子ロリババアに乗るのは『赤々靴』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)だ。
 テンション高く併走するレッドではあるが、マッドのテンションも負けてはいない。
「ふん。当然だ! 貴様がそう思うのも無理はない!」
「うーん、これでもまだ完成してないんっすか? 29号とか30号とか考えるんっすか?」
「当たり前だ。技術とは常に進化の途中にある! やがては儂のギアホースで鉄帝の道を埋めてくれるわ!」
 ちなみに1号から27号は全部爆発している。かなり怖い。
 何故そんなに爆発するのだろうか?
 いや、鉄帝ではよく色んなものが爆発しているので、そういう文化なのかもしれない。
「この依頼が終わったら28号はどうなるんっすか? 折角作り上げた28号、解体とか捨てられたりとかされたらヤダなー……って」
「なんだ、そんな事か。28号は今のところ爆発しとらん第一号じゃからな。しっかり保管しとくわい」
 ホッとするレッドにマッドは「お前才能あるかものう……」などと言っていたが、それはさておき。
『雷虎』ソア(p3p007025)も中々にテンションが高い。会うのが2度目のせいだろうか?
「今度のギアホースは何が変わったの? ボクたちお役に立てたかしら? 性能テストは何をするの? ボク乗ってみてもいーい?」
「相も変わらず元気だのう。まー、結果から言えば随分と助かったぞ、うん。で、変わった点については全部だ。新規に見直しをして一から組み上げる事を繰り返しとる。乗るのはまあ……好きにせえ。長い旅だからの」
「わーい!」
 マッドの代わりにギアホースに乗るソアだが、普通の馬とあまり乗った感覚は変わらない。
 どうやら言動と結果の割にはマッドの研究はかなりマトモな部類であるらしいと、ソアはそんな事を思う。
「今日は爆発しなかったんでありますね。いや……信頼していたでありますよ?」
「マッド君……なんか前もこんなことあった気がするね……まぁあれだよ? 羽目を外し過ぎないようにね?」
「なんだなんだ、いい若いもんがテンションの低い。人生、もっと爆発する勢いでいかんかい」
『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)と『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)にマッドがそう言って、やれやれと肩をすくめる。
 流石に毎日のように爆発させている男は言う事は違う。ほんと自重しろ。
 まあ、同じ事は鉄帝のほとんどの研究者に言えてしまうのだが。
「マッド博士、実際試験をするとして落下や全力走行はある程度連続で行った方が良いデータが取れると思うけど予定とかあったりする? なければ3日間のうちの何日目に何をやるか決めたい。マッド博士とギアホースを守る上で突発的に動いた結果ゴブリンや盗賊に壊されたりしたら困るし、何より悲しいから。もし突発的にやりたくなった時は言ってもらえれば協力するから伝えてほしい」
 出発前にマッドが飛び出していたのでできなかった打ち合わせを『空に願う』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)はしていく。
 ギアホースから降りている今なら普通のテンションで出来るだろうと思ったのだが、これは正解だった。
 ……が、普通の答えが返ってくるかというと別だった。
「若いの、言いたいことはよく分かる。しかし小さくまとまるのはよくない」
「え、えーと。そういうことじゃなくて」
「試験とはすなわち予想外のものを洗い出すことだ! 儂としては突発的に動いた結果ゴブリンや盗賊共を轢いたのであれば、それはそれで良いデータになると思っとる!」
「そ、そっかあ……あと一応馬車もあるから運搬時の振動試験も行えるよ。量産した場合に運搬に耐えられるかの試験も必要だと思うしどこかで試してみない?」
「馬が運搬されてどうする。むしろ馬車を引く側じゃろが。しかしまあ、それも言いたいことは分かる。何処かで試してみるか……」
 言いながらマッドが視線を向ける先では、ソアの乗るギアホースを『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)と『No.696』暁 無黒(p3p009772)がペタペタ触っていた。
