シナリオ詳細
<FarbeReise>満たされしアメジスト
オープニング
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「何も……出ないな」
「ああ」
ボソボソと話し合う数人の影。カンテラの灯りがそれを揺らす。響くのはカンテラの灯りが燃える音と、カツカツと響く数人の足音と、そのボソボソした声のみだ。
FarbeReise(ファルベライズ)のある遺跡へ踏み入った学者たちは恐る恐る地下へ続く階段を降りていた。
文献はあまりにも魅力的で、されど肝心なことは書いていない。自衛の心得を多少持っているからと、無謀にも彼らは遺跡への突入を決めたのだ。
罠にかかって死ぬか。
ガーディアンに見つかって死ぬか。
それとも運良く、更なる資料を見つけるか。
最後に望みをかけて遺跡へ入った彼らだが、遺跡はここまでただひたすらに無言を貫き、彼らの侵入を良しとしていた。
「こ、これなら我々でも」
「気を抜くな。俺たちは冒険者でも傭兵でもないんだ」
鋭い声に一瞬喜色を浮かべた男が黙り込む。遺跡にはカンテラと足音のみが響くようになった。
それから、暫し。やはり物言わず学者たちの侵入を許す遺跡は新たな光景を彼らへ見せた。
「水……」
「オアシスか?」
「湖のようだ」
口々に呟き辺りを見回す学者たち。その視界には深く広い水たまり──海というには狭すぎ、池というには広すぎる──が広がっていた。そしてその下、水底に近い場所で何か泡のようなものも見える。それ以外には何もない行き止まりだ。
ここからどうするのか、まさか潜水して深い水底まで行けというのか。学者たちが顔を見合わせ、何か資料はないものかと探そうとした時──それは現れた。
『Buongiorno!! ようこそ、お客さん!』
●
つい先日、ラサの一角にて新たな遺跡群が開かれた。ファルベライズと呼称されるそこは前人未到の遺跡ばかり、かつ『お伽話のような奇跡を起こす秘宝』があると知れば各所から傭兵、冒険者、盗賊や商人大富豪エトセトラが集まってくるのも当然だ。その中には善人でない者、そしてラサとしての方針に沿わない者がいることもまた然り。
「けれどまあ、そんな人たちに渡すわけにはいかないよね」
悪用されたら大変だもの、と笑う色彩鮮やかな衣を纏った女性──パサジール・ルメスの民、レーヴェンはイレギュラーズへ丸めていた羊皮紙を見せた。
「ここ、一緒に行ってくれないかな?」
話の流れからして向かう先はファルベライズで間違いない。羊皮紙にも遺跡の内容が書かれているようだ。
前人未到の遺跡は謎も多く、情報の精度として高いものは早々お目にかかれない。これもまたこれで精度の高さはイマイチだが、内部構造には惹かれるものがあった。
「湖に建てられた遺跡?」
「そう! 遺跡に入るとね、深い湖が広がってるんだって!」
より正確に言うならば湖を中心として、覆うように建つ遺跡か。詳しいところは不明だが、かなり深くまで土台があるらしい。
レーヴェンの瞳は好奇心に溢れた子供のごとくキラキラしている。見てみたいのだと言われずとも十分伝わる表情だ。
依頼は湖の遺跡へ赴き、精霊に湖へ突き落とされること。
「突き落とされる……?」
それを読んだイレギュラーズの困惑が滲む。突き落とされるだけならば自身らの出る幕でもない。こうして依頼が舞い込むということは、ただ突き落とされるだけではないということだ。
「えーっとね、その先がよくわかってないから調査してほしいって」
レーヴェンも羊皮紙を見ながら告げる。変な話だよね、とも。
先行した学者たちは精霊によって有無を言わさず湖へ叩き込まれ、気づけば水面にぷかぷか浮いていたのだという。精霊はもう姿を現さず、けれども別の者が向かうと学者たちと同じことが起こった。
このことから学者たちはイレギュラーズを頼った。誰でも良いと言えばそれまでだが、1人につき1度きりしか姿を現さない精霊に会っておらず信頼できる者と言えば『ラサの名だたる傭兵団が連名で依頼を出した』ローレットだったのである。
- <FarbeReise>満たされしアメジスト完了
- GM名愁
