シナリオ詳細
ゴーレム・エンドレスパニック!
オープニング
●バルベラル特別区画
サンディ・カルタ(p3p000438)は領地を持っている。最も彼自身が望んで得た領地ではなく、とある知人によって強引に自分名義とされた場所だ。
ラサの一区画であるそこは人もまばらに、その代わりと言わんばかりの遺跡と遺物たちが眠っている。知人曰く『まだまだ宝のにおいがする』場所であるとのことだった。
その知人――ベンタバール・バルベラルは遺跡荒らしの青年である。遺跡の情報をゲットしては一攫千金を夢見て飛び出し、1月後くらいにふらりと戻ってくる。多少痛い目に遭ってもそこは変わらないらしく、サンディがベンタバールを助けているのもそろそろ片手では飽き足りなくなっているのではなかろうか。
そして、今日もまた。
「サ、サンディーッ!!」
サンディの領地にベンタバールが駆け込んでくる。勤めていた私兵たちがまたかと言わんばかりに顔を上げた。サンディからよく聞いている、名義を押し付けた男の声だと。その視界に入ったのは当然、ベンタバールと。
「……なんだありゃあ」
「モンスター……ゴーレムか?」
その後ろから迫ってくる複数体のゴーレムたち。どこから出てきたのか定かでないが、おおかたベンタバールがちょっかいを出して追われたか。
「これは久しぶりの運動になりそうだぜ」
「おうよ」
兵たちがそれを見て迎え撃たんと――心なしか嬉しそうに――武器をとった。このラサで軍事力となる存在と言えば傭兵である。しかしサンディの元には何の因果かより多くが集い、若干余り気味でもあった。故に久しく戦えるとなれば彼らの闘志も沸き立つもので、ベンタバールを追っていたゴーレムたちは多勢に無勢に滅多打ちとなったのである。
●
「……で?」
サンディは半ば呆れた視線をベンタバールへ向けた。何故かって言えば、この発言より前に延々とベンタバールの武勇伝を聞かされたからである。ようやく終わったかと思ったのにベンタバールが言いよどむものだから『つい』先を促してしまったのだ。
促さない方が幸せだったか、早めに知れたことを喜ぶべきか。
「なーんか、あのままだとヤバそうなんだよな」
頤に手をやったベンタバールの言葉にサンディの片眉があがる。
曰く、ベンタバールは今回遺跡で無事お宝を手に入れた。しかし盗賊たちに追跡されており、ひと悶着――宝の奪い合い――があったのだそうだ。その時の騒ぎで、うっかり、
「遺跡が起動したぁ?」
「みたいなんだよなー。ほら、俺を追いかけてきてたゴーレムいただろ? あれが突然湧いてきたんだよ」
しかも1体や2体ではなく無数に。彼らは侵入者たるベンタバール、そして盗賊たちを標的として次々と襲い掛かってきたのだそうだ。それなりの数を盗賊たちへなすりつけ、ベンタバールは逃げたらしいがやはり少しばかりは追いかけてきてしまったと。それを滅多打ちにし、討伐したのがサンディの領地にいた者たちという訳だ。
「あれは止めるまで排出し続けるだろうな。恐らくゴーレムのプラント(生産工場)だ」
「はぁ。それで俺に……いや、俺達に倒して欲しいってか」
「流石サンディだ! 話が早いじゃねえか」
まだ受けるとも何とも言っていない。しかしまあ、このまま野放しにしておけば領地にも被害を及ぼす可能性はある。サンディとて押し付けられはしたが、だからといって領地を野放しにするつもりはない。
「仕方ねえなあ。終わったら奢りで頼むぜ」
勿論自分だけではなくて、共に行く仲間たちの分も。そうじゃなきゃ割りに合わないってもんだ。
- ゴーレム・エンドレスパニック!完了
- GM名愁
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年03月01日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
晴れた空に砂が舞う。乾いた空気、揺らめく蜃気楼――ラサとはそういう土地だ。
その砂丘に立ち『風韻流月』冷泉・紗夜(p3p007754)は件の遺跡を見据えた。少しずつ、しかしイレギュラーズが想定するよりもよほど多く、無尽蔵の機械兵――ゴーレムたちが既に遺跡の外まで出てきている。
幸いに人の姿はイレギュラーズ以外にない。というかオアシスが近くにでもない限り、通りがかりの商隊や傭兵ばかりだろう。このままであればまだ被害はない。そう、このままであれば、まだ。
(もっと先へ……人の集まる場所まで辿り着いたなら?)
