PandoraPartyProject

シナリオ詳細

神来たりて

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「ははー、ここがR.O.Oの世界ですかー」
 帽子を押さえながらにこにこと辺りを見渡すのは『旅する乙女』セスカ・セレスタリカ(p3y000197)だ。
 広がる景色は幻想の町並みを再現している。
 R.O.Oでは幻想のことを『伝承』(レジェンダリア)というらしい。
 セスカは近くの建物の壁に近づいて、まじまじと目を凝らしてみる。
「細かい。すごい。触っても……ちゃんと石の質感があるんですねー。いやー、素晴らしい」
 セスカは魔女という種族を選びR.O.Oにログインしていた。

「R.O.O、良いじゃ無いですかー!」
 世界を旅しながらのんびりと暮らしているセスカにとって、R.O.Oの世界は見知らぬ新天地だ。
 わくわくする冒険に心が躍る。
「まだ見ぬ冒険譚。はー、浮かれてスキップなんかしちゃいそうです」
 セスカはるんるんしていた。
 少し進んで行くと小さな人だかりが見えてくる。
 背の高い掲示板の前に同じようにR.O.Oの世界へログインしている『ネクスト』の住人では無い人々が集まっていた。所謂冒険者ギルドというヤツなのだろう。
「ははー! 良いですねぇ! おっと、こっちの石版は何でしょう?」
 クエスト掲示板の近くにある説明書的な石版の前に立って上から文字をなぞっていく。
「何々、えーっと」
 ――『Rapid Origin Onlineの世界へようこそ! 此方はフルダイブ型VRMMO開発チームです。
 練達国のネットワーク上に構築された仮想世界が、今あなたのいる場所です。
 物凄い技術力で存在しているその世界で何をするのかはあなたの自由。
 といっても、突然自由だと言われても困ってしまいますよね?
 だったら、この近くにあるクエスト掲示板を覗いてみてはどうでしょうか――

「……初心者案内。これってネクストの人にはどう見えてるのでしょうか。あ、そこの君。この字読めたりしますか?」
 セスカは通りすがりの少年に声を掛け、石版の前に連れてくる。この子供は町の住人。つまりNPCだ。
「ううん。読めないよ。このへんてこな絵みたいなのは文字なの?」
「なるほどー。やっぱり読めませんかー」
 セスカは少年にありがとうと言って顎に指を置く。
 システム的な案内はNPCは読めない事があるのだろう。無辜なる混沌では言語の垣根が無いから、こうしてネクストの住人と自分達で文字の隔たりがある事にセスカはときめいた。
「興味深いですねぇ」
「あ、所でさ」
「うわっ、まだ居たんですか!?」
 先ほどの少年がすぐ近くに立っていたのにセスカは飛び上がる。
「僕達の遊び場にスライムが出たんだ」
「ほうほう」
 セスカは少年の困った様子に興味を引かれ耳を傾けた。
「いつもは大人が追い払ってくれるんだけど、今忙しいみたいで。お姉ちゃん代わりにスライムを追い払ってくれない?」
 少年の問いかけと連動してクエストの案内表示が画面に現われる。
「ははーん。これはあれですね。お約束の『お使いイベント』ですね。ゲーム初心者を優しくエスコートするチュートリアル的な。分かりました。その依頼引き受けましょうー!」
「ありがとう! お姉ちゃん」
 少年の笑顔に連れられてセスカは彼等の遊び場に駆け出して行った。

 ――――
 ――

「ちょっとぉぉぉおお!? こんなデカイスライムだなんて聞いて無いんですけどおおォォ!!??」
 セスカの叫び声が遊び場に響き渡る。
 少年に連れられてスライムを追い払っていたセスカは突如として現われた巨大なスライムに追いかけ回されていた。
「大ピンチァアアアア! 誰か、助けてーーー!!! あ、あなたは!?」
 そこへ颯爽と現われる影。
 少年に連れられてやってきたイレギュラーズだった――

GMコメント

 颯爽と現われて、でっかいスライムをやっつけてしまいましょう!

