シナリオ詳細
特異運命座標フリヒラ記録物語~ダメです絶対見てはいけません!~
オープニング
●
新装備のテスターをお願いします――敵を倒すだけの簡単なお仕事!
一言で要約するとそんな感じの謳い文句の依頼が『コレ』であった。要するに練達のどこぞの企業が開発した装備が、実践で通用するかテストしてほしいと……まぁそういう依頼を時々見かける事もある。なにせ練達は日々混沌の法則を超えんと奮闘している国家なのだから。
――しかし。
「焔ァ!! また、また謀ったなぁ!!」
「違うよリアちゃん! こ、これは!! これは違うんだよ――!!」
いざや訪れてみればこれはどういう事かと――またいつもの様に問い詰めるが如く叫ぶのは、炎堂 焔 (p3p004727)の小さい胸倉をつかみ上げているリア・クォーツ (p3p004937)であった。
彼女は何を怒っているというのか。それは件の『新装備』に関する事である。
必ず身に付けねばならぬと説明された先にあったその衣装はなんと――
フリッフリでヒラッヒラ!
あまあま少女趣味(ロリータ・ファッション)全開衣装であった!!
フリルやリボンなどの装飾が随所に施され!
見た目は麗しく――しかしどこか幼さを感じさせるモノばかり!
黒や白を中心とした比較的落ち着いた色もあるにはるが、モノによってはピンクや紅色、花柄やチェック柄などが施された非常に可愛らしさを前面に押し出したモノも多く――というか大なり小なり系統としては『そういうもの』ばかりだ!
いやいや待て待て。これで? これで戦闘をしろと!!? 何かのご冗談では。
「まさか! これが当社が開発した新製品ですよ――皆さんにはこれを身に着けて戦闘テストを行って頂きます!!」
「待てェ! これを八人全員、え、アタシも!?」
「と、とても慣れぬ装いな気がするのですが……わぁなんと可愛らしいのでしょうか」
普段はシスター服のコルネリア=フライフォーゲル (p3p009315)も! テスト用に並べられたその衣装の一つを手に取ってまじまじと見据えているヴァイオレット・ホロウウォーカー (p3p007470)にも! 当然着てもらう!!
これ一人とか二人だけではダメなのか――? ダメです。だってテストするデータは多い程いいもんね!
「それに、元々これは我が社に作成を依頼してきた依頼主の方からの強い要望でもあるのです。『折角護衛してもらうならカワイイ女の子がいいじゃん? でさ。そのカワイイ子がさ、カワイイ衣装着てたらもっといいじゃん? テンション上がるじゃん? フゥッ!』って」
「一体全体何を言っているのか」
「どうしたものかしらねぇ、これ」
一体どんな脳の構造をしていたらそんな発想が出てくるのかと、頭を抱えるブレンダ・スカーレット・アレクサンデル (p3p008017)。一方でアーリア・スピリッツ (p3p004400)もまたヴァオイレットと同様に衣装をとりあえず手に取ってみて。
……うん! どれもこれもデザインの差はあるが、完全に少女趣味の衣装だけだコレ!
片っ端からフリフリである。ズボン? ありませんよそんなの。スカート系統だけ!
――皆さんには有無を言わさずこれらを着用していただきます。
だって依頼だもーん! 正式な依頼だもーん! 仕方がないんだもーん! やったぜ。
「…………えっ。ちょっと待て。えっ、その、俺らは男」
「承知しておりますが、何か?」
「正気かと問わせてもらいたいのだが、正気で本気か?」
つまり、そう。
プラック・クラケーン (p3p006804)! 黒星 一晃 (p3p004679)!!
――君達もだよ。いやぁこの新装備の出資者は複数名いて『そういう方』もいらっしゃいまして。
「と言う訳でよろしくお願いしますね皆さん!!
あっ。準備が出来ましたら隣の部屋の方へどうぞ!!
戦闘テストに関する詳細をお伝えしますので!!」
言うなりニッコニコ顔の研究者はどこぞの部屋へと消えていく。
この衣装を身に着けている時のテストデータが必要と言っていたから……恐らくは敵を用意しているのだろうか? ここは練達となれば何かそういうロボットみたいなのでも出てくるのかもしれない。
「あっそうだ! 言い忘れていましたが、このテストの様子って出資者に報告しないといけないんですよ~映像と写真付きで。なので戦闘中も出来るだけ可愛さをアピールしてくださいね! こう、決めポーズとか! 可愛く転んでみるとか! お願いしまーす!」
「はああああああッ!!?」
ちょっと待ておま、と誰かが叫ぶのだが研究者は超速度で逃げる様に。ああもう見えない!
