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シナリオ詳細

<月蝕アグノシア>青銀を真白に改変する罪悪

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 素体の基本情報は、銀青の戦乙女。
 妖精の森に立つ純白のモンスター・アルベドは、一切色素はなかった。
 真っ白い髪。血の通っていないようなつるりとした皮膚。白目の上にわずかに色調が違う白が乗っていてそこが瞳孔なのが分かる。
 白以外を許さないと、装備まですべて白なのだ。いや、あれも体組織の一部から構築されているのではないか? でなければ、あんなに誂えたような仕上がりになるはずがない。
 まさに、悪夢だ。
 心当たりはと問われれば、新緑の森で遭遇した装備だけを溶かすスライムが怪しかったとしか言いようがない。衝撃に千切れた髪と共に吹き飛んでいったスライムの断片。
 ふわりと風がアルベドの髪を巻き上げた。
 喉元に、白い石のようなものが光ってる。アルテミアなら、双炎の雫の蒼い石が揺れている位置だ。
 表面は堅そうだが、中で何かが揺らめいている。あれは妖精だ。情報屋が苦々しい顔で言っていた。正確に言えば、妖精を加工されて作られた、あのモンスターの心臓である魂であり電池だ――フェアリーコア。生きている。まだ、あの白い石はうまいこと救出して元の妖精に戻せる。可能性はあまり高くないとあけすけな情報屋は言っていたが、諦めるには惜しい。
「何か御用かしら?」
 真っ白い。陰影がない、アルテミアが今まで生きてきた生涯の重みを持たない生まれたてのモンスター。手には双剣を携え、柔らかな微笑を浮かべる。
「ごめんなさいね、ここを通してあげることはできないの。そう、ここに近づくものはすべて切り刻むように言いつけられているのよ。申し訳ないけれど、お帰り頂けないかしら」
 アルテミアの声。抑揚が違うのは、コアである妖精の影響か。活舌があまりよくない。
 もちろん、退けるわけがない。コアに変えられ、魂と生命力を無断使用されている妖精と生まれてから採取されるまでの全てを無断使用されているアルテミア の尊厳のために。
 森の奥から這い出てきて、アルベドの足元で戦闘待機姿勢をとる。四つん這いの白いセラミックのような材質の球体関節人形。装備はない。関節が生物にはありえない角度で曲がり、体のあちこちから刃が出たり入ったりしている。髪はなく、表皮もなく、こしゃっ、こしゃっと、稼働音。顔はアルテミアに似ている。表情が動くようにできていない。量産型の戦闘用オートマタだ。
 一つ一つ錬金術の段階を踏んでここにたどり着きましたという流れが垣間見える。胸糞悪くなる努力の軌跡。
 気配は周囲からし始める。10体は軽くいるだろう。包囲されている。


