シナリオ詳細
大体ここからここまでの範囲はアレが埋まってるので掘り返して選り分けて燃やして下さい
オープニング
●なお本人の希望は与太でもいいってことでした。ヤッタネ!
ギルド・ローレットの片隅、テーブルの上に並べられたのはアイスミルクと豆乳だった。『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)は豆乳を一気に飲み干すと、目の前でキラキラとした目をして此方を見てくる女性にジト目を返した。こういう、なんか実力はあるけど実質的な戦闘経験が浅くローレットに憧れと信頼があり、尚且つこう、めっちゃ元気な子というのは、15年前にこの世の闇を見て旅をして、それからイレギュラーズに「なってしまった」彼女にとっては精神的天敵と呼ぶべき存在なのである。
「私は、冒険がしたいです」
「なるほど、受付のクソメガネが押し付けて来たかと思ったらおまえあの忍連中の関係者かゆ」
その助成の名は星穹 (p3p008330)。『暦』なる忍者組織(……組織?)の一員に拾われ、相応の知識と実力を以てローレットの門を叩いた人物である。
記憶のない特異性は、彼女に「世界を見て回りたい」という欲求を与えたらしい。で、幻想、豊穣、海洋以外を見たいということでしばし反応に窮した情報屋の方のメガネがパパスに彼女を押し付けたのだ。
「ご存知なんですか?」
「噂程度ゆ。まーそれはおいといて、わたちと来るなら丁度深緑の依頼ゆ。これから適当にしてる連中に声かけるけど、正直深緑のアレな部分を見ることになゆから、あんま期待はすんなゆ」
「大丈夫です、なんでもできます!」
「……今、なんでもって言ったゆ?」
「え?」
●『ドーモ。私達はこの森の一角に放火しにきました』
「……え?」
恭しく挨拶をしたパパスの横で、星穹の表情が固まる。
勿論、イレギュラーズ各員「なんて?」って表情でパパスを見た。当たり前だよ深緑だぞ深緑。火気厳禁だぞ。
「正確にはこの一角を掘り返し、貴方達が栽培していたラサに輸出予定のやべー薬の原料を根こそぎ排除します。理由はこれでおわかりですね? そんなわけで貴方達の尊厳をFxxkします」
「パパス様、口調が変わっ」
「シャラップ」
止められた。
「ば……馬鹿な、いくらなんでも森を燃やす? 掘り返す? そんなことをリュミエ様がお許しになるはずが」
「へーふーーーーーーんそういうこと言うんかゆ? そこの隅っこに咲いてる花。随分と青くて綺麗ゆねえ。なんだかこの辺り一帯の水でも吸い上げているかのような瑞々しさだゆ? ん?」
流石に反論しようとした長老は、しかしパパスの反論に口を噤む。なるほど、この区画で栽培されている薬の原料とやらは、アボカド並にやべー代物な
「わたちはその『アボカドングリの木』とその寄生植物全部をぶった切ってこの森を守るのが使命ゆ! おとなしくお縄について放火に協力すゆ!」
「畜生! バレちゃあ仕方ねえ! 野郎ども、出会え出会えーーーーーーッッ!!」
「……なあパパス」
「なんだゆ」
「お前、この子深緑初めてなのに放火させてよかったのか?」
「なんでもするっていうから」
- 大体ここからここまでの範囲はアレが埋まってるので掘り返して選り分けて燃やして下さい完了
- GM名ふみの
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年08月15日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●責任とれよ
「パパス様、私理解致しましたわ。深緑とはこのようなアボカドが鬱蒼と生い茂る地なのですね。あと火。このような木を滅ぼしたいと願うのが深緑の民なのですね」
「違ゆ」
「でもだって、私、深緑を知りたいのだと依頼でお願いした筈では……え?」
『星雛鳥』星穹(p3p008330)があらぬ方向で深緑について納得しかけたのを、『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)は明確に否定した。けれど、彼女は国家の見聞を広めるために依頼を受けに来たはず。何故こんな外れ値を引かされているのか、疑問に思うだろう。
「全ての自然に仇為す存在を滅ぼして大地の下に埋め、次なる世代の繁茂の糧とする為に燃やすのです。力で危険生物を燃やさねばならない時が来たなら、そうするしかないのです」
「幻想種にとって自然は友達だけど……友達といっても全てが良い友というわけじゃない」
『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)と『魔風の主』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)の、さも『嘆かわしいのでどげんかせんといかん』みたいな素振りは、深緑の住人である当事者たちの言葉として深く星穹の耳朶に響き渡る。そう――これは仕方のないことなのだ。つまり深緑は、是々非々で森を燃やす連中なのだ。誤解値がちょっと上がった。
