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シナリオ詳細

心象世界のナイトメア

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ――断る。

 それが白衣の男――Dr.アーカムの第一声だった。
 風向きを変えた空調が、緑色のパキラの葉をさわさわと揺らす。
 調度は全く、この男の趣味ではない。ただ助手の誰かが置いたもので、それを咎めなかっただけだ。
 練達のミスカトニックラボで、この男は今日も神についての研究を熱心に行っている。
 それ以外にはまるで興味がない。だからこの来訪自体が、相当に煩わしいはずだ。
「それでも、お願いします」
「覚えているかね? あれは『君の心を守る為の手術』だと説明したはずだが」
 男は、あの時と同じく冷たい目をしている。
 諭すでもなく、呆れた口ぶりですらない。ただ精密機械のように感情のない声音だ。
「一つ。私の施術は完璧だ。世界を跨ぎ混沌肯定を受け入れてさえ、それは君の中で機能している。
 二つ。君はその機能を実用して、困難や失敗を乗り越えている。つまりごく単純にお勧めしかねる。
 三つ。それは君の『本来』と強固に結びついている。君は今更『他人』になりたいとでも言うのかね」

 Dr.アーカムは提供されたレポートに視線を落とし、ぱらぱらとめくり続けている。
 一分か、二分か。
 夢見 ルル家(p3p000016)にとって、それは余りに長い時間だったに違いない。
 けれど顔を上げたDr.アーカムは初めて、正にルル家の観測史上最初の、微かに意外そうな表情を見せた。
 ルル家の胸に微かな期待が広がり――
「まだ居たのか。帰りなさい」
 けれど答えはむなしく響く。
「帰りません! どうかお願いします!」
 ルル家は食い下がった。諦める訳にはいかない。
「確かに、そういう手術だったな。それは」

 旅人であるルル家は、元の世界で重大な手術を受けていた。
 それは負の感情を抑制するものだ。
 かつて、ただの少女に過ぎなかった彼女は、その職務『宇宙警察忍者』の劣等生であった。
 任務遂行のたび――つまり悪人を殺害するたびに、ルル家は食物を吐き戻し、衰弱していった。
 だから上官の勧めによって、ルル家は決断した。この手術を受けたのである。
 この日『普通の少女』は、『正義のヒーロー』になった。
 そしてルル家は、明るく楽しく正義の任務を全うしてきたのだ。時は流れ、無辜なる混沌のイレギュラーズとなっても。
 だが、いくつもの出会いや経験は、ルル家に再び重大な決断をさせるに至ったという訳だ。

「手術は開頭にはならない。あの頃とは『仕様』が違ってね。そこについてだけは、安全だとも言える。だが君の精神は、解除を受け止めることが出来ないだろう。それどころかオペに対して強行に逆らうはずだ。それにたとえ解除したとしても、君の精神はそれだけでは済まされない。詳細なメカニズムは――ああ面倒だ。知りたければ勉強でもしたまえ。で、オペはいつがいい? 都合をすりあわせよう。こちらも多忙な身でね」
「じゃあ! じゃあ! 解除して頂けるのですね!?」
 ルル家の頬がぱっと紅潮した。
「延々と『前向きに』食い下がられでもしたほうが、余計に面倒そうだからな。ならばビジネスのほうがいいと判断しただけだ。君だってそろそろ、そういう話も分かる歳だろう?」
 男は自身の几帳面にそり上げた頭を、神経質そうになであげ、眼鏡の位置を正した。
「防波堤を破壊することは、これまで蓄積された様々な『負の感情』に、あらためて直接さらされることになる。これが難関だ。ああ、いっそ記憶を消去してみてはどうだね? まっさらから、やりなおすのは」
「それは、嫌です!」
「ならばそれを受け止めるものが必要だ。君にとって大切な人を連れてくるのがいいだろう」
「拙者の、大切な、人――」
「何人でも構わないが、五から十名程度がいいだろう。君に『感情』等をぶつけてもらうことになる」
「すると、どうなるのですか」
「君は膨大な負の情報、その洪水を、託された感情――心で凌ぎきる」
 つまり。
「今後の君は、その影響を強く受けることになるだろう。心象へ、不可逆を刻むことになる」


「ルル家君が、そんなに頼むなんてね」
「今夜は奢りですわよ?」
 硬質な床を歩く一行――マリア・レイシス(p3p006685)の言葉に、ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)が続けた。

