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シナリオ詳細

<リーグルの唄>隷属の獣

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<リーグルの唄>
 ローレットの本拠地である、幻想王国。
 過去『伝説的勇者』が打ち立て、大国とはなったものの……もうその時から長い時から経過しており、今となっては建国当時の伝統と誇り、さらには理念といった物はもう……ほぼ失われてしまった。
 そして、昨今においては門閥貴族が台頭してきている。
 彼らは己が私欲を満たさんが如く、領民の人権、生活等を考慮する事など、万が一にもあり得ない事である、と。
 現国王『フォルデルマン三世』は、父王がギリギリの所で抑えつけていた大貴族連合を制御する事が出来ずに今は、貴族達のするが儘に政治は進んでしまっていた。
 ただ最近は、サーカス事件の一件以降、貴族の筆頭たる三大貴族の当主らも含め、国内の主要勢力とローレットの距離が縮まる事で、国難とも言える程の腐敗は収まっていた。
 しかし、それを良く思わぬ者も居る訳で……今迄甘い蜜を啜り続けていた貴族等は、享楽的で身勝手な彼らの目が及ばぬ所で悪事を働く者も居る。
 幻想王国にかねてより存在していた『裏市場』に、ここ最近出品され続けているのは『奴隷』……。
 恐らくファルベライズ動乱のブラックマーケットでは、奴隷を中心とした商いを行う事が難しい、と判断された結果、奴隷商人達はここ、幻想王国へと集結し、『大奴隷市』として人身売買を繰り広げていた。
 そして最近幻想で活動をしていたローレットのイレギュラーズ、アルテナ・フォルテ(p3n000007)が、最近ラサのブラックマーケットが静かである事、逆に幻想王国の裏市場が賑わいを見せていると情報屋と協力し、調査を行う。
 その結果、奴隷が何時売り出されるかを判断する事が叶う。
 人身売買という不当な行いを見逃す事は出来ない。
 その為に、イレギュラーズに奴隷達の救出と証人達の捕縛、燻る火種を消してきてほしい……という話が舞い込むのである。

●隷属の獣
「イレギュラーズの皆さーん! 度々ごめんなさいなのです! でもまた、緊急の依頼なのです……! 話……聞いて欲しいのです……!」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が、ギルド・ローレットに偶然委合わせた皆に走り回り、裾を引いて見上げてくる。
 そんなユリーカに仕方ないなぁ、とついていく君達が集まった所で。
「もう皆さんも聞いてますですよね? この幻想に蔓延る【大奴隷市】の話」
「今回もまた、大奴隷市での奴隷さんの売り買いを妨害してきて欲しい、という事に変わりは無いのですが……どうもこの奴隷市場に傭兵だけでなく、モンスターをも利用している奴隷商人さんがいる様なのです……」
「どうやってモンスターを手に入れ、飼い慣らしているのかは分からないのですが、モンスターまで懐柔出来る奴隷商人という事で、この奴隷商人にコンタクトする奴隷買いや、悪徳貴族が続出している様なのです」
「恐らく奴隷達を奪いに来られたら、それを放てば万事解決……とでも思って居るのかもしれないのですが、それに屈するイレギュラーズの皆さんではないはずなのです! そこでイレギュラーズの皆さんの力で、奴隷市場をぶっ壊してきて欲しいのです!」
「今はこうやって、噂が出て来た奴隷市場を一つ一つ、モグラ叩きの如く潰して行く事しか出来ないのが歯痒いところなのですが……でも、奴隷さんを売り買いするのは許せないのです。イレギュラーズの皆さん、どうか宜しくお願いします、なのです……!!」
 と、ぐぐっと拳を握りしめるユリーカなのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回の奴隷救出依頼ですが、奴隷達の救出もあるものの、周りのモンスター達が厄介かもしれません。

 ●成功条件
   奴隷を護り、奴隷商人の野望を潰す事になります。

 ●情報精度
   このシナリオの情報精度はBです。
   依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   今回の舞台となるのは、王都より北方、つまりアーベントロート領に賊する小さな一領地の【ウェセター】領です。
   とは言え、今回領主は関係無く、勝手にその領地で奴隷市を開いている様なので、領主に何を言っても無駄です。
   (実際、領主が奴隷市を開いているのを好んでいるかどうかは、現状では分かりません)
   
