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シナリオ詳細

無限屋敷殺人事件

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●無限屋敷の怪

「ボスも無茶を言うぜ……出来るだけ奥に死体を捨ててこいなんてよ」
「仕方ねえだろ。この屋敷に捨てりゃあ『上がって』はこない。それが常識なんだからな」
「……俺等がそうならなきゃいいんだがな」

 古びた装飾の飾られた……やはり古びた屋敷に、2人の怪しげな男がいる。
 担いでいるのは、本人たちの申告が正しければ死体袋……なのだろう。
 どう考えても悪人である2人だったが、その表情は特に罪悪感の類も浮かんではいない。
 何らかの地図のようなものを眺めながら、ドアを開けて進んで。

「……おい。此処はこんな部屋じゃないはずだぞ」
「チ、もう改築されたのか。もういい。此処に捨てて戻ろう」
「そうだな……って、おい」

 男たちが来た場所とは別の扉が、ギイと開く音。
 男たちが来た場所の扉が、バタンと閉まる音。

「なっ……!」
「開かねえ! くそっ、ぶち破るぞ!」

 響く音。そして……悲鳴らしき声。
 唯一分かることは……男達は、2度と戻ってこなかったということだ。


●無限屋敷殺人事件

 かつて、ハスリタ家という非常に裕福な商人の家門があった。
 武器や防具を売り財を成したハスリタ家であったが、それ故に敵や誘惑も多く……そんな中、当時の当主の妻が謀略によって一人娘を殺害し、当主すらも殺そうとした事件があった。
 無論、そんな企みは暴かれ……当主の妻は、それを囁いた男と共に断罪された。

 ……しかし、それでは終わらなかった。
 この事件により愛すべき娘を失ったことで心を病んだ当主は「周囲は全て自分を狙っている」と思い込むようになり、館の増改築を繰り返すようになったという。
 その広大な屋敷はどういう技術によってか、当主が死んだはずの今ですら増改築が繰り返されている……と、そう言われ買い手のつかない状態となっている。
 そして、それをいい事にこの屋敷に犯罪の証拠を捨てる者も後を絶たない。
 ……その結果、戻らない犯罪者も、また。
 鉄帝としては、当然こんなものを放置するわけにはいかない。
 いかないが、捜査官すら行方不明になるという事態に発展し、「この屋敷では今でも当主が居て侵入者を殺している」という噂すらたつ始末である。
 そして壊そうとすれば防衛機能が発動し、周囲に被害が出る有様だ。
 精霊やファミリア、幽霊を利用して捜査しようとしても、それ自体が屋敷に飲み込まれたかのように戻ってこない。
 事実上の「お手上げ」状態であった。

「ま、その屋敷が『コレ』です」

 目の前に建つ巨大な屋敷を指し示す『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)の台詞に、誰かが何とも言えない声をあげる。
 そんなお化け屋敷じみたスポットに連れて来られれば、仕方のない反応と言えるかもしれない。

「幸いにも、屋敷建築時の『重要な部屋』は分かってるです。まずはその部屋を探し、この屋敷をどうにかするヒントを得るです」

 そして、最終目標としては……当然。

「壊す以外の穏便な手段で、この屋敷の増改築を停止させるです。それが今回の依頼なのです」

 無限屋敷。
 今となってはそう呼ばれている屋敷を前に、チーサは「よろしくです」と頭を下げるのだった。

GMコメント

無限屋敷の謎を解き、増改築を止めてください。

□初期位置:館前前線基地(仮)
チーサと、鉄帝から派遣された兵士が居ます。
彼等によって、新たな不審人物が今後屋敷内に侵入することはありません。
また、チーサからは望むだけの保存食、水を得ることが出来ます。

□重要スポット一覧
・書斎
・執務部屋
・食堂
・娘の部屋
・妻の部屋
・当主の部屋

これ等の部屋が何処かに存在するはずですが、増改築された結果現れた「偽の部屋」もあるかもしれません。
また、それ以外の情報は一切不明です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はEです。
 無いよりはマシな情報です。グッドラック。

  • 無限屋敷殺人事件完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別ラリー
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月09日 19時30分
  • 章数2章
  • 総採用数14人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

