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シナリオ詳細

<子竜伝>動乱の傷跡 ~癒やしのための商売~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●復興に向けて
 フィッツバルディ派フラウベルク領――。
 穏やかな田園風景が広がる地方であるが、それも領民たちの努力あってのものである。
 一年余り前、のどかな地も、イオニアスの暴動と無縁ではなかった。
 狂気の軍勢によって蹂躙された地域は広範囲に渡り、以前の暮らしが回復していない部分は多い。
 戦乱から救われたと言っても、それはまだまだほんの一部でしかないのだ。

「君たちには、商売の手伝いをお願いしたいのです」

 依頼人は、ギルダー・シリング。
 フィッツバルディ公爵との知遇を得て、農産物の卸売を手掛けている商人で、戦禍に巻き込まれた人々に食料を供出するなど、現在も復興に尽力している人物としても知られる。

「さいわいなことに動乱の気配は落ち着きましたが、元通りというわけではありません」

 そう、いまだ戦乱の爪痕は生々しい。
 商業活動の再開は、その生んだ傷を循環させることで活性化させる効果がある、彼はそう考えている。

「将来的に商売の利益を取り戻すためにも、フラウベルクの人々には立ち直って貰う必要があります。そのために援助が必要だというのなら、出資しましょう」

 ギルダー・シリングは善良だが、れっきとした商人である。
 そうである以上、慈善事業としてではなく富を生み出さねばならない。
 農産物の卸売という商売を手掛ける彼からすれば、人々が作物を生産する農民が立ち直り、また消費者として経済を循環してくれる存在として復活してくれるのは将来的な利益を共有できるのだ。
 かつ、また再会の期待を抱くことになる。

(……再会は、いつ以来になるかな?)

 ギルダーは、血のつながらない養子のことを思い浮かべた。
 再会できれば、マルク・シリング (p3p001309)とは、6年ぶりとなるだろう。実子の代わりに兵役を申し出て、家を離れて以来となる。
 それはまさしくシリング家のために進んで身代わりになったようなものだ。
 別け隔てなく接したつもりであったのだが、マルクス遠慮や恩のようなものを感じていたのかもしれない。
 しかし、荒廃した領地の復興という形を通じての関係ならば、ビジネスパートナーとしての交流が望めるだろう。

●求む、ビジネスパートナー
「作物の売りつけも買いつけも、どちらも将来的な利益になりますから、私も投資として考えています」

 ギルダーはそう説明した。
 買付の値は高く、売りつけの値は安い。
 それでも、余剰の生産物の転換と輸送によって儲けは出るという。

「小麦、大麦、甜菜。それと玉ねぎと人参、肉と乳製品も用意できます。その他必要なものがあれば、格安で用意します。ですので、この辺で継続できる商売を考えてもらえませんか?」

 いずれは、この地を生産の拠点となるような商売を用意してほしい――。
 すでに商品を満載した荷台も用意されている。
 福祉的な局面もあるが、もちろん利益あってのことだ。
 利益を独占するのではなく、ともに分け合って徐々に広げていくという姿勢である。

「私よりも、地域に根ざした君たちのほうがよいアイデアを持っているのではと思いましてね。ああ、他にもはるか豊穣から作つけがあるコメも春には用意できますよ」

 一見するとよい話のように見えるが、継続できる商売のアイデアまでい思いつけというのは、なかなか難しい注文である。
 しかし、ギルダーはそのアイデアこそが利益の核心だと捉えているようでなかなか侮れない。

「さてマルク。ひさしぶりだが、さっそく我がシリング商会に利益を与えてくれる商売を用意しちゃもらえないか? フラウベルク領のためになるなら、お互いにとっていい話だろう」

GMコメント

■このシナリオについて
 皆さんこんちわ、解谷アキラです。
 今回の依頼は、作物と物資を生かし、復興の手助けとなる商売を思いついてもらうことです。
 戦闘のないシナリオとなります。