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2020年10月18日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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「不思議な湖に立つ遺跡、かあ。何が目的なんだろう」
『ムスティおじーちゃん』ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)が首を傾げながら進めば、『双彩ユーディアライト』恋屍・愛無(p3p007296)からは色宝の所有者に相応しいかどうかの選別ではないかと返ってくる。
「そうですね。誰彼構わず湖に突き落とされて夢を見る、となればこれは試練なのでしょう」
普通に考えるならば、こういった場所では大体何らかの試練が用意されているものだと『遺言代筆業』志屍 瑠璃(p3p000416)は思案を巡らせる。最も、自ら直接得た知識ではないけれど。
「人間の姿だった頃はこういうことして生計を立ててたもんだが……湖に突き落とされるだけってのは初めてだな」
そう呟くのはふよふよ漂う『特異運命座標』ライ・ガネット(p3p008854)。突き落されて夢のようなものを見て、気づけば水面に浮かんでいる。それを聞く限り、一体何を調べたらいいのかもわからない。
「落とされて夢の中でどのような行動をするか、ですか」
「精霊は何を望んでいるのでしょうね」
瑠璃が呟けば『その色の矛先は』グリーフ・ロス(p3p008615)が首を傾げる。遺跡に住まう人ならざるモノの思考などわかる訳もないが、その先に何らかの色彩を持つ宝が待っているのだろう。
そんな仲間たちの言葉を聞きながら『躾のなってないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)は依頼内容をよく見れば良かったわ、なんて心の中で独り言ちる。
(欲しかったのは幻想の名声なのよね)
『いい子』らしく動けばイレギュラーズとしての名声が高まっていく。幻想でもう少し名声を上げたならば一部の領地を任されるハズだったのだ。それがラサの依頼だったとは盲点も盲点である。受けてしまった以上はどうしようもないのでハイ・ルールに則ってこなすだけだが。
「だが、今回はなんとなく結果に興味がある」
「……ん? 顔に何かついてるかな?」
愛無に視線を向けられたレーヴェン・ルメスは不思議そうに自らの顔をぺたぺた触る。いいやと愛無は首を横へ振った。
個人的な見解ではあるのだが──彼女を始めとしたパサジール・ルメスの民。そしてラサへ宣戦布告したという大鴉盗賊団。彼らはルーツを同じにするのではないだろうか。
(あまりに情報が少ない、当てずっぽうの勘にはなるが)
それでも彼女ともう1人、ローレットへ所属するリヴィエール・ルメスがこの遺跡群を解放したことは事実だ。何か鍵があるのかもしれない。例えば盗賊団の名に冠されている、そしてレーヴェンが因子を持っている──鴉、とか。もしくは血筋か。
「あ、見て!」
不意に『清楚(真 )』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)が声を上げる。つられて視線を向けた一同は広がる湖に感嘆の息を零した。
(ずっと目に焼き付けてたいな……)
揺らめく水面は天井の岩肌に移り、空間自体がどこか揺らめいているようだ。湖は岩肌の発光植物に照らされて青とも翠ともつかぬ色合いを見せている。
『Buongiorno!! ようこそ、お客さん!』
「お、」
「え?」
「きゃっ!?」
その声が聞こえた途端、次々と背中を押される仲間たち。愛無は話のひとつでもしたいと口を開く。
「はろーはろーあいあむかいせいぶつきゃんゆーすぴーく、あ、」
落とされた。
●
「ヤロスラーフ!」
声を上げれば孫が──記憶の其れより随分と成長してしまったが──昔と変わらない笑みを浮かべて手を振ってくる。するとムスティスラーフの腕に収まっていた子がぱちりと目を開けて孫の方へ身を乗り出し、小さな手をぶんぶんと振った。
ああ、そうだ。見たかった未来の、更にその先がここにある。これが幻だと分かっていても浸らずにはいられない。