 ――認証を完了しました。お入り下さい。

 練達の研究所、ミスカトニックラボの壁に光が走り、自動的にドアが開く。
 この日、イレギュラーズは一風変わった依頼を受けていた。
 発端はルル家の願いである。
 ルル家は元世界で宇宙忍者警察の職務を果たすために『負の感情を抑制する』という手術を受けていた。しかしルル家は、今その影響を取り払いたいと想ったのだ。
 元世界で手術したDr.アーカムが練達でラボを営んでいることを突き止めたルル家は、彼にそれを頼み込んだ。しかし『負の感情の抑制』を取り払った場合、ルル家はそれらに生身で晒されることになる。そこから誰かが守ってやらなければならない。そこでルル家にとって大切な仲間が呼び集められたのだ。

「つまり、心の中に入って、魂の壁を破壊する、それから負の感情から守るってことだよね?」
「さすが魔術師は話が早い。君達は優秀だな」
 アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)の言葉に、Dr.アーカムが頷いた。
 一行はヘッドギアをかぶり、ルル家の精神世界にダイブすることになる。
 そこはルル家の心象風景で構成されており、時折想い出などが浮かび上がるらしい。
 ルル家の心は特殊な施術によって『負の感情』への強い耐性を獲得している。
 最初の関門は、まずその壁を破壊することだ。
 では次に、壁を破壊すると、どうなるのか。
 ルル家の心は、それまで受け流してきた負の感情に対する、曝露を余儀なくされる。
 これは単純に『普通の少女に戻る』という話ではない。普通の少女が普通に生きる上で、悲喜こもごもの経験を糧に自然と獲得するものを一切持たずに過ごしてしまった事、その反動の全てを叩き付けられるのだ。
 そんなことになれば、心というもの自体が、粉々に破壊されてしまうかもしれない。
 下手をすれば廃人にすらなりかねないが。しかしこの施術は、ルル家たっての強い願いなのだ。
 だから一行は、次に濁流のように襲うであろうそれら負の感情から、ルル家の心を守らねばならない。
「これは面白い味に、出会えそうですね」
 ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)は、露悪的に笑った。

 ルル家以外のメンバーは、破壊にも、その後の防衛にも、強い想いや感情をぶつける必要があり、それはルル家の精神構造に多かれ少なかれ、影響を与えることになる。つまり――
 たとえば『ルル家、カニですわ! どんなにつらいことがあってもカニさえあれば優勝間違いなし、人生カニしか勝たんのですわ!?』という戦いとなり、『拙者は、拙者にはカニがある!』ということだ。

「え、ええっと。これは責任重大ですね。今後を、未来を決める話になるなんて」
「きちんと受け止めるから、あなたの旋律を。だから安心して」
 微かに不安げな声音の小金井・正純(p3p008000)に、続けたリア・クォーツ(p3p004937)の言葉は、気心の知れた仲間内にあれど、いつになく真剣なものだった。
 未来のルル家は、今度は生身のまま負の感情と戦う際に、それらの影響を拠り所とすることになる。
「もう、本当に仕方ないわね。けどいいわ、胸を張って臨みなさい」
 九重 竜胆(p3p002735)は、あえてあっけらかんと、軽くはたくようにルル家の背を押し――

「――みんな」
 ルル家がぽつりと零した。
 自身の未来さえ委ねるに価するほどの仲間という存在。
 あかの他人ならば『恵まれたものだ』と、言うかもしれない。
 けれど培った全ては、しかし互いに紡ぎ上げた、掛け替えのないものだから。

「早くしたまえ」
 Dr.アーカムに促され、一行はシートに身体を預けた。
 ヘッドギアを装着し、瞳を閉じる。

 向かう先は。いざ、ルル家の心へ。

GMコメント

 もみじです。お誕生日おめでとうございます。また新しい自分へ。
 ルル家さんの未来を決める大事な戦いです。
 この戦いでは、いつもの得物は使いません。ステータスも関係ありません。
 振るうべき武器は、皆さんの『想い』です。
 つまりこれが『生殺与奪の権を他人に委ねる』ということでしょうか。
 もみじは粛々と結果を書きます。

●目的
 ルル家さんの『負の感情を抑制する壁』を破壊し、普通の少女の心を取り戻すのです。
 つまりルル家さんは、これまで気にもならなかった(抑えていた)、自身の『負の感情』や、そこへ繋がる『想い出』などに、思い切り晒されることになります。だからこれを支えてあげるのです。

 具体的には以下の二点です。
・ルル家さんの精神世界で、『負の感情』から彼女を守る障壁を、想いの力で破壊する。
・障壁破壊後に、ルル家さんを襲う負の感情から彼女を守るため、想いをぶつける。

●フィールド
 ルル家さんの精神世界です。
 皆さんは、TOP画像のような場所で、TOP画像のようなルル家さんを目前にしています。
 移動などは自由に出来ますが、移動する意味なんかは、あまりないと思います。

●ルル家さん
 夢見るままに待ちいたり状態です。
 プレイングどうすればいいのって?
 がんばって!!! 耐えきれなさそうな記憶がどんなのとか!