「い、一体どこの誰なんだこんな企画を立ち上げて支援しているのは――!!」
叫ぶブレンダ。まさか彼女は夢にも思っていまい……
この企画の出資者は幻想の貴族――しかもバルツァーレク派であり! しかもしかもその繋がりで伯爵はおろか自らの知り合いのライヒハート家にも情報が流れていく可能性があるとは――!! あっ、伯爵には間違いなく流れていきますね。やったねリアさん!
- 特異運命座標フリヒラ記録物語~ダメです絶対見てはいけません!~完了
- GM名茶零四
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年07月31日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費---RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
――どうして焔ちゃんの練達依頼にOKしたかって?
ふふ。それはね、大人の時間を過ごしていたからなのよ――(意訳:泥酔してた)
「迂闊だったわ……! まさか焔ちゃんが私を狙い撃ちにするなんて――ッ!」
「ち、違うよボクのせいじゃないよ! ボクもこんな事になるだなんて知らなかったんだよ!」
「焔ァ! その台詞今までの練達依頼その他諸々で何度ぐらい言ったか数えてみろォ!!
てめぇ覚悟できてんだろうな!! 練達ではあたしは教師なんだよ!!
そろそろ生徒にバレそうでやばいんだよ!! オイ、分かってるか焔ァ!!」
『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)は絶望に塗れ、『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)はいつも通り『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)に詰め寄られている――! が、嘆いているのは彼女達だけではなく。
「……なんだこれは。なぜ俺がここにいるのか。一体誰の策略だ。許さんぞ炎堂焔。
この借りは必ず返してくれるからな炎堂焔……」
違うんだよホントだよ――!! 弁明する焔ちゃんの言葉も『黒一閃』黒星 一晃(p3p004679)には届きません。どうして? どうして男をこんな所へ?
「……まあ、仕方あるまい、受けたからには、やりきるしかないだろうからな……」
「くそぁ! いやだよ! ただでさえイソギンチャクの件の傷があるっつーのに! いい加減に、いい加減に依頼の裏を見抜け……俺っ! どうして見抜けないんだ俺……! くそ、もう依頼が始まったって事は逃げる事もできねーじゃねぇか!」
直後。半分諦めた一晃だったが、しかし。思いっきり地面に拳を叩きつけて物事の裏を見抜けなかった己を恥じるは『救海の灯火』プラック・クラケーン(p3p006804)だ――そんなにうなだれていても依頼は終わらないよ!
立ち上がるんだイレギュラーズ。そして着るんだ――
君たちの前に用意されたフリッフリのかわいくも少女らしい素晴らしい衣装を!!
「待って下さい(待って下さい) マジで言ってます? この邪神の血が流れる忌むべき身体を可愛くふりふりに着飾れと? あの、えっと……本当に? 何かの間違いだとか冗談の類では……?」
「うわああああどうしてこうなった! 私は、ただ、練達の依頼だとしか……!!」
焔様……恨みますからね! と『影を歩くもの』ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)はあらゆる感情が詰まった瞳を焔へと向けて、同時に『猪突!邁進!』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)もまた絶望している――
いや百歩譲って、いや譲りたくはないが――とにかく千歩譲ってフリフリを切るのはまぁいい(よくない)だろう。
――だがこういうのはせめて『似合う者』が着るべきではないのか!?
「私みたいなデカ女が着てもダメだろう……ははは、そもそも適切なサイズがあるのか……?」
「コラ!! なにうなだれてんだ、まだマシだろうがよお前らは!! く、くそ! どうしてアタシがこんな格好を!? 年! 年ってもんがあるだろうが! もう若くねぇんだから焔とかに着せればいいだろうがよぉ! え、だめなの? アタシをご指名した依頼主がいる? オラ名前出せやオラ!! どこのどいつなんだよマジでえええ!!」
それでもブレンダは年齢的にまだOKだと――言うは血涙の『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)さんです! もはや初っ端から荒れてる口調の彼女……だけど例外はありません。ご指名ですよ、コルネリアさん!
●そんなこんなで
何を着るか着ないか揉めに揉めて約一時間後!
『自分で選ぶ』のではなく『他者が選んだのを着る』事で決着し――そして!
