シナリオ詳細
オギャアアアアァホンギャッホンギャッフゥゥゥゥゥゥ
オープニング
●失礼、母性と神格の関係性について考えておりました
「参ったのう……まさかここまで事態が深刻だとは……」
練達のとある辺境の神社。巫女ひとり居ないそこで、神主は悩んでいた。
その神社の奉る神格は『母持愛心命(おもちまなこのみこと)』という。大体字面通り、母となる女性が持つ慈愛の心を司る神の社である。
わかりにくい? 黄泉津の言葉で話せ? 練達だよ大丈夫だよ? なおさらわからない? 贅沢ゥ!
しょうがないなあ、もうちょっとざっくり言うと『バブみを司る神』ってことだよ。
一応、数年前までは練達でもそれなりお参りに来る人が多く、なんやかんや繁盛していたほうなので宗教法人としてガッp、失礼なんでもありません。
それがここ暫くは大分信心が落ち込んでいた。理由はいくつか考えられるが、強い女性が多くなったことで母性よりも鬼子母神気味じゃね? みたいな風潮が生まれ始めたこと。
男性達がどいつもこいつもしょーもなくて甘える(俗にコレを『オギャる』という)ことを忘れてしまったこと。
そもそもバブみという単語自体、間違った意味で伝播したことが一度ならずあったこと。
その他諸々理由がありすぎて絞れていないのだが、だいたいそういう理由が挙げられる。
多すぎるわ。どんだけ多方面に敵を作ってるんだよ。
「このままではバブ神様が社から姿を消してしまう……そうなればワシの儲k、じゃなかった代々もり立ててきた先代達に顔が立たん……」
多分アンタががめついのが全部悪いんだと思うよ。むしろなんで神性残ってるんだよ。
そんな折、神社の前を通りがかった女性たちがいた。いずれ劣らぬローレットのイレギュラーズ、その精鋭である。
その中に混じっていた小金井・正純 (p3p008000)を見た神主の思考に衝撃が走る。
――あれこそがバブ巫女ではないか、と。
●あれやこれやでそれな流れで
「……という訳でバブ巫女としてこの神社をもり立てて頂きたい」
「なんで私なんですか?」
「オレが巻き込まれてるのが納得いかない」
「アタシこの間『うわキツ』って言われて落ち込みMAXなのだわ」
「こんな屈辱的な話があるんですか!?」
神主にスカウトされた小金井・正純 (p3p008000)、紫電・弍式・アレンツァー (p3p005453)、コルネリア=フライフォーゲル (p3p009315)、そしてシフォリィ・シリア・アルテロンド (p3p000174)の4名は総ツッコミだ。
そもそもバブみってなんだよ。母親であること前提なら全員脱落コースだよ。
「で、でも君達の内側から凄まじいバブみが感じられ」
「ないですよ!?」
神主の必死の説得をシフォリィは切って捨てる。剣士だけに。
とはいえ、これを正規ルートの依頼として出すのでとか言われるとイレギュラーズは弱い。報酬的な意味で。
「そもそも何をすればいいのかさっぱりなのだわ」
「今度、神社の例大祭がある。こんな神社でも事前に声をかけたり宣伝しておけばそれなりの人出にはなるだろう。その際、君達……とその仲間達とでバブみをアピールして男性客を存分にオギャらせ金をまk、じゃなかった賽銭なりお守りなりをね、こう」
生臭ェ。
「とはいえ、この神社が下り調子なのを知ってちょっとガラの悪い連中が押しかけてくるかもしれない。その時はきっちりオギャらせて追い返せればいいかな……」
そんなんで帰ってくれる人なんですかね。
イレギュラーズ達の脳内に、急激に危険信号が響き渡っていた。
「あ、バブ巫女達にはこれを」
そう言って渡されたのは2~3kgほどの抱石、背負紐とだっこ紐、そしてでんでん太鼓とガラガラ。
「これでバブみを増幅して欲しい」
「バカにしてんのか」
「キレそう」
- オギャアアアアァホンギャッホンギャッフゥゥゥゥゥゥ完了
- GM名ふみの
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年05月01日 22時30分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●内憂外患って知ってる?
