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シナリオ詳細

膝に矢を受けてしまってな

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●我々でなんとかしたいのだが、膝に矢を受けてしまってな
「旅人の諸君よ――頼みたいことがあるのだ」
 R.O.O世界における天義……『正義(ジャスティス)』の一角でイレギュラーズ達は声を掛けられた。
 この世界の調査の為に各地を歩いていたのだが……何事だろうかと振り向いてみれば、杖をついた老人がそこにいて。
「今、この村は危機に瀕している……故に助けてほしいのだ」
「――助け?」
「そうだ、まずはこれを見てほしい」
 言うなり、見せるのは老人の膝だ――服の端をめくり上げたそこには、何やら傷がある。
 剣か? いやこれは刀傷の類ではなさそうだ……傷跡があまりにも小さい。
 何かが貫いた様な跡。これはむしろ。
「そう、矢だよ。実はここ最近、この村の近くに矢を放ってくる魔物が出始めてな……
 ある日全員膝をやられてしまったんだ」
「え、膝を?」
「そう膝を」
 他の場所に一切怪我はないという。
 理由は不明だが、その魔物はどうやら人間の膝だけを執拗に狙ってくるのだそうだ。防具で固めていても何発も打ち込んでくるは、頭とかに隙を見せても意地でも膝だけ狙ってくるとかで……
「ついに衛兵さんまでやられてしまってなぁ……このままでは歩くこともままならん。
 どうか我らを助けるとおもって依頼を――むっ!」
 瞬間。老人が気づいた時には――遅かった。
 彼方より飛来せしは幾つもの……
「な、なんだこれは――枝、いや『矢』か!?」
 そう、矢の雨だ。
 ただし先端は鋭く尖っているだけであり、金属製の鏃が付いている訳ではない――とは言っても鋭く尖ってさえいれば十分な威力をどうやら携えているようだが。これを放ったのは、件の魔物か!?
 咄嗟に跳躍し回避の動作を見せるも――数多の数に、思わず。

「ぐぁ! く、くそ! 膝に矢が……!」

 躱しきれず、膝に矢を受けてしまったッ――!!
 走る激痛。矢が飛んできた方を見据えれば、そこには何やら――人型の存在がいた。
 ただしその全身はまるで木の様であり……ともすれば木々の精霊か何かに見えないこともない。が、こちらに対し敵意があるのは確かな様だ。魔物と見做して問題ないだろう……なんで膝だけ狙ってくるのかはよく分からないが。
「旅人よ、頼む――! 奴らを倒してくれ!
 私も昔は君たちの様な冒険者だったのだが、膝に矢を受けてしまっては……」
 ともあれこれもR.O.O世界における依頼……『クエスト』と言った所だろうか?
 いずれにせよ正確に射撃を放ってくる奴らを無視してここを離れるのも、なんとも難しそうだ。
 仕方ない。これもこの世界の調査の為であれば――奴らをぶちのめしてやるとしようか。

 あっ! また膝に向けて矢を放ってき、やめろコラ! 膝になんの恨みがあるんだ――!

GMコメント

 膝に矢を受けてしまっては仕方ない……!
 という訳で依頼です!

●依頼達成条件
 膝に矢をぶち込んでくる魔物の討伐!

●フィールド
 R.O.O世界における『正義』内のとある村です。
 時刻は昼。特に灯りの類は必要ないでしょう。住民たちは家の中に閉じこもっていますので、特に心配する必要はありません。魔物達は村の外の方に布陣しており、見つけ次第矢を射かけてくるようです。

 また、村の周囲は木々に囲まれています。
 上手くすれば障害物として利用できるかもしれません。

●敵戦力『ウッド・ポーン』×30
 人型ですが、その体はまるで全身『木』で出来ているかのような魔物達です。
 高い命中率から優れた遠距離射撃を放ってきます――が。
 必ず、絶対に、膝だけを狙ってくるそうです。
 理由は不明ですがとにかく膝だけです。頭とか隙があっても狙わないそうです。どうして。
 一方で近接戦闘は苦手みたいですので、どうにかして接近出来れば優勢を取れるかもしれません。