「『大迷宮ヘイムルダム』踏破、めでたし!」
 『そこにいる』アラギタ メクレオ(p3n000084)は、感じ入ったように手を叩いた。
「完! って言えればよかったんだけどな。魔種が関わってそれで済むわけがないんだよ」
 ぐびぐびと茶をあおる。すっかり冷めきっているらしい。
「知っての通り、今、アンテローゼ大聖堂は逃げ込んできた妖精でごった返してる。ンで、逃げそこなった妖精を逃がしたいんだが、どうしても通らないといけないところに例の錬金術モンスターが配備されてんだよ。それをどかす」
 一時撤退させるだけで十分だ。と続ける情報屋の顔がゆがんでいるのは、あおった茶が苦かったからではなさそうだ。
 例の錬金術モンスター。一連の新緑での活動の際、体組織の一部を持ち去られたPCそっくりの真っ白いモンスターだ。体組織を錬金術で加工し作られているらしい。
「倒すなとは言ってない。ただ、使われた情報素体を、外見情報から、アルテミア・フィルティス(p3p001981)と判定した。錬金術モンスター・『青銀の戦乙女』のソース・フェアリーコアを添えて。を、ちょっと行って狩って来いとするっと言えるほど人の心はなくしてないんだよ」
 命を大事に。犬死によりは情報を持って帰ってこい。と、情報屋は言った。
「逃げてきた妖精の話を聞くと。コピーにも精度のばらつきがあるらしい。あと、コアに使った妖精との相性とかあるっぽいんだよな。相性が悪いといいなあ。性能的意味で」
 中身までアルテミアではない。情報屋はしつこく繰り返した。
「個体によるけど妖精の方が影響がでかい場合もある。こう、違法コピー的な。海賊版。めちゃくちゃ強いけど」
 錬金術モンスター補正があるようだ。
「元がアルテミアなので、似たような戦い方するっぽい。概ねは。だが、丸々そうかと言われたらそうでもないケースもあるので決め打ちよくない」
 つまり、こっちは見た目がアルテミアなのでつい対アルテミアな戦術を組みがちだが、コアの妖精に影響されて、まったく思いもよらないことをしでかしてくる可能性もある。
「それで――」
 まだなにかあるのか。
「なんかの拍子で情報が再生される場合があり、本人の記憶をアルベドが語りだすという地獄のような事態も報告されてます。動揺しないように」
 秘密がポロリと。阿鼻叫喚。心を乱すな。違法コピーからの情報漏洩、許すまじ。
「状況から考えると、俺の依頼遂行中に情報取られたっぽいから、俺も思うところがあるわけよ。コアにされてる妖精さんのこともあるけども。今回は、アルベドを一時撤退させて、逃げ損ねてるたくさんの妖精さんを逃がすのが先だ。そこが譲れない線だ。アンタらが無理して壊滅したら、逃げ損ねてる妖精さんはみんなフェアリーコアにされると思っていい――事態は緊迫。情報はあやふや。隙を見せるな。欲をかくな」
 苦渋の選択だ。
「さらに言えばだ。妖精さんは電池的に使われているそうだ。妖精さんが死ねばアルベドも止まる。つまり、コアを優先的に狙えば攻略はしやすいっちゃしやすい」
 メクレオは、妖精を積極的に死なせるしかない局面も想定されると言外に示した。
 助けられるかどうかあやふやな命に見切りをつけ、リスクは最低限にしてより多くの命を確実に救う道もある。と、情報屋からの示唆だ。
「そういう手を選んで逆に落ち込んでパフォーマンスが下がるようじゃ本末転倒だ。自分たちでやる気が上がる方法とれ。俺はあくまでこういう方法も考えられますよーっと示唆しただけだ。妖精さんをちゃんと逃がせるよう、アルベドを退かせてくれれば、というか、それだって難題だからな。」
 開き直った情報屋の口に拍車がかかる。
「手間暇かけて作ったモンスターにはちゃんと随伴兵が付くもんだからな。それなりの数の手下がくっついてくるぞ。アルベドでこっちの気を引いて、動揺したところを手下が飛びかかってくるなんて吊りもあり得るからな。動揺するなって方が無理だから、隙は作るな。対策しとけ。ちゃんと自分の足で歩いて帰って来いよ!」

GMコメント

 田奈です。
 あの時ちぎれた髪の毛がこんなことに。
 ハードですので、状況は困難です。

成功条件
 立ちふさがるアルベドを一時撤退させてください。
 アルベドの生死は問いませんが、倒すにはかなりの被害を想定してください。相打ちでは、妖精たちはおびえて行動を躊躇し、結果避難行動は後手に回って失敗します。現場からアルベドの姿がなくなるのが成功最低ラインです。


アルベド(素体・アルテミア。フェアリーコアの妖精・詳細不明)
*錬金術で作られていて、プロトタイプ的立ち位置にある存在のようです。
*外見は真っ白いアルテミアです。装備品は身体能力を効率的に運用できるように最適化されています。すなわち双剣使いです。
 アルベドの中身もアルテミアなのかはわかりません。言語エンジンはアルテミアのものを主に使っているようです。
*アルベドはコアになっている妖精の要素も発現します。
*コアを傷つけずうまいこと取り出せば救出可能ですが、このアルベドのコアは喉元に露出しております。命中判定がFBすると当たります。コアの妖精を助けるつもりがあるならば、対策してください。もちろん集中攻撃して、早急に片をつける選択もできます。

