PandoraPartyProject

シナリオ詳細

雷鳴を纏う岳の民

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●雷鳴を纏う岳の民
 鉄帝国北部に広がるヴィーザル地方。
 肌を突き刺すような、極寒の風が吹きすさぶ山岳地帯には、高地であるが故の戦い方を身につけた一族が居る。
 自らは雷神の末裔だと名乗りし高地民族【ハイエスタ】。
 筋骨隆々たる身体ながらも俊敏に山肌を駆け、己が戦う事に誇りを持つ者達。
 ……しかしそんな誇りを蔑ろにしてしまっている、いわばはみ出しものの【ハイエスタ】を名乗る一族も居る様で。
『いいか。俺達の力をこの周りに見せつけてやるんだ……いいな!』
『おう!』
 互いに威声を掛け合うと共に、縄張りである山岳地帯に程近い、ひもじく過ごす街を見つけ、全てを奪い去ろうと暴れ廻る。
『さぁ、街の者達よ! 全ての金目の物と食べ物を差し出せば、命だけは助けてやろう……差し出さなければ、分かって居るだろう!?』
『このクレイモアの血の錆になりたくないだろう? ……さぁ、早くしろ!』
 と、巨大な大剣を空に掲げ、人々を脅迫する輩達。
 そんな彼らの襲撃は、日に日に勢力を広げ、その周域を治めし領主も、それに気づき始めていた。


「あ、イレギュラーズの皆さん! ちょっといいです?」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、ギルド・ローレットを訪れたイレギュラーズの前にぴょこん、と首を出し、小首を傾げる。
 そんなユリーカの試い草に顔を向けた人達の手を引いて、集まった所に。
「ええとですね、まずは皆さん、ノーザン・キングスはもう知ってますよね?」
 頷いてくれた所にニコッと更に笑顔を浮かべ。
「ありがとうございますなのです! 今回もそんなノーザン・キングスに現れた不届き者を成敗してきて欲しい、って訳なのです!」
 ぐぐっ、と拳を振り上げるユリーカ、そして更に。
「今回の場所ですけど、ヴィーザル地方の中でも険しい山々が連なる地域なのです。ここには雷神の末裔と名乗る高地民族『ハイエスタ』が手を広げているのですけど、その中でも好戦的で、はみ出し者達が集まった『キャルヴァリィ』という一読の者達が、周りの町や村を襲撃している様なのです!」
「彼らの求めるのは金と食、山岳地帯沿いに棲む街や村を次々に襲っては、その力を誇示してそれらを奪うという行動を繰り返している様なのです!」
「この辺りを治める領主さんは困り、鉄帝国にも依頼をしている様なのですが、鉄帝国はそんなの自分の所で何とかしろ、と言い捨てられて仕舞っている様なのです……だから困り果てて、ローレットに依頼が舞い込んだ、という訳なのです!」
「ちなみに彼らの力、と言われて居るのは屈強な身体と、その身体と同じ位大きなクレイモアと呼ばれる両手剣なのです。範囲攻撃は持って居ないのですが、単体攻撃力は極めて高いので注意して欲しいのです!」
 そして、最後にユリーカは。
「何にしても、イレギュラーズの皆さんが頼られているのです、是非とも頑張って来て欲しいのです!」
 と、頷くのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 ノーザン・キングス……まだまだ被害報告が出ている様です。

 ●成功条件
  『ハイエスタ』の『キャルヴァリィ』と名乗る一族を倒す事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  今回、敵陣は山の方から駆け下りながら、攻撃を仕掛けてきます。
  ただ駆け下りてくる時には当然音が立ちますので、不意打ちを受ける事はありません。
  とは言え戦意がかなり上昇した状態で攻撃してきますので、その勢いに押されない様ご注意下さい。

 ●討伐目標
  相手は筋骨隆々な男達が15人います。
  その筋骨隆々な身体からして体力が高く、また巨大な武器からして攻撃力も高いです。
  戦意が高く、決して逃げる事はありません。
  又、周りの仲間達と連携し、攻撃してきます。
  ちなみに彼らは『雷神の末裔』を名乗るが如く、クレイモアに力を込めるとその武器に雷が宿り、当たると『痺れ』のバッドステータスが付きますので注意して下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 雷鳴を纏う岳の民完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年01月17日 22時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

