シナリオ詳細
再現性東京2010:野球しようよ!
オープニング
●プリンセスの熱情
希望ケ浜学園には、不思議な女の子がいる。
彼女は、外の国からやってきたお姫様らしい。
その言葉の意味は、正直いってよくわからない。
普段は、口うるさい女騎士がやれプリンセスらしくしてくださいだとか、もっと礼節を学んでくださいだとか、いろいろ監視しているせいで、そんなに自由がないのだという。
プリンセスといえど、自由ではないらしい。
「……わたくし、おとなしくていろって言われるんです。でも、プリンセスといえど女の子ですもの。時には禁じられていることくらい、してみたいもの」
そんなふうに語るお姫様は、どこか頬を紅潮させていた。
夢見る少女のような瞳は、情熱に潤み、それでいて挑発的であった。
「こう見えて、激しいプレイもできるんですよ。うふふ」
大胆な発言だった。
お姫様がそんなことをするだなんて。
過去、オークに捕らえられ、仕込まれたというが、まさかそんな……。
「そんなにいけないことなのでしょうか? わたくし、そのことを考えると……すごくドキドキして、時には夜も眠れなることもあるのです。身体が火照って、もうどうしようもないくらいになって……」
何かを求めるような、熱い眼差し。
プリンセスの称号を持つ少女がしていい表情ではない。
それほどまでに、内に秘めた情熱がほどばしりそうであった。
「……してくれるなら、誰でもいいんです。いろんな人と、してみたいもの」
可憐な外見からは、想像できないような大胆な発言。
湧き上がる情熱と向こう側への好奇心。
そして彼女は、道具まで取り出した。
「わたくし、一緒に野球をしてくれる仲間を探していますの」
バットとボールを持って、彼女は言った。
希望ケ浜学園にも野球部はある。
しかし、プリンセスが望むのは、部活動ではないチームを結成すること。
「せっかく一生懸命ジャイロボールを覚えたのに、使う機会がありませんの……」
残念そうに言う。
彼女は、再現性東京の外の世界で野球を覚えたのだ。
再現性東京では、野球はメジャースポーツ。
せっかく野球を覚えたのだから、ここで思いっきり投げて、思いっきり打ちたい。
それが野球のお姫様の望みであった。
●求む、一緒に野球をする仲間たち!
「そんなわけで、野球の時間だ。野球のプリンセスと野球をしてもらいたい」
希望ケ浜学園の校長、無名偲・無意式が言った。
何故、野球をしなければならないのか?
校長はそのことを説明するつもりはないようだ。
「野球はいい、青春の1ページを飾るにふさわしいスポーツだ」
そのわりに、野球部がどのような取り組みをしているかには興味がないようだが、とにかく校長肝入りの企画である。
依頼は、お姫様を混ぜて野球チームを結成すること。
お姫様は、再現性東京の外からやってきた。
なんだかいろいろあって野球を覚えたのだが、外の世界では野球を思いっきりできない。放っておくと、オークやらゴブリンやらとも野球をしようとしてしまうので。お付きの女騎士が禁じている。
「今回は、野球チームを組無駄毛で構わん。ともに練習し、いつか試合をするのが夢だそうだがな
校長は、そのように説明する。
ポジションや得意なことをアピールすればチームに加えてもらえるはずだ。
「時には怪異を忘れ、野球を楽しむのもいいんじゃあないか」
珍しく校長室から顔を出した無名偲校長だが、素面で言っているのかは判別がつかないところである。
そんなわけで――。
野球をする人、この指とまれ。
- 再現性東京2010:野球しようよ!完了
- GM名解谷アキラ
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2020年09月17日 23時05分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●集まった野球少年少女
「わたくしと野球をしてくれる方々がこんなに集ってくれるなんて!」
野球のプリンセスは、ときめいていた。
オークたちから白球を追う興奮を教え込まれてから、十分に野球をプレイする機会はなかった。
しかし、である。
野球をやりたいがため、この野球の本場である再現性東京の希望ヶ浜学園に留学したのだ。まさに野球留学である。
「あのとき私を打ち取ったプリンセス、こうして轡を並べることになるとはね」
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は、かつて混沌ハムファイヤーズ時代にプリンセスと対戦していた。
