PandoraPartyProject

シナリオ詳細

百合種電撃作戦

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●女の子ばかりの楽しい職場です!(※1 ※2 ※3 ※4 ※5)
「『わたしは新しい研究施設でヨロシクやってるわ』……っと」
 玖珠来 えみる(くすき・-)はAlice・iris・2ndcolor(p3p004337)に向けたメッセージアプリにそう綴ると、今まさに進行中の研究に視線を向けた。
 ここは練達の研究施設。えみるは嘗て、ラサから運び込まれた『雰囲気清楚機』なる古代の遺物にちょっとどうかと思う介入をして研究施設を半壊に招いてしまった過去を持つ。真っ先にトンズラした彼女が今こうしてお咎めなしに研究施設をはしごできているのは、間違いなくAliceと関わりがあるというネームバリューと彼女自身の実力あってのことだろう。
 今、彼女が努めている研究施設は――正直なところ、彼女にとっての天国だ。
 研究員がほぼ女性、彼女の専門分野が役に立つ職場、そして多少のことでは動じない堅牢な設備、男を寄せ付けない強固なセキュリティ――これほど完璧な施設が練達にいくつあるというのか。
「子猫ちゃんもいつか呼んであげたいわぁ……」
「玖珠来研究員、少し此方へ」
「はぁい」
 研究所の所長は、そんなえみるを呼びつけ研究の協力を要請する。
 研究自体は最終段階まできており、不用意に対外的な被害を生み出さないタイプの植物――ちょっと幸せな気分になれたりするだけの、まあ薬事法ギリ潜ってなんとかなる的なヤツだった。彼女らも割とロクな人間ではないが、周囲に迷惑はかけまいと色々試行錯誤を繰り返していたのだ。
 ……だが。
「所長、この数値はちょっと不味くないかしら? 練達(このくに)の薬事関連は下手すると管理局が怒鳴り込んでくるからシビアじゃないといけないけれど、このまま研究を進めたら『母体』が勝手に種を増やして……洒落で済ませてもらえないと思うわぁ……?」
 えみるが見た『母体』、つまりは研究対象である『種』の生産ベースである樹木の遺伝子データや生産された『種』の薬事効果を見るに、ちょっとやりすぎ感を覚えたのだ。彼女は自分のやらかしには鈍感だが、他者のやらかしには敏感なのである――。
「問題ありませんよ、玖珠来研究員。私達の研究は正しく女性達の発展に寄与できます。さあ、データの更新を行って母体の世代更新を」
 だが所長は断行する気満々だ。嬉々としてデータ更新(遺伝子情報改変)のスイッチを押し、それから数十分後、研究所が封鎖されたりAliceにやらかしちゃった系のえみるのメッセージアプリの第一報が届くのだが、それはまた別の話……。

●別でもなんでもねえんだよなあどうすんだよこれ
「……ってメッセージが届いたの。またえみるがなにかやったんじゃないかと思うんだけど……」
 Aliceはローレット経由で急遽集めた面々に端的に説明した。端的がすぎるからもうちょっとちゃんと説明してほしい。
「えっと、今目の前にある施設……なんか『古代遺跡が森に侵食されました』みたいに木が生えてるこれね。ここに彼女が努めてたんだけど、『あっ』てなんかやらかしたみたいなメッセージが届いたの」
 だから調査に来たんだけど、と言ったところで、ほうほうの体で逃げたであろうえみるが現れた。怪しい下着があらわ!
「来てくれて助かるわぁ……この施設なんだけど、ちょっとこの木を枯らしてほしいの。本体は施設の最奥部、機密区画にあるわ。それで、もともと女性しか雇ってない施設だから男性に対しての厳重なセキュリティを敷いてるの。男性が男性のまま最奥部までいくには相当な困難が伴うわ」
 へえ。つまり男はお呼びでないと?
「いえ、業腹だけど……わたしに任せてもらえればその辺のセキュリティホール対策は手伝うわ? わかるわね? 女装しろっていってるのよ?」
 いやいやいやいやいや。
「子猫ちゃんが怪我するのは勘弁なの。そしてこの木……『母体』って呼んでるこれから出る花粉と打ち出される種子は女性に対して非常に強い幻覚作用を引き起こすの。本当は軽微なレベルで薬事法に引っかからないギリを目指してたんだけど所長がちょっとキメちゃったみたいで」
 練達の女研究員はそんなのしかいねーのか?
「だから男が男のママ入ると凄く警備が強固で、女性が無策で入ると幻覚作用でまともに戦えない……? ちょっとえみる、やりすぎじゃないの?」
「わたしは止めたわよ」
 つまりそういうことなので、その。気を強く持ってほしい。

