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シナリオ詳細

<Rw Nw Prt M Hrw>野心は土の中に

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 『願いを叶える秘宝』が眠っていると噂され、学者達が調査を行っていた遺跡群『FarbeReise(ファルベライズ)』。
 その中には、小さな願いを叶える宝、『色宝(ファルグメント)』が眠っていた――。

 ラサの首都である首都ネフェルスト。
 そこに集まったイレギュラーズ達へと、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)は現状について説明を行う。
「遺跡最奥で発見されたのは、大精霊ファルベリヒトの祠……このファルベライズ遺跡群の主と見られる存在ですね」
 ファルベライズ遺跡中枢にあるクリスタルの迷宮の調査も大詰めを迎えている。
 クリスタルの迷宮には大鴉盗賊団が色宝以上の宝を狙って潜入しているが、イレギュラーズ達はこれらを退けながらも立ち塞がる『ホルスの子供達』と呼ばれる存在と対していた。
「遺跡の奥には無数の色宝があります。『博士(せんせい)』なる存在がそれを土塊に埋め込み、『歪な死者蘇生』を行っているのだそうです」
 その博士は錬金術師と思しき存在であり、意志を持つ多数の土人形を生み出した。
 中には、かつてイレギュラーズ達が対峙し、撃破した強敵らの姿も……。
「それらを討伐しながらもなんとか遺跡最奥まで到達したのですが、そこには大精霊ファルベリヒトの祠がありました」
 ファルベリヒトは『博士』と精神を同化し、『狂気』状態へと陥ってしまっていた。
 その影響は近しい場所に存在したホルスの子供達にまで及び、彼らもまた狂気状態となっている。
「狂気に侵されたその土人形達は、遺跡の外に飛びだす危険があります」
 その為、このホルスの子供達の討伐を願いたいというのが今回のアクアベルの依頼だ。
 討伐対象となるのは、以前、彼女が依頼して討伐した大鴉盗賊団の小隊の1つ。
「ガレス小隊は色宝を狙い、盗賊団からの独立を目論んでいた者達でした」
 彼らはネフェリストに集められた色宝を狙い、イレギュラーズ達に討伐されたのだが……、どうやら彼らは『博士』なる存在に利用され、ホルスの子供達とされてしまったらしい。
 小隊の力をそのまま持つ土人形達は狂気状態となって見境なく暴れている。加えて、ガレスは魔種だっただけに一層タチが悪い。
「遺跡の奥から彼らが出てくる前に、その広間で討伐を願います」
 改めて、アクアベルはイレギュラーズ達にそう願い、頭を下げたのだった。


 ファルベライズ中枢最奥。
 大精霊ファルベリヒトが博士と同化し、狂気状態となったことを受け、程近い場所で待機していたホルスの子供達にも大きな影響が出ていた。
「「うううウううゥぅぅぅゥ……」」
「「ああア、ああああアあああァぁぁァ……!!」」
 胸部に色宝を埋め込まれた人型の土塊は自我を失い、苦しみの声を上げていた。
 それらの土塊が与えられていた名前は、先日、ラサの首都ネフェリストへと侵攻していた大鴉盗賊団所属ガレス小隊のもの。
「ぐうウ、おレはとうゾくだんをとうゾくだんを……!」
 狂気に満たされたガレスの名を持つ土人形はうわ言のように言葉を繰り返す。
 元々、野心を抱いていたガレスはかろうじて自我を残しているようにも見える。
 しかし、そんな苦しむ彼を心配する声はない。なぜなら、他の小隊員は全てが呻き、狂ってしまっていたからだ。
 グルウウウ、グガアアオオオ……。
 アオオオ、アオオオオオ……!
 そして、その土人形の間には、巨躯のモンスターが2体存在している。
 片方は、ワニの頭と獅子の上半身、カバの下半身を持つ合成獣、アーマーン。獰猛な性格と俊敏性、強靭な顎を持ち、一度狙われれば並みの生物では食い千切られてしまうだろう。
 もう1体は緑色の身体を持つオオトカゲ。バジリスクと呼ばれるそいつは炎を吐き出す他、石化光線を発する強敵だ。
 現状は部屋内部を徘徊するだけだが、時折入り口側の扉を土人形やモンスターらが殴りつけており、破壊して突破されるのは時間の問題と思われる。
 ラサの安全の為にも、色宝から作られた命の撃破を。
 イレギュラーズ達は意を決してから扉を開き、大部屋の内部へと突入していくのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 『FarbeReise(ファルベライズ)』の全体シナリオ<Rw Nw Prt M Hrw>をお届けいたします。