▼ギルダー・シリング
 フィッツバルディ領の商人で、おもに農産物の卸売を扱うシリング商会の会長。
 義理固く実直な性格で、物腰は丁寧で復興のために尽力している。
 今回は、地域復興と将来の利益を目指して作物を中心に物資を用意しており、ビジネスパートナーと継続できる商売のアイデアを求めている。

https://rev1.reversion.jp/guild/1/thread/4058?id=1229690

 というわけで、ともに利益があげられる商売を目指していきましょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <子竜伝>動乱の傷跡 ~癒やしのための商売~完了
  • GM名解谷アキラ
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年12月24日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

夢見 ルル家(p3p000016)
離れぬ意思
ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
旅人自称者
ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
リインカーネーション
マルク・シリング(p3p001309)
リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)
紅炎の勇者
シラス(p3p004421)
竜剣
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
黒狼の勇者

リプレイ

●地域復興のために
 集まった8人は、フラウベルク領復興を目指すという商売をいかに始めるかについて、さっそく相談を始めた。

「養父さん…その、ご無沙汰、していました」
「お前も、元気そうで何よりですね」

 マルク・シリング(p3p001309)とギルダー・シリングは、親子である。
 血の繋がりはないが、他の兄弟たちとも変わらず育まれた。
 しかし、それはそれとして恩義と負い目のようなすれ違いはあった。
 マルクは恩義のために長男の代わりに兵役を買ってでて、ギルダーはそれを負担をかけさせたと感じた。
 そのせいか、今まで微妙な行き違いによって気まずさが残る間柄となっている。

「商業というのは、お互いに利益を分かち合えるもの。必要なものは用意しよう」
「わかりました。仲間とともに相談してみます」

 養父が持ちかけたビジネスはチャンスであるかもしれない。
 経済というのは、物と人の流れだ。
 血管に血が流れて全身に栄養が行き渡るように、物流が活性化して人々に富と活力が蘇っていくだろう。

「これは中々の難題ですね。普通に戦って敵を倒す依頼の方がよほど簡単です!」

 『離れぬ意思』夢見 ルル家(p3p000016)は、その困難さを思った。
 商売を根付かせて復興につなげるというのは、なかなかに難しいことだ。
 誰もが商売で儲けを出せるならば、皆がやっているはずで、そうでないのは失敗して負債を抱えるリスクを恐れてのことである。
 ギルダー・シリングからの支援と出資があるとしても、それに見合うリターンを返せるかどうか?

「ええ、まったく。新事業の立ち上げとは、中々難しいことを頼まれたものなのです」

 『旅人自称者』ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)も同感であった。
 孤児院から奨学金で軍学校に入学し、出征直前に召喚されるというヘイゼルには、商売を行なう経験も学ぶ経験もなった。
 それは混沌にやってきてからもそうであった。
 ただ、商売の継続性が難しいという点においては、ルル家と同じ認識である。

「私もオランジュベネの一部をお預かりしている身。微力ながら、お手伝いさせていただきます!」
「復興の手助けとなる商売……まったくの他人事って訳ではないから頑張って考えなきゃ。ここで学んだ知識を自領でも活かせそうだしね!」

 『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)、『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)も名乗りを上げた。
 これまで、この地でさまざまなことがあり、そこでの知見を活かせるであろう。
 ドラマは小麦などの穀物、スティアは畜産業に注目し、加工品を試してみるつもりだ。

「事業を起こして欲しい……か。俺もいろいろとやってきたけど初めて受ける類の依頼だね」

 商売についての経験は、シラス(p3p004421)にはない。
 しかし、彼には旺盛な好奇心があった。
 さいわい大商人であるギルダー・シリングのサポートもあり、不安要因より期待の展望が大きかった。
 若さゆえの楽観と無謀と言うかもしれない。しかし、大胆な挑戦でもある。
 商売というのは、慎重さと同時に決断力が重要となる。どちらが有利に働くかは、いまだ未知数である。

「さて……商売のアイディアとなると中々難しいな。素人の意見になってしまうだろうが、この場に居る以上は何かしらアイディアは出したいところだが……」

 『黒狼領主』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)もまた、復興する領地の状況から商流について頭を捻っているところだ。
 どこから手を付けるるにしろ、人手と土地の状況を把握しなければならない。
 そして、売るにしろ、買うにしろ、その土地の人々が活発に活動できるよう元気づける必要がある。

