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シナリオ詳細

<Common Raven>妖精ピピピとてのひらツアーズ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●旅は道づれ世は情けっ!
 遠いギターミュージックと、人々の陽気な合唱。
 おおきな太陽のもと、砂漠をゆく馬車からそれは聞こえていた。
 エレキギターを腰の後ろについたソケットへさし、古代華唱兵器ユニットECLIPSEによる平和の歌である。
 彼は馬車の幌に座って演奏を続け、横では女怪盗ファスナが胸元のファスナーをひらいて酒瓶を取り出していく。
 彼女のお酌を受け、ヒトクイオオアリクイ学者ドスケベ未亡人はどうもといってカップを掲げた。
 楽しい旅路の途中にはキャンプをたて、満天の星を指さしてマニコロ教団の僧侶が星座をつなぎ、地元に伝わるおとぎ話を語って聞かせた。
 貴族商人クベン・アレッフはその話にたいそう感銘をうけ、お返しにとドバーグ坑道に伝わるおとぎ話を語ってみせる。
 やがてドスケベ未亡人がキャンプファイヤーを囲って作った料理を振る舞い、ファスナやECLIPSEたちと乾杯したのち夜は穏やかな歌と星のもとに眠った。
「皆今日もありがとっ。この旅は明日でおしまいだね」
 そんな中で、旅人妖精ピピピ・ピクシーは倒れた酒瓶に腰掛けて足をぱたぱたとやった。手のひらに乗るほど小さな彼女は、このキャラバンのリーダーだ。
 キャラバンの名前は『てのひらツアーズ』。
 別名――ランダムキャラバン。

●てのひらツアーズへようこそ!
 『てのひらツアーズ』はかわったキャラバンとして有名だ。
 国から国へと渡り歩き商品を売り買いするという点ではきわめて一般的だが、変わっているのはその人員構成。
 固定メンバーはピピピ・ピクシーただ一人。
 のこる『全ての』メンバーを国につくたびに総入れ替えするのが特徴なのだ。
「旅は道連れ世は情け。出会いは多ければ多いほどいいわっ。かわった人ならもっーっといいわね!」
 これを口癖にするピピピは、ファルベライズ遺跡群の近くにいつの間にか出来た野営地で物資をさばききり、丁度遺跡探索の依頼を終えたであろうローレット・イレギュラーズへと新たな依頼をしにやってきたのだった。
 野営地の中央にあるワンルームテントにて、テーブルの上にちょこんと立った妖精ピピピによる、次なるキャラバン選びなのである。
「自己紹介が遅れたかしら? 私はピピピ・ピクシー! パサジール・ルメスの民にして『てのひらツアーズ』のリーダーよっ。ここからフェルネストまでの旅路を、一緒に楽しみましょっ!」

 旅路は簡単。
 ファルベライズ遺跡群より出発し、盗賊が出にくいというサンゴリアンデスワーム地帯を抜けて一泊二日の旅をするというものだ。
 旅の間に必要な物資は一通り揃っているので、旅をどれだけ安全で豊かなものにできるかが腕の見せ所となるだろう。
 さあ、まだ見ぬツアーの始まりだ。

GMコメント

■オーダー
 ファルベライズ遺跡群からラサ首都フェルネストまでの護衛という名目で、一回限りのキャラバン『てのひらツアーズ』へと参加します。
 この旅の間みなさんとピピピはキャラバンの仲間同士。楽しい旅を送りましょう。

■サンゴリアンデスワーム地帯
 旅のあいだ唯一危険とされるエリアです。
 といっても最近話題の盗賊団の発生地点を避けて選んでいるので、比較的安全といえるのかもしれません。
 ここでは待ち受けるモンスターを倒し、突破する必要があります。
 つまりは戦闘パートです。

●サンゴリアンデスワーム
 巨大なミミズ型モンスター。個体数不明。
 足首が浸かる程度のごく浅い沼地が広がっており、ここに発生する。
 沼地に足をつけていると機動力、回避、特殊抵抗にペナルティがかかる。(ただし飛行していた場合ペナルティが免除される)
・地中に潜り、この間は攻撃をほぼ無効化する(行動不能系BSやブロック等をうけていても地中に潜ることができる)
・地上に飛び出す時に限り特殊な範囲攻撃を行う
・沼地に足をつけている場合『自身からレンジ1以内に出現するデスワームを察知できる』
 よって、ある程度散開して待ち構えるのが効率的。飛行中の仲間も平等に狙われる可能性があるので注意。

