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シナリオ詳細

Destroy the goblins!

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 傭兵某所。
 広がる荒野へと、多数の小鬼達が集まっていく。
 いずれも一般的な人間種の背丈の半分ほどしかないのが特徴的だ。
 多くは緑の肌をしていたが、中には青、黒、赤と異なる色の個体も交じっている。
 凶悪な面構えをしており、粗野で狂暴性の高いこの生物はゴブリンと呼ばれ、混沌においてもかなりの勢力を築いており、散発的に村や冒険者、行商人などを襲うことで知られる。
 巣穴でその勢力を密かに拡大している連中も少なくなく、そうした勢力は他種族の女性などを連れ去り、数を増やしているというから穏やかではない。

 ただ、こうして荒野に相当数のゴブリンが集まるのは非常に珍しい。
 多少群れを成してもせいぜい2~30程度であることも多い。
 だが、荒野には百を優に超える群れが集合している。
「聞け、我が同胞たちよ!!」
 声を荒げたのは、群れを統率する族長ゴブリン。
 精悍な顔立ちをしており、全身に入れ墨を入れたそいつはシャーマンでもあるのだろう。
「我らが何もなき荒野で、こうして耐え凌いでいるのはなぜか。それは密かに決起の時を待ち、人間どもに目に物を見せてやる為に他ならない」
「「「オオオオオオオオオオオオ!!」」」
 流暢に喋る族長の言葉に、ゴブリン達が一斉に吼える。
 これまで、ラサの傭兵隊やローレットなどに苦渋を舐めさせられている個体も少なくないようだ。
 それだけに、人間達に対する恨み辛みは非常に大きいようである。
「もうじき、我等の戦力は整う。手始めにあの人間どもの町を狙う」
 族長が指し示す方向にあるのは、とあるオアシス。その湖畔にある織物で知られるエルミーツの町だ。
 杖で荒野の地面を軽く叩いた族長。すると、周囲に地響きが起こる。
 それだけでこの族長の力が非常に大きいことを感じさせ、ゴブリン達は族長に平伏する。
「我等の力を示すべき時は近い。各自、決起の時に備えるのだ……!」
「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」」」
 ゴブリンどもが一際大きく猛り、吠える。
 自分達の力を、この世界に蔓延る人間どもへと見せつける為に。


 幻想ローレット。
 緊急で届いたその知らせに、イレギュラーズ達の反応は様々だが、驚きを見せた者は少なくない。
「傭兵の地で、多数のゴブリンどもが決起の準備をしているそうだよ」
 情報を知らせるべく、一度幻想まで戻ってきた『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)。
 彼女はできるだけ多くの手が欲しいと、イレギュラーズ達へと助力を乞う。
 ゴブリンは相当な数がいると見られており、荒野へとその戦力を集めているという。
 彼らの狙いは、ラサの中心にほど近いオアシスの町エルミーツ。
 織物を特産とするこの地で生産された絨毯は高級品として知られ、代々職人がこの地で引き継ぐ技術によって生み出された一品は、ラサでも愛用者が多いのだとか。
 斥候を行った傭兵達の話によると相手は本気で、この町の制圧を考えているらしい。
 なにせ、相手の名感は命を捨てて特攻する自爆ゴブリン、ゴブリン砲なる個体もいるという。
 今のうちに食い止めねば、エルミーツに甚大な被害が及ぶ可能性すらあり得る状況なのだ。

「部隊は大きく3つ。町を強襲する為の部隊、迎撃の為の地上と特攻の混成部隊、そして、族長を守るための一般、近衛部隊さ」
 まずは町を守る為にも、強襲部隊を叩きたい。
 まだ、相手は戦力を整えている状況だ。荒野へと仕掛けていけば、ゴブリン達も自分達の目論見に気付かれたと襲い掛かってくるはずだ。
「戦場は何もない荒野。見通しが非常にいい場所だよ。相手もその空間を存分に生かしてくるはずさ」
 強襲部隊は手足の生えたサメを駆るゴブリンライダーを中心に、一般兵と斥候兵で編成される。
 下手に空を飛ぶと弓矢やゴブリンライダーに襲われてしまう為、上手く立ち回りたい。
「目標は強襲部隊を指揮する鼓舞指揮ゴブリンの撃破さ」
 こいつを撃退、もしくは撃破できれば、強襲部隊は退くはず。次なる部隊との交戦に臨むことができるだろう。
 戦況が進めば、改めてオリヴィアはイレギュラーズ達へと状況説明を行う手はずとなっている。できればそれを待ってから次なる戦いへと向かいたい。