   奴隷市場は街のどこかで開かれていますが、当然ながら表だって開かれるものではありません。
   まずは街の何処で開かれているか、を調べる必要があります。
   とは言え奴隷商人は街の外から流れ着いてやってきた者達ですので……聞き込めば、自ずと場所とかは明らかになるでしょう。
   
   奴隷市ですが、奴隷として売り買いされているのは労働力として丁度良い位の、20歳近辺の男女が5人程です。
   当然暴れられると困るので、両手、両脚が拘束されており、動く事もままなりません。
   ただ彼らは逃げる意思は失っていません。イレギュラーズの皆さんの手助けがあれば、自分から逃げる事は可能でしょう。
   当然足かせで動きは鈍いので、放置すれば普通に追いかけてくる奴隷商、傭兵、モンスターに捕まってしまいますので、敵陣の妨害は怠らないように御願いします。

 ●討伐目標
   敵として出てくるのは奴隷商が一人、傭兵が3人、そしてモンスターとして奴隷商が手に入れた(仕入れた)スライムが4匹、三つ首のケルベロスが4匹となります。
   
   奴隷商については、戦闘能力は殆どありません。市場を妨害された時には基本的に逃げる事しかしません。
   とは言え逃走妨害されたら斬り付けて逃げる、位は普通にします。
   
   傭兵3人については奴隷商人の逃走支援、逃走しきった後はイレギュラーズの討伐という役割になります。
   身長と同じ位の大きさのバスターソード及び鉄鎧を装備した彼らは、一体毎にイレギュラーズの皆さん一人と相対出来る位の戦闘能力です。
   ただ彼らは金で雇われた者達なので、死にそうになったら彼らも逃げます。
   
   スライム4匹ですが、服を溶かす消化液を体内に取り込んだ者達です。
   液状の身体なので、常に物無の能力をパッシブで発動しています。
   ただ、液状の身体をある程度凝固化させれば、物無効果は解除されます。
   地面から跳ね飛び、皆さんに取り憑いてのBS付与を目的としており、消化液が装備をじっくりと溶かしますので、時限5で物理防御力を半減させる効果が発動します。
   ただ消化液以外の攻撃手段はありません。
   
   三つ首のケルベロス4匹は、その三つの首から炎、氷、雷の咆哮を放ちます。
   全て物・遠・貫の攻撃属性で、付与されるBSがそれぞれ業炎・氷結・ショックの効果です。
   連続攻撃が発動しない限り、三つのどれが放たれるかはランダムになります。
   
   それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <リーグルの唄>隷属の獣完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年03月14日 21時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

コラバポス 夏子(p3p000808)
八百屋の息子
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)
真打
ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)
復讐者
箕島 つつじ(p3p008266)
砂原で咲う花
楼蘭(p3p008421)
龍帝
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
一ノ瀬 由香(p3p009340)
特異運命座標