■依頼達成条件
 でっかいスライムをやっつける

■フィールド
 伝承の町ウィルバーグにある子供達の遊び場です。
 時間は昼です。広いです。

■敵
 でっかいスライム×1
 実はちっさいスライムが集まって出来ています。
 ある程度攻撃を加えると分裂して小さくなります。最大8個まで。
 小さくなると弱いです。

■同行NPC
『旅する乙女』セスカ・セレスタリカ(p3y000197)
 世界中を旅して占いなどをしている魔法使いの女の子。
 旅の路銀も少ないため、もっとギルドに顔を出そうと決意した。
 現在はR.O.Oにログインしています。
 魔法を使って攻撃や回復を行います。
「いやー、もう神様が来たのかと思っちゃいましたよー」

※重要な備考
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

  • 神来たりて完了
  • GM名桜田ポーチュラカ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月25日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフルハンマ(p3x000319)
冷たき地獄の果てを行くもの
梨尾(p3x000561)
不転の境界
楊回(p3x002501)
西王母
アリシア(p3x004649)
デッドリーヘブン
白銀の騎士ストームナイト(p3x005012)
闇祓う一陣の風
ファン・ドルド(p3x005073)
仮想ファンドマネージャ
座敷童(p3x009099)
幸運の象徴
カメリア(p3x009245)
氷嵐怒濤

サポートNPC一覧(1人)

セスカ・セレスタリカ(p3y000197)
旅する乙女

リプレイ


 静かな町並み。子供の遊び場に木霊する少女の声。
「いやああ! スライムがぁああ!! ちょ、助けて、助けてー!」
 涙を浮かべながら『旅する乙女』セスカ・セレスタリカ(p3y000197)が助けを求めている。
(スライムか…リアルじゃ近づきたくもないな)
 セスカの叫び声を聞きながら『妖精粒子』シフルハンマ(p3x000319)はぷるぷると首を振った。
(あいつらピンキリあるが、金属を溶かすやつもいるからな……コア溶かされたら即死の俺にとっては天敵だ……シフルハンマの時でも油断せずにいこう)
 R.O.Oの世界でも現実世界の行動が染みついてしまうのだ。こちらの世界に馴染みすぎて現実世界で気を緩めてしまうことのないように、シフルハンマは気を引き締める。
『西王母』楊回(p3x002501)はでかいスライムをじっと見ながら溜息を吐いた。
「子供の遊び場にスライムねぇ。街にモンスターとか普通に出てくるの、この世界は? それとも遊び場が街ではないのかしら? それだったら危ないから子供を叱らないといけないわね」
 子供の遊び場は町外れにある広場のようなもの。森のすぐ近くに位置する微妙な位置である。
 街に含まれるといえば含まれるだろうか。果たして。
「いやいや。これはチュートリアルの一巻じゃろ? 物理攻撃無効みたいな凶悪なスライムが子供の遊び場に出ればもっと大騒ぎじゃて」
「確かにそうね」
『幸運の象徴』座敷童(p3x009099)の疑問に楊回は同意する。

「なるほど、スライムですか……ゲームによって強さの評価が大きく異なるモンスターですね。今回はどのパターンでしょうか」
 スライムには装備品を溶かす能力を持つものも居ると『仮想ファンドマネージャ』ファン・ドルド(p3x005073)は深刻そうな顔をする。
「もしかしたらアバターの服を溶かす能力を持っているかもしれません。
 アバターの服を溶かす能力を持っているかもしれません。大事な事ですよこれは」
 大事な事なので二回言いました。
「しかも服を溶かすかも知れないて(苦笑)フルダイブとは言えアバターぞ? 例えLv1セスカであろうとそこまで鈍くはあるまい?」
「長く戦闘しているセスカさんの衣装は、特に危険かもしれません。色々溶けてしまっている可能性があります。とはいえ、焦ってがむしゃらに仕掛けるのもよろしくない。じっくり戦場を観察しながら、確実にスライムを駆除しましょう」
 座敷童とファンはでかいスライムに追いかけられているセスカを観察する。
 ――観察している。
「あの魔女姿のセスカさんのロングスカートの内側が、一体どのように再現されているのか……この観測は、アバターの再現能力の検証でもあります」
 可愛らしいドレスは所々破れ、肌が見えている。胸元が特にむしり取られている。マントは戦場の隅に脱ぎ捨てられていた。だが、白いタイツはまだ無事だ。否、これは『白いタイツ』なのだろうか。もしや、ニーハイではないのか。ガーターベルトで吊り下げられたニーハイの可能性も捨てきれない。
 ひらりとセスカのスカートが舞い上がり――寸前の所で風が強く吹いてスカートが元に戻る。
「なんでブラウスばっかり持ってくんですかー!」
 胸元を押さえ走り回るセスカ。面白い事になっていると座敷童は無表情でスクリーンショットを撮る。
「装備破損なんて聞いておらぬがー」
 戦場の隅に落ちているセスカのマントを拾い上げ、彼女へ投げようとするのをファンに優しく制止された座敷童。
「待って下さい! まだ、その時ではありません」
 ――良いアングルにはじっくりとした観察が必要なのだ!