●想いや感情
 ルル家さん以外の皆さんは『三つの言葉』へ想いをのせます。

 皆さんは以下の言葉の羅列から何らかの『単語』を二つ選んで下さい。
 最後に三つ目は、出来れば下の言葉に含まれて居ない『単語っぽいの』を考えて下さい。
 言葉は全員違っていいですし、もしかぶったりしても大丈夫です。

 それらを
・心の壁を破壊する言葉
・負の感情にぶつけ退ける言葉
・負の感情からルル家さんを守る言葉
 どれかに当てはめましょう。どこにどれでもOKです。
 そして、そこにのせてありったけの想いをぶつけてあげて下さい。

 つまり今後のルル家さんは、『心の壁を破壊してくれた言葉』で皆さんと結びつき、『負の感情にぶつけてもらった言葉』で負の感情を振り払い、『負の感情から守ってくれた言葉』を拠り所として生きるのです。

 優しい皆さんは、きっとまず綺麗な言葉を選ぶかもしれません。けれど綺麗なことだけでは生きていくのはむしろ大変だと気を利かせて、面白おかしい言葉を選ぶかもしれません。生きるためには必要悪も大切だと考えるかもしれません。趣味や適度な緩さだって必要かもしれません。全ては自由です。
 ルル家さんは、それらをしっかりと受け止めてあげて下さい。

 愛情言葉浴衣水着回復懺悔受理
 攻撃達成喜び悲哀吸収誤爆友情
 回帰優秀度胸下着海老慢心中傷
 母乳枕詞死亡清貧快楽正直宇宙
 性躰降臨傾向観測流出笑顔更生
 猛虎流転異常巨乳法律試験感情
 憤怒怠惰焦燥嫉妬白黒傲慢根性
 夢見美学光輝暗黒深淵抽選暴落
 獅子分別親切流星月明朝陽蝶々
 水晶旋律愉快理解飲酒傷跡探索
 救助上品強欲筋肉青空郷愁地位
 心情恐怖比翼健康回避反射無礼
 閃光紅玉質感暴飲暴食宗教凡例
 洒落犬猫鳥亀壮大接吻記憶蜥蜴
 物語今日明日昨日寛容苦痛手帳
 大粒木材慈愛宇宙警察海豚洗脳
 正義忍耐父母兄弟欺瞞暗殺悪人
 狡猾人生嫌悪判別旅行幸運愛玩
 殺人任務絞首適当秩序混沌欲望
 論理理性趣味仕事人生年齢性癖
 矜恃串カツ三度漬虹滝泥酔芸術
 過去現在過ち未来理念信念ウニ
 田辺政彦洗濯思想読書感傷勇者
 魔王忍者犯人蒼穹覚醒自然俎板
 叡智運命信仰遊戯威風勇敢カニ
 甘味烏賊タコ粉物神威神楽大阪
 関西東京関東情熱焼肉日本酒絆
 星闘技場最強天麩羅若山やぐや
 遊園地劣情地獄天国煉獄占術氷
 無理道理色彩感覚賭博魔法科学
 墓守可憐言葉因縁狂気守護貴族
 欺瞞奴隷自由束縛音声温泉蒲鉾
 家具絵画言語被服拙者忍耐重機
 一閃演技飛躍剣戟闘争五感算術
 勘弁世間体辛味油胡乱慇懃懊悩
 勝利役得家庭敗北受容森林砂浜
 雪原色彩倫理季節体験落語麺汁
 破滅冒険檸檬光線漫画喫茶開放
 雑誌暴虐甘酢小説空想妄想縁起
 軍隊気分麺類身体麻雀穀物邪悪
 束縛神聖視界怪物薬剤喪失誕生
 執着ブラジル記念野菜髪型青春
 性質撮影物理破裂責任真剣世界
 救済安心中二不実安全技能純情
 破壊躊躇普遍達成再生漫才心臓
 政治安寧平和表裏歴史優勝敗退
 未練優秀安樂観測無限掃除生活
 睡眠変遷ロックンロールマグロ
 落涙女子色欲泡沫勇気愛嬌嫌パ
 ン花柄のカーテンクマの抱き枕
 ふかふかのクッションクリーム
 色のラグまぁるい壁掛け時計遮
 那ヴァイオレットヴァレーリヤ
 マリアアレクシア竜胆リア正純

●情報精度
 このシナリオの情報精度はEです。
 無いよりはマシな情報です。グッドラック。

  • 心象世界のナイトメア完了
  • GM名もみじ
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年08月27日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

