PandoraPartyProject

シナリオ詳細

子のぱんつ親知らず

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●また送られてきたよ、使わないのに
「なんでこんなに頻繁に送ってくるんだよ……そんなに使わないだろ……」
 また実家からアレが送られてくる季節がやってきた。
 幻想首都の片隅に借りた狭い部屋の中で、男は頭を抱えていた。部屋には溢れんばかりの____があり、男は決してそんなものを使わないので悩んでいる。
 悩んでいるのだ。未使用新品で送られてくるから。そんな数、毎日使っても使い切れないのだ。ほら、使って終わりじゃないから。
『カザムへ
 暑くなってきましたね。股間は蒸れていませんか。あなたは10歳までお漏らしをしたし汗っかきだし酷い時にはおもらししたかと思うくらい股間を汗で濡らして帰ってきましたね。
 お母さんは心配です。またかぶれて足を腫らしてくるんじゃないかって毎年悩んでいます。だからあなたには下着とも呼べない下着を穿いてほしくないのです。
 お母さんにできるのは何度替えても大丈夫なように沢山送ってあげることです。大事に使いなさい。母』
 使いなさいじゃなくて。
 子供の恥ずかしいエピソードをなぜ克明にしたためるのか。見られたら終わりだよこんなもの。
 毎年毎年粉をすりこんで布地に余裕のあるズボン――旅人が「ボンタン」と呼んでいた――を穿いて誤魔化しているというのにこの母はなんてことをしてくれるのか。悲しくて涙が出るよ。
『追伸 今年は蚕様もお前のものが作れると上機嫌でしたので市場に卸しました。よかったね』
 何一つよくなかった。
 斯くして、青年カザムは大都市メフ・メフィートに出てきたというのに家を押しつぶさんとするぱんつ……ブリーフの山をなんとかするために、夜の街へと飛び出すことになったのだ。

●怪奇! 全身シルクブリーフ男!
「最近、メフ・メフィートに毎晩のように変態が現れるようになりました。由々しき事態です」
「そうはいっても、メフ・メフィートに拠点を置くローレットのイレギュラーズに変態って呼ばれて反論できない奴もいるし……」
 『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)の言葉に、イレギュラーズはばつが悪そうに顔をそらしながら返す。「でも世界の役になってますし」という厳しい反論はなかったことにする。
「で、具体的にどう変態なの?」
「全身がシルク製のブリーフに身を包んでいます。頭も顔も隠しています。ブリーフで」
「変態じゃん」
 変態じゃん。
「でも実際、穿いているのはトランクスらしいです」
「穿けよブリーフ。なんのために身に着けてるんだよ」
「正体を隠す為と、配るため。そして下半身からしとどに吹き出す汗の対策のようです」
 配るためかぁ、気持ちよさそうだもんねっておもったイレギュラーズの同情は一瞬で無に帰した。返せ。この気持を返せ。
「でも本当に、毎晩色んな場所にシルク製ブリーフをばら撒いているんですよ。そのせいでブリーフに目覚めた変態達が彼を捕まえようとする人々を妨害して回っているので事態が拡大しています」
「えぇ……」
「中には、イレギュラーズではないのに凄く鍛えぬかれた筋肉モリモリマッチョマンでブリーフを股間、顔、肩に装備した変態が……」
「股間は通常利用だろ、許してやれよ」

GMコメント


 使いでのない大量のぱんつを送るのはやめようね! (ギルなんとかさんを除く)

●達成条件
 シルクブリーフ・カザムの捕獲(一般人なので殺しはNG)

●シルクブリーフ・カザム
 本来は普通に善良な幻想首都市民で、実家が養蚕業を営んでいるらしい。別に親に織物の才覚はなかったはずだが、子供のためにめっちゃがんばったらしい。
 とても汗っかき。鼠径部から下からめっちゃ汗を発散するので近付くだけで汗がひっかかったり(混乱)、目に入ったり(暗闇)その他偉いことになる。
 なお攻撃時もシルクに触れてしまうのでうっとりしてしまったり(攻撃時抵抗判定。攻撃者に恍惚付与)する。
 これでもそこそこ鍛えているため、簡単には倒れない。