「これがあのすごい技術のギアホース、なのですよー! ……テストするにしても安全性のチェックは大丈夫でして?」
「うっ……おおおおお! かっけええええっす! 何これ俺も欲しいっす! 正に「男の子ってこういうの好きなんでしょ?」ってやつっすね! うっし絶対守るっす! そんで絶対大量生産してもらうっすよ! 護衛任務は3日間の予定っすからね。大変な依頼っすけど、その分夢が沢山詰まってるっす! 気合入れて行くっすよ!」
「ギアホース28号、カッコイイけどなんか違うにゃ。28号……28……にーやー……? そうにゃ! 今から僕の中でギアホース28号は「にゃんくん」にゃ! すごい親近感にゃ! 壊れたりしないように護衛頑張るにゃー! もし壊れたら悲しいにゃー……」
 更には『少年猫又』杜里 ちぐさ(p3p010035)までそれに加わっていたが、なんともギアホース28号は人気のようだった。
「まあ、何とも呼ぼうが構わんがのう……あと量産はまだ先の話だの。それと今がその安全性のチェックも兼ねとる」
 最後になんとも心配な言葉が入ったが、つまりはそういうことであるらしい。
 そうしてギアホースとマッドの護衛は、中々に賑やかな雰囲気の中で始まったのである。

●ギアホース、実験中
「そういえば、そもそも。貴方はこれをなぜ開発しようと? いや、スペックの話はわかってるであります。既存の馬より、速く、強く……しかし、“高い”はずであります。途方もないほど。ただの浪漫だけでやっていけるほど簡単な仕事でもないと思うのでありますが」
「ふむ。浪漫無しで人間が生きていけるとも思えんが」
『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)の質問に、マッドはアッサリそう答える。
「まあ、言うなれば抵抗じゃな。古代文明を超える。それが今も昔も変わらん儂の目標であり浪漫だ」
 それにエッダが何かを答えるより前に、前方を塞ぐように盗賊達がワラワラと沸いて出てくる。
「おおっと、待ちな! その変な馬、おいていってもらおうかい!」
「いや待て、2匹いるぞ!? どっちだ!」
「たぶん、間抜け面じゃないほうだ!」
 すでに4度目か5度目になる襲撃にマリアが怒りの声をあげる。
「全く! わらわらと! どこから沸いてくるんだ! 君達は! こっちはただのい性能試験中だ! 帰りたまえ!」
「うるせー! いいからその馬おいていけ! 痛い目にあいてーのか!」
「……この道を通る為に、この身立ちはだかる。少なくともその価値はあると判断したであります。なれば、ご観念くださいませ。自分は、この国の未来の為に在る者であります」
「ああ、それに……言葉で理解してくれないのなら仕方あるまい!」
 エッダの榴弾拳が炸裂し、続くように雷装深紅を纏い、着弾点を調整し味方を巻き込まないように天槌裁華を放つマリアだが……その辺の雇われ盗賊が敵うはずもない。
 すぐに潰走していくが……倒しても倒しても新手がやってくるのは、実に困ったものである。
「すごいね、マッドさんの研究は大人気なんだね!」
「当然だ。儂の技術はいずれ誰も無視できんようになる。このギアホースとて同じ分野を2歩も3歩も先に言っとると自負しとる」
 ボクは面白いからすっかりお気に入りだけれど本当に役立つ研究なのかも知れない……と、そんな事をソアは思う。
「ねえ、マッドさん。いつもこういうことあるの?」
「うむ。結構あるぞ。鉄帝は学だろうと武だろうとあらゆる手よ。それを跳ねのけてこそ王者だがな」
 マッドの返事にソアは「なるほど」と思わざるをえない。事実、鉄帝はそういうところがある。
「それにしても、この前爆発してたやつが今回はついに動いたとはねー」
「爆発は進歩の証だ。鉄帝に爆発せずに完成したものなどないぞ」
 否定しきれずにフォルトゥナリアは「そっかー……」と返すが、まあ……そんなものなのかもしれない。
 暴走と爆発は鉄帝の華だ。
「ゴブブブブ!」
「ゴブリンでして!」
 ルシアの魔砲がゴブリンを消し飛ばし、「危ないから離れた方がいいのですよーー!!」と叫ぶ。
「まだまだいるにゃ! みんな、注意にゃ!」
 ちぐさが叫び、マッドを庇うように後衛に立つ。決して逃げ腰ではないので念の為。
「マッドさんちょっと皆さんを盾に少し引くっす」
「仕方ないのー。ゴブリンも轢いてみたかったんだが」
「いや、傷付いてもし爆発とかしたら嫌っすから!」
 レッドがマッドをぐいと引っ張るが、なんとも絶妙な信頼の無さである。いや、信頼の表れだろうか?
