シナリオ詳細
<Raven Battlecry>アメミット
オープニング
●『Rw Nw Prt M Hrw』
理性と恋とはまるっきりそっぽを向き合っている。
愛しさの余り、喪われた彼女を取り戻そうと願う人が居る。
理性ではそんな禁忌を侵してはならないと理解していたのに。
――良いかい? 死者の霊魂とは肉体を離れてから死後の楽園へ向かうんだ。
『取り戻したい』なら……そう。死後の楽園に入る前に『呼び出して』しまえば良い。
魂の名を。土塊の体に。
魂の名を。幽世と現世を結び付けるが如く――
●地下への扉
礫塊積上がった地下への途を辿り聞こえる水の音。
低く蠢く獣の脈動に、合わせ喧噪が狭苦しい空間には響いていた。
天さえ遠く、地上さえ忘却の彼方へと置き去りにしたその場所に微光のみが差し入れる。
ファルベライズ遺跡群。
そう呼ばれたラサの古代迷宮はパサジール・ルメスと呼ばれた流浪の民達と縁深き場所なのだという。
ラサには無数の古代遺跡が存在している。否、ラサだけではなく混沌世界に多数存在しているだろう。
鉄帝の迷宮よりその姿を顕した『ギア・バジリカ』、華やかなりし迷宮を越えた先の常春『妖精郷アルヴィオン』、そして砂漠地帯に座し寓話の舞台ともなった『カノン・フル・フォーレ』の楼閣。
其れ等と寸分違わぬ嘗ての遺構にはお決まりのように寓話が付いて回っていた。
外郭部位は露出し、長らく『内部に至るための通路が存在して居るが内部は未だ進めない』とされたファルベライズ。
その内郭に至るが為にイレギュラーズとレーヴェン・ルメスが協力したのは記憶にも新しい。
浪漫を形作ったかの如き。
その地の奥へと至れば、願いを叶える『色宝』が光を帯びた。
其れは万能の薬である。どのような願いをも叶える『歪な玩具(エリクサー)』
――そう称したのは誰であったか。
欲望とは詮無き物である。数多の手が伸ばされ、我が身可愛さに奪い合う。歯止めとしてネフェルストが管理を申し出たが、其れでも尚も宝を求める者が現われた。
『大鴉盗賊団』――その名を口にすれば『嵐の旅人』タンペット・ルメスは苦い顔をする。
「……レーヴェンはこの先に居るのよね?」
そう、大鴉盗賊団は色宝を狙っている。『ファルベライズ』の謎を解き明かすにはパサジール・ルメスが必要不可欠であることを大鴉盗賊団のボス『コルボ』は気付いていたのだろう。
パサジール・ルメスの商人『レーヴェン・ルメス』は彼等に拐かされ、タンペットが向かうファルベライズ中核に居るのだそうだ。
「このサキって何がアルの? ファルベライズは二層構造だって話だったケド……」
『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン (p3p002377)の言の通り、ファルベライズは投書は二層構造であると認識されていた。
否、彼の認識は間違いではない。
『二層構造』である中核となる部分に向かっているのだ。
到着したときに彼等は此処が最奥で有ることを認識しただろう。
狭苦しい地下空間には巨大な地底湖が存在して居る。満たされた水は澄み渡り、周囲に設置された魔力光を受けて煌めいている。
天を仰げば石の亀裂より僅かな光が糠星の如く。
「最奥(さいご)の場所であるのは確か……とは言えなさそうだね。湖の中心に『扉』がある」
指し示した『君がいるから』ニア・ルヴァリエ (p3p004394)の視線を追いかけてから『倶利伽羅剣』夜式・十七号 (p3p008363)はその場所に扉があると言うことに違和感を感じていた。
宙に浮いて居る。
それは異質なオブジェクトとして虹色に輝いていた。
「あの場所をコルボ達が狙っているのか……」
「どうする? 止めに――」
ニアが「ストップ」とタンペットと十七号の行く手を阻む。
咄嗟に警戒態勢を取り武器を手にした十七号とイグナート、そして後方に下がったタンペットの前に――
土塊が立っていた。
それは炉で焼かれた人形である。土で固められた異質な粘土。
それが、一歩動いた途端にぱきり、ぱきりと音を立てる。
ひゅ、と息を飲んだのは十七号であった。
ぱきり、ぱきり――
「どうして」と囁いたイグナートが唇を噛む。
ぱきり――
「遘√?縺薙→繧堤衍縺」縺ヲ縺?k縺ョ?溘≠縺ゅ??&縺?o縲ゅ≠縺ェ縺溘′繧、繧ー繝翫?繝医?縲ゅう繧ー繝翫?繝医?∽シ壹>縺溘°縺」縺溘o」
突如としてその唇が音を孕む。
なんと言ったか、分からない。だが、割れた粘土の内側から覗いた少女のかんばせは笑っていた。
「イグナート」
「……スヴェトラーナ」
少女の細部までは分からない。だが、『確かにそうで在ると』イグナートは感じた。
其れが何故であるかは分からない。可笑しい。可笑しい。可笑しい。
スヴェトラーナは死んだはずなのに――!
