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シナリオ詳細

<マナガルム戦記>ドゥネーブ・フレーズの森

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 幻想王国は片田舎、美しい海を望みその傍らには聖教国ネメシスが存在する場所は王都の喧噪から離れた穏やかな場所で知られている。
 流行病に倒れ、前線を退いた領主ドゥネーブ男爵に代り、ドゥネーブ領の領主代行を行うこととなったベネディクト=レベンディス=マナガルム (p3p008160)は領内を見回して一つの懸念点を抱くこととなった。

 ――ドゥネーブ領は賊により荒らされ続け、領民達の生活も酷いものであった。
 ある程度の回復は見込めるが幼い子供達は『その頃』を心の傷としてしまっている事だろう。

「……領民の子供達を楽しませてやりたいと考えているんだが、何か良い案はないだろうか」
 領主代行としてある程度、知られてきたベネディクトは領民達へと問い掛けた。
 彼が現在訪れたのは賊らによる活動が特に大きく感じられた中腹辺りに存在する街『フレーズ・フォレ』である。『姫茨の宝石(フォレ・ロンス)』と異名を持つ大粒の苺を収穫することが出来るこの場所は復興は行われたが幼い子供達は外で遊ぶことを止めてしまったという。
 出歩けば賊に攫われてしまうかも知れないという恐怖感が深く根付いたからであろう。
「もしもよければ、領主様達で子供達を喜ばす雪まつりなんかを開いて貰えやしませんか?」
「雪まつり?」
「はい。子供達は雪が好きですし、大人もホットワインや食事を飲みながら鳥渡したパーティーを開くんです。もう外は怖くないと教えて遣ってくれりゃそれが一番だ」
 引きこもりがちになった子供達。暫くすれば、フォレ・ロンスの収穫を控えているが今のままでは子供達を動員するのは難しいだろう。フォレ・ロンスを使ったジャム作りなども10歳になる娘達を集めて教えるという習わしがあるが、それも最近では叶わなくなっている。
「丁度、予報じゃ雪が降りまして……これから寒さが厳しくなれば、外に出るのも難しくなってしまう。
 良ければでいいんですけれどね……幸いにして食事の備蓄はありますし、一日中遊ばせてやりゃあって……」
 村人にベネディクトは「分かった」と頷いた。さて、『雪祭り』の準備をしなくてはならない――


 大人の慰安を、そして子供に笑顔を取り戻すためにとベネディクトは『助っ人募集』とローレットへと張り出した。黒狼隊のメンバーでは彼曰く『子供のパワフルさには負けない』であろう笹木 花丸 (p3p008689)、アカツキ・アマギ (p3p008034)、しにゃこ (p3p008456)の三名に直接的に声を掛けた。
「雪だって、アカツキさん。燃やしちゃダメだよ?」
「む、難しい依頼じゃな!? ベリーハードか!? いやいや、子供達のためなら我慢もできるというもの! ……しにゃこで雪像を作るのも吝かではないのぅ?」
「あ、いいかも。しにゃこさんを雪だるまにしちゃう?」
「ま、待ってください!? しにゃを模した像だと思えば、しにゃが内部に入ってる像!?
 いやいやいや、しにゃ程の美少女なら雪像の隣に立ってるだけで子供達も笑顔になりますよ!?」
 ――ハイテンションにお送りされる、『雪まつり準備』のご一行。
 さて、美味しい苺を育てる杜の街、『ドゥネーブ領』のフレーズ・フォレの子供達の笑顔のために、一肌脱いでみませんか?

GMコメント

 夏あかねです。幻想王国で子供達を喜ばせてあげましょう。
 子供の相手って難易度高いですよね……! 突然、攻撃が降ってくるんだ。

●成功条件
 ドゥネーブ領の子供達を笑顔にしましょう!
 (ついでに大人の慰安も兼ねましょう)

●やること
『雪まつり』を目一杯楽しみましょう&楽しませてあげましょう!
 粉雪が降り続けます。身体を動かせばそれ程寒く感じないかもしれない不思議な空気感。
 雪はこれからのんびりと降り続くようです。雪像や雪だるま、雪合戦など雪を用いてお外で思いっきり遊んであげてください。
 また、ホットワインやホットのストロベリーティーも準備されています。食事類はフレーズ・フォレの住民達が用意したジャムやスコーン、森の恵を使用した鍋やスープなどを楽しめます。
 食事の持ち込みは大歓迎。美味しいものを子供達に教えてあげるのもいいかもしれませんね!