(どんな依頼でも依頼は依頼だ。それがどれだけ辛いものでも頼まれたんならやらねぇといけねぇ。
だから、俺はやるぞ。俺はやるぞ。俺はできる奴だ。すごい奴だ。大の男をバブらせておぎゃらせることくらい屁の河童だ)
「俺はママだ。俺はママだ。……私はみんなのママよ!」
「ばぁぶ、だぁぁぁだぁ? ちゃーん、ばぁぁぁぁぶぅ……きゃっきゃっ! ほーい!」
「ここはこの世の地獄かよ、クソッタレが!!!」
「畜生」
「クソがよ」
とっても長い自己暗示で己のママみを活性化させようとした『名無しの』ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)は、しかし『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)とかいう獅子身中の虫のせいで秒で暗示が突き崩された。何故か近くに居てバブみの権化みたいな地獄を見てきたツラしてる『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)と『天地凍星』小金井・正純(p3p008000)の正気をゴリゴリゴリィ! と削っている気はするのだが。石臼はあれほど仲間同士のカジュアルな場では使っちゃいけないと!
「オギャらせるって何なんですかこの目的! ふざけてるんですか!」
「いや、うん。なんだよこの神社。母から溢れる母性の神性ってなんだよ。もうちょっと地母神とかマトモな神いねえのか」
「「キレそう」」
『白銀の戦乙女』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)と『戦神護剣』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)はひとしきり不満を述べたあと、それはもう綺麗なハモりでキレ具合を表現した。仲いいね君等。でも現実とはちゃんと向き合って。目の前にあるでしょ。
「バブ巫女としてバブみを与えることも確かに重要なことだろう。むしろそれが目的であるのだろうが、果たしてそれだけで良いのだろうか」
「えっ、と……つまり?」
『灰色の残火』グリジオ・V・ヴェール(p3p009240)のそれはそれは見事な提唱に、『更なる縛りプレイを求めて』司馬・再遊戯(p3p009263)は思わず首を傾げてしまった。
バブみは与えるもの。だがそれだけでいいのか? この依頼の目的は本当に与えるだけなのだろうか? バブみを心から理解するためにはどうすればいいのか? ……なんだか壮大な話を始めようとしている感じがする。
そこに、一瞬だけ正気を取り戻した華蓮が割って入る。真面目な顔をしている。彼女なら大丈夫だろう。
「赤ちゃんは1日で大人にはならない。
(1)赤ちゃん+1日=赤ちゃん……となる。
これをもう一度繰り返しても、
(2)赤ちゃん+1日=赤ちゃん……となる」
なんて?
「365×30+(30/4)回同じ計算を繰り返しても変わらない為、(10957)赤ちゃん+1日=赤ちゃん…となるのだわ。
よって彼等は赤ちゃんであり、バブバブ言っても甘やかしてもおかしくない。Q.E.Dなのだわ」
成程、人生は膨大な「赤ちゃん+1日」から成り立っているから地上げ屋がこようがジジイが来ようが、ましてコルネリア31歳がオギャろうが赤ちゃんと定義できるということか。賢いな。
「そんなわけがあるかよ!!!」
狂ってんじゃねえか常識枠その1。
「まあ仕方ありません、母未経験ですがやるからには本気でオギャらせるしかないですね……」
「……色々言いたいことはありますが、この手の依頼は下手に躊躇うからだめなんですよ」
なおシフォリィと正純は既にこの状況に順応しようとしており、傍目に見れば狂気とすら言える状況への適応速度を感じさせた。親の顔より見たクソ展開に慣れた正純だが、そもそも親の顔を覚えていないのだった。
なんでこんなに重い話がトンチキのスパイスになってんだろうな。
「あ、巫女服は私が貸し出しますね。存分に着こなしてください♡」