「スライム。スライムですか。旅人の方から聞いた話では、『げぇむに登場するスライムは基本的に弱い』とのことですが……」
 でかいスライムと追いかけられているセスカを観察する『氷嵐怒濤』カメリア(p3x009245)。
「まぁ、それがR.O.Oでも通用するかはわかりませんので。油断なく、全力で参りましょう。
 攻撃の手を緩めず、攻めて攻めて……攻め続けます! それで、いつ攻撃できますか?」
「もう少しです!」
 カメリアの問いかけにファンが食い気味に返事をする。
「思ったより大きいですね……1人だけだと小さいけど。複数人がクエストを受けると出てくる大型みたいな感じでしょうか?」
 首を捻る『ポーカーテイル練習中』梨尾(p3x000561)は追い回されているセスカとそれを観察するファンを交互に確認した。
「スライムと聞くと初心者向けに感じますけど、油断せず戦いましょう。絶対に死亡したくないですし」
 梨尾のアバターは自身の息子を参考にしたものだ。
 つまり実質息子。その息子を死亡させれば父として、自分自身を許せない。
 それがゲームであろうと何であろうとだ。両頬をぱしんと叩いて気合いを入れる梨尾。

「いや、もう……ほんと、ヤバイですって。これ以上はR倫(R.O.O倫理)に引っかかりますってー!」
「まだ大丈夫ですよ。これぐらいじゃ……」
 眼鏡をキラリンとさせてクイっとするファン。
「誰か、助けてーーー!!! あ、あなたは!?」
「助けを呼ぶ声あるところ、大体必ず現れる!」
 遊び場に響き渡る声。セスカが見上げると、建物の屋根に立っている人影が一つ。
「白銀の騎士ストームナイト! 心優しき少女の叫びに応え、今、ここに見参!! トウァッ!!」
 画面に白いマントがバサってなって、逆光と共に飛躍した『闇祓う一陣の風』白銀の騎士ストームナイト(p3x005012)は地面に着地するも鎧の重さで蹌踉ける。
「悪性怪異DEKAスライム! 子供の遊び場を奪い、今、いたいけな少女まで手にかけんとするその悪行、この私が許さん! 退治してくれる!!」
 白い鎧がペカーとなってマントが風も吹いてないのにかっこよく広がった。
「きゃー! ストームナイト様! でも、あの、ちょっと、早く。助け……」
 ――セスカの服が! 溶けて! いくぞ! 今がチャンスだ!


「まずは何も考えずにスライムに向かって――『燃え燃えキューン』です!!」
 胸元でハートマークを作った『クレイジーメイド』アリシア(p3x004649)がスライムの注意を引く。
「今の内にセスカさんを!」
「分かった!」
 アリシアの作り出したチャンスを逃すまいとストームナイトがスライムの前に踊り出し、セスカを抱き上げ戦場の隅にそっと置いた。
「これでもう大丈夫!」
「はわー、ありがとうございます。どうなることかと思いましたよー」
 スライムの粘液に包まれたセスカがぷるぷると犬の様に飛沫を払う。
 アリシアとストームナイトに礼を言って、セスカは戦場のの隅に落ちていたマントを着る。前をピッチリしめれば胸がぱつぱつになるが仕方が無い。