 なお、体が木で出来ているためなのか『火炎系列』のBSに弱いようです。
 火炎系列のBSが付与された際、効果が『二倍』になります。

●備考
 膝に矢を受けると段々『反応』と『回避』のステータスに影響が出てきます。
 が、それはそれとして依頼を受ける段階(OP)で膝に矢を受けてしまったという体でプレイングを書いてもOKです。(まだ反応や回避に影響は一切ないものとします。ただのフレーバーです)

※重要な備考
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 膝に矢を受けてしまってな完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月31日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフルハンマ(p3x000319)
冷たき地獄の果てを行くもの
那由他(p3x000375)
nayunayu
神様(p3x000808)
R.O.Oの
リースリット(p3x001984)
希望の穿光
■■■■■(p3x007903)
リデル
ベネディクト・ファブニル(p3x008160)
災禍の竜血
トモコ・ザ・バーバリアン(p3x008321)
蛮族女帝
カノン(p3x008357)
仮想世界の冒険者

リプレイ


 膝殺す。絶対殺す。膝殺す。
 そんな殺気が前方の魔物達から伝わってくるようだ――いやなんなんだアイツらは。
「なんか変なクエスト受けちまったな。
 こんな膝だけ狙ってくるとかゲームらしい、あー……ネタクエストっつーのか?」
 ……いやリアル側でもなんか時々あった気がするなと言葉を紡ぐのは『蛮族女帝』トモコ・ザ・バーバリアン(p3x008321)だ。まぁ、その、膝を狙ってくる魔物がいるというのは百歩譲っていいとしよう――だが。
「だがよ! なんでもう膝から矢が生えてんだ!! おっかしいだろこんなん、バグか!? これが世界を覆ってるバグの一つってやつなのかぁ!? うーわどうなってんだこれマジで! しっかもポリゴンじゃん!!」
 既にトモコは膝に矢を受けてしまっていた……! 今の所足を動かすのに支障はないのだが、なんという光景だろうか……まぁこれも奴らが原因だとすればクエストクリアすれば解消されるだろうか?
「なるほど……常に膝を狙うのだにゃ? まずは足を破壊する事で機動力を削ぎ、次に足を攻撃して機動力を削ぐ、最後に足を狙って機動力を削ぐ――つまりこれは敵の機動力を削ぐ高等な戦術――いややっぱり全く分からんにゃ」
 同時。建物の影から覗き見るは『リデル』■■■■■(p3x007903)だ――おお、頭が見えているというのに敵は全く狙ってくる様子はない。
 バグなのかそういう習性なのか知らないがホント訳の分からない連中だ……
 が、膝を集中的に狙われるのは困ると言えば困る。トモコの様な姿になるのもそうだが、足を動かすのに支障が出てくるのも確かだからだ。
「なんて効率的な……接近も離脱も許さず活動能力を確実に破壊するとは、まるで且つて見た、脚だけを吹き飛ばす地雷並に悪辣な魔物ですよ! あんなのを放置しておけばいずれ誰も動けなくなります……!」
「中々えぐいな……動けないところを針ネズミと言うやつか……でも足が無いとどうなるんだろう? 足っぽい所を撃つんだろうか?」
 そして一般人にとっては生活すら困難な事になるかもしれないと『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)は思考するものだ。何がなんでも倒さねば危険な生物である――!!
 しかし『其処』しか狙ってこないというのであればまた戦う方法もあると『妖精粒子』シフルハンマ(p3x000319)は確信している。行動ルーチンが分かっているなら対策も出来る、という訳だ。
 極端な話、下段ガードを固めておけばいいのだ。或いは足に何か防具を集中させてもいいのかもしれない……まぁ幸と言っていいのか分からないが、足なら即死もしないだろうし今回も頑張って生き延びられそうだとシフルハンマは独り言ちて。
 様子を見つつ各々準備を始める。
 必要なのは全力を投じる事。
 各々が各々の力量を十全に発揮すれば奴らを蹴散らすも出来るだろうと。
「敵の数は多い、集中して狙われない様に立ち振る舞わねばな――
 だがこちらも頼りになる面々ばかりだ。
 ファーレルに神様も一緒とは心強い、よろしく頼むぞ」
「無論だよ。誰にも理解できなくても神には解っている――間もなく解決する事が」
 建物を障害物にしてまだ狙わにくい地点に布陣しつつ『白竜』ベネディクト・ファブニル(p3x008160)が声を掛けるのは知古の『R.O.Oの』神様(p3x000808)とリースリット(p3x001984)に対してだ。
「ぽめ、じゃなくてベネディクトさん……いえ、こう。随分と馴染んでらっしゃるのですね、その姿」
「うん? ああ、ポメ太郎の姿を借りてな。どうだ? 変な所はないか?」
 リースリットの言葉に前足を横に振るものベネディクト――思わず手を差し出して接触すれば、まるでお手の様な形になってしまった。可愛いなぁ。おっといけないいけない、首筋を撫でる様に手が伸びてしまう間に行動を開始せねば。