●フレーズ・フォレ
 ドゥネーブ領の中腹辺りにある大粒苺『フォレ・ロンス』の収穫地。穏やかな村ですが、以前は賊が荒らし回り子供達は怖れるように引き盛りがちです。
 イレギュラーズの活躍については知っており、男の子達は冒険譚を聞きたがるでしょうし、女の子達は沢山の御伽噺にも興味があります。
 子供達は3歳から14歳まで。人数は15人ほど居ます。
 余り身体を動かさなくなってきたので雪遊びを教えてあげるのもとっても良いかと思われます。
 また、大人達は皆さんのために様々な食事を用意してかまくらを作って待っているようですよ。

●ドゥネーブ領
 幻想王国にある海沿いの領地。現在はベネディクト=レベンディス=マナガルム (p3p008160)さんが領主代行を務めています。
 イレギュラーズには歓迎的な態度を示すようです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <マナガルム戦記>ドゥネーブ・フレーズの森完了
  • GM名夏あかね
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年01月10日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

アルペストゥス(p3p000029)
煌雷竜
新道 風牙(p3p005012)
よをつむぐもの
秋月 誠吾(p3p007127)
Mors certa
アカツキ・アマギ(p3p008034)
焔雀護
※参加確定済み※
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
曇銀月を継ぐ者
※参加確定済み※
しにゃこ(p3p008456)
可愛いもの好き
※参加確定済み※
バスティス・ナイア(p3p008666)
猫神様の気まぐれ
笹木 花丸(p3p008689)
はなまるぱんち
※参加確定済み※

リプレイ


 白雪が降注ぐ。ドゥネーブ領の内地に存在するフレーズ・フォレは嘗ては賊により大きな被害を被っていた場所である。今は、と云えば悪しき者の手が引き常の静寂を取り戻した――訳ではあるが、幼い子供達にとっては其れは心の傷であったのだろう。『黒狼領主』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)と村人達の話し合いによって今日は『雪まつり』が開催されることとなった。

 \雪祭りの時間だーっ!/

 ふかふかとした耳当て付きの帽子をすぽりと被り、普段と違うファーでぬくもりを重視した手袋を着用した『人為遂行』笹木 花丸(p3p008689)は瞳をきらりと輝かせる。雪まつりという存在は聞いたことはあれども、雪国の出身で無ければあまり雪に触れる機会は無い。
 慰安になれば、と計画したが仲間がこうして楽しみにしてくれるというならば開催する意義もあるものだとベネディクトは大きく頷いた。猫は炬燵で丸くなる――が、猫『神』は現世の子供達の為に一肌脱ぐと決めていた。『猫神様の気まぐれ』バスティス・ナイア(p3p008666)は「故郷にはなかった物だから見るだけでも楽しいよ」と頷く。寒さ対策でしっかりと巻いたマフラーに埋まる様子はさながら猫のようである。
「ええ! 雪となれば楽しむほかにはないですよー!」
「し、しかし、雪とは中々ハードモードじゃぞ!? いや、難易度ベリーハード……しかし、ここで諦めるわけにはいかぬ!」
「ええ! しにゃの雪像を造らねば為りませんから!」
「それは燃やしても良いのかの?」
 ダメですよと大声で叫ぶ『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)に対して首を傾いで「はて?」とわざとらしく返した『焔雀護』アカツキ・アマギ(p3p008034)。焔に魅入られた彼女にとって炎の使用禁止は禁断症状が出てしまいそうな程――
「ギャウ?」
 首を傾いだ『煌雷竜』アルペストゥス(p3p000029)は楽しげなイレギュラーズの様子を恐る恐る眺めるいくつかの視線に気付いた。小さな子供達は皆、不安をその眸に宿し、『領主様』と『領主様の仲間達』を伺っている。
 そんな怯える小さな子供達を見れば『天翔る彗星』新道 風牙(p3p005012)の心はずきり、と痛んだ。小さな子供達が自由を謳歌することを害した賊は許しがたい。彼等は捕縛され、このドゥネーブから去ったといえど、何時同じようなことが起こるかと、そう子供達に感じさせたことは『大人』の落ち度のようにも感じられた。
「人の世に仇為す『魔』を討ち、平穏な世を拓く! それがオレの使命! ……ってな。
 任せろベっさん! 子供たちの笑顔を曇らせてる心の傷という『魔』、オレが退治してやるぜ!」
「ああ。大人も子供も楽しめる祭りにしよう」
 頷くベネディクトの傍らで『Mors certa』秋月 誠吾(p3p007127)は赤らんだ鼻先を隠すようにマフラーに顔を埋めて「子供も大人も楽しめる……ひいては知った顔ぶれ全員が楽しめる、か」と小さく呟いた。
「こんな日があってもいいだろう」
「誠吾、お前にとっても楽しい一日になれば良いが……」
 気遣うベネディクトの声音に誠吾は頬を掻いた。折角だから楽しむよ、と小さな笑みを浮かべてゆっくりと歩き出す。恐る恐る戸顔を出した子供達に「こんにちは」の一声を掛けてから――この祭りは始まりを迎えるのだ。