●目的
 ホルスの子供達と2体のモンスターの撃破。

●敵……ホルスの子供達
 シナリオ「<Raven Battlecry>野心抱く盗賊の小さな望み」でイレギュラーズと対した大鴉盗賊団ガレス小隊の小隊長以下、小隊員達の名前を与えられた土人形達です。
 オリジナルのガレス小隊は、私欲の為、色宝を奪い取って盗賊団からの独立という野心を抱いておりましたが、叶うことなくその命を散らしております。
 狂気にかられた彼らは土で作られた武器を使い、攻撃を仕掛けてきます。

○小隊長:金銃剣のガレス
 魔種となったガレスの名前を与えられた土塊です。
 その銃剣は土でできており、金銃剣の二つ名の意味を成しておりませんが、遠近問わず荒ぶるままに戦うさまはさながら当人を思わせます。

○副小隊長:銀飛輪のアナイス
 人間種女性、アナイスの名前を与えられた女性的なボディラインを持つ土塊です。
 オリジナル同様チャクラムを使って攻撃を行いますが、狂気の為か他小隊員の支援は控え目になっているようです。

○小隊員×10体
 それぞれガレスの部下の名前を与えられた土塊達です。
 元は20人ほどいたようですが、土塊の数の都合か、全ての名前が使われることは無かったようです。
 戦闘となれば、身軽なフットワークを活かし、サーベルやダガーなど短剣から長剣の片手武器を使用し、狂ったように幾度も切りかかってきます。

○バジリスク×1体
 全長4mほど、体色が緑色をした巨大トカゲです。やはりこちらも狂化しています。
 太い尻尾を叩きつけてくる他、炎獄の炎を吐き、石化光線を放ってくる難敵です。

○アーマーン×1体
 全長3mほど。ワニの頭、ライオンの上半身、カバの下半身を持つ合成獣です。拙作、「<アアルの野>宝を護るは盗掘者……?」にも登場。同じく狂化しています。
 見た目以上に素早く、強靭なアゴで食らいついてくる他、電撃を操って叩きつけてくることもあります。

●概要
 戦場となるのは、クリスタルに覆われた遺跡の最奥付近。
 ガレス小隊の名を与えられたホルスの子供達は大部屋で待機していましたが、ファルベリヒトの影響で全員が狂気に満たされております。
 従えるモンスターらもまた狂化しております。それら全てを大部屋から出ないよう討伐する必要があります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <Rw Nw Prt M Hrw>野心は土の中に完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2021年02月23日 22時12分
  • 参加人数10/10人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
旅人自称者
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
聖女頌歌
ハロルド(p3p004465)
ウィツィロの守護者
ロロン・ラプス(p3p007992)
頂点捕食者
カイロ・コールド(p3p008306)
闇と土蛇
一条 夢心地(p3p008344)
殿
アシェン・ディチェット(p3p008621)
玩具の輪舞
月錆 牧(p3p008765)
Dramaturgy

リプレイ


 ファルベライズの中枢部、クリスタルの迷宮。
 ここに立ち塞がる障害を排除すべく、ローレットイレギュラーズは踏み込む。
「賊と魔獣を倒すのじゃ」
 『殿』一条 夢心地(p3p008344)の一言を受け、『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)が小さく溜息をつく。
「死者蘇生紛いにはもう飽き飽きなんですよ」
 これまで、月光人形、ファルベリヒトと対している彼女は、もうくだらない人形遊びに付き合いたくないと辟易としていて。
 死者との再会、死者の再討伐によって魔種化するのではと考えているのではないか、と。
「そんなくだらないことで偽の復活を遂げて、死者への冒涜も甚だしい」
 そんな仮説を信じているのだとしたら、愚かな事この上ない。それで魔種に落ちるなら、即座に倒すまで。
 馬鹿馬鹿しいと、幻は首を振る。
「こんなくだらないことの尻拭いをするのも、ローレットの役目ですか」
 この点に限れば、ローレット所属すら考え物だと幻は考えていた。