「参ります――それでは皆さん、ご武運を」

 故にリースリットは木を壁に体を隠しつつ――半身を乗り出すようにして射撃開始だ。
 それは囮の役割を成すが故。彼女が放つのは炎の一端にして、風をも同時に巻き起こす複合魔術。風に導かれ舞い踊る炎が、まるで竜巻の如く。数多を飲み込み魔物らを捉えよう――
 奴らがこちらに反撃の膝ショットを叩き込んでくるならそれはそれで幸いだ。
 身を隠している状、壁が限界まで削られない限り、負傷は最低限――
「良し、行くぞキリン君。今日も君の脚を頼りにさせて貰うぞ」
 同時。ベネディクトが犬故によじ登りながら騎乗するのは……キリンだ。
 非常に目立っている。もう囮とかいうレベルじゃない勢いで目立っている。
 そして――キリンのお尻の方をてしてしと叩いていざ往かんキリン君! 村の周囲を駆けるようにベネディクトは魔物らの視線をこちらへと寄せるのだ――ホントめっちゃ目立ちながら!


 ベネディクトたちが派手に行動を開始した矢先――他の面々は一気に往く気を窺う。
 可能な限りあの魔物達の気が逸れている瞬間がベストだと、その内の一人が『nayunayu』那由他(p3x000375)だ。
「まぁ距離がありますのである程度覚悟を決める必要はありそうですけどね」
 結局完璧に矢を掻い潜るのは難しいのだ、リースリット達が引き寄せても。
 だから――呼吸を整え木を盾にして、往く。
 攻撃と移動を繰り返し距離を詰めていくのだ。敵の攻撃が届くという事は、逆に言えばこちらの攻撃も届くと言う事。接近に気づいた個体が矢を放ってくれば――弾く。それを繰り返して奴らの懐へ。
「ふ、ふふふ……さぁさぁどうしたのですか? この程度ですか貴方達の雨は?」
 楽しくなってくる。さぁあと何歩で切れる? 切り刻める?
 あぁ私は膝だけを狙うなんて器用な真似は出来ないので――
「――全身バラバラに切り刻んであげますね」
 愉悦。口端釣り上げ未来を想像するだけで――笑みが零れるものだ。
 そして当然、接近するなり戦闘をしているのは那由多だけではない。
「さ、てと。そっちが弓で撃ってくるなら、こっちは銃で対応しようかな……!」
「へっ。狙われる場所が分かってるのはある意味楽だな。後はタイミングだぜ!」
 シフルハンマやトモコも同様に、だ。シフルハンマは普通の木を背にして盾を構え矢を防ぎ。
 とにもかくにも足を削がれることだけは避け続けるのだ――動けさえすれば戦える。
 そして魔力で生成するのは使い捨ての銃が一つ。
 そちらが弓で撃ってくるなら――こっちは銃で勝つまでだ。
 引き金絞り上げ射撃一閃。彼方まで届く一撃が敵の身を穿ちて、そしてトモコも防御を主軸に前進を行う。
「幾らでも撃ってこいや、アタシは死なねぇぞ!!」
 敵の攻撃が脅威であればあるほどに危機を察知する力と共に彼女は往く。
 気を付けるべきは不意なるミスのみ。とにかく慎重を期しながら、奴らに撃を届かせよう。
 味方からは離れすぎないようにもしつつ、同時にサポートの攻撃に合わせて横やりを入れてやるのだ。距離が離れている内は調子に乗ってろ――今にその喉笛をかみ砕かんとばかりに。
「うぅ……この膝当て、本当は単純作業の疲労軽減用の物で別に防御用じゃないんですけど、素のままよりはマシですよね。一回でも二回でも防いでくれればそれだけでも……」
 そしてカノンも膝の守りを固めるものだ。彼女が身に着けているのは膝当てというよりプロテクターだが、しかしとにもかくにも膝を守る事は最優先。後は大きなマントも纏いて足元まで隠し、敵の狙いを少しでも逸らさせるか……
 そして後はこちらの攻撃を常に『先』に当て続ける事だと。
「ふッー……いきますッ!」
 突入前に深呼吸。自ら身体を強化し、味方の接近をサポートするのだ。
 己が攻撃を当てて奴らの意識を逸らさせる――狙うは敵の集団中心点。或いは被弾してしまった仲間を積極的に狙っている個体達か――無数の魔力弾をまるで雨の様に。紡ぎて奴らの討滅を目指さん!