GMコメント

 設定委託を受けた時から構想してましたが文通機能で開花しました。はやく自首して。
 なおタイトルは「ユリシーズ・ブリッツオペレーション」とよびます。男の子ってこういうの好きでしょ、二重の意味で。

●達成条件
 『母体』の撃破

●母体
 研究施設内で研究されていた「女性が食べると非実在百合トリップをキめられるギリ薬事法にひっかからない合法的なアレ」を生産するための植物だったもの。遺伝子改変とか色々経てある程度の自我をもつが、自分から樹木体でムチ打ってくるとかの攻撃を行うことはしない。一部の攻撃に「百合妄想(後述)」が発生する。
・花粉(神特レ・3レンジ全周、ダメージ微小。パッシブ。魅了。詳細後述)―花粉散布。百合妄想
・種子弾丸(物超単、混乱、恍惚。詳細後述)―種子の発射。百合妄想
・急成長(物超ラ・【付】【副】、崩れ)―樹木の急成長による瓦礫の飛散。

○百合妄想
 性別・女性or不明に発生する特殊判定。「精神無効」で無効化されない。【厄災】扱い。
 これが付随する攻撃を食らった場合、該当者は周囲の非生物(秘宝種等除く)に対し女性と誤認、女性同士での愛情を持ってしまう。戦闘自体に大きな影響はないが恥ではある。
 男性or性別なしは特に加味しなくていい。

●研究施設セキュリティ×無数
 母体に近付く為の障壁になるもの。基本的に「男性」と「性別なし」に対し苛烈な攻撃を行う。
 コレに関しては女装を受け入れることにより無効化できる。女装するか滅茶苦茶苦戦してボロボロの状態で戦闘終盤にかっこよく「俺だぜ!」するかは自由(後者の重傷率凄く高いから覚悟だけお願いします)。
 なお女性or性別不明は素通し。

●戦場
 研究施設への突入(第1フェーズ)、最奥部での母体戦(第2フェーズ)。
 第1フェーズはセキュリティ突破なので戦闘というか駆け抜けるかんじ。廊下はそこそこ広い。
 第2フェーズは広いフィールドでの戦闘で、特に行動を阻害するものはない。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 百合種電撃作戦完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年02月09日 22時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アラン・アークライト(p3p000365)
太陽の勇者
Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)
シュレーディンガーの男の娘
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
ミラーカ・マギノ(p3p005124)
森よりの刺客
アオイ=アークライト(p3p005658)
機工技師
セレマ オード クロウリー(p3p007790)
性別:美少年
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う

