PandoraPartyProject

シナリオ詳細

The Case

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「コードブラック! コードブラックを発令しろ!!
 至急増援を……ぎゃああああ――!!」
 練達のある地下施設――そこでは違法な研究が執り行われていた。
 それは魔物を用いた研究。
 どこからか取り寄せた屈強なる魔物達を、その体の隅々まで調べようとしていたのだ。
 彼らは人を超える身体を持っているから。
 それらの構造を解明すれば――より素晴らしい技術の躍進が見込めるのではと。

 しかし。

「駄目です! 第八ブロック破られます!!
 第七半壊! 第六も……警備部隊との通信途絶!!」
 今その研究施設は阿鼻叫喚の渦に巻き込まれていた。
 魔物達が一斉に脱走したのである。電気系統の乱れか、或いは何か他の要因か分からないが……魔物達を閉じ込めていた強固なる扉は解放されており、一斉に外へと。
 その結果で生じているのは虐殺だ。
 警備部隊が激しい銃撃で応戦している様なのだが、無線越しに聞こえてくるのは只管に悲鳴のみ。そして各所の防衛網が突破されるアラート音。
「た、助けてくれ!! 死にたくない、こんな、こんな死に方など――!!」
「うわああああ来るなぁあああああ!!」
 追い詰められた研究者たちなどは抗う術もなかった。
 彼らに迫りくるは複数の脅威。完璧に管理していた筈が、もはや制御下にはない魔物達だ。
 ――一つは大蛇。人を丸呑みにしてもなお食欲が満たされぬ程の巨体。
 ――一つはピエロ。不敵な笑みを浮かべながら人に近付き腹を捌く狂気の存在。
 ――一つは半魚人。地上では動きが遅いも、驚異的な怪力を持つ古の脅威。
 他にも大蜘蛛、吸血鬼、顔面にピンが多く刺さっている不気味な男……ああモンスター達のより取り見取りだ。よくもまぁこれだけの数を揃えたあげく、一斉に反逆されてしまったものである。
 練達の科学技術で出来ている通路は既に血まみれ一色。
 ああここに神はいない。
 尤も。世界の法則を超えようと日々努力している練達の科学者に神が微笑むかなど――初めから分かったものではないが。


「な、なんだこの惨状は……?」
 そんな場へと訪れたのはイレギュラーズである貴方達である。
 救援――と言う訳ではない。むしろ本来の目的は逆であった。
 危険な研究をしている施設があるから止めるか壊滅させ、平穏を取り戻してほしい……という依頼が舞い込み、ついに今日踏み込んだのである。
 位置を特定し、さぁ行くぞと……しかし見えてきた光景は地獄絵図であった。
 魔物達が暴れている――
 警備部隊は押され続け、もはや施設としてどれだけの体裁を成している事か……
「もうこの時点で施設壊滅はしてそうだけど……この魔物達が外に出たら大変な事になるな」
 放ってはおけない。
 こいつらを放置しておけばやがて外に出てオーダーである『平穏』を乱す事だろう。
 幸いと言うべきか、魔物と施設職員との戦いは続いておりその横から殴りつける形で介入できそうだ。全てを相手取る必要はなく、互いを疲弊させながら立ち回る事は十分可能だろう。
 更には警備システムや全体の指示を統括している管制室は生きているようなので、そこを魔物達より先に制圧出来れば全体の戦況を詳しく把握する事も出来るだろうか? まぁ管制室の制圧は必須ではないが……
「ま、やるだけやってみるとしようか……!」
 故に往く。この騒ぎをなんとか――抑える為に。

GMコメント

●依頼達成条件
 敵戦力の鎮圧。

●戦場
 練達のとある地下施設です。
 それなりに広い施設であり、研究部屋などがあちこちに存在しています。
 が、現在は保管していた魔物達の反乱により阿鼻叫喚。
 今どこでどんな戦いが繰り広げられているかは不明です。
 後述する『管制室』へと至る事が出来ると施設の全状況や詳細な地図が判明します。

 あちこちに電灯がありますので、灯りの類は問題ありません。

●敵戦力A
 魔物達です。施設内のあちこちで暴れており、会話の類は不可能です。
 奴らは全滅させてください。設定上は種類多く魔物達がいるのですが、戦闘判定としては主に以下の様な形であるものとします。