「縺昴▲縺。繧らァ√?縺薙→繧堤衍縺」縺ヲ繧九s縺??溘≠縲?&縺??ょ香荳?捷縺九?ょ香荳?捷縲∝?豌励↓縺励※縺滂シ」
傍らに立っていたもう一体。そちらも粘土の内側から楽しげに微笑んだ女の姿を取り戻す。
「ルベ――」
「十七号」
ルベル。ルベル・アクイラ。十七号に名を、義眼を、義手を与えた女。
あの日、確かに彼女は死んで――……なら、こんな所に居るはずがない。
十七号はそう感じているのに、確かに『彼女』で在るかのように感じた。
「……月光人形みたいだ。あれは、明らかに人形で、生きてなんか居ない」
ニアは静かにそう呟いた。だが、あの『精巧なひとがた』と比べれば黄泉還りと呼ぶのも烏滸がましい。
粘土の顔面に貼られていた札には二人が呼んだ名前が張られている。そして、その土塊の胸には美しく光を湛えた色宝が存在して居た。
それが何であるかは分からず――『試作品』の類いで有るかのように時折理解も出来ぬ甲高い声を出すばかりだ。
感動の再会とも言えず、戸惑っている場合でもない。
土塊の人形を引率するように姿を現したのは。
「謎を解き明かしたいけれど、そんな場合でも無いみたい。
けど、少なくとも一つ分かったことがあるから聞いてくれる?」
「良いよ。タンペット。二人とも、その『人形』から離れて。そいつら、嫌な予感がするんだ」
ニアとタンペットが警戒する様に武器を構え、眼前を見据える。
「――そいつら、『あいつ』と一緒に扉の向こうからやってきたみたい。
それから、此処で死んだ誰かを『扉の向こう』に持って行こうとしてる、って事かな」
二人の土塊は死骸の腕を握りしめていた。ずる、ずると引きずりぐらぐらと体を揺らがしているだけだ。
頭は鰐、鬣と上半身が獅子、下半身は河馬――その名を、アメミットであった。
- <Raven Battlecry>アメミットLv:20以上完了
- GM名夏あかね
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2020年12月22日 22時10分
- 参加人数10/10人
- 相談6日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●
それは願いを叶えるのだという。色宝、ファルベライズ遺跡群で発見された魔性。
その名など、大して問題ではなく。問題にすべきは『それが願いを叶える』と言うことだ。
万能薬(エリクサー)等と称されても致し方ないほどに、その前評判を人を狂わせる。故に、大鴉盗賊団なる存在が此の地へと飛び込んだという事か――
「色宝、ね」
唇に乗せた溜息は吐き捨てるかのような響きを纏わせて。『灰色の残火』グリジオ・V・ヴェール(p3p009240)は傍らで聞こえた楽しげな笑い声を振り払うように掌を揺らがせた。
「……俺なら性質(タチ)の悪い呪いをどうにかしてくれって願うもんだが」
彼の言葉に応じるように『彼にしか聞こえない二つの声』が非難がましくクレーム響かせる。
『まあひどい!』
『ひどいのだわ!』
『ひどいこにはおしおきなのだわ!』
『おしおきはとってもこわいのだわ!』
饒舌な双子姫。やいやいと騒ぎ立てるその声にこれも縁で、運命の一つの道であると受入れているからこそ、黙っていてくれとグリジオは呟いた。
さて、グリジオの、そしてイレギュラーズの前には奇妙な生き物が存在して居る。パサジール・ルメスの一族の一人であるタンペット・ルメスは「まるで神話のようね」と囁いた。
「アメミット、か」
その動物の名を呼んだ『太陽の勇者』アラン・アークライト(p3p000365)は「変な見た目しやがって」と吐き捨てる。それは頭は鰐であり、鬣と上半身が獅子を思わせた。下半身は河馬という鈍重さを感じさせる奇妙な外見。
「キメラかっつーの……」
「僕としては神話に片足突っ込んでいるようで実に光栄なシチュエーションだが……。
湖面に浮かぶ扉が例え美しかろうとも、この雰囲気はどうも、居心地は最悪だな」
やれやれと云うように『天空の騎士』カイト・C・ロストレイン(p3p007200)は肩を竦める。
先程から眼前に存在した土塊が『二人』を捉えた途端に人の形を取ったのだ。其れを見てこの場での戦闘を楽しめるわけもなかろうと騎士は剣を握りしめる。その背後から見える幾つもの土塊に己の心に起因したように形作ることに気付きながら。
「……色宝か、それ以外の外法だか知らないけど……随分とはた迷惑な事をするモンだよね。
あたしの知り合いに、眠りから叩き起こされて喜ぶヤツなんか居やしないよ」
苛立ったように『君が居るから』ニア・ルヴァリエ(p3p004394)はそう言った。彼女の傍らでは唇震わせて、土塊が人に変化する様子を怯え竦むように見据えるタンペットが見える。
「……タンペット、気をつけて」
「ええ。……貴女もね」
そうも言ってられないのがこの戦場か。死者の逢瀬など夢まぼろし、紛い物な悪趣味な人形劇には月光人形の一件で飽き飽きなのだけれど、と『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)は溜息漏らす。そうした都合を無視するのが魔種や世界の『自身ら以外の人々』で在ることは分かりきっている。――果たして、あの扉の向こうに魔種が存在するかは不明だが。
「私達と戦う勇気なんてものも持ち合わせておらず、この様に仮初めの人形などを使うのでしょう?