「……グルルルッ」
 子供達を見て小さく唸り声を出したアルペストゥスはどうしようという様に頭をこてりと傾いだ後に、ゆっくりと腰を下ろした。
「……グル……」
 子供達と遊ぶ仕事だと聞いた。アルペストゥスはそれ以上に、子供達と遊びたいと考えていた。大きいから、人ではないから、怖がらせてしまいやしないかとアルペストゥスは食べたりしないよとアピールするように皮膜の翼を屋根代わりにするように広げてアピールをする。
「りょ、領主様」
 不安げに顔を出した子供達ににんまりと笑みを浮かべた風牙は「こんにちは」と快活に微笑んだ。土産代わりの板と紐を合わせた即席のソリ。小さな子供達でも簡単に乗りこなせる其れを手に、「雪で遊びに来たんだ」と微笑んだ。
「領主様たちは、遊びに来たの?」
 問う子供達にベネディクトは頷いた。歴戦のイレギュラーズ達。領主の連れていた仲間達であれども、見知らぬ人々へと不安を抱くのは確かかとベネディクトは小さく頷く。
「さあ、今日は外で遊ぼう。大丈夫だ、何かあったとしても俺達が君達を守るから」
 腰を落として視線の高さに合わせて笑みを浮かべたベネディクトの傍らでポメ太郎が「何ですか!? 雪ですか!? 遊びますか!?」とはしゃいでいる。小さな犬に視線を奪われた子供達。わふわふ、と楽しそうにアルペストゥスへと飛び付いたポメ太郎にアルペストゥスは擽ったそうに「グルル」と喉を鳴らした。
「あの、竜は怖くない?」
「怖くないさ。皆と遊びたいって言ってるんだ」
 誠吾が一緒に行こうかと促せば幾人かがそろそろと彼に付いていく。どうしようかと伺う子供達の前で花丸はにい、と笑みを浮かべて人差し指を天に掲げた。
「はーい、皆っ! 花丸ちゃんのこの指とーまれっ!」
 指先は天を指す。届くようにと腰を落として握りやすいように視線を合わせて。にんまりと微笑んだ花丸に風牙がいの一番に止まり「皆も!」と声を掛ける。
 花丸と風牙の元に集まった子供達は「雪で遊ぶの?」「何するの?」「それってソリ?」と皆、それぞれに話し始める。
「よしよし、いい子達だねっ! 花丸ちゃんのトコに集まった皆はこれから大きな雪像を作っていくよっ!
 ちょっと大変かもだけど、大丈夫っ! 皆で頑張れば何だってやってやれない事はないっね!」
「俺は雪だるまを作るぞ! でっっかいのを作ろうな!」
 二人にこくこくと頷いた子供達。ベネディクトがポメ太郎の雪像を作成する中で、アカツキは「しにゃこの雪像でも……」と首を傾ぎ、足下でポメ太郎が「しにゃこさん作るんですか!? 手伝いますか!?」と尾を揺らしたことに気付く。
