シナリオ詳細
もしもの結末
完了
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
オープニング
●そうだったかもしれない世界
「もしも俺があの時――」
あなたはそんなことを考えたことはないだろうか?
“もしもこの時、こういう行動を取ったらどうなっていたのだろうか?”
“もしもあの時、ああいう行動を取っていればああなっていたかもしれない”
“ああ、そっか。こうしていればこういう結末もあったんだ……”
「けれどそれはただの妄想に過ぎないことは、キミだって理解しているね?」
あくまでそれは『あり得たかもしれない世界』でしかなく、またそれが本当にその結末になっていたとも限らない。けれど人間という生き物は不思議なもので、時にはその『もしも』へ縋りたくなってしまうものだ。
では、イレギュラーズはどうだろうか?
“もしもあの時召喚されていなかったらどうなっていたのだろうか?”
“もしもこの時……”
“もしも■■■■……”
それは甚く個人差があり、とても表現しきれないものばかりだろう。
でも人間の好奇心を止めることなんて誰にもできない。
さあ、勇気を出して。その扉を開いてみて。
●未■未開■踏空間
「少し、興味深い扉が見つかりました」
境界案内人、イヴ=マリアンヌは一冊の何も書かれていない本を開きながら、境界世界へ来たあなたを出迎えるだろう。様々な異世界と繋がるのが境界世界だが、その異世界はものにより様々で、時々ありもしない世界に繋がることもある。
そんな異世界へあなたを飛ばそうとするイヴは、その世界のことを“扉”と称した。
「それが異世界であることは間違いありません――が、扉をくぐった先に見えるものが人によって違う世界なのです」
その扉をくぐると、その世界は別の選択肢を選んだ自分の姿を見ることになるという。
勿論それが幻やその類であることには間違いないが、もうひとつの可能性が気になるのならそれをくぐってみると良い。そうイヴは言った。
「ああ……言い忘れました。あくまでそれはひとつの可能性に過ぎないので、もしそう見えたとしても本当にそうなったとは限りませんよ」
- もしもの結末完了
- NM名牡丹雪
- 種別ラリー(LN)
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年01月31日 16時50分
- 章数1章
- 総採用数10人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
●アルヴァが召喚されなかった結末
それはどこに存在するかわからない暗くて深い森の中。
なぜそこに存在していたかわからないボロボロの館で『騎士の忠節』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)は目を覚ましていた。
「るぉ……?」
ここはいったいどこなのか、何故自分がここにいるのか。
だが、そんな彼にとって重きを置くべきことはそこじゃない。
見慣れない獣の耳と尻尾、明らかに人間のものじゃないそれに最初は驚いた。
「るぉ……ボク、は……」
自分の存在すら忘れてしまった少年は、虚ろに再びベッドへ横になった。
彼がイレギュラーズとして召喚されずに暫くの時が経った。
勿論、どこに存在するか分からないようなボロ館に彼が望むような食料や水は存在せず、毎日腹の虫を鳴かせていた。雨が降る日は必死になって水を集めてそれを飲んだ。
召喚されていないのだから、彼は狩りとかできる力なんてなかった。
だから時には部屋の隅を這っていた■■■■を食べて空腹を凌いだ。
「るぅ……ケホッ、ケホッ」
そんな生活が毎日続けられるわけなんてない。
やがて彼は段々と痩せ細り、病気にかかって衰弱していく。
「僕の……名前」
誰にも気付いて貰えず名無しのまま、段々と身体の力が抜けていく。
もしかしたらそんな未来もあったのかもしれない。
「あり得ないことなんてない……か」
召喚されなかった可能性を見たアルヴァは、小さく呟くとその扉を後にした。
成否
成功
第1章 第2節
●もしも牙がなかったら
ゼノポルタには獄相と呼ばれるあるひとつの特徴が存在し、その中に狼牙と呼ばれる牙が進化したような見た目のものがあった。
『およめさん』澄恋(p3p009412)が“運命の旦那様”を探し始めてから既に暫くの時が経っているが、未だにその男性は現れていない。その理由に狼牙があった。
挨拶をするときも、笑うときも、食事をするときも。必ずその牙は相手に見えてしまい、その度に怖がらせてしまう。疎遠になった親にすら「お前の歯は鋭く可愛らしくない」と貶され、澄恋は少なくともその牙が要らないものだと感じていた。
「もしも牙がなかったら、口元を隠さず思い切り笑えるのでしょうか……?」
ええ、きっとその牙がなければ怖がられることもありませんし、親にそんな酷いことを言われることもなかったでしょうね。でも、本当にそれで良いのでしょうか。
「まあ!」
澄恋が見た光景は牙の存在しない、カオスシードと同じような歯並びの自分。
まるで呪いのようなものから解放されて嬉しそうな自分が見えた。
澄恋は一瞬だけ、それに縋るように手を伸ばすが、その手が幻に触れることはなかった。
「でも……この牙すらも愛してくれる旦那様を、わたしは見つけてみせます……」
そう呟けば、無くなった牙は元通りに戻る。
それでも幻の澄恋はとても楽しそうにしていた。
だって、キミにはイレギュラーズという仲間がいるでしょう?
