PandoraPartyProject

シナリオ詳細

鏡写しのあなた

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ヒトリゴト
 鏡のワタシ。
 鏡の外のワタシ。

 ワタシは偽物?
 偽物は嫌。本物がいい。
 どうして本物になれないの?
 それはもう本物がいるから。

 外のワタシを倒したら、ワタシはきっと本物になれる。

 そうして本物になろうとしてやっぱり気付く。
 ワタシはこの人には、本物にはなれない。
 悲しくて、偽物(鏡)に戻って。

 それでも──本物を夢見るの。

●魔法の鏡
「皆さんにはこれを壊してほしいのです」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3p000003)が箱から取り出したのは布に包まれた何か。
 どうやら1人1つあるらしい。
 手渡されたそれは小さいながらずっしりと重みがある。
「あ、ここで開けちゃダメですよ。惨事になるのです」
 布を取ろうとしたイレギュラーズがその言葉を聞いて手を止める。
「一体、これは何なんだ?」
 1人が問うと、イレギュラーズの視線がユリーカへ集まった。
「これは……魔法の鏡なのです」
 真剣な表情でユリーカが語り始める。
 近頃、幻想(レガド・イルシオン)では猟奇的殺人事件や町民の蜂起などの事件が多く起こっていた。
 それらに紛れて、些細な事件も勿論起こっている。
「これは映した人に変化する鏡で、変化するとその人を倒して本物になろうとするのです」
 いつの間にか商品に紛れていた、どこにでもある変哲もない鏡。
 購入した女性が変化した鏡を見て悲鳴をあげる。
 覗きこんだ男が自分そっくりな男と戦って怪我をする。
 入手した情報に共通するのは『覗きこんだ人のそっくりさん』だ。
「誰が作ったのかも、なぜ作ったのかもわかりません。けれど、被害に遭った皆さんからの情報でようやく鏡を捕まえたのです」
 それがこの鏡、ということのようだ。
「本当はボクが割っちゃおうと思ったのですが……」
 ちょっと貸してくださいね、とイレギュラーズに渡したうちの1つを手にし、ユリーカが取り出したのは木槌。
 鏡をテーブルに置き、木槌を躊躇いなく振り上げる。

 カーーンッ!!!

 甲高い音に思わず目を瞑ったイレギュラーズ達。
 けれど「あれ?」と呟いた声も。
 鏡やガラスが割れる時は『パリーン』ではないだろうか。しかし今の音は割れるというより、金属を打つような──。
「……このように、割れないのです」
 ユリーカの声に視線を向けるイレギュラーズ。
 触ってみますか? と言われて触れた1人が「本当だ!」と目を瞬かせた。
「木槌だから威力が足りないわけじゃないのです。どんな攻撃をしても、鏡のままだと壊せませんでした。だから、皆さんに戦ってみてほしいのです」
 もし変化した状態で倒せば壊れるのなら、それで解決する。
 それでも壊れなければまた方法を模索しなければならないが──その状況になってからまた考えればいいだろう。
「鏡写しの偽物でも、強さは皆さんと同じはずなのです。どうか気をつけてくださいね」

GMコメント

●成功条件
 半数以上が鏡映しの偽物を倒す

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 描かれていること全てで言えば情報精度はAです。ただしPL情報も含まれますので、もしPC情報へ落とし込む際はご注意ください。

●鏡
 不思議な手鏡。普通の手鏡にしか見えません。
 鏡自体を攻撃しても壊すことができませんでした。

 それを持った者が自らを映すと、鏡が映った相手をトレースして変化します。
 トレースされるのは装備とスキル(攻撃手段)。性格などはトレースされません。
 また、鏡自体が特異運命座標ではないためパンドラ復活やPPPもしません。
 無表情・無反応で命令された人形のように本物のあなたを倒しにかかります。