「放火と聞いて最初驚きましたが、欲に眼がくらんでこのような危険な植物を栽培してるとあっては処分も致し方ないことと考えます。深緑の魔法少女として成敗せざるを得ません……木漏れ日の魔法少女リディアただいま参上!」
そして、『木漏れ日の魔法少女』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)の言葉がそれに続いたように、『相手がやらかしたなら成敗已む無し』なのである。しかたねーよなあっちの認識が赤ちゃんなんだから。
「残念ねぇ…もう少し穏やかな効果だったなら、ピザの具にすることも考えたのだけど。周囲の土壌も荒れちゃうし、ちょっと私の手には余るわ」
「ピザの具……深緑でピザ……そういうお国柄なのですか……?」
「わたちが言うのもなんだけど、多分特例ゆ」
『葡萄の沼の探求者』クアトロ・フォルマッジ(p3p009684)はピザとコーラの布教に余念がない幻想種である。然るに、『燃やすのが普通じゃないならこの人が標準なのでは?』とか一瞬思うのも、いやわからんな。違うと思うよ。
「さて、今回も脚を頂きに……あ゙っ……悪者としての依頼じゃないっ! イーゼラー……様の教えにも応えられねーですし、私も脚が貰えねーですし面倒ですねー……脚……」
「薬がどうとか知ったこっちゃないですが、とにかく合法的に焼けるようなので焼きに来たのです。何か問題でも?」
『《戦車(チャリオット)》』ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)は敵が否定しようのない悪であり、尚且つその身柄と生死が問われない場面に於いて最も実力を発揮するタイプである。あるのだが、今回はやや相性が悪かった。万が一の不慮の事故とか、そういうもので人死にが出ない限りは『脚』も手に入るまい。その辺りは割り切る女なので、それなりいい働きはするだろうが。
『めいど・あ・ふぁいあ』クーア・ミューゼル(p3p003529)については、もう完全に手段と目的が入れ替わっている系だ。燃やすことが生きがいである彼女は、深緑を虎視眈々と狙っているフシがある。ただ、友好国である深緑でおいそれとそんなことは出来ないわけで。こういう時でもないと放火に来られない……つまり『今こそが好機』である。捨ててしまえそんな好機。
「正規流通に乗らない薬物の生産と、後先考えない生態系の破壊……薬使いとして毒使いとして見過ごせない禁忌を二つも破っている彼らを、私は絶ッ対に許しませんわ。覚悟の準備をしておいて下さいまし」
『あやしい香り』クラサフカ・ミハイロヴナ・コロリョワ(p3p000292)は信念の人である。この依頼に於いて思想信条がやたら強いメンツが多いんだが、彼女は真っ当な意味で信念が強い。薬使いとして、薬は有益であらねばならず、表裏一体の毒であっても、後先考えないやり方というのはいただけない。どちらに傾いても間違いなく、彼女にも深緑にも害のある行為を、どうして見過ごせようというのか。
「……というワケだゆ、星穹」
「どういうワケなのかイマイチ分かりませんわ」
「……そっかゆ。じゃあ、これから出てくる連中シバき倒しながらその辺教えていくからよく聞いて勉強すゆ」
仲間たちの主張を聞いても、星穹にはいまいち「この依頼が深緑のなんたるかを叩き込む意味」が見いだせなかった。パパスは教えるのが下手なのだ。なので、体験主義に傾いてもらう。当たり前の道理だ。
「面白くもないことをゴチャゴチャと……この森を燃やすだと? 生半可な実力でそれが出来ると勘違いしているなら今すぐ立ち去るがいい! 我らが神聖なるアボカドングリの堅固さ、見せてやろうぞ!」
「つまり、私が持ってきたこれが役に立つのですね」
イレギュラーズが口々に宣戦布告を終える中、霊樹集落の長はわりかし慎重にことの推移を見守っていた。が、一歩も退きそうにないイレギュラーズ相手に何を言っても無駄だと理解した彼は高らかに宣言し、星穹はそれに応じるように火炎瓶(未着火)を持ち出した。
「星穹ちゃん、燃やすときは保護結界を忘れないようにね。燃やしていいのはこの集落だけだから」
「はい!」
クアトロの冷静な指摘に対し、星穹は元気よく返事をした。燃やすものを選ぶ、選んでいいのが深緑なんだ……! また間違った知識が蓄積されたようだ。
なお、星穹が火炎瓶を持ち出した時点でメガネの情報屋の目が死んでいて抵抗の一つもしなかったことを付記しておく。放火魔居るのに、今更なのだ。
●
「火線砲、良いですよね……一発で向こうの方まで燃やせるんですから」