「さぁ! 一晃くんは全部黒の姫袖フリルブラウス×ジャンスカ×レースタイツ×厚底おでこ靴×ツインテール×ヘッドドレス×眼帯、うさぎさんも抱いて【黒づくめ】の美大【浪人系】ゴスロリコーデでいつも通りね! うんやっぱり似合ってるわぁ――完璧ね!」
「――アーリア。アルコールの飲みすぎで昼間からでも泥酔している様だな?」
こめかみに血管浮き出らせブチギレている一晃の衣装を選んだのはアーリア!!
素晴らしい――素晴らしいゴシックロリータ系統だ。元々が黒髪である故か、黒い衣装に眼帯もよく似合うね、うんうん! 中の人が刀に手を掛けている事以外は特に問題なさそうだぞぉ!
「しかしこの衣装のままにそれらしい演技をしながら戦闘を行えと――無茶を言うな」
「ねぇねぇねぇ! 一晃くん……? この衣装、ホントにどこから見つけてきたの!? これ誰の趣味? 制作依頼した人? 開発者? ダメな方向に守備範囲広すぎるんじゃない!?」
同時。今度は一晃が選んだ衣装を身に纏って出てきたのは焔……
その衣装は――ピンクの全身フリル付きでクマ耳フードのベビー服風カバーオール、フリル付きヨダレ掛けにおしゃぶりが完備されたもの――えぇ……ちょっとこれはドン引きですよ一晃さん!
「でもこれを選んだってことは、一晃くんの趣味も入っ……ごめん。ちょっと離れててもらっていい? もう三歩ぐらいお願い。ちょっとこっと見ないで」
「待て。何やら誤解が生じている様だが、よく分からんから適当な女物セットをだな――」
おしゃぶり咥える焔。誤解を解かんと一晃が言を紡ごうとした、その時。
イレギュラーズ達に接近してくる影がある――あれは――!
「来やがったなZSO君……! くそ、タダではやらせねぇぞ! ていうかリアさん、本当に俺がコレを着るんですか!? 何を放心して!? リアさ――ん!?」
「うるさいわね! こちとらそれ所じゃないのよ、ああもう私はどうすれば!!」
敵の接近。感じ取ったプラック――の衣装は、なんとミニスカメイド衣装。
フリルエプロンで可愛くコーディネイトされた、将来の夢はきっと可愛いお嫁さん♪ きっと素敵な人を見つけてその人だけのメイドさんになるんだなぁっていう目的が込められた渾身の衣装を着ているのがプラック君です。早く写真に収めて!
「ああああああガブリエル様違うんです……これは皆正気を失っているだけで、なんなら焔って奴が悪くて……私は……私だけは正気なんですうううう!!」
そしてその当のリアさんはその焔が選んだ衣装――
ベースが水色でスカートの部分がふんわり広がってるワンピースタイプ。今を着飾る少女が身に着ける、可愛らしくもどこか清楚をも感じさせるモノだ! あ、でもヘッドドレスも着いてるし、こういうのも着くとちょっと幼さを感じさせるね! もののついでにウサギのさんのぬいぐるみを握らせればパーフェクト。さす焔ちゃん!
「大丈夫可愛いよリアちゃん――なんで怒ってるの!?
ボクは敵じゃないよ、あのZSO君だよ敵は!!
ほらブレンダちゃんとかも何時もみたいに前に出ようよ! ね!」
「いいから焔はそこにいなさい! いい!? すぐ戻ってくるからね!」
ZSO君の写真にとられない範囲で焔をぬいぐるみで一発叩いてから往くリア。
まずは簡易飛行で高所に登って――危ない! 下から撮られたら焔ちゃんに選んでもらったパンツが映っちゃう! 撮られてないよね? 大丈夫だよね――? ともあれ直後に創り出すのは己の姿をした幻影だ。
「焔ー! たすけて、敵が多いわー!」
「わわわリアちゃんの声!? どこ、どこリアちゃ……え、なんでいつの間に後ろに」
幻影に引き寄せられた焔。同時に、何故か羽交い絞めにされる。
「さぁ――その衣装を盛大に撮ってもらいましょうね」
「リ、リアちゃ――ん!? ううう、そんな一人では死なないよ! ねぇリアおかあさ~ん♪」
「誰がおかあさんだァ!!」
キレそう! 赤ちゃんっぽく振舞う焔が抵抗し、リアも強引に抑えようとして――あっ。
倒れ込む二人。床ドン体勢のリアの顔が――焔に近くて――
直後。何故か一部のZSO君達がカメラのシャッターを連打してたのでぶっ壊した。
●
一方で別箇所では――あ、あれは!