●戦闘場所
 空の上、海の中、草原、森。ご自由にどうぞ。
 ただし町の中のような、一般市民に危害が及んでしまうような場所はご遠慮ください。

●PL情報
 鏡写しのあなたを倒せば鏡は割れますし、逆に倒されてしまえば鏡は逃走します。
 また、OP中の『●ヒトリゴト』の部分はPCの知らない部分です。

●ご挨拶
 愁と申します。
 全体依頼相談期間の真っ只中ですね。頑張ってください。

 それはそれとして、あなた達は1人1つ、不思議な鏡を受け取りました。
 そっくりの姿になった鏡はあなた自身と似たような戦い方をするかもしれませんし、全く異なる戦い方をするかもしれません。何はともあれ、戦闘力は同じです。

 それではご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • 鏡写しのあなた完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年06月26日 21時00分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (10人)

フェスタ・カーニバル(p3p000545)
エブリデイ・フェスティバル
リノ・ガルシア(p3p000675)
宵歩
マスダード=プーリン(p3p001133)
金獅子
マヘル・シャラル・ハシバス(p3p001278)
トレジャーハンター志望
サングィス・スペルヴィア(p3p001291)
宿主
エルメス・クロロティカ・エレフセリア(p3p004255)
幸せの提案者
ニア・ルヴァリエ(p3p004394)
君が居るから
天音 白雉(p3p004954)
極楽を這う
ミラーカ・マギノ(p3p005124)
噛みカワ★ママギノ
紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)
戦神護剣

リプレイ

●観客のいない舞踏会
「こんなにお強く美しい女性と共に戦わせていただけるなんて嬉しい以外にありませんね」
「あら、嬉しいこと言ってくれるわね」
 『忘却信仰忘却』天音 白雉(p3p004954)の言葉に『撃墜王(エース)』リノ・ガルシア(p3p000675)は目を細める。
「表情豊かという言葉の欠片すら持ち合わせがございませんが、大変愉しく思っておりますよ」
 誰も見ていない舞踏会の幕開けです━━白雉はそう告げて、鏡を覗き込んだ。
 同じように覗き込んだリノの鏡も淡く光り始め、それはやがて2人の形へ。
「あら、あっちの白雉もかわいいカオしてるじゃない」
 偽物白雉の姿を見てリノはそう述べる。だが、当の白雉は淡々とした反応だ。
「余り感慨はありませんね。前に立つというのなら、砕く以外の選択肢がありません」
「折角だし楽しみましょうよ、こんな機会なかなかないわ」
 小さく笑ったリノは平野の土を蹴り、一瞬にして偽物リノの背後へ回り込む。
 斬り付けられた偽物が振り返るが、本物はもうそこにいない。
「笑い方のひとつも知らないで私の顔してるなんて、ひっどい宝の持ち腐れよね」
 その声にまた振り向くと、リノは実に美しく笑ってみせた。
 両手にそれぞれナイフを構えた偽物リノは舞踏のような足運びでリノへ斬り付けにかかる。四肢に朱を走らせながらもリノは跳び退いて距離を取った。
 それを追いかけようとした偽物リノは、背中に熱をぶつけられよろめく。その炎の術式の先で、白雉が偽物リノを見つめていた。
「……白雉!」
 白雉へ向かう炎にリノが声を上げた。はっとそちらを向いた白雉は危なげなく回避し、リノの横へ立つ。
「……リノさんの偽物からなのですね」
「ええ。厄介さは私自身がよぅく知ってるしね」
 ウィンクしてみせるリノに白雉が頷く。
「わかりました。数を減らすことに注力しましょう」
 偽物リノの踏み込みに両脇へと回避する2人。傷を負いながらも偽物リノを狙ってダメージを与えていく。
「私以上に私らしい女って居ないのよ、お生憎様」
 鏡へ戻っていく鏡へそう告げて、リノは偽物白雉へ視線を向けた。
 ノーマークだった偽物白雉は本物を倒すことに執着しているようで、1人になっても変わらず攻撃を白雉へ向ける。
 リノは白雉の前に立つと腕を交差させて焔をガードした。
「ありがとうございます、リノさん」
「どういたしまして。あちらのアナタも中々厄介な攻撃してくるわねぇ」
 美しいナイフをそれぞれの手に握ったリノは婉然と偽物白雉へ笑いかけた。
「━━さあ、踊りましょうか?」