グドルフ・ボイデル(p3p000694)
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
久住・舞花(p3p005056)
氷月玲瓏
ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)
天翔鉱龍
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

リプレイ

●不遜たる願い
 鉄帝国北部、ヴィーザル地方。
 極寒の風が吹きすさぶ北方の山岳地帯において、その地を我が物にせんとして戦う高地民族の一つ【ハイエスタ】。
 そんなハイエスタの一部族、筋骨隆々たる身体に俊敏たる者達……【キャルヴァリィ】。
 山岳地帯近郊に住む町や村へ襲撃を仕掛け、街の有り金、食べ物を全て奪い去られるという……凶悪な一族。
「またハイエスタか……」
 と、難しい表情を浮かべる『月下美人』久住・舞花(p3p005056)。
 それに『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)も。
「ハイエスタと言えば誇り高き民であると聞くが、こういうヤツもいるのであるなぁ。まぁ、このくらいの方が後腐れがなくて良いか」
「そうだな。ノルダインがそうであるように、特に冬場のヴィーザルは厳しい食糧問題がある。越冬の備えを作れなければ、奪う以外に生きる道は無い現実……ハイエスタもまた同様という事でしょう」
 と舞花が呟いたその瞬間。
 極寒の風がイレギュラーズ達に対して吹き付けてきて。
「っ……さ、さっぶ~い! こんなところで山から駆け下りてくるだなんて驚愕だよ! あー、もう帰って暖まりたいよう!!」
 身体を震えさせながら、『希望の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)が叫ぶと、それに『無窮なる鉱龍』エクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)は。
「そうだね。本当寒いね……混沌肯定のせいで寒さを感じるから不便だなぁ。てか、何で人はこうも過酷な環境に住もうとするんだろう?」
 それに『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)は。
「厳しい環境だからこそ、互いの絆が深まる……という所があるのかもしれません。とは言え今回の敵は雷神の末裔だか何だか判りませんが、さっさと倒すが吉であります」
 と頷く。
 ……と、そんなエッダの言う【雷神の末裔】という言葉に、『白虎護』マリア・レイシス(p3p006685)とエクセレリァスの二人が敏感に反応。
「雷神の末裔か……しかし、傍迷惑な雷神の末裔もいたものだね……」
「そうね。雷神の末裔を名乗っておきながら、やってることはただのゴロツキと同じとはね……ああ、格好悪いし楽しくない」
 そう、今回の相手である【キャルヴァルィ】の一族は、己を【雷神の末裔】と名乗り、略奪の類いを繰り返している。
 もはやそれは、格好良い雷神の末裔と言うよりは……盗賊、山賊の類いであるのは間違いない。
「雷神の末裔を名乗る者達が相手、か……余程自分達の実力に自信があると見える。ならば、我等はこの実力を持って、雷神をこの地に叩き伏せると使いようか」
 と『黒狼領主』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)が、静かに拳を握りしめると。
「ったく、山賊らしい連中って聞いたから来てみりゃぁ……雷神の末裔サマという前に、やるこたぁチンピラ以下のカツアゲたぁ泣けてくるねぇ! 一丁、山賊としても二流って所を、このおれさまが教えてやらなきゃいけねぇなぁ!」
 『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)が勢いよく叫ぶ。
 そして、マナガルム、エクセレリァス、マリア達も。
「そうだな。戦意は充分、確かにこれを真っ正面から相手取るのは骨が折れそうだ……だが、我々を容易く倒せる相手だとは思わん事だ」
「そうだね。民を虐げるのなら教訓を与えないとね」
「そうだね! 私の雷光と、どちらが上か勝負だ!」
 各々の気合いと共に、イレギュラーズ達は、敵が現れる山と街の狭間へと急ぐのであった。