 こいつは絶対爆発させる的な。
「そんなに爆発させたいなら失敗した大音量目覚まし時計があるが……」
「うおお、そんなもん捨てるっす!」
 レッドが遠くへ危険物を投げている間にもゴブリンたちは次々に撃破されていく。
 道に変なのがいるからやってきただけで、元々そんなにやる気はないのだろう。逃げていく奴すらいる。
「ええい! どうしてこうも面倒なことになる! さっさと退散したまえ!天槌裁華ぁ!!!」
 マリアの攻撃が最後のゴブリンを薙ぎ払う間にも、フォルトゥナリアの発動させた決死の盾はマッドとギアホースを対象にしている。万が一など、何があっても許さないと言わんばかりの、そんな防御態勢だ。
「ふーむ。前にも思ったが、中々やるのう」
「むしろオッチャンを御しきれるかがこの依頼の鍵ってやつっす」
「それは迷惑だのう。どこのおっさんだ。貴様か?」
「何の話にゃ!?」
 無黒の言葉をマッドがちぐさに受け流したりといったこともあったが……護衛もギアホースの運用試験も、実に順調であった。
「というかそもそも、いくら機械で凄くてもにゃんくんをこき使いすぎだと思うにゃ! にゃんくんは機械だけど友達にゃ! もっと大切にするべきって思うにゃ!」
「ええい馬鹿もんが! 耐久試験なくして安全性が測れるか! 限界を超えることこそギアホースの喜びなのだ!」
「そうなのにゃ? にゃんくん……もっと走りたいのにゃ?」」
 そんなちぐさとギアホースとの友情イベントがあったりなかったり。
「休憩するならルシアにお任せでして! お茶とお菓子を用意するのですよ!」
「儂は知的菓子のドクターネリーネしか食わんぞ」
「聞いたこともないのでして!?」
 ルシアが鉄帝の菓子業界の闇の深さを知ったりもした。
 ちなみにドクターネリーネとは鉄帝の研究職に人気の練る回数と練り方、力加減で味と食感が変わっていく知的菓子である。
 ダメなパターンだと馬糞の味と食感になったりするらしい。地獄だろうか?
 ともかく、そうしてマッドの護衛と耐久試験は無事に進んでいく。
「結局1度も爆発しなかったねー。ジャンプはやけに高く跳んだけど」
「マッド氏も飛んだでありますがね……」
 フォルトゥナリアに、エッダが疲れたようにそう返す。
 そう、2日目のこと。ギアホースを勢いよくジャンプさせたとき、そのあまりの勢いにマッドが投げ出され空を舞ったのだ。
 マリアとルシアの「ぎゃー!」という叫びがハモったのが実に印象的な光景だったとマッドは後で語っていた。反省しろ。
 そうして、マッド博士とギアホースの護衛は第2研究所につくことで無事に完遂して。
「盗まれないようにお守りするから、またボクたちのこと呼んでね」
 そんな事を言うソアに、マッドはニカッと笑う。
「ハハハ、その時はまた頼むぞ!」
 ギアホース28号の性能試験は、こうして終了した。
 マッド博士曰く、量産化も完成もまだ先の話らしいが……その時には爆発しない、安定したものを作ってほしい。
 誰もがそう願いつつ……マッドのものではない何処かの研究所で爆発音が響くのを聞くのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
爆発は鉄帝だ!

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