ピンクのふりふりがついたミニスカドレス――どことなく煌めくエフェクトが見える様な気がして、胸に羽根飾りがついたブローチがやけに目立ち――そして極めつけには背中に純白の翼を翼を携えた――どう見ても魔法少女衣装を着こんでいるあの人は!
「――今日の私はPtuberでVの者。
そうアーリアじゃない! 小酒(おさけ)ありりんよ!」
きゅるるん! と、思わず別人を造り出すアーリア!
あっこら! アルコールで平常心を取り戻そうとするのはやめなさい! とにかく『可愛いポーズ』もご所望であるというのなら――やむなし。
屋根の上を飛び回りながら往くアーリア。しつこいZSO君達、に。
「もぉ、ありりんおねーさん怒っちゃったわ! お・し・お・き・してあげる!」
ぷんぷん! 頬をリスの様に膨らませて――あっ、だめだもう辛い。でも頑張え~ありりん~! マジカル・ブルームをきゃるんと振って魔法少女モードに……え、違うの? でもコルネリアさんが指定した衣装って完全に。あっ、なんでもないです。
ステッキを振って繰り出すは情け容赦ない火花の顕現。
ZSO君達を燃やし尽くして――
「あ、焦がしすぎちゃったわぁ♪ いけないいけない、ありりんまたやっちゃった♪」
頭を自分で小突いて舌を出す。うっぷ。もうダメ限界。
なのでアーリアは近場にいてZSO君達に絡まれているプラックを『合体技よぉ!』とばかりに前面に出して
「あっ! アーリアさん、やめ体がうぉぉぉ体が痺れ……こいつはまずい!」
そしたら大量のZSO君に追い立てられた! こいつら戦闘力は大したことないが、数が多すぎるぞ! 捕まれば痺れ、写真……被害を避ければ仲間に刺される……気がする。
「ならコイツが正解だな――死ねぇ! ZSO君!」
しかしこのまま無抵抗は勘弁だ――! 故に彼は天を舞う。
さながら龍の如く駆けて……いやこれまずいですって! スカートの中が見え。
「うぉぉぉおしまったあああああ! やっぱこっちキャンセルキャンセル!!」
スカート抑えて悲鳴を挙げながらプラックは急遽方針転換!
そうだ、殴ろう! やっぱりこっちで殴ろう!
あああああと嘆く声が響き渡り――そして。
「……一鬼討閃・些塵烈風」
一方で一晃も動いていた。いやはや全くもって未だに理解不能な依頼であるが。
しかしまぁいい。いずれ我が内に秘められし憤怒の業火が貴様等の魂ごとこの姿の記憶を灰になるまで焼き尽くすのだ。いや『いずれ』ではなくむしろ『今』がその時だと。
「黒星一晃、一筋の光となりて貴様等の今世の一切を切り捨てる! ――来世まで往生せよ!」
技名をも繰り出しつつ――遍くZSO君を斬り捨てた。
彼は誓う。アーリアの選んだウサギの堕天大帝ヴォーパルバーニー(タグに書いてあった!)に。背中に背負いし――ウサギの堕天大帝ヴォーパルバーニーの為に!
「……なぜリアは伯爵と名前を……はっ? これの出資者は幻想のバルツァーレク派? はっ? という事は、え、シルトにも流れる恐れがある――? はっ!?」
直後。嘘だろ聞いてないぞそんなの! と、半分諦めながら覚悟を決めていた筈のブレンダの心がまた揺れる大事件! なぜ知り合いに流れる可能性が!?
「あいつに見られたら――うぁ、ああ、あああああ」
『たまにはそういうのもいいね』だとか『見たことのない君が見れてうれしいよ』だとか『今度実際に着てみてくれないか?』とか言うに決まっている! そんなものに耐えられる訳がない――!!
絶対に目立たないと固く心に誓った――のに。
なぜかZSO君達は執拗にブレンダを追いかけてきていて!
「お前らなんだ! シルトの刺客か!!? この、こ、この……
ていうかなんなんだこの衣装はヴァイオレット殿!!
嘘だと言ってくれ――!!」
ブレンダ様――是非これで――と笑顔と共に手渡されたのは。
ふりっふりの甘ゴス(白+ピンク)に加え、頭の上に巨大なリボン! そして一番重要な事として髪型はツインテールだ! 大丈夫絶対きっとよく似合う筈ですと、凄い笑顔で言ってたけど、あれは無意識の悪意だったのか!?