随伴戦闘用オートマタ(量産型)×10
 アルベドの性能を設計理念にして制作されているようです。
 ブリッジしているポーズのが五体。アメンボウみたいなポーズが五体。口から火を吹き、体のあちこちから刃を突き出してきます。関節は生物ではありませんのであらぬ方向にまがります。
アメンボウ型は、幾分スレンダー。すばしこく、敏捷性にたけています。
ブリッジ型は、より、ちちしりふともも。基本アルベドの近くにいます。アメンボウ型より幾分大きめなので視認できます。

場所・とばりの森 七つ目の辻
*逃げ損ねている妖精たちがゲートに行くのにどうしても通らなくてはならないポイント。ここで複数方向に散開して各地のゲートから新緑を目指します。
 広さは、潘家20メートルの円形。覆いかぶさる気の高さは3メートル以上の開けた場所です。足元は草地。夜ですが、キノコや植物が発行しているので戦闘に支障をきたすほど暗くはありません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <月蝕アグノシア>青銀を真白に改変する罪悪Lv:15以上完了
  • GM名田奈アガサ
  • 種別EX
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年07月17日 22時10分
  • 参加人数10/10人
  • 相談6日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
泳げベーク君
アラン・アークライト(p3p000365)
太陽の勇者
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀焔の乙女
リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)
紅炎の勇者
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
竜撃
ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)
風吹かす狩人
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
導きの戦乙女
ボディ・ダクレ(p3p008384)
ぬくもり

リプレイ


「無理はしないでね」
 そう言って妖精たちは薄ぼんやりと光る木々の中に姿を紛れ込ませた。
 言われなければ、この辺りに隠れている妖精に気付けない。
 辻に陣取る錬金術モンスターを撤退させられれば、彼らはそれぞれ全力で逃げる。
 フェアリー・コアの材料にされないように全力を尽くすと妖精たちは言った。
「あなた達に辛いことはさせないからね」
 妖精たちは、顔を見合わせて頷いていた。
 これ以上。と、妖精たちが言っていた言葉の重みをかみしめる。辛いのは、すぐそこにモンスターの生体パーツにされて枯渇しさせられるかもしれない恐怖が迫っている彼らだって同じことなのに。
 さあ、辛い目に遭う誰かを増やさないために、つらいことをしに行こう。
 仲間の姿を盗んだ化け物と一戦交えに行こう。