●シルクブリーフ狂信者×めっさおる
 カザムが毎晩配って回ったブリーフでイケないことに目覚めた人々。頭肩股間にブリーフを装着している。
 概ね有象無象の若者だが、たまに軍人上がりだったりめちゃくちゃ目がよかったり素早かったりする者がおり、指揮をとるでもないのでカオスが加速している。
 一応NORMALなので、油断したらパンドラがブラジルワックスつけた鼻毛ぐらいごっそりいく。

●戦場
 幻想首都・夜。
 既に人々は適度に混乱の渦中(でもあくまで首都の超ごくごく一角の話である)。
 一般人への攻撃はやめようね。

  • 子のぱんつ親知らず完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年08月01日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者
アラン・アークライト(p3p000365)
太陽の勇者
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め
ヴォルペ(p3p007135)
満月の緋狐
カナメ(p3p007960)
毒亜竜脅し
ソニア・ウェスタ(p3p008193)
いつかの歌声
シュヴァイツァー(p3p008543)
宗教風の恋

リプレイ

●本当になんでこんなことに
「シルクのブリーフ……? そんな上等そうなものを配り回るとかなんのために……」
「え、とうとうギル○→が乱心? 違う? そっかー」
 『魔動機仕掛けの好奇心』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)は純粋に、カザム青年の行いの真意をはかりかねていた。
  他方、『名支援者』リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)は問題の事態をひとしきり情報として聞き、主犯の名前を聞いてなお、ローレットの情報屋の関与を疑ってかかっていた。まあ、要するにチャロロには理解の領域外の出来事だし、理解しても同僚を疑う程度には信じられない事件なのである。
「とんでもねぇところに来てしまった……」
「へ、変態だー!ぱんつが、ぱんつで、あの、うわぁぁー!」
 『勇者の使命』アラン・アークライト(p3p000365)は既にこの依頼にいるという絶望で膝を折っているし、『二律背反』カナメ(p3p007960)は割とあっさり正気を手放しかけている。本当に、この依頼を希望する人間なんて倍率2倍を切っていたのに何故彼らは敢えてこの依頼を選んだのだろう。アランがぱんつ墜ちとか出来れば一度として書きたくなかった題材だよ。もう少しシリアス畑にいてくれよ。情緒が複雑骨折するだろうが。
「何でわざわざブリーフを被るんだろうね? 汗っかきだっていうなら脱いだ方が早いじゃん」
「えぇ……何なんですか……何で被るんですか……」
 『満月の緋狐』ヴォルペ(p3p007135)の冷静な突っ込みに、『勇気は勝利のために』ソニア・ウェスタ(p3p008193)は心から理解できない面持ちをしていた。男物の下着を男が被る。穿くのではなく。
「お父様が昔、お母様との賭けに負け、罰ゲームでお母様の下着を被ったまま1日過ごしたことがあるとは聞いたことがありますが……」
「いやそれも大概だろうがよ! 誰も止めなかったのかよ?!」
 ソニアの聞きかじった話は、アランの突っ込みも妥当である。
「人を狂わすほどのパンツって何なんだろうな……」
「シルクなぁ。確かに肌触りは素晴らしいし、その感触を味わい続けたいが為に被ったりしてしまうのは……まぁ、ギリで分からんでもない」
「分かるんだ……」