「森を前に村人が邪魔なので全員薙ぎ払おうね……っていうかあそことかに罠あったんだけどエルシアさんが燃やしちゃったね」
神気閃光で住民達を巻き込みつつ、ウィリアムは足元に隠れたスネアトラップをやすやすと見つけ出す。下手に動き回ればコケる位置に光明に設置されたそれはしかし、エルシアが母から命懸けで学んだ火線によって周囲一帯を巻き込んで燃えていく。ついでに村人も燃やしていくが、根性からか一発では倒れない。
「アホのドングリでもアボカドングリでも構いません。どうせ全部燃やすんですから! ……あ、あの辺りで草花の嘆きの声が! 無理やり縛って悲しませていますね、許せません!」
「……うーん、結局これ表全部焦土にしてから根っこに取り掛かる方が早くないのです?」
リディアは住民からできるだけ距離を取りつつ、きっちり挑発を忘れない。苛立ちが増した彼等の動きは単調さを増し、明らかに動きが鈍っている。そんな隙を見逃すまいと、クーアの放った炎が次々と周囲を燃やし、そして住民達の衣類に獄の炎を纏わせる。それでもしかし、魔法メインなだけあって対抗手段も備えているらしく、すかさず氷結魔法や回復魔法をぶっこんでくるしぶとさは流石と言えるだろう。
「我ら、アボカドングリの加護にて一騎当千の力を得たり! イレギュラーズが如何な実力者といえど、この頑健たる筋肉とアボカドングリの栄養あらば――」
「では、その加護でもって私の毒を耐えられるか試してあげますわ」
クラサフカはアボカドングリを摂取し、筋肉量をいや増したように思われる住民へと『炎の帝王』と呼ばれる毒を放つ。理性を奪うためのそれは、成程激しい反応を引き起こすのだろう……が、一発目を、男は耐えた。筋肉によるアレだろうか? だが多分、奇跡はそう何度も続くまい。
「えーと、村人も始末しちゃダメなんですかー」
ピリムが非常にそわそわしながら仲間達に問いかける。クラサフカの毒を受けてピンシャカしているタンク役に放った斬撃は日本刀の形状での腹打ちであるため、慮外の威力を保ちつつも殺意は低く。男も腹筋を固めて必死にそれを耐えようとしていた。
「最悪の場合はまあ……しゃーないと思うけどゆ、あいつら殺して死ぬタマと思うかゆ? わたちは思わねえゆ」
パパスは彼女の(珍しい)試みに「へえ」と眉を上げつつも、冷静に返す。アボカドングリの反動で倒れることはあるかもしれないが、戦いの中で死ぬ可能性は低く、それを無理くり殺して脚を奪うことは難しい……かもしれない。
「……どなたか正しい深緑を教えていただけませんか?」
「んー……そうだね。この国は基本的には自然との共存が主で、僕達幻想種も火は忌避するタチなんだよ。基本はね」
「ええ……?! でも今こうして集落を燃やしにかかっていますし、この木々は燃やされることを望んでいるのでは?」
「ちょっと違ゆ。自然との共存はわたちらの至上命題ゆ。でも、植物のなかには侵略と独占を主として、強調できねえ奴がいゆ。それでも燃やすことは普通しないけどゆ、対症療法で間に合わねえケースがあゆ」
星穹はエルシアに飛んできた魔術をその身で受け、ウィリアムからの説明に首を傾げて聞いていた。そして、パパスの「普通」に目を丸くする。視線の先はエルシア、そしてクーアだ。
「私は仕方ないのです……お母様の足跡を辿る上で、炎の魔術を修めたお母様と並ぶ必要があり、掘り返して切り刻んだだけでは地下茎を通して復活するような植物がある以上は燃やすという手段も必要なのですから」
「私は理由とかどうでもいいのですが、でも、周囲一帯の水を吸い上げたら他の植物が枯れるのですよ? これらを残しておいたら、森全体がやせ細るのです。それは自然との共存とは言えませんし、後々私が焼き払う森が減るのでダメなのです」
「おいそこ本音漏れてゆ」
エルシアの『仕方ない』がどこまで仕方ないのかはさておき割と事実だ。クーアのそれも、最後を除けば正論だ。
「そうやって水を吸い上げてるから、余計に燃やしにくいのは難儀ね……その分、術式に使わせてもらうけど」
クアトロは周囲のアボカドングリから吸い上げた水を不可視の雹に変換し、住民目掛けて叩き込んでいく。ぼちぼち普通の住民達は体力が尽きてくる頃で、しかもアボカドングリ本体の水分も奪って可燃性が上がっているので放火とのバランスがよい。彼女の挙動は、出鱈目に火を放つよりも実は効率的なのでは? という錯覚すら覚える。
「こんなにも綺麗な焔色なのに、ざんねんながら黙らせる止まりなのですが……」
「ぐっ、このままやられっぱなしでいるわけにはいかん! みなの者――」
それでもしぶとく追い縋る住民達に炎を放つクーアだが、長はまだ割と正気の内にあったらしく、隠し持っていたアボカドングリを掴み無事な者達に声を張る。
それに呼応した住民がそれぞれアボカドングリを得ようと、もしくは食べようとするが……イレギュラーズが、そんなことを許すだろうか?