・大蛇×1
 人を丸のみにする事も出来る程の非常に巨体を持つ蛇。
 優れた耐久力を持ち、締め付けや丸のみにして行動を束縛してこようとします。
 丸のみにされても内部から攻撃する事は出来ますが、消化液が非常に強力でありHPを凄まじい速度で削っていきますのでご注意ください。

・ピエロ×1
 不敵な笑みを浮かべて接近してくるピエロです。
 警備部隊の銃撃が一切聞いていません。実はパッシヴで『物無』を持っています。
 反面『神秘』の攻撃には弱く、最終ダメージも1.5倍されるようです。
 気付いたら後ろにいる、など突如として現れる傾向があるようです。

・半魚人×6
 身体の半分が魚類の様な身体を持つ化け物達です。
 動きは非常に緩慢ですが、優れた怪力を持っています。
 遠距離攻撃は持っていないようですが近付かれれば結構な脅威です。

・そのほか魔物達×??
 なんか色々ホラー系な魔物達があちこちで暴れています。
 吸血鬼とか大蜘蛛とか色々……警備部隊と交戦中の様です。
 全てそれなり程度の戦闘力を持っている存在、とだけお考え下さい。上記三種と異なり特殊や目立った要素は(判定的には)ないものとします。

●敵戦力B
・警備部隊×20名
 施設の警備部隊です。
 全て銃を所持していますが、とても魔物達の攻勢を止める事は出来ていませんしかなり疲弊しています。
 彼らも鎮圧対象なのですが利用できるかもしれません。囮的な意味で。
 また、魔物達と違って会話は可能です。

・管制室
 生き残りの研究者が立て籠もっている場所です。
 本来なら強固な扉に守られているのですが、電気系統に不具合が出ている様で扉がロックされていません。バリケードを築いてなんとか時間を稼いでいるのだとか。
 この地へ至ると戦況全体を把握する事が出来ますし、警備部隊に指示を出せたりします。
 でも特に必須ではないので無視しても構いません。
 なお、生き残りの研究者達がいますが彼らに戦えるような力はありません。

  • The Case完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年01月30日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アリシス・シーアルジア(p3p000397)
黒のミスティリオン
志屍 志(p3p000416)
遺言代行業
咲々宮 幻介(p3p001387)
刀身不屈
アオイ=アークライト(p3p005658)
機工技師
アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊
リンディス=クァドラータ(p3p007979)
ただの人のように
九重 縁(p3p008706)
戦場に歌を