あのときは選手兼任ヘッドコーチであったが、ロングリリーフに立ったプリンセスに討ち取られた。
野球というのは、筋書きがないドラマである。
かつて敵同士であっても、味方となることもあるのだ。
しかし、味方となっても油断できない。
球界の名捕手であった伝説的監督が、オールスターゲームの際に、フォームの癖を見抜いて球種を呼んでいることを、うっかりライバルのピッチャーに漏らされたなんて油断のならないエピソードもある。
「あなたと一緒に野球ができるなんて嬉しいですわ」
「神がそれを望まれる」
満面の笑みを浮かべるプリンセスに、イーリンはそう言って答える。
チーム名は、希望ヶ丘浜ノーブルズに決定した。
「よもや、この世界で野球をする事になるとは。本当に分からないものだ、人生というものは」
『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)も、野球をするために名乗りを上げた一人だ。
希望のポジションはショート。右投げのスイッチヒッターである。
「野球? ルールは知らないけど、予習はばっちりさ!」
続いて、セカンド希望の『33-4』マリア・レイシス(p3p006685)である。
ちなみに、野球の予習は漫画であった。
「初心者でも一緒に野球を楽しめますわ」
プリンセスは言う。
経験よりも野球に興味を持ち、意欲があることが重要なのだ。
右投げ左打ちというところから、プリンセスは期待している。
さっそく、汰磨羈とともに入念にストレッチをし、ランニングで体を温め始める。
「準備体操は大事です! やわらかい方なので、もうちょっと強く押してもらっても大丈夫です!」
『優愛の吸血種』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)はイーリンと組んで身体をほぐす。
希望するポジションは、野球の要ともいえるキャッチャーである。
「痛い! ちょっと柔軟は個々の進行度に合わせてって痛い!! ああーー!!」
「大丈夫大丈夫、まだまだないけますわー!」
「……柔軟は限界との戦いでもある。頑張れ、おぬしならできる!」
プリンセスとユーリエが組んで、固いイーリンの身体をほぐしている。そして汰磨羈が励ますという図だ。
「プリンセス! 久しぶりじゃねーか! 今回は俺たち希望ケ浜ノーブルズの仲間だな、よろしく頼むぜ!」
続いて、『Go To HeLL!』伊達 千尋(p3p007569)である。
希望ポジションは、花形のピッチャー。
魔球ファンクボールはオークも打ち取るという変化球だ。
プリンセスとは、ポジションを争うライバルである。
「ふふ、負けませんわよ」
プリンセスもまた、サイドスローからのジャイロボールという魔球を放る変化球ピッチャーであった。
「初めましてだね! プリンセスさん! 今回はよろしくね! 僕のポジションはセンターを希望するよ」
『わんこ系』戌井 月美(p3p007954)がプリンセスに挨拶をする。
バスケ部所属だが、今回は心意気に感じて野球をプレイすることになった。
その機動力を活かした守備と走塁が期待される。
「ほらほら! まだまだ堅いからもっと柔らかくしていこう!」
「え? 待って待って……!? あああああー!!」
ふたたび、イーリンの悲痛な悲鳴が響いた。
スポーツがナチュナルにできる者は「このくらい普通普通、みんなできるって!」などと言う感覚でいる。できない者がいるなんて信じられないのだ
月見からすると、イーリンの柔軟は手を抜いているようにも見えてしまうのだ。
「ふっふっふ、この日のためにたくさん勉強してきました。プリンセスさんや他の方々と一緒に頑張りますよ!」
『ヘリオトロープ』小金井・正純(p3p008000)は張り切っていた。
レフトを希望の右投げ右打ち、バッターとして打撃での活躍が期待される。
「初めましてプリンセスちゃん。妾はアカツキ・アマギじゃ、よろしくのう。野球をしにこの指止まりに来たのじゃ」
三度の飯より炎が好きな『放火犯』アカツキ・アマギ(p3p008034)であるが、再現性東京で野球を知って挑戦する。
「こちらこそ、よろしくなのですわ」
プリンセスも、うやうやしく頭を下げる。
この辺、育ちの良さがあった。
「ポジションはライトを希望、右でも左でも打てるのじゃ」
アマギも左右打ちのスイッチヒッターだ。
まだ実績も記録もないが、その素質は期待できる。
「遠投は得意じゃぞ、魔球というやつじゃな! 塵も残らぬ勢いと仲間内では評判じゃぞ」