 『宗教風の恋』シュヴァイツァー(p3p008543)がよくわからないとばかりに首を捻ると、『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は暫し考え込んでから条件付き肯定みたいな意見に至った。アリなんだ……。
「だが、人々に迷惑をかけるのは頂けないな!」
「戦闘力を見ても気を抜けない相手のようだ。褌締めていこう。下着だけに」
 シュヴァイツァーのどこか深刻そうな声音に、しかし汰磨羈は相手に両手人差し指を突きつけ「こいつぅ~」みたいな顔をした。シュヴァイツァーもまた、似たようなジェスチャーを取りつつ笑った(らしい)。よく分からんが波長が合う2人である。
 で、まあメフ・メフィートもそれなり騒ぎになっている。小規模とはいえ変態絡み。できるだけ早いうちに解決したい。
「俺はあちこち回って狂信者共をぶっちめて行く。本人もいい感じに探し出してやらァ!」
「おにーさんもついてくよ、殴るだけ殴って放置よりも少し優しくしてやった方が情報を引き出しやすいだろう?」
 アランが鼻息荒く駆けだしていくのを、ヴォルペはウィンクしながら去って行く。完全に2人の警官メソッドだが、彼の顔の良さと立ち回りの巧さを考えれば割とすんなりいきそうなのが怖い。
「……まあ、変な人が相手なら仕方ありません。必要とあらば私も変な人になるしかないのでしょう……」
「私はパンツ禍に近づきたくないから皆の強化と支援に徹するね……近づきたくないから……」
 いい感じに瘴気が削れてきているソニアとは別に、リアナルは自分が狂人紛いの行為に身を置くことがどうしても許せない様子であった。
 まあ、普通はそうだ。狂人をなんとかしたいからって「狂人の輪に入って自分たちも仲間みたいなツラして内部崩壊を狙おう」とか、普通の神経じゃとても思いつかない。よしんば思いついたとして、実行しようとする人間がどれだけいるというのか。
「この辺に履き心地のいいぱんつを配ってる人がいるって聞いたんだけど……」
「えっ……? ああ、あの変態の人は動き回ってるから分からないけど似たような変態の集団なら……あっちに……」
「ありがとう! 助かったよ!」
 チャロロとか普通に聞いてるけど。なんか一般市民ドン引きしてるけどどう見ても「シルクのパンツに魅力を感じた狂人」の振る舞いにしか見えないが、狂人同士の横のつながりが見受けられないのでギリギリ狂人じゃなくてセーフ! みたいな扱いになっている。まあショタだし。
「カナも人捜しに回るけど…………でも、ブリーフって堂々というのも、ちょっと恥ずかしいかなー……って」
 正常な反応がきました。これが普通だからな。カナメ別に悪いことじゃないからな。ハイ・ルールも実際その辺寛容だと思うから。マジで。
 この辺割と常識人と狂人のあわいみたいなところになっている(チャロロのリアクションがリアクションなので)が。イレギュラーズには往々にして、ブレーキを忘れた連中が存在するのだ。
「聞け! シルクをこよなく愛する者達よ! 我もシルクを愛する者。共に、心行くまで熱いシルク語りをしようではないか!」
「君達は配っている御仁を知っているのだろう? ガスマスク付けてウェディングドレス着て、ポン刀持ってブリーフ穿いている女を見たければ、配っている人を紹介してくれないか?」
 夜とはいえ街の往来で堂々と、狂信者の姿が分からないというのに大声でこんなことぶちまける汰磨羈と、近くに隠れ狂信者みたいなやつを本気モードのノリで気付いては勧誘めいた近付き方で聞き込みをおっぱじめるシュヴァイツァーの2人を見ると、正直狂気だの正気だのという表現がどうでもよくなってくる。
「俺は正直、見たい」
 ブリーフ穿いてるのを見せつけにいったらもう深夜アニメとか月曜8時の儀式とかと〇りの〇ング(以下略)みたいな領域に突っ込むから少年誌ってレベルじゃないと思う。ドレスの上からじゃ見えないからえげつない性的嗜好じゃん。