可能性は大いにある。『風の囁き』サンディ・カルタ(p3p000438)の私兵たちこそ喜び勇んで戦いに行ったようだが、大多数は敵襲に不安がり、困るものだろう。
――まあ、この元凶は既にトンズラこいているのだが。
「ほんっと手間のかかる男だなベンタバール……」
頭を掻くサンディ。しかしもはや当人がいない以上、ここでグチグチ何を言っても仕方がない。
「ふふ、君もなかなか苦労人だねぇ」
「サンディ君が大変なら惜しむものはないさね」
『虚刃流直弟』ハンス・キングスレー(p3p008418)と『若苗の心』シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)はそんな彼にくすくす笑う。なんとも、領主というのは大変そうだ。
(私は持ってないけど……うーん、やっぱり色々大変そう)
『揺らぐ青の月』メルナ(p3p002292)はサンディをちらりと見る。今回の件はサンディに領地名義と騒動を押し付けたベンタバールが悪いだろうが、それでも領地を気にかけなければならないという労力は少なからずあるだろう。一から知識を身につけようとしたら骨が折れそうだ。
「それにしても……惜しいな」
『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)は遺跡から出てくるゴーレムたちを眺めた。かなり距離があるためぽつぽつと点でしか見えないが、それでもそれなりの量だ。一体どれだけ出せば『出尽くした』状態になるのだろう。それによっては兵力としても、人足としても。他にも使い道はありそうなものだが――制御さえできたなら。
(そこなんだよな。制御できなければただの障害だ)
しかもそんじょそこらの石を退けるレベルでなく大変な障害である。嗚呼、本当に勿体ない――そう考えていたラダの横で『在りし日の片鱗』ジュリエット・ラヴェニュー(p3p009195)はこれまた熱心にそれを観察していた。
「いいわね……どこを見ても宝の山じゃない……」
その目がキラッキラに輝いているのは気のせいじゃない。だって、こういう依頼を待っていたのだもの!
「いけそうか?」
「ええ、バラすのも調べるのも任せて」
ラダの問いかけに視線をゴーレムから逸らさず答えるジュリエット。バラすのも調べるのも溢れんばかりの個人的興味――でもあるけれど。敵を知り、あわよくば探索に生かすためでもある。決して興味ばかりではありませんとも、ええ。
「悪いが力を借りるぜ。シキちゃん、ハンス、そしてレディース」
「ふふ、思いっきり暴れさせてもらうよ」
「終わったらベンタバールさんに沢山たかっちゃおうね!」
そう、終わったらあのベンタバールをとっちめて美味しいものをたんまり食べさせてもらおうではないか。
「さぁて――先ずは手頃な個体から触らせて貰うわよ!」
ジュリエットの言葉に皆が動き出す。ハンスがシキを背に上空へ安全第一でゆっくりと飛び上がる、その下を『元気なBBA』チヨ・ケンコーランド(p3p009158)は勢いよく走り出した。
「わしの庭(ラサ)でなぁにしてくれとんのじゃああああ!!!!」
この庭をゴーレムで埋め尽くしてなるものか。少なくともチヨの目が黒いうちはそうならない――いや、そんなことはさせない!
「ハンス、あそこだ」
シキは上空から群れていない状態のゴーレムに目星をつける。早く向かわなければ別のゴーレムと合流してしまうかもしれないが、そこはハンスと皆を信じるしかない。
(近くで比較的安全そうなのは……あそこか)
同時に調べるための場所を探すシキ。彼女を背にのせたハンスは示された方向へ一直線にとんだ。自身でも視認できるほどの距離になり、それが数多いという兵隊型だと分かる。
「――今日という日の花を摘め」
シキを地上へ下ろし、ハンスの足は空を踏む。光の速度を超えるその強力な一撃に兵隊型ゴーレムは一瞬、ぐらりとよろけた。そこへシキが奇襲攻撃で畳みかけ、サンディもまた一撃を入れる。しかしゴーレムは負けじと態勢を整え、手にした剣で斬り払った。
(まずは1体……)
ラダの構える銃口がそのゴーレムへ向き――撃ち放たれるは不殺のゴム弾。いつもより鈍い音を立てるそれを、もう一発。その近くでチヨが拳を握りしめる。
「もう1体きてるよ!」
メルナは皆へ注意を促しつつ、こちらに気付いたもう1体の兵隊型ゴーレムを相手取る。こんなところで余計な消耗はしたくない。
「逃がしませんよ」
その間に紗夜が後ろへ回り込んで逃走を防ぐ。ここで逃がしたり、逆に仲間を引きつれて戻って来られたらそれこそ余計な消耗だ。最も――そこまで判断する力がゴーレムたちに備わっているのかはわからないが。
(確実に参りましょう)
紗夜の抜刀と共に度重なってゴーレムの首へ傷がつく。度重なる連撃に急所をやられたか、ゴーレムはがくんと力を失って砂の上に転がった。
「こっちもお終い……っと」