黒幕の顔を見てみたいものですね。玩具が死体を集める真意も――さて、本当に欲しい魂はなくとも屍肉に魂を込めようとでもしているのか」
次から次に『悪役の考えそうなことのオンパレード』であると幻は息を吐いた。ゆらゆらと身体を揺らがせる土塊がぱしり、ぱしりと音を立てる。
其れを引き連れてきた一人の娘――土人形の内部より『精巧にその形』を作った女は「イグナート」と辿々しく名を呼んだ。
「……マガイ物だね。模造品ですらない。一体何を考えてこんな物を……?」
それはスヴェトラーナ。『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)の幼き日の友人。有り得ざる過去の象徴。笑むわけでもなく、想い出を語るわけでもない。それはタダの土人形に他ならない。
「――気持ち悪い」
悪趣味であるというのに、偽物であると言うのに。それを『彼女』――ルベル・アクイラであると認識してしまう。『倶利伽羅剣』夜式・十七号(p3p008363)は唇を引き結んだ儘でいたその土塊を眺めて居た。
自身がそうであると認識する奇妙な感覚。そうでると認識すればすれほどに、それは『精巧な存在』として出来上がっていくかのような――今、まさに、自分がその命を与えたかのような違和感。
「……あ、あ」
唇からは音にならぬ響きだけが漏れた。泡沫のような、淡い響き。
「……シャル、ロット、ちゃん……?」
指先が震える。恐ろしい程に精巧に作られていくその土塊のかんばせ。『la mano di Dio』シルキィ(p3p008115)は「……あれ」と唇を震わせた。
「……わたし。どうして、あの子の名前を。
どうして、どうして……? どうして、目の前にあの子が……あの子の姿をした『何か』が居るんだろう……」
美しい黒い髪。海面のように揺らいだ瞳。揺蕩う鏡の少女ミロワール。戸惑うシルキィの傍らで「なんで」と声を漏らしたのは『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)であった。
「……なんで、おやっさんがこんな所に居るんだよ……?」
ラバルク。波に攫われていった漁師。師匠と呼び親しんだ彼が其処に存在して居る。ぱきぱきと音を立てて土塊がその形を作り出す。
「命への冒涜だ……。命を弄んでいるだけに過ぎない」
『白獅子剛剣』リゲル=アークライト(p3p000442)は声を震わせ、唇を噛んだ。
「――そうですよね、父上」
眼前に立っていたのは紛れもなく――父、シリウス=アークライトだった。
●
――鬼が出るか、蛇が出るか。アランは土塊の人形と向き合った。
それを目にしたときイレギュラーズ達は『奇妙なことにそれが自身の知っている人間』に見えて仕方が無かったのだ。無論、アランとてそうだ。英雄の鎧、その闘志を滾らせて脈動する異形の武器を構えた儘、分かっていたと云うように喉奥より声を震わせた。
「どんな奴が来ても叩き潰すつもりだ、が……」
長い白髪は束ねられる。顔を上げた土塊はエメラルドの瞳を輝かせ『女の顔』をして居た。
蒼い軽装の甲冑ががしゃりと鳴った。先程まで存在して居た土の人形ではない。月輪の聖なる剣を握った彼女は――紛れもなく、人を思わせた。
彼女の名を知っている。彼女の事を知っている。アランは「あぁ、そうだよな」と低く言葉を絞り出した。
「――知ってたさ、お前が来ることは……『セリア』……!」
その姿は騎士というよりは、勇者だった。
勇者。月輪の聖剣<セレネ>を手にした美しい女はの瞳はアランを指している。
だが、セリアだけではない。生み出された存在を見てアランは目を剥いた。
「ッ……!」
「はは、僕の相棒は元気だね。僕の方がどうだなんて、『ロストレイン』に其れを聞く?
