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シナリオ詳細

秋の収穫に向けて巨大ロボットを作る依頼

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●山車を作ろう
 カムイグラという国に足をつけてからもういくつか時間が過ぎ去ったが、海向こうからやってきた我々とはちがった風習も多く、聞くたびに驚かされることばかりだ。
 その日も、夏も終わりに近いと言うのに、燦々と自己主張をする昼間の星を忌々しく思いながら、滝のように流れる汗を拭っているところだった。
 まったく、雲ひとつ無いという表現が恨みを込めて使われるのはこの季節だけではなかろうか。
 そのような炎天下であるというのに、大の男が何人も集まって、うんうんと唸っていたものだから、気になって声をかけてしまったのだ。
 灼熱の中で暑苦しい顔を突き合わせるものでもなかろうよ。日陰に行って、氷のひとつでも転がしたらどうだい。頭が冷えれば、良い知恵も浮かぶってものだろう。
 そう言ってやると、彼らは自分を指して「異人さんかい」と少し驚きながらも、悩みの原因を見せてくれた。
 そいつは木でできた、櫓のようなものだった。見事な意匠であり、車輪がついており、何人かで引いて運べるものであるようだ。しかしどうやら、そいつは壊れてしまっているらしい。
 無残なものだ。柱がポッキリと折れていて、どうやったって直しようがない。
 なんでも、それは秋の収穫を願う祭りで使うもので、山車というらしい。大掛かりであるために、今時分から確認しておくべきものなのだとか。
 そうしてこの暑い中、手ぬぐいで額を拭きながら蔵の扉を開いたところ、このような有様であったらしい。
 心当たりはあるのだという。村で徒党を組んでいた悪ガキ共が、とうとう野党まがいのことをやりだして、村で暴れるわ奪うわと騒ぎがあったのだ。
 幸いなことにそいつらはお縄を頂戴したものの、把握しきれていなかった被害がこれという次第である。
 こうなれば、イチから作り直すしか手段はない。しかし、日々の仕事に加えて祭りの準備となれば、それで手一杯であるし、こういったことが得意な職人のじいさまは、先日、腰をやって立つこともままならない。
 祭の主役がこうではと頭を抱えていたの、さっきの『うんうん』というわけだ。
 それならばと、胸をたたいて案を出した。
 こういう時のために、ギルドはあるのだと。

●ロボを作ろう
「そんニャわけで、山車を作るニャぜ」
 集まった面々に向けて、情報屋はそう言った。
 山車。祭で担いで移動する、屋台のようなものらしい。
 そうは言っても、どんなものかわからなければ手の出しようもない。
 しかしそこは情報屋。事前にある程度の基本となる設計図は借りていたらしく、それを使って説明してくれる。
「まず、全高20mの人型でね」
 よーし、ちょっと待て。なんだって?
 とりあえずストップをかけて、その設計図を見せてもらう。
 それは方眼紙に正面、側面、背面図が記載されたもので、人型ではあったが、より機械的にデザインされており、なんというかその、コクピットに乗って戦えそうというか、こいつ動くぞ、って言いたくなるというか、その。
「…………ロボ?」
 なんていうか、そんなものだった。
「じゃ、頑張っておくれよ?」
 …………これを?

GMコメント

皆様如何お過ごしでしょう、yakigoteです。

豊穣のとある地方で、お祭りに使用するための『山車』を作ってください。
山車は基本的な設計さえ守っていれば、好きな武装(に見える装飾、あと設定)を盛り込んでも問題がないらしく、むしろ推奨されています。
なんでも、山車は収穫のため、非収穫の邪神を撃退すべく、強くてかっこいい見た目や設定が必須なのだとか。
木材は用意されているため、切り出しから行う必要はありません。
なお、山車は非情に大きいので、皆で一台を作成することになります。
皆でパーツを手分けして作成し、そこに盛り込まれた造形や、自分で考えた最強の設定をつけて、等身大ガげふんげふん―――山車を作りましょう。

※山車は自分で動くことはありません。

  • 秋の収穫に向けて巨大ロボットを作る依頼完了
  • GM名yakigote
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2020年09月11日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
夜砕き
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
黒影 鬼灯(p3p007949)
やさしき愛妻家
リンディス=クァドラータ(p3p007979)
ただの人のように
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
レイニー・サーズデイ(p3p008784)
baby blue
八重 慧(p3p008813)
歪角ノ夜叉

リプレイ

●いつから年度行事と化していれば伝統と呼ばれるだろう
 どうして人型である必要があるのかと、村の風習を知らない旅客はそういう質問をしてくるものだ。それを答えることには内心うんざりしているところもないではないのだが、それでも、村に興味を持ってくれるというのなら、ありがたいことではある。よって我々はいつも笑って答えてやるのだ。ロマンだと。