 適度に倒し、奇襲を警戒しながら突き進むことになるでしょう。

■旅路
 一泊二日の旅路です。
 移動中、退屈しないように歌ったり話したり、保存食を分け合ったりしましょう。
 夜にはキャンプファイヤーを囲んで眠りますが、料理もできると尚よいはずです。
 キャラバンの極意は協力し合うこと。得意分野で腕を振るうのはもちろんですが、とくべつ得意なことがなくてもできることをやってみるのが大事です。
 OPの例でいうと、ドスケベ未亡人はヒトクイオオアリクイ研究と熟女の魅力以外に特技はないですが料理をしたりたまに戦ったりとできる限りのことをしていました。

■NPC
・『てのひらツアーズ』ピピピ・ピクシー
 パサジール・ルメスに所属する旅人。
 手のひらに載るくらい小さく、戦闘も力仕事もほとんどできないが、人当たりの良さはぴかいち。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <Common Raven>妖精ピピピとてのひらツアーズ完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年11月27日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長
ラダ・ジグリ(p3p000271)
天穿つ
サイズ(p3p000319)
カースド妖精鎌
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
ロゼット=テイ(p3p004150)
砂漠に燈る智恵
エルス・ティーネ(p3p007325)
砂国からの使者
ゼファー(p3p007625)
魔女
玄緯・玄丁(p3p008717)
蔵人

リプレイ

●旅は道連れ世は情け
 テントを出た馬屋前。ファルベライズ遺跡群のそばにできあがった集落ともノミの市ともいうべき何かは、今日も不思議な賑わいを見せている。
「みんな、荷物は持った? 忘れ物ない?」
 馬の頭の上でぴょんぴょんと跳ねる手のひらサイズの妖精、ピピピ・ピクシー。
 『問題ない』と短く答えてキャンプ系の荷物を馬車に詰め込んだ『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)は、この荷物運搬用の馬車の御者席に自らついた。
「ルメスには色んなメンバーがいるとは知っていたが、また一際変わったキャラバンもあったものだな」
「そ? ジグリさんちの子ならもう知ってると思ってたけど」
 ピピピは馬のたてがみをするすると滑り降り、ラダの肩へと飛び乗ってきた。
 『ジグリってあのジグリでしょ?』とジェスチャーしてみせるピピピに、ラダは片方の肩をすくめることで応じた。
「ま、私にとっちゃこの旅一番変わった奴ってのはピピピだけどな」
「そうかしら」
「そうとも。見た目も思想も、だいぶ変わっている」
 キャラバンは安全が第一。そもそもキャラバンがキャラバンたりえるのは旅の危険を避けるためだ。
 そんなキャラバンを毎回入れ替えるのは相当なリスクとコストを要するに違いない。
「旅をするなら面白いほうがいいじゃない?」
「ま、旅の面白みってヤツについては大いに同意するところだわ」
 『never miss you』ゼファー(p3p007625)は自分の荷物を一通り馬車に積んだ後、槍と最低限の手荷物だけを持って別の馬車へと乗り込んでいった。
 長年師匠について旅を続けてきたゼファーならではの感性である。
「でもまあ。貴女自身より変わったヤツってのはあんまりいなさそうねぇ?」
「ゼファーまでそんなことゆー!」
 肩に飛び移って頬をぽこぽこグーで叩くピピピ。
 そんな光景を、『砂漠に燈る智恵』ロゼット=テイ(p3p004150)はぼんやりと眺めていた。
(妖精がキャラバンに加わっているのは珍しいなあ……もちろん単に知らなかっただけかもしれないが)
 パサジール・ルメスの歴史の長さやピピピ自身のローレットとの付き合いの長さから考えるに、妖精郷の妖精達とは区別される存在だろう。というより……。
「彼女もウォーカーじゃないかな」
 工具一式を馬車に積み込む『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)。
 サイズもまた、異世界からやってきた妖精のひとりだ。
 ローレットの中にも、異世界妖精イレギュラーズは探せばそれなりにいるものである。
 ちらりとピピピを見るサイズ。
(お久しぶりです、ピピピさん、一年半ぶりですね。
 お元気そうで何よりでございます。
 こちらも…まあ、艱難辛苦とまでは言いませんが、色々な戦いを乗り越えて、一応元気にやっていますよ……)
 サイズの気持ちを察したのか、ピピピが振り返って手を振った。
 手を振り返るサイズ。
 そこへ、自分の準備を終えた『蔵人』玄緯・玄丁(p3p008717)が小走りにやってきた。
「僕の準備はオッケーです。えへへ、旅とかしたことないので、すごく楽しみです。……ところで、旅って何をすればいいんだろう?」
 風呂敷包みに入っているのは最低限のお泊まりセットと熊のぬいぐるみ。
 長旅の荷物としてはだいぶかわいらしいラインナップである。
 それもそのはず。
(皆さんが豊穣に来るまで、僕は蔵の中から出たことなんてなかったのですから……)
 玄丁にとってはすべてが大冒険。もちろん馬車で砂漠を横断するこの旅も、大冒険のひとつなのだ。