リプレイ

●この面子が集まった時点ですでに事故だよ
「雰囲気清楚機の噂を聞いて清楚の化身たるアタシ参上っ!!!」
「アレ、今回関係ないわよ? 原因だったえみるは今そこで手ぐすね引いて女装させる気満々だけど……」
 清楚という言葉に一家言ある『暁の剣姫』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)はしかし、『Sensitivity』Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)に制されて「あれ?」という顔をした。あれ? じゃなくてさ。正気に戻って。
「うっへー……練達で色々仕事してると思うが、まともなことしてる奴らっているんだろうか……」
「頭悪いか下衆かのどっちかじゃねえの」
 『機工技師』アオイ=アークライト(p3p005658)の心からの嫌悪を思わせる言葉に返ってきたのは、これまた不機嫌さが際立つ『太陽の勇者』アラン・アークライト(p3p000365)の発言。いきなり呼び出されて「男はお呼びじゃないから女装しろ」はいくらなんでも一線級の2人に控えめに言ってド失礼だと思う。
「酷いのねぇ、あなた達。そんなに女装が楽しみで仕方ないの? 可愛いわぁ」
「……女装っ!? ふっふっふー……乙女の格好ならばこの清楚なアタシにお任せだよ!」
「清楚ってつける意味あったのかよ」
 えみるは『頭悪いか下衆』という言葉を敢えて無視し、アランとアオイの2人をまじまじと品定めする。女装の一言に何故か敏感に反応したミルヴィに飛ぶアランの的確なツッコミ! 加減しろ!
「百合とりっぷ……薬事法で取締るほど危険なものでない気がするんですよね。妄想と知っていれば、五感からの情報が幻であることを認知できるため危険性がないと思うのです」
「非実在百合ですって?! ふふーん! この私に百合妄想で挑もうだなんて、いい度胸ね! 元より勝利すべきは私自身の頭の中のみ! 養殖の百合妄想になんて負けないわ! この私自身の強火の幻覚で焼いてあげるわぁ!」
 『およめさん』澄恋(p3p009412)と『噛みカワ★ママギノ』ミラーカ・マギノ(p3p005124)は母体の百合妄想の程度を些か以上に甘く見ていた。澄恋はそもそも花嫁妄想が凄い。ミラーカは百合のケが凄い。どっちも生半な妄想ではどうにもならない。……ように思えた。なお、こんな反応を見ていてなお『特異運命座標』楊枝 茄子子(p3p008356)は「え、百合ってなに?ㅤ花?」みたいな感じで一切わからない風のリアクションを見せている。これでマジのガチで何も知らないんだから笑うしか無い。
 まあこの辺りは一般的な反応が多い。問題があるとすれば。
「なるほどね……いままでいろんな敵と戦ってきたが、この障害は別の意味で恐ろしいかもしれないね……」
『性別:美少年』セレマ オード クロウリー(p3p007790)が割と真剣に施設に突入することを危惧していた。主に、他の男性陣とは全く違う理由で。
「男性のみを迎撃するセキュリティだったか……厄介だ。
 問題はここを無事に通り抜けてしまうと『男性でない』と認定される。……すなわち「美少年ではない」と認定される点だ!! 美少年としてこんな……こんな、屈辱があるかっっ!!!!」
 おじいちゃんちょっと拗らせ過ぎだけど大丈夫? ここだけちょっと成功条件違くない?
「いかにも男なアランにはロングヘアーのウィッグと筋肉質を隠す布地多めだけどスマートに見えるコルセットを合わせて清楚お嬢様スタイルっ! 元から女装が似合うアオイとセレマには体型が分かるチューブトップなんかも似合いそう! げへへ、遠慮しなされますなー……♪」
 こっちも色々変わってる気がする。戻ってこい。
「まあ女装すればなんとかなるってんなら俺としては好都合か、イレギュラーズとして色々やってたおかげでメイクやらもある程度習得しちゃったし、口調も女らしくするのは出来るし」
 アオイは案外ノり気……というか諦め気味だった。少しだけ「ボーイッシュな女性とか男性認定されないのか?」とド失礼な想定をしたが、まあ女性陣は特に問題なさそうだ。出るとこ出てる面子多いし。
「アオイくんはなんでそんなに動じてないの? 慣れてるよね?」
「いやあの……放っといてもらえませんかね……」
 茄子子はえぐり方が容赦ないな。アオイもう白い顔してるじゃないか。おしろいもつけてないのに。美少女かよ。
「は? 勇 者 が 女 装 す る わ け な い だ ろ ! !」
 なおアランはこんな感じだった。大丈夫なのかこれ。セキュリティの餌食じゃん。……それでいいって? そんなあ。
「うか?自重?なにそれおいしい?ネタ重傷はご褒美よ♡
はっ!HP1(美少年)さん、そう、HP1(美少年)であることがアイデンティティであるなら仕方ないわね。あなたの逝き様に敬礼! ところで女装した男の娘って美少年よね?」
「僕は僕のままで行くから価値があるんだよ。女装なんて冗談だろ?」
 Aliceの指摘にドヤ顔で応じるセレマ。ああ、こっちも大概駄目だった。っていうかこれセキュリティにやられる前提で飛び込むやつ2人いるのはこう、いいのか……?

