シナリオ詳細
あなただけのクリスマスリース
完了
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オープニング
●くるりと円を描いて
色とりどりの飾りで飾ったクリスマスツリー。
赤いポインセチア。
生憎煙突はないけれど、この月はクリスマス関連の物を見ると心がウキウキする。が。
「何か足りない……」
薄く切ったシュトレンにスパイスを利かせた紅茶を片手に部屋中をぐるりと見渡す。
生活の邪魔にならない程度の、だけど目につくクリスマスの飾り達。
「そうか。リースがないのよ!」
はっと気づいたチェスは、いそいそとクリスマスリースの材料を買いに行った。
「……買いすぎた」
うきうきし過ぎてついあれもこれもと買いすぎたせいで、チェスの手元には大量のクリスマスリースの材料が。
一人で使い切れるわけもなく、友人を呼んでも確実に余る。
「こうなれば、クリスマスリース教室を開くしかない……!!」
慌てて書き始めたのはクリスマスリース教室のお誘い。
基本となるリースを用意しておくので、好きに飾ってみませんか? と可愛い雪だるまがあなたに告げている。
●合わせるのは何色?
「この世界ではシャイネンナハトの事なんだけど、あの世界はクリスマスって言うの。結構12月24日をクリスマスイブ、25日をクリスマスって言う世界多いよね」
まだフェリーチェが読んでいない本の中には他の呼び方もあるかもしれないが、今日用がある世界では彼の日はクリスマス。
「で、クリスマスリースを作りませんか? って言うお誘いがあるの。リースの土台はお店の人が用意してくれているから、後は好きに飾るだけ。クリスマスらしく緑、赤と白も良いし、青と白も良いよね。後ピンク系も可愛いと思うよ」
土台が緑なら、赤いリボンに赤い木の実。白はリボンも良いけどふわっとした羽根も良いかもしれない。
つるを使った物なら柊やユーカリなどの葉に、乾燥させた花を添えて華やかさを出すのも良いだろう。
「作ったクリスマスリースは持って帰って良いんだって。自宅の玄関とか、自室のドアに飾るとワクワクしそうだよね」
さて、どんなクリスマスリースを作ってみようか?
- あなただけのクリスマスリース完了
- NM名ゆーき
- 種別ラリー(LN)
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年12月25日 22時15分
- 章数1章
- 総採用数10人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
「鬼灯くん! クリスマスリースですって! 絵本に出てきたのよ、私知ってるのだわ!」
見本のクリスマスリースを前に、鬼灯の愛しい妻である章姫が目を輝かせる。
「そうか、章殿は物知りだな。それにしてもクリスマスか、懐かしい響きだな」
鬼灯たちが元居た世界では、切支丹達と呼ばれる人たちが祈りを捧げていた日。
こんな風に華やかに過ごす日ではなかったけど、あの世界でも特別な日だった。鬼灯にとっては、これから章姫と過ごすシャイネンナハトが特別な日になるのだけど。
「さて、どんなリースを作ろうか。章殿はどんなのが良いとか希望はあるか?」
王道の緑の葉の土台に赤いリボン。金色のベルは章姫がチリリと鳴らしている。
その姿に頬を緩めながら、鬼灯は章姫を自分の膝の上に乗せる。
「見えるか?」
「えぇ! 絵本に出てきたクリスマスリース、楽しみだわ!」
章姫の希望は読んでいた絵本に出てきたもの。
良くある緑の土台に赤いリボン、金のベルのシンプルなリースだけど、赤いリボンと金色のベルをは章姫のドレスと髪の色は、鬼灯に癒しを与えてくれる色だ。
針金でベルを付けて、全体にバランス良くリボンを巻いて行く。
「私がリボンを結んでいい?」
「勿論だとも」
自分の身長と大差ないリースを前に、小さな手で大きなリボンを結ぶ章姫。
二人で作ったクリスマスリース。どこに飾るか二人で笑いながら相談する幸せに、鬼灯の心に温かな火が灯るのだった。
成否
成功
第1章 第2節
(今年は私のおうちでシャイネンナハトの予定だったし、部屋の飾りつけを色々考えてたのよねぇ……)
アーリアを思わせる、シンプルだけど上品に飾り付けたツリー。綺麗なテーブルクロスに揺れるキャンドル。リースを飾るのは壁かドアか。
「後はそうね……折角だし、当日を一緒に過ごす彼へのプレゼントに良いかも」
そう思えば、作るリースのイメージも固まる。
「よぉし、張り切って作りましょ!」
張り切るアーリアは、うきうきした様子で材料を選び始めた。
(土台はもみの木ね。色は違うけれど大好きなふわふわの尻尾みたい、なんて)
出来るだけふわふわした土台を選んで、松ぼっくりに赤い実を付けたらここからアーリアの本領発揮!