リプレイ


「因果応報という奴で御座るかね、危うい研究をしていた末路……というには、些か阿鼻叫喚が過ぎるかとも思うで御座るが」
 まぁこれも有り得るべき未来かと『血道は決意とありて』咲々宮 幻介(p3p001387)はなんとなし渋い顔を。
 実に手間だ。これだから増長した科学者は世話が焼けるというか……
「しかしやむを得ないで御座るな――尻拭いをしてやると致すか」
「まあ、これに関しては此処の連中の自業自得だけど、万一外に出るような事があれば一大事だ。さっさと鎮圧して安全を確保してやらないとな」
 吐息一つ。『機工技師』アオイ=アークライト(p3p005658)もまた科学者たちの所業に思う所はあれど、とにかく歩を進める。目指すは管制室だ。施設内の情報を入手し、状況を掴んでから的確に事を進めよう。
「……知識を求める心は否定しませんし、魔物を研究したい、知りたいという情熱もわからなくはないのですが……結果このような事になったのは、身に余り過ぎる研究に手を出してしまっていたのでしょうね……」
「全く……どうして科学者ってこう、息を吐く様に余計なことしかしないんでしょうかね。私の領地(ファンクラブ)にもよく来ますよ――暴走AIが」
 周囲を警戒する『夜咲紡ぎ』リンディス=クァドラータ(p3p007979)に『月下美人の花言葉は』九重 縁(p3p008706)は言葉を紡ぐ。このような状況、ホラーゲームか何かかと。
 通路の奥を覗いてみれば――あれはゾンビだろうか?
 腐敗した死体の様なモノが動いているのが見える。こっちには気付いていないようなので、無駄な戦闘は避けるべく立ち回るが……なんという光景だろうか。
 念のためにと既に彼女の愛機であるルナ・ヴァイオレットには搭乗済みだ。
 異世界の産物にして彼女のステージ衣装――身を包んで万全と成し。
「……練達、来ちゃダメって言ってた理由。何となくだけど、分かっちゃったかも……アウローラちゃんは……此処に居たくない」
 同時に『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207)はどことなく嫌悪の色を感じていた。
 彼女は普段であればもっと陽気に――如何なる状況であろうと楽しく笑顔を忘れない子なのだが――この地に足を踏み入れてからは様子がおかしい。注意が散漫となっている訳でもやる気がない訳でもないのだが……
「……全部壊しちゃダメ? こんな所、なくてもいいよね……?」
 紡ぐは魔砲。こちらに気付いた大蜘蛛達に対して行う討滅の意志。
 壁程度ならばぶち抜く魔力の奔流が、施設そのものに対しても容赦なく振舞われていた。
「ほんと何してたんだろうねここで。人体実験? うーん、分からないけど碌でもなさそうだよね」
「ええ、自らで制御できない者を引き入れて、鎮圧出来ずこの有り様……なんとも不用心なものです。人の道から外れようとした者達が作り出したのは地獄でしたか」
 次いで管制室への道を切り拓くべく『希望の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)と『黒のミスティリオン』アリシス・シーアルジア(p3p000397)も邪魔なる魔物の排除へ往く。敵の動きを縛るべくアリアが紡ぐのは一つの楽曲――『悪い神々』らの怨嗟の声。
「えへへ、動けないかな? でも大丈夫……その内仲間達が楽にしてくれるから」
 蜘蛛らの魂を、身を束縛し。続くアリシスの一撃がその命を奪い取る。
 祈り束ねた光刃は生きている者も死んでいる者も――全て捉えるのだ。
 断罪。あるいは浄罪の一閃。
「やれやれ。人的被害も可能な限り抑えたい所ですが一体どこまで状況が許してくれるやら」
 アリシスが脅威を排除すれば『遺言代筆業』志屍 瑠璃(p3p000416)は、散乱していた――恐らく科学者達の肉片へとその指を這わせる。それは死体であればこそ、彼女は天より与えられた祝福により情報を垣間見る事が出来るのだ。
 施設の構造。少しでも歩みの助けとなるものがあれば良し。
 瞬間的に記憶して整理する。魔物がどこに出ていたか……も、過去の情報であるが故に『古い』可能性もあるが情報ゼロの状態より遥かにマシだ。
「行きましょう。管制室までの道は――こちらのようです」
 祈りを捧げるのは後だと、瑠璃は軽く会釈するに留めて駆け抜ける。
 この地は地獄だ。しかし地獄を一刻も早く終わらせる事は出来るのだからと。
 邪魔なる敵を虹の如く煌く雲で覆いつつ――瑠璃達は突き進んだ。


「くそ! 撃て撃てッ――!!」
 防衛線を築いている施設の警備隊。
 魔物の身は強靭であり、やはり彼らでは鎮圧出来そうにはない――
「ひ、ひぃぃまずいぞ! このままではここに来るのも……!」
 その様子を管制室から眺めているのは生き残っている科学者達である。
 バリケードを築いてなんとか立て籠もっているが、しかし魔物達の膂力に掛かればこんなもの時間稼ぎにしかなるまい……もしも警備部隊が壊滅すればその内に自分達も――
 その時、扉の方で轟音が響いた。
 破ろうとしている音か? まさかもうこんな所まで――!
 抗う力のない科学者達は恐怖に震え、声を荒げる――が。