うっせぇな見てみろアレ。最悪だろ、どう見ても。いやあ、ここにシュバルツくんが居なくて良かったなあ! ははは」
乾いた笑い。声は咲みを含んでいるがそのオッドアイは笑っていない。喪失と歪曲の魔剣を手にしていた騎士はその名を――目の前で微笑んで居る『聖女』の名を呼んだ。
「……久しぶりだね。ジャンヌ・クロード・ロストレイン。我が、妹よ……」
「アマ、リリス……」
アマリリス――ジャンヌ・C・ロストレイン。それはアランにとって相棒であり、カイト・C・ロストレインにとって妹であった女だ。それが、淑女のようにうっとりと微笑んで立っていた。
「……本当に、悪趣味、だよねえ……。
わたしたちの心を揺さぶって、許さないよって、語りかけるみたいで……」
シルキィの指先から朱色と碧色が伸びた。息を飲み、土塊より人の顔をしたそれを映したシルキィが落とす稲妻はそれらを『蹴散らそう』として降注ぐ。
「……っ、」
十七号は息を飲んだ。今は、惑う場合でもない。戦うべきだと自身に言い聞かせる。身を引き摺ってでも、扉を開けさせない為に。
ルベルを見詰める瞳に惑いはあった。だが、其れに惑っていようとも身体は『常のルーティン』を果たすように動く。大樹の太刀鞘を手に飛び込んだ。
ルベルの名を呼んで、粘り強い鉄騎の身体を活かして十七号はルベルを引き付け続ける。
『見て、とても不思議なのだわ』
『見て、とてもおかしいのだわ』
双子姫が囁いた。グリジオはその声を聞きながら不思議も可笑しいも、それはそうだろうとも呟いて『変化ない土塊』に唇を噛み、アメミットの元へと向かう。
人の形を取らずとも、それでも動き何かを求めるようにぐらぐらと身体を揺らす。名前が魂を顕わすように、呼ばれぬ儘の土塊にグリジオは死者の思い出か、と呟いた。
今更誰を思い出すか。余りにも喪うことが当たり前すぎた。名前を呼べやしない。確かに面影は存在して居るのに。
「―――――………」
すまない、とグリジオの喉奥から絞り出された。
こんなにも悲しいのに、こんなにも苦しいのに、どうやら『アイツ』の事が思い出せない。
どろりと輪郭が歪んで土塊の儘となる。グリジオにくすくすと笑い声が降ったのは、呪いの様な微笑み。
『忘却は防衛』
『忘却は狂気』
『『わたしたちはそれを一番近くで見てきたのだわ』』
嗚呼、だからどうしたと。そう言う様にグリジオはアメミットの下へと飛び込んだ。声を張り上げ、攻撃を引き付けるが為に。あの異形を受け止めるべく『救済の蒼』と『破滅の紅』をその身に宿した。
「あれ、……誰なのか分からなかったって事?」
ニアの言葉にグリジオは「ああ」と低く呟いた。ニアは敢て名を口には出来なかった。権利がないと、そう感じた彼女は『深入りすることを避けてきた』からなのだろう。だが、その傍らでタンペットが驚いた様に「お母さん」と囁いた声にタンペットには土塊が母に見えたのだろうという事を悟った。
「タンペット」
「……だ、大丈夫よ」
「無理せずに」
呟く、そしてグリジオへ向けて飛び込んでゆくアメミットへと武器を振り翳した。それは、『風』を断つように。アメミットへと落ちてゆく。無謀皆状況を作るために、がつり、と音を立ててぶつかった感覚に、身体を捻りアメミットの『反撃』を避けるように後退した。
「……ったく、バリアかなんだか分からないけど、面倒だね」
周囲では土塊を相手取り、脅威を前にする仲間達――そして、ニアとグリジオがアメミットを『抑え』ながらも僅かな焦りを感じていた。
(あたしの仕事は、時間稼ぎ。……けど、精霊の風の恩恵を受け続けるのにも限度がある。出来る限りしかできない。皆、任せたよ――)
●
「父上……仮に貴方が本当の父上であったとしても、俺の剣は揺らぎません」
静かにそう言ったリゲルはタンペットへと土塊の人形――彼女が母と呼んだそれ――を倒してくれと低く囁いた。
眼前の土塊人形を見据える。それはシリウスの顔をしてぐらりぐらりと身を揺らしている。もしも、あれがシリウスだと、父だというならば『乗り越えて見せろ』と云うだろう。
「――ですよね、父上。俺は、立ち止まるわけにはいかない!」
全ての土塊人形へ。白銀と銀を煌めかせて銀一閃――リゲルは火球を嵐のように降らせ続ける。
攻防一体の構え、そして、自身を傷付ける者を害するかの如く至上の剣を振り上げる。
赤き翼を揺らがせていたカイト・シャルラハは三叉蒼槍を構えて「おやっさん!」と名を呼んだ。空を舞うように、緋色の翼を開き羽の射撃を行い続ける。大空を翔る緋色の翼、神風の如く、風の気紛れを受けない儘に、土塊人形を集め続ける。
「おやっさんはそんなところに居るヤツじゃないだろ!?」
ガッハッハと豪快に笑うラバルクの声が聞こえる気さえする。彼は海の漢だ。こんな、海のない場所に居て良いわけがない。
――もう一人のカイトもそうである。天義という我らの国。神を頂く信仰の民。それが『神の意に反する死者蘇生』に似通った行いであれば断じて許せるわけがない。
「そうやって……現われるのですね。貴女が――」