ふわふわの白い花と淡い紫の花を一輪ずつ刺して、幅広の白と黒のリボンを重ねたものをぐるぐると巻いて行く。
白と黒のリボンが巻かれたふわふわのリースはまるで――
「ふふ、本当に尻尾みたい!」
無邪気に笑うと、アーリアは最後の仕上げに用意しておいた小さなカードを丸めてリボンの間に通す。カードには「招待状」の文字と、いつも手紙に添える艶やかなキスマーク。
「この招待状とリースが、当日私の部屋に入る招待状、なんてね」
自分で言っていて少し恥ずかしくなるが、招待状とリースを受け取った彼はどんな反応を見せてくれるだろうか。
「少し早いプレゼント、どんな顔をしてくれるかしら!」
さぁ、帰ったらすぐに彼に会いに行こう!
成否
成功
第1章 第3節
「2つ作りたいんだが、構わないだろうか?」
少し申し訳なさそうに言う誠吾に、チェスは快く頷いた。
「2つでも3つでも、満足するまで作ってくれて良いよ」
「いや、2つで良いんだ」
静かな眼差しでそう告げると、誠吾は材料を選んでいく。
蔓の土台に針葉樹の葉。少し悩みながらも綺麗な円になるように差し込めば、松ぼっくりや星を模した飾りを付けて賑やかに。
針葉樹や飾りを調整して全体のバランスを整えたら、仕上げにリボンを巻いて飾り付け。
片方は赤、片方は白。
色違いのリースを前に深く息を吐く誠吾を見て、チェスはラッピング用の袋とリボンを差し出す。
「有難う」
誠吾は少し悩んで、淡いオレンジの袋と水色のリボンを選んだ。
「一つだけで良いの?」
「あぁ」
赤いリボンを巻いたリースを袋に入れてリボンを結ぶ。
渡す相手はいつも誠吾の後をついてくる可愛い小鳥。
最近心配かけたから、そのお詫びを兼ねてのプレゼントだ。
受け取ったらどんな表情をするだろう。びっくりして、それからとびっきりの笑顔を浮かべてくれるだろうか。
もう片方の、白いリボンを巻いたリースは――
「天国とやらで受けとってー……いや、俺からなんて要らないと言われそうだがな」
主人や先輩、仲間、それから小鳥と生きるために、誠吾が殺めた少女の墓前に捧げるつもりだ。
「許して欲しい、なんて言わない。それでも俺は、忘れないから……」
痛みを抱いて、前へ進むために。
成否
成功
第1章 第4節
「クリスマスリースか……。確か、魔除けを意味する飾りでしたね……」
飾った家に悪い物が入ってこないようにと願う魔除けのまじない。
「店でも売っているけど、確かに手作りのほうが温かみがあるな」
土台はチェスが編んだのか、一つとして同じ物はなく、綺麗だったり少し不格好だったり様々だ。そんな中、エーミールはちょっと形が歪になっている土台を手に取る。
「中々味がある形ですね」
それも手作りならではの良さだろう。
とは言え処理が甘いのも手作りならでは。怪我をしないように気を付けようと思うエーミールだった。
つるを三つ編みに編んで円にした土台に柊の葉を刺し、葉の流れる方向を揃えて、柊の葉でも円を作り上げていく。そこに小さな鈴をつけて行くのだが、チリリとなる鈴が増えるのが楽しくて、気が付けばリースは鈴だらけ。
「やっちゃったー」
軽く笑いながら一度鈴を全て外し、今度は全体のバランスを見ながら再挑戦。
今度は良い感じの数とバランスでつけたら、リースのてっぺんに金色の星をあしらう。
「後は……あ、雪のように綿を少し散らすのもいいかもしれません」
煌めくラメのついた綿を雪のように飾れば、エーミールのクリスマスリース完成!