 妖精の森はほの明るい。発光する梢やは、キノコは丸い胞子をぷくぷくと吐き出す。漂ってくるいい香り。どこかで夜しか咲かない花が咲きこぼれているのだろう。
「……何だい、それ」
 神話の時代から、あらゆる世界で語られている。普段温厚で小さなことにはこだわらない者を怒らせてはいけない。
『魔風の主』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)の頬から笑顔は等に失せている。
「アルテミアの偽物か」
『勇者の使命』アラン・アークライト(p3p000365)が、目をすがめた。
 普段は少々目つきが悪いですむ人相に剣呑さが増す。
(しかもアルベドのみだけじゃなく、オートマタなんかもアルテミアの顔してやがる)
 舌打ちが思いのほか響いた。
「……ったく本人の精神衛生上良くねェし、俺にとっても気色悪い……さっさと片付けんぞ」
 悪趣味に冒涜に誇張、たっぷりの悪趣味をぶっかけて。
『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)の矜持を踏みにじり嘲笑するような駐留戦力。
「イレギュラーズを模した錬金術の人形(ひとがた)か……」
『筋肉最強説』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)が、故郷を想起しながらも振り払いながら呟いた。今はやるべきことがある。ホームシックに駆られている場合じゃない。
 真っ白いアルテミアの細胞と妖精電池で動くマガイモノ――アルベド。
 装備まで嫌味なほど白だ。
 怒りにアルテミアの可憐な唇は、わなないた。
「なんでよりによってあのちょっと好奇心に負けて着てみた衣装なのよッ!!なんなのっ、作者の趣味なの!?」
 おそらくは、彼女が袖を通した衣服の中で、よりによって一番扇情的なものをわざわざ選んだのだろう、そういうことを喜々としてするような奴なのだ。
 でなければ、なぜ、直立できる自動人形をわざわざおかしな態勢で地に這わせようなどとするものか。ご丁寧にアルテミアの顔までくっつけて。
「ぐぬぬっ、タータリクス許すまじッ!!!」
 奥歯も砕けんほど食いしばったアルテミアに、『黒狼』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)に共感を示す。
「話にゃ聞いてたが、こうやって実物見るとなんつーか……なんでこの格好にしたんだって思わざるを得ねえな……」
 詳細にどこがどうというのもはばかられる。
「オートマタの方も顔はアルテミアだし、流石に同情するぜ……」
 奥歯をかみしめる音が聞こえてきそうなほど、アルテミアは歯を食いしばっている。
『終焉語り』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)の視線は、アルベトの胸元に露出しているフェアリー・コアに注がれている。
「出来れば助けたくは思うけれど……少なくとも、この場では難しい状況ですね」
 中にいるはずの妖精の姿はここからは確認できない。妖精が力尽きるまでどのくらいの猶予があるかは測れない。
「あぁ、大丈夫ですよ、本人がこうだとは皆思ってませんから。ね?」
と、『鉄壁鯛焼伝説』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)をなだめた。
 アルテミアは、ローレット・イレギュラーズを見回した。皆、もちろん思っていないと頷いたり、首を振ったり、それぞれ応えをかえす。
 育ってきた環境が違うので、ボディランゲージが違うのだ。意味が伝わる崩れないバベルがなければ戦争勃発必須だ。
「じゃあ、頑張りましょうね! 大丈夫です、今更誰もこんなので興奮しませんよ!」
 ――だけど、ディープシーはもう少し哺乳動物の性衝動について勉強した方がいい。早晩血の雨が降らないと限らない。
 不運が付きまとう星の下に生まれたアルテミアに幸いあれかし。せめて、勝利位は彼女の頭上に降り注がんことを。
 