 なお、この戦いにはラサの傭兵も協力してくれるが、彼らだけではとても出ないが対処できる数ではない。他にも各地で放置できぬ事件は多数起きており、今回のゴブリン達の決起に注力できる者は決して多くなかったのだ。
「だからこそ、アタシらローレットにお株が回ってきたのさ」
 どうやら、オリヴィアも戦場に立って戦うつもりらしい。それだけ人員は足りないということか。
「ともあれ、まずはエルミーツを守る為、強襲部隊の討伐だ。よろしく頼むよ」
 オリヴィアはそうイレギュラーズ達へと願うのだった。

GMコメント

 ローレットイレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 初のラリーシナリオをお届けいたします。

 こちらは、レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)さんの関係者として登録されたゴブリン達です。
 どうやら、一族を統べる族長の元、集団で傭兵達へと喧嘩を吹っ掛けてくるようです。
 皆様の力で撃退、撃破を願います。

●ラリーの展開予定
 全ての敵がゴブリンです。
 それぞれの章で戦うゴブリンの種類は決まっております。
 数の表記がある敵はそちらのみ。
 表記がない敵は総数が不明となっております。

 なお、次章に進んだ後、1日程度で第1節を執筆、状況説明を行います。
 そちらをご確認いただいてから、2,3章のプレイングを執筆していただければ幸いです。

<第一章>========================

 障害物のない広い荒野が戦場です。
 ラサのオアシスの一つ、織物の街エルミーツを守る為、強襲部隊の指揮を執る鼓舞指揮ゴブリンの討伐が目標です。
 ゴブリンライダーの強襲に合わせ、一般兵と斥候兵が合わせて仕掛けてくるので、冷静に対処して叩きたいところです。

●強襲部隊
◎強襲本隊
・ゴブリンライダー
 手足が生えて両生類を思わせる姿となったサメを狩るゴブリンです。素早く跳躍し、頭上から敵へと食らいつきます。

◎一般襲撃部隊
・ありふれたゴブリン
 全章に登場する一般兵です。片手剣、片手斧などを振るいつつ、盾でしっかりとガードもこなし、継戦能力にも優れます。
・斥候ゴブリン
 文字通り斥候役。弓を得意とし、その鏃には様々な毒を塗り、相手を動きを止めたり、弱らせたりします。

◎指揮官
・鼓舞指揮ゴブリン×1体
 最初の部隊の指揮を執ります。
 自らは動かず、ドラムを叩いて自軍の支援を行います。
 場合によっては、敵陣へと地割れや雷を起こすことも……。

<第二章>========================

 荒野の岩場地帯で地上隊が抑える中、岩場から特攻隊が襲い掛かってきます。とりわけ爆撃をうけると致命的なダメージになるので油断は禁物です。
 こちらの部隊も、鼓舞指揮ゴブリンの討伐が目的です。

●地上、特攻混成部隊
◎地上隊
・ありふれたゴブリン
 全章に登場する一般兵。数で相手を圧倒し、後述の特攻隊の支援の為に足止めをはかります。
・守兵ゴブリン
 屈強な鎧と盾で身を固め、槍で攻撃しつつ相手の足止めを行います。
・斥候ゴブリン
 一章に引き続き登場する斥候兵。岩陰に隠れて敵を射抜き、場合によっては後述の特攻隊の援護射撃、起爆などを行います。

◎特攻隊
・自爆ゴブリン
 タル爆弾を担いだ自爆特攻を目的としたゴブリンです。
 状況によっては爆弾を切り離して退避することも……。
・ゴブリン砲
 自らが砲弾として特攻します。
 まさに自爆特攻。命を惜しまずに攻めてくる危険な相手です。

◎指揮官
・鼓舞指揮ゴブリン×1体
 全章に登場。支援強化と範囲攻撃。部隊の統率を行います。

<第三章>========================

 荒野の地下空洞での決戦です。残る勢力を全て投入してきます。
 一、二章で残っている相手も、ありふれたゴブリン、ゴブリン戦士となって編成され戦力投入されます。

●ゴブリン全軍
◎一般部隊
・ありふれたゴブリン
 全章に登場。片手武器+盾で攻めてきます。最も数が多い敵です。
・ゴブリン戦士
 三章のみ登場。一般的なゴブリンよりも戦闘能力に優れます。大きな斧やフレイルを使い、力で攻めてくるゴブリン族の戦士です。

◎近衛部隊
・守兵ゴブリン
 二章に引き続き登場。鎧と盾で身を固め、槍で攻撃。ここでは族長の周囲を固める近衛兵です。
・鼓舞指揮ゴブリン×2体(一、二章で撃退となった敵がいれば、プラスされます。最大4体が相手になります)
 全章に登場。支援強化と範囲攻撃。族長ゴブリンの傍で守兵の支援強化に当たります。

◎指揮官
・族長ゴブリン×1体
 三章のみ登場。群れを統率する族長、自然を操る術を使う恐ろしい相手です。

●NPC
◎ラサの傭兵達
 参戦できる2~30人程が参戦します。
 基本、ゴブリン一般兵とは互角以上に戦える力がありますが、数が多いこともあって、どこまで戦えるかは彼らも分からないようです。
 傭兵達に負けぬよう、ローレットの存在感を示したいところです。

◎『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)
 ご指名があれば共同戦線をとりますが、なければローレット勢に紛れて戦っていると思います。
 シャムシールを使った近接戦だけでなく、水の術を使った射撃攻撃も得意としています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします!