サンディの言葉と共にもう1体も倒れ伏す。シキは先ほど確認した安全地帯を示すと、ゴーレム2体を運んでもらった。
「まだ稼働していそうか?」
「うーん……流石に止まってるわね」
ゴーレムの状態を見たジュリエットはラダへそう告げる。異世界のゴーレムを見た経験はないが、自らの知識から照らし合わせれば動いていないだろうという判断である。
「でもいきなり動き出されるよりはマシよ」
肩を竦めたジュリエットにラダとシキ、そしてメルナは立ち上がる。比較的安全な場所をシキが探してくれたとはいえ、完全に安全とは言い難い。それに知識がない者たちが傍に居ても、何もしてやれないのは事実。ならば自身らにできることをしようではないか。
「私は周辺の警戒をしてくるね」
「あ、一緒に行くよ」
「なら私はあちらを。どっちにしろ長くは持つまい、手早く頼むな」
散らばるメルナとシキ、そしてラダ。ハンスの空へと舞う。紗夜はジュリエットへ1体ゴーレムを借り受けていいかと問うた。
「人体と異なるものですから、捌き方も変わりましょう」
つまり、刃の通りやすい箇所や脆い部分を把握したいと言うことだった。それならば後ほど仲間たちにも共有できるだろうと頷き、ジュリエットはもう1体のゴーレムを調べ始める。
(私もゴーレムを扱う魔法使いだもの。どういった工程で作成されるのかも、どのような体系なのかも気になるに決まってるじゃない)
依頼である――理解してはいるが、それでもゴーレムを前にすれば気分も高揚するというもの。そう、例えるならラッピングされたプレゼントを開封するような。
アナザーアナライズと自らの知識である程度パーツの用途を予想しつつ、ジュリエットはゴーレムを構成する部品を調べて行く。
「こういうごぉれむは、発生源となんらかのやりとりをしていそうなもんじゃが……どうかのう?」
チヨの言葉にジュリエットは唸った。ゴーレムにもタイプがある。自律駆動なのか、それとも外部――チヨが言うとおりに発生源からある程度の指示・命令を受けているのか。しかしこのゴーレムからそれらしき部品、
「あ、」
ジュリエットは手を止めた。より一層慎重にそれへ手を伸ばし、観察する。これだろうか。元世界で見たものとは多少異なる気がするが、可能性はある。ジュリエットはそれをいったん戻し、次の行動として自らのギフトを発現させた。揺らめく魔力。《原初の灯火》はゴーレムへ再びの命を与える。
(他の個体は……)
視線を滑らせるジュリエット。遠目に見えるゴーレムたちに不自然な動きはなさそうだ。ならば他のゴーレムとも連携はしていないのかもしれない。
(ううん、時期尚早かしら)
与えられている命――魔力が違う。今のゴーレムはジュリエットの指揮下にあり、先ほどと同じような行動はできまい。
故に、結果としては不確かではあるが。『ゴーレムはエネルギー体のみと何らかの通信をしている』ということが収穫か。
「そちらはどう?」
「ええ、十分でしょう」
紗夜も気が済んだのか立ち上がる。装甲が薄い、或いは覆われていない脆い部分。刃の通りやすい箇所。そしてどのように切っ先を通せば致命に至るか――一通り調べられたはずだ。
3人は仲間たちを呼び、今の情報を共有することにした。
「エネルギー体とだけ、ね。双方向なのか?」
「止まっていたからそこまではわからないけれど……エネルギー体から動力を得ていたのなら、こちらから働きかけられる可能性はあるわね」
サンディはジュリエットの言葉を聞きながらうーん、と唸った。手にしているのはベンタバールの作った地図である。抜けも多いが、ここに書かれた場所以外にエネルギー体はあるはずだ。あとはジュリエットの見つけたパーツが近づいたことで何らかの反応を示してくれることを願うばかりである。
「では、参りましょうか」
一番槍に突っ込む紗夜。当然遺跡周囲にいたゴーレムがその存在を感知するが、紗夜は止めどない居合で敵を文字通り斬り捨てて行く。
(平穏をこそ愛し、流れる時を美しく思えばこそ)
戦の火種となるコレは永遠になどなくて良い。
「――ええ、故に参りましょう。風韻という名残こそ、戦の証と示す為に」
優美なる刃の瞬きが兵隊型の首を斬り落とす。彼女が単身、その力を遺憾なく発揮したその瞬間をイレギュラーズたちは見逃さない。
「発信源を探すのじゃ~~~~!!!!」
チヨがそこを走り、叫ぶ。我に続けと言わんばかりに。実際、ラサを庭と称すチヨともあれば探し物はお任せあれだ。
追いかけてくる敵をも蹴散らし、メルナの放つ足止めを利かせながら一同は遺跡の中へ。一度敵が途切れたならばあとは隠れつつ、できるだけ温存していきたいが。
「サンディ、次の小部屋は?」
「もうちょい先だな」
ラダは的確にゴーレムを撃ち抜きながら地図を持つサンディへ問う。必ずしもあるわけではない隠れ場所を転々としながらエネルギー体を探すが、この時間が伸びれば伸びる程こちらは不利となるだろう。
(いざとなれば突破口を開いて駆け抜けるしかないか……?)