●ここまで展開が錯綜するなんて想定外だよ
「ボクのギフトは『性別:美少年』、このボクをやすやすと通せると思うなよ! ……そういうわけだからキミ達は先に通っていきなよ。キミ達が通り過ぎたのを見てからボクは動くから」
「そっかあ……頑張ってねセレマ! アランも! 女装姿見たかったなあ!」
「セレマくんは……あほだよね!ㅤ私そういうの好きだよ!ㅤ頑張ってきてね!!」
 セレマのギフトは本人の言通り、相手に『美少年である』と認識させる能力だ。つまり、男であると認識させる能力。セキュリティを引きつけることが可能だ。本来ならば。今回のそれがどれほどの感知能力なのか、ギフトが通用するのか……これはセレマにとって存在意義を賭けた戦いだ。ミルヴィは残念そうに、茄子子は残念なものを見るようにセレマを横目でチラ見する。他の面々もするりと横を抜けていく。目的は最奥部の母体ひとつ。ここでかかずらう必要はない。……己の誇りを重視する者以外は。
「で、アラン君はなんでここに?」
「1人にはさせねぇぜ! 俺の反骨精神舐めんじゃねぇぞクソが! セキュリティだろうが知ったこっちゃねぇ! こうなったらとことん『漢』らしく行くぞ!」
「……そっか、そういう暑苦しいのは理解できないけど信念に生きるのは理解できるよ。行こうか、この先は“本物”の地獄だろうけど、そうじゃないと……自分が否定された気分になるからね!」
 アランは自分が自分のまま戦いを終わらせるため。セレマは自分を認めさせるため。互いの信念の元、セキュリティへ挑む。

「せきゅりてぃもすんなり突破できましたし、眼前の母体もただの植物なのでは?」
 澄恋は完全に母体をナメきっていた。急成長で伸び上がった根をずんばらりんすると、仲間達の様子に視線を巡らす。無事だ。
「不調回復特化の最強の布陣だ……! これなら百合妄想?ㅤもなんとかなるはず……あ、かかるのはかかるから無理?ㅤそう……」
「止まらない百合妄想トリップなら、妄想加速すればいいじゃない!」
 茄子子は、というか茄子子自身も癒やし手としては最強クラスなのだが、Aliceとミラーカ、場合によってアオイが治療に回れる事を考えると輪をかけてヤバい。アオイとミルヴィ、澄恋の3人だけが(暫定で)攻撃手である以上は長期戦必至、つまり妄想対策は……まってミラーカ今なんて?
「ううーん、アタシはね……女の子もイケなくはないケド、男の子同士の絡みが一番好きなの!」
「百合……百合かあ。俺にはちょっとわからないかな」
 ミルヴィは己の闇の可能性を引き出すと、幻影とともに苛烈な攻撃を叩き込む。飛び来たった根と瓦礫はやすやすと躱し、ファル・カマルとイシュラークを振るって立ち回る。
 アオイは歯車による不意打ちから死角に一撃を叩き込み、距離をとる。そもそも男の自分が百合妄想に陥るのか? そんな疑問が尽きない。
「今回の敵は私の不死性をどうにかできる相手じゃないわ、勝ったわね☆」
 Aliceが盛大にフラグを建立しにいく中、母体はぶるぶると蠕動する。イレギュラーズの攻撃に思わず諦めの境地に入ったか? 答えは否。
「終わりでしょうか? 少し近づいてみましょうか……あっ花粉が目鼻に入って……ん゛ェ゛っくしゅッッ」
 澄恋が女の子がしちゃいけないたぐいのくしゃみをひとつ。周囲のイレギュラーズ達も目鼻口にゴリゴリに花粉で冒されたようで、一同揃っていい感じに表情が曇る。即落ちにもほどがある。
「あらあら可愛い子ちゃんじゃない☆ ちょっとやそっとの不調は気にしないけどこういうのは大歓迎よ☆」
 Aliceのフラグ回収は速攻であったが、彼女はなんかそれを恥とすら思っていない。メンタル強いな。っていうかいつもと大して変わってない気がするんだけど。なんか見えない相手とチュッチュしてるし。
「……私が女の子とイチャイチャするより、女の子がイチャイチャするのを見るほうが滾るわ! 私はそこに要らないのよ!」
 ミラーカは完全にこう、いい感じにブッ飛んでいるのでよしとしよう。目の前に妄想の種(ふかしのおんなのこ)が現れても一切動揺せずにもうひとり妄想で生み出し、即座に絡めに行くのはマジなんなのか。
「くっ……これが妄想……? なんだ、この……俺が女の子になったような……!」
 アオイはもうすっかり百合妄想の虜だ。これぞ本当のメ(リバ倫規制)。
「あ、免罪符が女の子に見えて来た……! だめだよこんなところで祝詞だなんて……みんな見てるよ……もう、仕方ないなぁ……!」
 茄子子が皆から距離取られる理由が薄っすらとわかるね。こういうとこだぞ。
「お願い……アタシの宝物(BL本)……アタシに耐える力を貸して! カット! あっちの2人の様子を録画して……!」
 ミルヴィ、使い魔にとんでもねえことを要求してた。いや、百合妄想に抗うからBLっていうのも環境メタすぎるでしょ。禁止カード級だよ。