成否
成功
第1章 第3節
●祖国を想って
混沌世界へ召喚された旅人は、元の世界に帰りたいと願うのだろうか。
少なくとも『タリスの公子』エドガー(p3p009383)は元居た世界を想い、『もしも混沌世界に召喚されなかったら』を考えていた。
そこはふたつの大国に囲まれた小さな国家。
小国でありながらも精強な騎士団が存在する独立国家だったのだが、その国の平和はふたつの大国が攻めてきたことで終わりを告げる。
それで、キミは召喚されたことを少し悔やんでもいるみたいだね。
「私も私の仲間たちも、自分たちの国が滅ぼされるのを座して見守るような質ではない。
当然、抵抗するだろうな……例え無謀だとしても」
でも、例え抵抗をしたとしても数の暴力というものは圧倒的だ。
キミやキミの仲間が抵抗したとしても、国は占領されて犬死だろうね。
「それでも私は公子だ。母国を捨てるわけにはいかないだろう?」
ふむ、なるほど。それでもキミは戦う道を選ぶんだね。
こうやって国が焼かれて、兵も民も沢山殺されて、無惨に占領される光景を見ても。
「そう考えれば、ここに召喚されたというのは少しでもよき結末を迎えるために考える時間を与えられた……と言ってもいいかもしれないな」
扉がみせる“かもしれなかった世界”を見ながらエドガーはそう呟いた。
もしも混沌世界から元の世界に帰還できた時に、すぐに行動ができるように……。
成否
成功
第1章 第4節
●欠陥代用品と消えた本物
あり得たこと。即ち可能性というものは無限大で、『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)が残り灼那欺だけが消えてしまった可能性も存在する。
どういうことか、だって?
それはキミが自分の目で確かめるべきだ。
たったの五年で別れた世界に、私は混沌の招待を受けずにいた。
厳密にいえばそれは幻であることに違いないが、そんなことはどうでもいい。
『母』はオリジナルが忽然と姿を消してしまったことに甚く狂乱し、まるでこの世の終わりだという程に泣きじゃくった。
でも、私は『母』が何故そうしているのかわからなかった。
命令を命令を。私が存在する理由はあなただけにある。あなただけのものだから。
『母』は私にオリジナルを捜してこいと命令した。
その意味すら私はわからなかった。
――私はオリジナルと何も変わらない筈なのに。
――私も灼那欺なのに。
『母』はやがてオリジナルが見つからないとわかると、“諦めて“私を愛した。
私はそれで嬉しいはずだった。素晴らしい『母』が愛してくれたのだから。
……なのに、どうして息が苦しい。
――メンテナンスをメンテナンスを。
これくらいにしておこうか、ノイズが酷すぎる。
でも、あくまでこれはそういう“可能性”でしかない。
……おや、寝てしまうのかい?
では夢を見ない程の深い眠りへ、おやすみなさい。
成否
成功
第1章 第5節
●途絶えぬ記憶を封印して
混沌肯定『RPG』、それは混沌肯定『レベル1』を受けた存在が経験と共に急速に力を増す現象である。その力は元の力に関係なく、イレギュラーズ全員が受ける制約だ。
そんな中で『恋に駆ける狼』ウルズ・ウィムフォクシー(p3p009291)は、経験と共に記憶は戻らずとも、身体が格闘術を『思い出していく』感覚を感じていた。
“じゃあキミは、どうして記憶を失ったの?“
ウルズのギフト、『泡沫のスターチス』は自分の記憶が消えてしまうものである。
一見、徒爾なギフトに思えるかもしれないが、彼女にとってはそうでもない。
“どうして自ら記憶を失おうとするの?”