  • Destroy the goblins!完了
  • GM名なちゅい
  • 種別ラリー
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年08月02日 19時18分
  • 章数3章
  • 総採用数65人
  • 参加費50RC

第2章

第2章 第1節


 エルミーツの街への襲撃を食い止めた混成軍のメンバー達。
 だが、まだ今回の強襲を凌いだにすぎず、逃げた敵の先にはまだ多数のゴブリン達がいるはずだ。
 メンバー達は態勢を立て直しつつ、進軍してゴブリン達の掃討へと向かっていく。

 ゴブリン達が待ち受けていたのは、荒野で岩場が集まる地帯。
 ここに、ゴブリン達は地上、特攻混成部隊を展開する。
「偵察してくれた傭兵から情報を得ることができたよ」
 一戦を潜り抜けた『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)はイレギュラーズ達を労いながらも、戦況について説明する。
 地上隊は、ここでも片手武器と盾を手にしたありふれたゴブリン達や毒矢を使う斥候ゴブリンが配備される他、屈強な鎧と盾で身を固めた守兵ゴブリンの姿があり、前線と指揮官の守りについている。
「あと、岩場の陰から特攻隊が襲い掛かってくる」
 特攻隊となるのは、タル爆弾を担いだ自爆ゴブリンに、自らが砲弾となるゴブリン砲達だ。後者は斥候ゴブリンがタッグとなって砲弾発射の為の援護に当たっていた。
 まさに自爆特攻を得意とする連中だ。地上隊との交戦中、爆発や爆撃に巻き込まれぬよう注意したい。
 また、第一陣と同様に鼓舞指揮ゴブリンがこの部隊の指揮を執る。やはり、神輿に担ぎ上げられたこの指揮官は太鼓を打ち鳴らして、雷や地割れを起こしてくるはずだ。
「先ほどの戦いよりも気を払うべきところは多い。くれぐれも気を付けるんだよ」
 もちろん、アタシも全力で戦うと、オリヴィアもやる気を見せていたのだった。


 荒野の岩場へとやってきたローレット、傭兵混成軍。
 まず、一行は地上のゴブリン達を見据え、それから岩場の地上部やその上に潜む敵をあちらこちらに確認する。
 進軍するメンバー達に対して、この場の鼓舞指揮ゴブリンが吠える。
「イクゾ、ココデカクジツニ、ニンゲンドモヲトメルノダ!!」
「「ウオオオオオオオオオオオ!!」」
 第一陣の敗退はゴブリンどもも知らぬはずがないが、こちらもそれと同じくらいの気概で吠え、迎撃に当たる。
 鼓舞指揮ゴブリンの太鼓が打ち鳴らされる中、地上部のゴブリンどもが駆けだし、さらに岩場からは次々に自爆上等のゴブリン達がこちらへと飛んでくるのだった。


第2章 第2節

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
小金井・正純(p3p008000)
ただの女
わんこ(p3p008288)
雷と焔の猛犬
カイロ・コールド(p3p008306)
闇と土蛇
アシェン・ディチェット(p3p008621)
玩具の輪舞