 祭というのは、地方によって年に何度かあるものだが、秋に行われるそれは、ほとんどが実りを願ってのものである。どうぞ、どうぞ豊作を約束しておくれ。どうか、どうか荒ぶるままには何もしないでおくれ。
 そのような願いにはやはり、山車が必要なのである。起動する戦士のような山車が必要なのである。
「実りの秋に向けての『山車』作りってわけだ!」
『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)は張り切っている。本来、こういう仕事が外部の者にまわってくるということはない。本来が、一回り外から眺めているだけであるはずの山車。
 それをまさか、作ることを任されるというのだから冒険者という仕事はわからないものだ。
「良いねぇ、楽しく愉快なもん造りてぇなぁ!」
「ほぅ、ほほぅ……これはまた男児達が喜びそうな山車、こういうのを練達ではロボット? というのでござったかな?」
 記憶を呼び覚ましながら、『暗鬼夜行』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)は頷いた。街中で手でつかめる程度のものを、子供が持って遊んでいたのを見たような気がする。確かに、造形には格好良さがあったものだ。
「こういった創作は拙者の知り合いの方が得意なのでござるがさて、ちょっと考えてみると致そうか」
「山車……皆で担いで引っ張って動かす巨大な像か」
『魔風の主』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)は寡聞にしてその文化を知りはしなかったが、やはり異国のそれというのは情緒にあふれており、触れていて楽しいものだ。
 本来は職人の仕事。しかしこちらは八人もいるのだ。力を合わせればなんとかなるだろう。どうせなら、ずっと後まで残るものにしようじゃないか。
「邪神を倒して五穀豊穣をもたらす、強くて格好良い像を作ろうか!」
「俺は残念ながらガで始まってムで終わる物には疎いが……」
『章姫と一緒』黒影 鬼灯(p3p007949)はどうやら飲み込んではいけないお菓子の知識が乏しいらしい。いいか、言い出したのはこっちだが、全力で回避してみせるからな。
「一生懸命作りましょうね! 鬼灯くん!」
 その言葉に、鬼灯はしっかりと頷いてみせた。
「そうだね章殿、さぁ舞台の幕を上げようか」
 上げる準備をする仕事である。
「……少年たちの悪行の名残、ですか」
 事件そのものは終わっているとはいえ、その痛ましさに『妖精譚の記録者』リンディス=クァドラータ(p3p007979)は首を振った。
「村人さん達の大切なものまで壊してしまうのは、村人さん達にとっても悲しいお話、でしたね……」
 なれば、必要なのは慰めではあるまい。ここには、冒険者として来ているのだから。
「私たちで出来る限りのことはして差し上げましょう。ええ、最高の一機を!」
「ん、ミッション受領。ロボを作る。間違えた。山車を作る」
『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)は自分の発言をすぐさま訂正してみせた。
 そう、大事なことである。今から作るのはあくまで、山車なのだ。等身大の山車であるのだ。なんの等身大かは一切描写しないが、山車なのだ。
「作るよ、すごいやつを。ロボとして、負けられない戦い」
 オニキスは凄い張り切っていた。ロボだから、山車を作るのに凄い張り切っていた。
「豊穣の祭にロボ在りとは誰が言ったものか……いや、仮に誰も言ってなくてもやんのよ!」
『baby blue』レイニー・サーズデイ(p3p008784)からは意気込みを感じるが、作るのはあくまで山車である。自立機能とかコックピットとか変形システムは組み込まなくていいのだ。
「ま。ロボと言ったら男の子の浪漫だっていうからね。アタシの中の少年が目ェきらきらさせてるし頑張っちゃおうじゃないの?」
「山車って呼んでいいか迷いますが、強そうにすればいいんすね」
『歪角ノ夜叉』八重 慧(p3p008813)は一体どうすればこれを強く見せられるか考えているようだ。
「強そうといや、武神とか仏さんの像、多腕で武器もいっぱいだったりするのあるっすね。ソレみたいなモンと思えば、この山車も普通……いや普通ではないっすね」
 ロケットパンチとか出す方なら受け入れられただろうか。
「けど、ちょっとわかる気がしてきたっす」

●小さい頃確かに作ってみたかった
 しかし最近は、残念なことに山車業者も減っていってしまっている。村で唯一の職人は、弟子の宛もないそうだ。それんらばと手を上げたいところだが、こちらにも生活というものがある。この年令で内弟子などできるものではない。失われていく技術を惜しみながらも、手を差し伸べることは出来ないのだ。

 目の前に積み上げられた大小の木材の、山。山。山。
 今はまだ素材でしか無いこれらを見上げつつ、各々が構成を頭の中で形にしていく。
「さて、やるか」と誰かがつぶやいた。
 Vさ……げふんげふん、山車作りの始まりである。

