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シナリオ詳細

<ヴァーリの裁決>陽光の下の狩獣

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<ヴァーリの裁決>
 ローレットが本拠地を構える幻想王国、そのちょっと北部に当たるアーベントロート領。
 空には明るく陽光煌めく、春も間近なある日。
「あぁ……今日もお日様一杯だなぁ……」
 うーん、っと大きく体を伸ばし、深呼吸。
 うららかな日差しは、その心をぽっかぽかに温めてくれる。
 ……そんな暖かい気候に抱かれながら、今日も今日とて家庭菜園の農作物に感謝し、手入れをする毎日。
 そんな、いつもと変わらぬ日常が今日もまた過ぎるだけ……と思っていた。
 ……だが。
『グルゥゥ……』
 と、そんな領地に忍び寄りし獣……いや、魔物。
 彼らは最近、この幻想王国の各地に出没しつつある者ども。
 何故幻想の領地を襲うのかは解っては居ないし、その対処法もイレギュラーズの者達に倒して貰う他になく。
「え……う、うわああ、出たぁああ!!」
 驚き逃げる領民達を、魔物達は地を、空を駆けて襲い掛かろうとしていた。

●陽光の下の狩獣
「イレギュラーズの皆さん、ちょっと良いです? こっちに来てほしいのです!」
 と『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が、ギルド・ローレットにいた君達を手招き。
 そしてユリーカと肩を並べていたのは、炎堂 焔(p3p004727)。
 何故彼女が……と思って居ると、ユリーカはこくり、と頷いて。
「ええっと、幻想王国に現れる奴隷商退治、皆さんお手伝いいただきありがとう、なのです! でも、そんな奴隷商の暗躍の影で、最近なのですが別の事件が報告されているのです」
「これは極秘情報なので、皆さんも黙っていてほしいのですが……王家のレガリアの一つが眠る『古廟スラン・ロウ』の結界に何者かが侵入してしまって、そこのレガリアが奪われて仕舞ったのです。さらには伝説の神鳥が眠る『神翼庭園ウィツィロ』の封印もまた暴かれてしまったのです!」
「それに影響されてしまったのかはよく分かってないのですけれど、その事件とほぼ同時に別の事件が発生しているのです。それは、幻想王国の各地に魔物が出現してしまう、という事件なのです」
「魔物達は、幻想王国の各地に広がる領地に襲撃を仕掛けているのです。隣にいる焔さんの『お庭』にも、この魔物の魔の手が近づいている様なのです。このままでは『お庭』が大変な事になってしまうので、イレギュラーズの皆さんに力を貸してほしい、って訳なのですよ!」
「そうなんだよ! ボクの領地に来る魔物なんて、一人だってぶっとばしてやりたい所なんだけど、領民さんもいるから手を貸してほしいんだよ!」
 ぐぐっ、と拳を握りしめるユリーカと、焔。
 お互いに頷き合って、そして。
「まだまだ事件のつながりってのは解らない所なのですが、皆さんの領地にも魔物達が攻め入る可能性は充分にあるのです。一つ一つ、しっかりと潰していく事が大切だと思うので、イレギュラーズの皆さん、よろしく頼むのですよ!!」
 と、元気よく頷くのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回の依頼は、炎堂 焔(p3p004727) さんの領地『お庭』に攻め入る魔物退治、となります。

 ●成功条件
   領地へと襲撃に来る魔物を退治する事です。
   勿論ですが、領民の方々を守る事も必要になります。

 ●情報精度
   このシナリオの情報精度はBです。
   依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●ブレイブメダリオン
  このシナリオ成功時参加者全員にブレイブメダリオンが配られます。
  ゴールド、ミスリル、アダマンタイトとメダルごとにランクがあり、
  それぞれゴールド=1p、ミスリル=2p、アダマンタイト=5pとして扱われブレイブメダリオンランキングにて総ポイント数が掲示されます。
  このメダルはPC間で譲渡可能です。

 ●周りの状況
   今回の舞台は焔さんの領地『お庭』の『家庭菜園』の辺りの様です。
   魔物達は、家庭菜園で育てられている農作物が狙いの様です。
   また、喉も渇いているのか、お水がある所も狙いになるようです。
   つまり、『農場』『井戸』『水道施設』~『水道橋』の辺りが魔物のターゲットエリアになりそうです。
   家屋エリアの傍らなので、領民の方々に被害が行かないよう、身を呈して守っていただく必要があるでしょう。
   