●ゆ゛る゛さ゛ん゛゛
「わかり易く成っている木の実を簡単に取らせると思っていたのですか? 魔法少女をナメすぎですよ!」
リディアの放った雷撃は、木をよじ登ってアボカドングリをつかもうとした1人の手、そしてその実を正確に撃ち抜く。疲労を押して登っていたのだろう、しびれと共に滑らせた足は落下時にあらぬ折れ方をして再起不能と成っていた。それでも生きている。生命力ってすごい。
「手に持っていれば食べられると思いましたかー? ちょおっと甘く見すぎですよー」
そして、手に手に実を持っていた数名は、風と見まごう速度で踏み込んできたピリムによって実と指先の僅かな隙間を打ち据えられ、取り落とす。微細なコントロールと手加減が必要なそれはしかし、魔力を駆使して極限まで集中した彼女にとっては容易きことなのである。
「そろそろ水気も減ってきたでしょうし、木も焼いてしまいましょう」
「毒になるものを嬉々として食べるのですから、私の『毒』も是非得てもらいますわ。それくらい、毒が好きなのでしょう? 先程は拒否されたようですが、是非」
クラサフカもまた、頑健な男や長をメインに毒をばら撒き、理性を削ることで自らに視線を集め、その攻撃を受け止めようとし……その攻撃を、星穹が一手に引き受けた。
「あれですよね。毒を以て毒を制す。ならばアボカドングリを以てアボカドングリを制しましょう」
「……止めねえけど、おまえ本当にそれでいいのかゆ?」
「なにも問題ありません! この森を燃やして新しい森に変えて、皆さんの幸せに寄与するのですね、深緑のことは大体わかりましたので、これ以上無駄な戦いをすることもありません!」
星穹の、先程までの戸惑いとはうってかわってはつらつとした受け答えに、さすがにパパスも心配になった。だが彼女の言動を見るに「ふっきれた」と判断するのが正しかろう。
「ところで……アボカドは料理の際に気化した成分だけで鳥を殺せるらしいですけれど、アボカドングリの場合も、こんなに燃やしたら私まで影響を受ける、みたいな心配はないでしょうか……?」
「今の所私達には影響が出ていないし、煙は保護結界で(多分)止めてるから周囲にも影響はないはずよ。もしそうだとしても、煙なら影響は少ないはず……エルシアちゃん、目がちょっとキマってるけど大丈夫なのよね?」
クアトロは、思い出したように言葉を紡いだエルシアの態度を不思議に思い視線を向けた。エルシアの言動はいつもどおりなのだが、目が坐っている気がしないでもない。感受性の違いなのだろうか、それとも許容量の関係か。少なくとも、今の彼女に言葉が通じるかは微妙そうだ。
「僕も全力で治療するから、みんな無理だけはしないでね……!」
「魔力は私もサポートしますけど、足りなかったら言ってくださいね! もっと頑張りますから……」
「大丈夫なのです。私は魔力がなくても残党狩りくらいはできるのです。他の人に回してあげたほうが効率的なのですよ」
ウィリアムとリディアは、半ばキマってるエルシアとキマりきった星穹のフォローを中心に魔力をブンまわしているが、他の仲間のフォローも重要になっている。……とはいえ、住民もアボカドングリのブーストがなければもうほぼ死に体、クーア1人の力でも制圧できなくはなさそうだ。なにより。
「ぼちぼち戦闘終わりだから、魔力残ってるなら軽く燃やしにかかるゆ。わたちが怪我治したうえで区画整理するからその間休んでていいゆ」
すっかり存在が空気だが、パパスもいるので回復は比較的堅調なのであった。それでも多少の負傷はあるが、戦線に支障をきたすレベルでは、全くない。
「それじゃあ、これを火種に燃やしていきましょうか。そろそろ地表も大体燃え尽きるでしょうし」
「掘り返したらー、私が丁寧に切り刻んで燃えやすくしますねー」