 クリスタルの通路を行く一行は目的の大部屋の扉までたどり着くと、柔和な雰囲気の『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)が周囲の精霊へと呼び掛ける。
「この入り口以外、この部屋の出入り口はないか教えてくれないか?」
 霊によれば、奥に抜ける通路があるとのこと。
 出入口が複数あるなら、敵が出られぬようする必要があるとポテトは判断したのだ。
「精霊たち、ありがとう。あとは……」
 礼を告げたポテトは続いて保護結界を展開し、遺跡の保護を行う。戦闘中の流れ弾で遺跡が破壊し、敵が外へと出るのを防ぐ為だ。
 ここまで準備を整えたところで、一行は頷き合いながら扉を開く。
「「ああああアあああァぁぁァ……!!」」
 土の身体の胸部に色宝が埋め込まれた土人形、『ホルスの子供』達が狂気の影響で呻いていた。
「最早、駆け引きも通用せぬな」
「蘇生の対象によって、そのままでも危ないっていうのに……」
 言葉が通じぬ相手との夢心地に、天義の聖職者である『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)が近場のネフェルストなどの住民が安心して暮らせぬ状況だと語る。
 土塊に与えられた名は、大鴉盗賊団の一小隊のもの。ホルスの子供達の名を知らずとも、それだけで不安を煽る状況となるのは致し方ないことだ。
「大鴉から独立しようとした成れの果てが使われるだけの土人形とは、なんとも……」
「仮初の名に操られるだけの悲しい人形達。本当の名前を訊ねても、きっとお持ちではないのね……」
 物腰柔らかい『旅人自称者』ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)、『玩具の輪舞』アシェン・ディチェット(p3p008621)はその姿に哀れみを感じていた。
「造られた命である彼らとボクは同類だ。或いは、かつてのボクは彼らのようだった」
 土塊を見つめる『ひとかけらの海』ロロン・ラプス(p3p007992)は水が人の形をとったいわば水塊だ。
 そんな彼が狂気のままに凶行に走る土塊の姿に、ノイズのようなものを感じて。
「どうしてだろうね。食欲とは関係なしに、彼らを終わらせたいと考えてしまうのは」
 そう呟くロロンの視線の先には……。
「ぐうウ、おレはとうゾくだんをとうゾくだんを……!」
 大鴉盗賊団小隊長であり、金銃剣の二つ名を持つガレスの名を与えられた土人形は、植え付けられた自我と与えられた使命、それに漂う狂気に耐えようとしていたが、それももう限界に近いようだった。
「かつての強敵のこのような姿……見るに堪えんな」
 何でも屋を営む聖剣使い、『聖断刃』ハロルド(p3p004465)は土人形の姿に眉を顰める。
「野望とか野心というのは、人の世の中にあっては抑えられないものなのでしょう」
 この状況を冷静に俯瞰し、『Dramaturgy』月錆 牧(p3p008765)は素っ気なく告げる。
 未亡人である牧の亡き夫もまた野心高き人であったそうで、そうした人は彼女も嫌いではないのだとか。
「……いえ、実際にはこれらはただ模倣しただけで、ガレスさん達とは関係ない人形でしたか」
 それももう、壊れて当たり散らすことしかできない。ヘイゼルは小さく首を振る。
「もう本物の金銃剣じゃないならば、私からは特に言う事はありませんかね」
 糸目の聖職者、『闇と土蛇』カイロ・コールド(p3p008306)は興味なさそうに始末しようと纏う闇の力を増幅させる。
 グルウウウ……!
 アオオオオオ……!
 大声で吠える巨大モンスター、アーマーンにバジリスク。
「……まぁ、慎重にやれば問題はありませんね」
 それらすらも、カイロは歯牙にもかけてはいない。
「そもそもこのような事態を、今まで集めた色宝でなんとかすることは考えなかったんですかね」 
 戦いの規模の縮小化もできただろうにと、幻はラサ上層部にまで不満を漏らしながらも奇術の為にステッキを手にする。
「おレのとうゾくだんんン……!」
「「ああアあああァぁぁ……!!」」
 狂気に呑まれつつある土人形。それらはイレギュラーズ達の方へと近づいてくる。
「申し訳ありませんが、此処で土に還って頂きませうか」
「せめてもの情けだ。すぐに引導を渡してやる」
「中々厄介な状態だけど、ここで眠らせよう」
 メンバーの壁となるべくヘイゼルが前に出て、陣地構築スキルで取っ手をロープで縛って入り口を縛り付けていたハロルドも身構える。ポテトは早くもカイロや幻へと戦いの最適化の為の支援を始めていた。
「人々の不安を取り除く為にも、絶対に失敗はできない!」
 きっちりと目の前の敵を討伐すべく、スティアは術式を展開していく。その際、スティアはポテトから聞いた奥にある扉も注視していた。
「こやつらを逃がすわけには断じてゆかぬ。この場で仕留めるとしようかの」
 また、殺るか殺られるかの血生臭いバトルが超苦手な夢心地だが、この場はそうも言ってられぬと覚悟を決めたようだ。
「彼らが元の土塊に戻り、縁あらば誰かを幸せにできる名を再び与えられるようにその名前を拭い去るのだわ!」
「いま、野望に破れ、意志がただ土人形となってさまようのであれば、全て終わらせてあげるのはわたしなりの愛情です」
 入り口を背に陣取るアシェンがアサルトライフルを構えると、牧が向かい来る土人形へと語りかけて。
「金銃剣のガレス、そして盗賊団に愛ある眠りを」
 彼女はゆっくりと刀を抜いたのである。