   敵となる魔物達については、巨大な人型の『巨人』達が大半となりますが、数匹『鳥』の敵もいるので、陸と空の両面に対処する必要があります。

 ●討伐目標
   敵となるのは、お腹をすかして凶暴化している『オーガ』が10体、同じく凶暴化してる『グリフィン』が二匹です。
   オーガについては主に農場、グリフィンは水系施設を中心に狙います。
   オーガの攻撃手段はその手の棍棒の様なモノを全力で振り回して攻撃するのみです。
   バッドステータスとかはないものの、高い攻撃力、さらには大きく振り回すことで建物破壊……なんて羽目になりかねません。
   また、お腹がすいてるので常に狂気状態になってます。
   自分に攻撃する可能性がありますが……ただ体力はその巨躯に応じて高いので、中々倒れないでしょう。
   一方グリフィン二匹については『飛行状態』で攻撃等を行い、怪鳥の鳴き声を上げて『混乱』のバッドステータスを範囲に広げてきます。
   ただ二匹のグリフィンは体力はそこまで高くありません。

   それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <ヴァーリの裁決>陽光の下の狩獣完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年03月27日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
月錆 牧(p3p008765)
Dramaturgy

リプレイ

●お日様の下で
 ローレットが本拠地を構える国、幻想王国。
 その北方『アーベント領』に領地を構えるのは、『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)。
「もう! 最近他の場所で戦ったりしてたから、最近幻想のあちこちで鳥や巨人の魔物達が暴れているのは知ってたけど、ここにも来るなんて……」
 と、少し信じられないといった表情を浮かべる彼女。
 そんな彼女に対し、『希望の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)が。
「そうだね。幻想の領地に相次いで侵入する敵……イレギュラーズの領地だからか、それとも幻想という国に恨みがあるのか……多分後者か……」
 と首を傾げると、『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)も。
「そ、そうかもしれないのだわ……あっちに行ったりこっちに行ったり……ちょっとお仕事多すぎて大変になって来てるのだわぁ……」
 ここ数日、幻想国領内で大量に発生している、イレギュラーズの領地への襲撃。
 ローレットに近いからこそ、左へ右へ、北へ南へ……と幻想王国を走り回るイレギュラーズ達にとっては、目の回る忙しさなのは仕方がない所。
 でも……。
「こ、この事件が終わったら、レオンさんに褒めて貰おう……あわよくばデートとかして貰おう……なのだわ……その為にも、この事件は絶対に解決させなければならないのだわ……」
 多分に私欲が混じっている様な気もするが……動機は何にせよ、イレギュラーズの領地への襲撃をむざむざと放置しておく訳には行かない。
 ……とは言え今回、焔の領地に攻め入ってきたのはオーガとグリフィン。
 ただ、そのターゲットとしている場所は何故か、焔の領地の中でお野菜などが栽培されている『家庭菜園』である。
「うーん……魔物の世界では食糧難が申告なのかしらね?」
 と『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)が小首を傾げると、それに『春告げの』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)が。
「ええ……それも魔物ですか……常ならぬ、妙な動きです。仮に食糧調達の為であろうと、早々纏まって遠く人里にまでやってきたりはしない筈なのですが……」
 そんな二人の言葉に対し、『Dramaturgy』月錆 牧(p3p008765)と『咎人狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)も。
「ええ……豊穣生まれの私も蕪や大根などを作って食事の足しにしてきました。畑や水田を荒らせば神の罰を受ける、すなわち罰当たりであると教えられて来ました……しかし、豊穣の神はここには居ないでしょう。ならば罰当たりとは何か、をわたし達が奴等に示してあげなければいけませんね」
「そうだね。農作物への被害もそうだけど、魔物の群れが迫ってきているだなんて、領地に住んでいる人達も不安だろうからね、早々に始末しないといけないね!」
 それに焔が。
「そうだよ、大事に育ててきた畑を魔物にあらされたりなんかしないよ! 皆、力を貸して!!」
 強い口調で、皆に頭を下げる。
 それにアリアと女王も。
「うん。いずれにせよ手塩に掛けた領地をむざむざ破壊されるのは許されないね! 焔ちゃんのためにも頑張るよ」
「そうね。縄張りを争うとする彼らには、それ相応の報いを受けてもらうわ。まぁ、どこの世界でも同じ事だと思うけれどね」
 と言い、そして『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)が。
「そうだな。さぁ、まずは気を引き締めて仕事と行こう」
 と眦を引き締め、そしてイレギュラーズ達は焔の『お庭』の『家庭菜園』へとたどり着くのであった。