\シルク狂い集まれー☆/
\\\おおおおおおおーーーーっっっ!///
「近づいてこないで……マジで……!」
「もうインパクトしか……ないよ……??」
 カナメとリアナルはすでに限界を覚えつつあり、目が死にかけている。なお、その頃アランは汰磨羈のもとへ押し寄せる変態の波の支流に遭遇してヴォルペ共々交戦中なのだが、彼は悪くないと思う。
 むしろこの事態を予想できた奴がいるなら是非教えてほしいもんである。


「ここにくれば素敵なブリーフが貰えるって聞いたんだけど、配ってる人を知らないかい?」
「…………」
 ヴォルペの問いかけに、ブリーフで口元を覆った男は静かに北を指さした。そちらを駆け回っているというのか。素直だなこの反応。
「あっち? あっちだな、よし! ……とっとと見つけてブリーフをもらいに行くぞクソが!!」
 交渉と言う名の交戦。無闇矢鱈と武器を振るうだけがイレギュラーズではない。歓喜や恍惚といった感情をばらまく相手を前に力業は分が悪いというヴォルペの説得とアラン自身の理性が、ギリギリ実力行使を止めさせたのである。
「……あいつらに信者達任せていいのか?」
「おにーさん達がカザム青年ひとりを相手できるかっていうと楽じゃないのと一緒だよね」
 アランの困惑混じりの言葉に、ヴォルペは肩をすくめて応じた。
 目的地へ向けて駆ける2人の前に、ひらりとぱんつが舞い降り……。
「俺たちも汗っかきはなんだ! 毎日毎日汗でぐちゅぐちゅして気持ち悪いんだよ……! そのブリーフを俺たちにもくれよ!!」
 アランがブリーフをふん掴みながら、頭上の影めがけ呼びかける。ひきつった笑顔に感じられる悲哀は、なんというか……ちょっと主人公(仮)……?

「……ヴォエッ」
「大丈夫ですかシュヴァイツァーさん? ……えっと。『私は体調を崩してブリーフを受け取りに来られない知人に変わって分けていただくためにやってきました』! カザムさんのためにも皆さん、暴れないで落ち着いてください!」
「マニアックでも何でもいい、シルクのぱんつに魅了された同士達! お前達も語りたいことが溜まっているだろう! いくらでも聞くぞハイ次そこのパンツ被り頭! その次はパンツつぎはぎシャツ!」
 狂信者が集まってきたことで混乱が増すなか、シュヴァイツァーはダメ元で嗅覚を駆使してカザムを探そうとした。位置を特定できたが、彼女は拭いがたい不快感を得てしまった。
 ソニアはどことなく棒感が強い言い分だが、同士を求めている狂人どもにはそれすらも愛嬌と感じられた模様。
 汰磨羈が次々と変態達を制して思うさま語らせようとする傍ら、目配せで一般市民に避難を促す。「暑いな!」とかいいながら自分のぱんつ(シルク)を惜しげもなく見せつける彼女の姿は非常にアレだが、狂人どもを信頼させるためには仕方のないことなのだ。仕方ないじゃないが。
「……この茶番、いつまで続くのかな♪」
「避難が続くまでちょっと静かにしてようね」
 カナメとリアナルはこう、なんて言うか演技出来るわけでもないので仲間達の狂いぶりを見ているしかない。待ってろ2人とも、戦闘になったら君ら大活躍だぞ(効果は保証しません)。

「やあ、君が素晴らしいブリーフを配り歩いている素敵な子かな?」
「俺には無用の長物だ。俺はトランクス派なので配っている」
 ヴォルペの問いかけに、全身ブリーフの変態……カザム青年はぶっきらぼうに応じた。しとどに石畳を濡らす汗と両手に持ったぱんつを見る限りなんていうか『無用の長物』ってコメントもむなしい。アランと駆けつけたチャロロの表情たるや。
「うんうん、良いブリーフだ。質もさることながら愛情に溢れているのを感じるよ」
「要らないものを押しつけるだけの親の愛など、俺に要らぬなら分け与えるしかないんだよ……! ほっといてくれ!」
「じゃあ燃やせばよかったじゃねえか! なんで配ろうとおもった?!」
「あなたの気持ちは分かるけど、あなたのやってることは街の風紀を乱す変態行為だよ!」
 ヴォルペの洞察も正しければカザムの主張も理解できるが、アランとチャロロの言葉がド正論すぎる。チャロロは主張を続けつつ、周囲に油断なく保護結界を展開している。戦うことは覚悟しつつ、市民は守りたい。情熱を感じる対応である。そしてアランは(形だけ)ブリーフをぶんどるように受け取りつつ、カザムへ向けて武器を構えた。そこにきて、カザムは顔をしかめ。
「……成る程、今のやりとりのどこまでが嘘でどこからが本音だ?」
「おにーさんはカザム君のお母さんの愛情は本物だと思ってるよ。ほしいかは別問題だけどね」
「貰ってやってもいいが暖炉の薪だな」
「……オイラはノーコメントだよ」
 カザムは三者三様の本音を引き出すと、戦闘態勢に入る。彼の流派は――語るまでもなかろう、『ぱんつ戦闘術』!!