古木・文(p3p001262)
文具屋

 コツン、コツンと。『想心インク』古木・文(p3p001262)の足音が響く。
 無限屋敷。そう呼ばれる場所を、特に気圧されることもなく文は進んでいく。

「……不幸なお話だね。この家族はどこから違えてしまったのだろう」

 ふと眺めた壁に飾られているのは、幸せそうな家族の肖像。
 それが元からあったものなのか、増改築を繰り返す中で生まれたものなのかは定かではない。
 ないが……そう、思わずにはいられない。

「とはいえ被害が出ているなら早急に屋敷の増改築を何とかしないとだね。穏便に済むなら、それに越した事はないよ」

 そう、結局はそれに尽きるのだ。
 使い魔すら戻ってこない、この不気味な屋敷の中に何があるのかは不明だが……恐らくは何らかの脅威であることは疑いようもない。
 発動したエネミーサーチは、「今のところ」引っかかるものは何もない。
 飾られた調度品にも奇妙なところはなく、あるいは高値のつく代物であるのかもしれないが……。

「流石はお金持ちのお屋敷。時間があればゆっくり品を鑑定したいところだけど、今は先を急ごう」

 事前の情報ではどうやら、書斎と執務部屋が別れているらしい。

「さて、どっちに行ってみようかな」

 そんな呟きと共に、文は執務室へ向けて歩いていく。
 

成否

成功


第1章 第2節

ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫

「私が来る前に更地になっていると思ったのに……」
「本当に勝手に更地になってくれれば良かったのに……主が居ないのに増築され続けるとか怖すぎないかい?」

 廊下を進みながら、『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)がそんな事を呟く。
 その隣で同意するのは『雷はただ前へ』マリア・レイシス(p3p006685)だが……似た者同士なのか何なのか。
 とにかく、息の合いっぷりに関しては完璧のようだ。

「でも君と一緒なら平気さ!」

 震えながらそんな事を言うマリアだが、まあ……こんなお化け屋敷じみた場所では仕方ないと言えるだろう。

「ええい、ここまで来たら仕方ありませんわ! 探してやろうではありませんの! いざとなったら壁を突き破れば良いことですし!」
「そうだね! いざとなったら壁をぶち抜いてしまおう!」

 確かに増改築されているとはいえ、家は家。そういったことも十分可能であるだろう。

「ただ実際問題、どうやって探すかですわよねー。原型を留めてはいなさそうだけれど、昔の地図があれば参考に持って行きましょうか」
「確かに昔の設計図なんて当てに出来ないけどあれば便利そう……持って行くのは賛成だよ!」

 そうしたものがあるとすれば、書斎だろうか?
 目指す価値は十分にあるだろうと思われた。

「最悪マッピングしながら、手当たり次第部屋を開ければその内、見つけられる可能性もあるしね!」
「そう言ってくれると思って、実はもう始めてるんですのよ」
「流石だね……!」

 思い立ったが吉日。ヴァレーリヤはすでにマッピングを始めており、此処に来るまでの道もサラサラと書き留めている。
 増改築を繰り返すこの屋敷ではそれも永遠の指標とは成り得ないが……この探索の間は充分すぎる助けとなる。

「どうかお化けが出ませんように……マリィ、私の後ろに隠れていて下さいまし!」
「な、何か出ても私が絶対ヴァリューシャを守るからね!」

 互いにナイトのように庇いあう2人だったが……ガタン、と突然響いた音に抱き合いながら飛び上がる。
 振り向けば……そこには、慟哭の表情を浮かべる男の肖像画がかかっている。
 この館の主人……当主であった男の肖像画だろうか。
 見ているだけで不安をかき乱されるようなその絵から少し離れて、ヴァレーリヤとマリアは頷きあう。

「ひええ、今日はもう無理ですわ! 帰りましょう!」
「ぜ、全然怖くないけど今日はこのくらいで許してあげようか!」

 足早に去っていく2人を……慟哭する男の絵の目が……見ていたような、そんな気がした。
 それが恐怖からくる幻からだったのかどうかは……分からない。

成否

成功


第1章 第3節

イサベル・セペダ(p3p007374)
朗らかな狂犬

「あらあらまあまあ……面倒なお屋敷を建てたものですねぇ」
 
『朗らかな狂犬』イサベル・セペダ(p3p007374)の呟きが、館の中で響く。
 無限に増改築を繰り返す屋敷の中、その心の強靭さを見せつける形だ。

「これくらいなら、己を鍛えた方が早かったのでは? あるいは金銭で強者を雇えばよかったものを。困った時は力で解決、それが鉄帝の者の、数少ない長所でしょう……うふふ、ふふ」