「なるほど、概要は理解しました。それなら……そう、やりようはいろいろとありますね」

 商売とは目のつけどころである。
 『春告げの』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)もこの難題を前向きに考えていた。
 集まった8人がそれぞれの知恵と発想を持ち寄れば、きっと結果を出せるだろう、そんな展望を持って行動と計画を開始するのであった。

●価値の創出
「僕の提案は、流通させる農産物に付加価値を付ける狙いです。具体的には『保存食』の商品開発です」

 まず、マルクが案を述べた。
 そのまま農産物を売っただけでは、そのものの価値しかない。
 商品へのプラスアルファが、価格に上乗せでできる。
 価格とは、賃金+利潤+地代によって決定する。
 つまりは、労働者に支払う人件費と獲得したい利益と土地の使用料と維持費によって決まる。
 そして購入者の需要に釣り合う価値が必要となる。

「保存食の利点は、長期間の輸送に耐えること。保存性という付加価値に加え、より遠くへの販路拡大が可能です」

 保存食の利点は、余剰生産分を回せることと、長期保存によって販路拡大が望めるところだ。
 さっそく、文献を漁り、ウォーカーからの聞き込みを行なって商品を検討する。
 ひと口に保存食と言っても、さまざまある。
 水分を乾燥させて日持ちするようにした乾物、塩漬けや発酵によって長期保存が効く漬物、そうした保存食の供給を考えられる。
 甜菜が育つのであれば、砂糖も採れる。
 もともと、甜菜はほうれん草の仲間で、葉を食べる野菜であった。
 これを家畜の飼料用に品種改良したものから、遠心分離して糖分を取り出す。袋に入れて振り回すと糖分を含んだ汁から砂糖が採れるというわけだ。
 砂糖は高級品であり、菓子となれば貴族にも売れる。
 また、砂糖漬けにした保存食も作れるし、絞りカスは家畜の飼料にもなる。

「その絞りカス、家畜の餌にできるよな?」

 さっそく、シラスがこの絞りカスの有効利用を思いついたようだった。
 近隣の農民とともに、養鶏の可能性を模索しているようである。
 鶏は、牛や豚に比べたら、必要とする土地も手間も少ない。
 鶏肉も採れるし、卵も採れる。
 そこでえたノウハウから、牛や豚にステップアップもできるだろう。
 最終的には、馬まで育てられれば販路の拡大と大規模輸送によって、シリング商会から独立して対等な関係を結べるだろう。
 先に述べたように、物流は経済の血であり、人々に富をもたらすものでもある。

「何はともあれ、この地の人々を元気づけねばな」

 ベネディクトは復興地を視察しつつ、産業を担う地元の人々の様子をうかがう。

「この当たりで盛んな産業と言ったら、なんだろうか?
「そりゃまあ、農業だよ」

「しかし、農業もそんなに活気があるように見えないのだが」
「ああ、反乱騒ぎで畑も荒れちまってね。麦も育てているが、何を育てりゃいいか……」

 農民たちから返ってくる声は、やはり衰えを感じさせるものだ。
 反乱に巻き込まれてせっかくの収穫を失えば、気力そのものが尽きていく。
 働いた分が富となるからこそ、労働に希望が持てるというのにそれを失ったのだ。

「しかし、皆さん。この米という豊穣の作物は、収穫量も多く、連作被害が出にくいと聞いている」
「ほう、そんな作物が……?」

 そう言って、ベネディクトは混沌米の種籾を農民たちに差し出した。
 稲は、連作被害も起こりづらく。1粒から50粒の稔りになるという。温暖な気候と水田の開拓、そして多くの世話の手間がかかるが、収穫量の多さは農民たちの希望となるはずだ。
 特に混沌米という品種は、改良されていて気候にも順応するだろう。