●雷を劈く
 そして……山と街の狭間の稜線を進むイレギュラーズ。
 吹きすさぶ極寒の風に身を震わせながらも……領主から聞いておいた、襲撃された村、街を通り過ぎ……まだ襲われていない……つまりは、次に【キャルヴァリィ】達により襲撃が仕掛けられそうな場所へ。
「さて、と……ここら辺が、次に仕掛けてきそうな所かな?」
 山肌には、冬の枯れた木々が寂しげに並ぶ。
 そして街に対しては開けており……恐らく山の上の方から見下ろせば、街に対する人の往来やら、生活の跡を見て取ることが出来る筈。
「さて……出来る範囲でこつこつと、っと!」
 と早速マリアが、山と街の間の所に罠を設置開始。
 木と木を結ぶように、白の世界においても判別しやすい黒色のロープを一直線に伸ばす。
「ん? これでは気付かれてしまわない?」
 と、エクセレリァスが当然の疑問を口にするが、マリアはふふふ、と笑う。
「これは敢えて見やすいトラップを貼ってる、って訳。真のトラップはコレだよ」
 と、先程のロープトラップの先に、もう一つ張り巡らせていたトラップ。
 白色に塗ったロープ、それを踝程度の高さにピン、と張る。
「判りやすいトラップを乗り越えた先に、もう一つのトラップがあるって事。接敵直前に転倒すれば、こっちが先手を取れるかもしれないって訳」
 と、そんなマリアの罠に感心しつつ、エクセレリァスは、グドルフに協力して貰いつつ、マリアの罠のちょっと先に、雪を掘って落とし穴を設置。
 更にはアリアが、判りやすい罠の所をじーっと見て。
「……この極寒の山なら、水撒いたらすぐ凍って滑りやすくならないかな?」
 と首を傾げる。
 舞花がそれに。
「そうね……ちょっと雪をかいて、圧雪した所に水を撒いたら、かなり滑りやすい状態になりそうね」
「そうだよね。それじゃ、私はそれをしておこうっと!」
 と、持ってきておいた水をばらまく。
 当然、極寒の気温故……撒いた水は瞬く間に雪の上に氷の膜を張る事になる。
 更に、一通り罠を設置し終わった所で、更にマリアが陣地構築を周りに設置する事で、敵が襲い来る場所を制限する。
 と、イレギュラーズ達が罠を設置していると……。
「……ん?」
 ハイセンスにて、周りを常に警戒し続けていたマナガルムが、山の方から微かに聞こえる声、音に気付く。
「どうした?」
「そろそろ来るぞ……準備はいいか?」
 百合子の言葉にマナガルムは敵の接近を鋭く気づき、仲間達に告げる。
 そして、二つのロープの罠の後ろにイレギュラーズ達は陣取り、敵の襲撃を待つ。
 ……そんなイレギュラーズの動きに。
『あぁ、何だあれ?』
『街の前に陣取りやがって……邪魔くせえな。とっとと殺してやろうぜ!!』
 【キャルヴァリィ】達は勢い付いており、突っ込んでやろう、という雰囲気。
 そんな敵が、罠の範囲に差し掛かる。
『ぐぁっ!?』
 と、一番先頭を駆ける一体が、氷に滑り、そのまま落とし穴に片足を突っ込み、転倒。
『何っ……落とし穴だと、小賢しい真似しやがって!!
 と、一端その場に立ち止る。
 彼等に対し、マナガルムが雄々しく槍を構え、穂先を向けて。
「雷神の末裔としての誇りを忘れ、その力をあるがままに振るう者達よ……オレの言葉に異があるなら、その分を持ってこの俺を討ち倒すが良い!」
 と、怒りを付与する名乗り口上。
 更に舞花、百合子も。
「誇り高き雷神の末裔、ハイエスタの戦士達よ。此処を通りたくば、私たちを倒して行く事です」
「クハッ。さぁ、氏族名を述べよ。お前のそっ首引きちぎって恥さらしとして故郷に送ってくれよう!」
 怒りや、彼等の矜持に触れる事を声高らかに叫ぶことで、敵が逃げないように挑発。
『何だと、くそったれが! ならここで、お前等に後悔させてやらぁ!!』
『ああ! てめぇらをぶっ殺せば、街は無防備なんだろう!? ならば、殺す以外の選択肢はねえからな!!』
 キャルヴァリィ達は、更に勢い付く……そう、イレギュラーズ達を倒せば、自分達の勝利だ、と。
 ……そんな敵へマリアが。
「それだけの力を持ちながら、なぜ他人から奪う! 協力しろとは言わない! せめて自活出来ないのか!?」
 と、問い掛ける。
『うるせえ! ごちゃごちゃ言ってるテメェ、目障りだからお前からだ!』
 と、マリアの言葉に聞く耳持たず、落とし穴に躓いた仲間を乗り越え……足元のロープも軽く飛び越える。
 ……が。
『ぅぉっ!?』
 もう一つ仕掛けておいた罠に、見事に掛かってしまう。