 で、カット(ミルヴィの使い魔)の視線の先がどうなっているかというと。

「そう! これ! これだよボクが求めていたのは! ボクは美少年だ! セキュリティが反応しないはずがないんだ! ははは見たか! これがボクだ!」
「何で喜んでるんだよ畜生! ホントこいつわかんねえ……!」
 大喜びで攻撃を受けまくるセレマと、そんな姿にげんなりしながら並走するアランの姿だった。
 セレマにとっては大成功なのだ。なにせ、セキュリティは本来性別が定かではない彼を男とみなした。システムが妄想に負けたのだ。『美少年』の影響で体力がないに等しくとも、彼は何度でも立ち上がる。巻き込まれるアランは堪ったモンじゃないが、持ち前の根性で乗り切っている。
 なおここにBL妄想の入る余地はなかった。残念だったなミルヴィ。

「テメェのせいで散々な目に遭ったぜ緑野郎! 百合だかユリーカだかなんだか知らねぇがここで俺に切り刻まれるのがお似合いだ!!」
 ユリーカがナイフもってそっちいったぞアラン。それはそうと凄まじい剣気だ。至高の領域とかそういうのに近そう。
「またせたね! 百合妄想……厄介な相手だ。だがボクの美少年に捧げる熱量は、精神という言葉の意味を超越してボクの中に存在している……いわば魂!」
 誰かちょっと翻訳してほしいんだけど、なんて?
「あ、セレマくん。うわぁ……回復いる?ㅤいらない?ㅤあ、そう」
 白い目でセレマをみる茄子子。多分自分の百合妄想が見られておこなのだろう。
 で、まあ多分皆思ってるんだけど、澄恋の妄想は他と一線を画していた。
「まあ…地面様ったらわたしのくしゃみに臆せず支えてくださるのですね……☆ しかもぶにぶにでなく自らを律した証である若干硬めの体つきとは、わたし好みの見目ではありませんか! 君可愛いね、どこ住み? てから〇んやってる? えっしかもわたしが地面様の上にいるということは、わたしが今彼女を押し倒して…? ああっそんな、お顔が近いです……! このまま彼女のふぁーすときす奪っちゃっても良いんですか? 良いんですかっ!?  あはぁ…百合とりっぷ、さいこーうッ!!」
「……なあアレ」
「ボクは見てないから好きにすればいいんじゃないかな」
 アランとセレマは見なかったことにした。 
 母体はその間も成長を続け、瓦礫をガンガンに降らしてくる。激しいにも程がある。
「痛っ! 誰ですか瓦礫投げてわたしたちの仲を邪魔する輩は!今いいとこなんですからやめてください! は……? もしや貴様、わたしの地面様を狙っていて……? 畜生如きが、わたしの女を……?」
 畜生じゃなくて木なんだけどな。
「——ッざけんなァ゛!! わたしの女に近づくとは、遺書の準備はできておるのだろうなァ゛!? 他人の恋人に手を出す不埒者なぞ、鬼人直々に叩きのめしてくれるわ!」
「あの妄想の練上がり、素晴らしいわ☆ なんとかお近づきになれないかしら?」
 いやあもうAliceと澄恋は同類認定(お近づき)だと思うよ。
 ほら、澄恋の猛攻でちょいちょい皆パンドラ減りつつあっさり勝っちゃったじゃん……?