 遺跡の大部屋内で散開するイレギュラーズ達。
 飛び出す魔銃の片割れバジリスクの身体にヘイゼルが魔力の青い糸を伸ばして結び付け、強く注意を引く。
 アオオオオォォォ……!
 まだ太い尻尾を振るってくるだけだが、最も危険な魔獣とあってヘイゼルの警戒も強い。
 そのヘイゼルを範囲に捉えつつ仲間に号令を発したポテトは改めてホルスの子供達を見回す。
「元の人数より数が少なかったのは良いことなのかどうか……」
 副隊長アナイスと思われる姿はあれど、小隊員全てを反映できていないことを彼女は指摘する。
 盗賊としての行いに同情はしないが、せめてオリジナルもホルスの子供達も安らかに眠れるよう願い、ポテトは仲間達の回復に注力する。
 その間に、スティアは魔獣アーマーンを抑えるべく、終焉をもたらす氷結の花を咲かせる。
 グガオオオ……!!
 滅ぼされてはなるものかと、魔獣も強靭な顎でスティアへと食らいつく。
「おおっ!」
 先んじて魔力障壁で物理攻撃を、破邪の結界で神秘攻撃を遮断したハロルドは 小隊員の名を持つ土人形へと闘気を叩き込んでいく。
「いつまで無様を晒す気だ、ガレス小隊!」
 敵の様子を見て、ハロルドはさらに銀飛輪のアナイスの名を与えられた土人形にも同様に雄叫びと闘気を浴びせて。
「うアっ、ああァあアあぁ!」
 土人形になっても支援能力は健在だったアナイスだが、ハロルドに引き寄せられてチャクラムを彼へと飛ばし始めていた。
 その長であるガレスには牧が回り込み、斬神空波で切り込みながら迫る。
「自らの才覚に合わぬ野心を抱けば、必ず失敗する。そうなったのは当然です」
「ジゃまをスるナあぁ!」
 牧の言葉が通じているかは疑問だが、注意を引き付け斬撃を見舞ってくる金銃剣をしばし相手取る。
 特に怖い突きを重点的に避け、牧は他の小隊員に囲まれぬ位置取りを維持し、立ち回る。
「厄介なのは狂っているが故の動きの読めなさ、じゃな」
 現状、仲間に注意は向いているが、狂気はそれすらも上回る危険があると夢心地は見る。
 土塊の逃亡を気がけ、夢心地はその破壊をと個別にずんばらりと妖刀で切りかかる。
 なお、狂気の影響で気を引けず、外に出ようと入り口側の扉を目指す敵へと、アシェンは銃弾を撃ち込む。
(今はまだ、皆が引き付けてるのよ)
 その際、彼女は向かってこない土人形の動きにも注意を払っていた。
 その少し手前にはロロンの姿がある。
 天使の歌を口ずさむポテトの支援を受けながら彼も回復支援を行い、被害の少ない序盤は邪剣の極意を身に宿してから敵陣へと魔砲を撃ち込んでいく。
 同じ範囲内には自らのセーフティを外した幻が奇術を使い、カイロも虚を突いた一撃で闇の闘気を纏った拳を打ち込む。
 彼らの攻撃によって、崩れ落ちる土人形も出始めていたようだった。