「ああ――何という事だ、膝に矢を受けてしまった」

 されどやはり奴らも数が多いのであれば膝を狙われる者もいるものだ――!
 その一人が神様である。膝に生えてる木の枝、おぉぉなんたる出来事か……
 けれど神は動じないよ。威風堂々たる神は空を舞う事が出来るから、問題ないんだ。
「其の方らに怒りも恨みもないが、神の危機は世の乱れに繋がる。
 神の死は許容できず、それゆえに――其の方らに加減する事も叶わぬ」
 膝の保護に努めれば――行くものだ。
 防御の構えを主軸に。奇跡をもって反撃と成し、奴らが集まっている箇所に神秘を齎さん。
 雷の奇跡を。炎の渦を。特に神秘たる炎は彼らに良く通っているようだ、が。数を減らす事であれば雷の方が効率が良いだろうかと思考して。
「さあ、お前達の憎き膝はこちらにあるぞ!
 それとも、この膝を撃ち抜く事が出来ないか?!
 お前たちの膝に対する執着心は――所詮その程度であったか!!」
 一方でベネディクトはキリンを駆って引き続き奴らの注目を浴びる様に。
 敵の気配を察知するようにしながら前進を繰り返すのだ――とはいえ突出しすぎれば一瞬で膝の巣、違う、蜂の巣になってしまうだろう。故に慎重に周りを見つつ行動して。
「ですが感情があるのかないのか、敵に乱れが見えませんね……
 仲間らしき者達が倒れても、なおこちらに変わらぬ殺意――いや膝意――? 
 とにかく妙な感情を向けてきている様な……」
 同時。リースリットは引き続き、奴らを纏めて焼き払っていた。
 ――だが奴らめ、火に恐怖するどころか、そんなのは匙だと言わんばかりに未だ膝を狙ってくる。数多の矢を放ちて人の膝を殲滅せん――と士気をむしろ向上させている様にも感じる程だ。なんなのホントに?
「相手が人間や普通の生物であれば、多少なりとも動揺や戦列、動作の乱れというものがある筈ですが……彼らはむしろ憎悪など、感情から派生した者達なのかもしれませんね」
「なるほどにゃ! とにかく人の膝を恨み、怒る魔物達……
 うんうん、なら倒すに遠慮もいらないにゃ!」
 彼らを燃やしつつ観察するリースリット――に続くのは■■■■■だ。
 ■■■■■の思考は常にP-Tuberとしての活動のみ。『意味不明な魔物を倒してみた!』とかいうタイトルとかが良いだろうか? 無数の思考をしながら、同時に動画映えするための動きも今の内しておかねばならぬと。
「膝を撃たれる前に膝を撃ってやる――にゃ!」
 直後。跳躍し、空中で回転しながら■■■■■は銃を向ける。
 連射連撃。奴らの矢を躱しながら、同時にこちらの攻撃を当てていくのだ――それはまるで映画のワンシーンの如く。障害物の先に降り立ち隙を見せぬ様にしながら再度跳躍。頬を掠める枝の矢が危機を本能に知らせながらも『良い画』が取れたと確信して。
「どうよ今の! かなりキマッてたでしょ! こういうシーンを集めて動画のOPとかいいね……!! BGMに合わせたりして……むぁああ!? どうして!? どうしてこっちをいきなり集中的に……んにゃああああ!?」
 しかし派手な動きが彼らの目に留まったのか、■■■■■の膝に集中攻撃が――!
 やはり数が揃えば侮りがたい。それなりの命中精度もあるのであれば尚更に。
 全体的に距離を詰める事が出来ているイレギュラーズ。
 しかし戦いは激化の一途を――辿りそうであった。