ライトに打球が飛んだら、文字通り、火の出るようなバックホームが見られるであろう。しかも魔球、魔送球である。
「まずはウォームアップじゃな。イーリン、まだまだ固いのじゃ」
「あーーーーーー!!」
再三、イーリンの悲鳴が響く。
素人は加減を知らない。
「野球のことは話を聞いたことあるくらいであまり知らないから、いろいろと教えてくれると助かる」
『特異運命座標』ライ・ガネット(p3p008854)はスポーツそのものが初体験である。
希望ポジションはホットコーナーと呼ばれる守備位置のサードだ。
宝石の呪いによって四足歩行のカーバンクルに姿を変えられても、野球はできる。
柔軟の悲惨さを目の当たりにし、ランニングでウォームアップだ。
「やあ、初めましてプリンセス。私の名前はラクロス・サン・アントワーヌ。希望ポジションはファースト、あなたの為の王子様さ」
『貴方の為の王子様』ラクロス・サン・アントワーヌ(p3p009067)が颯爽とグラウンドに現われる。
「まあ、野球の王子様なのですね!」
プリンセスを胸をときめかせている。
「さて、準備体操をしなきゃね。ふふ、体の柔らかさにも自信があるよ」
ぐっと股割りをして、上体を地面まで倒す。
王子様だが、豊満なバストのおかげでピッタリとはイカないが、素晴らしい柔軟性だ。
「……え、固いね? 大丈夫? 怪我しない?」
「痛い!? 股が裂ける裂ける! これ以上は脚開きません! できねえっつってんだろ!」
千尋の悲鳴が上がったが、ラクロスも容赦がない。
このチーム、怪我をしないための柔軟はしつこくやるようだ。
そんなわけで、プリンセスのもとに10人の野球イレギュラーズが集まったのである。
●実力拝見、キャッチボールと守備練習
「さあ、プリンセスさんも一緒にどうぞ! せーの! やきうの時間だー!」
「希望ヶ浜ノーブルズ……ファイトおー!」
円陣を組み、正純の音頭で掛け声をかける。
みんなで軽くランニングをしてキャッチボールと守備練習というメニューだ。
さて、希望ヶ浜ノーブルズのオーダーは以下の通り。
スターティングメンバー
1番 マリア セカンド 右投げ左打ち
2番 月美 センター 右投げ右打ち
3番 ライ サード 右投げ右打ち
4番 正純 レフト 右投げ左打ち
5番 汰磨羈 ショート 右投げ左右打ち
5番 ラクロス ファースト 右投げ右打ち
7番 アカツキ ライト 右投げ左右打ち
8番 ユーリエ キャッチャー 右投げ右打ち
9番 ピッチャー 千尋 右投げ右打ち
控え
プリンセス ピッチャー 右横投げ右打ち
イーリン セカンド 右投げ右投げ
なお、打順はプリンセスとイーリンが組んだ。
左右打ちと左打者の割合が多く、機動力と技巧という雰囲気だ。
それでいて下位打線にも怖さがある。
特に千尋は四番も務められる打力があるのだ。
そして打順と守備配置が決まったところで、守備練習である。
キャッチボールで肩を慣らし、ボールタッチの感触を確かめた面々に、ノックが行われる。
「UV殺しを持ってきてるわ! 日焼けには気をつけて!」
イーリンが紫外線カットのクリームを持ってきている。
女性には嬉しい。あと、目の下に塗るあの黒いやつ、アイブラックというあれもある。
「オラもっと素早く! 右打者だからって一塁側にだけ打球が行くわけじゃねーぞ!!」
イーリンが用意した式神とメカカレッジからボールを受け取って、自在のバッティングでノックを受ける選手を動かす。
「バッチ来い!」
ショート、汰磨羈がまずノックを受ける。
自慢の機動力を活かし、華麗な守備を見せる。
続いて、マリアもノックを受ける。
彼女もまた俊足であり、リニアドライブによるダイビングキャッチも見事である。この辺、漫画による教育効果であろう。
「ナイスセカン!」
キャッチャーのユーリエも声を出した。
「すごい守備ですわ! 希望ヶ丘ノーブルズの二遊間は鉄壁ですわね」
プリンセスも期待の目を向ける。
こんな守備を背負ってピッチングしたい、そんな気持ちがむくむくと湧いてくる。
「おら、外野も気ぃ抜いてんじゃねーぞ!!」
「オーライオーライ!!」
ばかーんと打ち上げたフライをいっぱいに下がってセンターの月美がしっかり捕球する。
「ほらライトッ!」
流し打ちで飛んできたヒット性のあたりをアマギがダッシュしてキャッチ、そのまま全力での返球である。
「ライトゴロに仕留めてやるのじゃ……塵になれええええええ!!」
レーザービーム……いや、燃える魔送球である。
抵抗となる空気を燃やしながら、ファーストのラクロスに飛んでくる。