孫も息子も生きていて、孫は成長し息子には子供がいる。ムスティスラーフだってまだまだ元気だからもう1人子供をもうけて。危険に脅かされることもなく、平凡に平穏な日常を過ごしていく。
(本当に大切なものは何気ない日常なんだ。ただ、家族と過ごすだけの日々なんだ)
現実に2人はいない。失ったからこそ強くそう思う。あのまま召喚されなかったなら、ムスティスラーフは独りで寂しく死を迎えていたことだろう。いいや、今とて少しずつ緩やかに死んでいっている。生きるというのはそういう事だ。
(僕は……現実の僕は、最期までの時間がもうあまりない)
自らの寿命を、ムスティスラーフはなんとなく感じ取っていた。少しずつ自身の身体はもたなくなってきている。体を動かせば痛み、呼吸は苦痛をもたらす。だんだんとダメになっていくのだろう。起き上がる事すらできなくなってしまったらいよいよ死も間近だろうが、そんな状態で死ぬのは流石に御免だ。
「──ねえ、精霊さん。ここにずっといられないかな?」
ムスティスラーフはぽつりと呟いた。願ったのは『停滞』。これは幻だけれど、目が覚めなければこの瞬間は現実だ。ムスティスラーフは何度も見た幻のおかげでそれを知っていた。だからこのまま目覚めずに、永遠に幸せな日々を繰り返したい。沢山の子供たちに囲まれて、賑やかな日々を──。
(僕は金と力と名声が欲しいんだ)
愛無が思い浮かべていたそれはそのまま幻として具現化する。ずっとずっと、こちらへ召喚されてラサの傭兵団に所属していた時から求めていたものだ。
街を歩けば人々が有名人を見る視線で愛無を見て、子供たちが「サインください」と駆けよってくる。欲しいものはなんだって、手にした金があれば買い求められるのだ。
何故か? それは勿論欲しいものがあるから。失ったものを取り戻したいから。そのためには金と力と名声が必要なのだ。
(そのためにはこういうデカい『イベント』ってやつが稼ぎ時だ)
FarbeReise。この遺跡群探索とイベントと言って良いのか分からないが、一攫千金を思えばそう呼称しても良いのだろう。そしてそれは結果に繋がっていく。
(ひとつ、よろしく頼むよ──)
メリーも似たような幻を見ていた。とは言っても、彼女の場合は名声が只々爆上がりしていたのだけれど。おかげであんなに望んでいた領地どころか、幻想王国まるごと彼女のものになっていた。さらに他国や他世界まで自らのものになっていた。
全部、全部、メリーのもの。境界図書館や空中神殿、出身世界や仲間たちがいたような異世界まで全部メリーのもの。それはもはや──神様のようであるかもしれなかった。
「お、俺!?」
ライは目の前の冒険者にぎょっとした声を上げる。最も相手は聞こえた風もないようで、すっとカーバンクルの前を素通りしてしまったわけであるが──。
(いや、これは多分幻だな)
カーバンクルことライは冷静にそう判断した。先ほど自分たちは精霊の手によって湖へ突き落されたはず。学者たちも夢のようなものを見たと言ってたらしいからこれがそうなのだろう。だとすれば、この幻の最中に何かをしなくてはならないのかもしれない。
よくよく観察していると、これが過去の記憶であったことがわかる。どこかの遺跡を探索している姿だった。
(こういう所って貴重なものが眠ってるんだよな)
そういったものばかりを狙うものだから『金目当てだ』などと言われていたことを思いだす。何て懐かしい。純粋に探索が好きで財宝狙いだったわけではないが、その過程となるトラップや魔物をかいくぐっていくことはただただロマンだった。
(……今思い返してみると、冒険ってやっぱり楽しかったな)
未踏破の遺跡に入って、罠をかいくぐり魔物を追い払い、金銀財宝を手に入れる。それを調査したい学者に『なんで売り払った!』と怒られたこともあったか。ああ、またやりたいものだ──願わくば、人間の姿で。
『グッドルッキングガイ』goodman(p3p008898)は沈んでいた。どこへと言われるとうまく言えない。意識の更に奥底、あるいは心根と魂の境目、またあるいは己の過去。途絶えた道。何だって言いようはあるのだ──。
goodmanは元居た世界に立ち、炎を操っていた。蒼き雷炎を操っていた──記憶と経験が示していたソレをまさに使っている姿であった。有象無象の区別をつけずに等しく灰塵へ変えていく。彼だけの使う事ができる希望の灯火(セントエルモ)。その力はgoodmanにとって相棒にも等しいものだったのだ。