「兄さん捜しの最中とは言え、緩やかな時間を過ごすのもいいですよねぇ。けど今年は……独りでのんびりと過ごす、かな」
自分で作ったリースに見守られながらのんびり過ごす。そんな過ごし方も良いだろう。
成否
成功
第1章 第5節
イルミネーションが煌めくクリスマスツリーに、見本に飾られたリースを見てコッコの目が輝く。
「こっちの世界でもメリクリな! あ、コッコはコッコな!!」
「元気いっぱい有難う! 私はチェスだよ!」
元気いっぱいに挨拶をするコッコとチェス。なんとなく、似たものを感じる。
「なにをかくそーコッコはクリスマスツリーの達人な! これまでたくさんてっぺんのお星さまをてがけてきたな! リースを作るのははじめてだけど、たぶん大丈夫な! コッコはいいこだからおちゃのこさいさいしーな!」
えっへん! と胸を張るコッコ。その肩に乗った妖精さんたちも真似をして、一匹ひっくり返ったのはご愛敬。
「おぉ! ならすっごいリース期待してる!」
「任せてな!!」
「土台はもみの木でー、飾りはコッコの好きなやつをくっつけていくな!」
プリンにひよこにひまわりに。あとはクリスマスらしくふわふわの綿やベル、お星さまもたっくさん!
「つければつけるほどいいな、ちょーゴージャスにしていくな!」
賑やか楽しく飾り付けたら
「んでさいごにリボンをくくりつけて……かんせーな!」
キラふわ可愛く、楽しく美味しそうなクリスマスリースが出来ました!
「かんぺきな……これぞ匠のわざな……! これでクリスマスもゆーしょーしていくな!!」
「これは凄い! これはゆーしょーだよコッコちゃん!」
「当然な!」
チェスを大喜びさせたコッコには、良い子ポイントプレゼント!
成否
成功
第1章 第6節
二人仲良く並んでリースを作っているのはマルクとリンディス。
これと思う材料を取ってきた後、マルクは悩んでいた。
(土台は緑色がほしいから、もみの木かな。これにヒイラギの葉とベルを飾って……。あぁ、でもそうしたら緑に緑が被ってしまう……)
一つ一つの飾りに込められた思いを考え、どれを使うか悩むマルクの隣で、リンディスは楽しそうに飾りを仮置きして配置を確かめている。
「同じような形に見えて、いざ作ろうと思うと色んなバリエーションがあるんだね」
リンディスの手から作りだされるぶどうの蔓を編んだリースは、一見シンプルだけど優しさに溢れている。
「ええ、人の数だけ飾りが違って。どんな想いを込めて作られているのか、考えるのも楽しいですよね」
周囲を見れば、思い思いのリースを作る人達。
真剣な面持ちで作る見知った顔もあれば、楽し気にどんどん飾りを乗せていく人も。
「リンディスさん、いま作ってる所の飾り付け、もう少しよく見せてもらっていい?」
赤い布で作ったポインセチア風の飾りを作っていたリンディスに、作り方を見せて欲しいというマルク。リンディスは深みのある落ち着いた赤い目をぱちぱちと瞬かせたが、マルクの可愛らしい願いを断るはずもなく。
「マルクさんもお花にされます? いいですよ、ええと……私も習いたての作り方ですが」
作りかけの飾りを一度外し、マルクにも見えやすいようにしながら作り直すリンディス。
笑いながら同じ飾りを作る二人を、用意されていた天使の人形が優しく見守っていた。
その後もリンディスのリースを倣って自分のリースを作り上げていくマルク。
「なんだかお揃いみたいですね」
リンディスのリースは蔓の土台の下側に白い大きなリボンを飾り、その上には一緒に作った赤い花飾り。その周りを赤い木の実が彩れば、リースの真ん中で天使の人形が小さく揺れる可愛いリース。
