シナリオ詳細
大神秘ツルペタストーン争奪戦
オープニング
●
――ある所に伝説がある。
『鉄帝はマッタイラ山脈。
平原と見まごうほどの起伏なき山脈の更に秘境たるユメナイ山。
かの地には他に無き二つの魔石在り』
一つ、滑らかなる板の如き平坦なる白き魔石、ツルンストーン。
一つ、垂直にそびえ立つ絶壁の如き黒き魔石、ペタンストーン。
それらはいずれも美しき至高の神秘を携えており。
この二つを手に入れた者は女性の象徴たる胸に祝福を与えるという……
「ほんとかなぁ」
誰かが言った――胡散臭いと!
なんだか似たような湖の話を聞いたことがある様な気もするし、今回もデマの類なのでは……? しかしもしも伝説が事実なら、それらの魔石は今だけ神秘を宿しているらしい。次に魔力が溜まるのは一年後か十年後か百年後か……
今この時に向かうしかないのだ――だからと。
まず採掘に乗り出さんとしたのはこの三銃士!
一人目は皆を燃やすやべーやつ! ナイチチチャッカウーマン炎堂 焔!
「こ、これは違うんだよ! ボクだってあんなに燃えるとは思っていなかったんだ!」
二人目は梅干し顔が超キュート! まな板ゴリラハーモニアフラン・ヴィラネル!
「なんて??? 今紹介なんて言った??? ねぇ???」
最後は巨乳じゃねえかてめぇ! 強欲のマウント姫騎士シフォリィ・シリア・アルテロンド!
「えっ、私は普通ですよ普通!!」
こいつだけは許されない。が、ともあれ目的地は一つ。マッタイラ山脈の更に先にあるユメナイ山だ。
マッタイラ山脈は平原の如き場所で天候も穏やからしいが――非常に頑張って歩かなければならず、その時点でかなり厳しいそうだ。そうして苦労して辿り着いても、ユメナイ山は天候荒れ狂う場所で……そして非常に幅が狭い道を通らねばならぬのだとか。まぁスリムな人なら余裕だろうけどね。ね。
ともあれ! 色んな意味で難しさが存在している訳だ。
「でもとにかく手を取り合って攻略しないとね!」
「うんうん、ここだけは譲れないからね……絶対入手を目指して頑張ろうね!!」
「えっ。そこまで必要ですかねこの魔石?」
やはりシフォリィだけは許すまじと焔とフランは決意するものだ――
――しかし。誰もが意図して語らぬ一つの事実が実は存在していた。
それは……実は魔石は非常に希少であり、何個もは採取できないという事。
入手できるのは精々どちらも一つか二つぐらいかもしれないという事。
――つまり。
「ふふふ」
「ふふふ」
魔石の神秘を手に入れたいなら……骨肉の争いが繰り広げられるのだ……!
握手しながらもその思考の片隅では常に『どうやって入手するか』を巡らせている。流石にガチバトルする訳にはいかないが、足を引っ張るぐらいなら……! そう、ちょっと後ろからコツンとして気絶してもらうぐらいなら……!! どうにも山には悪戯好きの山ウサギというのが出てくるらしいし、ソイツらの所為にすれば……!!
誰かの笑みが溢れている――手に入れるのは私だと、そう言っている様な――
ともあれまずは山に向かわなければどうしようもない。
行こう。かの地へ――!!
歩みを始めるイレギュラーズ。道中で作戦を立てようと、そう考えていれば……
「……むきゃむきゃ」
彼女らの背後には、謎の気配を醸し出すリリファ・ローレンツ(p3n0000042)がこっそり付いてきていたとか……
- 大神秘ツルペタストーン争奪戦完了
- GM名茶零四
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年07月30日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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かつて『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は深緑の伝説ぺたん湖とかペチャのパイとかを求めた事がある。でもねハズレだったんだ。やっぱり深緑はダメだよ! 時代はパルスちゃんのいる鉄帝だね!
「こっちの噂は真実の筈……うん! なんとしても皆で一緒に協力して見つけ出さないとね!」
「そうだね! あたし達の夢は……鉄帝にあったんだね!