「問題ないわ、ここにいるのはニコラスじゃなくてニコラ(源氏名)だもの☆」
とはいえ神職に就く者として神の衰退は放っておけない。即座に巫女服を用意し仲間達に着せようとした正純は、即応したニコラ(源氏名)の姿に目を細めた。
「うわキツ」
「この神社の(黒)歴史筆頭候補じゃねーか」
「あうー……だぁー!」
「ママ(意味深)っぽくはありますねえ……」
グリジオ、紫電、コルネリア、再遊戯から一斉にダメ出しを食らったニコラ(源氏名)は既に死にたくなっていた。だが残念ながら彼女(源氏名)には逃げ場などないのだ。
「私のママ完全武装でオギャらない子はいないのだわ! かかってくるがいいのだわ!!」
華蓮は完全なる臨戦態勢を以て、例大祭の開催に臨む。果たしてこの例大祭、無事で済むのだろうか……? 既に色々とダメそうだが。
●考えるんじゃない、知識もいらない。ただ感じろ
「……で、だ。諦めて巫女するにしても割と致命的な問題として『無機物である紫電(オレ)には母親がいない』というのがな。打った刀鍛冶のことしかわからん。それに宗教関連にも関わったことがあまりない。ぶっちゃけ何をすればいいのかわからない。地母神でも拝めばいいのか?」
「私にもわからないわ、でもそこは雰囲気で頑張れば大丈夫よ!」
「大丈夫かニコラス」
紫電はオギャるという行為がわからない。バブみという概念がわからない。なにもかもちーーっともわからない。だが、コルネリアが明らかに赤子RPをおっぱじめてみたり、グリジオの周囲から『俺は子供なのだから大抵のことは許されるんだぞ』みたいなオーラを感じ取れば、まあその逆をいけばいいというのはわかる。そしてニコラ(源氏名)なんて一切理解してないのに自己暗示でママっぽくなったので割とヒいた。
「大丈夫です、私に秘策があります」
そんな混乱の渦中にある紫電の助け舟となったのはシフォリィ。よもやこのタイミングでなにか、と思えば彼女の横にはそれはそれはフリッフリでフワフワの馬車が鎮座していた。なんだこれ。
「これぞ馬車ならぬバブ車です! 上姉様から聞いた赤子の道理を反映させこうして! こう! 有難う上姉様!」
『赤子はままならない物、根気強く我慢する心で相手を受け入れるのよシフォリィ』。現実と一緒よ、とまでは言わなかったかもしれないが成程、これはアレだ。オギャり欲持ちホイホイだ。
「あ? ぶぅぅぅ! あぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ああっ、コルネリアさんがそっち行ったのだわ!」
当然だがバブみに飢えているコルネリアもホイホイだ。華蓮は慌てて追うが追いつけない。
「大丈夫です、このまま行きましょう」
「大丈夫なのか正純!?」
「コルネリアさんは今赤子、つまりオギャりのお手本です。バブみを長らく浴びていなかった人達はうまくオギャれると思えません。手本がいるといないとでは大きな差があります。……違いますか?」
「きっとこれ誰かに言わされてるのだわ」
なんのことやら。
「まさかこの神社で例大祭とはなあ。何処にそんな予算が――」
かくして縁日めいてはじまった例大祭、地元の人間というのはなんだかんだで催しとなれば駆けつけるもの。それがたとえ不安要素含みであっても。そんな彼を出迎えたのは。
「おかえりなさい」
「えっ、あっ、ただいm」
ぎゅっ。
再遊戯の極めて自然な出迎え、そして自然な抱擁であった。その体躯を考えると非常に青少年のなんかが危ないのだが、溢れ出る母性により相殺されている。スキルの一つもねえのにな。
「さあ、こちらへいらっしゃい。貴方は赤ちゃん、全てを忘れてオギャるんです……」
「は……あ……ばぶぅ……」
シフォリィが畳み掛けるようにでんでん太鼓を鳴らしながら胸元の重石を揺らして現れると、参拝客は即座に彼女の醸し出す母親っぽい雰囲気に絆され、ふらふらとついていってしまう。そしてバブ車に乗り込むと。
「ぶぅぶぅぅ……」
「あ……あぅー……」
コルネリアがいるってワケよ。
(他の皆が母性でおぎゃらせるならば、此方は同じ立場からオギャらせるってワケよ。これぞ『共感性バブみ症候群』……!)