幻が名を呼んだのは一人の少女であった。あの絶望を煮詰めた海を襲った大海嘯。『絶望の青』などと呼ばれたその場所の最悪最低、絶体絶命の絶望。それが滅海竜リヴァイアサンによる大海嘯だった。それを一瞬で消し去った少女。自身を、そして愛しい人を助けてくれた人の名を。
――くじらのむくろ くちたさんごに しずんだうたごえ――
土塊が作った彼女。広大なる海原に響く絶望の声よりも、進む者へと捧げるわだつみをも越える希望の翼の如く、幻は口遊む。『涛声のフリューゲル』を響かせて、必ずしや倒してみせると彼女を見た。
伝説と呼ばれた彼女。真似するのも烏滸がましいと囁いて、究極の奇術師は奇跡を起こすと云わんばかりに、踊るのは青い蝶の群れ。
「参ります」
蜜を吸うかのように、土塊の――血すら通わぬ――その身体へと吸い付いていく。魂を彼岸へと誘うのが蝶としての本能であるというならば、魂誘うように幻は土塊へと攻撃重ねる。
イグナートはスヴェトラーナを見て、悔しく、恥ずかしい気持ちになると唇を噛んだ。
それは『オレのキオクの中のスヴィータ』で在るはずなのに。微笑んだスヴェトラーナは太陽みたいに輝いている筈なのに、どうしたことかイグナートの記憶から作り出した彼女は壊れたように笑い続ける。
(……他のミンナのキオクに残る笑顔がこんなんじゃ――彼女が報われないよ)
太陽の方に微笑んで。日々を穏やかに過ごしていた筈なのに。悔やみ、恥ずかしいと唇を噛みながら、イグナートはスヴェトラーナの前へと滑り込む。
鉄騎の拳を打ち付けた。自身の物として消化した拳が唸る。雷の如く、鋭い意力と共にスヴェトラーナへと飛び込んで。
「スヴェータ……」
「――――……」
笑った。あからさまほどの土塊の微笑み。それを見て、イグナートは歯噛みした。これはシルキィが云うとおり『心を揺さぶる』存在だ。誰が何のために、どうしてこれを生み出したのかは分からない。
「……わたし達を繋ぐのは、絆と約束。
だから、姿や言葉を真似ようと、わたしはキミを否定してみせる」
シルキィの前に存在した『シャルロット』はイグナートが相対するスヴェトラーナや十七号が相対するルベルと比べれば弱々しいモンスターのようだった。だが、一人で壊すならばある程度の攻撃を行わねばならないか。
雷撃を降注がせて、シルキィは唇を噛んだ。鏡の少女、美しい黒髪の娘。黒いドレスを揺らした彼女を思えばこそシルキィは思い出す。
約束をした。指切りをするように。もう一度目覚めたときの『おはよう』を告げる相手は――彼女じゃない。
「わたしが約束したのは、此処に居ない"あの子"とだから……!
もし、あの子の力……紛い物の"鏡面世界"を使うなら、それを否定するのはわたしの【ブレイク】だ!」
叫ぶ。その声を聞きながらカイトは――ロストレインのただのひとりの男は、思ってしまったのだ。
あの扉の向こうにジャンヌを象った人形を連れて行けば彼女は戻ってくるのだろうか。嘗て天義に現われた月光人形の如く――ジャンヌ・クロード・ロストレインというおんなとして此処に戻ってくるのではないか、と。
(――違う。月光人形も、これだって。神への挑戦は禁忌だ。
僕の主人は天義教皇猊下ただお一人。ロストレインの不正義は重ねられない……!)
その翼を武器にする。空中機動を活かし自身の『妹』の元へと剣を振り上げる。ああ、流石に『自身が知っている妹』だ。微笑んで居るわけではない、聖女のようなかおをして、騎士のように剣を握る。
ぶつかり合った音に、アランの覚悟が揺れた。名前を呼んだときに、怖れるよう心臓が早鐘を打ち続ける。
「やるぞ、カイト……! 一緒にやるぞ!!」
「……ああ」
アランの傍らで、『兄』の顔をして呟いたカイトの声は揺れていた。
「――可哀想に。僕の妹は、あと何回殺されれば……赦されるんだ」
赦されなかった訳ではないのか。それとも、赦していないのは自分自身なのだろうか。
罪の十字架を背負った彼女を見詰めてアランは自分に言い聞かせる。
――アラン。
呼ぶ、二つの声。一方はセリアの。もう一方はジャンヌの。
束ねた長い白髪を揺らした『勇者』の如き女は剣を用いて、アランの『疑似聖剣』を受け止める。
迷うな、迷うな、迷うな! 相手はただの土塊だ。ホンモノではないのだと。
「ッ――オラァァァァッ!」
振り下ろす。セリアの握った月輪の聖剣<セレネ>が音を立てて飛んで行く。アランのその剣が深々とセリアの胸へと突き刺さった。
「カイトォッ!」
「……大丈夫だよ、アランくん。僕は、大丈夫だ。ありがとうな。
――僕はロストレインを殺すロストレインだから」
静かにそう云った声は、冴えていた。冴え冴えとした冷たさと共に、『あの日見た』妹の死に顔がその双眸には映り込んだ、気がした。
●
「――ルベル!」
その名を呼んで、十七号はルベルを引き付ける。出来る限りを引き付ける。精神的に攻撃を重ねてくるだろうと考えていたが――『その言葉はどうしたことか奇妙な響きに変化して聞こえ続ける』
彼女が本来の蘇りな訳ではない事に気付いていた。故に、姿自体は土塊であろうが、その性質自体は奇妙な敵である。
リゲルはシリウスと相対しながらも、幻が攻撃を重ね続ける『嘗てのイレギュラーズ』の姿を見て息を飲んだ。まるで仲間を殺すかのような幻影である。
(……惑うな……!)
