PandoraPartyProject

シナリオ詳細

新しき年に乾杯と縁を!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●迎えた新しき年に!
 幻想領にて明けた新しき年。
 それぞれが新しき年を祝い、挨拶を交わす。
 新年を迎えたばかりのローレットに、張り紙が貼られる。

「新年交流会を開く。日時は四日の正午。人数は七人を募集している。
 話題としては、新年の抱負を語る事の他、必要があれば自己紹介もありだろう。ゲームに興じるのもアリだ。何か提案があれば受けよう。
 場所は飲食店となる。地図を記載しておく」

 主催者はベネディクト=レベンディス=マナガルム (p3p008160)。
 彼は新年としての交流会を望んでいた。
 そして、当日を迎えた。

●始まる新年交流会
 雪が残る道を踏みしめる足音が聞こえる。
 その雑踏の中を歩くベネディクトは、とある飲食店に足を踏み入れた。見た感じ、大衆食堂のような店だ。大きく掲げられた看板には『猫の鍵尻尾』と書かれている。
 飲食店ゆえ、簡単な軽食もあるし、飲み物もアルコールを扱っている。とはいえ、酔いすぎては店の迷惑になるので、この辺は飲む人のさじ加減になる。とはいえ、未成年にアルコールおよびタバコ類も禁止はされている。
 時間は昼に近い刻限。昼食を取るにちょうどいい時間だ。
 ベネディクトはドアノブを回し、木製のドアを開けて中に足を踏み入れた。中は二十人ほどなら入れそうな広さで、さほど大きくは無い。少ない従業員数からして、収容人数は少ない方が助かるのかもしれない。
 店員が彼の姿を見つけて近付いてくる。
「いらっしゃいませ」
「予約していたベネディクトだ」
「ベネディクト様ですね。お待ちしておりました。お連れの方は既に来られております」
 店員に案内された先は四人用机を二つほどくっつけた一角であった。
 そこに居たのは、彼と同じくこの混沌世界に召喚された者達の姿。
 張り紙を見てやってきた者達である。
 彼らは、主催者の姿を見ると新しい年を祝う言葉を投げかけてきた。彼も同じ言葉を返し、椅子に腰掛けた。
 今回の交流会にて話す内容としては、張り紙にあった通り、自己紹介(必要であれば)や新年の抱負などを考えている。ゲームであるが、王様ゲームが定番と聞く。ここはそのゲームを行なうのも良いかもしれないとベネディクトは密かに思っていた。
 だが、そんな彼へ、参加者の一人がある提案をした。
 彼がここに入ってくる前、店員に聞いてみると、ゴルフボールよりはやや一回り小さい、ボール状のお菓子をいくつか集めて乗せたメニューがあるという。甘さ控えめなボール菓子に一つだけ外れを用意する事で、一つの遊びとして楽しまれているのだとか。
 外れはその時によって様々で、中には客が持ってきた外れが入っている事もある。それを引いた時のリアクションを見るのが楽しいし、なんなら外れと分からずにいかに冷静を装えるか、という事も楽しみの一つだと説明される。
 交流の合間に食べるお菓子でそういう事をやってみてはどうか。
 その提案に、ベネディクトは「それも一興か」とすぐに受け入れた。
 提案者もその案が受け入れられた事を喜び、店員に注文する。ついでに飲み物も。
 暫くして、飲み物が先に運ばれる。頼んだお菓子は皆で掲げる。
 主催者のベネディクトによる乾杯の音頭が行なわれる。
「新しき年に、乾杯!」

GMコメント

 新しき年を迎えました。
 そんな訳で、新年らしくのんびりした交流会となります。

●達成条件
・交流会を楽しむ

●交流会での注意事項
・未成年の喫煙と飲酒は禁止されております。
・人が少ないとはいえ、完全にお客さんが居ない訳ではありません。暴れたりはしゃぎすぎたりしないようにお気を付けください。

●お店にある飲み物
・ソフトドリンク(お茶、水、フルーツジュース、ホットココア、ホットミルク、コーヒーなど)
・アルコール(ビール、ウイスキー)

●交流会での話題の例(プレイング記入の際の参考にでもしてください)
・自己紹介(必要であれば)
・新年の抱負
・ロシアンルーレット(外れを引いた時の反応や当たらなかった時の反応、知っている人が当たった時の反応もあると盛り上がるかもしれません)