 彼一人だけでなく、ほぼ同時に動き始めていた数人のキャルヴァリィ達も同様に、視認出来ていなかった罠に次々と躓いていく。
 ……そして、転倒した敵に間合いを詰めながら、百合子は咲花式にて己が動きを最適化し、そのまま流れる様に敵範囲をターゲットにH・ブランディッシュを放つ。
 そして百合子に続き、アリアは聖骸闘衣で、BS無効を自己付与する強化。
 その強化に続き、ふわり、と飛行状態にシフトしたエクセレリァス。
「わざわざ相手の得意分野で勝負するほど、自分の実力を過信してはないからね」
 と上空から、転倒している敵に神滅弓を射る。
 その一撃には不吉の効果がつきまとい、敵を不吉状態へとたたき落とす。
 更にマリアは、転倒から立ち上がろうとしている相手を纏めて蒼雷式・天槌裁華で攻撃。
 後衛からの猛襲に続き、前衛の舞花が動く。
 転倒した仲間を飛び越えて来た敵に対峙し、舞花は移動しつつ、攻撃集中して戦鬼暴風陣を放つ。
 更にマナガルムも、先程構えていた槍を振るう、H・ブランディッシュ。
「こちらも受けて居るばかりではな……我が武を此処に示そう1」
 更にグドルフも、攻撃集中を溜め込みながら、ぶっ飛ばしによる怒り付与の一撃を時間差で行う。
 そう、イレギュラーズ達が順次怒りを付与する事で、敵の怒りの矛先は転々とする。
 そしてイレギュラーズ達の攻撃が一巡した所で、転倒やら、落とし穴に落ちなかった敵が、時間差で攻撃する。
 それら攻撃を、一番多く受け止めていくのは百合子。
 敵の攻撃を受けながら百合子は。
「飢えた民に力を誇示するのはな、恥知らずと言うのだ。吾は何度か貴様らと同じハイエスタと戦った事があるが皆、何が恥で誇りかを知っておったぞ!」
 と、お前達は恥知らずだ……という風に嘲笑う。
 ……そんな百合子の言葉に。
『うるせえんだよ! 御託ごたごた言ってんじゃねぇ!!』
 と、まるで聞く耳を持たない。
 次の刻、百合子が先頭切ってH・ブランディッシュを敵陣真ん中で放つ。
 続きアリアが。
「唄う時はお静かに……って言って聞くようにも見えないけど……」
 とぼやきながら、ウェンカムヒの一撃を放ち、それに続いてエクセレリァスも『MFCFC・凍雷』、そしてマリアは。
「雷神の鉄槌! 受けるがいい!!」
 と、更に蒼雷式・天槌裁華の追撃。
 流石に転倒している先陣の敵は、その集中砲火を避ける事も出来ずに……かなりの被害を受ける。
 そして、残る罠に掛からなかった敵は。
「オラオラ、ビビってんじゃねえぞ雑魚ども! てめえらの相手はこのルドルフさまよぉ!」
「残念ながら一人も生かして戻すつもりは無い。父祖たる雷神の元に逝ける事を祈れ!」
 と言う風に、適宜怒りを付与する事で、決して戦列から逃れないように……更には、フリーにならぬ様にターゲットを誘導。
 敵は怒り付与相手に対し、全力でクレイモアを振り落す一撃を繰り返す。
 それが直撃すれば、イレギュラーズも無事とは行かない。
 ……ただ、その場合は怒りを仲間に任せつつ、自己回復のアビリティなどを活用し、数刻の内に戦列へと復帰する様立ち回る。
 そんな手練れた戦い方のイレギュラーズに。
『クソッ……ふざけやがって!』
 と舌打つ。
 そんな敵に向けて、舞花は諭すように。
「貴方達の様に、誇り高く戦わない道もあれば、誇り故に力で奪わんとする者も当然いるという事ね、理解はする……けれど、奪わせぬと依頼されて立つ以上、手心は加えない。貴方達に越冬出来る食糧が」あるのなら退きなさい。そうでないのなら……せめて、誇りを胸に死なせてあげましょう」
 そんな舞花に。
『うるせえ……うるせえ!!』
『お前達に、分かる筈がねぇんだ……!!』
 決してイレギュラーズ達の声に、耳を傾けない。
「もう……これ以上騒ぐなら怒るよ!!」
 アリアの言葉、そして彼女が蛇骨の調べで、大量のバッドステータスとダメージを付与し、弱らせる。
 そして、弱った相手にグドルフのぶっ壊しや、舞花の戦鬼暴風陣、マナガルムのH・ブランディッシュが振るわれていく。
 そんなイレギュラーズらの猛攻に耐えきれず、確実に数が減る。
 そして、敵が山を駆け下り、仕掛けた時から十数分。
 いつの間ににやら、残る敵は二体。
『くそが……ふざけやがって……!』
 と、悪辣し続ける敵に、グドルフが。
「ははっ。さぁ……これで終わりにしてやろう!」
 『黒顎魔王』の一撃を食らわせる。
 そして、唯一残る『キャルヴァリィ』の一人は……。
『……負け、だ……』
 と、武器をその手からこぼれ落とし……その場に蹲ってしまった。