●ビームは大事
 ところで、設定も必要な要素だ。その武器が実体剣なのか、ビームサーベルなのか。撃つのは実弾銃かビームライフルか。それともレーザーなのか。必要である。サブウェポンはどこに積んである。ナンバリングは決まっているのか。どこ社が製造したのだ。そういうところも、山車作りの醍醐味だ。

「ふう、こんなもんか?」
 ゴリョウは額の汗を拭きながら、自分が作り出したそれを見上げ、満足気に頷いた。
 口から頬にかけてを頑丈な面頬で包まれており、目は時折、音を出しながら緑色に光っている。牛を思わせるような雄々しい角付きの大兜を被せれば、誰もがこれを強い鎧武者のそれだと思うだろう。
 なお、全て木製である。祭当日に村人だけで運ぶことを考えると、重すぎて金属パーツを使用することなどできないからだ。
 ゴリョウは腕組をし、兜付きのそれを前に、一筋の汗を垂らしながら独り言ちた。
「……やっぱり武者ガ(この辺から検閲音)」
 考えないようにしよう。せめて色合いだけは遠のけようか。かといって白と紺で塗るわけにもいかないが。
 農家にとって馴染みやすい牛を模した構図。下がどの様になるかはまだ不明だが、出来上がりに満足したゴリョウは、胸を張ってみせる。
「ぶはははっ! いやぁ、流石に文字通り『顔』になるから緊張したぜ。良いもん出来たと自負はするけどな!」

 咲耶の指示に合わせて、大きな注連縄が運ばれてくる。
 今回の山車に合わせて特注されたそれは、巻きつける前から輪の形をしていた。
 御幣を揺らしながら届いたそれは、山車の『胴』の背につける予定になっている。大きな白い輪は遠くからでも目を引き、さながら後光が差しているようにも見えるだろう。
 紅と白、金で彩られた大鎧にまとわせれば、如何にも荘厳なものとなることは間違いないと確信できていた。
「これぞ名付けて『盧遮那天明胴・天照』! 十方世界を世界を遍く照らし非収穫の邪神からのあらゆる厄災を跳ね除けて人々を護る巨神の大鎧でござる!」
 ……スターゲいややめておこう。自分から危ない橋を渡る必要はない。
「うむ、良い仕事をした!」
 気づけば日も沈みかけている。本当に丸一日、これの作成にあたっていたのだ。
「色々作っていたらいつの間にか時間を忘れておった、偶にはこの様な事も良いでござるな」

 ウィリアムは今、指の関節構造を作るべく、カンナがけに勤しんでいた。
 武器をもたせるという構造上、後から指を動かせる仕様にする必要があったのだ。
 うん、だいたいこう、手の甲のパーツを外してそこから嵌め込む構造なんだよな。何がとは言わないが。
 しかしこれが難しい、硬すぎれば村人だけで動かすのは至難の業となり、緩すぎれば武器が安定せず、危険極まりない。五指を連動させた可動と握りこぶしを保持するためのロック機構。その調整には時間の大半を奪われていた。
 ようやく満足がいく出来となった頃にはカラスが鳴き、陽の光もオレンジのそれであることに気づく。
 昼食の時間も忘れて取り組んでいたそれらは今、作成された武具の類をしっかりと掴んでいた。
「よし、これぞ、邪神滅殺丸だ!!」
 ……。
 なんだろう、風が冷たい。遠くでなくカラスの声が大きくなったようにも感じる。
「……ちゃんとした名前はゴリョウとかが格好いいのを付けてくれると思う」

 かん、かん、かん、と。
 硬く、形を整えられた木がぶつかる音がする。
 鬼灯が木槌を鑿に当てているのだ。
 ひとつ彫っては角度を変え、ひとつ彫っては角度を変え、鬼灯は巨大な鎧武者に装飾を施していく。
 出来上がったパーツから順に彫り進めているため、小さな(それでもサイズがサイズだけに大きな)模様を継ぎ足すように入れていく。各々が思い思いに作ったそれらが、彫り物と合わさることで、もとよりひとつのそれであるかのようだった。
 かん、かん、かん。
 今こさえているものは、製作者の名前付けのようなものだ。この彫りは誰の手によるものなのか。全体を崩さない、目立たぬ場所により小さな模様を刻んでいる。
 それはツタが絡み、花弁が円を描くように開いた――。
「まあ! 薔薇のお花だわ! 素敵! ありがとう鬼灯くん!」
「ふふ、章殿が喜んでくれるなら俺も嬉しいよ」
 かん、かん、かん。
 まるで庭園の鹿威しのように、それは断続的に響いていく。
 かん、かん、かん。