 偽物白雉の割れる音は、とても澄んだ音だった。
 それは偽物リノが割れる際は戦いの音に紛れてしまっていただろう音。
 その音を聞いて、白雉がそっと目を細める。
 リノは2つの割れた鏡のうち、自分に化けていた方の鏡から大きな硝子片を拾い上げた。
「笑い顔のひとつでも覚えたらいいわ、毎日微笑んであげるから」
 硝子片に映るその笑顔は、美しい。

●其は同類か
 『宿主』サングィス・スペルヴィア(p3p001291)は攻撃の手を振りほどいた偽物に目を眇めた。
「卑怯だなんて言わないわよね?」
 これは戦いだ。卑怯も何もあったものではなく、隙を見せれば攻撃が飛んでくる。
『……反応がないな』
 呪具━━サングィスが窺うような声を上げる。
 偽物は表情を変えることもなく、卑怯だと罵ることもなく。
 反応自体が、ない。
『くるぞ、スペルヴィア』
 サングィスの言葉と共に、偽物が地面を蹴る。横から向かってきた蹴りを腕で受け止め、スペルヴィアはその足を掴んだ。
 触れた面から流れる魔術が偽物を破壊しようと体内で暴れ出す。
 スペルヴィアの手を振りほどいた偽物は跳び退き、深く呼吸をする。
 全身に見え始めていた傷が癒えていく姿に、スペルヴィアは小さく零す。
「……サングィスの同類かしらね?」
『対象の姿を真似るところを見るにその可能性はある』
 複数の鏡は複製、あるいは本体へと繋がる端末の役割かもしれない。
 いずれにせよ、取り込める可能性があるのなら試してみる価値はありそうだ。
 スペルヴィアは再びその体を破壊すべく向かっていった。互いに傷つき、癒し、その間に言葉を交わそうと試みる。
 様々なモノと戦えど、自分と戦うなんて早々ないことだ。膝をついても魔術の展開ができなくなっても、スペルヴィアは心の底からこの戦いを『楽しい』と感じている。
「そろそろだんまりはやめて、名前でも教えなさいよ」
 スペルヴィアの言葉に、偽物が反応を返さないのは変わらない。
『名を持たぬのかもしれないな』
「じゃあ、化身の魔鏡とでも言わせてもらおうかしらね」
 サングィスの言葉にスペルヴィアはそう返した。
 スペルヴィアは自身の偽物ではなく、化身の魔鏡という1つの存在として認めているのだ。
 魔鏡の攻撃を躱し、流れる液体金属で強化された蹴りを放つスペルヴィア。
 割れた鏡へと姿を変えたソレへ吸収できないかと手を伸ばす。
『……既に、ただの鏡のようだな』
「仕方ないわね。もし原物が見つかったら、また試してみましょうか」