「おお、ポメよお主も手伝ってくれるのか? そうと決まれば一緒に雪を集めて作って固めるのじゃ! 子供達よ、あそこにおる小生意気そうなケモノ系女子を捕まえてきてくれぬかのう」
 アカツキが差した先では小さな雪だるまを作っていたしにゃこ。ずるずると引き摺られてきた彼女は「何するんですか!?」と眸をらんらんと耀かせた。
「そう、そこじゃ、そこに立たせてっと……うむ、しにゃこよ、動くでないぞ。
 今からお主を参考に雪像を作るからのう。雪像の中に奉られたくなければじっとしておることじゃな」
「子供達は純粋ですからね! しにゃの美貌を解らせちゃいますよ!
 さぁ、まずは一緒にしにゃの雪像を作るのです! 可愛くつくるんですよ! 可愛く!
 あ、ここはもうちょっと丸く! ここはもう少し細く! しにゃ、そんなに太ってませんよ!?」
「五月蠅い」
「え、うるさい!? うるさいとはなんですか! しにゃの美貌はこんなもんじゃ……ピギャッ」
 アカツキが「いけ!」と子供に指示すれば雪玉がしにゃこの顔面へと飛び込んでいく。雪玉をばしばし投げられるしにゃこの悲痛な叫びを聞きながらベネディクトは小さな子供達とポメ像を造りながら顔を見合わせて笑った。
 ――花丸がクリスマスケーキを食べられた恨みを込めてしにゃこを『好きにしていい』と言っていたと言うのはアカツキの談でなのである。
「さて、皆が遊びに行ったから。あたしはお腹と心を満たす美味しいご飯とデザートを用意しようかな」
 料理に興味を持つ年長組の少女達と彼女たちの母親がバスティスの手元を覗き込む。良ければご一緒にと誘う。
「猫神′sキッチンはじまるよー!」
 にんまりと微笑んで、バスティスは練達料理や豊穣料理に明るいお母さん方と協力しての豚汁作り。赤メインの合わせ味噌を使用して、里芋をたっぷり。豚肉と野菜で栄養も満点だ。
 若いお母さんと小さな少女達には此の地の特産である苺を使用したジャムとタルト作りをお願いした。大ぶりな苺を使用しての料理ならば任せて欲しいと皆が微笑んだ。
「大きめ果肉のイチゴジャムにサックリ生地とさっぱり甘みのレモンクリームの出来立てジャムとイチゴをたっぷり載せたいちごタルト。お祭りのデザートというのは勿体ないかもね」
 小さく微笑んだバスティスにいっそのこと名物として売り出したいくらいだと皆は楽しげに微笑んだ。