 エルミーツの街をゴブリン達から守り切ったローレット、傭兵混成軍。
「何とか最初の危機は脱したな」
 『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)は街を守り切ったことを素直に喜びつつ、手早く傷の手当てや武器の手入れなどして態勢を立て直す。
「とは言え、禍根を断たねば意味がない。態勢を立て直される前に叩きに行こう!」
 メンバー達は次々に、ゴブリン達が逃げ去っていった荒野を目指す。
 広がる荒野を進めば、やがて岩が目立つようになる。そして、ゴブリン達の臭いも。
「第二ラウンド開始デスネ!」
「そうだな、第二陣」
 『シャウト&クラッシュ』わんこ(p3p008288)も戦いの始まりに一層テンションを高めると、『星満ちて』小金井・正純(p3p008000)が地上の敵を見回す。
 地上隊として、先程も戦った一般兵に斥候、鎧を纏った主兵が数を揃えている……が、問題はそちらではない。
「私が特に気をつけねば、ならないのは特攻兵ですね」
 『星満ちて』小金井・正純(p3p008000)が指摘したのは、岩場の上や物陰。
 そこらには敢えて姿をさらす背に樽を抱えたゴブリンに、小鬼が入れるほどの砲台が。見えないところにも多数あるはずだと正純は確信する。
「敵の数も多くなってるし、岩場からの奇襲を捌き切るのは難しいデショウ」
 その上、自爆特攻を受けようものなら、ただでは済まない。
「矢を放っている最中に飛びこんでこられては、こちらも対応が間に合わない可能性があります」
「撃ち方はしっかり練習したのだわ。問題はだれを狙うか……かしら?」
 『草刈りマスター』アシェン・ディチェット(p3p008621)もある程度視認可能なゴブリンを見回し、後ろに下がる。
 この場にいる同じローレット勢や傭兵達と共に行動することを意識するラダは気配を遮断しつつ、感覚を高めて索敵を行う。
「自分の命を粗末に扱うのは賛同しかねるけど、派手で楽しいのは認めるよ」
 『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)があちらこちらから感じる火薬の臭い。まさしくそれは宴の花火か。
「皆で楽しまなければ損だね?」
 マルベートに同意するわんこは守勢が得意でない為、反撃態勢を取って少しでもゴブリンどもにプレッシャーをかけていく。
「「「ギ、ギシャアアアアッ!!」」」
 荒野中のゴブリンが叫び、吠える。
「……くるぞ」
 ラダの警告に皆身構えると、岩から飛び降りてくる自爆ゴブリンに弾丸となるゴブリン砲が飛んできた。
「……自爆覚悟で突っ込んで来ますねぇ」
 『強欲神官』カイロ・コールド(p3p008306)は第一陣と同じく仲間の近くに位置取って。
「いいでしょう、その覚悟に私も応えてあげますよ」
 そのまま、カイロは特攻してくる敵の前へと飛び出していくのである。


 ゴブリン達が特攻を始める中、地上で前に出ていた傭兵達にイレギュラーズも遅れず続く。
 後方から援護するラダは身の丈程もあるライフルから敵陣へと鋼の驟雨を降らし、ゴブリンだけを頭上から穿っていく。
 マルベートは戦場を駆け回り、獣の眼光を差し向ける。彼女が集めるのは、地上にいる一般兵や斥候だ。
 ナイフとフォークを模した双槍で一般、斥候ゴブリンを切り刻むマルベートだが、合わせて物陰から姿を見せる特攻兵に気づいて。
「待ってたよ」
 そいつにも眼光を向け、マルベートは自身へと強く気を引く。
 同じタイミング、わんこも至近にまで迫った一般兵の相手にしていて。
「これなら、巻き込みの心配は無しデス」
 仲間がいない場所なら全力を出せると、わんこは指抜きグローブをはめた拳を握りしめて。
「思い切りぶちかましマスヨ、キャヒヒヒ!!」
 纏めて乱撃を叩き込んでゴブリンどもをぼっこぼこにしていく。
 そのわんこ目がけて飛んできたゴブリン砲の前にカイロが立ち塞がり、ガードを固める。
 自らを砲弾にしたゴブリンがただで済むはずがない。良くて重体。仕留めるのは容易いだろう。
 もちろん、カイロもただでは済まない。
(私ならきっといけます。根拠はありませんが)
 接触した瞬間に巻き起こる爆発。しかし、カイロはそれに耐えきってみせた。
 その爆発の後からはゴブリン達も退避しているが、そこへ新たな自爆ゴブリンが特攻してきた。
「ギヒッ!」
 自爆上等ではあるが、相手は爆弾を切り離して姑息にも逃げ出そうとする。
「……いや、逃す訳がないでしょう」
 反撃でカイロはゴブリンの背につかみかかり、引火した爆弾まで引きずり込む。
 更なる爆発が巻き起こり、大きくゴブリン達が吹っ飛んでしまっていた。
 一方で、カイロもさすがに直撃を2度受ければ、パンドラの力に頼らざるを得ない。
 このまま、毒に耐性のある彼は斥候の毒矢を無視し、起爆は元から爆破を受ける構え……だが。
(さて、私はどこまで耐えられますかねー)
 出来るところまでやろうと、カイロは仲間を庇い続けていた。

 ここからは後衛に位置取るメンバーが支援してくれる。
 敵の数を見つつ、ラダは大嵐のような一撃で敵を仕留めていく。
「手間取っている隙に自爆特攻されては堪らないよ」
「前にいる方々の戦いに、余計な邪魔を入れさせないようにしたいかしら……」
 アシェンも余計な茶々が入らぬようにと、ゴブリン砲の発射を行う斥候を狙って。
 前線で戦う傭兵やイレギュラーズ達が不意を突かれないように、アシェンは前線の交戦箇所よりも少し遠い場所を索敵し、ゴブリン砲を放とうとする斥候を叩く。ゴブリン砲は弾丸役だけでは機能しないのだ。
 しかし、遠距離ばかり見ていたアシェンの元へ、一般と斥候が距離を詰めてくる。
「……っ!!」
 銃でしか戦ったことがないこともあり、動揺しながらも素直に下がるアシェンの代わりに、わんこが飛び込んで。
「防御も再起も許しマセンヨ!」
 握りしめた左の……傲慢なる拳を打ち込んで地面へと叩き伏せる。
 もう1体、斥候もまたわんこは殴りつけようとしたが、下がったアシェンが銃を構えて。
「もちろん、お礼は確りとするのがマナーだわ!」
 毒を塗った刃でわんこを狙っていたゴブリンの頭へ、アシェンは銃弾を撃ち込んで倒してしまう。
「射撃いいデスネ!」
 アシェンが手近な敵を倒したこともあり、わんこも指鉄砲で距離を詰めてこようとしていたゴブリンを狙い撃っていた。