まだそのカードをきるには早い、とラダは小さく首を振る。この数を賄えるだけのエネルギー体なのだ、どこかへ隠しておけるほど小さなものでもあるまい。ならば音、光……なにかあるはずなのだ。
「ラダはどう? 何か聞こえる?」
シキはラダが首を振る様を見て地図を睨む。少しずつ不足分も埋めているが、やはり最深部に近い場所だろうか。
「アタリが付いたなら行ってみるしかねーよな」
索敵は任せろ、とサンディが笑みを浮かべる。そう、行くしかないのだ。
シキが奇襲攻撃を仕掛け、集団で道を埋め尽くす蜘蛛型たちにはラダのプラチナムインベルタが降り注ぐ。そんな中をジュリエットは攻撃魔法で援護しつつ、やはりゴーレムたちを観察していた。だって、やっぱり興味深い。敵であり、壊してでも進まなければいけないが――宝の山たちである。
「ゴーレムたちはやっぱり奥から来ているような感じがするけれど……最深部っていうのはこの先なの?」
「みてーだな」
ジュリエットの言葉に応えるサンディの脇を、青の翼が駆けていく。それは前方から来るゴーレムたちを速度と力で蹂躙した。
「生憎、今の僕は"色々"と効かない体質でね……どいたどいた!」
殴られこそすれ、それ以上に不必要なものは受け付けない。突き進む彼に合わせてサンディも敵を蹴散らし、その注意を引き付けんと立ち回る。
「これで……進めるっ!」
メルナが敵を強かに叩き、道が開く。進もうとした一同は再びゴーレムの来る気配に、少し先にあった小部屋へ体を押し込めた。
「行った?」
「っぽいな」
「中々、消耗せずってわけにはいかないね……」
「こうなりゃわしも全盛期並に頑張らねばならんのお」
チヨが拳骨をつくる。今でもここまで元気な彼女である、全盛期となればいかほどのものなのか……興味がないわけでは、ない。
その後も敵を倒し、隠れてやり過ごしながら進むイレギュラーズ。代わり番こに地図を見ながら進んでいると、不意にメルナが「あれ?」と立ち止まった。
「どうした?」
「あそこ、二手に分かれてると思うんだけれど……地図だと一本道なんだよね」
ほら、と皆へ地図を見せるメルナ。ただ先が書いていないだけなら気にも留めなかったのだろうが、ベンタバールの書き方がメルナの琴線に触ったのだ。
「ここ。壁があるみたいに書き込んであるから」
「つまり……構造が変わったということでしょうか」
紗夜の呟きに皆黙り込む。ベンタバールがどこで盗賊たちとひと悶着起こしたかは知らないが、それと遺跡の軌道によって構造の変化を見落とした可能性は大いにあった。
「さっきのパーツも……何か、反応しているみたい」
「ゴーレムもあちらから来ているようだな」
近付いたからか、とジュリエットは手にしていたパーツへ視線をくれ、ラダは敵影を認めて銃を構える。こうなればあとは突破口を開くのみ。
「――皆、取り残されるなよ!」
走り迎え撃つ一同。シキの黒顎魔王が敵を蹴散らし、その先に走っていったチヨに一瞬女性の姿が重なった、ように見えた。
「どくんじゃあああああああ!!!」
勢いでゴーレムたちを押し切ったイレギュラーズたちは広い部屋へ出て急ブレーキをかける。
「番人、かな」
巨大な装置の前に立ちはだかる2体の巨人型。ハンスは躊躇なく空を踏み、背後へ回り込みながら攻撃を仕掛ける。共にシキは肉薄すると足元へ乱撃を放つ。
「硬い……ね!」
「だが、このまま邪魔される訳にもいかねーさ」
サンディは向かってきた拳に受け身を取りつつカウンターを放つ。さあ、俺とやり合おうじゃねえか。
そこへすかさず紗夜が追撃し、頑強な装甲を抉っていくように攻撃を重ねる。
「剣風渦巻かせて、刃の舞踏をご覧に入れましょう。魂なき傀儡の身なれど」
――奔る切っ先の輝き、葬る美しき風花となれと。
巨人型の意識が彼らへ向いたことを察し、ラダは銃の照準をゴーレム、ではなく奥にあるプラントへ定める。あれさえ壊してしまえば全ては終わるのだ。巨人型を相手取り、更に新しく生み出されたゴーレムが襲い掛かって来てはたまらない。