「すごい返球だね。ほら、サード!」
ずばーん! とファーストミットを鳴らし、まだ火のついたままのボールをライに放る。
ライは四本の脚でジャンプしながらこれをキャッチして、二塁から三塁を脅かす走者とのクロスプレイを想定する。
「次、レフトいくぞー」
「こーい!」
千尋が高々と打ち上げたレフトフライを正純がキャッチ、タッチアップを刺すために全力のバックホームである。
ツーバウンドの返球を、ユーリエは前に出るように補給してホームを狙うランナーをブロックして刺した想定だ。
「そろそろ投球練習をさせてほしいですわー!」
たまらずプリンセスが名乗りを上げる。
マスクとミットを被ったユーリエが構えると、プリンセスは軽く肩を慣らし、サイドスローから角度のあるストレートを投げた。
「せっかくだから、誰かバッターに立ってくださらないかしら?」
プリンセス、強気である。
練習の域を超えるほどの入れ込みようだ。
「なら、私が!」
左のバッターボックスに立つのは、正純である。
巫女である彼女の構えは、神主打法に構える。
全身の筋肉を使える分、バットコントロールが難しいとされる打法である。
「練習だけど、全力でね」
「もちろんです!」
マウンドに駆け寄ったユーリエは、プリンセスとサインを決めると、ミットを構えて座った。
「よし来いっ!」
パーン! とミットを鳴らす。
右サイドスローのプリンセスからすると、懐が深いこの構えはやはり不利。
ここで、ユーリエも実戦を想定した本格的なリードを行なう。
一球目、内角低めのストレート。正純は様子見。
「ナイスボール!」
伸びもあっていいストレートである。
ニ球目、もう一度内閣低め。これをカット気味にファール。
三球目、プリンセスのカーブはストライクゾーンを外れボール。
四球目、変化の大きい割れるシンカーを下からすくい上げるように外野へとかっ飛ばした。
「さんきゅーがっつ!」
まさにミスターフルスイングを彷彿させる一発であった。
プリンセス、悔しそうだが頼もしい四番がいるということでもあるのだ。
「プリンセス、一打席勝負がしたいわ!」
ここで、イーリンが打席に立つ。
混沌ハムファイヤーズを勝利に導き、MVPを獲得したイーリンであったが、プリンセスには抑え込まれてしまったのだ。
「いいですわ、その滾る闘志! 抑えたら、さそかし……ああっ!」
自分に全力で挑んでくる者を討ち取ったときの快感は何者にも代え難い、プリンセスはそういう性癖の持ち主である。
この辺、オークに野球調教を受けたためであろうか?
ともかく、プリンセス対イーリンの対決に注目が集まる。
(プリンセスの秘密兵器は、あのプリンセスジャイロ……)
プリンセスには、エグいほどの変化するシンカーが決め球でありつつ、秘密兵器としてツーシームジャイロを放ってくる。
その秘密兵器を出す前に三振に打ち取られたイーリンとしては、ここで是非ともリベンジを果たしたい。
抜群のコントロールから繰り出されるストレート、そして正純に攻略されたものの、いまだ決め球として光を失わない落差の大きいシンカー、これに真っ向勝負で挑む。
「すごい、野球ってこんなにも真剣になれるんだ」
「この姿でもボールを打てるように練習あるのみだな。何事もやればできるはずだ!」
見守る月美とライも、ふたりの対決によって野球の持つ魅力に引き込まれていく。
「おい、俺にも投球練習させてくれよ! 魔球ファンクボールをユーリエちゃんに受けてもらいてえんだよ!」
千尋も投球意欲満々である。
(わたくしのジャイロを狙っている。ヒッティングで勝負するバッターでしたのに、今は溜めを作って一発を狙っているわ……)
ユーリエのサインに頷くと、プリンセスはセットポジションで振りかぶった。
そして――。
魔球プリンセスジャイロは、イーリンのスイングとともに空へと消えていった。
●打ち上げBBQ
心地よい汗を流した希望ヶ丘ノーブルズの面々は、河川敷に集まって打ち上げのBBQである。
「皆さんお疲れー!」
キャッチャーのマリアがギフトで電化製品を動かし、肉肉肉野菜くらいになっている材料を焼く準備を進めている。
イーリンが用意した冷やしタオルと麦茶が嬉しい。
「妾、レモンの蜂蜜漬けを作ってきたのでどうぞなのじゃ。疲れた身体に効くと評判らしいぞ!」
アマギが用意したレモンの蜂蜜漬けは人気だった。
酸味と甘味は、疲れた体に染み渡っていく。
「バーベキューだー! いっぱい食べちゃうぞ~!」
「バーベキューっていいよな。賑やかだし、美味しいものも食べられるし」