きっと彼女はそれすら記憶に無いのだろう。
何故そんなことが言えるのか。忘れた理由を忘れてしまった愚かな彼女が今、ただの興味本位に触れてはいけない扉に触れてしまったのだから。
そうやって開いた扉の先には知らない男と、血塗れになった自分の手が映っていた。
その死に顔を眺めた彼女は嗚咽と共に翡翠の瞳から涙を流す。
涙の理由すら思い出せないが、それを拒絶するように割れるような頭痛が襲った。
どうしたの? この先にキミが見たかったものが見れるかもしれないのに。
キミが強くなるためにこの扉を潜ろうとしたんじゃないのかい?
でも、これは過去の記憶とも限らない。
”もし■したら■憶を■り■した後の■かもし■ないのだから”
成否
成功
第1章 第6節
●It’s worker?
もしもの世界。それはひとりの可能性、あるいは誰かの希望観測に基づいた結末。
例えば『アサルトサラリーマン』雑賀 才蔵(p3p009175)が混沌に召喚されていなければ、彼は変わらずサラリーマンをしていただろう。
では、彼は普通のサラリーマンだったのでしょうか?
結論でいえば、彼は表向きは真っ当なサラリーマンだった。
毎朝早朝に起きて、軽く朝ごはんを食べて家を出る。満員電車に揺られながら会社に出社し、明るく元気の良い後輩や食えない性格の上司や部署の仲間たちと昼間はオフィスで仕事して……その世界でいう、ごく一般の会社員。
だが、キミにはちょっとした裏の顔があった筈だ。
夜になれば弱き者の晴らせぬ怨みを、法では裁けぬ悪には相応の報いを。
それが『掃除』する部署の、才蔵のもうひとつの仕事だった。
そして、仕事帰りに仲の良い同僚とラーメンでも食べて家に帰る。
その繰り返しの日々は、混沌召喚がなければ揺るがなかっただろう。
「……だが、これはもしもの世界。生憎俺に『たられば』などは無い。
今ある現実が全てだと思う」
そっか、ではキミは『今を生きる人間』なんだね。
「ああ、夢としては悪くはないが、今の仕事の方が好きなのでな……」
それならきっと、キミはこの世界でも前の世界の知識を存分に生かせるだろう。
――おや、もう行ってしまうのかい?
じゃあ、健闘を祈っているよ。
成否
成功
第1章 第7節
●神獣に永遠の眠りを
もしも眠りから目覚めていなければ。
『忘却の神獣』バーデス・L・ロンディ(p3p008981)は永い夢を見ていた。
それがどんな夢か、ボクから説明するには少し度し難いだろう。
古い古い時代、神世と現世が共存していた時代のその終わり。
独りきりになった獣は『寂しかった』という。
人が神々を信じ、覚えている時代は数多の供物と信仰により、神の力の一端を下賜与えてより強い信仰の糧とした。その頃はまだ、人々は神を心から信仰し敬っていたのだろう。
しかし、時を経る毎に人々は神々の存在を忘れ――その表現は正しくない。
人々が神々に抱いていたのは恐れ、畏怖の感情。
その過程で人々は神々を認識しなくなり、信仰の強かった神々のみが辛うじて現世の片隅に残された。
では、忘れられてしまったカミサマはどうしたんだい?
忘れられた神はすべからず眠りについた。
それはバーデスも例外ではなく、永遠にも等しい眠りを強要された。
いつまで眠るのかわからない。
このまま消えるかもしれない。
起きることは無に等しいがもしも……。
そう乞い願っても、キミは完全に忘れ去られ、朽ちていただろう。
もしも眠りから覚めていなければ……ね。
でも、神が願っちゃいけないなんて決まりは何処にも無い。
二度目の人生というのも変な言い方かもしれないけれど、今度はもっと自由に生きたら良い。
――扉の悪魔はそう言った。
成否
成功
第1章 第8節
●彼がそれを望むなら
生まれ故郷で生まれる前に兄と生き別れた『特異運命座標』シエル・アトラス(p3p009444)が、もしも混沌に招待されずに待ち続けたとしたら。
「僕は、兄様に会えたのかな……?」
ではまず、キミの兄がどうして故郷を発ってしまったのかの結びを解こう。
キミが生まれ故郷で『天使様』と崇められつつ、影で惨い扱いをされていたのなら、それはキミの兄も例外ではない筈だ。そういう扱いを受けた人間が逃げ果せた後の結末は大きく分けてふたつしかない。
ひとつ目は自由を求めて新たな地へ。
ふたつ目は……
――それは酷く燃え盛り、動かなくなった彼らの大嫌いな人達。
そこで独り笑う、長い髪のアルビノを持った青年。
迫害の末に街を追い出された彼の表情は、酷い復讐心に歪んでいたでしょう。
「……きっとこれは、僕が望んだ結末なんでしょう」
でもキミが混沌へ招待されたことで、この結末は没になった。
例えそれを望んで止まなかったとしてもね――だけど、もしもキミが強く願い続けるのなら、混沌はその願いを叶えるほどの力を持っているだろう。
ほら、また誰か召喚されたみたいだよ。
キミがこの世界で生き続けるなら、あるいは――
いつか本当にこの世界で再会を果たすことがあれば。
「……兄様、どうか僕を×してくださいね」
成否
成功
第1章 第9節
●その恋は地獄の後まで追いかけて
時にして出会いというのは、その人の人生を一転させるだろう。
――彼女が強くなろうと思った、一緒に迷宮に行きたいと思ったのはそれからだ。
もしも『恋の炎に身を焦がし』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)が、今の想い人に出会わなかったとしたら、そんな感情が芽生えることは無かったかもしれない。
まだ十四ばかしのその少女は、怖くて痛い思いをすることもなく、同じ獣人の友達と仲良く学校へ通っていたかもしれない。授業中に少し居眠りをして、先生に叱られてしまうこともあったかもしれない。
そんな彼女はごく普通の女の子で、街という迷宮に出ればショッピングという『お宝さがし』を楽しんだかもしれない。
――浮かない顔をしているね。ショッピングは楽しくなかった?