リプレイ

●命を買う者
 ローレットの立する地、幻想王国。
 過去の栄光は今は果て、昨今においては門閥貴族が跋扈し、力を持つ者は民の為……ではなく、私利私欲を満たすべく権力を振りかざす者が多数。
 更にそこに付け入るのは、ラサのブラックマーケットから流れてきた『奴隷商人』達による『大奴隷市』の開催。
 幻想各地で開かれている奴隷市が幻想の腐敗を招いているというのに……貴族達は素知らぬ顔を決め込んでいる様な状態が続いている。
「違法な奴隷市場は国の腐敗を招く事になる。何としても早期に発見し、叩き潰しておくべきだろう……だが、こういった闇売買は並大抵の調査では尻尾を見せる事が無い。故に慎重な調査が必要だろうな……」
 と深く思慮する『龍帝』楼蘭(p3p008421)に、更に。
「そうですねー……奴隷ですかー。私には理解できねー趣味ですねー。何故わざわざ人を生かして使うんでしょうかねー……」
 ぼんやり気味に、『《戦車(チャリオット)》』ピリム・リオト・エーディ(p3p007348)が言葉を零す。
 それに深く頷くのは、『戦神護剣』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)。
「全くだ。アーベントロート領内で奴隷売買とは、よほど命が惜しく無いらしいな……」
 このアーベントロート領に領地を持ち、彼女の派閥に属するからこそ……その領内における狼藉は決して許されざる事である。
 そんなアレンツァーの言葉に、アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は。
「この様にヒトがヒトをモノのように売り、所有する……呼び方が違うだけで、何処にでもそのような事は存在するのかもしれない。まぁ存在するから許されているという訳ではないだろうが……まぁ、ヒトがヒトとしてあるべき自由まで故なく奪う行為が「善きこと」とは思えないな」
 奴隷について思慮するが、それに単純明快な答えを持った『特異運命座標』一ノ瀬 由香(p3p009340)も。
「勿論だよ! 無理やり奴隷にされるなんて、あたしだったら絶対いや! そういう目に誰も遭わないように、捕まった人達をあたしたちで助けてあげるんだ! あたし、まだまだこういう依頼にはなれてないけど……頑張る!」
 ぐぐっと拳を振り上げ、全身全霊の気合いを込める。
 そんな由香の言葉に『八百屋の息子』コラバポス 夏子(p3p000808)も。
「そうだね。全然歓迎大歓迎、奴隷解放の依頼は喜んでするよ。いや、こういう依頼が無いのが本当は一番だけれどもね」
 と言いながら肩をすくめ、更に。
「にしても奴隷関係の依頼、最近でたらめに数多すぎんか? 魔物も絡んできていてキナ臭くなってきたしよぉ」
 とぼやく。
 確かに今回の依頼においては、奴隷商人とそれを守る傭兵だけで構成されている訳では無い。
 スライムにケルベロスという、モンスターまで飼い慣らしているという奴隷商人なのである。
「そうですねぇ……ぶら下がってる二本の脚がもったいねーですー。まあそれは置いといて、今回は任務を妨害してくるケルベロスや傭兵の脚が手に入りそうですねー……フフフ-……」
 と、ピリムが不敵な笑みを浮かべるのだが、それには触れずに
「本当、モンスターまで匹連れて奴隷市場だなんて、どれだけ傲岸不遜なんだ……」
 とマルク・シリング(p3p001309)が溜息を吐く。
 ただ、溜息をついてても、結論は変わらない……奴隷達を救う為には、ただ倒す他にない。
「そうやね。大奴隷市なんて物騒や。片っ端から潰して行こか!」
 と『砂原で咲う花』箕島 つつじ(p3p008266)が拳を振り上げると、夏子、マルク、アレンツァーも。
「そうだね。この手の話尽きるまでキッチリ根絶といきますか」
「うん。これ以上、好き勝手はさせない」
「彼女の派閥を表明している異常、見逃す訳にはいかない。ここできっちりその商魂ごと潰させて貰おう……奴隷というのは大抵、代われても悲惨なことになるしな」
 それぞれの思いと共に気合いを入れて……イレギュラーズ達は、アーベントロート領領地の一つ『ウェセター』領へと急ぐのであった。