「ここが管制室ですね――? 助けに来ました。科学者の方は何処にいらっしゃいますか?」
「科学者の皆様――ローレットです。鎮圧のご助力を致しましょう」

 バリケードを粉砕し中に入ってきたのは人間達、いやイレギュラーズ達であった。
 緑とアリシスの声が響き渡れば『なぜイレギュラーズ達が……!?』とざわめく管制室。
 しかし魔物ではなかった事の安堵と、もはや藁にでも縋りたい彼らはイレギュラーズ達が来た『目的』まではもう考察するような余裕はなかった。魔物達を排除してくれるならば何でも構わない……!
「管制室の機能をお借りしますね。あと、正確な地図はありますか?」
「警備部隊に連絡――ああ館内マイクがあるのですね? ならば一旦彼らには下がって頂きましょう。あのままでは全員殺されてお仕舞いです」
 であればと管制室に留まり全体の支援を担当するのは緑と瑠璃だ。
 ここを掌握し、魔物達を押し返して行こう。故に……ここからは班を別ける。
 一か所一か所を全力で叩き潰す事も可能だが、それでは時間がかかるからだ。
「ああ、魔物への対処中は大人しくしててよね?
 魔物に無惨に食い殺されるのを選びたいのなら別にいいけれど?」
 それと――研究者達には先程よりは安全になったからといって余計な動きはしないように、と脅しをかけるのはアリアである。
 勿論演技ではあるのだが、この緊急事態で無駄に敵を増やしたくなどない。目指すは敵の中でも特に特徴のある大蛇やピエロ、そして半魚人達だ……管制室からの映像によって、位置は分かっている故に、急行する。
「ぴえろとやらはあちら側にお任せするとして……拙者らは急ぎそれ以外を滅しに行くで御座るか」
「ああ。だがやっぱり注意は必要だろうな――ったく、面倒くせぇ魔物ばっか保管しやがって」
 管制室から出て通路を駆け抜ける幻介とアオイ。出来ればこちらはピエロ以外の……大蛇か半魚人を相手にしたい所だと、相性から思考を重ねる。管制室の映像で魔物達の位置や地図は確認できたのだ――奴らが大きな移動をする前に、なんとしても。
「……潰しておかないとね」
 目を細めるアウローラ。駆け抜けた先に出てきたのは――少し広い空間だ。
 大型実験室か何かだろうか? そこに居たのは、警備部隊の一部を食い散らかしている大蛇であり。
「ハッ! お、お前達は……さっきマイクで話してたイレギュラーズか!?」
「……だったら何? 邪魔するんだったら殺すよ?」
 現れた増援に警備部隊の一人が声を出すが――それをアウローラは殺意と共に黙らせる。
 本音は全てを敵としたい。本音は彼らも潰してしまいたい。
 しかしそれを理性によって抑え込み――アウローラは大蛇へと向かう。
 この形容しがたい感情をぶつけるかのように。
 大蛇の金切り声。しかしそれがどうした、こっちは気分が悪いのだと。
「――どいて」
 アウローラは構わず跳躍する。蛇の腹に跳躍一閃、時間さえ置き去りにする光速の一撃を。
 炸裂。速度を活かして彼女は舞う。
「さ。魔物に関しては致し方ないで御座るな……好き好んで殺生などしたくないもので御座るが、かといって無抵抗に嬲られる心算などなし。来るなら――覚悟してもらうで御座る」
 同時に幻介も壁を利用し蛇の上へ。
 頭上から強襲する制空の一撃を抉り込むのだ。鯉口を鳴らす音が響く時には抜刀済み。
 超速の移動と撃の一撃を交わす様に。蛇よ、その命を頂戴せん――

『――!!』

 さすれば蛇も煩わしいとばかりに尻尾で薙ぐ。
 幻介にアウローラを纏めて潰すかの如く。隙を見せれば呑み込まんとして。
「おっと、そうはさせるかよ――警備隊の連中も協力してくれ、奴を討つぞ!」
 しかしそこをアオイの支援が埋めた。協力体制にある警備隊の数人を統率し、蛇へ射撃を。
 そして傷付いた身には――治癒の力を施そう。
 対象の身体を『修理』するかの如く。迅速なる動きがアウローラ達に重い傷を残させず。
「怒ったか? だけどこっからだぜ、化物よ……!」
 再度の金切り声。言葉は通じずとも感情は理解できて。
 だからこそ攻め立てよう。こいつを倒し――秩序を取り戻す為に。

 一方でアオイ達と別れた班はピエロの方を狙っていた。
 唐突に現れる様な奴を放置してはおけない。
「位置を移動されない内に索敵し、撃破したい所ですね」
「特に警備隊も残存の内に……彼らも無為に死にたい訳ではないでしょう。科学者たちの口添えがあれば私達との共闘にも乗ってくれるでしょうし、ここからはより迅速な位置取りが重要ですね」
 音の反響を耳で捉えながらリンディスはピエロの奇襲を警戒し、道中で出会う敵を光の刃にて切り裂くのはアリシスだ――此処にいるのも三名。アリア、リンディス、アリシスの三人と成っている。
 管制室より更に進めばここにもあるわ血反吐の散乱。
 人の臓器らしき影も見えれば、流石にいい気分はせず……