「自分は神なんてろくでもないものじゃなくて妖精です! とそんなことよりも、敵の存在は……スライム、やな敵だね。スライムは品種によってやばさが天地ほど違うヤバイやつだね、気をつけていかないと骨までとかされるよ!」
 シフルハンマはスライムから距離を取り、魔術式を構築する。
「あー、やだやだ近寄りたくない」

「くっ! このままでは」
 アリシアの声が戦場に響き。スライムの巨体に押しつぶされた。
「くそ! アリシアァ!」
 光の粒になってサクラメントまで飛ばされたアリシアにストームナイトの悔しそうな声が響く。
 戦場は無情。スライムと侮ることなかれ。
 ストームナイトは悔しさをバネにでかいスライムに飛びかかった。
「オンラインゲームみたいな世界ですし、今回はサポート役デバッファーとして動きますか」
 梨尾は最初はダメージBS狙いでパライバトルマリンの海を讃えた聖なる杖――聖杖パライバオーシャンを振りかざす。水流がスライム目がけて飛んで行き、巨体に切り傷を刻みつける。
 その傷口からじわじわとスライムの粘液が染み出していた。

「今はスライム退治に専念しなくてはいけなかったわね。どんな能力を持ってるか、まだわからないモンスターなのよねぇ。何を仕掛けてくるかわからないし、銀閃で遠距離攻撃を仕掛けて行くわ」
 楊回は注意深くスライムを警戒している。セスカの服を溶かしているし、纏わり付いて動きを阻害したりするかもしれない。
「あとは分裂とかもするかもしれないわねぇ。敵が1体だけだと思ってたら痛い目見るかも?」
「確かに、始めは小さいスライムが沢山いると聞いていましたし」
 楊回の台詞に梨尾が杖を振り上げる。
「あぁ、そういえばこの笛吹いたらゴブリンがやってくるって言ってたわね。手伝ってもらえたら便利だけど、吹いてみようかしら?」
 ゴブリン大将軍の角笛を手にした楊回はじっと手の中の笛を見つめる。
「ゴブリンが来たらスライムを襲ってくれるかしら。もっとややこしいことになったりして。それとも来なかったり? まぁ試すだけはタダよね。それにここは死んでも大丈夫なんでしょ……?」
 大きく息を吸った楊回は角笛を天に吹き鳴らす。
「――ブオォ!」
 暫くすると森の方から地響きが聞こえてきた。
「ん、まぁ何とかなるでしょ。みんなは死なないようにね」
 沢山のゴブリンが楊回を取り囲む様に現われ、彼女の攻撃に遭わせスライムに向けて一斉攻撃を始めた。
 何だかとても頼もしいぞ!
「私は前衛アタッカーとして攻撃を行い続けましょう。不動の精神を保ち続け、どんな事が発生しようと油断せず、状況終了まで常に身構えて立ち回ります!」
 カメリアは凍の連撃でスライムを切り刻む。
「継戦能力の維持は大事です。手数を保ち続け、攻めて攻めて、攻めるのです!」
 ボルンボルンと一撃事に粘液をまき散らしながら砕けるスライム。
 溶ける粘液と溶けない粘液があるのだとファンは眼鏡をクイっとする。
 流石に切り刻まれた部分から染み出す粘液には服は溶けない――残念である。
 鞠つき唄を奏でた座敷童。
「んではーハンマーを大振りしてぶん殴る。とにかく弱らせねば、斬ってもひっつくであろう」
 骨砕きと名がつけられた巨大なハンマーを軽々と持ち上げた座敷童は巨大なスライムを振り回す。
 彼女の攻撃でぼくりと半分に割れたスライムが二体になった。
「分裂した時の班分け決めておらんのう、まあよいか。2匹ならまだ問題ない。2匹以上に分裂したら、逃がさぬことを優先。手を止めてスライムの逃走に備えるのじゃ」
 名前はまだつけてないが、つけるとしたら蹴鞠シュートでどんな敵も逃がさない。そんな勢いでハンマーを振り下ろす座敷童。