●命の価値
 そして、『ウェセター』領にたどり着いたイレギュラーズ。
 普通の生活が営まれており、領主による統治もごくごく普通に行われていて……奴隷市場が行われているだなど、信じられるような状況では無い。
 そんなウェセター領の、一番大きな市場の所で。
「取りあえず……ここなら人と金の流通が盛んな所だ。情報を集めるには都合が良いだろう」
 と楼蘭が提案。
 確かに金の流れが多いのならば、そういった話もやり取りされている可能性が高い。
「了解だよ。それじゃあ手分けして聞き込んだりしてみようか」
 と早速夏子は、救いを求める声を感知する人助けセンサーをフル活用しながら、市場を歩くご婦人達。
「やぁ~ご婦人方、僕の顔に覚えある? そうです貴女の夏子ですよ~」
 と話しかける。
 ……突然そんな事を話しかけられて、何、この人……といった具合になるのだが、夏子は全く動じること無く。
「ねえ、最近この辺に来たよそ者の不審者がいるって聞いたのよね? それをピッとね、解決に来ちゃったワケなんだけど、何か知ってる~?」
 と問いかける。
 ……とは言えそのご婦人達は、そうねぇ……見たこと無いわねぇ……と、なしのつぶて。
 夏子の問いかけ方に、不審感を覚えて適当にあしらった、という可能性もあるけれど。
 ……ともあれ夏子がそうご婦人達に聞き込んでいるのに対し、つつじや由香、ピリムらは食料品店や料理店などの店員店主に問い合わせ。
 最近、見慣れない街の外から来た集団がいないかどうか、とか、妙な奴等を見ていないか……等問いかける。
 勿論、ちゃんと食材とかを購入して、店員にもメリットがある様にヒアリング。
 すると食料品店の店主からは、ちらほらと見覚えの無い人達が来ている……という声が聞こえてくる。
 勿論それが奴隷市の奴隷商人かどうかは解らないけれど、ある程度の出没域を狭める事が出来る。
 その情報を仲間達と共有し、その辺りを重点的にマルクが鳥のファミリアを召喚し、主に路地裏等で、怪しい人の出入りや集まりが無いかを空から探索。
 更にアレンツァーと楼蘭が、そんな裏路地に敢えて潜入。
 裏社会の人……っぽい者達に敢えて声を掛けて。
「すまないが、少しだけ聞きたい事があるのだが……」
『……金は』
「何? 聞きたい事があるのなら金をだと? ……ふむ……仕方ない」
 楼蘭は敢えて金を出し、一方アレンツァーは。
「すまないが、うちの領地にどうしても必要で、買いたい奴隷がいるんだが……道がわからないんだ」
 とにこやかな笑顔で、交渉術と共にヒアリング。その手には、かなりの額を記した小切手をちらつかせ。
「正直こういうのを買うのはなにぶん初めてなもんでして。もし教えてくれたら、礼は弾むぞ」
 と、敢えてダイレクトに問いかける。
 ……そんな問いかけに、はぁ、バカも休み休み言え……という感じの対処をする者が大多数。
 ただ、そういう問い合わせをしてきている人が居るという話は、調査すればする程に裏世界には広まるもの。
 それを常に上空から確認し続け……人々の動きをつぶさに観察し、少々時間は掛かるものの……かなり不審な動きをする一角を突き止める事が出来る。
 再びその情報を皆で共有し……怪しい地点へと到着。
「さて、と……ここかな?」
 とつつじが人助けセンサーをその周りに展開すると……救いを求める声が、ほのかに聞こえてくるので、間違いは無さそう。
「取りあえず、奴隷の位置と場所を元に作戦を立てねばな」
 と楼蘭の言う通り、上空からの俯瞰と共に二面作戦を展開し、更に情報収集。
 敵の位置を元に戦略眼から作戦を組み立てて。
「良し。それじゃあ行くとするか」
「ああ、カチコミだ!」
 と、アーマデルとアレンツァーの号令一下……イレギュラーズ達は、一斉に奴隷市へと突撃。
『な、何っ!?』
 流石に不意打ちを受けては、奴隷商人はすぐに対処出来ない。
 ただ、ある程度の戦歴を積んだ奴隷商人の傭兵達は、とっさに手元にあった檻を開き……とっさに中からケルベロスとスライムを出陣させ、同時にイレギュラーズ達に向けて進撃する。
 でも、そんなスライム、ケルベロス、傭兵達を横目に、真っ先に奴隷達の所へと向かうのはマルクと楼蘭。
 枷と錘で動けない彼らの拘束を速攻で解除しながら。
「必ず皆を連れて帰る。楼蘭さんが守ってくれるから、安全な所で待っていて」
 と短く告げる。
 そして楼蘭の背後に取りあえず避難する奴隷達……だが、奴隷を解放していくイレギュラーズ達の動きに。
『あ、お前達何しやがる!』
 発見すると共に、それを妨害しようとする。
 でも、そんな奴隷商人をマークするのはアーマデル。
『邪魔するな!』
 苛立つ奴隷商人だが、アーマデルは。
「……邪魔するな言われて、はいそうですか、なんて訳にはいかないな」
 と言いつつ、『英霊残響:怨嗟』の一閃。
 まるで今迄売り払った奴隷達の怨嗟の声の如く……苦しみ、哀しみ、恨み……様々な思いが詰まった叫声が奴隷商人を蝕む。
『う……うるさい、うるさいうるさいうるさい!!』
 ただ、アーマデルの攻撃に対し、叫びながら抵抗する奴隷商人。
 勿論、奴隷達は近づいてきた奴隷商人に恐怖の視線を向けて……楼蘭の服の裾を掴む。
「やれやれ……この大一番、余も気を張っていくとしよう」
 と言いつつ、奴隷商人に向けて。
「来るがいい蛮族どもよ、貴様らの勝手もここで終わりだ!」
 と、ソニックエッジで対抗する。
 奴隷と奴隷商人達に対処している一方、夏子は傭兵三人に向けて。
「金のためとは言え、仕事くらい選びなよ。取り返しつかないぜ~?」
 と名乗り口上で早速挑発し、傭兵達を引き付け、一方スライムはマルクが突出し、スライム四匹を巻き込む形で。
「お前達の相手は僕だ、皆の邪魔はさせない!」
 と神気閃光を放ち、自分を狙うように仕向ける。
 そう傭兵とスライムのターゲットを引き付けている間に、残るイレギュラーズ達は厄介そうな三つ首ケルベロス四匹に相対。
「さてとー……では、始めましょうかねー」
 と素早くピリムが素早く、オバリミからの電光窃脚で、ケルベロス一匹へ斬りかかる。
 続いてアレンツァーは。
「かかってこい犬っころ共、オレを食い尽くしてみろ!」
 と更に名乗り口上で他の敵陣から少し離すように引き付け、更につつじが頚を狙ってソニックエッジ。
「頚一つでも吹き飛べば、攻撃手段が制限出来るかも……ね?」
 つつじの言う通り、三つの頚から炎、氷、雷が吐き出されるケルベロス。
 頚を跳ねれば、その内一つを封じることが出来る、というのは正しい対処。
 とは言え、流石にケルベロスも、簡単に頚を跳ねられるだけで終わるような敵ではなく……直撃を受けないように動き回り、ダメージでどうにか済ませる。
 そんな動き回るケルベロス達に、中距離から魔弾を駆使して狙い撃つのは由香。
 少しずつではあるが、ケルベロスの体力を削っていく。
 ……そんなイレギュラーズ達の攻撃を受けながら、ケルベロス達は先の様々な属性の咆吼で反撃する。
 さらには敵の反撃。
 一人で三人、四体を相手にしている夏子とマルクが、かなりのダメージを喰らう事になるが。
「いやいや……奴隷扱いされたご婦人の救出を確認するまで倒れられないワケ。まぁ隠す気もなく、堂々とヤッてくれたのは良かったよ。君達はまだやり直せるからさ」
 と、全力防御で対抗する夏子と、大天使の祝福で自己回復するマルク。
 奴隷商人に対してはアーマデルが対峙し、不殺する為に攻撃。
 ……そんな防戦、もしくは抑えの行動を取る一方で、厄介なケルベロス四匹には。
「三つ首の犬とは珍しいですねー。そんな面白い生き物の脚とは良きものですねー。是非とも私の物にしたいところでごぜーますー」
 ……奴隷を守る、というよりは自分の欲望に忠実なピリムもいるけれども、厄介な敵を早急に倒そうと全員で攻撃。
 まずは頚を跳ねる、もしくは吐くところを潰すのを軸にして、攻撃を回す。
 数刻が経過……流石に戦闘能力は高くない奴隷商人は、アーマデルの攻撃によって不殺ながらも、地へと臥す。
「良し、それじゃケルベロス討伐に加勢させて貰うぞ」
 とアーマデルはターゲットをケルベロスに切り替え。
 五人で四匹を相手する事になり……戦況は次第にイレギュラーズ達有利に傾いていく。
 勿論傭兵とスライムはマークする事で精一杯だが、全力防御と回復でどうにか対処。
 経過する事、十数分。
 暴れ回っていたケルベロス達全て始末すると共に、今度は傭兵とスライムの二手に分かれる。
 また、全ての奴隷達の枷、錘を外したマルクが。
「楼蘭、頼みます」
「ああ、解った」
 短く言葉を交わし、戦場であるここから奴隷達と共に離脱し避難させる。
 追い縋ろうとする傭兵がいるが、イレギュラーズ達は決して逃がす事は無い。
 そして先に倒すべくスライム達には、マルクの神気閃光に、由香の魔弾。
 物攻撃が無効なスライム故、神攻だけを全力で放ち続ける。
 スライム四匹も数刻の内に仕留め……最後に残るは傭兵3人。
「さて、と……死にたくないなら逃げるがいいさ? だが対峙し続けるというなら……倒すだけだ」
 アレンツァーの宣告に対し、奴隷は。
『……知るか!』
 と吐き捨てる。
 逃げない傭兵達に……そうか、と頷き。
「解った。ならば……仕留めさせて貰う」
 と隼刃≪星落≫の一撃を放ち、一体討伐。
 残るは二人、対しイレギュラーズは8人。
 最早その戦力差をひっくり返す事は、手練れの傭兵達にも索は無く……一人、また一人、と倒されていった。