 そこを狙う自爆特攻上等のゴブリンがちらほら。
 超視力で索敵する正純は神弓から矢を放つ。
 正純が優先して狙っていたのは、砲弾となるゴブリンとゴブリンが担ぐタル爆弾だ。
 前線に被害が及ばぬよう順次撃ち落とし、起爆していく。
(この矢で無用な殺生はいけませんので、ええ)
 ただ、爆発でついついゴブリンを巻き込むのは仕方ないことなのだと、正純は自分に言い聞かせて。
「「「グギャアアアアアアアッ!!」」」
「クリーンヒット!!」
 断末魔の叫びをあげるゴブリンを視認すれば、正純も思わずガッツポーズ。
「……こほん。ええ、事故ですよ?」
 傭兵達の視線を感じた正純は小さく咳払い。
 わざと狙っているわけでないと主張する正純は、隙ありと特攻してくる砲弾ゴブリンを撃ち落としていく。
 巻き込むと言えば、敵を引きつけながら岩場を走り回っていたマルベートは因果律を歪ませ、自爆ゴブリンが担ぐタル爆弾へと悪意ある事象を引き起こす。
「さあ、特等席で花火を楽しもうじゃないか!」
 反転して待ち受けるように、マルベートがやってくるゴブリン達を迎え撃つと、次の瞬間、そこで大爆発が巻き起こる。
「「「グゲエエエエエエエエ!!」」」
 多数のゴブリン達が巻き込まれる中、マルベートは致命傷にならぬ程度に爆炎と爆風を交わしながらも、身をもってこの爆発を堪能していた。
 そんな爆風に紛れながら、こっそりと近づいてきていた自爆ゴブリンを、ラダが目ざとく発見して。
「自陣の最中で爆発などさせるものか!」
 自軍側からLBL音響弾を爆発させたラダは、その爆弾を一気に敵陣へと押し込む。
「「グガアアアアアアア!!」」
 その爆発がまた、ゴブリン地上隊の数を減らしていく。
「しかし、こんな手段すらとる程に追い詰められているのか」
 ラダはそんな敵を見て、少しだけだが同情してしまいそうになっていたのだった。

成否

成功


第2章 第3節

恋屍・愛無(p3p007296)
終焉の獣
シルキィ(p3p008115)
繋ぐ者
カイロ・コールド(p3p008306)
闇と土蛇
笹木 花丸(p3p008689)
堅牢彩華
白鷺 奏(p3p008740)
声なき傭兵
鐵 祈乃(p3p008762)
穢奈


 荒野の岩場に、イレギュラーズ達が続々と駆け付ける。
 すでに交戦が開始され、爆破の後があちらこちらへと散見されていた。
 それでもなお、ゴブリン達はイレギュラーズ達を発見すれば、我が身を顧みることなく襲い掛かってくる。
「あー、もうっ! 分かってはいたけど懲りずにまたやって来たよ、連中」
 元居た世界では何でも屋を営んでいた少女、『新たな可能性』笹木 花丸(p3p008689)はあちらこちらからやってくるゴブリン達に辟易としてしまう。
 練度も高い。士気も高い。おまけに死ぬ事も恐れない。数の多さは言うまでもない。
 そんなゴブリン達を、人型を取った地球外生命体の『らぶあんどぴーす』恋屍・愛無(p3p007296)が皮肉って一言。
「これでは、まるで彼らが憎悪する『人間』のようじゃないか」
 実際、人間ですらない愛無からすれば、その姿は滑稽にしか見えない。近親憎悪というものだろうかと彼は考える。
「仲間の敗走を知っても、士気が全く衰えないのは流石だねぇ……」
 人のような姿と知能を持ったカイコガの旅人、『la mano di Dio』シルキィ(p3p008115)は半ばゴブリン達に感心すらしてしまう。
「ゴブリンってこういうことするんたいね。群で来られると面倒やん」
 褐色の肌に赤い瞳、白髪の少女、『穢奈』鐵 祈乃(p3p008762)も、一度に襲ってくるゴブリン達に嘆息してしまうが。
「まぁ、それでもやるからには勝たないかんね。頑張るばい」
 鬼人種の祈乃もまだ神使……イレギュラーズになってまだ日は浅いものの、気合を入れて戦いに臨む。
 その一方で、すでに一度敵陣へと飛び込んできた微笑みを讃えた緑髪の男性神官、『強欲神官』カイロ・コールド(p3p008306)が前線から身を引いて。
「骨が軋みますねぇ。もう耐えるのは厳しそうです」
 カイロは一時、爆破上等とばかりに敵の引き付けに当たっていただけに、身体も衣服もボロボロに。
「出費が嵩む……」
 トホホと嘆息しつつ、カイロは自身の傷を不滅の如く塞いで体力回復に当たるべくクスリを飲んでいて。
「……少し中毒性があるだけの普通の薬ですよ、ほんとに」
 どこまで本気かは分からなかったが、カイロは英雄を讃える詩を口ずさんでいた。
 さすがに、頑張りすぎな彼はさておき。
「怯んでいられないのはお互い様。気圧されないよう、気合い入れていくよぉ」
「…………」
 シルキィも大丈夫と向かい来るゴブリンに近づくと、黙して一切喋らぬ『声なき傭兵』白鷺 奏(p3p008740)も敵陣へと飛び込んでいく。
「何度やっても勝つのは花丸ちゃん達だって事、ゴブリン達に骨の髄までわからせてあげよっか?」
 花丸も『さっ、行くよっ!』と仲間に促し、自らもゴブリンの元へと駆け出すのである。