作戦じゃなくて普通に病名みたいにしてんのどういうことなんだろう。
そしてその頃、ぽつぽつと増え始めた客達は正純の温かみのある演説に聞き惚れていた。
「さあ、みんな。今日は日々の疲れを忘れて、存分に私たちに甘えて行ってくださいね?」
「え……そんな俺達はそんなトシじゃあ」
「え? 恥ずかしい? 大丈夫。ここにいるあなた達は皆赤子、母に見られて何を恥ずかしがることがありますか。
さあ、おいで。怖がることはありませんよ。母が撫でてあげましょう」
「そ……そう、か……?」
堕ちたな(確信)。
「そもそもバブみとは本能だ。
社会のルールや常識や理不尽その他諸々、何も知らず考えず泣いて食べて眠っていたあの日々。温かな肚の中で優しいノイズと愛情にただ包まれていたあの頃に戻りたい。
その願いを叶えてくれる場所があるならば、本能が抗える訳がないだろう」
「ああ……兄ちゃんの格好を見るとスゲえ説得力があるぜ……」
グリジオはおしゃぶりを口に、ガラガラを手に、しかし外見は巫女装束で人々の前で大演説をぶちあげていた。コンセプトはコルネリアに遠からずだが、明らかに色々とおかしい気もする。
「細かいことはいいのよ! ママに身を任せて一眠りすればすぐだわ!」
「うわキツ」
「すぐだわ!」
「……はい……」
ニコラ(源氏名)のところがすごい地獄絵図っぽいことに目をつぶれば大丈夫。
「兄貴ィ、こいつぁ何ですかい?」
「俺に聞くんじゃねえよ。あいつらにこんなことできる人手も余裕もあるか?」
「そんな……ワケねえ……神主以外いねえんだ……」
地上げ屋達は、当たり前のように盛り上がっている例大祭の状況に動揺を隠せなかった。今日こそは心根を折ってやろうと大勢連れてきた筈なのだが、それを上回る参拝客と奥から聞こえる野太いバブり声。異様だ。
「なんだか疲れてる顔してるけど大丈夫?」
「さあいらっしゃい……どうしたの? お家に辛い事があるのかな?」
「あァ!? 誰に断って催しごとしてんだオラァ!?」
そんな彼等を見咎めたのはニコラ(源氏名)と華蓮。地上げ屋達を椅子に座らせると、お茶を提供し話を聞く構えを見せる。
「ふふ、いいのいいの。ひとつずつ話をきいてあげるからね」
「そうじゃねえよ! ちゃんと話を――」
「あらあら、そんなに悪ぶって」
華蓮がしっとりとした声で男達から話を聞こうとするが、何分かれらも地上げ屋としての意地で反論しようとする。しかし、そこに現れたのは正純だ。
「でも私には分かります、あなた達がそうなったのはきっと、とても辛いことがあったのでしょう。ええ、言わずとも分かります。だから、母が叱ります」
「……は?」
「めっ!」
「ああああぁぁぁぁ……」
「兄貴ィ!?」
正純の腕が振り上げられ、しかし優しくリーダー格の男を小突くと、彼は一瞬で腰砕けになった。
「はい、これで私はあなた達の全てを許します。
さあ、もう悪いことはやめて、しっかりとした人生を送りましょう?
もちろん、今日は存分に甘えていいですからね。
さあおいで。大丈夫、ちゃんとごめんなさいすればみんな許してくれますから、ね?」
「ごめんなさいぃぃぃ……あうー、だー……?」
「あァにきぃぃいぃィ!?」
「地上げとかめっですよ?」
「えっ、はい……」
「良い子良い子……大丈夫なのだわよ……。ほら、お菓子を食べておねむしましょう……お歌も歌ってあげるのだわ。
赤ちゃんだもの、おぎゃーとかばぶーくらいで大丈夫……難しい事は忘れるのだわ」
『兄貴』は完全に正純の手に堕ち、他数名もあっという間に華蓮のカウンセリングとイリーガルユースオブハンズ(頭なで)の前に屈していった。そして、それに動揺するメンバー達もまた、再遊戯のおむねと母性に堕つ。
「あ? ぶぅぅぅ! あぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!! けほっ! ごほっ! ハァァックショイちくしょうがぁ! だあぁぁうぅぅ……」
絶対素が出ているコルネリアが誰かを求めて出ていくと、そのバブ車に乗り込む地上げ屋達。完全にオギャっている。そして、そこにおしゃぶりを加えたまま現れるグリジオ。混沌の極みである。彼は再遊戯とともに賽銭箱の前まで地上げ屋を導くと、もっともらしい言葉を放った。
「彼女たちが振り撒く溢れんばかりの母性をただただ感受することが許された幸福と平穏を前に、争いなんてまるで必要ではないことに気付くだろう。
大丈夫、その身一つあれば良い。重たい小銭も嵩張る紙幣も賽銭箱に投げ入れてしまえば産まれたあの頃と同じ心地良い無防備さのまま受け入れて貰える」
「ママが参拝の仕方教えてあげるね?」
二礼二拍手一礼を丁寧に真似させた再遊戯は、そのままグリジオの言う通り財布を全部ブチ込んだ地上げ屋達にお守りを渡していく。
「これをママだと思って持って行って? まったく……男の子はやんちゃなんだから……」