●おまじない
「フェスタさん、また『おまじない』お願いできないかしら?」
 『頽廃世界より』エルメス・クロロティカ・エレフセリア(p3p004255)の言葉に『エブリデイ・フェスティバル』フェスタ・カーニバル(p3p000545)は「勿論!」と笑顔を見せた。
 手の甲へ落とされたギフト《ハピネスキス》に、エルメスはお返しをする。
「魔女のおまじないだなんて不安にさせてしまいそうだけれど」
「不安? 全然ないよー?」
 頑張ろうね! と手を振って別れる2人。
(ふふ、初めて会った時よりもずっと頼もしく……素敵なお姫様になっていたわ)
 フェスタの背中を見ながら目を細め、エルメスはフクロウを呼び出す。鏡を預けるとフクロウは『任せろ』というようにしっかり嘴で咥えた。
 ただ争うだけなんて、つまらない。
「おいで、私のお友達!」
 飛翔してフクロウを呼ぶと、エルメスは空を飛んだまま鏡を覗き込んだ。
(出てくるのは命を貪る邪悪な魔女か……はたまた初心な魔女か、楽しみだわ!)
 淡く鏡が光り、形を変え始める。
 現れた無表情の偽物に、本物はにこりと笑いかける。
「さあ、地面まで競争しましょう!」
 降下を始めたエルメスに偽物が続く。
(イメージをするの。色んなことをしている……沢山の、私!)
 エルメスに追随して偽物が地に降り立つ。顔を上げた偽物は、つかの間目を瞬かせた。
「あらあら、貴女の姉妹が沢山! 本物は貴女と悪戯魔女だけね!」
 本物『のうちの1人』が言う。
 イメージが追いつかずにぼんやりしている幻影もいるが、何体かは本物に近い。精度が良いのは幸せの口付けを受けたが故だろうか。
 その内の1人に偽物が魔術を放つが、正確に当たったはずのそれは幻が1人消えただけ。
 別の方向から飛んできた同じ魔術に偽物ははっと振り返った。
「ふふ、私を見つけられるかしら?」
 偽物を翻弄する声。偽物が再び魔術を放つと、当たった相手は小さく悲鳴をあげる。
「まあ、見つかってしまったわ! それじゃあ、もう1回ね?」
 エルメスは楽しげに、再び自らの幻術を見せた。

「わぁっ、本当にそっくりだ!」
 フェスタは目の前の偽物に目を丸くする。
(相手が自分なら遠慮なくいけるねっ!)
 新しい武器を試すには丁度いい。
「さぁ行こう【R & B】!」
 紅と蒼の分離盾を構えると、偽物が地を蹴って肉薄してくる。
 その攻撃を盾で軽減し、フェスタは紅の刃で偽物の足元を薙いだ!
「私の動き……捉えきれるかなっ!」
 休む間なく走った蒼の一閃。
 攻撃が止んだ瞬間に偽物が後ろへ跳び退き、深く息をつく。
 しかし。
「休ませないよっ!!」
 フェスタが踏み込み、更なる攻撃を加える。
(回復は考えない。とにかく攻め切らなきゃ!)
 反撃に傷が増えても、1歩引くなんて選択肢はない。
 金属のぶつかり合う音。蒼と紅の軌跡が交じっては離れ、また交じる。
 薙いだ紅の軌跡に地へ膝をついたフェスタは、向かってくる相手をきっと睨みつけた。
(まだ終われない。おまじないもしてもらったし、まだいける!!)
 振り下ろされた蒼の刃を盾で受け止め、フェスタは立ち上がると同時に押し返した。

「貴女と遊ぶのも中々楽しかったわ」
 エルメスは割れた鏡を見下ろして、そう呟いた。
 魔法道具は見ることや作ることもある。だからだろうか。
(懐かしいような、新しいような鏡さんだったわ)
「エルちゃーん!」
 聞こえた声に振り返れば、戦いを終えたフェスタが手を振っているところ。
 傷を負っているものの、元気そうなその様子にエルメスは微笑みを見せた。

●単純明快
「へへ、ようはタイマンだろ? かんたんな仕事だぜ」
 『金獅子』マスダード=プーリン(p3p001133)は何でもないように鏡を覗き込んだ。
 淡く光り、同じ姿をとった鏡をマスダードは上から下まで眺めてニヤリと笑う。
「ほー? さすが俺様。なかなかいい男だな、こうしてみると」
 そう言いながら構えた両手剣は武骨で禍々しい。偽物も同じものを構える様子を見ながら、マスダードは大きく踏み込んだ。
「らぁッ!!」
 力強く振り下ろされたそれを偽物は半身捻って躱す。
(チッ、避けやがって)
 心の中で舌打ちしたマスダード、しかし平静を保つために緩く頭を振った。背を低くして向かってきた刃を避けると、気を良くしたように笑みを浮かべる。
 相手は自分だ。ならば当たるか当たらないか、急所へ届くか届かないかの博打である。
 ブン、と風を切る音と共に肉へめり込む感触。偽物がたたらを踏み、後退する。
「逃げんじゃねぇ!」
 間合いを詰めて剣を振り上げると、再び躱される。同時に傍から向かってくる影を視認し、マスダードは跳び退いた。
「……チッ」
 肩へ手を当てると僅かに血が付着する。だが、軽い傷だ。
(博打ってのはこうでないとな。それに、)
「━━本物が、偽物に負けるわけねーだろ!」
 その刃は、袈裟懸けに相手を斬り伏せた。