夢見 ルル家(p3p000016)
夢見大名
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
九重 竜胆(p3p002735)
青花の寄辺
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
大樹の精霊
アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)
願いの先
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)
咲き誇る菫、友に抱かれ
小金井・正純(p3p008000)
ただの女

リプレイ


 真っ暗な部屋の中でテレビの明りだけが光っている。
 モニターにザラザラと砂嵐が映り込み、その前には『離れぬ意思』夢見 ルル家(p3p000016)が膝を抱えて座っていた。何も映らないテレビをじっと見つめていた。否、何も映っていないのではない。そこには夥しい数の人の名前が永遠と流れ続けていた。

「殺したくなんてなかった」
 ルル家はぽつりと小さく呟いた。
「誰かを助けるだけの自分でいたかった」
 テレビのモニターに映る人の名前を指でなぞる。
 ここに書かれているのはルル家が『殺した』人の名前。
「誰かを助ける為に殺して殺して殺して殺して殺して、殺す度に」
 心は摩耗して苛立ち叫び蹲って、幾度幾度、地面に拳を打ち付けただろう。
「だから、壊れないために捨てた。自分が苦しみたくない気持ちでいっぱいだった」
 テレビのモニターの中に知っている苗字を見つけた。これは同級生の父親だ。
 葬式に参列したルル家を見つめる彼女の瞳。何も知らないはずなのに。
 同級生の家族全員が自分を責めている気がした。怖くて。怖くて。
 嫌だった筈なのに。『自分の心』はそれを無かった事にした。
 世界はテレビの電源を消す音と共に暗転し翻り流転する。
 ぼちゃりと暗い水の中にテレビが投げ込まれた。
 前奏曲と共に泡を孕み沈んで行く。
「殺したくなんて……」
 それは本当?

 ――――
 ――

「あのルル家が真面目な手紙を寄越してお願いしてきたんだもの。だと言うのなら、それに応えるのが師匠ってモノでしょう?」
 ヘッドギアを装着し目を閉じた『青花の寄辺』九重 竜胆(p3p002735)が唇に乗せた言葉。
 ――心の壁……ね。
 ぼちゃりと暗い海の中に落ちる感覚。目を開けると目の前にはナイフを持ったルル家の背中がある。
 誰かを殺したルル家の記憶の中。真っ赤に染まった血の池に佇む心象風景。
 ルル家の隣に立った竜胆はその肩に手を置いた。
「自分の弱さから目を逸らして生きる訳にはいかないと、私達にそういったのは貴女自身でしょう?」
 ルル家は答えない。それでも竜胆は言葉を続ける。
「だったら先ずは貴女自身が示して魅せなさい、その『決意』を。確かに壁を壊すのに私達の言葉も必要なのかもしれない。それでも、最後にモノを言うのはいつだって自分自身の想いなんだから」
「決意」
「――安心しなさい。ちゃんと私が……いいえ、皆で貴女を受け止めてあげるから」
 ルル家の胸元に小さな青い光が灯った。

「まさかそういう事情があったなんてね……」
 研究室で聞かされたルル家の状況に『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)は憂う瞳を伏せる。
「責任は重大……けど、友達が願うことなら、力になってあげるのは当然!」
 上を見上げれば、暗い海の中で水面に漂うルル家が見えた。
 アレクシアは同じように水面に仰向けになって夜空を見上げる。
「以前、ルル家君には元いた世界の話を聞いたよね。その時は、まさかそんなに過酷なお仕事だとは思ってもいなかった」
 返事は無いけれど、アレクシアはそのまま言葉を重ねる。
「今思えば、だからこそあんな風に気楽にお話できたのかもしれないね。ある意味で、手術のおかげで君のことを知ることができたのかもしれない」
 けれど。アレクシアの心は欲張りで探究心に満ちている。
 それは『友情』とて同じ。ルル家の事を知りたい。
「もっともっと仲良くなりたいんだ。私のことも知ってほしいんだ。だから、本当の君をみせてほしいな」
 零れる笑顔はルル家の胸元で桃色の光となる。