「母性を一心に込めた御守りは例えここから離れたっていつまでも優しく心を包み込んでくれるだろう。
恥も外聞も気にすることはない。だって本能が求めているのだから。
誰に咎められることもない与えられて当然の愛を、さあ、一緒に全身全霊で浴びようじゃあないか」
彼等はこの一連の流れで、非常に満たされた気分になった。お金はない。だが、全身にとても重厚なバブみを受けたのである。
『新しい宗教なのだわ』
『呪いはいつだって耳障りが良いのだわ』
グリジオの耳元で聞こえたかもしれないそれを、地上げ屋達は聞かずに済んだらしい。幸運なことだ。
「ぶえーー……きゃははははは!ねむねむ、すやすや……じゅるり」
引き続きオギャり倒しているコルネリアは、去っていこうとする地上げ屋達を前に突如、本性を顕にした。
「いい夢見れたかい?」
ええ、とっても。
●オギャった連中のその後について
「いやあ……ここまでの成果を上げてくれるとは予想外だった。特に君、なんていうか……なんかこう、凄かったね」
並び立つ屋台の撤収をひとしきり指示し終えると、神主は満足げな顔でイレギュラーズのもとへと歩いてきた。これからテラ銭(神社だが)がガッポリ舞い込むのだろう。報酬ももらえるのだから悪い話ではないのかもしれない。
神主はグリジオの肩を叩き『凄かった』と称した。彼が言葉巧みに地上げ屋達を言いくるめた結果、彼等の財布は賽銭箱の底に落ちた。ついでに財布の中に雑に入ってた書類なんかも放り込んでしまったようだ。
「いいってことよ。アタシはあいつらにオギャることのなんたるかを叩き込んでバブみを教え込んで、もうバブみなしでは生きられなくなるように仕込んだだけなのだわ。これぞ『悪のバブみ』、この上ない悪行……!」
「明らかに人生に疲れていた風の人たちに甘えることを教えて休ませたのは善行なのでは……?」
鼻を鳴らして自慢気に胸をそらしたコルネリアだったが、再遊戯のツッコミに思わず顔をこわばらせる。『マジで?』という表情に、一同は深々と頷いた。
「あいつらも母持愛心命神社の愛を受けた愛子(いとしご)達なのよ。同じように愛を受けた者として、私はあいつらを思う様オギャらせたのだから……」
「いやニコラスさん、そろそろ戻っていいんですよ?」
「殴っていいか神主」
「アイエッ!?」
完全にニコラ(源氏名)から戻ってこないニコラス。ぶっちゃけ突っ込むのも疲れたから任せたいなという気持ちのシフォリィ。そしてもうなんか甘えさせた挙げ句色々限界が来ているので依頼主で発散したい紫電。
「練達にこの記憶を消す装置とか無いかしら???」
「はーーーー、クソがよ!!!!!!」
なお、華蓮ならずとも記憶を消したい派イレギュラーズは多くおり、更には先程までのバブ巫女モードの反動で巫女どころか女性にあるまじき暴言を撒き散らす正純の姿があるが、ぶっちゃけこればかりは許してやってほしい。
「さてこれで概ね依頼は達成だな……ばぶぅ」
「そーね、ワタシ……ぶー、あうー、きゃっきゃっ、だぁーーーー」
主にオギャっていたグリジオとコルネリアは、しかしもとの言葉に戻そうとして赤ちゃん言葉を自然に口にしていた。
「本当、この記憶消すことはできないのか? なあ?!」
そこ(練達)になければないですね。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
いや……これ何? 本当に何、これ……?
GMコメント
●成功条件
・例大祭の成功
・地上げ屋全員の無力化(戦闘の有無を問わず)
●母持愛心命(おもちまなこのみこと)神社
長いからバブみ神社な。
母からあふれる母性を神性とする神社である。
近年人口が減ったり少子化が進んだりバブみ減少傾向が激しく、人々は絵のなかにバブみを見出し現実に帰ってこなくなったがために急激に神性がアレして人が来なくなったという。絶対別の理由あるよね?
今回はこの神社の例大祭に伴う人々をイイ感じに呼び込んでオギャらせ倒す必要があります。
なお1人オギャらせれば午後には20人のオギャり候補が増えるような感じのアレ。わかれ。
●バブ巫女
赤ん坊くらいのサイズの抱石を抱えたり母性を振りまいていく巫女。決してオギャらせるとは「オタクに優しいギャル」のことではない。
〇母性、優しさ、寛容の心
×結婚願望、花嫁押しかけ系、『自称〇〇』全般
多分リクエストの4名はそこんとこセーフと言う扱いがスタートライン。
〇×要素(ほかにもある)に比例してやりづらくなるがプレイングと気合いで余裕で跳ね返せます。
ほーら跳ね返せ♡
●地上げ屋の皆さん
神社でさんざん儲けたんだろォ? そろそろその土地売ってくれませんかねえフルーツライン(死語)通すから!
そういう人達。
なお家庭環境に致命的なブツを抱えた野郎揃いなのでバブみにはすこぶる弱い。
オギャらせてやろうぜ。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
Tweet