●雷を劈く
「ははは。誇りがどうだとか言う割に、実力があまりにもお粗末すぎやしねえかい? こりゃ雷神サマが泣いてるぜ! てめえら如き、属の素質もありゃしねぇ。これに懲りたら、とっとと足洗って畑でも耕してナ、ってな! ゲハハハッ!!」
 そして、投降した敵を捕縛しながら、大笑いするグドルフ。
 ただ、相手はそれに何か口答えをするする様な事は無く……俯いたまま。
 そんな彼へ、マナガルムが。
「何故街を襲う。生き残る為と言うならばそれはそうなのだろう。だが、他に理由が無いのか?」
 と、毅然とした口調で問いただす。
 更にアリアも。
「そうだよね。力の誇示と、略奪って結びつかないんだよねえ。大きな獲物を狩ってきたとかじゃ駄目なの?」
 と問い掛ける。
 ……だが、それに頷くも、首を横に振るでもなく、うなだれたままの彼。
「うーん……生活が成り立たないとか、そういう理由なのかなぁ? 極寒の地だし、資源が乏しいのかなぁ? ……そういう所を詳らかにしていって、その根本を治療していく術がないと、第二第三の『キャルヴァリィ』が出てくるかもしれないし……」
 ぼやくような素振りをしつつ……チラチラと顔色をうかがう。
 すると……唇を噛みしめている彼。
 ……もしかしたら、当たっている所があるのかもしれない。
 そう思ったアリアは。
「そうだなぁ……ほら、私たちも領地の経営をしてるから。教えてくれれば何か助言や、交易のお手伝いが出来るかもしれないよ! だからさ……教えてくれないかな?」
 顔を覗き込むようにするアリア……そして百合子とグドルフが。
「……言わぬのならそれでいい。ただお前達の真実は伝わる事無く、全てが朽ちていくのみだぞ?」
「別にオレはどっちでもいいんだぜ? ま、一族で賊の真似事なんてしてても、お先真っ暗って訳だ。別にその選択でいいなら止めねえけどよぉ」
 そんな言葉に、悩む彼。
 ……そんな彼の悩みを横目に眺めながら、マリアは命を失いし敵を埋葬。
「……死ねば皆同じさ……せめて天では安らかにね……」
 弔いの祈りを捧げ……一人しか居なくなった一族の更正を、静かに願うのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ノーザンキングス・ハイエスタ依頼に参加戴きました皆様、ありがとうございました。
今回相手となった『キャルヴァリィ』、一人だけになってしまいましたが……更正してくれる可能性がありそうですね。
とは言えヴィーザル地方で今迄してきた行為は許されるものでもありませんので……一つ一つ、罪を償っていく事と思いますので、是非とも応援して戴ければと思います……!

PAGETOPPAGEBOTTOM