「ルル家君……君とは、ほんの一、二年の付き合いだけれど、楽しいこと、辛いこと……本当に色々あったね……君は私の自慢の友人さ! だから……私のありったけを!」
 胸に手を置いた『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)は前方の切り立った崖へと歩いて行くルル家に赤い瞳を上げた。
「待ってよ! ルル家君!」
 ルル家に飛びついたマリアは崖の際ギリギリで踏み留まる。
「君が手術を受けた経緯は知らない。きっと苦しいことがあったんだろう、辛いことがあったんだろう」
 かつての仕事を察するに多くの命を奪いもしたのだろう。
「でも君は苦難を乗り越え、様々な想いを育み、勇気を持って向き合うことを選んだ!」
 ならば、大丈夫だとマリアは叫ぶ。
「私はね……君ともっと仲良くなりたい! 本当の君のことを知りたい! だから、諦めないでおくれ。その先には何も無いんだ!」
 崖の下は真っ黒な海が広がっているだけ。暗く光の届かない深淵だ。
「私に君のことをたくさん聞かせておくれ! 私に本当の君とたくさん新しい思い出を作らせておくれ!」
 それは『勇気』の言葉。踏み出す一歩を示す光。
 燃える様な赤い光がルル家に降り注ぐ。

 聞こえてくる旋律は『美しい』音階を奏で『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)の耳に届いた。
 けれど。それは規則正しい音色ではあるけれど、どこか悲しい音。
「貴女が旋律(かんじょう)を取り戻した時、その音色がどんなに歪であったとしても。貴女と紡いだ旋律(ものがたり)はとても美しかったと、あたしは知っている。だから」
 鏡面の黒いガラスは果てしなく続いていた。
 その上にぽつりと置かれたピアノ。リアが回り込んでみればルル家が人差し指で鍵盤を叩いていた。
 リアはルル家の座っている椅子に自分も腰掛ける。
「貴女は『遮那』の為に自分の感情に立ち向かわなくてはならないわ」
 ルル家が鍵盤を一つ弾いた。
 彼に対するルル家の想いは、旋律なんて聴かなくても分かるとリアは鍵盤を押す。
「だって、あたしと貴女は同じ『同盟』を組んでいるんですものね」
 太陽のように明るいルル家と、相反する弱い心を持ったルル家。
「その二つを取り戻してから、貴女の本当の恋は始まるのよ!」
 ルル家の鍵盤から藍色の光が弾けた。

 いつか夢見た恩返し。『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)はギアバジリカの祭壇に佇むルル家を見上げた。
「きっと今が、その時なのであろうと思っています。ギア・バジリカでの恩義は、ここで返しますわ!」
 祭壇を駆け上がりヴァレーリヤはルル家の頬を両手で掴んだ。
「悲しみも涙も後悔も、きっと少ない方が幸福なのだと思います。だからこそ、そうして貴女は心を守る手術を受けたのでしょう」
 像を結ばないルル家の視界に入るように、真正面から強き光を帯びた緑瞳で見据える。
 その瞳に浮かんだ『涙』をヴァレーリヤは拭った。
「でも、貴女はこれまで色々な試練をくぐり抜けて来た。幾多の敵と戦い、命を賭けて遮那を救い、不可能とも思われた希望を掴み取った」
「遮那くん?」
「貴女は、もう心の壁など無くてもやって行けるはず。本当の心を取り戻すのは、今でしてよ!」
 零れた涙はルル家の胸元に落ちて緑色の光を灯す。

「ワタクシは不幸を好む、どうしようもない存在です。今もなお、ルルさんの心を蝕まんとする負の感情を喜ばしく想い、彼女の不幸を享受せんと諸手を挙げております」
 ヴェール越しに口元を緩めた『影を歩くもの』ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)はスカーレットの瞳を僅か伏せた。
「……しかし」
 その本能を上回る程に、ヴァイオレットの心が叫ぶ。
 ――ルル家を助けたいのだと。
 悪であるのに。その資格などないと思っていたのに。どうしてそう思ってしまうのだろう。
「己が心の悪に抗う"私"の事を、あなたは美しいと言ってくれた」
 テーブルの向こうで差し出されたお茶にも手を付けないルル家にヴァイオレットは語りかける。
「どうしようもなく悪である私の手を引いて、『過ち』を犯したと泣きじゃくる私を、受け止めて下さいました」
 懐かしむように目を細め言葉を続けるヴァイオレット。
「私は『悪人』。人の不幸を甘美なるものとして味わう愚かしい存在。ですが……だからこそ、此処に私が居る事を、今は誇りましょう」
 悪でもいい、弱くても、一人で立てなくても良いと言ってくれたのはルル家だ。
 自己嫌悪に苛まれ、孤独に戸惑うヴァイオレットに寄り添った。
「そんなあなたが居たから……私は今、あなたの友として、ここにいる」
 ティーカップを静かに置いたヴァイオレットは立ち上がり。
 テーブルの向かいに座るルル家の肩に手を置く。
 それに気付いたルル家がヴァイオレットに視線を上げた。
 紫色の光がティーカップの中から零れ落ちる。