マルクのリースはもみの土台の下側に白い大きなリボンを飾り、その上にヒイラギの葉と赤い花飾り。その周りには赤い木の実と金色のベル。
「せっかく二人で作ってるから、お揃いっぽくなったほうがいいかなって思って。それとも、お互いのリースを交換して、それぞれの部屋に飾ろうか?」
「それも素敵ですね。じゃぁ……」
マルクの名前を模った木を持ってくると、飾りの少ないリースの上半分に飾っていくリンディス。
いつの間にかマルクも白木のプレートに『Lindis』と書き、ミモザのドライフラワーを添えてリースの真ん中に飾る。ミモザの花は、いつも手紙に添えるマルクの思い。
「交換にしましょう。これでマルクさん用ですよ」
微笑みリースを差し出すにリンディスに、マルクはリースを受け取りお返しに自分が作ったリースを差し出す。
「有難うございます。大切にしますね。リンディスさんも受け取ってくれますか?」
差し出されたリースを見て、リンディスは嬉しそうに微笑み手を伸ばした。
成否
成功
第1章 第7節
「クリスマスリースなんて初めて作りますわ。なんだかドキドキします」
そっと胸元で手を組みながらユージェニーは辺りを見る。
「あの……わたくし、このような行事自体が初めてで……。世間知らずで申し訳ないのですが、どういうのがいいのでしょう……」
アドバイスを求めてチェスに声をかけると、チェスはユージェニーの中でどんなリースを作りたいのか形作れるように説明していく。
「土台はもみの木がいいですわ。色は……わたくしと同じ、青が良いです」
もみの木の土台に、大きな青色のリボンを飾るユージェニー。だけどそれだけだと少し重たい感じがしたので、小さな白い雪の結晶の飾りを散らすようにつけて明るさと華やかさを足していく。
「うーん、なんだか少し物足りませんわ……」
出来上がったのは大きな青いリボンに白い雪が舞い散るリース。だけどそれは少しシンプル過ぎて物足りない。
何か良い物はないかと材料を見に来たユージェニーが見つけたのは、色取り取りの小さな蝶が舞うような華蓮な花。
「このお花は何でしょう?」
「それは初恋草ね。色んな色があって、それが色んな恋心みたいでしょう?」
「えぇ、名前のように愛らしいお花ですわ」
寒色に偏ったリースに、淡いピンクの初恋草をバランスよく飾って行けば
「完成しましたわ!」
ユージェニーのリースが完成!
「お疲れ様、可愛いリースだね」
「ふふっ、ありがとうございます。リース作り、楽しかったですわ」
成否
成功
第1章 第8節
「24、25日って自分の王子様と過ごす日なのでしょう? じゃあその日に必要なリース? を準備していれば王子様が自然と来てくれるのかしら? それは準備しなくちゃいけないわ!」
うふふ! と楽し気に笑うと、メルティメルトは次々と飾りを取っていく。
メルティメルトは自分の王子様を探す愛の放浪者。そんな彼女がリースを飾れば王子様が来てくれると聞いて黙っているはずがない。そんな話、どこにもないんだけど。
リース作りは初めてだけど、王子様に気づいて貰えるようにとびっきり豪華でぴかぴかにしなくては!!
「折角だから、土台から手作りしましょ!」
もみの木の枝を貰ってきて、うきうきと円にして行くメルティメルト。だがその土台は所々枝が飛び出し攻撃t……中々の個性的。
さらに手当たり次第持ってきた飾りをつけ、時間差で色が変わるライトをつける。
「んー……良い感じね!」
ありったけの飾りを付けたリースは、正面から見ると緑が一切見えない。横から見ても、土台に対して飾りの層が倍近くある。
重い……重いぞこのリース……! 重量とか、メルティメルトの愛情とかが!!