ある時は街を襲うモンスターの群れを散らせた。
ある時はドラゴンゾンビを包み込んだ。
ある時は人攫いのゴブリンを。ある時は。ある時は。
そうして数々の善行を積むgoodmanは馴染みのある顔でありながら、今よりずっと良い表情をしていた。糊代のある笑みではない正しい笑み。──羨望せざるを得ない、自分だ。
誰だったかに以前言われたことがある。過去の力を取り戻すだけでなく、他の理由で前に進む理由を探すべきだ、と。
アタシの──ミルヴィの最初に願ったものは『両親を探す事』だった。そう思いだすと同時、浮かんでは消えるように関わった人々が現れては消える。
小さなミルヴィへパンを差し出してくれた『アル兄さん』。彼のような人になりたいと思ったのだ。強く、誰かを救えるような存在に。けれど次に浮かんだ彼は血にまみれ、ミルヴィへ笑いかける姿だった。その次にはギターで伴奏をしてくれたひと時。あの時はミルヴィの歌と踊りが好きだと言って、ミルヴィに合わせて演奏をしてくれたのだった。
その後に浮かんだのは厭味ったらしい『馬鹿父』の存在。稽古した日、勉強を教えてくれた日。積み重なった思い出はどれだけ経ったって消えやしない。それが『犬の命を救う』という結果を残したことを思えば尚更だ。
クリスマスの日にはすまなそうな顔をして背を向けた姿があった。次の年には錬金術で腕輪を作ってプレゼントした。
(あの時は嬉しそうだったな)
その表情は強くなったはずのミルヴィを見て何とも言えないそれに変わって。言うなればあれは『無念』という感情だったのだろう。あとはぶっきらぼうに別れを告げて、それで──。
湖の幻が見せたのは深くかかわってきた『家族』の姿だった。ミルヴィという1人の女性を作り上げた『誰か』の表情だった。
(私は──笑顔と共に、家族と……誰かと一緒に生きていきたいんだ)
そうなれているだろうか。そう有れているだろうか。
困っている人へは手を差し伸べ、歌と音楽で楽しく暮らして。それなりに習った錬金術で時には命を助けて。
これからもどうか、輝く優しい色で染まっていますようにと願わずにはいられない。
屍の声を聴く。文字通りに亡骸の声を──記憶を見聞きして情報を得るそれは、忍びとしても有用な力だったのだろう。
瑠璃の前には布袋をかぶせられた人間が転がされていた。首から上は隠れて見えないが、瑠璃にはそれが誰であるのか見る間でもなくわかるものだった。
仲間。兄妹。そして姉のように慕ってくれた娘。誰も彼も忍びとしての訓練についていけなくなった者たちだ。布袋は彼らの死に怯える顔で瑠璃が躊躇ってしまわないようにという配慮だろう。
(だから、私はあの時淡々と裂くことができた)
見ている喉元を狙い掻っ捌いて、その記憶を読んで。何よりもつらかったのはその瞬間より部屋に戻ってからの絶望だっただろう。毒に慣れるより、断食3日間の山籠もりよりも辛い時間だった。
故に──『再び』なんて起こさせない。
瑠璃の振るう手に大きく目が見開かれる。飛び散る赤。倒れる忍頭。障害がなくなったのなら皆の元へ駆け寄ってその布袋と縛る縄を取り去ってしまう。その下から出てきた表情は、状況がよく分からないと言った様子で。
「もう、大丈夫」
例え試練が失格となっても。こうして命を助けられたのだから──自身が彼らを殺す様を見なくて済むのなら。どれだけ繰り返されようとも同じことをするだけだ。
「……貴女は」
グリーフは目の前の『青い瞳』の女性を見つめた。穏やかな笑みはあまりにも自然で、模倣品であると思えばこそ壁を作ってしまって。
けれど、違ったのだ。模倣品は本物がいなければ生まれない。彼女がいたからグリーフは産まれることができた。彼女がいたから、彼女が記憶をくれた記憶と共にグリーフは混沌で生きている。
「ほら。見て」
振り返れば風景の一部が変わる。彼女が憧れて、しかし行くことのできなかった海の風景だ。女性の目が丸くなって驚きに彩られる。
彼女は現実に居ない。この夢のあわいから現実へ戻ることができるのは『グリーフ・ロス』だけで、戻ればこれから先も彼女ができなかったこと、見聞きすることのなかったものを経験していくことになるだろう。模倣品は本物と異なる知識と経験を携えて生き続けることになる。