「貴女に同じ天香に仕えるものとしてだけでなく、友として頼ると、そう言っていただけて……」
 嬉しかったのだと『夏の思い出に燻る』小金井・正純(p3p008000)は真っ黒な浴槽の中で蹲るルル家を見つめた。本当の事を言えば、これからのルル家を背負うなんて、正純には荷が重すぎるのだ。
 けれど、こんな絶望した顔の少女に背を向けて逃げるなんて出来ない。
 例え、星が警告を鳴らしていても。自分の意志で向き合うのだ。
「私はね、貴女が羨ましかった」
 正純はバスタブの中に座っているルル家の腕を掴む。
「明るく、誰とでも仲良く、私なんかより余程、天香のために行動している」
 でも、本当は。こんな真っ暗な場所で蹲っている程に。弱くてちっぽけで。――安心した。
 安堵し、惨めな自分を肯定出来た。けれど、同時に。強く嫉妬した。だって、弱くてもルル家には縋るべき友が居るのだ。自分が縋る相手は居るのだろうかと心の奥底がかき乱される。
「でも! それでも!」
 正純はルル家を引き上げ、抱きしめる。力を込めて嫉妬を込めて親愛を込めて。
「私は貴女の友達です。『嫉妬』したって友達だということは揺らがない!!!!」
 バスタブから金色の光が溢れて辺りを包み込んだ。


「特異運命座標の仕事は宇宙警察忍者の仕事と同じでした」
 真っ暗な海に沈んで行くテレビのモニターにルル家の口元が映し出される。
「誰かの為、世界の為というお題目で何かを殺す仕事」
 ゴポリゴポリと気泡がモニターから上がっていた。
「傷つかない為」
 モニターの電気が明滅し、画像が乱れる。
「それだけの為に何も考えず殺して。友達になったトルタちゃんさえこの手にかけた」
 ルル家の心を表すように、ノイズが混じり、砂嵐が上から降ってきた。
「傷つきたくなんてない。心を取り戻して傷つくのが怖い」
 ――逃げていられるならずっと逃げていたかった。
 遂にテレビの明りは消えて、辺りは暗黒に包まれる。

 ――――
 ――

「ホント、出会った頃を思い返せばこの子がこんなものを抱え込んでいたなんて思いもしなかったわ」
 くすりと微笑んだ竜胆はボロを纏って蜥蜴を囓っていたルル家を思い出す。
「それが今では恋を知って立派に女の子をしてるんだもの。ふふっ、何だか感慨深いわね、本当に」
 だからこそ胸を張って言える。
「――今の貴女なら負の感情だって乗り越える事が出来ると。じている、共に『未来』への階段を駆け上がれると」
 竜胆はルル家からナイフを取り上げ代わりに手を握った。
「それでも不安だって言うのなら手を伸ばしなさい」
「手を……?」
「ええ。何度だって私がルル家の手を取って、貴女に『勇気』をあげるから」
 握った手に力を込める。竜胆はルル家の額に自分の額を合わせ。
「だって私はいつだって貴女の師匠で、貴女は私の大切な弟子で……友達なんだもの」
 眩い光が竜胆を包み込む。

 暗い海に漂うアレクシアとルル家は手を繋ぎ夜空を見上げた。
「私はね、ルル家君の普段の姿で一番印象に残っているのはその笑顔なんだ」
 時々突拍子もない事を言って周りを驚かせるけれど、いつも明るく楽しそうにしている姿が素敵だとアレクシアはルル家に紡ぐ。
「君は心に壁を作っていたのかもしれないけれど、きっとあの笑顔は、その下の気持ちは嘘ではなかった。私はそう確信しているよ」
「嘘じゃない?」
「うん。そんな『笑顔』を……想いを持っている君は、負の気持ちなんかには負けないよ、絶対にね!」
 この先不安な事は沢山あるだろう。今まで気付いていなかった傷も見えてくる。
 受け止めきれない重みはルル家を追い立てるかもしれない。
 不安げにルル家がアレクシアの手を握る。
「私は……」
「でも、怖がらなくて大丈夫。君に何かがあれば、私が必ず側にいる」
 黒い夜空が次第に朝陽を孕んでいく。
「君がかつて、『正義のヒーロー』として誰かを護ってきたように。今度は私が君を護ってあげるから!」
 陽は昇り。黒い海に陽光が反射した。