「大鴉盗賊団だのなんだの、最近色々きな臭いことになってきてやがるが、たまにはこういう旅もいいモンだな」
 いち早く準備を追え、馬車の上で寝転がっていた『オギャって万馬券』キドー(p3p000244)。固いドライソーセージをがじがじとやりながら、せわしなく準備する仲間達をながめていた。
 戦闘前の緊迫した空気とはまた違う……例えるなら、遠足前のそわそわした空気だ。
「ま、沼地を抜けちまえばあとは楽な旅だしな」
「うむ。護衛とは言え気安い旅であるな……」
 同じく寝転がって骨をがじがじしている『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)。
 忘れちゃいけないけど言動の割に外観がレベル42相当の『美少女』なせいで点描きらきらしてるし目は星屑のセレナーデしてるし画面にうつるたびにシャララーみたいな効果音がしていた。
「吾もほどほどにやりつつ羽を伸ばすとするか。な、エルス殿!」
「えっ」
 妖精、ゴブリン、美少女の旅っていうコンボに軽く現実味をやられていた『砂食む想い』エルス・ティーネ(p3p007325)がふと我に返った。
「そ、そうね。依頼主のピピピさんもいい人そうだし、どんな旅になるのか楽しみね……『てのひらツアーズ』」
 エルスはそう締めるように語ると、最後の馬車へと乗り込んだ。
 カタカタと車輪が回り、鼻息を鳴らして馬が歩き始める。
 目指すは首都フェルネスト。
 見慣れた風景の見慣れぬ旅が、始まろうとしていた。

●サンゴリアンデスワーム地帯
 昨今、ファルベライズ・フェルネスト区間にて頻発してる盗賊団による襲撃事件。これをうけて盗賊の出没しない地点をなぞって迂回していくルートが此度の旅で策定された。
 といっても、完全に安全が約束されたルートというわけではない。
「こういうコトくらいは、覚悟しておかなきゃよね!」
 ゼファーは走る馬車から飛び出すと浅い沼地を勢いよく走り始めた。
 彼女の気配を察知したサンゴリアンデスワームが三体ほど同時に飛び出すが、逆に出現の気配をいち早く察知していたゼファーは地面の固い部分に槍をついて跳躍。
 サンゴリアンデスワームたちはゼファーにくいつくことに失敗し、その身を露わとした。
「仕留めるである!」
 百合子は美少女ポーズでばちこーんとウィンク……したと見せかけて睫を高速発射。目から飛び出た星型のエフェクトは無論発射の火花である。
 直撃をうけグオオと叫びのたうつサンゴリアンデスワーム。地下へ逃げ帰ろうとする前に、百合子の必殺白百合百裂拳が炸裂した。
 ぼこぼこに膨れ上がり爆発四散するサンゴリアンデスワーム――の脇を抜けて急速に百合子へと食らいつく個体。
 咄嗟のガードで食われることは免れたが、百合子はサンゴリアンデスワームの巨体による衝撃で大きく吹き飛ばされる形となった。
「わ、わ」
 これはまずいと馬車を飛び出し右へ左へ立ち位置を調整するロゼット。
 落ちてきた百合子をぽっふんとキャッチすると、肉球で頭をナデェってすることで傷を治癒した。
「楽しい旅に怪我を残したくないので治癒に専念しもの」
「頼りになりしもの」