●魔女の支配領域にて
(……コピーするのは攻撃魔法だけじゃないのね)
 片目を瞑り、『ツンデレ魔女』ミラーカ・マギノ(p3p005124)は使役していた猫から鏡の様子を観察していた。ミラーカの姿を模した鏡は、ちょうど猫の隠れた草むらの近くに立っている。
 隠れてもミラーカを探している様子。そして先ほど鳥を使役して飛ばした理由。
 やはり狙いは『本物の』ミラーカだろう。
 ミラーカは開いた片目で空を仰いだ。
 木々の密集しているそこは、空から見下ろすことは叶わない。
 鏡の使役した鳥は木々より高い場所まで飛んで行った。少なくともすぐに見つかることはない。
 冷静に状況判断をしていたミラーカ。その表情は徐に笑みへ変わる。
(魔女が真正面からぶつかり合うのはスマートじゃないわ。その隙に頭を使うのよ!)
 戦闘場所として森を選んだのも、魔女が住まう地━━魔女の支配領域が故。
「式神召喚! 『魔女』!」
 適当な持ち物を式神へ変化させる。その姿はミラーカそのもの。
 姿の模倣だけなら鏡の専売特許ではないのだ。
「悪いけど、囮を頼むわね」
「わかったわ」
 式神が頷き、木々の間から出て行った。
 ミラーカは式神と別のルートからゆっくりと接近し、自らの視界に偽物を映す。
(今だ!)
 式神が攻撃を受けたタイミングと同時に魔力を放射したミラーカ。それは偽物の肩を打ち、腕を使えなくさせる。
 偽物と視線が交錯し、ミラーカはハッと焦りの表情を浮かべた。
「しまっ━━」
 打たれ弱いことは誰より自分が知っている。一撃必殺でなかった以上、このまま魔法の撃ち合いは分が悪い。
 撤退しようと踵を返したミラーカへ、発動された遠距離術式が飛来した。