 ――――
 ――

「まだこんなところで倒されるわけにはいかないのよ!」
 シフルハンマはスライムを攻撃しながら真剣な表情で声を上げた。
「いくら天敵のスライム相手でも……この盾の鉄壁をそう簡単に崩させたりはしないわよ!」
 スライムの溶解攻撃に狙われればひとたまりも無い。
「攻撃にも当たらないのが一番ね、装備の耐久値削れたら修理するの大変だからね……まあ、死なないのが第一よ!」
 シフルハンマは近づくまいと魔法を放ち続ける。
 大きな盾と魔法の書を掲げた妖精が戦場を飛び回る姿は可憐でファンタジー然とていた。
「巻き込まれ体質で何かに巻き込まれなければいいのですが……こればかりはどうなるかわかりません」
 カメリアは服が溶けたセスカを一瞬だけ見つめ、スライムにターゲットを移した。
 そのシフルハンマの前方にはカメリアが氷を纏い、ラッシュを仕掛ける。
 蒼き焔を纏う、芸術品のように美しいガントレットは星の煌めきのような激しさを宿しスライムを一体を跡形も無く撃破した。
「でも服を溶かされるのは嫌なので、何があろうと攻め続けますよ! そっちお願いします!」
「任せて下さい!」
 スライムが分裂して逃げだそうとするのを引き留めるように梨尾が聖杖パライバオーシャンから魔法陣を解き放ち周囲に光の粒をまき散らす。
 ふわふわの毛並みが魔法陣の光にキラキラと反射した。
 楊回は無数の糸を張り巡らせ、スライムを切り刻む。
 少しも逃がさぬよう、楊回はギリギリと締め上げ、スライムを分解した。

「果たして鎧はスライムを防ぐことができるのか、結果が楽しみですね」
 ファンはスライムの攻撃圏外から確実にダメージをあたえつつ、主に前衛の女性アバター陣のスライムによる衣装のダメージを観察していた。今はストームナイトにメインカメラが映っている。
「敵も、巨大であること以外は特に特殊能力があるわけではない。
 そしてこちらも、この体での戦闘は不慣れ。ならば、やることはひとつ。
 騎士らしく前に出て、ひたすらに斬る――!!」
 ストームナイトはセレスティアルランスで分裂したスライムを貫く。
 胸がぱつぱつになっているセスカに向かうスライムに割って入るストームナイト。
「必殺活殺自在剣! ゴッドストームクラッシュ!」
 ストームナイトの豪快な技が炸裂し、スライムが弾け飛んだ。
 断末魔の如く、吐き出された粘液にストームナイトの鎧がシワシワと溶けていく。
 金属を溶かす強酸なら皮膚も溶けるなんて野暮な事はノーセキュー。
 溶けるったら、溶けるんだよ!
「……えっ、服とか溶かす? そっち系? いや、見た目そんな感じでは……
 ち、違うよな? 子供の遊び場に現れるようなヤツが、そんなR指定な能力使うわけないだろ……?
 う……うおおおおっっ!! 近寄るんじゃねぇええ!!!」
 必殺のクラッシュが最後のスライムを破砕し、ストームナイトの尊厳は辛うじて守られた。
「せ、正義は勝つ!」
 槍に纏わり付いたスライムの破片を振り払い、キメポーズにバシっと槍を地面に立てる。


「あとは何をすれば良いかしら? スライムの残骸をかたづける?」
「そうですね。とりあえずゼリーをかたづけましょうかぁ」
 楊回と戻って来たアリシアがスライムの残骸を取り払って、広場が綺麗になる。
 無事にスライム退治のクエストは終了し、子供達のはしゃぐ声が遊び場に聞こえてきた。
「いかん。ゲームとはいえさすがに適当で大雑把すぎじゃろ妾。さすがに次の仕事までに何か考えておこうかのぅ……行方不明者も出てるしな……。どっからどこまでが仕様なのかバグなのか、そこから調査か……時間かかりそう」
 溜息を吐いた座敷童は広場で遊ぶ子供達を見守っていた。

成否

成功

MVP

白銀の騎士ストームナイト(p3x005012)
闇祓う一陣の風

状態異常

アリシア(p3x004649)[死亡]
デッドリーヘブン

あとがき

 イレギュラーズの皆さん、お疲れ様でした。
 無事にスライムはやっつけられました。
 MVPはとりわけ身体を張った方にお送りします。
 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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