 ああアぁああァぁあアっ!!
 グオオオオオオっ!!
 大部屋の中では、ホルスの子供や魔獣らの叫び声がこだまする。
 その中で、イレギュラーズ達は耐える戦いと討伐する戦いとに分かれて身を置くこととなる。
 それぞれの抑え、回復に当たるメンバー以外が最優先としていたのは、ホルスの子供……土人形達の討伐。この部屋から遺跡入り口方面へと進ませるわけにはいかない。
 アシェンは向かい来る敵をライフルで撃ち抜きつつ、奥の扉も注視し続ける。
(出ることを優先されてしまうと厳しいの)
 現状、奥の扉へは魔獣や土人形が立ち塞がる状況。アシェンは敵の動きの把握に努める。
「被弾を恐れず、攻撃一辺倒で来られるのはやり辛いものじゃが……」
 理性を失う敵に、夢心地は戦い辛さも感じるが、相手は連携すらも満足にできない状態。後は1体ずつ倒していくのみと斬りかかり、1体の身体を右腕ごと切り裂き、元の土へと化していく。
 仲間の回復が不必要なら、やや後方に位置するロロンはほぼ動かぬままで敵陣へと叫びかける。
「進路を空けてもらっていいかな。大きめのを一発いかせてもらうよ!」
 彼が放つは強力な魔砲。敵陣を貫く一撃に、1体が人型すら保てずに崩れ落ちてしまう。
 小隊員を纏めて抑えるハロルドも敵の離脱を許さない。引き付ける土人形の攻撃を無効化しながらも、
「さっさと死んでおけ!」
 雷撃を纏わせた一撃をハロルドが抑える土人形へと放てば、もろに受けた1体がただの土くれへと戻っていく。
 そして、ハロルドが優先して抑えていたアナイスへとカイロが迫る。
「ほんの僅かな時間での会得ですが、この技を見切るのは容易くはありませんよ」
 まだ、戦いは長いとカイロは気力を保ち、弱めの蛇行撃を繰り出す。
 男性を引き付けるような容姿をしたアナイスだが、今の姿では誰も靡いてはくれなさそうな程に狂ってしまっている。
「私の報酬の為、土に還りなさい。今直ぐに」
「あァ、あアあぁ……」
 支援を行う仲間の傍で、カイロが放った蛇を思わせる動きをするオーラの一打。その衝撃に耐えられず、アナイスはカイロの言葉通り土へと還っていった。
 土人形のほとんどが崩れた状況で、唯一残っていたガレス。
 牧が1人でその抑えに専念していたが、相手は魔種の力をそのまま土人形へと込めた敵。
 刀を使って金銃剣を弾こうとするが、牧は追い詰められぬよう左右に体を傾けて回避も行うが、やはり他の土人形とは一線を画する強さで、少しずつその猛攻に押されてしまう。
「おあアあああァぁぁ!」
 その上で、狂気に満たされたその動きについていけなくなり、牧は斬撃と共に放たれた銃弾をその身に受けてしまう。
 どこかで何かが砕ける音。牧は次の瞬間、自らのパンドラが少し減っていたことに気付く。
 ポテトやロロンがすぐさま調和の力を賦活のそれへと転換して振舞う中、土人形を倒したメンバーがこちらへとやってくる。
 ハロルドやカイロが加わり、暴れるガレスを押さえつける中、アシェンも素早い敵を捕捉しようと狙いをつけて弾丸を撃ち込む。
 幻もまた戦線に加わるが……。
「土人形は早々に土に返って欲しいですね。夢すら見ることなく、ね」
 自らの奇術を魅せることすら厭う幻だが、相手はその虚を突く強敵。
 奇術を魅せつけた直後の隙を突かれ、凶弾と斬撃の連続攻撃に幻は目の前が暗転仕掛けてしまう。
 ただ、ガレスも土でできた体は限界が近づいていたようだ。
 そこに、態勢を立て直した牧が敵の胸部へと傲慢の左を叩き込む。
「自らの才覚に合わぬ野心を抱けば、必ず失敗する。そうなったのは当然です」
「おぉオあァっ……」
「せっかくお名前を授けて頂けるのなら、今度はもっと素敵なお名前だと素敵ね……」
 牧の言葉はおそらく通じてはいない。大きく目を見開くガレスへとアシェンが呼びかける。
「でも、今はおやすみなさい」
 刹那力を高めたアシェンはその胸部を銃弾で穿つ。
「オれの、おれノ、とうゾくだぁァ……」
 倒れるガレスの身体がその名と共に蘇った野心と共に、ただの土となっていく。
 それを見下ろすアシェンだったが、最後までホルスの子供達を名前で呼ぶことは無かった。