 アルペストゥスは子供を乗せて雪空を遊覧飛行しようかと誘えばベネディクトが保護者となってその背へと乗り込んだ。不安げな子供達の表情も、村が小さくなるほどに一気に上空へと飛び上がれば一転する。
「わあ」
「ギャウ」
 空が、雪が、こんなにも近くて素敵だと。少女が微笑めば、少し臆病な少年がぎゅうとアルペストゥスの羽毛に抱きついた。
 いつもの半分くらいの速度。それでも、空の楽しさを分け与えたくてアルペストゥスは注意を払い動き回る。

 たのしい? ぼくがみてるけしき、きれいでしょ?

 そう告げて、楽しげに尾を揺らしたアルペストゥスは背に乗る子供を交代しようと地へと辿り着く。
「ん? 俺も乗るのか?」
 誠吾は子供――とそういえば唇を尖らせるかも知れない少年達――を誘ってアルペストゥスの背に乗り込んだ。『美しい雪像』になろうとしていたしにゃこは「そういえば子供達、アル君にびびってません? 大丈夫! ちょっとデカイ犬みたいなもんですから!」とにんまり笑顔。
「大丈夫だ。俺がいなくとも、誠吾がいる。最初は怖いかも知れないがアルペストゥスは俺達を振り下ろすようなことはしないよ」
 優しくそう声を掛けたベネディクトに子供達は頷いた。先程しにゃこが言ったとおりおっかなびっくりと言った調子の子供達は大きく頷く。
「落ちないように、皆しっかり捕まるんだぞ」
「ええ! バシバシしても噛みません! あー……くわえられますけど痛くない、痛くないから大丈夫!」
 大丈夫だと告げようとしたしにゃこはつかまる所か加えられていた。アカツキに言わせれば「アルくん、そんなもの食べるんじゃありません」である。
「ってかなんでアル君、しにゃだけくわえるんです? そんな美味しいです……? そ、そろそろ降ろして頂いても!?」

 たのしいおもいでに、なればいいな。また飛ぼうか? いこう! いこう!

「ああああれえええええ」
「お兄ちゃん、あれ、いいの?」
「見なかった振りで良いよ」
 誠吾はフライングしにゃこは見なかった振りをしようとそう決めた。ベネディクトはにこにこと微笑んで上空へと飛んでいくアルペストゥスを見送った。

 雪合戦と雪遊び。楽しむ風牙は雪玉を『でっっっかく』して二つ並べて持ち上げて、ベネディクトだるまを完成させていた。
「すごーい、領主さまだ!」
 眸を煌めかせた少年は風牙に遊びを教わることが楽しくなったのだろう。自身の名をリックと名乗った彼は「次はソリ!」と風牙の手を引いていく。
「あはは、見てみて! 花丸ちゃんたちはポメ太郎を作ったよ!」
 じゃーんと効果音を子供達と合わせて口にして、巨大なポメ雪像を作成すればその足下でポメ太郎がぴょこんぴょこんと跳ねている。
「おねえちゃんすごーい!」
「ねっ? 花丸ちゃんの言った通り皆で頑張れば結構やれるもんでしょ!」
「うん!」
 花丸に懐いている小さな少女、マリルは真っ赤な鼻先を恥ずかしそうに隠してから微笑んだ。赤毛の小さな彼女は「次は何するー?」と誘う。ソリ遊びをしているリックと風牙は「折角だから皆で雪合戦しようぜ!」と声を掛けた。
「そーらそーら、オレに当ててみろ! 歴戦の戦士であるオレに当てられたら大したもんだぜ? はははは!」
「狙えー!」
「あっ、やめろ集中攻撃はやめろ卑怯だぞこらっ」
 子供達の雪玉を避ける風牙。ばすん、と音を立てて顔面にぶつかった其れに思わず笑顔が漏れる。
「花丸ちゃんは特に理由はないけどしにゃこさんを狙っていくね!
 これはこの前奪われたご飯の恨み、これもこの前奪われたご飯の恨みっ!
 そしてこれはっ! 大事に残しておいたクリスマスケーキを食べられた恨みだーっ!」
「ぎゃー! しにゃはまだ咥えられっ、あーー!?」
 アルペストゥスに咥えられるしにゃこに向かって投げられる花丸印の雪玉達。それをアルペストゥスの背から見ていて誠吾は「やべー」と言った表情を向けて只見詰めているだけだった。