「う、う、う」
ともあれ殴られ待ちのZSO君。
か、可愛らしいポーズ……可愛らしいポーズ……!?
悩み悩んで約一分。ブレンダは剣を投擲する前に人差し指と中指を唇に当てて――
ウインク一つと共に、投げキッス♪
ありがとうございますブレンダさん。この映像必ずシルトさんに届けます。
●
「はぁ、はぁ……なんだこの服はぁ! ブレンダァ! なんで股下10センチ程度しかない衣装を選んだんだよオィ!! こ……れ、角度的には大分ヤバイだろぉぉぉ! ちょ、お前らもなんでわざわざ屈んで写真撮ってこようとしてくるんだヤメロ!!」
散れ! 散れ! とコルネリアは銃弾乱射。その衣装は一言で言うならば――水色ミニスカ萌え袖コルネリア(32)ver! あ、当然ピンクと白のボーダーハイソックスは必需品ですよ。シルクハットのカチューシャも添えて、あと髪も結おうか。
「ヒュー……ヒュー……! いいぜぇ……そっちがその気なら……やってやんよぉ!!
アタシだって、アタシだってまだまだピチピチじゃい!!!
花の32歳舐めんじゃねえぞ!!」
ヤケに……いや意を決したコルネリアはなんとそのミニスカ衣装でバイクに跨り――ああいけませんコルネリアさん! そんなバイクで速度を出したら……でも絶妙なバイクテクニックがチラリズムの概念を極限まで高めていきッ!
「あぁぁぁぁぁぁ!! おらぁ!! アタシを見ろぉ!!
可愛いだろ? ん? ん? イタいとか無いよなぁ?
お望みの姿だぞ! おら! 可愛いって言え! おら!!」
轢いて撃ちまくっていくZSO君達。
コルネリアの雄姿が彼らの写真の中に――収められたとか。
同時。そんなコルネリアの選んだ『衣装』を着ていたヴァイオレットは全力を繰り出していた。こんな醜態、一秒でも早く終わらせなければならないのだから――!!
「如何に不幸が好きでもこんな不幸――望んじゃいないんですよ……って」
あっ、と。向いた先にあったのは窓。
そう。ふと、窓に反射して映った己の姿をヴァイオレットは見たのだ。
水色基調のアリスロリィタを主軸にしたこの、衣装。
それを着こむ己は――まるで『普通の女の子』みたいな恰好で。
「……もしかしたら、こんな服を着ていたかもしれなかったんでしょうかね」
何かが違えば。もしかしたら、もしかしたらの未来では。
……まぁ水色の服はともかく、うさ耳リボンと白黒のボーターニーハイソックスに加えて、うさぎのぬいぐるみを絶対に抱えてもらうとされた時は『プラックさんの趣味か――えっと、こういうの……お好きなんですね?』と思わざるを得ないのだが。
それはそれとして、くるりと一回転。
ガラスに映る自分に――薄く微笑みピースのポーズ。
にこっとした笑顔はきっと『どこかにあったかもしれない』己の姿。
妖艶なりし雰囲気も色香の概念もなき……かつてを彼女は想起した。
ふふ、この衣装……こっそりと持って代えてもいいかななんて思った――
瞬間。
「あっ」
気付く。ガラス越しにこちらを見ている――ZSO君達を――!
「見ましたね――? 死んで頂きます」
再びの笑み。それは邪神宿りし以降の己が笑みで。
跳躍す。『成されなかった道』を懐かしく思いつつも。
いつもの様に高速で相手を仕留めるつもりで動け、ば。
「――むぎゃ!?」
しかし慣れぬ衣装でいつもの戦いが出来る事か! 盛大に躓き石畳の上に転んで。
「うぅ、イタタ……ま、まさかこの様……な……?」
完全にスカートが。お尻の方が捲れあがっている――あられもないポーズ。
ZSO君のシャッター音が響くまで、あと一秒の事だったとか。
●
「待ってくださいその映像は! その、最後の映像だけはせめて!!」
「駄目です! 全部報告するんです! 土下座されてもダメでーす!」
土下座モードヴァイオレット。でもダメですよーん。送られますよーん!
色々あったが遂に終了した依頼――あとは主催者にデータ送れば終了!