ここにいる八人皆で『協力』して手に入れようね! ね!」
きゃっきゃうふふ。『青と翠の謡い手』フラン・ヴィラネル(p3p006816)も同じ気持ちで和気藹々だ――
しかしその表情の薄皮一枚下では想像を絶する陰謀が渦巻いていた!
貴重な魔石なんだから探すの『は』協力していこう。探すの『は』ね。
――でも見つけた後は知ったこっちゃないんだよ。うふふふふ!
「不思議な魔石もあるんだねーでも本当にそういう効果があったりするのかなー?」
「お胸は……女の子の魅力のひとつ……大きいのが夢の人も……いる……?
でもアリス……そういうのよく分からない……なー……」
邪悪な陰謀と私欲が渦巻く中『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207)は魔石の効力が真実なのか思考しつつ、同時に『泡沫の胸』アリス・アド・アイトエム(p3p009742)は水面下の攻防を遠目に見ていた――
様に見える、が。
「ぜんぜんっ……ぜっっ……んぜん興味……ない、なー……ぴー……ぴょる、ぴー……」
目を逸らしてわざとらしく口笛吹いてる……! こ、こやつ実は興味ありまくりだ!!
「希少な魔石、ですか……うーん……正直私はそこまで必要ではないですが、でも貴重なモノらしいですし、欲しい物は欲しいですよ」
折角ですしね、と述べるのは。許されざるべき存在――焔やフラン、アリス達とは違う、『一部分』の自己主張が明らかに激しい――『白銀の戦乙女』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)だッ! と、その時。
「うお――覚悟なさいシフォリィ!! 貴方の命はここで天に召されるのですわッ――!」
「わ、ヴァレーリヤさん何を!!」
シフォリィが感じた闘志は背後にいた『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)であった! 彼女は振り上げていたシャベルを振り下ろしシフォリィを強襲――ッ!
間一髪で躱すものの胸部を僅かに掠めてしまった。くっ! もう少しボリュームが少なければ余裕をもって安全だったのに!
「何を? 知れた事ですわ! 実在するかどうかも分からない魔石を探すより、貴女を此処で始末すれば確実にヒエラルキーの一歩上に近づけるのでございますわー!」
「ふふふ! その通りだよ! だからシフォリィ君、覚悟したまえ!
よく分からないけどなんとなくヴァリューシャが正しい! さすヴァリューシャ!!
だから――君にはここで山の藻屑となってもらおう!」
いきなりイレギュラーズ同士の内乱勃発。そこへ『雷はただ前へ』マリア・レイシス(p3p006685)もヴァレーリヤを称えながら参戦を果たした!
まずい。このままでは魔石に辿り着く前に直接ファイトとなってしまいそうだ。故に!
「ヴァレーリヤさん落ち着いて下さい! これ家から『一本』持ってきたヴォードリエワインなんですけれど如何ですか? 景気付けにまずは一口飲んで落ち着いて話し合いを」
「えっ、これをくれますの? ありがとう! ああ私、これまで貴女を誤解していましたわ! 正に天女が如きシフォリィさん、いえシフォリィ様になんてご無礼を……帰ってからの高級ワインも楽しみにしていますわね!」
「ふふ! ヴァリューシャにお酒とは分かってるじゃないか……! どうやら私も君を誤解していたようだ……! 君には5000兆VDMポイントをあげよう! さぁ何をしてるんだ! 偉大なるシフォリィ君のお通りだよ! 道を開けたまえ!」
「あっさり買収されてる――!」
ものの二秒で怨敵は称えるべき同盟者となりシフォリィ、ヴァレーリヤ、マリア連合軍が此処に誕生するッ! 思わぬ一大勢力の誕生にフランは叫ぶものだが、しかしまだ探索の旅は始まったばかりだ! まだまだ道中で隙は幾らでも!!
「えへへ……そうだね、お酒はいいものだよ……飲めるなら飲む?