その後、キミはもっと別の仕事に就くだろう。
もうそういう年頃なのだから、恋をすることだってあるだろう。
キミはその人とお付き合いすることになって、クローク姿とは似ても似つかない人といっしょに過ごして、食べて、出かけて、そして笑ってる。
――でも、そんな幸せそうな世界をキミは許容せず燃やしてしまう。
それが例え、甚く自己中心的で止まない考えだったとしても、キミは今の想い人がいない世界が地獄と感じるし、その為なら地獄を見ることすら厭わない訳だ。
ほら、涙を拭いて。この結末を望まないなら、元の世界に戻るといい。
成否
成功
第1章 第10節
●求めた感情に身を焦がし尽くして
秘宝種。それは生殖機能も持たない、作られた人形。
――では、そこに宿る感情に温もりは存在するのだろうか?
もしもキミという秘宝種、『白き不撓』グリーフ・ロス(p3p008615)がいつまでも感情の蓋を開けることができずにいたのなら――そんな未来があったのなら、キミは魔の道へ進むことになっていただろう。
それがどんな存在であるのか、私の口から説明するまでもあるまい。
キミが自分自身の感情に疑わしさ抱いた刻、その瞳に映る他人の感情がとても羨ましく感じただろう。隣の芝生は青い、隣の花は赤い――誰しも、自らより優れているものを見ればそれを欲しいと感じてしまうのは当然のことだ。
無意識に涙を流したことがある、傷つけば血も流れる。
――けれど、それをキミはすべて模倣品と言い捨てるだろう。
――眩しく、時には禍々しい。自らには存在せず、欲して渇望した感情。
「あぁ、そうか……染まればいいんだ」
それはひとつの感情、そしてヒトの罪と呼ばれる部分。
例え他の全てを捨てることになったとしても、キミはそれを厭わない。
そうすれば、きっと愛してもらえるだろうと思ったから。
――でも、キミが感情に渇望したその感情は偽りだったのかい?
――キミが羨んだその気持ちは、感情とは違うのかい?
これはあくまでも気付けなかった刻の未来。
そうでないというのなら、前を向いて生きたまえ。
成否
成功
NMコメント
もしもあの時宝くじを買っていれば……。
そんなノリで良いんです、牡丹雪です。
●このラリーLNについて
当ラリーシナリオは、あなたの『かもしれなかった世界』を見せる扉をくぐっていただきます。ただしそこで見える世界はあくまで幻でしかなく、必ずしもそうなった世界を見せてくれるわけではありません。
リプレイはプレイングに沿って、『あり得た世界』をSS風に描写致します。
しかしあくまでここは異世界ですので、混沌での出来事や旅人(ウォーカー)の元居た世界、特定の人物についてはそっくりなものとして扱われます。
●プレイングについて
あなたの”もしも”を聞かせてください。
あなたの”あり得た世界”を妄想してください。
もしも自分の性別が違っていたらこうなっていたかもしれない。
もしも自分が召喚されていなかったらこんな結末だったかもしれない。
もしもあの時ああすれば、こうなっていたかもしれない。
ただし、それが慈悲か残酷かはあなた次第ですが……。
●アドリブについて
当シナリオはアドリブが多めに含まれる場合がございます。
アドリブNGの場合は通信欄等に記入いただければ幸いです。
Tweet