●ロシアンルーレットについて
・ボール状のお菓子。大きさはゴルフボールよりはやや一回り小さいサイズ。
・大皿に乗せられた状態で届く。数は人数に合わせて作られる為、今回は八個で用意される。
・外れはその時その時で異なる。店側が用意するのは「辛いor刺激の強いもの(わさびなど)」であり、希望すれば用意してくれる。希望が無い場合は店側のお任せで出てくる。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 新しき年に乾杯と縁を!完了
  • GM名古里兎 握
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年01月23日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
甘夢インテンディトーレ
タツミ・ロック・ストレージ(p3p007185)
空気読め太郎
小金井・正純(p3p008000)
ただの女
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
薄明を見る者
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
※参加確定済み※
エシャメル・コッコ(p3p008572)
魔法少女
アイシャ(p3p008698)
スノウ・ホワイト

リプレイ

●会の始まりは定番のこちらから
 いくつかのフードや飲み物と共に、外れありのお菓子も頼む。
 ふと思い立った様子の『黒狼領主』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は、店員に何事かを話し、席に戻ってきた。
 それから、集まった面々を見回して一つ咳払いをする。
「俺はベネディクト=レベンディス=マナガルム、旅人だ。元の世界では傭兵だった。少しずつでも交流を増やしていけたらと思って居てね。だから皆にも集まって貰えて嬉しい、宜しく頼む」
 手本となればと思っての自己紹介であったが、他の者達もつられるように自己紹介をしてくれた。
 身を乗り出すようにして次の自己紹介をしてくれたのは、『魔法少女』エシャメル・コッコ(p3p008572)だ。
「見たことあるやつも見たことないやつもいるな? ていうかベネットにーちゃん以外誰もしらんな? つまりあたらしいフレンズな!
 コッコはコッコな! 魔法少女やってるな、よろしくな! おちかづきのしるしにプリンやるな、食べるな!」
 なかなかに個性的な少女だ。善行によって得たポイントを使用して生み出したプリンを人数分出した彼女から受け取りつつ、食べるメンバー達。この後注文したものが来るのだが、さておき。
 次に声を上げたのは『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)。
「仙狸厄狩 汰磨羈だ。今は、練達を拠点として活動している。皆、宜しく頼むよ」
 クールな声で、けれど表情は柔らかく。
 同じく落ち着いた印象を与える女性として、『不義を射貫く者』小金井・正純(p3p008000)が優しげな声音で自己紹介を紡ぐ。
「小金井・正純と申します。豊穣は星の社にて巫女をさせていただいております。よろしくお願いしますね?」
 最後に笑顔を見せる。近所の優しいお姉さん、という雰囲気だ。
 コッコに負けない元気さで挙手したのは、『ミルキィマジック』ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)だ。
「シュガーランドからきたパティシエのミルキィだよ☆ よろしくね♪ 今年は新しいお菓子のレシピを考えるのを頑張ろうって思ってるよ!」
 自己紹介と今年の抱負を一緒に言ってしまったが、問題は無い。この後皆も言うのだし。
 『艶武神楽』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)が挙手し、自己紹介を始める。
「私はブレンダ・アレクサンデル。ミドルネームもあるが普段は使っていないので覚えなくていい。私自身は旅人でこの世界に来て一年ほどの若輩だが色々と学ばせてもらっているよ。今日はよろしく頼む」
 真面目そうな雰囲気だが、堅苦しすぎない印象を感じた。
 残りは少年少女の二人なのだが、少年の方が彼女にどうぞと譲る。
 『スノウ・ホワイト』アイシャ(p3p008698)は、頬を赤らめて、精一杯の声を絞り出した。
「あ、アイシャです。よ、よろしく、お願い、します……」
 緊張しているのが伝わる。
 場を和ませようと、少年が最後に自己紹介をする。
「旅人のタツミ・ロック・ストレージ! 一般人だぜよろしく」
 明るい声で話す彼は人なつこさを感じさせる。
 自己紹介が終わったタイミングで、つまめるタイプのフードメニューが二品ほど運ばれてきた。
 頼んでいたお菓子について、マナガルムより話があった。
「あの遊びのメニューはもう少し後で届けてもらうように伝えておいた」
 なるほど、先程のはそういうことか。
 納得した顔の彼らだが、マナガルムはまだ一つ隠し事をしている。それが明るみになるのはもう少し後の話だ。