「くっ――!? 奴らめ、流石にこれ以上躱すのは難しそうか……!?」
 キリン搭乗ポメディクトは至る矢の枝を弾く――が、限界を感じ始めていた。
 積極的に引き付けているのだからか、流石に疲弊も溜まるものである。特にキリン君は姿からして目立つし……んっ?
「キリン君? どうし……はっ! まさか膝を!? くっ、どうして言わなかったんだ!」
 瞬間、気づく。キリン君の膝が撃たれている事に……! 正確には掠っている程度か――!? だが、キリン君はきっとベネ太郎の力になりたくて黙っていたのだ……!
「この仇は……必ず取るぞ! 我が友の膝の仇、ウッド・ポーンよ覚悟せよ!!」
 それでも知ったからには無茶をさせないのが彼だ。
 むしろ奴らに代償を払わせんと闘志を漲らせ突貫す。今こそ戦いの決着をつける為にも――!
「うっ! く、あ、あと一歩という所で……! どうやら私も膝に矢を受けてしまった様です……いえ、私に構わず先に言ってください。なぁに、この程度……すぐに追いつきますよ」
「な、那由多さ――ん!! そんな死亡フラグをてんこ盛りににゃ!?」
 しかし奴らの弓の腕もそれなりにあるもの――接近を試みていた那由多の足が遂に穿たれてしまった様だ。でもその台詞は■■■■■的には! 数多の動画的にはこの後全然大丈夫じゃないフラグだと!!
「……ふっ、死ぬのは私だけで充分さ。まぁタダでは死にませんけどね」
 口端を釣り上げ不敵な笑みを。それは――命を賭すと決めた覚悟の目ッ!
 最早傷も厭わず前へと超速前進する那由多――零れる血を武器に変え、刃と成して敵を切る。横から矢を放たれようと構わず両断。まぁ那由多は結構体力温存のためのスキルがあるからまだ結構余裕あるんですけどね。
「こんにちは、死ね――!! ふふ、ふふふふ……!!
 木で形作られているというのなら――森の養分になるのは幸せでしょう!!」
 最大威力で切り倒していく。一を倒せば二を倒し。三・四を切って、五も切ろう!
 ……だが矢を受ければ痛くない訳ではない。
 それでも那由多がまるで気にしないように戦えているのは――あの子の笑顔を脳裏に思い浮かべれば、如何な辛苦にも耐えられるからだ。ああ……笑顔はいい……でも曇り顔や泣き顔も良いし、なんだったら裏切られて怯える恐怖の顔も……うふふふ。
 あれ? 魔物さん達どうしたんですか? ちょっと怯えてます?
「しゃあ! 遂にここまで来たぞ散々ウザい攻撃ばっかしてくれたなぁテメェら……!」
「はぁ、はぁ! プロテクターを突き抜けてきますし……ですがここまでです!!」
 ともあれ直後。遊撃として動いていたトモコも魔物らの懐へと飛び込むことが出来て、その動きを同時に支援するように――カノンの魔弾が放たれるものだ。カノンの膝には枝が刺さっており動きが鈍っているが完全に動けないという程ではない。
 今こそ攻める時。奴らに再び距離を取らせまいと、トモコの撃が襲う。
 接近戦に至れば奴らにも乱れが生じるものだ。
 至近での戦心得はないのであろう……矢を放つも狙いが定まっておらず。