 新手のイレギュラーズ達が現れれば、ゴブリン達はそちらも殲滅すべしと狙ってくる。
 無事な地上隊はもちろん、岩陰から自爆特攻を狙う敵はまだ存在している。
「まぁ、のんびりもしていられまい」
 内なる破壊衝動に身を委ねる愛無は、臭いでゴブリンの位置を把握する。特に火薬には強く注意を払って警戒する。
 不用意に突出することのないよう愛無は自軍と歩を合わせながらも、拾った石ころを投げつけてタル爆弾を起爆し、岩ごとゴブリンを破壊してしまっていた。
 前線へと出た奏は言葉こそ喋れないが、その分ギフトの効果も合わさって他の所作、動作でカバーし、意思表示を行う。
 この場で奏が放つのは強烈な眼光。周囲を威圧したことで、多数のゴブリン達が彼女へと寄ってくる。
「「ギシャアアアッ!!」」
 片手の刃を振るう一般や毒武器を振り回す斥候。
 そいつらを引き付けることで、奏は敵陣深くにいる指揮官……鼓舞指揮ゴブリンまで到達する道を切り開かんとする。
「…………!」
 防御重視の構えをとって耐久力を高める奏は右手に全身の力を集め、敵陣へと叩き込む。爆裂するその一撃は、地上隊を見事に蹴散らしていた。
 奏が集め、群がってくる敵を愛無やシルキィは後方から狙う。
 敵からかなり距離を取っていた愛無は一直線にゴブリンだけを捉え、粘膜で生成した杭で穿っていく。その粘膜は体内に入れば、生命活動すらも阻害してしまうのだ。
 さらに、愛無は自らの体を変え、無数の眼球を持つ蛇のような生物へと変貌させた。無数の瞳で見つめられたゴブリンは全身から血を噴き出し、そのまま果ててしまう。
 それだけでなく、愛無は飛んでくるゴブリン砲を見定めて撃破し、自爆ゴブリンのタル爆弾も誘爆して敵軍に爆発を巻き起こしていた。
 シルキィも距離を取り、岩場付近の斥候ゴブリンを狙う。
「沢山敵を巻き込めてお得だねぇ」
 一条の雷撃を迸らせたシルキィは斥候ゴブリンを中心に数体を焼き払いながらも、周辺の岩場を見つめて。
「この岩場に隠れながら戦うのがベストかなぁ」 
 すでに戦っている仲間達が近場にある砲台は破壊していることもあり、シルキィは岩場を使って隠れながら移動しつつ敵を狙い撃っていく。
 花丸はハイセンスと直感を併用し、特に特攻してくる敵に警戒して。
「やられる前にやるよ!」
 あまり固まりすぎると、自爆特攻してくるゴブリンの的だと花丸は判断して同じイレギュラーズや傭兵達に散開を促す。
 その上で、花丸は走ってくる地上隊をブロックし、敵の攻撃に対して手痛いカウンターを拳で叩き込む。
 新たにやってきたイレギュラーズ達が奮戦している間、てくてくとカイロの方へと走ってくる自爆ゴブリン達。
「爆破の直撃はお腹一杯です」
 先程までカイロは自爆特攻する敵を含め、纏めてゴブリンどもの引き付けに当たって爆発していたのを見て、ゴブリン達はトドメとばかりに狙っていたのだろう。
「暴力はあまりしない主義ですが。仕方ありません」
 カイロはその自爆ゴブリンを蹴りつけ、直撃を避けつつ自爆させてしまう。
 花丸もまた攻撃しながらも、てくてくと走ってくる自爆ゴブリンを見逃さず、思いっきり敵陣へと蹴り返す。
 すでに起爆していたゴブリンは転がるタルから逃れられず、次の瞬間、爆発が巻き起こる。
「「グギャアアアアアアッ!!」」
 見事にゴブリンどもは仲間を巻き込み、爆破四散していく。
 それを見ていたイレギュラーズの元へと、さらにゴブリン砲が飛んでくるが、カイロは直前にさらりと受け流して。
「……別に私はマゾヒストではないのですよ。貴方達の覚悟を受け止め切れず、誠に申し訳ございません~」
 砲弾となったゴブリンにカイロの謝罪は聞こえておらず、華々しく散ってしまったのだった。