クアトロは懐から石炭を取り出し、火の手が上がっているところに投げ込んでいく。仲間達が掘り返した木の根はピリムが切り刻み、クラサフカは寄生植物の根っこを丁寧に引っ張り出すと、その穴に近くの植物を植え替える。外来種の侵略みたいにならないようにする工夫は必要だが、それをいったら燃え跡そのものが侵略の跡なので、どうとでもなろう。
「戦闘より地面を掘り返す方が疲れましたね」
「……次はもうちょっと薬効弱めでお願いします、それなら見逃せるから……」
一息ついて周囲を見渡したリディアは、燃えていくアボカドングリに手を合わせるウィリアムが視界に入り、「そうだよなあ」とため息をついた。もう少し、ができなくて滅ぼし合う運命になったなど、悲しい話であるのだから。
「お疲れ様。アボカドと生ハムのピザを用意したけど、食べる?」
「食べゆ。普通のアボカド、水を使うのは兎も角美味いから好きゆ」
クアトロがギフトで生み出したピザを、仲間たちはちょっと複雑な表情で眺めた。普通のアボカドだと分かっていても、だ。それでも手を出すパパスは、安心させようとしているのだろうか?
「私も……食べたいです……ちょっと今体が動かないので、誰か……」
なお、星穹はといえばアボカドングリの影響で倒れたまま指先だけで挙手の意を示していた。器用だなあ。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
多分、正しい知識が身についたんじゃないかなって思います!
……思いますよね?
皆さんの熱意(意味深)が強かったですが、木を燃やす工夫で面白いと思いましたので、クアトロさんにMVPを。
選ぶ基準が他にも多岐に渡るんですが、それはそれとして!
GMコメント
与太でもいいっていうから……戦闘がいいっていうから……あと放火の需要を嗅ぎつけたからつい……。
●成功条件
霊樹集落『アボカドングリのむら』の壊滅
●アボカドングリ
アボカドみたいな感じで周囲の栄養と水分をごっそり吸い上げてエグめのエナドリみたいな薬の材料になる果実を実らせる木。わかれ。
すでに実は実っているので、これが集落の住人にわたれば口にしてすごいなんか痛覚とか感情のゆらぎを無視する(一部のBS無効、説得無効、HP0までスーパーアーマーっぽい状態)。
イレギュラーズが食べた場合、まあなんか任意ですごいことになるけど、戦闘終了時に必ず1回戦闘不能になる(無傷→パンドラ復活→重傷ぐらいのアレになる)。
これからしてとんでもねえモンなのはご理解頂けるだろうか。伐って燃やさなきゃ(義務感)。
なお寄生生物も同罪なので、集落のここからここ(パパスが線引きする区画)を掘り返して灰にして混ぜて植樹。
●むらのひとびと×20~
殺さなくてもいい、というか極力殺さない方がいい人達。いうて与太だぜ。殺すって言わなきゃ死なない人達だぜ。
もち与太なので快楽殺人者的嗜好で無理くり殺そうとしたらパパスにホームラン(ちょっと高めの物攻アタック)されます。
与太っていっても、まあ魔法主体で包囲殲滅戦を仕掛けてくるし、アボカドングリの加護を得てゴリゴリに足止めにくるタンクもいる。つよいぞ。
なお村人はタンクなら巻き込んでいいと思っているらしいので範囲巻き込み誘導とかは通用しない。中身意識はないのか君等。
●戦場
むらのなか。
植生がけっこう背の高い草とかあるので、その中に草のスネアトラップが仕込んであっても文句は言えないだろう。厭らしい。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●注意事項
この依頼は『悪属性依頼』ではありません。
成功した場合、『深緑』における名声がマイナスされません。プラスだぞプラス。
又、まあ失敗もないっちゃ言い切れません。がんばってね。
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