「うん、素敵だね! 実家にいた頃は立ち食いなんてはしたない! って怒られてたけど私は大好きだよ」
「お肉もいいですが、こちらも取った方が良いかと思いまして! 特にこの玉ねぎ、焼くととても甘くて美味しいんですよ!」
「いや、BBQといったらそこは魚介類だろう? ホンビノス貝とかカジキマグロとか最高だぞ」
「いいや、やっぱりウィンナーだぜ、ウィンナー! どこどこ焼いていこうじゃねえか」
「料理は火力なのじゃー!」
「ちょっとアカツキちゃん! 焼けすぎちゃってる! いい感じの火加減! わかるでしょ!」
肉や野菜が焼けていく匂いが鼻孔をくすぐり、食欲を刺激する。
運動の後なので尚更だ。
魚介もウィンナーもぱりっぱりに焼けている。
レモン汁やバーベキューソースをかけたら最高であろう。
「ほら、このお肉焼けてるし、飲み物の冷えているから美味しいよ?」
マリアは、甲斐甲斐しく皆の世話を焼く。
そのおかげで、食材もみるみる減っていった。
「ふっふーん! 料理なら任せて! 焼きそば焼くよ」
鉄板が空いたら空いたで、新たな食材が放り込まれる。
月美が焼きそばを投入し、じゅうううううっ~! とまた煩悩が高まるような音を立てていた。
焦げたソースの香りが、なんともいえない。
「野球と言ったら、焼きそばですわね」
プリンセスも箸を伸ばす。
高貴な人々が食するような食べ物ではないかもしれない。
しかし、野球には身分は関係ない。
何より、球場で売っている焼きそばは老若男女関係なく食べたくなってしまうものだ。
青のり、紅しょうがと一緒に頬張ると運動の後にはたまらぬ味となる。からしマヨネーズなんかかければ、罪深い味にもなる。
「しかしあれだね……貰ったマニュアル程の惨劇は起きなかったね……? 実はこれ、何か間違ってるのかい??」
ぱらぱらと漫画本をめくりながら、マリアは振り返る。
まあ、終わりよければすべてよし。
何より、BBQは最高であった。
希望ヶ丘ノーブルズはまだまだ船出したばかりである。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
野球練習シナリオ、完了です!
試合は本格的にしないっていう募集でどれだけ訴求力があるが不安でしたが、意欲あるプレイングが集まりました。
野球のプリンセス、ネタで登場させたわりにかなりの野球センスを持ってしまったキャラクターになったので今後の使いみちを模索中です。アイデア等ありましたら、ファンレターやアフターアクションでお送りください。
そんなわけで、いい汗流して楽しんでいただけましたでしょうか?
あと、BBQは美味しそうでした。伝われ、この飯テロ。
GMコメント
■このシナリオについて
皆さん、こんちわ。解谷アキラです。
今回は、再現性東京の希望ケ浜学園にいる生徒、プリンセスと野球チームを結成するシナリオとなります。
チームを結成して練習をするまでで、試合はしません。
要望があったら、試合をするシナリオを続編で出すかも知れません。
・プリンセス
再現性東京の外から、野球がしたくてやってきた小国のお姫様です。
オークに捕まって、何故だか野球を叩き込まれてしまった過去があり、おつきの女騎士がうるさくてせっかく野球を覚えたので、野球ができない日々を過ごしていました。
ポジションはリリーフ寄りのピッチャーですが、ロングリリーフも可能です。
ポジション:ピッチャー
右横投げ右打ち
1勝3敗4S 防御率2.54
球種:シンカー、カーブ、ジャイロボール
解説:軽快なピッチングと勝負強さはあるものの、打たれると脆い一面も。
そんな彼女と野球チームを結成するまでのシナリオです。
基本的に戦闘はなく、野球の得意な部分や熱意をアピールし、楽しく練習するシナリオの予定です。
チームとして守備ポジション分けや分担は相談しておくとより成功するでしょう。
試合はしないとはいえ、チームワークは重要です。
全員ピッチャー希望とかだとチームはバラバラとみなし、失敗となる可能性もあります。
プリンセスは野球ができれば、ポジションはどこでもよく、控えにも回ります。
そういうわけで、一緒に野球をするためにどーんと集まってください。
もちろん、野球くわしく知らなくても一緒にプレイするならプリンセスは大歓迎です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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