景気づけに……いっぱい飲んだらきっと……成功する……から……!」
「あらあらアリス様もお酒を! あぁなんと女神の多い世界な事か……!」
「……! そうだよヴァレーリヤちゃん、さぁもっと飲んで飲んで!!」
更にお酒を持ってきていたのはアリスもだ――皆買収目的が多すぎるぞ! しかしヴァレーリヤは案の定だし、だから焔はもういっそのこと逆に『勧めて』やるのだ。
――酒で買収される者を、アルコールで潰す為に! 酒を止めれぬなら溺れさせるのだ!
「ははは――こりゃ予想以上に熾烈だよなぁ、オイ」
そして。それらの状況を唯一俯瞰できていると言えるのが『雨夜の映し身』カイト(p3p007128)であった――この場で唯一の『男』である彼にとっては流石にツルペタストーンの魔力など興味がない。いやもっと言うとなぜ男である己がこの場に付いてきてしまったのかという疑問もあるにはあるのだ、が。
「まぁいいかいいか――これから面白い事になりそうだしなぁ、リリファ?」
未来に思いを馳せつつ、ふと向く後ろ。
その視線の遥か先には隠れる様に超速度で動く――妙な影があった気がしたむきゃあ。
●
さて。『仲良く』進行中。だがマッタイラ山脈を抜けユメナイ山へと至れば。
「うう、うぐぐー! そ、そんな! どうしてこんなに道が細く……!
ヴァ、ヴァレーリヤさん助けてください! 手を、手を――!」
なんとヴァレーリヤらを味方につけたシフォリィが――途上の道に苦戦していた! それは道が狭い故にシフォリィでは色々と『引っかかって』しまうのだ。逆説的に言うとここを通れているのは……
ともかく。助けてほしいと手を伸ばし――
「うっうっ、ごめんなさいシフォリィ。酒質を取られてしまいましたの。本当は最後まで守りたかったのだけれど、貴女よりも良いお酒を沢山くれるって言うから……だから仕方がないのですわ……それにお酒の切れ目が縁の切れ目と言いますしね」
「ええっ!? でも、帰ればもっと沢山のお酒も――」
「ああ。シフォリィ宅の保管場所は把握していますので、安心してくださいましね」
どう安心せよと!!? 身動きとれぬシフォリィにヴァレーリヤとマリアは――
「おお、主よ。どうかこの罪深き者に安らかな眠りをお与え下さい……さっ行きましょうか!」
「すまないね……シフォリィ君……ヴァリューシャがジャスティスなんだ……私も猛虎の神に祈ってあげよう……運が良ければきっと君に救いの手が伸びる筈さ……うん! 行こうかヴァリューシャ!」
共に(マリアは横目で見ながら動作を真似する形で)十字を切る。
ふふん。これで悪は滅びた! あ、でもその前にと取り残されるシフォリィに近づくのは。
「あっフランさん焔さん! お願いですどうか助け」
「いいよ。助けてあげようか――摩擦でもげるかもしれないけれど、仕方ないよね」
「うんうん! ほらどうしたの? 手を伸ばしてよ。
大丈夫思いっきり引っ張ってその駄肉を削り落としてあげるからさ」
「フランさん!!? 焔さん!!?」
全然目が笑ってないフランと焔であった。
血走る目がめっちゃこわすぎて思わず手を引っ込めるのも道理。『大丈夫! ちょーと痛いの我慢すれば通れるよ!』なんて言ってるけれど怖い!
「はー……そういえばシフォリィ先輩にしろアウローラ先輩にしろ、暴風でおむねが大変だね! こちとら隙間風がぴゅう、揺れるものもなく歩きやすいよ! あはは! はははは! ――ねっ?」
「ひ、ひぃ!? その視線をアウローラちゃんにも向けるのはなんでぇ!!?」
ガタガタ。唐突にフランに視線を向けられるアウローラは辛うじて前へと進み、彼女の視線から逃れんとする――まさか己も『悪意』の対象に入りそうとは思っていないようだが、しかしなんらか危険な気配を察知したのか彼女も急ぐものだ。
この旅の達成の為に。そう、魔石を手に入れる為に――!