 倒すべきホルスの子供達は撃破できたが、共にいた魔獣達は狂化した状態でなおも健在だ。
 アオオオオオオ……!
 緑色の巨大トカゲ、魔獣バジリスクをヘイゼルが全身全霊で抑える。
 彼女にとって炎は脅威にもならないが、恐ろしいのは目から放たれる石化光線。
 動けなくなるとそれだけで危険に陥ってしまうと、ヘイゼルは極力青い糸で敵の注意を引こうとする。
 だが、魔獣を包む狂気は時にヘイゼルから仲間へとバジリスクの意識を向けてくる。ヘイゼルは味方を巻き込まぬように回り込んだことで、その視線に射抜かれてしまった。
「くうっ……」
 アオオオオオオォォォン!
 動けなくなるヘイゼルへと唸る様に叩き込まれる太い尻尾。
 次の瞬間、ヘイゼルは地面を転がり、希望の力をつかみ取って意識を繋ぎ止める。
 それを見たハロルドが闘気を叩きつけて引き付け、夢心地も出し惜しみは不要と黒の顎を食らいつかせる。
 同じく、フォローに入るアシェンは麻酔弾の効用を持つ特殊弾を撃ち込んで動きを止めようとしていた。
「誰も倒れさせはしないぞ!」
 叫ぶポテトは仲間がパンドラを砕く度、全力で癒しの力を込めて傷を塞ぎ、体力を取り戻させる。
 重ねて、ロロンも集中回復をと自らの身体から切り離した真水の塊を投げつけて。
「特製ポーションだよ。もうひと頑張りよろしく頼むね」
 ロロンの癒しもかなりのもの。メンバー達は再び戦う力を得て、魔獣へと立ち向かう。

 その魔獣の片割れ、ワニ、ライオン、カバの合成獣アーマーン。
 グルウウウ、グガアアオオオ……。
 バジリスクに比べればやや格は落ちるが、それでも強敵には変わりない。
 スティアはアーマーンに怒りを植え付けながらも、意思を魔力へと転化した刃で魔獣の巨体を刻んでいく。
 余裕があれば攻撃をと隙を探るスティアだったが、アーマーンもそこまで生易しい相手ではない。
 放たれる雷撃が広範囲に広がることもあり、スティアが仲間から離れて立ち回っていたことも大きい。
 スティアを助けるべく、加わってきたのはカイロとロロン。
 時に隠し出口もないかと神経を尖らせていたカイロだったが、精霊のもたらした情報が正しいことを認識した後は3種の蛇行撃で敵を攻め立てる。
 だが、カイロは邪なる闇で守りを固め、アーマーンの食らいつきを食い止めてみせた。
 グル……!?
「おっと、私を食べようとは。お高いですよ?」
 当然、金銭など持たぬ魔獣には手厳しい一撃をと、弱、中、強。同じ姿勢、同じ動作、同じ軌道から連撃を叩き込み、逆にアーマーンの巨大へと闇で浸食していく。
 そこで、仲間の回復が一段落したロロンが近づいてきて。
「少しお腹が空いてきたところだ。悪いけどボクの糧になってもらおうか」
 土人形はよくわからないノイズもあるが、モンスター相手ならいつもと変わらない。
 ――飢餓水星<彷徨える暴走免疫> 。
 回復も行う水が一度捕食の性質を持てば、もう止まらない。
「食べ応えのありそうな相手でありがたいね」
 ロロンはにこやかにその巨躯を飲み込み、ゆっくりと消化していくのだった。