「この世界は『欺瞞』に満ちあふれているわ」
 リアの耳に届く負の感情。雑音。耳を塞いでもその音はリアを蝕み苦しめた。
「でもね……例えこの世界が醜いものであったとしても、それでもあたし達はソラを目指すの」
 ピアノを叩くルル家指が止まり、隣に居るリアの顔に視線が向けられる。
「欺瞞に満ちているからこそ、強く輝いて生きていくの! この世界に負けない様に!」
 リアの心を表すように、ピアノの弦が一つ音を弾いた。
 それは二つに増え、三つに増した。これはリアの心に動かされたルル家の音。
「感情を取り戻したら、もしかしたら貴女の過去が、貴女を苛むのかもしれない」
 溢れ出す音は美しさを逸脱し、叩きつけるような激しさで打ち鳴らされる。
「――でも! このあたしが貴女を支える」
 罪、怨恨、因果、その全てにルル家が負けそうになるなら『リア』が肩を貸す。
「貴女が負けない様に! 全ての自分を愛せるように!」
 一面を覆っていた黒いガラスが弾け、青い空が突抜けた。
「……楽しいのよ、貴女と一緒に居ると」
 例え、ルル家の感情(せんりつ)が美しいだけでは無かったのだとしても。
 人間が生きているという揺らぎは愛おしいと思うから。この世に一つとして同じ音が無いように。
「あたしは貴女の感情(せんりつ)を聴きたいの!」
 必要だったら尻でも蹴り飛ばしてやるから。だからどうか。
 負の側面も受け止めて。
「パーフェクトルル家として新しい一歩を踏み出すのよ!」

 崖の上でマリアとルル家は座りこんでいた。
「君は優しいから、これからもきっと過去を気にし続けるだろう」
 真っ黒な曇り空はゴロゴロと雷鳴を轟かせる。
「苦しむかも知れない。でもね、いいんだよ。悩んだって苦しんだっていい」
 其れ等は誰しもが人生の過程で少しずつ答えを得ていくもの。
「それにね。君は自ら防壁を破ってここにいる! ならば恐れることなどありはしない!」
 暗雲立籠める空から辺りを真っ白にする程の雷光が迸る。
「それも君だ! 君自身だ! 自分に負けるな! ルル家!!!」
 何段にも重なった雷光が二人の前に落ちた。
 それはギアバジリカの祭壇にも降り注ぎ、轟音がヴァレーリヤの耳に届く。
 いつの間にかマリアとヴァレーリヤ、そしてルル家は同じ場所に立っていた。
「私は、逃げてしまった」
 負の感情を封じて、無かったことにした。ルル家の身体を黒い手が這いずり回る。それは自分を否定するルル家自身の心の棘。
「過去に苦しむならその度に私は言うよ、そんなことは知ったことか! と、私の自慢の友達は素敵な良い奴だ! って! 天に轟く雷光のように、吠えて輝き! 君を照らそう!」
 マリアの言葉と共に鮮烈なる光がギアバジリカの祭壇に瞬いた。
「そんな負の感情、耐えて、ルル家! 私達と過ごした楽しい記憶を、思い出して下さいまし!」
 酔っ払ってルル家邸を破壊した記憶がギアバジリカの祭壇に流れる。
 滅茶苦茶の家屋。ルル家の顔。
「たの、しい……ウッ!」
「ああっ、どうしてですの!? これで間違いなく元気になると思いましたのに……」
 頭を抱えるルル家にヴァレーリヤとマリアが駆け寄った。
「過去に負けるな! 未来を思え! 明日を思え!」
「ええい、かくなる上はこのカニでございますわ!」
「ヴァリューシャと! 皆で! 串カツマリ屋でカニを食べよう!」
 二人の勢いにルル家は視線を上げる。
「串カツ、カニ……」
「そうですわ! 元気になったら、私達の奢りでカニパーティー! 食後のデザートに、冷たくて美味しいアイスも付いてきますのよ! 食べ放題ですのよ!」
 とびきりの笑顔でルル家に手を伸ばしたヴァレーリヤとマリア。
 ルル家は光満ちあふれる祭壇で二人の手を取った。

「貴女には天香の未来を見届けて頂かなければなりません」
 真っ黒なバスタブからルル家を引き上げる正純。少女の瞳はまだ虚ろで棘は刺さったままなのだろう。
「長胤様や忠継さんが遺し貴女に託した天香の未来を、守っていただかなければなりません」
「未来?」
 託された言葉がある。それは未来を想う強き心。
「その未来には他ならぬ、貴女が居なければならないんです!」
 タオルで黒い液体をゴシゴシと拭いて正純はルル家の顔を挟み込んだ。
「貴女が未来に怯えぬように、恐怖を振り払えるように。未来はこれからも続いていくんですよ」
 正純は「それに!」と強い口調でタオル越しにルル家の頬を撫で繰り回す。
「何より、彼を置いてどこかに行こうなんて許しませんから!」
 遮那にとってルル家の存在はとても大きいと正純は理解していた。
 ルル家と夏祭りに行って以降、遮那は何処か気がそぞろなのだ。
「執務中も食事中もじっと門の方を眺めることが増えたんですから!」
 物憂げな顔も大変素敵ではあるのだが、それはそれだと正純はルル家の身体を丁寧に拭いていく。
「だから、早く乗り越えて帰って来て下さい」
 これからも共に、天香に、遮那に仕えるのだから。
「いえ違いますね、一緒にあの人の所へ帰りましょう!」
 真っ黒なバスタブから溢れた光は瞬く星の輝きとなって二人の視界を覆った。