●鳥が零すもの
「ふむ……すがすがしい空気に美しい景色。実にここは素敵な土地だね?」
 そして家庭菜園にたどり着いたイレギュラーズ……マルベートが周囲を見渡し、一言。
 その言葉に焔はちょっと嬉しそうに。
「うん……! ありがとう!」
「いやいや、礼には及ばない。今日は些か騒がしくなるが……落ち着いたらゆっくりと歩き回って見たいものだ。その為にも、早々に始末しなければね」
「そうだね……みんな、魔物が来るだなんて思ってないだろうから、急いで避難させないと!」
 元気いっぱい、そして空に目を凝らす。
 ……すると、遠くの方からバサバサと翼を翻して近づいてくるグリフィンの姿。
 更にドシン、ドシン……と血を震わす巨体、オーガ達も村に向けて近づきつつある。
「早速来たね。みんな慌てないで!! こっちに走って!」
 領主として声を上げて、水場の東の方に広がる、何の施設も設置されていない所へと皆をせかす。
 それと共にグリフィンに向けて警戒するリースリットとアリア。
「しかしアーベントロート領のこんな深くまで入り込んでくるなんて……それに、少々様子も変ですね……」
「そうだね。でもそんなのを調査している暇は無いかな? 空飛ぶ敵に領内の奥深くにまで侵入されたら、被害が大きくなるからね。マルベートちゃん、そっちの鳥さんはお願いしちゃうね?」
「うん、了解だよ」
 そしてアリアがまず、空高くを飛ぶグリフィンに向けて超越者の系譜を射抜き、リースリットも雷光の剣。
 流石に距離が離れており、敵は容易く躱してしまうが……攻撃してきたイレギュラーズをまずは殺すべき敵として判断した様で、二人の所へ急降下。
 間合いに入ったところで、甲高い鳴き声を上げてイレギュラーズ達へ混乱効果を及ぼしてくる。
 ……が、怪鳥の鳴き声を魔雷纏繞で抵抗力を高める事で対抗するマルベート。
 勿論その間も、焔は領民達を避難させつつ、距離を取ったところから火炎弾を放つ。
 ただ、大きなダメージを与えれば領民達にも被害が及びかねないので、攻撃は控えめ。
「こっちは手早く片を付けて、早くオーガ側に合流しないと……ですね」
「うん。みんなを避難させたらすぐに戻るから、ここは頼むね!」
「ええ……分かりました」
 リースリットと焔の言う通りグリフィン達を相手にする四人の一方、農場の方へ急ぐのは女王、華蓮、アイリス、牧の四人。
 オーガ達が領の敷地内へと到着する前に農場にたどり着くとすぐに。
「皆、我(わたし)が来たからには安心してほしい。オーガの群れがこちらに近づいている、だからこの者についていき、避難をしてほしい。焔からの伝言だわ」
 と女王は執事の姿をした使い魔を召喚し、周りの人達へ、彼について行くように伝える。
 勿論焔の、という言葉に分かった……と頷き従う領民達。
 そうしていると、オーガ達は領地外から……食べ物のありそうな農地に接近。
 そんなオーガの方向へ、ゴリアテと馬車運搬に掃討する陸上運搬にいくらかの樽に詰まった食料品を乗せるアイリス。
「これで少しでも匂いにつられてくれれば戦いやすくなるんだけど……どうなるかな?」
「そうね……お腹がすいている様だけど理由も分からない。まぁ農場の作物を狙うという事は、十分可能性はあるかもしれないわね」
「うん。それじゃ……行かせるよ」
 そしてアイリスが、馬車とゴリアテをオーガが来る方向へと向かわせる。
 ……オーガの鼻孔に、大量に詰まった食べ物の匂い。
『グゥゥ……!』
 お腹の音なのか……怒りの声なのかは分からないが、一言うめき、馬車に駆けるオーガ。
 巨大な棍棒を振り落とし、地面に落ちた食料を貪る。
 ……とは言え乗せられる食料の量はそんなに多く泣く、中途半端な量にオーガ達はもっと飯を寄越せぇ、とばかりに咆吼を上げ、変わる事無く接近してくる。
 ……とは言え多少時間は稼げたので、農場の辺りに居る領民達はあらかた避難完了。
 そして10人のオーガ達を農場の入口付近で待ち伏せ。
「余りここで戦うのは得策ではないのだわ……でも、余り奥にまで行かせたくもないのだわ……」
「そうですね。ならば……建物に出来る限り被害が行かないよう、ここで全て仕留めましょう」
 華蓮に牧が頷き、そして牧は毅然とした態度で。
「罰当たり共、あなた方に天罰を下すべくここに参上!」
 とオーガ達へ名乗り口上を言い放つ。
『グガァァ!!』
 その声に、更に逆上して棍棒を振り上げるオーガ達。
 そんな彼らの手前に華蓮が持ってきた、色んな食材を塩ゆでしたり、サラダにした料理を見せてみる。
 ……が。
『ガァウウ!!』
 棍棒の振るう勢いは変わらず、地面もろとも抉る。
 その攻撃に女王が、享楽のボルジアを先手の一撃として放ち、敵に致死毒の効果を付与。
「かなりしぶとそうだから、まずはこれで削っていきましょう」
 と女王に、華蓮とアイリスが。
「ええ……こちらは10体、グリフィンが2体……グリフィン班が合流するまで、最小限の被害に収めるよう、頑張るのだわ」
「うん。この戦線以上に攻め込ませない様に頑張るよ!」
 と気合いを入れるのであった。