「はっ! ボクは今何を……そうだこんなのより先に進まないと! よいしょっと」
直後。アウローラの様子を見ておむねありし者への復讐よりも魔石の入手を思い出した焔はスムーズに洞窟の中へと進んでいく。壁に引っ掛からず進めてよかったね焔ちゃん。ともあれ脱落するシフォリィを置いて一同は更に奥へと進んで――
「ううっ、狭い道も洞窟も……アリス平気……理由はわからないけど……!
全然っ理由はわからないけど……! 平気だよ……!」
同時。更に狭くなっていき匍匐前進しながら通るのはアリスだ。いやぁ、全く抵抗を感じず進めるなんて、運が良い! そう、これは運が良いのであってなんらか物理的な理由では……
自らに言い聞かせる様に呟き続けるが、その度に眼が死んでる気がするアリス!
「げっ、クソ! 流石にこれ男の俺が通るのも大分苦労するな……!
うぉー! だがここまで来て諦めきれるか!
スムーズに通り抜けられてる奴だっているんだからな――!!」
だがここまで来るとカイトも厳しくなってきた。男の方が体格的に大きいのだ――そりゃあ骨格的に引っかかっても仕方なくて。それでも自らの体系を極限まで細くする技能を用いて前へ前へ。
「――だって面白そうな場面を見れないなんてイヤじゃん! 俺は絶対見るぞ!!」
邪な気持ち全開だコイツ!! でもそれでもこの旅の結末だけは――絶対にッ!!
誰もかれもが進んでいく。各々の想いを胸に……
そして――遂に待望せし目当てと出会うッ――!
「あ、った……! これが噂の魔石、ツルンストーン……!?」
いの一番にその魔石の下へと辿り着いたのはアリスであった。
体格的優位に加え自らのギフト――粘液を繰り出す事の出来る――その力によって狭い場所も滑りやすく進んでいたのだ……! ふっ、こんな事もあろうかと皆に酒を振舞っている間に己は経口補水液で補充していた作戦勝ちでもある! とはいえ魔石はペタンストーンもあり。
「あったー! あったよヴァリューシャ、きっとこれが魔石だね――!
ふふ! 虎は無敵!! 私達に掛かれば魔石だってすぐ見つけ出してしまうのさ!!」
「やりましたわねマリィ! ひゅー、悪は必ず滅ぶ!
善である私たちが必ず勝つのでございますわー!」
そちらの方はマリアとヴァレーリヤがどうやら見つけた様であった!
近場の精霊に力を借りたが故かスムーズに見つける事が出来たようで――やったぜとばかりに祝って乾杯かんぱーい! もはやこの場は打ち上げムードである。
――だからこそ彼女たちは一瞬気が付くのに遅れたのかもしれない。
或いはアリスやシフォリィによって事前に振舞われたアルコールが彼女ら危機察知能力を鈍らせていたか。普段であればその背後より迫る――
圧倒的な『闘志』を見逃すことは無かったはずだ!
「うぁ!! あ、貴方はフラン!! う、裏切りましたのね!? この卑怯者!
一度した約束を反故にするなど……マトモな人の所業ではありませんわ!
天罰が下りますわよ!!」
「えっ? 何を言ってるの――? これはね山ウサギが混乱を仕掛けてきただけだよ?」
全力全霊で邪悪を滅ぼす光を放つはフランであるッ――!!
この付近に住まう山ウサギたちをけしかけて、それと同時にてやー! と全力。どう考えても『鏡見ろ』案件である邪悪極まるヴァレーリヤには特大の効果を齎したのか、彼女の身がたった一撃でフラフラと揺れている様だ――! もしかするとアルコールの接種し過ぎが原因かもだけど。
「そんな……どうして、ひどいじゃないかフラン君! こんな騙し討ちみたいな事! 私達仲間だったじゃあないか! それにヴァリューシャと私が一体何をしたって言うんだい!? こんなことは許されないよ!」
「先輩の胸に聞いてみたら?」
まぁ誰も彼も胸はないんですけどね。HAHAHA! ――おっと。
ともあれ奇襲に成功したフランは満身創痍のマリアの手からペタンストーンを取り上げる――ふふふ――
「わあああ!! ちょっとちょっと!?