リゲルが唇を噛む。幻は踊る様に蝶々を産みだして幻惑の蝶々を踊らせる。シルクハットを手にして微笑めば、奇術がうつつであるか、まぼろしであるかさえも分からない。
幻(ゆめ)の如く、踊らせて、歌う声は止ることはない。
「人形如きが彼女の真似事など出来るわけがないでしょう。観念なさい。
烏滸がましい事なのです。人真似などしても『成り代われるわけ』がないでしょう――」
囁く。幻は仮初の命を代償としたショーを演じ続ける。奇術の中でリゲルは深く息を吐いた。
蝶々踊る中、父と相対し、そしてそれを『倒す』だけ。惑うわけはないと彼の名を呼んで、リゲルは振り下ろした。剣は土塊の胸を裂く。
内側から見えたのは色宝を加工したものか。リゲルが手を伸ばす。ぱしり、とそれを『掴んだ』のはスヴェトラーナ。
「ッ――!?」
「……縺ゥ縺?@縺ヲ縺昴s縺ェ縺薙→繧偵☆繧九??」
「何……、ッ!?」
直ぐさまにその腕を振り払ったリゲルが後退する。周囲一帯を穢すようにスヴェトラーナから溢れる雷撃が幻とリゲルを打った。
「ッ、スヴィータ!」
イグナートの声に、答えやしない。それは色宝を奪わんとしたリゲルを狙うように攻撃を重ねている。まるで、機械仕掛けである。
「おいおい……海の漢は海で眠り海に還るんだぜ。それなのに、おやっさんを愚弄し続けたんだ……。
其れを倒したと思ったら暴れてるんだもんよ。人形如きが俺の友達を傷つけるんじゃねーよ!」
カイト・シャルラハは叫んだ。風を読み、未来を直感的に意識する。翼と羽根をオーラに変えて、赤い爆風を用いてスヴェトラーナを受け止める。
ちら、と傍らを見れば、暴れ続けるアメミットの動きで岩がぱらりぱらりと落ちている、
アメミットを引き寄せていたグリジオは諦めるわけには行かぬと云うように真っ直ぐにアメミットを見詰めていた。
ニアの風がアメミットが自身に張り巡らせた障壁を破壊すればグリジオは意志抵抗力を破壊力に変換しアメミットの横面を殴りつける。何者にも屈さぬように。諦めぬ高潔なる意志を胸にしてグリジオは「お前はさっさと諦めろ」とそう言った。
「ああ、本当に……っ!」
ニアは静かに吐き出した。肩で息をし、土塊人形の『胸』を狙った攻撃を重ねながら強力な個体であるスヴェトラーナとルベルの相手に映る仲間達をちらりと見遣る。
(……アメミット自体も強力すぎて――さあ、どうするかな。いつまで持つかも分からない……!)
ニアは唇を噛んだ。震える膝に力を込めて、幾度にも攻撃を重ね続ける。
『おそろしいのだわ』
『とてもいたいのだわ』
『『たおれてしまうのだわ』』
双子姫の声に「五月蠅い」とグリジオは呟いた。自身らを癒す力はほぼない。だが、だからと言って諦めてなるものか、と言うものだ。
それぞれが相対し続ける。土塊人形を狙う布陣は整った。だが――ニアとグリジオが何処まで持つかがカイト・シャルラハは心配である。
(俺もどこまでもつか……早めにスヴェトラーナとルベルを倒しちまわないと……!)
どちらも危機を感じていた。幻はふう、と小さく息を吐く。蝶々を踊らせながら、その魂を彼岸へ誘うべく、高速記述を用いてステッキでとんと地面を叩く。
魔種の如き強さである。だが、其れに負けて入られぬかと十七号はルベルを只管に受け止め続けた。
「……行かせない!」
十七号は叫んだ。周囲の音を探るように聞き耳を立てる。十七号の耳に『誰か』の足音が聞こえるが、それ以上の介入は感じられない。
(誰だ……?)
気にする素振り、そして、其の儘に十七号はルベルを引き付け、仲間達が倒すことを願った。
「――――」
微笑んだ。その笑みに答えることはない。十七号が地を蹴ってルベルが振り下ろさんとした武器を受け止めた。
「ッ、」
「攻撃も嫌がらせも任せてよぉ。……わたしは、うそのいのちなんて赦さないからねぇ」
静かにそう言った。糸が絡め取るように人形を捉える。糸の先より溢れた総ゆる苦痛。じくじくと土塊の身体の内部へと周り往く毒が如き呪い。
シルキィがルベルを捉えるように手を伸ばせば、イグナートの拳が継ぐようにスヴェトラーナを殴りつけた。
「その姿はオレとミハイロと彼女を愛した人達のモノだ! 軽々に弄ぶことは、許さないッ!!」
幾度も幾度も。土塊を抉るようにイグナートは拳を突き立て続けた。は、と顔を上げたアランが「カイト!」と呼ぶ。
「ああ、此の儘畳み掛けよう」
互いに息を合わせる。アランとカイト――勇者と騎士が乗せた攻撃がルベルへと降注ぐ。
「ッ」
ずん、と音がした。十七号は血の気が引く。赤色が舞ったと認識したのは、暴れ狂うアメミットを抑えることが叶わなくなったからだ。
(――だが、此の儘なら、ルベルは、スヴェトラーナは押し切れる!)