 そうしなかった理由は、分からない。
 あるいは、自分以外の力を信用しないという、ある意味では鉄帝らしい理由であったのかもしれないが……。

「何はともあれ、ここが当主の部屋ということでよさそうですね」

 豪奢なベッドと、同じくらい豪奢な調度品。
 此処には図面を探しに来たのだが……どうやら、それに類するものはない。
 代わりにあったのは、幸せな日々から苦悩の日々へと変わる日記……そして「1」と書かれた鍵が1本。
 これが何かは分からない。
 しかし……1度戻ってみようとイサベルに思わせるには十分だった。

成否

成功


第1章 第4節

ルネ=エクス=アグニス(p3p008385)
書の静寂

「いやぁ、誰も居ない筈なのに増改築される屋敷なんて実に興味深いな」
 
『書の静寂』ルネ=エクス=アグニス(p3p008385)は、言いながら目に付く扉を片っ端から開けていた。
 開けた先にあるのは寝室、彫刻部屋、使用人部屋、台所……等々。
 その目的に使うには少々不可思議な構造の部屋もあり、少しばかり「増改築」の内容を疑ってしまう部屋もある。

「館の主が存命の時から改築はしていたみたいだから自律行動するゴーレムや魔道具か……それとも本当に主の幽霊が工事しているのかな」

 それは分からない。分からないが……ルネが辿り着いた場所は、書斎と思わしき場所だった。
 所狭しと並ぶ本の中には、何故か絵本もあり……娘に読んであげたものかもしれないと思わせた。

「これは……増改築前の地図、かな?」

 机の上に置かれていた、朽ちかけた紙をルネは手に取る。
 こうして見ると、普通の家のように思えるが……先ほど見た使用人部屋と思わしきものもあるが、先程ルネが見た部屋とは違うように感じられた。
「本物」の使用人部屋は別の場所にあるのかもしれない。
 まあ、それが分かったからどうだろう、という話ではあるのだが……。

成否

成功


第1章 第5節

マリカ・ハウ(p3p009233)
冥府への導き手
耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う
グラヤノ・カルム(p3p009820)
期待の新人

「愚痴でも遺恨でも何でも聴くよ~☆ 協力的なら『お友達』になってもいいヨ♪」

『トリック・アンド・トリート!』マリカ・ハウ(p3p009233)に答える声は……ない。
 霊魂が答えないのではない。霊魂が「居ない」のだ。

「まさか霊魂が全く居ないなんて……」
「あたしもドリルしちゃダメって言われた……あたしのドリルでどりどりどりーってすればスグなのにぃ……」
「支給品にお菓子もジュースもなかったしね! 『甘くておいしいのがいい!』って言ったらめんどい奴見る顔で見られたし!」
「わかる!」
「だよね!」

『期待の新人』グラヤノ・カルム(p3p009820)と和気あいあいとしながら手を叩きあうマリカだったが……それで気があったのか、グラヤノのリズムに合わせてマリカとグラヤノは歌い始めてしまう。

「とんてんかん♪ とんちんかん♪ ここの当主はへたっぴ大工♪ きっと自分も迷っちゃう♪ 設計ミス、よいしょ設計ミス♪」

 歌いながらもマリカは霊魂を探し、グラヤノは部屋の内装とその用途をメモしていく。
 そうしてマリカとグラヤノは見つけた大きな扉をドーンと開けて。

「誰ですか⁉」

 警戒したような声をあげて振り返った『花嫁キャノン』澄恋(p3p009412)に「ひえっ」と声をあげる。

「なんだ……ご同業でしたか。ビックリさせないでください」
「ビックリしたのはこっちだと思うな―」
「うんうん」

 澄恋がいたのは食堂で……しかも、どうやら「本物」の食堂のようであった。
 豪奢なシャンデリアが吊るされた食堂には「2人分」の銀食器が綺麗に並べられ……そのどれもが高級と一目で分かるものだった。