 残るバジリスクとの交戦もまた激しい戦いとなる。
 アオオオオオオオオオオ!!
 石化光線はメンバーを棒立ちにさせてしまう。それを浴びた仲間が動けなくなれば、ヘイゼルやポテトが号令を発して不浄を振り払う。
 また、クリスタルの大部屋のあちらこちらに魔獣の吐き出した炎が燻ぶり、尻尾が叩きつけられた床や壁には亀裂が入る。
 入口傍に陣取っていたアシェンが敵の侵攻を止めようとしていたが、思わぬ方向からしなる尻尾を食らってしまい、パンドラの力に頼ることとなる。
 先程、倒れかけた時に重い怪我を負っていた幻がそこで奇術を魅せつけ、バジリスクを刹那混乱させる。
 相手が魔獣となれば、幻も幾分落ち着いた様子で対していたようだった。
 仲間が危機に陥れば、ハロルドも割って入る。
 多少の攻撃ではビクともしない彼は尻尾の強烈な一撃を堪え、気力の続く限り障壁を張る。
「2度とそのツラ見せるな!」
 反撃にと、ハロルドは闘気を叩き込んで相手の気を引こうとする。ここに来てなおも障壁が持っている彼は何とも頼もしい。
 抑えに徹していたメンバーも消耗が激しくなる中、終盤に力を温存していたメンバーが一気に攻勢に出る。
「知性すら感じられない狂獣に技なんて分かりませんか?」
 カイロは笑みを浮かべ、闇のオーラを食らいつかせていく。
 バジリスクとて広域の攻撃手段を持ち、間違いなく強敵ではあるが、カイロ相手では翻弄されているようにしか見えない。
 闇の力に苦しむバジリスクへと魔力を解き放ったスティアが敵の巨体を正面から魔力で撃ち抜けば、さすがの魔獣も目を白黒させてしまう。
「決めるぞよ」
 そこで夢心地が膨張した黒の大顎を顕現させ、一気に食らいつかせていく。
 アオオ、アオオォォォォ……。
 夢心地の発した牙を突き立てられたバジリスクはしばらくじたばたと暴れていたが、身体の半分近くを飲まれてしまえばさすがに力尽き、ぐったりとその体を冷たいクリスタルの床へと横たえたのだった。

 ホルスの子供達と魔獣の群れを討伐したイレギュラーズ一行。
 これで、ガレス小隊を名乗るホルスの子供から近隣の住民達に被害は及ぶことはなくなった。
「また悪用されるわけにはいきませんね」
 牧が拾い上げたのは、ガレスの名を与えられた土人形に使われていた色宝だ。
 彼女の意見に同意したメンバー達は土人形に使われていた色宝を全て回収していく。その野心をも利用された合われた盗賊達のことを想いながら。
 ……まだ、この遺跡内では別の戦いが待っている。
 メンバー達はこの場のチームを解散し、それぞれ次なる戦場へと向かうのである。

成否

成功

MVP

ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
旅人自称者

状態異常

夜乃 幻(p3p000824)[重傷]
『幻狼』夢幻の奇術師

あとがき

 リプレイ公開です。
 MVPは仲間のことを気遣いつつ強敵である魔獣の抑えに当たっていた貴方へ。
 今回はご参加、ありがとうございました!

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