「"ここにいる私"の存在こそが、あなたの選択が間違っていなかった、何よりの証左なのです」
 ヴァイオレットは寄り添ってくれたルル家が居たからこそ自分が此処で生きて居るのだと紡ぐ。
「だから、今度は私の番です。あなたが不安に潰されないよう、私が傍に寄り添いましょう」
 見上げたヴァイオレットの口元には笑顔が浮かんでいた。
「ヴィオちゃん……私」
「あなたの元の心が、どんなものであっても」
 過去どれほどの悪人で、どんな過ちを犯してきたとしても。
「あなたの心が私を救ってくれた事は、絶対に間違ってなんていないのですから」

 黒い空間は清々しい草原に変わる。
 青々としたグラスグリーンが視界に広がり、青空に陽光が煌めく。
「覚えていますか、私達の関係が始まった、あの時の占い……逆位置の悪魔のカード」
 意味は『目覚め』。
「きっと……これこそが、あの時に見た、もう一つの運命だったのです」

 ――
 ――――

 黒く沈んだモニターは硬質なクリスタルに変わっていた。
 それを蝕むように這い寄る暗黒の影。
 されど。頭上から差した光がルル家の髪を照らし。
 少女はエメラルドの瞳を開ける。

 深い闇は目の前に広がっているけれど。
 強く優しい、私を導いてくれた人がいる。
 誰よりも傷ついてる癖に、助けてくれる人がいる。
 友達だと言ってくれた、ヒーローみたいな人がいる。
 無茶苦茶するけど、いつも笑顔で手を握ってくれる人がいる。
 元気で勇敢で、死から救ってくれた人がいる。
 綺麗な声で優しくしてくれる、お姉さんみたいな人がいる。
 強くて厳しくてとても優しい、志を共にする人がいる。
 
 ………誰よりも好きな人がいる。

「その人達と一緒にいるのに自分だけ逃げ続けてるなんて、格好悪いじゃないですか…」
 ルル家がクリスタルの壁に力をこめれば、ピシリとヒビが入る。
「だからもう逃げるのはやめます」
 傷付いても。逃げ出したくなっても。転んだって構わない。
 ずっとずっと向き合ってこなかった自分を変えたいから。

 ――大切な人達がいれば耐えられるから!
 だからとクリスタルを砕いたルル家が大声で叫ぶ。
 涙を流しながら、吠える。

「私は、もう逃げない――――!!!!!」

『欺瞞』に満ちた世界で、『過ち』を見つめ、『嫉妬』の感情を持ち、時に『涙』する。
 その隣には『友情』を抱く人々が『笑顔』を向けてくれるだろう。
 それは『悪人』であるかもしれない、『ヒーロー』であるかもしれない。
 旋律を奏でる『リア』かもしれない、恋心を抱く『遮那』かもしれない。
 それでも『決意』は揺らぎ、『勇気』を見失う事もあるだろう。
 されど。それは裏返せば『決意』と『勇気』は心の中にあるということ。
『雷光』のように鮮烈な『未来』への『目覚め』――

「お帰りなさい。貴女が無事で、何よりでございますわ」
 ヴァレーリヤとマリアがルル家の顔を覗き込む。
「さあ、約束通り、皆でカニパーティーと行きましょう!」
「そうだよ! 串カツマリ屋でカニパーティだ!」
 ルル家は『カニ』と『串カツ』が大好物になる。
「後でマリィと一緒に食べようと思っていたカニを奪う罪は重いですわよ?」
 酒瓶をぐりぐりと頬に押しつけるヴァレーリヤへ笑顔を向けるルル家。

「おはよう、寝坊助さん。私達の……私の声、貴女にちゃんと届いたかしら?」
 手を握っていた竜胆がルル家に微笑みを向ける。
「はい。届いてましたよ」
 ルル家のエメラルドの瞳から涙が次々に溢れ出した。
 泣けなかった少女の痛みの雫。

 ありがとう。
 ずっと私を守ってくれてありがとう。
 私は、ここに居る。
 痛みを感じて、それでも、生きている。
 ありがとう。

 ――さようなら。

成否

大成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。如何だったでしょうか。
 心を込めて綴りました。
 これからの物語を楽しみにしています。

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