「あ、ピピピは馬車の中がいいかな。うっかりワームの昼飯にでもなったら助け出せるか自信がないよ」
 ゼファーや百合子たちに近接戦闘およびおびき出し役を任せて、ラダは馬車を走らせながらもライフルによる射撃にあたっていた。
 彼女の鞄の中からにゅっと顔だけ出すピピピ。
「やー、ごめんねごめんね。私戦闘とかからっきしでさ」
「旅慣れているようには見えるが?」
 こちらに気づいてガッと口を開けたサンゴリアンデスワームへ、音響弾を直接打ち込んで体内から破裂させるラダ。ピピピは飛び散る液体を鞄に頭をひっこめることでガードすると、おそるおそる顔を半分出した。
「戦闘以外のことにリソース割いちゃったカンジ」
「なるほど……」
 なんとなくだが、ピピピのひととなりが分かった気がした。
 彼女は戦闘をキャラバンの仲間に任せることで、自分を旅のワイルドカードにしようとしたのだろう。ランダムに人員が入れ替わるなら、料理の出来ないものばかりが揃うこともあろうから。更に言えば、旅の資金やコネクションの維持管理といった繊細な部分はなにげにピピピ任せであったように思える。
「ま、荒っぽいのは俺らに任せて、妖精サンはそこでおとなしくしてな!」
 キドーはストーンナイフに小さな魔力を込めると、手製の陶器製手榴弾に火をつけた。川のむこうに小石を飛ばすイタズラに使われるという遠投げの魔法を応用して手榴弾をぶん投げると、後方から馬車を追うサンゴリアンデスワームに着弾。魔法の煙に包まれた。グオンと不思議に鳴いた後、サンゴリアンデスワームは別の個体へと襲いかかり始める。
「ほれみろ共食いだ」
「この調子で、さくっと突破できるように頑張ろう!」
 サイズは低空飛行で沼地から離れると、露わになったサンゴリアンデスワームへ剣魔双撃を連続。
 不意を突かれないようにアイススフィアで自らの防御を固めた。
 いざとなればピピピを庇うことも視野に入れての構えである。
 その一方で玄丁は黒い刀身をもった脇差しを抜き、沼へ潜ってにげようとするサンゴリアンデスワームを斬り付ける。
「うーん、人型相手じゃないと上手く切れないなぁ」
 本人はこう言ってはいるが、斬撃の切れ味はたいしたものでサンゴリアンデスワームの肉体がぱっくりと割れて沼地へ横たわっている。
 馬車に飛び乗って距離を離しながら、遠斬りの技を使ってトドメをさすことも忘れない。
 元々センスがあったのか、それとも教えた人間が優れていたのか、玄丁の剣術は巨大ミミズにとて充分通用するようだ。
「沼地の端が見えてきたわ」
 エルスは指輪から変化させた鎌を片手でくるくると回すと、刃に魔術を込めて迎撃の構えを取る。
「任せたわね」
 ゼファーが馬車へ飛び乗り槍を突き出すと、彼女を追ってきたサンゴリアンデスワームが槍によって僅かに押しとどめられた。
 時間にしてわずか一瞬のことだが、エルスにはそれだけあれば敵が停止したも同然だった。目をギラリと光らせ、鎌を縦横無尽に振り回す。
 するとサンゴリアンデスワームは何分割もされ、沼地へと転落していった。
 一件落着、とつぶやいて鎌を指輪状態へ戻すエルス。
 馬車は沼地を抜け、土色のわだちを残しながら砂の上を走り去っていった。