なんでアウローラちゃんが狙われなきゃいけないの!?
アウローラちゃんは魔石をもってないよー! 聞いて止まって――!?」
その瞬間、別の方から響いてきた声は――アウローラか!?
「ふふいいぞリリファー! 魔石を持ってるぞ、それ行け――!」
「むきゃきゃ――!!」
「持ってないよー! そ、それ以上追ってくるなら怪我しても知らないよ!!」
どうにもカイトがリリファに囁いて場をかき乱そうとしている様だ――! くっ、リリファを言葉巧みに操って何という事を! 斯様な事態に対しアウローラは遂に魔力を収束して……
いやちょっと待ってこんな狭い洞窟で魔力なんて放ったらッ――!
直後。洞窟に瞬き貫く魔力の閃光が地鳴りを轟かせた。
崩れる! 直感した皆はとにもかくにも脱出を目指して!
「うぉ、なんだめっちゃ滑るんだが――!?」
「ふ……ふふ。まさか……こんな場面で……罠が作動する……なんて……ね!」
だがカイトの足元が滑って上手く走れない――
それはアリスが撒き散らしてきた粘液によるものか……!? 上手く進めぬ。まさかこんな形で作動するとは思ってもいなかったが、とにかく出口を目指して今は走らなければ――!
「さぁ。待っていましたよ皆さん」
しかしそこに立ちはだかったのはシフォリィであった!!
馬鹿な。彼女は一番に脱落した筈――しかしそれは只の計画。
実際は誰しもが通るであろう帰り道にて精霊爆弾やお酒樽(通称ヴァレーリヤ獲り)をゆっくりと準備していたのである――ッ! 皆が頑張って掘りしツルペタ石を座りしままに得ようとしたのだ、なんたる巨悪!
「さぁそれを渡してください――ああ後で売って差し上げますよ?
元々希少価値のある鉱石です。需要は沢山ありそうですしね!」
「くぅ! これは仕方ないからカイト先輩を盾にシフォリィ先輩を倒すしかないね」
「え。今なんて言った? 今なんかすごいナチュラルに俺が生贄の話進まなかったか?」
尊い犠牲だから仕方ないのだと、フラン達がカイトを見据えて彼を前面にシフォリィを攻略――! しようとした瞬間に完全に崩落が始まった。あっ――!!
音を轟かせ崩れる洞窟。
皆が辛うじての所で滑り込む様に出口へと出れば――
「うっ、うぅ……こんな……お胸で女の子の争いが起こるなら……
ただただ……こんな感じの争いを起こすだけなら……
もうこんなもの……必要ない……!」
「あっ! アリスちゃんダメだよ待っ、やめ――!」
胸に潜ませていたツルンストーンを取り出すは、アリスだ。
しかし焔の制止も聞かず、彼女は――一撃で魔石を叩き砕いた。
争いを呼ぶこんな魔石などになんの価値があるというのか! まぁ自分も結構積極的に独占しようと粘液撒いてたり動いてた訳だがそれはそれとして。
同時。ツルンストーンが粉微塵になったのに呼応して――ペタンストーンも砕け散る。
なんだこれは、片方が壊れれば片方も崩れる様になっていたというのか――!? あああああ! という誰かの叫び声が聞こえるが、しかしこれで争いの火種はなくなった。
「はぁ……でもきっと、これでよかったんだよね。
何だか前の魔石探しと比べると凄い疲れたなぁ……」
へたり込むアウローラ。かつての探検を想起しながら、なんだか疲労が凄い気がすると。
しかしお胸大きい組の中でもアウローラはともかく、まさかシフォリィまである程度欲していたとは――まぁあまり強く欲していた訳ではなさそうだ、が。と思っていたら。
「あっ欲しかったのはホントですよ? 胸は大きくて悪い事はありませんからね!
でも実はですね! この間測ったら1センチほど大きくなってたんです!