ニアが地へ叩き付けられグリジオの意識が刈り取られる。癒し手が存在しないこの戦場で健闘し続けた二人を支えるようにカイト・シャルラハはアメミットを抑えるように飛び込んだ。
「俺が、支えてる間に! ……人形を頼む!」
「ええ、任されました。ですが……少々手強い相手であることは確か」
幻は囁いた。魔力の波動が襲い続ける。傷を受け、仲間を護るように立ったリゲルが「誰も喪わせない」と地を蹴ったその言葉に頷くように奇術の蝶々は踊り続けた。
美しき蒼い蝶。それに乗った銀の剣。幻を穿つように放たれた魔術。只、其れを癒す者は居ない。それでもいい、削りきれば勝利は勝ち取れる。そうと言わんばかりにイグナートはスヴェトラーナを呼んだ。
「スヴィータ!」
――同じように、十七号はルベルを見た。その瞳が笑っている。髪に飾られたリボンは何処にもなく、土塊は『微笑んだように見えた』
「ッ」
早鐘を打った心臓が、痛いほどに主張する。十七号の肩を揺さぶったシルキィは「大丈夫?」と静かに問い掛ける。
「……あ、ああ」
「コアを壊せば……それで大丈夫……!」
ぐ、と足に力を込めて飛び込んだシルキィに、幻が続く。心臓の如く色宝がきらりと輝き、重なった攻撃で砕けた途端――それはぼろぼろと土のように崩れ去った。
まるで『其処にあったのが幻影であったかのように』全てを崩して。
●
暴れ回るアメミットを止める者は居なかった。身体をぐらぐら揺れ動かしたそれを前にして倒れたニアとグリジオを護るようにカイト・C・ロストレインは二人を遠くへと投げた。身体を持って行かせるわけにはない。死んだわけではない――だが、置いておけばその命を奪おうとしてくるだろう。
「……残念な話だけれどね、俺は、俺の妹を弄んだ奴を許さない。
もう一度云おう。『妹が出てきた如き』で怒りやしない。ロストレインを殺すロストレイン――それが俺だ。
だが、こんな馬鹿げたことを許すとは云っていない。良くも妹を愚弄したな」
こんな馬鹿げたことをするのは魔種くらいだろうと睨め付ける。アメミットを引き付けていたカイト・シャルラハの赤い翼へと鋭い顎が飛び込んでくる。
「ッ、」
海の漢はこれ位で退いて堪るかと、そう言う様に身を跳ねさせる。後退する。
「お前も誰かの思い出なのか……?」
問い掛けた声には、返らない。ずずんずずんと暴れ回ったアメミット。その尾を受け止める様に。リゲルは光り輝く無数の星を宿した剣を振り下ろす。
「アメミット!」
鋭く呼ぶアランはアメミットを包み込んだバリアを破壊するように、疑似聖剣を用いた二刀を構え続ける。繰り出される十字の斬撃が紅と蒼の光の奔流が生み出される。
紅は残光の如く、蒼は月光の如く。淡く輝き、光と共にアメミットの腕へとその刃を突き刺した。
「ッ、随分と悪趣味なことをしてくれたなァ!? テメェは100ぺん殺しても足りねェ!!」
まるで人間が笑うかのような音を立ててアメミットがばたんばたんと動き出す。
二人の青年が攻撃を重ねる其れを手伝うようにイグナートは残りの力を叩き付け続ける。此処からは削り愛の消耗戦だ。
アメミットを受け止めていたカイト・シャルラハとて無数の攻撃を受け止めれば、膝を突く。鮮やかな赤い翼へと噛み付かんとするそれを留めるようにリゲルの剣が閃く。
「ッ、消耗が激しい!」
叫んだリゲルに幻は頷いた。自身とてギリギリであることを彼女は知っている。引き撃ちすれども、魔術の攻撃は追い縋る。全てを引受けた盾役を支える者が居ないその状況で、アメミットを抑え続けたニアとグリジオは健闘したといっても良いだろう。
そして、魔種レベルと揶揄される程の二人の土人形のコアをも破壊したことは功績だ。
巨体を武器にして暴れ続けるアメミットをその双眸に映したリゲルはぐ、と唇を噛んだ。皆、此の儘なら『扉の向こうに運ばれてしまう』だろうか。其れだけ、その幻獣を倒しきるには消耗戦では骨が折れた。――善戦し続けた、が、一歩及ばずか、と覚悟を決めた刹那。
――暴れるアメミットから逃れるように。後退し続ける。扉の向こうからの増援など、存在しないかとリゲルが視線を踊らせれば、開かれていた扉の向こうに『同じような土塊』が見える。
(土塊があんなに……!?)