「ムッ……教祖様の危機?!」
「いやどのタイミングで気付いたのか凄く疑問なんだけど教えてほしいな☆」
 カザムと3人が戦闘態勢に入ったのと時を同じくして、狂信者達はその動向を察知する。原理は不明だが。
 カナメは行かせまいと挑発的な表情で狂人達に誘いをかけ、狂信者達もまた彼女の挑発にまんまと乗せられ、襲いかかろうとする。
「あらよっと」
「水生木の力を見よ、験禳・咆靂哮湃!!」
 が、そこはシュヴァイツァーと汰磨羈の行動力で次々と叩き伏せられていく。信者達の頑健さと根性、そして数の多さから一気にとはいかないが、それでも一同の被害は想定よりだいぶ少ない。
 ……尤も、ここで信者にかかずらっていればアランら3人の身も危うい。
 彼らを撃退する速度を上げるか、あるいは……。
「ソニアっち! あっちに向かってくれるよね☆」
「……! 分かりました、皆さんご無事で!」
 カナメは残った信者達を己の元へと誘い込み、街道の中に明白な道を生み出す。
 それに気付いたソニアは、その道を駆けアラン達の元へと走る。直前にリアナルの支援を受けたことで、彼女の魔力消費は驚くほど少なく済んでいる。……つまり、カザムと戦う仲間を存分に治療できると言うことでもある。
「変態達の相手はそろそろ飽きた……っていうか見てらんないから、私もできればあっちに行きたいなあ……」
「言われなくともあちらに向かわせてやる! 私たちともどもな!」
 リアナルの口惜しそうな言葉に、汰磨羈は次々と狂信者を倒しながら応じる。取り敢えず全員、なんとか生きている……まあ一般人だし。
「ぐぅぅ……嗅覚に休暇くれ、カザムはあっちだが……」
 シュヴァイツァーはギリギリだめそうだった。

「くっ、加減が難しい…!お前ら殺さねぇから斬られろ!!」
「言われるままに斬られるわけにはいかんだろうが! 官憲に引き渡されるのなど御免だ!」
「親からの無償の愛は時に家を押しつぶすブリーフくらい重たいものかもしれないけれど、君も大人になったのならそれくらい背負えるくらい立派な男になればいいのさ……出来ないわけじゃないだろう?」
「オイラもブリーフ穿いてたから気持ちはわかるけど、変態行為なことには変わりないよっ!」
 アランは加減をしつつの不利な戦いで、しかもカザムの戦闘術に対応しつつ、という非常に難儀な戦いを強いられていた。矛先のほとんどをヴォルペが受けているとはいえ、その動きの不快感は隠せるものではないだろう。
 ヴォルペは説得に関してはひときわ上手いが、しかしカザムは聞く気がそれほどなさそうだった。チャロロは……なんか彼自身もダメージ負ってる気がしないでもない。同情で。
「大丈夫ですか? 今治療します…………ヴォエッ」
 ソニア、駆けつけて治療に回ろうとしてカザムのアレっぷりに吐き気を催した。
 それでもきちんと治療してるあたり本当にこの子は熟達のそれである。
「汗腺から感染する病気にでも罹ったらどうするんだい! もう少し別の対策があったんじゃないのか?!」
「そうだそうだ! そんなに質のいいぱんつなら売ってしまえばよかったではないか!」
 シュヴァイツァー、ここぞとばかりに駄洒落を発す……んだけど割と的を射た意見なのがまた。汰磨羈もそれに同意を示し、カザムを指さす。
「えっ……売る……?」
「考えてもいなかったのかよ!?」
 完全に予想外の問いかけに硬直したカザムは、完全に無防備――これならアランでも殺さぬ程度になんとかなる!
「死ねオラーッ!」
 ……いや、殺さないでね頼むから。

「まぁあれだ。ギル○スにパンツを送ると良いよ…あそこはすべてのパンツが集う場所……パンツの墓地……」
「いや、普通に売って汗対策のなにかを買うといい。ばらまいたとしても価値は落ちてないだろうし」
 リアナルの口を塞いだ汰磨羈は、カザムを懇々と説得する。
 神妙な面持ちのチャロロと全体的にしてやった感漂うシュヴァイツァーはさておき、一同はなんとか首都から変態を一人減らせたことに胸をなで下ろすのだった。

成否

成功

MVP

仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式

状態異常

なし

あとがき

 結構すぐ脱げるんですね……。

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