●ここまで不要な傷広がってんのもどうなの?
「俺の勝ちだドマヌケが!! 出直して来い!!!!」
 アランは全身に激しい負傷を負いながら、天に目掛けて人差し指を突き上げた。瓦礫が崩れ、彼に目掛け日差しが差し込む。なおその瞬間に落ちてきた瓦礫でアランは最後の緊張の糸を叩き切られた。
「NTRは! 地雷! です!!」
 澄恋は完璧に動きのとまった母体の命がもうないとわかっている。そらゼノポルタだもんな。でもそれでも、許せないことはある。叩き潰さねばならぬと思うことはある。妄想の果て、自らの地雷を踏み割られればあとは命のやり取りしか無いとは世の偉い人もいいました。
 なおそんな地雷妄想含め色々アレした薬事法違反の連中はと言うとえみる以外は枝に引っかかっていたので回収されました。
「貴方達の研究はね……全人類の希望なの……だから次は薔薇もお願い♪」
「そ、それはちょっと……」
「え?」
「えっ……?」
 ミルヴィはそんな彼女達に向けて酷い圧をかけていた。先の戦いを片鱗でも見ていれば、彼女らに口出しできるとはよもや思うまい。残念だったな。
「高濃度は危険ね……希釈して百合素養ある娘に百合教育……いやいや流石にそれはげふんごふん」
「よくわかんないけど練達の薬事法ギリギリなんでしょ! 燃やそう! オラッ! 燃えろ!」
「ああーーーーッ!?」
 ミラーカが何事かぶつぶつと考えている横で、茄子子は一切の躊躇なく母体と周囲の植物にガンガンに火を着けて回る。おいこいつ深緑放火魔共よりン倍くらいやばくねえか。ミラーカはなんかごめんな。全部台無しだよ。
「そもそも百合は趣味に合わねーんだよなぁ。ほら、ボクって美少年だし?」
「まあ、それで満足ならいいんじゃないかな……あっちでアレだけ好き放題やってるなら、こっちは何もしなくていいよね」
「ボクはもうこれ以上の面倒事はゴメンだよ」
 セレマとアオイはもう我関せずの雰囲気を全身から醸し出している。いいと思う。こんなどこまでも末期な連中の珍道中に付き合うほうがおかしいのだ。っていうか女性陣全員最高なブッ飛び方してるの本当に何でだよ。
「ところで、ギフトでOSHIOKIが必要な案件だと思うのだけどえみるはどう思う? できれば手伝ってもらえると嬉しいわねぇ」
「わたしは止めないわよ? 子猫ちゃんが楽しくなれるなら……まあ手伝わなくもないけど?」
「なにを拗ねてるのよ」
 Aliceは所長達からギフトでエナジーをギったうえでイイ感じにアレでソレな状態にしようと全力だ。えみるはそんな彼女に微妙に拗ね気味にかえしているが、手伝うのは吝かでもないらしい。それもソレでどうなのかと思うが……。
「な、なにを考えているの玖珠来さん、貴女ならわかってくれるわよね?」
「でも所長、事を面倒な方に持っていったのはあなた達ですし……」
 ことここに至るとえみるは冷酷だ。所長以下施設の皆さんに無事に帰れる未来はなかった。南無三。

成否

成功

MVP

耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う

状態異常

アラン・アークライト(p3p000365)[重傷]
太陽の勇者

あとがき

 信念のためならどうなってもいいみたいな覚悟のキマり方ホントやべえなって思いました。
 MVP? ここまでやりきったんだからそうなるよ……。

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