●星空が歌うから
 太陽は落ちて、星の瞬く砂漠のかたすみ。
 小さなオアシスのすぐそばに、数台の馬車がとまっていた。
 魔法の石でたえず炎が上がり続けるたき火を囲み、三つほどのキャンプテントが設営されている。
「あらあなた、お料理得意なの?」
「ラサの仕事をしてるとあちこち行くから旅をしているようなものだけど。
 でもいつもは簡単な移動なものだからね。こうしたキャラバンの旅も嫌いじゃないわ、寧ろ楽しいわね!」
 エルスは腕まくりをして、タジン鍋に野菜や肉を詰め込んだものを火にかけ始める。
 ピピピはその様子をじいっと眺めて、再びエルスに振り返った。
「お嫁さん修行とか?」
「ちち違うわよ? だだだ誰のお嫁さんに誰がなるっていうのよもう!」
 ぶんぶんと両手を振るエルスに、ピピピはくすくすと笑った。
 隣の魔術コンロでは鉄板に油をひいたロゼットが見守る中、百合子が肉をおもむろに掲げ始める。
「咲花百合子。得意料理は……挽肉である!」
 めしゃあっていきなり挽肉を素手で作り出した百合子。
 その様子を呆然とみまもりしもの、ロゼット。
「今夜はハンバーグであるぞー!」
「空気、空気ぬかなきゃだよ」
 てんやわんやするメンバーとは別に、たき火を囲んで休憩しているメンバーのところへキドーがてこてこやってきた。
「俺はほら、食い専だから料理とかそういうのマジむりだから――という訳ではい! 酒妖精のオススメ、特別純米大吟醸生原酒天之翡翠!」
 一升瓶をドンと取り出して見せると、ラダたちがフッと笑ってコップを差し出した。
「焚火を囲んで、星を見上げてとる食事は格別だ。酒があればなおのこと……か」
「そういうこった。サイズ、お前は?」
「いや俺はいい。ここから周りを見張ってるよ」
 サイズは馬車の簡単な整備点検を終えると、幌の上に座って周りをぼんやりと眺めていた。
 魔物らしい気配はなく、空は埋め尽くさんばかりの星々。
 たき火から目を離して上向いてみれば、遠近感が消えてなくなってしまうかのような宇宙的光景がそこにひろがっている。
「人と……他人と寝るなんて本当に初めてです。火を焚いたことなんて無かった…よかったぁこんなことができて。
 あ、そうだ、見てください。そうです、くまのぬいぐるみです、今ではこれがないと寝れないんですよ! えへへ可愛くないですか? もふもふふわふわですよ」
 鞄からぬいぐるみを取り出して見せる玄丁。
 初めての長旅、初めてのお料理チャレンジ、初めてのたき火に初めてのキャンプ。テントで眠る新鮮さに、どこかわくわくしている様子だ。
「不思議な旅だ。蛇も取らなくていいし、毒性のない種類のサボテンを探さなくても良いし
 夜の間に穴を掘って、昼間の日差しを避ける必要もない……」
 ロゼットはラサの少数民族として代々受け継いできた旅の作法があったが、多様性バツグンの『てのひらツアーズ』はそうした常識を割と簡単に離れていくようだった。
 何が一番いいということはこの混沌ではそうそうないのだが、知らない様式に触れるというのはそれだけでどこか心がふつふつと温かくなるものだった。
「えっと、これからどうするんでしょう。ご飯をたべたら眠るんですか?」
 玄丁の質問に、ゼファーはウィンクで答えた。
「遥か遥か、地平を眺めるのも旅情と云うもの。
 されど時には気が滅入ることもあるでしょう。
 だから、そんな時こそ人は歌うのよ」
 リュートを取り出し演奏を始める。美少女の舞を披露する百合子や、手を叩いてはやすキドー。古くから伝わる歌をあわせるラダ。
 そこへエルスができあがった鍋やハンバーグを持ってきて、それぞれの金属皿へと移していく。
「今日は、楽しい夜になりそうね」
「……ああ、悪い気はしないな」
 ほっこりと仲間達の様子をながめながらつぶやくロゼット。
 ピピピはそんな彼女の肩に飛び乗り、歌をうたって手拍子をはじめた。
「旅はまだまだ続くわよ。お別れの時まで、目一杯堪能しましょ」
 そうして、砂漠の夜は更けていく。
 出会いと発見と、小さな冒険をのせて。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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