 リンディスはぎぃこぎぃことノコギリを引いている。
 彼女が担当している三本の腕は既に完成していたが、今あらためて、上腕にあたるパーツをふたつに別けているのだ。
 気に食わないところがあったわけではない。作り直しをするわけではない。この腕パーツをさらに高みへと押し上げるための改造を施すのだ。
 縦に分かたれた腕同士を繋ぐ機構を加え、一見ではひとつのそれに見える。切断面も、それだけではモールドにしか見えないだろう。
 さらには上から布が当てられ、外からではわからなくなっている。
 これは有事の際の隠し腕だ。
 非収穫の邪神と戦う以上、計六本の腕では苦戦を強いられる可能性もある。相手に合わせて武器を換装する必要もあるだろうが、そうすれば一時的にも戦力は半減してしまう。それをサポートするための隠し腕なのだ。これがあれば、戦闘中の武器の切り替えもボタンひとつで可能となる。
「布で隠した意味、ですか……? 切り札は、最後まで取っておくものだと聞きましたから」

 オニキスは完成した二本の筒をじっと見上げていた。
 それは両肩に取り付ける大砲である。もっと今風に、キャノン砲といってもいい。キャノンが今風かはしらないが。
 木材をくり抜かれて出来上がった漆黒の大筒は、前方よりもやや上を向いて設置されている。キャノン砲は曲射を行うものであるからだ。放物線を描いて榴弾を発射し、邪智暴虐なる神を無情にも吹き飛ばしてくれるに違いない。
 山車の全型からすると、やや大きく作りすぎた感もあるが、問題はないだろう。いつだって大は小を兼ねるのだ。
「キャノンはすべてを解決する……!」
 そう、キャノン砲があれば問題はない。
 表情を見せないはずのオニキスの顔はしっかりとキャノン砲に釘付けになっており、心做しか、その瞳もキラキラと輝いているようにも感じられた。
「すごい。これなら勝てる。ジ……邪神に」
 そうだ、これがあればあのジ……邪神にだって負けはしないのだ。

 もうひとり、大砲を作ってるやつがいた。
「やっぱりでっかい大砲がオトコの浪漫よねえ」
 レイニーが作ったそれは、非常に太く、長く出来ており、見るからに大火力を噴射すると思われるものだ。
 先程のキャノンが常時装備なら、これは換装用なのだろう。巨砲過ぎて、通常装備とするには過大であるからだ。
 それに、肩に担ぐような形にはなっていない。大きすぎてぐらつきやすいため、その左右を支えるための土台がしっかりと重なっている。
 何せ、砲口が一際太く作られているのだ。おそらくは、発射時の負担を軽減するためのものだろう。
 ……もう少しギリギリの描写が浮かんだけどやめとくね。
「オイオイ、これ良く見たらネオストロング麻呂サイクロンジェット麻呂砲じゃないの。完成度高ーなオイ」
 こいつ、本家より想定しやすい名前にしやがった。
「コイツで何処ぞの領主が屋敷ごと吹っ飛ばされたなんて逸話はあったりなかったりのヤベェ奴よ」
 で、どこにつけんのこれ。

「強くて重い上半身を支えられそうな、太くてしっかりした力強い脚にしたいっすね」
 慧の作った脚部パーツは、なんというか、しっかりとダムができていた。
 ダムが何かは言うまい。世の中にはギリギリの橋というものがあるのだ。
 しかしやはり、強く、そして靭やかに見える脚は、どんな悪路でも走破する強さが伺えた。
 そして安定感だけでなく、速さも求められる。非収穫の邪神の邪神が田畑を襲うとき、混沌のどこにいようとも駆けつけてくれるような、速さが求められるのだ。
「砲みたいなので飛ぶのありましたよね、それ逆さにして足の横に付けるとかどうっすかね」
 バーニアである。そこにたどり着いたことに、見学に来ていた村人が感心したように頷いた。
 全体を見れば小さなアクセントに過ぎないバーニアパーツであるが、その細部をどこまで凝るかがモデr……山車職人の腕の問われどころなのだ。
「意外と、海や世界の向こうにも、この国と近いものあるんすね。面白いなぁ」

●守護神
 これであと十年は戦える。

「なんと、これは……」
 腰を痛めていたという職人は、何日かぶりに家の外に出ることが出来た。
 まだ杖をつく必要はあるものの、やはり破壊されたという山車が気になっていたのだ。
 聞けば、冒険者にその製作を委ねたというではないか。
 やはり跡継ぎは必要かと頭を悩ましていたのだが、完成したそれを見上げ、思わず呆けてしまった。
 作りは、荒い。しかし、情熱が込められたとひと目で分かる六腕の山車は、それを補って余りあるだけの猛々しさを持っていた。勝てる、これで邪神にも勝てる。
 その年の祭は、例年よりも大いに盛り上がったという。

 了。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

村のシンボル。

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