「でもせめて。本当の貴女ではないかもしれないけれど──こうして貴女に海をみせてあげられて、よかった」
グリーフはそれからも語った。彼女へ海がどんな場所であったか。そして深緑の領地に二色のアネモネが咲いていることも。赤と青が風に乗って交じり合って、一面の紫に見えることも。
彼女の青と、グリーフの赤。花弁が交じり合うように、彼女らは今融け合っている。体はひとつかもしれないけれど、グリーフの中で彼女は生き続けているのだ。
──ゆめとうつつの狭間で、グリーフは『ありがとう』を聞いた気がした。
●
「……あ、」
「ここは?」
グリーフが声を上げれば、ミルヴィが辺りを見回す。瑠璃も不思議そうに上を見上げて──あ、と小さく呟いた。
「水面が上に……? ということは、ここは」
水底。
3人は浮かび上がったその言葉に顔を見合わせ、そして安置された宝に気付いた。あまりにも鮮やかなアメジスト(紫)のネックレス。
「試練を抜けた、ということでしょうか」
失敗すると思ったのに、と瑠璃は考え込みながらも宝へ手を伸ばす。此処にいるのが3人だけということは、試練を抜けられなかった者たちもいるのだ。
水面に浮かんで戻って来てしまったと目を閉じるムスティスラーフ。精霊も世知辛いと呟く愛無。メリーはもっと夢見せてくれればいいのにと零し、ライは自らの姿が未だカームバンクルであることに小さく落胆の色を浮かべる。
水面に浮かび上がって小さく呼吸をしたgoodmanも天井を見上げた。ターコイズの波紋はゆらめくだけで彼へ何も返しはしない。夢の続きではないだろうかとかつてのように念じてみても、ここは現実だと言わんばかりに喪失したギフトは応えない。反響しない故に気付いてしまう──ゆらゆらと揺らめくような心持ちに。
(俺は、いつからこの力に心奪われているんだ)
わからない。気付いた時にはもう心奪われていたのだろう。
今見た夢を『good』と見るか『bad』と見るかは彼次第のことだった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お疲れさまでした、イレギュラーズ。
ファルグメントとして紫色のネックレスが見つかりました。遺跡の仕掛けは結局よくわからないままですが……。
それでは、またのご縁をお待ちしております。
GMコメント
●目的
湖に突き落とされ、その先に起こることを調査する
(メタ目的:心に在るものを疑似体験、もしくは静観する)
●遺跡
ファルベライズにある遺跡のひとつ。地下へ続く1本道で、特にトラップ等ありません。最奥には綺麗なターコイズグリーンの湖が広がっています。底には泡で包まれた何かがあるようですが、この湖は通常の方法を用いては水底に辿り着けません。水中で息のできる特性も働かず、息の続く限り泳いでもまったく水底へ近づけないのです。
湖のほとりに立つと、どこからともなく精霊が現れて湖へ落とされます。これは強制イベントです。
これまで突き落された者が無事生還していることから、危険性はないと推察されています。
突き落された学者たちは湖で気が付くまでの間、夢を見ていたようだと口にしています。研究で表彰されていた、各地を旅していた、死んだ祖母に逢っていた、など。
メタに言えば、これは『心に在るものを疑似体験、もしくは静観する』シナリオです。現実世界においてキャラクターは湖の浅い所を揺蕩っています。
それがひと時の幻であると知っていても、知っていなくても構いません。いずれにせよキャラクターは見終わるまでそこから抜け出せません。
目標、羨望、夢、航海。心の中にしまわれたものを映し出します。内容を知ることができるのは実際に見ている自身と、湖へ突き落した精霊のみです。
●NPC
レーヴェン・ルメス
パサジール・ルメスの女性。鴉のスカイウェザー。ファルグメントに興味津々です。今回はイレギュラーズに同行し、一緒に湖へ突き落とされます。
危険性は低いとされているため、ちょっとワクワクしてます。
●ご挨拶
愁と申します。
今回は調査依頼。けれど精霊の気まぐれがあったのならば、何かが起こるかもしれませんね。
どうぞよろしくお願い致します。
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