●根比べ
「ここなら邪魔も入りやしない。……盛大に楽しもうじゃないか」
 無人の荒野で『水面の瞳』ニア・ルヴァリエ(p3p004394)と『砕き、狩る者/世界を放浪する刀』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)は鏡を覗き込んだ。
 淡く光り、姿を変えた鏡。
「……鏡写しのドッペルゲンガー、か」
「不思議な鏡があったもんだ」
 強化魔術を施しながら呟く紫電にニアが頷き、1歩前へ出る。
「あたしはニア・ルヴァリエ! アンタらとは違う━━『本物』さ!!」
 その名乗り上げに、紫電とニアの偽物が視線をニアへ向ける。
 その様子を紫電は眺め、観察していた。
(物を言わず、無愛想で感情が見られない……いわば、戦う機械か)
 トラウマを抉ったり、精神的に追い詰めるような悪趣味なものでないだけ楽だろうか。
 しかしイレギュラーズである自分達と同じ能力を持つ相手。油断はできまい。
 ニアのシールドバッシュに続き素早く肉薄した紫電。
 緋色の大太刀は鏡写しのそれと交わり、視線も一瞬交錯する。
 偽物ニアのシールドバッシュもまた、ニアの盾でもって防がれる。
「あたし、ここまで無愛想かい?」
 笑ってごらんよ、と言いたげにウィンクするニア。けれど偽物の仏頂面は変わらない。
「やれやれ、こうも無表情だとやり辛い……ね!」
 盾で押し返し、ニアは変わらず標的を偽物紫電へ定める。紫電も同様だ。
 しかし、名乗りの効果が薄れてくれば敵は違う。名乗り上げていたニアから━━本物である紫電へ。
 名乗りが毎回効果を発揮するわけではなく、徐々に紫電へダメージが蓄積する。
「紫電! まだやれるかい?」
「ああ……やるしかないだろう」
 背中越しにニアが声をかけると、紫電の立ち上がった姿が視界の端に映った。
 その姿はニアの脇を通り過ぎ、肉薄した偽物紫電を真紅の刃で薙ぐ。
 それが鏡へ戻りはじめた様子を横目に、紫電は偽物ニアへ視線を滑らせた。
 本物のニアと同様、大してダメージを受けている様子のない偽物。こちらの攻撃を躱せているわけではないが、守りが堅いのだ。
(それは本物も同じことだが)
 ちら、と紫電は本物のニアを見る。
 なかなか攻撃の通らないそっくりの2人。ここからは消耗戦だ。
「……とにかく地道に削るしかない。根比べといこう」
「根比べ、か。……望む所じゃないか」
 瓜二つな偽物を見て、ニアは小さく笑う。
 紫電が深く踏み込み振り上げた大太刀。それは偽物のを両断するかのごとく、真っ直ぐに振り下ろされた。
 守りの遅れた偽物ニアはその一閃をくらい、後ろへとよろける。
 ニアの追撃が偽物の腕を掠め、一筋の朱が滲んだ。
 偽物の攻撃を紫電は避け、再び大太刀を振り上げる。
 段々と形勢は傾き━━やがて、偽物は鏡へと姿を変えた。
 偽物のニアだったものへ歩みを進め、ニアは視線を伏せる。
(鏡のあたしは何をしたかったのか……なんて)
 割れた鏡は答えを返さない。問うても意味はないだろう。
「……大丈夫か」
 後ろから紫電が声をかけてくる。
 最終的にはニアも少なからず傷を負っている。それを心配されているのだろうか。
「勿論! 紫電こそ大丈夫かい?」
 にっと笑って振り向きながら、心の中で鏡に告げる。
(楽しかったよ、……なんてね)

●その価値は
「……勿体無いわねぇ」
 背中側から鏡を見ながら、『トレジャーハンター志望』マヘル・シャラル・ハシバス(p3p001278)はぽつりと呟いた。
 ギフト《卓越した目利き》を持つマヘルにはわかる。これは珍しい品だ。壊してしまうのが本当に勿体無いほどに。
「まあ、こういった物への対策も知っておくべきよね」
 目的としていた森へたどり着いたマヘルは、盾とオーブを足元へ置いた。そしてそこから2、3歩離れる。
「準備オッケー……と」
 置いたそれらが映らないよう気をつけつつ、マヘルは鏡を覗き込んだ。
 そして鏡が淡く光り始めたと同時に盾とオーブを取りに身を翻す。それらへ触れた瞬間、背後で何かが光る気配がしたがこちらへ飛んでくることはなさそうだ。
 素早く武装を身につけ、振り返るマヘル。血の沸き立つような感覚と共に、偽物が素手であることを確認して笑みを浮かべた。
 やはり、コピーは『映ったその瞬間の対象』らしい。
 相手が素手で放った衝撃波を容易く躱し、マヘルもまたオーブから衝撃波を放つ。
「私の色、貴女にコピーできるかしら」
 腕でそれを受けた偽物はマヘルの言葉を耳にしたからか定かではないが━━前へと飛び出してきた!
 遠距離での戦闘を想定していたマヘル、回避が遅れる。
 目の前に花火のような眩さと、火傷のような熱さが走った。
「……っ」
 詰められた分だけ後退し、遠術を放つマヘル。飛んだ術式は偽物の肩へ被弾する。
(……そのままの貴女だって十分に価値があるのよ)
 自分の価値に気付けず、他人の価値を奪おうとする鏡。
 だが、自分の価値を━━自分の色を、コピーなんてさせてやらない。
 マヘルは相手の術式を盾で受け止め、再び遠距離術式を展開した。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。いかがだったでしょうか。

 毎日微笑むと告げた貴女へ。アイテムという形で硝子片をお持ち帰り頂いてます。ご確認ください。

 それではまたご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

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