●命を守る
 そして……無事に奴隷達を護りきったイレギュラーズ。
「さて、と……それじゃ奴隷さん達の対処は任せちゃってっもいいかな? 僕はこの奴隷商人達にちょっとお話をしておきたいしね」
 笑みを浮かべながら夏子は、つつじや由香らは、避難させた奴隷達の下へ向かいたい者達を急がせる。
 そして、気絶して倒れている奴隷商と傭兵、そしてケルベロスらに。
「フフフ……うわぁ、脚が一杯ぃ……」
 と恍惚の表情を浮かべるピリム。
 様々な脚を品定めするが……取りあえず、奴隷商人達は。
「万が一にも改心の余地があるかもしれませんから……奴隷商人だけはちょっと良いですか?」
「えー……まぁ、三つ首の犬の方が珍しいですからねー。それじゃあそれで我慢しますー」
 夏子の言葉にちょっと不満そうにしつつも、仕方ないなぁ……とプリムは三つ首ケルベロスの骸の方へ。
 そして……商人達の手足を一応縛り、起きてすぐに逃げ出さないように細心の注意を払いつつ、暫し様子を観察。
『……ぅ……ん……?』
 朧気な視線で、ぼんやりと起きる彼。
 ただ足も手も拘束されており、身動きが取れない……そして、そんな彼をじっと見つめてきているのは夏子。
『……お、おい! これを解け!!』
 苛立ちながら叫ぶ彼。
 ……そんな彼に幾つか話を振って見るものの……その怪盗は。
『煩い! オレの商売の邪魔をしやがって……許さん、絶対に許さんぞ!』
『てめぇら絶対、地獄に堕としやる……絶対にだ!』
 怒りを吐き散らし、全く聞く耳を持たない彼。
 そんな彼が改心する見込みは万が一にも無さそうで。
「解った。そこまで言うなら、しっかりと裁きを受けてもらうとしよう」
 とアレンツァーは、脳天に魔哭剣【血蛭】を叩き込み……再び深い昏倒状態へとたたき落とし、その昏睡状態のままに突き出すのであった。