『――ヒヒッ』

 瞬間、聞こえてきた声はまるで人を小馬鹿にするような笑い声。
 リンディスの耳が後方にて捉えた。足音も含め、これは……!
「来ます、ピエロです! ――後ろ!!」
「素早いね――けど、無駄だよ!」
 警告の声に即座に反応を見せたのはアリアだ。
 ウェンカムヒの序曲がピエロにも振るわれる。正に刃を振りかぶり、彼女を刺さんとしていた所に直撃する神秘が声。物理に強いピエロであったが、逆にこのような神秘は弱点であり。
「逃がしませんよ。人の手から離れた猛獣は、牙剝く前に排除されるものです」
 そしてアリシスも間髪入れずに刃を一閃。それは先程までの光刃とは異なる魔術。
 第八の秘蹟にして堕天使の力を行使する業が一つだ。
 魂を刈り取り死を刻む。命を弄ぶ道化に――終焉をと。
『カ――ヒ、ヒッ!!』
「……魔物は恐怖も抱きませんか。愚か、とは言い難いですね。
 このような輩を制御できると踏んだ者もいて、それがこの結果なのですから……」
 奇襲を防がれ弱き神秘で攻め立てられるピエロは急速に弱りつつあった。
 それでも刃を持ち、不敵な笑みは絶やさない――その様をリンディスは呟きながら。
「愚か者には全て罰が必要なのでしょうね――ええ。貴方を滅した後は、ここの者達にも」
 処罰をと。同時に紡ぐは軍略の記憶だ。
 それはアリシスやアリア達に今に見合った戦略を励起・伝達する力の奔流。
 宿して万全に。この先にいるであろう警備部隊とも合流出来れば、彼らにも伝えよう。

 正しき人の力を。正しき人の――在り方を。


 イレギュラーズ達が施設のあちこちに介入し始めた為、戦況は変わりつつあった。
 流石にいきなり優勢になる訳ではないが、厄介だと見込まれていた大蛇やピエロは追い詰めつつある。時折、施設内に残っている別の魔物の介入などがある為対応している者達に傷も増えているが……このままであればやがて趨勢は傾いていくだろう。
「おお、これならば魔物達も……!」
「ふふふ。連中め、調子にのった報いですな。これならば研究の再開も……」
 であればと、管制室で様子を見ていた科学者たちが不穏な言葉を。
 先程までは鼠の様に縮こまっていたというのに恐怖が薄れればこんなものか?
「成程。まだ研究を続けようという気概のある方が、存外多いようですね……その図太い精神を祝福し、研究対象の魔物と同じあの世に送って差し上げましょうか?」
 瞬間。瑠璃が――張り付けた様なにこやかなる表情と共に科学者に圧を。
 優れし聴覚をもつ彼女には些細な声すらも拾う事が出来る。しかしせめて我々の見えない所で、被害の出ないように続けるならともかく……今までと同じような内容を平然と続けようとするなど、これは御灸が必要そうだ。
 こちらの力はカメラ越しでも分かっている筈。それでも抵抗しようというのなら――
「瑠璃さん。こっちの映像をちょっと見てもらっていいですか?
 ……どうやら半魚人達が迫ってきている様です」
 その時、声を発したのは緑である。
 戦況を俯瞰し、警備部隊などにもマイクを通じて指示を出していた彼女には――最後の目標である半魚人達が管制室側に迫ってきている事に気付いた。大蛇やピエロに対処している班の隙間を狙った……という訳ではないだろうが、このままではまずい。
 ここにいるのは二人。至近の腕力は脅威である彼らに接近されれば不利は否めず。
「何、問題ないさ――もうすぐ戻るからよ!」
 されどそうであるならば急いで管制室へと往くだけだとアオイは紡ぐ。
 大蛇は弱っている。その全身からは流血し、あと一歩だと臭わせて。
 時折横から参入せし魔物達が殴って来るのが面倒だが……押される程ではない!
「面倒だなぁ。やっぱり全部なにもかも潰しちゃった方が……早いよねぇッ!」
 同時。アオイの治癒を再び受け取ったアウローラが――敵を塵にせんとする圧倒的な攻勢を。
 終わらせる、此処を潰して管制室へ往くのだ。だから――!
「――参るで御座る! いざや決着の場へ!」
 大口を開け、幻介を呑み込む蛇。
 消化液で一気に溶け殺さんとして――しかし彼の斬撃は全てを上回った。
 喉から腹へ。落ちる際に身体を捻り、高速に回転させれば何もかもを切り裂く。更に腹に落ちる前に、肉を蹴って――鱗諸共掻っ捌けば出でるものだ。
 激しき鮮血、悲鳴のような蛇の叫び声。
 発されると同時に巨体が地に落ちれば、その圧倒的な力には警備部隊すら慄いた。
「道化も片付きます。私達も管制室側へと回り、半魚人達を殲滅しましょう」
「うん! これで――終わりだよ!!」
 そしてピエロに相対していたアリシスとアリアも終わらせる。
 ピエロに神秘の斬撃を。古の旋律を奏で――その魂ごと天へと滅すのだ。