「凄いですね……」
呆然とするチェスにメルティメルトは頬を染める。
「えぇ! 私のリースだって分かれば後はご馳走を持ってきてくれるのを待つだけだもの! その日が待ち遠しいわ! ところでクリスマスって何かしら?」
クリスマスの絵本を渡されるメルティメルトだった。
成否
成功
第1章 第9節
クリスマスリースには様々な願いや意味が込められている。
魔除け、豊作祈願、そして終わりのない永遠の愛。
「想いを形にするのも良いものだな。よーし、作ってみよう!」
一つ一つに込められて意味を汲み取り、リゲルは想いを込めたリースを作るのだった。
「土台はこれで良いかな」
リゲルの手にはモミの木で作った土台。そこに紫の葡萄や赤い林檎、を沢山、だけどバランスよく添えて領地に住む民の豊穣を願う。
それから妻のポテトを彩るじゃがいもの花をリースの上部に、娘のノーラを象徴する紫色の大きなリボンを下のほうに結ぶ。
「二人が見守ってくれているみたいだな」
小さく微笑むと、リゲルは小さな袋に詰めた雪のようなマシュマロを結んでいく。
家族で一緒に食べればきっとみんな笑顔になるに違いない。
最後に銀色でコーティングした西洋柊を添えれば完成。
「西洋柊の花言葉は防衛、そして家族の幸せ。家族を現したリースになったと思うが……どうかな?」
「とても愛情に溢れた良いリースだと思いますよ」
チェスに太鼓判を押して貰ったリゲルは、嬉しそうに笑ってリースを包み始めた。
「二人はどんな顔するかな」
突然クリスマスリースを渡されたら、びっくりして、それから花やリボンを見て嬉しそうに笑うだろうか。
皆の笑顔を思い浮かべると、心が温かくなる思いがする。
「このリースも、シャイネンナハトを彩る一助となると良いな」
さぁ、家族の下へ帰ろう!
成否
成功
第1章 第10節
「嬉しそうだな、章殿」
「えぇ! だって鬼灯くんと一緒に特別な日をお祝い出来るのよ? 嬉しいわ!」
みんなの母上が作ってくれたご馳走を前に、章姫が嬉しそうにはしゃぐ。
「今年は今日だけだけど、来年も、再来年もその次も、ずっと一緒にこうやって祝っていこう」
「えぇ、約束ね!」
差し出された小指に小さな小指を絡めて約束の指切り。
これから先もずっと一緒だと約束する二人を、絵本から飛び出したようなリースが見守っていた。
呼び鈴が鳴ってアーリアは勢いよく立ち上がった。
腕を振るったご馳走に、美味しいと評判のケーキ。それからお気に入りのお酒もしっかりと用意してある。
鏡の前でドレスや髪がおかしくないか手早くチェックしたら、一呼吸おいてドアを開ける。
「いらっしゃい。待ってたわぁ」
「おや、待たせてしまいましたか」
そう笑う彼の手には、リースの招待状を持った彼の姿。
「えぇ、すごーく楽しみだったもの!」
揺れる紫の髪と灰色の尻尾。
ゆらゆらふさふさ。触れ合いながら部屋の中へと消えて行った。
「心配かけて済まない。もう大丈夫……とは言えないけど、今まで見たいに立ち止まったりしないから大丈夫だ」
本当かと唇を尖らせて探るように見上げてくる小鳥に、誠吾は困ったように微笑む。
「心配かけたお詫びにこれ。受け取ってくれるか?」
リースの入った袋を差し出せば、一瞬きょとんとした後嬉しそうに笑顔を見せる。
「良いの!?」
「あぁ、そのために作ったんだからな」
それを聞いて早速袋からリースを取り出す小鳥。
嬉しそうに笑うその笑顔を見て、誠吾も優しい笑みを浮かべた。
ぱちぱちと火が爆ぜる部屋の中、エーミールはお気に入りのケーキを食べながら本を読む。
「兄さんと再会出来たら、兄さんにも食べて貰いたいなぁ。きっと気に入ってくれると思うんだ」
いつか再会出来た時に、聞いて貰いたい話が、一緒に行きたい場所が増えていく。
「兄さんも、離れている間にどんなことがあったか沢山話してくれるかなぁ」
その日の事を考えるとワクワク、ぽかぽか、胸が弾む。
炎を受けてリースの星が煌めく。
ワクワクし過ぎて、ケーキをひっくり返さないと良いなぁ。
「メリメリクリスマース!!」
大きなプリンケーキを目の前に、コッコのテンションは絶好調!