無数の土塊の姿が見える。迫るアメミットから逃れるために、後退するイレギュラーズとの間に一つの影が入り込んだ。
「……な、誰――」
喉奥からその声を絞り出したシルキィは陽に愛された小麦色の肌をした少年を見た。犬の耳を揺らした彼は何事もなかったようアメミットを見詰めている。
「逃げなよ」
「逃げ……、お前は魔種だろう!?」
叫んだは天義の騎士。カイトのその声を聞いて、少年は――目を伏せた少年は「そうだよ」と呟いた。
「けど、こんな『頭の可笑しい死者蘇生ごっこ』なんて俺は嫌いだよ。
錬金術だってそうだ。タータリクスも、博士(せんせい)だって、そうだ。
だから、お前等を助けてやる、イレギュラーズ。逃げろ、誰も死なせたくないならさ」
「博士(せんせい)……?」
問うたリゲルに少年は「リュシアン」と素っ気なく云った。
「名前。俺の名前だよ。……あの奥には博士とかいう狂った旅人の忘れ形見があるんでしょ。
ラサの砂漠に行き交う水晶みたいなドラゴンも、君らの前に存在する土塊だってそうだ」
リュシアンと名乗った魔種はそう言った。アメミットから逃れるように、誰も喪わぬようにとイレギュラーズは後退する。
振り向いた若葉色の瞳を細めた少年は「……博士も、痛い目に見れば良いんだよ」と呟き、イレギュラーズがその場を撤退するまでただ、アメミットと応戦を続けていた。ただ、それだけだった――
成否
失敗
MVP
なし
状態異常
あとがき
ご参加有難う御座いました。
大暴れのアメミットと土塊の人形でした。回復役が不在の中とても健闘されたと思います。
土塊の人形は今後、皆さんと大きく関わるでしょう。
……また、扉の向こうで、お会いしましょう。
GMコメント
夏あかねです。扉の向こうへ行く前に。
●成功条件
・アメミットの撃破
・土塊人形の破壊
●現場情報
ファルベライズ遺跡群。その中核の地底湖です。コルボ等が周囲では戦闘を行っているようです。
そうしたあおりを受けて盗賊側や此方の追手側でも死者がちょこちょこと発生したようです。
それらを土塊人形たちやアメミットが集めているようです。
視界は良好、足場は余り良いとは言えません。ぼこぼことしています。
●アメミット
頭は鰐、鬣と上半身が獅子、下半身は河馬。歪な生き物です。体長にして3m程です。
とても強靱な肉体と、高いEXF。ブレイク可なバリアを所有。バリアについては数ターンに1度張り直しの動作を見せます。
死者を積極的に『得よう』とばたばたと動き回るようです。
また、此れを見たときに皆さんは生き物ではないと認識するでしょう。何でしょうか、まるで月光人形のような……不思議な違和感を感じます。
●土塊の人形『スヴェトラーナ』
自身をスヴェトラーナと名乗った試作品です。壊しても、扉を開けば屹度……。
基本的にはイグナート・エゴロヴィチ・レスキン (p3p002377)さんがご存じのスヴェトラーナの声音と外見(やや歪ですが……)をして居るようですが名と姿を借りただけのようです。
俊敏に動き、何かを思うことなく戦闘行動に出ます。魔種相応の強力な個体です。
土塊で有るために痛みなどを感じることはありません。胸に存在する色宝が動力源のようですヶが、体の内部に埋まっていって居ます。
●土塊の人形『ルベル・アクイラ』
自身を『ルベル・アクイラ』と名乗った試作品です。此方も壊しても、扉を開いたら……。
基本的には夜式・十七号 (p3p008363)さんのご存じのルベルさんです。外見はやや歪にぼこぼことしています。蒼いリボンは付いていません。
此方も名と姿を借りただけのようです。 俊敏に動き、何かを思うことなく戦闘行動に出ます。魔種相応の強力な個体です。
土塊で有るために痛みなどを感じることはありません。胸に存在する色宝が動力源のようですヶが、体の内部に埋まっていって居ます。
●土塊の人形 *8
未だ動き出さない土塊の人形です。其れを見た『あなた方』(イグナートさんと十七号さん以外の参加者)は死者を思い出す可能性があります。
札が貼られています。ぱきり、ぱきりと人形を包む粘土が割れたならば、思わず『思い出した名前』を呼んでしまうでしょう――
――その姿を名前を借りたかのように、そして『貴方を知っているかのように』振る舞います。
しかし、天義にて冠位魔種が創造した月光人形と比べれば歪であり、『名と姿を借りただけ』のように思えます。胸に存在する色宝が動力のように光輝いています。
●味方NPC:タンペット・ルメス
パサジール・ルメスの少女。案内役でした。
黒髪に金色の瞳、眼鏡を掛けている一見大人しそうな少女ではあるが暗器使いとしての腕は随一です。ある程度の戦闘行動を取ります。指示には従います。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
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