 そう、オーガに仲間達が対峙する中、地上にグリフィンを引き寄せたマルベート、リースリット、アリア。
 再び空に飛び上がられては面倒な事になるので、地上に縛り付けておく必要があった。
「さて……と。では、殺し合いを始めるとしようか!」
 とマルベートが饗宴への誘いを発動し、グリフィンに更なる怒りを刻みつける。
 地上近くで羽根をはためかせるグリフィンに、リースリットが雷光の剣で一閃を咥え、更にアリアも後方から。
「相手は鳥だけど、でも呪いの歌は沁みるでしょ?」
 と『ウェンカムヒ』を奏で、様々な麻痺効果を立て続けに付与していく。
 動きがかなり緩慢になり、動きづらそうなグリフィン……だが、麻痺効果を受けなかったもう一体はバサバサ羽を震わせ、暴れる。
 そんなグリフィンを必死に抑えるマルベート。
 避難誘導が完了するまでは、三人で抑え込まなければならない。
 二刻、三刻……と時計は進み、四刻目にやっと焔が合流。
「お待たせ! もうみんな大丈夫だよ!!!」
 と仲間達に笑いかけながら、マルベートの対峙するグリフィンに相対。
「それじゃ、急いでこのグリフィンをやっつけよう!」
 焔がすぐさま烈火業炎撃を放ち、グリフィンへ攻撃。
 その一撃にまたも悲鳴を上げて混乱を齎そうとするのだが、瞬時にPCATを発動したアリアはそれに抵抗。
 更に彼女が『蛇骨の調』で傷口を広げるバッドステータスを大量に追加。
 ……さすがに体力が削られては、一端距離を取り回避行動を行おうとするが。
「翼を持つのは君達だけではないんだよ?」
 と、マルベートも飛行し追跡し、そこで再度饗宴の誘いで怒りを付与し、また降下。
 地上においては、流石にグリフィンの素早い動きも大幅に制限されてしまい、上手いこと対抗出来ない。
 ……そんなグリフィンを執拗に、そして的確に追い詰め、数刻で一匹を撃墜。
「さぁ……喰らわせてもらうよ」
 更にマルベートがハルメギドを発動し……敵を喰らう。
「……あっさり気味か。やはり世界間で違いがあるようだな」
 と一言零しながら、仲間達の元へ。
「よーっし、それじゃ続けてオーガを仕留めに行くよ!」
 と焔の言葉に頷き、四人は農場へと急いだ。