 度重なる爆発によって敵陣がかなり開け、自軍前線が前進する。
 その穴を埋めようと地上隊のゴブリンも向かってくるが、その前に愛無が岩場ごと粘膜で生成した杭を飛ばす。
 奏はそこを通り抜ける仲間を誤射しないよう、雷なる一突きで近づいてくる敵を穿っていく。
 敵陣深くまで自軍が食い込めば、自爆ゴブリンが味方を巻き込むのを恐れ、自爆しないはずだと踏んだのだ。
 実際、爆破特攻してくる敵は少なくなったように見える。指揮官も冷静に指示を出していたようだ。
 地上は守兵が混じり出しており、敵の数が減ってきていたことを窺わせる。
「あんまり攻撃ば受けんようにせないかんね」
 祈乃は格闘戦メインでの戦いの為、個別にゴブリン達を直接叩くことになる。
 屈強な鎧や盾で身を固める相手は素早く槍を突き出してくるが、祈乃は素早い身のこなしで避けて蹴りを多めに打撃を叩き込む。
 粘り強く戦うことができるのが祈乃の持ち味。相手が態勢を崩せばこちらのものだ。
「攻撃だって、何度だってできるばい?」
 祈乃はコンビネーションで拳と蹴撃を連続して叩き込み、重い武装を纏う守兵を叩き伏せていた。
 傭兵達も一気に攻めようとしており、邪魔な守兵を相手に切りこむ。
 それを見た後方のシルキィは味方を巻き込まぬよう守兵を狙う。
 シルキィは精神力を弾丸に変えて撃ち込むと、弾丸を鎧に受けた守兵ゴブリンが後ろへと倒れていった。
 現状はこちらが優勢ではあるが、まだ指揮官が大きな動きを見せていない。
「ギギ……!!」
 神輿の上で悔しそうに鼓舞指揮ゴブリンが歯噛みし、太鼓を打ち鳴らし始める。
 感情封印する奏は冷静に戦況を見極め、引き際も見誤らないようにと気がけて立ち回るのだった。

成否

成功


第2章 第4節

氷室 沙月(p3p006113)
鳴巫神楽
カイロ・コールド(p3p008306)
闇と土蛇
只野・黒子(p3p008597)
群鱗
月錆 牧(p3p008765)
Dramaturgy


 太鼓の音が鳴り響くラサの荒野、岩場での戦いも佳境を迎えていて。
「えっと、人手が必要とのことなので、送られてきました……!」
 この場に駆けつけてきた1人、眼鏡着用の優等生、『元々は普通の女の子』氷室 沙月(p3p006113)は戦況を確認する。
 敵の数が減って大勢は自軍が優勢となってきているが、それでも地上隊のゴブリンがかなり残っていた。
「も、ものすごい大群ですが……頑張ります」
 気を引き締める沙月が妖刀へと手をかけて駆け出すと、オールバックに三白眼が特徴的な『群鱗』只野・黒子(p3p008597)も徒手空拳のままで接敵していく。
「恨みで戦えば、その後には何もない」
 冷淡な印象を抱かせる鬼人種女性、『新たな可能性』月錆 牧(p3p008765)はゴブリン達に対して思う。
 例え、ここで勝ったとしても。街を奪ったとしても。……そこで終わり。結局、最後は自滅の道へ進む。
「しかしながら、ここで何とかしろとの依頼であるなら、やるのみでしょう」
 どのみち滅びの道を歩むゴブリンに対し、牧も最善を尽くすべく立ち回るのみだ。
 立ち回ると言えば、糸目の神官、『強欲神官』カイロ・コールド(p3p008306)は後方に下がって立て直しをはかっていたのだが。
「ある程度、体力も温存できましたね~♪」
 自身の傷をイモータリティによって塞いで万全の態勢としていたカイロはなおも戦場を走り回り、仲間達の補助に回っていた。
「「ギシャアアアッ!!」」
 なお、それによって多数のゴブリンのヘイトを買っており、カイロは地上隊のゴブリンを多数引き連れていたようだった。