「見ての通り、かなり高級なものです……しかも、しっかりと磨かれています」
「それがどーしたの? ……って、まさか」
「あ、誰かが『居る』ってこと?」

 2人の反応に澄恋は「そうです」と頷く。

「何かが居ます……此処の増改築を続ける『何か』と同じかは分かりませんが」

 此処の主人は間抜けだと澄恋は思っていた。
 増改築の前に門衛雇用等、やることはたくさんあっただろうに、と。
 しかし、もしも……もしもだ。
「守る」のが目的では無かったら。
 もし、そうだとしたら。

「戻りましょうか。すぴーでぃに、です」

 ゾッとするような感覚に全員が襲われる。
 この館の主人は『武具商人』だった。
 その事実が……とてつもないプレッシャーとなって澄恋たちに襲い掛かってくるかのようだった。

成否

成功


第1章 第6節

アシェン・ディチェット(p3p008621)
玩具の輪舞
御子神・天狐(p3p009798)
鉄帝神輿祭り2023最優秀料理人

「おぉ……こちらへ来てからなんだか初めてそれっぽい依頼が来たような気がします……」

 どうやら食堂では何やらゾッとする事実が見つかったらしい。
 そう聞いた『幸せを掴みたいガール』御子神・天狐(p3p009798)は、娘の部屋を目指すという『玩具の輪舞』アシェン・ディチェット(p3p008621)と一緒に館の中を進んでいた。

「あ、でも幽霊屋敷って事は別に危ない化け物がいる訳ではないって事ですよね? ……え、違う?」
―油汚れにはレモンが効く……―

 水晶玉の中に映る神の授ける天啓は相変わらず全く関係のない呟きであったが……この館の不気味さを軽減する役にはたっているっだろうか?

「きっと”そう思わせる仕掛け”が何かあるのではないかしら……」

 すでに天狐のギフトによって下される「神」の天啓には一切期待しなくなったディチェットは、そう天狐に答える。

「けれどそれでは、戻ってこない人や使い魔がいるのは説明できなくなってしまうのね」
「確かに……攻撃してくる『何か』が存在するってことですものね」
「ええ。建物が自動で作り替えられているような仕掛けと、お化けの類……どちらが現実的なのかしら?」
―思うよりもシロアリは潜んでいる……定期的に検査をするべきだ―

「神」の天啓は見事スルーされ、ディチェットたちは1つの部屋の前に辿り着く。
 エリーゼの部屋。そんな札のかかったその扉の前で……ディチェットは一礼する。

「突然の訪問、失礼致します」

 そうして、ドアをノック。

「入ってもよろしいかしら?」
 
 当然、答える声はない。
 そうして、開けると……何やら可愛らしい内装が視界に飛び込んでくる。

「此処って……」
「娘の部屋、ね。本物かどうかは分からないけど」
「増築された気配は……ありませんね」

 重要な部屋ってくらいですから無闇に増築して弄らない……かもしれない。
 そう考えていた天狐だったが、どうやら正解であるようだった。

「もし、お化けの類がいるのでしたら……一番邪魔されそうなのは此処ですけれど」
「って……ひえっ!?」
「……!」

 半透明の……小さな少女の姿が、そこにはあった。
 何かを伝えるように口を動かし……一点を、指さして少女の姿は掻き消える。

「今のって……娘さん?」
「終わらせて。そう、言ってたのだわ……」

 恐らくはこの館の娘……エリーゼの指さした先には「3」と書かれた鍵。
 それと、もう1つ。
 館の主人が生きていたころの痕跡を探そうとしたディチェットにしか見つけられなかったであろう、小さなプレゼントボックス。
 開けられた気配すらない、それは。

【愛しのエリーゼの13のバースデーを祝って。お前の居ない世界に呪いあれ】

 ……確か、以前拠点に持ち帰られた「鍵」には「1」と書かれていた。
 もしかすると、これは何か関係があるのだろうか?

―おお、おお……またエリーゼを傷つけにきたのか。許せぬ……許せぬ……!―

 聞こえてくる声。
 それが何かを理解する前に、ディチェットと天狐は部屋を飛び出した。

「これは……!」
「逃げましょう! 大丈夫! うどんの神様が付いてます!」

 館に置かれていた装飾品が浮遊している。
 恐らくは……そう、恐らくは。増築された箇所の全ての調度品が魔法生物……!
 これこそが、館に入り込んだ者が戻らない理由だったのだろうか?

成否

成功

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