 ……その一方で、避難した奴隷達の下へと向かったマルク、つつじ、由香。
 人気の無い所で息を潜め、じっと待っていた彼らは……自分達を救い出してくれたイレギュラーズ達の姿に、少し嬉しそうな表情を浮かべる。
 そんな奴隷達に、まずは飲み水と、食べ物を渡す。
「走って喉が渇いたよね? ほら、大丈夫な水と食べ物だから」
 と、一口ちゃんと自分で飲んで、食べて安全を証明。
 ……それにこくりと頷き、食べ物、飲み物を口にする奴隷達。
 少し腹もこなれた所に、更に。
「でも、これだけじゃみんな足りないよね? ……という訳でここからはあたしがみんなに美味しい料理を振る舞ってあげるよ! 食べたいもの、何でも作るよ~!」
 と由香が安心させる笑みを浮かべる。
 そんな由香の言葉に、嬉しさを隠しきれない奴隷達。
「このままほっとく訳にもいかんしな……行くとこ無さそうやし、取りあえずローレットを頼れるよう、連れてくとするか?」
 とつつじが提案し、由香もそうだね、と頷く。
 ……その道すがら、奴隷達の交わす言葉に耳を傾けると……良かった、ありがとう……という言葉が零れてくる。
 そんな奴隷達の言葉に。
「ついたら、暫くはゆっくり出来るとええな。勿論、困ったときはいつでも声かけてや!」
 と、つつじが胸を張り、奴隷達は嬉しそうに笑うのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

奴隷救出シナリオに参加いただきました皆様、ありがとうございました!
今回は奴隷さん達が自分でも逃げれる位の成人でした。
……とは言え皆様の力が無ければ奴隷として売られる運命だったのは間違いなかったと思います、ありがとうございました!

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