 前進するローレット傭兵混成軍。
 その際、黒子は遠方から双眼鏡「閃緑の目」を使って調査に当たる。
 太鼓の音から指揮官、鼓舞指揮ゴブリンの位置を特定した彼は、合わせてそいつが指揮できる物陰に砲台があると推測し、自軍全体へとその情報の共有に回る。
「これなら、指揮官の元まで向かうことができるでしょう」
 合わせて、黒子は鼓舞指揮ゴブリンまでの最短経路も導きだそうとも考えていたのだが、すでに交戦を行っていた自軍メンバー達が道を切り開いてくれており、敵指揮官は視認できる状況となっていた。
「あれが指揮官ですか」
 逃げ回るカイロも鼓舞指揮ゴブリンの姿を認めながらも、体力の付く食べ物をと持ってきたタフネスカシスを口にする。
「……果物にせよ薬にせよ、胃に物を詰めてから走るのはキツいですねぇ」
 それでも、脅威となる特攻隊は減っていることもあり、カイロは一気に自軍の前へと出る。
 沙月も仲間との行動を心掛けるべく、別の傭兵やイレギュラーズと共に前線に立ち、その排除に動く。
「速攻での切り伏せは得意です。任せてください」
 残っていた邪魔な地上隊を相手取る沙月は身体強化魔術で敏捷性を補強し、妖刀を抜く。
 過去の武者達の記憶のままに、沙月はゴブリンどもの側面や背後を狙って切り捨てていく。
「ここ最近気づいたんですが、この技、こういう場面でも使えるんではなかろうか、と」
 前進しながら黒子が岩場の陰へとスキル「奪静」(アバレロ)を使うと、物陰に隠れていた斥候、特攻隊のゴブリン達が姿を現してきた。 
 それを見た牧は、敵の横方向から接近して牽制をはかる。
「爆破などさせませんよ」
 弾丸となる敵まで引き付けたのはいいが、タル爆弾を背負った自爆ゴブリンは厄介な存在だ。
 そいつへと光通さぬ暗闇を纏わせた拳で殴りつけ、牧は敵の視界を奪ってしまう。
 自爆ゴブリンはそれでいいが、そいつが引火したままのタル爆弾はみるみるうちに導火線が短くなっていく。
「……流石に間に合いませんか」
 下がって退避も考えていた牧だが、さすがにその時間はないと判断して召喚した死骸盾で身構えて防御集中し、この場を凌ごうとする。
 ただ、そこは黒子も考えて敵を引き付けていたようで。
「これを使えば……」
 物陰となる岩場目がけ、黒子はタル爆弾を敵が隠れそうな岩場へと転がそうとする。
 次の瞬間、巻き起こる激しい爆発。
 爆風が自分前線メンバー達を苛むこととなるが、残っていた守兵ゴブリン達も一部吹っ飛ばす。合わせて敵が隠れそうな岩場まで吹き飛ばしてしまい、岩場全体の見通しも良くなったようだ。
「なかなか、加減が難しいですね」
 黒子はある程度遮蔽となる場所を残すことも考えていたのだが、思った以上に爆弾の火力も高かったようだ。
 再突入の準備の為に黒子がいったん下がると、前線メンバー達が一気に神輿に担がれた鼓舞指揮ゴブリン付近にまで攻め入る。
 牧は切れ味鋭い血刀で、護りに当たる守兵ゴブリンを鎧ごと切り裂いていく。
「ギ……!」
 鼓舞指揮ゴブリンは徐々に追い詰められているのを実感し、太鼓を打ち鳴らして残るゴブリン達の士気を高めようとする。
 だが、多数のゴブリン達が特攻してなお、歩みを止めぬローレット勢とラサの傭兵達。
 地上のゴブリン達も半ば破れかぶれになって特攻していく。
 カイロがそいつらを正面からブロックし、指揮官を逃がさぬよう立ち回って。
「仕留めるならば、今が好機ですよ~」
 所持する聖杖で、カイロは近場の仲間達の俊敏性を高めつつ呼びかける。
 すると、牧は鼓舞指揮ゴブリン目がけて殴りかかり、背後から沙月が続けて妖刀を居合一閃させ、紫電と共に守兵と指揮官を薙ぎ払う。
「グギギギ、ヒケ、ヒケエッ!」
 これ以上は無駄だと感じた鼓舞指揮ゴブリンの引き際は鮮やかで。守兵がこの場を抑えている間に、一目散に退いてしまったのだった。
「……仕留めそこなっちまったね」
 シャムシールを降ろした『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)はゴブリン達の背を見つめ、悔しそうに息つくのだった。

成否

成功

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