「今年も一年、コッコは頑張ったのな! 良い子だけじゃなくて魔法少女も頑張ったな! つまりプレゼントは二倍! 楽しみなー!!」
イレギュラーズ、魔法少女として頑張るコッコはまだ10歳。こんな日は、10歳の女の子として甘えても良いだろう。
「鳥の丸焼きにエビフライ! オムライスもあるけど何よりプリンケーーーキ!!!! これはゆーしょー間違いなし! 早く食べるのな!」
美味しいご馳走に大好きなプリンのケーキ。今年のクリスマスは優勝だ!
「楽しかったですね」
「はい。皆さん笑顔で、とても素敵なパーティでした」
マルクとリンディス、二人が所属する黒狼隊で行われたシャイネンナハトを祝うパーティ。そのパーティの後、マルクとリンディスは二人で細やかなお祝いをしていた。
暖かな飲み物を用意して、二人並んでソファに腰掛ける。
「リース、飾ってくれているんですね」
壁に掛けられたリースを見て、リンディスが嬉しそうに微笑む。
「はい。あの日、帰ってきてからすぐに飾らせて貰いました」
その微笑みを見てマルクも嬉しくなる。
「私も、本を読んで顔を上げた時にすぐ見える所に飾りました」
一緒に作って交換したリース。
今年はもうそろそろしまう時間だけど、来年また、見える所に飾ろうか。
ユージェニーは初めてのシャイネンナハトに興奮を隠せなかった。
「外は、こんなに賑やかで華やかなんですね……!」
マーケットを歩けば気になる物は沢山あるけど、今日はチキンとケーキを食べる日だと聞いたので目指すはチキンとケーキ!
「でもどのお店が良いのでしょうか……」
威勢のいい呼び込みに少し尻込みしながら、ユージェニーは良い匂いのするキチンと出会う。
「あの……チキンを、ください……!」
熱々のチキンを手に、今度はケーキを探し始めるユージェニー。
帰ったら、リースを見ながらチキンとケーキを楽しもう。
「おかしいわねぇ……」
外から聞こえてくる賑やかな声を聴きながら、メルティメルトは首を傾げる。
クリスマスはサンタクロースが良い子にプレゼントをくれる日だと貸して貰った絵本には書いてあったのに、自分の所にはプレゼントは来ていない。勿論、王子様も来ていない。
「そう言えば、プレゼントは寝ている間に来るのよね? そうと分かれば今日は早く寝なくちゃいけないわ!」
扉の外では愛情と飾りでずっしり重いリースが、風に負けることなくピカピカ光っている。
色々重いリースを越えて、彼女の王子様が来てくれるのはいつだろう。
「ただいま、今年はクリスマスリースを作ってみたんだ。どうだろう?」
手作りのリースを差し出せば、妻も子も嬉しそうに笑う。
「愛情たっぷりだな」
ジャガイモの花と紫のリボンにそう笑う妻に、リゲルは嬉しくなって微笑む。
マシュマロに気づいた娘に、パーティの最後にみんなで一緒に食べようと言えば元気一杯頷かれる。
「でも、パパが足りない」
妻と娘を表すものはあるのにリゲル自身を表すものがないと、銀色の星を渡されるリゲルだった。
手作りリースで素敵な思い出出来たでしょうか。
さぁ、皆さん素敵なクリスマスをお過ごしください。
NMコメント
自分だけのクリスマスリースを作りませんか?
玄関に飾るも良し、自室に飾るも良し。お好きなリースを作っちゃいましょう!
●やること
・クリスマスリースを作る
土台はもみの木とつるの二種類。
飾りは色々あるので、こんなの飾るんだ! と探していただければ大体あるかと。
持ち込みも可能なので特殊なものは、持ち込んでも大丈夫。
●作り方
1、大体どんなのを作るか決める
2、土台と飾りを選ぶ
3、飾り付ける
4、完成!!
●その他
・プレゼントにしたい場合はプレゼント用の袋やリボンを用意します。渡したい人の笑顔が楽しみですね!
・木の実は花は全て乾燥させてあるので食べられません! でもその分綺麗に持ちます!
・先生は花屋さんのチェス。必要なら手伝ってくれます。
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