「神に そして神聖なる女性らに弓引くとは かける言葉が見当たらないな」

 同時。それでもと反撃の一矢をトモコらに放とうとした魔物らの前に――神が立ち塞がった。
 放つのは雷撃。それは神からの断罪にして、其の方らの身を焦がす神罰。
 誰も殺させない。特に危機的状況にいる女性は。
 それが神としての役割。
 それが神としての――義務であるとばかりに。
「極力死なない方が良い 死は忌避すべき事 例え死ねないとしてもだ」
「死、ですか。この世界ではありふれているとは聞いていますが……」
 さて神の言うように死なぬが安全かもしれないとリースリットは思考し。
 それでも今は魔物らを倒すべく――一歩を踏み込もう。
 斬り込み隊が到達し、戦線が入り乱れている。この状況でリースリットが狙うのは、未だ接近戦に到達していない魔物達だ。奴らはまだ距離を取る余裕も、矢を正確に投じる余裕もある。
 故に潰す。再びの炎にて奴らの身を完全に焦がしてやろう。
「もう少しでこっちの方が数が上になるな……今ここで油断して死ぬなんてのは勘弁してもらいたい所だ。生存第一で行くぞ!!」
 そしてシフルハンマは傷を癒しながら次なる相手を狙い定める。
 正確に膝を射撃してくるが故に弾道の予測もしやすいが――しかし全てを完璧に躱すことは流石に難しかった。とは言えシフルハンマの目に映る限りでも敵はもう少しだ。
 押し込もう。
 散弾の射撃を放ちて敵を穿ち、ベネディクトは派手に動いて暴れて叩きまくる。
 神は罰を与え、トモコは特に弱った敵を追撃するように蹂躙し、カノンは敵を逃がさぬ様に立ち回るのだ。膝を狙うという知能を持つ個体共、やはり一匹たりとも逃がす訳にはいかないと!
 ――さすれば決着の道が見え始める。
 また一匹、また一匹とウッド・ポーンたちは倒れ始め――
「これで終わりですよ――うっふふふ、ふふふ――!!」
 最後の一体まで。那由多は変わらず笑みと共に斬撃す。
 倒れ伏すラスト・エネミー。周囲に敵の気配はなく、終わりを感じる――が。
「……おい! 矢のバグ消えねぇんだけど!! これいつ消えるんだ!?」
「恐らくですが――ログアウトしたら消えるかもしれませんね」
 トモコが抗議せんばかりの勢いで己が膝の矢を何度も指さす。なんで消えないんだ、普通クエストクリアしたら消えるものでしょこういうの!!? 冷静たるリースリットがまじまじと矢を見据えながらログアウト方法を呟いて。
「おお……旅人の方々よ、感謝いたします……!」
「やれやれ……まぁ、また似た様な事があれば頼ってくれ」
 ともあれこれで平和になった筈だと。
 家から出てきた住人にベネディクトは言葉を告げながら――やれやれと、片足を挙げて応えるのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

那由他(p3x000375)[死亡]
nayunayu

あとがき

 依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ!
 うーんバグか否か。ともあれ矢が膝に刺さっても動けるROOはすごい……
 これもデータ空間が故、という事なのでしょう。ありがとうございました!

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