●君と僕の問いと答え
「次の話題か……そうだな、抱負があれば聞いてみたい」
 マナガルムの言葉を受けて、ミルキィが自分は先程言ったと告げる。
 頷き、彼は最初に自分からとして、抱負を述べる。
「抱負については……特異運命座標として恥じぬ戦いを誓い、領主代行としても努力出来れば、と言った所だろうか?」
「ま、真面目だ……」
 タツミの発言に「?」という顔をするマナガルム。
 正純が「ふむふむ」と呟き、自身の抱負を語る。
「今年はもう少しいろんな国へ行って見たいですかね? ええ、依頼でもそれ以外でも、世界を旅して見聞を広めてみたいものです」
「では、私からも。
 特にこれと言って思いつかないが……そうだな。去年よりもっと人として成長したいところだ。私はまだまだ未熟者だからな」
 ブレンダも話題に乗ってきた。
 他にも居ないかと促してみるが、居ない様子だ。
「他に何か聞いてみたい事とかはあるか?」
「はいはいはーい!」
 元気に挙手したのは、ミルキィだ。
「ボクが聞きたいのは『今気になってる地域』だよ♪ 最近はカムイグラにもいけるようになったし、再現性東京もいろいろ楽しいよね!
 あ、ボクが気になってるのは再現性東京だよ☆ あそこは美味しいお菓子も多いからレシピの研究にももってこいなんだ☆ 原宿のクレープが今のお気に入りだね!」
「再現性東京は私も気になっているな。あの夜妖という存在には、色々と引っ掛かるモノを感じる」
(嫌な予感が的中しなければ良いのだが)
 後半の言葉は飲み込む汰磨羈。
 タクミが彼女とは正反対に明るい声で話を繋ぐ。
「俺は、再現性東京というよりは、練達だな、あそこは俺の生まれる『前』の2010年まで再現してるから文化の衝撃受けるんだぜ!」
 彼と同じ場所をブレンダも気にしているという。
「理由はまぁ元の世界に帰る方法を探すためなんだが」
 少しでも手がかりがあればいいな、と締めくくる。
 アイシャが目を伏せながら他の場所を紡ぐ。
「故郷のラサがとても気になりますが、それ以上にカムイグラの復興が一日でも早く為されるようお力になれたらと思っています」
「同じく。戦乱が終結はしましたが、これからもまだまだ目を離せないかと。個人的にも、ええ。少々入れ込んでおりますし」
 いかなる理由かを聞くのは野暮というもの。
 残るマナガルムとコッコだが、先に切り出したのはコッコだ。
 飲み物や食べ物を口に入れて喉を通す事を繰り返す彼女は、一旦その動きを止めて自分の回答を口にする。
「コッコは境界が気になるな! コッコ的に最近ホットなプレイスな!」
「そうか。……私は、今事件の多いラサ、或いは鉄帝辺りかな?」
「最近何かと話題ですからね」
 正純の相槌に頷くマナガルム。
 ブレンダが挙手し、次の話題を提供する。
「折角だ。皆の得意な事、自慢できる事を知りたい。
 私は剣術だ。ふふ、気になるならばいつでも相手になるぞ? 人に教えるのはちょっと苦手だがな」
「ほう、それは腕前が楽しみだ。
 私は……そうだな、最近は余り披露する事は無いが、馬の扱いならそう悪くは無いと思って居るよ」
 馬に跨がり、走らせているマナガルムの姿を思い浮かべた数名が「似合う」と思ったとか。
 次は汰磨羈が口を開いた。
「強いて言うなら、学習能力と適応力辺りだろうか? 元々、変化を得手とする妖怪なのでね。周囲から学習し、我が物として振るうのは得意と言えるな」
「たまねーちゃん、妖怪なのかー?」
 コッコの質問に「そうだ」と頷いてみせる。
 ふーん、と相槌を打った後、彼女は自分の得意な事を声高に話す。
「コッコ、魔法が得意な! 最近特に得意になったな! コッコ、魔法少女だからなー?」
 魔法少女というぐらいだから、やはり魔法が得意という事なのか。
 彼女以外にも居る魔法少女を思い浮かべた者も居るが、口には出さず。
 正純が得意なものとして、「弓」と語る。
「一応、そこそこの腕だと自負しております。あと、星の知識もまあそれなりでしょうか?」
「星の知識というのは、とても素敵……ですね」