「……米か。だけどなぁ、その米ってやつを育てる道具はこっちにはねえからな」

 今まで稲作など経験していないから、農民たちも必要な農具を持っていない。
 苗を育てる苗箱や、苗籠、水田を起こす鍬や鋤もない。

「農具もこちらに揃えてますから!」

 そんな農民たちのために、ルル家は農具のレンタルという事業を思いついたのだ。

「他の作物の種もありますよ!」
「ほう、準備がいいな。しかし、いくら掛かるんだい?」

 ルル家は、農民たちに種の貸付の割合とレンタル価格を提示する。
 農民は、搾取を厳しく警戒するものだ。
 小作人なんかは、貸し付けられた土地の代金でがんじがらめになって奴隷のように働かされるし、領主には税を取り立てられてきた。

「そこは、シリング商会に見立ててもらった相場で」
「ふうむ。それなら、まあ……」

 代金を取るのは目的ではなく、かつての生活への回帰のためだ。
 負担にならないがくをギルダーに設定してもらったおかげで、農民たちも交渉に応じた。

「さて、あとは育った作物を売るための場所ですが……」

 リースリットは考える。
 農作物と保存食という商品の計画が立った。
 それらをさばく市場が必要となる。商品が出来上がっても、売る相手がいなければ利益は入らない。
 しかし、復興で疲弊している領民をその対象にはできない。
 その点はシリング商会の販路によって、他の地域に市場を求めた。
 あとは、輸送コストと関税と利ざやの問題となろう。

「商品を売るにしても、特に難しいのは継続性ですね」

 ヘイゼルは事業の継続性という点を重視した。
 滞りのない物流を確保するには、インフラと一定数の消費者の確保も重要なのだ。
 やはり、そうなると広い地域への輸送も含めた商品販売の機動性も確保したい。
 伝令兵の旅人であるヘイゼルらしい視点と解決策であった。

「主街道の宿場街……領外の商人や旅人が逗留する場所に食事処を拓くか仕入れてもらいましょう。最終的には、他領にも出店を目指します」
「飲食店の海外展開というやつですね。イレギュラーの強みを活かして戦略機動性をもたせて拡大した販路を維持しませう」
「飲食業を維持するのは大変だと聞きますし、資金面でも節約とロスをカットしていきましょう」
「であれば、畜産や食品生産の廃棄物を堆肥に還元できる仕組みを用意しましょう」

 リースリットとヘイゼルは商売の難しさを理解しつつ、その改善と克服のためにあれこれと案を出し合った。

●商品開発
「加工品ってことだから、干し肉、サラミ、それにベーコンとソーセージもありよね」
「これだけあればいろいろなコトが出来そうですが……小麦もありますし、まずはパン作りでしょうか」

 マルク提案の保存食実現のため、スティアとドラマも商品を開発に勤しんでいた。
 材料は、今のところシリング商会が仕入れて提供してくれたものを使っているが、将来的にはフラウベルク領の復興によって揃えたい。

「ベーコンがあれば、食パン焼いてサンドイッチもできるわね」
「ええ、砂糖もありますから甘いパンだって焼けますよ」

 保存食を使ってうまい料理が作れるとなれば、需要も生まれる。
 ベーコンやソーセージを買ってもらうためには、それを使った料理が評判になれば材料も必要となる。需要の創出というわけだ。
 人が集まる宿場町なんかに、メニューととも売り出せば付加価値も生まれる。
 食品を商品として見た場合、すぐに消費されなくなるのが優れた点である。
 だから、みんなが食べたくなるものを作らなければならないのだ。

「時間がかかりますが、麦が育てば麦酒造りやお米を使ったお酒造りも労働者には好まれるかもしれませんね」

 料理は専門外のドラマであるが、彼女の書架からは資料やレシピを取り揃えることが可能だ。

「せっかくだし、宿屋やお店で提供するサンプルも作っちゃうよ!」
「いいですね。どんなお料理にします?」
「ソーセージとあわせて煮込んだポトフ! あとは干し肉を使ったカレーやビーフシチューかな?」
「それなら、レシピをご用意できます」
「ベーコンやサラミは卵を使ったビスマルクピザに! 鶏肉はグラタンにしたり、クリーム煮とか、クリームシチューかな?」
「いいですね。美味しそうです……」