「小さい子達にはとっておきだよ。アイスクリームは好きかな?
 この冷たーい雪と皆の力を借りてアイスクリームを作れるんだよ」
 猫神様の不思議なキッチンはまだまだ続く。密閉容器に牛乳とクリーム、砂糖を入れて、苺谷バニラの風味をつけたら塩を混ぜた雪の中に入れてボールにした。
 子供達は其れを蹴って投げてとたっぷり遊び続ける。バスティスがそう宣言してから1時間。
「わあー」と子供達の楽しげな声が響く。
「かみさま、すごい!」
 ――花丸は『おねえちゃん』で、誠吾は『おにいちゃん』で、ベネディクトは『領主様』は理解できるがバスティスは『かみさま』で通ってしまったドゥネーブの一部は中々にヘビーな者を信仰しているようになってしまった。
「さて、こちらも『微調整』は終わった。じっくり見てみるがよい!
 ポメ&しにゃこ像ver0.2完成なのじゃ! 我ながら中々の出来じゃなあ!!」
 先程作られていた雪像を炎を漬かって細かく削って微調整をしていたのだろう。アカツキがふふんと胸を張り、ベネディクトとハイタッチをしている。子供達も「いえーい!」と心を躍らせ、足下ではしゃぐポメ太郎は花をすんすんと鳴らした。
「おお、バスちゃんが料理を作ってるんじゃったな! せーご、アル! 温かい豚汁じゃぞー!!
 ほれアルや、ガムみたいにしにゃこを咥えてないでこれでも食べるのじゃ。ぺっしなさいぺっ!」
「ぺっ」
「ぺってします!? 美少女ですよ!?」
 ぺっとされたしにゃこは再度むんずと捕まれた。豚汁抱えて咥えられるって凄いなあと誠吾は遠い目をしたのだった。
「豚汁美味いぜ。体を温めるにはもってこいだ」
「暖まってね」
 猫神様キッチンは盛況だ。しにゃこを咥えたままアルペストゥスは「グルル」と小さく唸った。ワインを見つけたのだろう。折角だから大人は頂こうかと村の人々はにこにこと笑みを浮かべる。
 子供達と仲間達と、こうして食事をするのは楽しくて。アルペストゥスに安心した子供達はその翼の傍で豚汁やタルトを食べている。
「あ、このイチゴのタルトもうまいな! えっ、この村ので採れたイチゴ使ってんのか?
 はーー、うっめえなあ、お前らのとこのイチゴ! いいもん作ってんじゃん! 羨ましいぜ!」
「だろー?」
 胸を張ったリックに「お前も頑張れよ」と風牙はつん、と突いた。花丸が楽しそうに食べている料理をピンポイントで奪うしにゃこに花丸は「あああ」と叫び声を上げる。
「しにゃこ……可哀想に……」
「ええ!?」
「これは――食べ物の恨みー!?」
 アカツキが黙祷を捧げる中、静かに攻撃を食らったしにゃこが「笹木さーん!?」と怯えたように声を上げた。
「うんうん、みんな笑顔で良いね」
「うんっ、一杯遊んで、いっぱい食べて、そうして楽しいことを思い出してくれると嬉しいな!
 けど、食べ物の恨みは! 募る! 此れは負のループだよ! しにゃこさん!」
 花丸がびしりと指さしたそれにベネディクトは元気だとクスクスと笑う。かまくらで話を聞かせて欲しいと子供達にせがまれた彼はイレギュラーズとしての活動を語ろうかとゆっくりと口を開いた。
「そうだな、それでは俺がこの世界に訪れてあった一番大きな戦い、滅海竜との闘いの話をしようか。冒険もそうだが……実際に後世、謳われる事が在るかも知れん話だ…あれはそうだな。今から半年ほど前の話になるか――」

 沢山遊んで、沢山食べて。そうして、満足した子供達に送り出された帰り道。
 又遊びに来てと懇願する少年に「また」と風牙は頭をぽんと撫で、満足げに帰路を辿る。
 ふと、その後を追いながら誠吾は胸の中に存在して居た蟠りがとけたことに気付いた。こうして童心に返って遊ぶのも悪くは無いな、と思える程度には精神的に安定したのだろうか。
(いつまでも腐ってはいられない、って事だろうな……)
 俯き、そう考えた誠吾へと「せーご!」とアカツキの呼ぶ声がする。咥える? と問うアルペストゥスに「それはしにゃこ専用だろ」と小さく笑みを浮かべて。
 雪道の帰路を仲間達と共に楽しげに辿った。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

楽しい雪遊びになりましたら光栄です!

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