 はにかみながら正純へ返し、アイシャは自分の得意なものを語り出す。
「お料理には少しだけ自信があります。後は歌も……」
「へぇ。後で何か一曲聞かせてくれないだろうか?」
「は、はい……」
 ブレンダに乞われ、アイシャは照れくささから顔を赤くして俯いてしまった。
 その反応を理解したミルキィがうんうんと頷く。
「好きなものが自信になるって嬉しいよね!
 ボクの得意な事はお菓子作りだよ♪ もちろん、今力を入れてるのもお菓子作りだね!
 やっぱりパティシエとしてお菓子作りの腕は誰にも負けられないよね!
 一番自信をもってすすめれるのはミルクレープだね! よかったら今度ご馳走するよ!」
 自分の腕とお菓子の味を是非知ってもらいたい想いが強いパティシエの言葉に、「機会があれば是非」と返す数名。
 ミルキィの出した言葉の一部について、ブレンダがふと気になって呟いた。
「力を入れているものか……。私も先程と同じで剣術だな。そういう点ではミルキィと似たようなものだろう」
 似たようなものを感じ取ったか、汰磨羈が口を開いた。
「得意な事と力を入れているものが同じという訳ではないが、鍛えるという点では私も同じだな。
 私の場合は一にも二にも、武の研鑽だ。かの梅泉との一戦で、己が未熟さを痛感したからな」
「なるほど。悔しさをバネに」
「そういうことだな」
 ブレンダの言葉が的確だったのか、肯定する汰磨羈。
 アイシャが少しばかり気合いを入れた顔で、話題の中へ入る。
「私は、ヒーラーとして皆様をお守りするにはどうしたらいいか日々模索中です。皆様と戦場でご一緒出来ましたら、全力でお守り致しますね……!」
「頼りにしてるなー!」
 コッコの返事に、「はい」と返すアイシャ。
 次はタツミで、彼は「はいはい!」と手を挙げた。
「俺はタフさを鍛える事かね」
「ほう」
 感心する様子のマナガルムに、タツミは親指を立ててドヤ顔で言葉を続ける。
「毎日脳天で瓦割りしてるぜ!」
「そうなのか。では、次会った時にでも見せてもらおう」
「冗談だよ?!」
「うむ。こちらも冗談だ」
 サラリと返されて天井を仰ぐタツミ。一杯食わされた、という顔だ。
 彼の表情に少しだけ笑った後、マナガルムは店員の元へ行く。
 何事か見守る中、戻ってきた彼は「もう少しかかるそうだ」と告げる。
「では、あともう一つお聞きしたいなと……」
「なんだい?」
 おずおずと手を挙げたアイシャへ、汰磨羈が聞き返す。
「その……皆さんが幸せを感じる時を、知りたいです……」
 意外な質問であったが、答えられぬ質問ではない。
 真っ先に答えてくれたのはコッコだ。
「しあわせ感じるのは人助けしたあとにプリン食べるときな! このときが一番しあわせな! プリンはしあわせのおやつな!」
 彼女の手にはプリンが入った容器。市販のプリンが既にいくつも彼女のそばで積み上がっている。
 その山には誰も突っ込まない事にして、ミルキィが「わかるー!」と同意する。
「美味しいもの……特に甘い物を食べてる時は幸せって感じるね!」
「仲間なー!」
 二人でキャッキャと笑い合う。
 正純が唸り声を出しながら悩む。
「星へ祈りを捧げている時でしょうか。ええ、星の声を聞いてる時とも言えますが。あの瞬間はたしかに幸福です」
「幸福……」
 その単語を口にしたブレンダの脳裏に浮かぶ、ある男の顔。
 慌てて頭を振ってそれを追い払う彼女に皆「?」という顔で見つめる。咳払いを一つすると、彼女は気を取り直して自分の答えを語る。
「最近飼い始めた子犬に朝起こされること……か? じゃれついてきて可愛いんだ」
「あら、いいですね」
「子犬!」
 興味をそそられた女子達にどんな子なのかを説明する。
 そんな中、タツミがマナガルムに「ベネディクト卿は?」と問う。
「――――そうだな、皆と笑顔を共有出来る時、などだろうか」
 今この時のような。
 付け加えられた言葉が一気に和やかな雰囲気へと変わる。
 しかし、この空気を彼が再び変える事になろうとは、彼以外の誰一人も予想出来なかったのである。