 ドラマは安心していた。ちゃんとまともなものが出来上がっている。
 そう、前に見たあれは悪い夢だったのだと――。

「そして、今回は封印されていたスティアスペシャルを解き放っちゃうよ!」
「す、すてぃあすぺしゃる……!?」

 出来上がった料理が、勢いよくどかっと盛られていく。
 門が開いた――。
 野菜も肉も、さらに増し増しになっていく。

「私はスペシャルにするつもりなかったんだけどー! どうしてもって言われたから仕方ないよねー!」
「す、スティアさん! スティアさんのお料理は美味しい、美味しいですが! 物資も限られていますし、程々にするのですよ!」

 にっこにこでどんどん盛っていくスティアに、ドラマは狼狽し、為す術がなかった。
 卑小な人間を睥睨するかのような頂きが、皿の上に隆起している。

「お疲れ様です! 商品開発の方は、あ……」

 覗きに来たルル家は、見てしまった。
 どう想像を逞しゅうしても、形状しがたき途方もない料理の盛りを。
 ホワイトソースは溢れかえり、ビスマルクピザはテーブルからはみ出る勢いである。

「ルル家さんは特盛にしておいてあげるね! サービス、サービス」
「いやその拙者は」

 何故かさらに特盛の皿が置かれた。
 それはサービスと言うより暴挙と言ったほうがいい。

「いやー、頭使ったから腹減ってきた」

 畜産でいろいろ模索していたシラスもやってきた。
 開発のために借りている宿屋の厨房からは、なんとも食欲をそそる匂いが漂ってくる。

「美味そうじゃん、飯にしながらギルダーさんに説明しようぜ」

 入ってきたシラスは見た。見てしまった。
 その暴力的な量を。
 
「……スティアは俺らを育てて出荷したいわけ?」
「だってみんな期待してたよね?」

 期待されたら、答えねばならぬ。
 今こそスティアスペシャルを盛らねばならぬときなのだ。
 しかし、畜産業をいろいろ見てきたシラスにとって家畜に肉をつけさせることを想起させるものだった。

「……本当に作ってしまったのか? あのスティアスペシャルを?」

 領民たちを励ましたベネディクトも、やってくるなり愕然とした。
 どんな敵よりも巨大(おお)きい――。
 圧倒的な物量である。

「――養父さんは、相変わらず人の善い商いを続けているんですね」
「いや、嫌われたら損という商人として当然のことをしているに過ぎないよ」

 ギルダーとマルクは、あらためて親子として語らいながら、ひと息つこうと宿屋にやってきた。

「僕はもうイレギュラーズだから。商人たるシリング家に戻ることはできないけれど」
「それでいい。自分で決めた道だ。悔いのない選択を――お?」

 親子は同時に見てしまった。
 テーブルの上に置かれたスティアスペシャルを。

「あっ、ギルダーさんの分はこちらです」
「あ、ああ。いただくよ」

 慌ててスティアが差し出すお皿の料理は並盛である。
 ギルダーもほっと胸を撫で下ろした。
 危うく、スティアスペシャルという食の山脈がこの領地の名物と思われるところであった。

「養父さんも、みんなの商売には期待を持ってくれたよ。これならシリング商会も出資を続けていいと、さっき話していたところなんだ。それで――」

 マルクは、皆に報告する。
 領地復興につながる商売であると、ギルダーは認めてくれたのだ、と。
 しかし、まだ彼が予想だにしない困難が待ち受けていた。

「すてぃあすぺしゃる、僕も食べなきゃダメかな……?」

 一心不乱に平らげているシラスを横目で見つつ、マルクは呟くのだった。

成否

成功

MVP

スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
リインカーネーション

状態異常

なし

あとがき

復興は農業と食から。経済もここから。
そんな感じで事業立ち上げの依頼という依頼を達成していただきました。
盛りが多い料理は大好きでいつも大盛りで頼みます。
某カレー店のチャレンジメニューに成功したときの喜びを思い出しました。
なんか、豊かさの象徴ですよね。
そんわけで復興を感じさせたスティアスペシャルを作り出したスティアさんにMVPを差し上げたいと思います。
お疲れさまでした、またどこかでお会いしましょう。

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