『アーヒャハハ、ヒヒヒヒ――!』

 さすれば燃えるように消え失せる道化。
 最後まで恐怖も悲鳴も見せぬまま――かの存在は消失すれば。
「いました、半魚人達です! 距離を取って討ちましょう……情報通りならそれで行けます!」
 駆ける。リンディスは戻れば魔物達の群れを見かけて。
 最後に再び集ったイレギュラーズ達は――包囲するかのように半魚人を穿つのだ。
 ここまで来たのだ。もう誰も死なない事を優先しつつ、遠距離から攻め立てる。奴らの爪は鋭く、腕は太い。ここが海中ででもあれば機敏だったのかもしれないが……しかし地上では鈍重だ。

「さぁ。ホラーな展開はこれでエンドですよ。最後はFinの文字で飾るのですから……!」

 ミッション・コンプリートだと支援の力を重ねる緑は言い放ち。
 最後の半魚人が倒れるのを――その目に確かに目撃した。
 倒れる音。響けば施設にはやがて静寂が。
 ……魔物達もこれで殲滅し終わったか? 念のため後で確認はしてみる、が。
「さて、片付いた訳だが……お主ら、こんな目にあっても、まだこんな所に肩入れするつもりで御座るか? それならそれで構いはせぬが、その場合『覚悟』はあるので御座ろうな?」
「降伏しろ。それとももう一戦やってみるか?」
 では当初の目的も果たそうと幻介とアオイは警備部隊に武器を向ける。
 成り行き上協力はしたが味方ではないのだ。抵抗するなら容赦はしないと、伝えれば彼らに戦闘の意志はなさそうだ……魔物達を凌駕するイレギュラーズ達の力は、彼らに畏怖を植え付けていて。
「折角拾った命です。この後どうなるかは知りませんが……賢明な判断だと思いますよ」
「……で? この研究施設はあれかな? 人体実験それとも狂王種関係の研究? キリキリ吐いてもらおうかな……!」
 武装解除し捕縛された者にはアリシスも術で治癒を。
 アリアは科学者たちを縛り上げその目的を聞き出さんとする――まぁ単純に人体実験をしたかっただけなのだろう。とっとと縛って連行するとしよう!
「……終わった? 終わったよね? じゃあ帰ろうこんな所。
 ……とても気分が悪い。もうこんな所いたくもない」
 連れ出す科学者たち。さすればアウローラは心底うんざりした顔で言葉を紡いだ。
 依頼じゃなければ二度と来たくない場所だ――
 私欲の詰まった研究施設。

 壊れ尽くして何よりだと、吐き捨てる様に呟きながら……外の空気を吸いに出るのであった。

成否

成功

MVP

志屍 志(p3p000416)
遺言代行業

状態異常

なし

あとがき

 依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ!
 阿鼻叫喚地獄絵図の中を突き抜けて平穏は取り戻されました……! いや血反吐とかは残ってるので平穏と言うか平和な光景ではないですが、脅威は確かに排除されたのです……!

 それではありがとうございました!

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