参加者の面々の顔が死んでるけど、なんでだろうなぁ。
「スカート抑えて、ぬいぐるみ抱えて、涙目でもじもじするだなんて――
こんなの、あたしじゃない……違うんです伯爵。見ないでください……違うんです……」
そのリアの切なる願いは無事聞き遂げられず、後日データは伯爵の下へと流れついたとか。
心に大きな傷を負った者も多い……中、おや? プラックがどこに。
「へへ……へへへ……」
別室。鏡の前にプラックがいた。
彼は未だ衣装のままで――周囲を、誰もいないよな? とばかりに眺めれば。
……いや、思い付きだし……ノリだし……面白そうだし……仕事だし……
彼はそっと鏡の前でポーズをとる。
一回だけ。一回だけ――きゃるん☆と、ウインク舌だしきゃわポーズを決めれ、ば。
「……ふふっ……」
微笑むプラック。
――その背後におわすは生き残りのZSO君。
写真のシャッターが切れる様な音がしたと同時。プラックはかつてない程の最高速度で――ZSO君をぶっ壊した。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
後日、バルツァーレク派閥の中で何やら練達から届いた写真が出回っているとか……?
伯爵とシルトさんは持ってます。うふふ。
ありがとうございました!
GMコメント
●依頼達成条件
テスト用の対戦相手『ZSO君』を全て倒してください!
ちなみに衣装を外しちゃだめですよ。絶対に身に着けたまま倒してください!
●特殊衣装!!
今回の依頼は皆さん全員必ず全員『フリフリヒラヒラな少女趣味衣装』を身に着けていただきます!! どういうのがあるの? っていうと例えば以下の様な衣装が用意されているみたいです。
・白いワンピース型の比較的落ち着いた衣装。でも全体的にカワイイ感じ。
・青いチェック柄が目立つフリフリ衣装。やっぱり全体的にカワイイ感じ。
・紅と黒の融合。所謂ゴスロリ系。
・紫と白。目に痛い! ちょっと目立つ系統。
・ピンクと白。これは結構『少女』感が強くなるかも。
・淡い藍色の上着と灰色のスカート。カワイイね!
・全体的に白が多いドレスみたいな感じ。ちょっとお姫様系。
・青と白のヒラヒラが目立つ『不思議の国』系統。
・オレンジ色が中心の明るめフリフリ。幼い感じが強くなるかもね!
・やたらスカートの丈が短くて肌色面積が広い衣装……これ少女趣味系か!?
これらの他にも色々!
必ず身に着けてくださいね。だって依頼だもーん!
あっ! それと重要な事にこの戦闘は録画されております……!
ですので皆さん可能な限り可愛さアピールをしながら戦ってください! これは出資者! スポンサーの意向だから! 仕方ないから! ほら、もうちょっとルンルンって感じで動いて!!
●フィールド
研究所敷地内に用意されている、広大な実験場です。
仮想空間とかではありません。なにせ現実での使用を想定しているので。
そして今回セッティングされたフィールドは……なぜか幻想の街中に似ている気がします。一般人とかはいないので被害とかは気にせず存分に暴れていただいて結構です。
近くには森っぽい感じとか、街道っぽい感じの場所もあります。
好きな所で可愛さアピールしてね! いえーい!
●敵戦力ZSO君(全部・写真に・収める・君)×たくさん!
練達の技術者が用意したロボット君です。
形としてはちょっと小さいメカメカしい人型。
その内部には常に戦闘の様子を録画する機能が備えられています……!
個体ごとの性能はそんなに強くないです。
ただ警棒のようなモノを持っていて、これは時折電流が走って対象を痺れさせる事もあるのだとか……? 動きが束縛されれば存分にその姿を記録される事でしょう。いいよいいよーこっち視線頂戴!!
なお。温度感知機能があるのか、隠れている人とかを見つけやすい傾向があります。
隠れてるなんてダメだからね! 絶対見つけてみせるよ、このZSO君は!
(とはいえあんまり高性能ではないので上手くやれば撒けるかもしれません)
●依頼主
実はこの企画を支援している出資者達は!! なんと幻想の貴族だったのです!!
貴方はこの事に勘付いても構いません。或いはどこから情報を得ていて知っているという事も……? しかもこの貴族達、バルツァーレク派らしいです……という事はですよ? 今度のパーティとかの交流会があった時にですよ? 情報が流れるとかそういう事は十分に想定されることで(以下略
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
皆さんの今回の記録は絶対に情報として流れます。よろしくお願いします!!
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