●さぁ、目玉のゲームなお菓子だよ!
 店員がタイミング良く運んできてくれた、ゲームの一種のお菓子。
 ボール状のお菓子が八個。外れは辛いものか刺激の強いもののどちらか。どれにするか選べるという事で、刺激の強いもの(ワサビ)を選択した。
 それを目の前にした時、マナガルムが口を開いた。
「その前に、お知らせがあってだな」
 全員が彼に注目する中、彼は表情を全く変えないまま爆弾を落とす。
「外れはワサビが入っているんだが、『外れは一つだけではない』んだ」
 一瞬で走る緊張。
「えっ、いつ頼んで……あっ!」
 汰磨羈がすぐに気付く。もしかして、最初に行った時に言ったのは……。
「そういう事だ。なに、不正はせんよ。私にもどれにワサビが入っているのかはわからん」
 ざわつくイレギュラーズ。
 そんな中で、タツミはお菓子をジッと見つめていた。
 実は彼、透視を持っている。これでお菓子の中に入っているワサビを見抜く心算だ。
 見つけたワサビ入りは二個。他の六個は何も入っていない。
 そして、彼が狙うのはワサビ入り!
(女の子に顔芸させるわけにはいかない! あっ、でも、これだともう一個が自然に取れない!)
 人数分の数しかないお菓子である。半分勝って半分負けたという所か。
 内心で地団駄を踏む彼。
 彼の視界にまだ残るワサビ入のお菓子。このまま一人ずつお菓子を取っていく姿を見たら変な顔をする自信が彼にはある。
 ならば、と、ある事を提案した。
「いっせーので、とろうぜ!」
 その発言は是と受け入られ、タツミの合図と共に取る事になった。
「いっせーの、でっ!」
 手を伸ばす。タツミは狙い通りにワサビ入りをゲットしたが、他はどうか。
 しかし、彼が見る前に、既に口に放り込んだ者も居る。仕方なく、彼は自分の手の中のものを口に含んだ。
 瞬間、走る刺激。鼻から抜けるような強力な刺激である。
「んっふ!」
 思わず芸人めいた声が出てしまった。
「だ、大丈夫ですか……?」
 アイシャが水を差しだしてくれた。それを受け取って何とか流し込む。ブレンダが彼の背中をさすってくれた。
 これで一人はタツミと確定した。残りは誰が取ったのか。
 メンバーを見回すと、皆一様に平気な顔をして……否、一名だけ顔が若干青ざめている。
 汰磨羈である。
「あの、大丈夫ですか……?」
「か、からいものを食べた時はミルクを飲むといいって聞いた事があるよ!」
 正純に心配され、一瞬は大丈夫と首を横に振りかけた汰磨羈だが、ミルキィの差し出したミルクを思わず受け取ってしまったので大丈夫ではない事が証明されてしまった。というか、ワサビなので聞かなさそうな気もするが。
 喉に流し込み、まだツーンと残る刺激に撃沈する汰磨羈。その背中をコッコが心配そうにさする。
「ていうか、なんで二個も?!」
 思わず入れたタツミのツッコミは、マナガルム以外の全員の気持ちを代弁してくれていた。
 全員の視線を受けても、マナガルムは全く動じる様子も無い。
 サラリと答えを返す。
「一つより二つの方が連帯感も出るだろう」
「何の?!」
 今度のツッコミは全員から。
 呆れたような顔をした後、正純は両手を胸の前で合わせる。
「ま、まあ……こうして皆さんとお話出来て楽しかったです。
 皆さんの前途に星の祝福があらんことを、巫女らしく祈らせていただきましょう」
 彼女の祈りが終わった所で、タツミは「ははは……」と力なく笑う。
「いや、ベネディクト卿思ったよりも愉快な人だわ。これからは親しみを込めてベネさんと呼ばせて貰うことにするぜ!」
「それは構わないが。大丈夫か……?」
 返事は親指を立てて。
 彼と同じように笑う声が一つ。
「ふふふ……」
 何かしらの含みを持つ笑い声が汰磨羈の口から零れる。
 顔を上げた彼女は、ニタァと笑う。
「折角だ。怪談でもしようじゃないか……」
 再び走る緊張。
「先に話した、夜妖絡みなんてどうだ?」
 彼女が話したのは、旅人の血が齎す美しさに魅入られた職人が作り上げた、朱殷の衣の話。
 詳しく話していく彼女の話は、別の意味で大いに交流会を盛り上げてくれたのだった。
 交流会もお開きになった頃には、一人で帰れない者が多かったとかなんとか。
 ひとまずの成功を見せた交流会。
 次にまたこうして親交を深める催しがあるかどうかは……神のみぞ知る、だろう。

成否

成功

MVP

タツミ・ロック・ストレージ(p3p007185)
空気読め太郎

状態異常

なし

あとがき

皆様お疲れ様でした!
楽しい交流会として記憶に残っていただければ幸いです。
ロシアンルーレット、最高ですね!

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