「狙えそうならばわしもいくのじゃよ!」
「お願い……こっちは、私たちが!」
チヨが拳を握りしめ、メルナはより苛烈な攻撃を叩き込むことで敵の視線を逸らさまいと剣身へ蒼の炎を宿す。そうして――不意に、巨人型ゴーレムの動きが止まった。
「「……あ、」」
それを認めたイレギュラーズたちの視線が奥のプラントへ向く。先ほどまで光を放っていたそれはすっかり消え去り、部屋がどこか暗くさえ感じられた。
「ふふ」
終わったのだ、と思った瞬間にシキの口元には笑みが浮かんだ。嗚呼、本当に大変だったけれど。どうにか一件落着だ。
「さあ、戻って甘いものでも食べにいくさね」
ついでに外の世界でのうのうとしているベンタバールへ、ひとこと申し付けてやろうじゃないか。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
お疲れさまでした、イレギュラーズ。
甘いものでも高いものでも。いつもの酒場でベンタバールにたっぷり奢ってもらいましょう。
それでは、またのご縁をお待ちしております。
GMコメント
●成功条件
プラントの破壊
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。不明点もあります。
●エネミー
・ゴーレム(巨人型)
大きなゴーレムです。全長が3m強あります。鈍重ですが非常に力強い一撃を放ちます。また、その装甲は非常に強固です。
ダイナマイトパンチ:とても痛いパンチです。【出血】【混乱】
ストロングトルネード:自身を回転させて砂竜巻を起こします。【スプラッシュ3】【致命】
・ゴーレム(蜘蛛型)
蜘蛛のような形をしたゴーレムです。素早く安定した動きで迫ってきます。比較的脆そうです。
マジックロープ:魔法的な糸で対象をがんじがらめに縛りつけます。【足止】【体勢不利】
ミスティカライト:怪しげな光線を周囲に放ちます。【呪殺】【魅了】
・ゴーレム(兵隊型)
兵隊のような姿をしたゴーレムです。剣と盾を持ってオールラウンダーに立ち回り、一番数多く輩出されています。
数の利:いけ! 押しつぶせ!【乱れ】【流血】
息揃え:あいつだ! 態勢を整えて突っ込むぞ!【攻勢BS回復50】【ブレイク】
●遺跡
ベンタバールが宝を得た遺跡であり、ゴーレムの生産工場です。システムが起動し、止まるまで延々とゴーレムを生成・排出し続けています。
遺跡の周囲は砂漠ですが、ゴーレムが埋め尽くさんばかりに出てきています。『まともに止める』つもりであればこれらを一掃し、遺跡へ侵入してゴーレムを薙ぎ払いながらプラント停止の方法を探すこととなります。
遺跡のどこかにはプラントを動かす核となるエネルギー体があると思われます。ベンタバールは見ていないそうです。ゴーレムは遺跡の色々な場所から排出されている事は遺跡に入れば分かるでしょう。
ベンタバールは遺跡内部について書き記した地図を残していったようです。不完全ですが、侵入するならば役に立ちます。ただし遺跡に入る前からシステムを停止させるまで、止めどなくゴーレムが湧いているものとお考え下さい。
どこかで悪用されても困るので、上手く止められなさそうなら遺跡ごとぶっ壊して良いそうです。
●ベンタバール・バルベラル
サンディさんの関係者です。遺跡荒らしのカオスシードですが、その私生活は謎に包まれています。
今回はサンディさんに遺跡の案件を押し付けるだけ押し付けて、新たな遺跡の情報を仕入れに行きました。
全てが終わってサンディさんがベンタバールとよく会う酒場に行けば捕まるので、全員で奢ってもらいましょう。
●ご挨拶
ご発注ありがとうございます。愁です。
悪用されても困るので、綺麗に止められるか分からないならぶっ壊しましょうということで。
ご縁がございましたら、よろしくお願い致します。
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