ええ、まぁですので、その……増えてたから必死に集めなくてもって……」
「はっ?」
「はっ?」
「むきゃ?」
膨れ上がる殺意。と同時に、怨敵の発言に気づいたリリファが瓦礫の下から突如出てきて。
「あっ、リリファさんなんでここに!? もしかして今の話聞きました!!? でも誤解しないでくださいね! 本当は私だって大きくしたいんですよー! やっぱり大きいのって、夢があるじゃあないですか! 私も出来ればもうちょっと」
「駄目だこの強欲マウント姫騎士だけはやっぱりここで滅ぼそうね皆――!!」
きゃあ何をするんですか焔さん――!
襲撃されしシフォリィ。今度こそガチ目に削いでやろうと追い立てられて。
「あーちなみに皆。ここまでの全部瞬間的に記憶したんで。
――『実録ツルペタストーン捜索隊』って本にしてもいいか??」
さすればカイトがなんかのたまったぞぉ?
じりじりと、後ろに下がりながら言葉を紡ぐカイト。そして――
「はははははは!!」
「逃がすな、追え――!!」
脱兎の一手! おのれかき回しに来た男めが――むきゃ――!!
――しかし砕け散ったツルペタストーンではあったがその欠片ぐらいはその場に残っており。
いつの間にか各人の手の内に――あったかとかなかったとか。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
なんて不毛な戦いだったんだ……!
MVPはこのラグナロクを収束させた貴方に――!
ありがとうございました!
GMコメント
リクエストありがとうございます!! ふふふ。
それでは以下詳細です!!
●依頼達成条件
マッタイラ山脈を越えた先にありし、秘境たるユメナイ山――
そこにある、白き魔石、ツルンストーン。
黒き魔石、ペタンストーン。
両方を入手せよ!!
●フィールド
鉄帝に存在するマッタイラ山脈、更に秘境たるユメナイ山。
皆さんにはこれらを攻略してもらいます――
マッタイラ山脈は一見すると平原かの如き場所です。が、一応山ではあるのだとか。
大分頑張って歩くと、本当に頑張って歩くとユメナイ山が見えてきます。
……ユメナイ山は非常に激しい暴風が吹き荒れる地です。
飛行よりも歩いた方が安全かもしれません。
一応道っぽい道があるにはあるのですが……途中から非常に幅が狭くなってきますです。あと道中非常に狭い洞窟も存在しています――まぁスリムな体の人だったら通るのに問題はないと思います。ええ。スリムな体の人なら。
ともあれ洞窟を攻略した先には魔石があります……!!
洞窟内をちょっと探検する必要はあるかもしれませんが、あと一息! がんばろうね!
あっ。そういえば『山ウサギ』という可愛らしい兎型の妖精が出てきます。
彼らは悪戯好きで歩行者に軽く接触してくるのだとか……
戦闘能力の類はないので安心していいです。他に魔物とかは出てきません。
●白き魔石、ツルンストーン。
●黒き魔石、ペタンストーン
白き魔石と黒き魔石。
これらが双方揃うと超神秘的な効果によりおむねに影響があるのだとか……
その真偽は実際に集めてみなければ分かりません。
なお。採取するとすぐ分かると思うのですが、どちらの魔石も希少でありそんなに大きくはありません。つまりどう考えても全員分はないです。
もしかすると貴方『だけ』はこの鉱物が希少であるのを知っているかもしれません。
……皆と仲良く行動していたら自分の手中にはないかもしれませんね。
…………さぁ! 最終的に一体誰の手に渡るのかな、ファイッ!(カーンッ!)
●つまり?
この依頼は!! ハイ・ルールに違反しない程度に争奪戦を繰り広げる依頼です!!
ていうかそもそも皆で山に行ってみよう、という形なので形式上依頼なのかどうか。ともあれ難易度イージーですし、お察しください。仲良く骨肉の争いを繰り広げましょう。
山ウサギに気を取られてる内に背後を……なんて……
●リリファ・ローレンツ(p3n000046)
こっそり付いてきてる人です。
その目的は不明……不明だって言ってるでしょ! むきゃあ!!
途中で謎の影として襲い掛かってくるかもしれません。むきゃあ。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
おい誰だおむねのサイズか? っていった奴は。ちょっと後で屋上来なさい。
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