「みんな、お待たせ! 大丈夫?」
 その場を守る如く、焔が保護結界を周囲に展開し、対峙し、合流したイレギュラーズ。
 流石に4対10という数の差もあり、基本的には防戦するしか出来なかった。
 だが、仲間達が来たからには8対10……互角には戦える事だろう。
「グリフィンは……倒せたようですね?」
 牧の言葉に頷くリースリット。そしてオーガを見据えながら。
「しかしこちらはオーガの群れですか。こんなにオーガが群れて襲ってきてるなんて、やはり何かおかしい気がします」
 と零す。
 ……とは言えども、悠長にそれを調査している余裕が無いのも明らか。
「そう、飢えた魔物達にも言い分はあるかもだけど、人に害成す者に情けをかける気は無いよ!」
 と、今迄防戦していたアイリスも敵陣深くへ突っ込み、「対群精神感応攻撃術式「狂月」」を発動し、恍惚、狂気、呪縛、と大量のバッドステータスを追加付与。
 苦しむオーガが、棍棒を振り回して反抗してくるが……時間経過と共に女王が最初に付与した致死毒の効果が意外と周っており、オーガ達はかなり苦しそう。
 更に女王は。
「「満たされることのない飢餓の苦しみ、渇き……全てを救いましょう。冷たい死の口づけ、棺(タナトス)からの呼び声に身を預けなさい」
 例え致死毒から逃れても、すぐに致死毒が回る……その繰り返し。
 それから逃れようと、更に暴れし敵。
 そのダメージは、一歩下がった位置から華蓮がミリアドハーモニクスや天使の歌を歌うことで、回復する。
 そして敵の攻撃を乗り越えた先、牧の斬神空波と、アイリスのスーサイド・ブラック、マルベートの魔門開放に、リースリットの神鳴る縛鎖、と立て続けに仕掛ける。
 流石にそんなイレギュラーズの集中砲火の前に耐えきれず、堰を切ったかの如く一匹、また一匹……と倒れ始めるオーガ。
 そんなオーガ達を一瞥しながら、数刻。
 10体居たオーガは、とうとう2体にまで減ってしまう。
 であろうとも、オーガ達は決して退くことは無い。
 ……そして。
「さぁ、応えなさい天乖剣。疾走は軍を破り、怒濤となりて蹂躙を成す!」
 全力で放った女王の剣魔双撃が、一体を完膚なき迄にたたきのめす。
 そして最後の一体に。
「これで最後です……!」
「何で領地を侵しているのか分からないけど、ボク達の領地を襲撃する様ならこんな目に合うって、身を以て理解するんだよ!」
 牧の烟波縹渺に、アイリスのスーサイド・ブラックが連打され……その一撃に、オーガ全ても打ち倒されていくのであった。

●陽光に温う
 そして、どうにか襲来する魔物達を仕留め終えたイレギュラーズ。
「ふぅ……終わりましたか……」
 と、深く深呼吸する牧。
 そして周りを見渡せば……流石に中々な被害が見て取れる。
 とは言えあれだけの数の襲撃を相手にした中にいては上々と言えるかもしれない。
「ふぅ……とりあえず、被害は最小限に収まったのかな?」
 とアリアが頚を傾げ、それにこくりと頷きながら焔は。
「そうだね……うぅ、倒し終わった後の方が大変だよ。でも、早く元通りに出来るように頑張らないとだよね! よーっし、領主として、ちゃーんと見回るんだ!」
 表情をコロッと変えながら、颯爽と街の人々に声を掛け、怪我をした人を治療、そして壊れた場所のリストアップをしていく焔。
 そんな領主のお仕事を頑張る焔を横目に、リースリットが。
「それにしても、グリフィンといい、オーガといい、本来の住処から遠く離れて襲ってきている……のでしょうね。ユリーカさんの仰っていた古廟スラン・ロウと神翼庭園ウィツィロの件が、全国的に発生している魔物の異常行動と襲撃に関係している……と。空腹というには狂乱すらしているような様子ですし、可能性はあり得ますね」
 考察すると、それにアリアが。
「そうだね……今回はなんとかなったから良かったけど……同じような襲撃が続くとすると、国家として何らかの手立てを要する事になるのかなぁ?」
 と頚を傾げる。
 無論、最近多発している、イレギュラーズの領地を襲うこの事件を放置する事は出来ない……だからこそ、ローレットに度々依頼が発せられている訳である。
「まぁ、一つ一つしっかりと潰して行く事以外、今の我(わたし)達に出来る事はなさそうね。地道に一つずつ潰して行く他にないでしょう」
「そうなのだわ。ちゃんと一つ一つのお仕事を解決していくのだわ!」
 女王に華蓮が一際強く声を上げる。
 そして、焔のリストアップした、壊れた建物リストをベースに、イレギュラーズ達は出来る部分で建物の仮復旧を手伝う。
「そっかぁ……ここが壊れたんだね? それじゃ、ボクに任せてよ!」
 と、アイリスがてきぱきと資材を準備し、マルベートが穴の空いた部分とかを修復していく。
 そして一通り修復し終わると共に、マルベートは焔に案内して貰いながら、街を散策。
 領民達の温厚な言葉に触れあいながら、この暖かい街を歩き回るのであった。

成否

成功

MVP

炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子

状態異常

なし

あとがき

焔さんへの領地襲撃シナリオに参加頂き、ありがとうございました!
お腹がすいた食いしん坊なオーガさんが何故農場に向かったのか、
喉が渇いたグリフィンさんが何故水場に向かったのか……などなど、色々考えられそうな点もありましたが……でも、守らなければ全ておじゃんになってしまいます。
もし皆様の領地が襲われた時は、是非ともお力を貸してくださいね。

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