「僕の友人は確かにお茶目な所があるけど、お前達のようなふざけた真似はしないよ。姿も行動も腹立たしい偽物達。全て砕けて消えるがいい――」
 繰り返すが、温厚な者を怒らせるものではない。おっとりとした言葉遣いに名状しがたきビブラートがかかっているのが証拠だ。ウィリアムの喉が紡ぐ意図せぬ倍音が操る術の精度を跳ね上げる。
 連なりうねる雷球の連なりがローレット・イレギュラーズには火花一つ散らさずに空中でもんどりうちながら戦闘人形を薙いでいく。
「包囲されていますか。なら打ち砕きましょう」
『痛みを知っている』ボディ・ダクレ(p3p008384)は発展途上。ゆえに、結論に至るプロセスが速い。
「邪魔です、アルベド。ここを通らねば妖精達は逃げられないのですから」
 「箱」と彼は自分を定義する。首から下は死体で作られたパーツで「彼」ではない。分類はアンデッド。名前はボディ。
 情報屋が便宜上アメンボウ型と言ったオートマタは、腕パーツと足パーツが二本分使われている。掌に肩関節を、土踏まずに股関節をねじ込んで伸ばしたような造形に設計者の悪意を感じる。
 異形の体から突き出す刃は、ローレット・イレギュラーズの体を切り刻む。人間離れした体躯は、なまじアルテミアの体をベースにしてあるだけ間合いがとりにくい。
「親友の姿をしているといえど、アルベドである以上止めなくてはいけません」
 『朝を呼ぶ剱』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)の思考回路が組み替えられる。ルーティンエンジンの高速化。自動化。言語化されるより先に運動神経にパルスが走る。
 そのための目標の言語化及び発生による周知。士気高揚効果となによりも奥歯がきしむほど噛みしめているアルテミアの力になりたい。
「アルテミアさんの記憶から垂れ流されないためにも、妖精たちの為にもこれ以上進ませません! シフォリィ・シリア・アルテロンド、参ります!」
 どこまでも真っすぐな軌跡はそこに来るとわかっていても、いや、わかっているからこそ目が離せなくなる。心が虚ろな戦闘人形であってもだ。親友の顔を模したフェイスピースの額の部分に白銀のサーブルの切っ先が吸い込まれる。ぴキリと音がして、顔面部分が二つに割れた。アルテミアとは似ても似つかない魔導部品と生体部品の縒り合された内部。シフォリイは、更に奥まで刃先を埋め込んだ。
 仲間たちの露払いを受けて、アルテミアは歩を進める。皆がアルテミアの気持ちを案じてくれた。最近知り合ったブレンダさえも、いや、最近知り合ったからこそアルベドが何を口走っても気にしないと言ってくれていた。
『別のモノから語られた過去に興味はない』
 過去はかつてあった事実でしかない。それを本人がどう飲み込みブレンダに語るか。それでなければ興味はないのだ。
(今回の目的は妖精たちの避難が最優先よ)
 はらわたは煮えくり返っている。速やかにこの世界から抹消したい。
 しかし、相打ちではいけないのだ。妖精さんはいつ起き上がってくるアルベドの死体に脅えて森の中をうろうろすることになるだろう。そうしたら、早晩タータリスに捕獲される。この場から速やかに追っ払うのが最適解だ。
(だから、非常に、非常に遺憾ではあるけれど、あの偽物を撤退させる為に戦うわ)
 脳内の回路が方針を受けて組み変わる。世界のありようは計算式に。解を目指して途中式を収束させ、紡ぎ出される運命の糸をより分ける演算。その結果が両手に伝わる。青く強靭な細い剣のきらめきが隠密刀の斬撃を深くする。
 アルテミアに覆いかぶさるように、『風吹かす狩人』ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)が耳元でささやいた。
「一時撤退、ネ」
 わかってるヨ。と、幻想種は笑う。
「仕事的にはそれで良い、けど、おじいちゃんは救出まで狙うヨ」
 妖精は、幻想種の友だから。
「負担も相応に高くなるだろうけど、やらなきゃ可能性は無いからネ。空回り上等、やらねばならんってやつさナ!」
 ジュルナットが引くのは、星を撃ち落とすための大弓。キリキリと引き絞られる弓は上天を向く。これ以上力を入れたら弓が折れるか弦が切れる。
 放たれる鋼の雨は大地を穿つ。首を垂れてなす術もなく撃ち落とされた星の破片を浴びるがいい。
 その中を許された者たちがアルベドとの距離を詰める。
「意思もない人形風情が、今を生きる妖精たちの邪魔をするなァァァ!!!」
 ブレンダの炎と風が七つ目の辻を舐める。
 アメンボ型の脚部が大きく曲がった。回避行動。動きが生物のそれではないのだ。しかし、交錯する刃が無傷とはしない。ぼたぼたとオートマータの足元に青銀色の液体がしたたり落ちる。ひび割れた部分からしみだしているのだ。つるりとした外装の下にどんな機構が潜んでいるのかは分解してみないとわからない。
 ボディは素早く自分の攻撃対象を決めた。
「まずは数を減らす為に」
 もっとも破損が大きいものに青い影が通り抜けざま術式をねじ込んでいく。ありえない構造を錬金術で構築している肉体に屍が編んだ術式がねじ込まれて結合を侵食していく。組織を分解された外装がごてりと草の上に落ちる。
 ウィリアムに押しつぶされた空気が悲鳴を上げる。至高性を持たせて解き放てばオートマタの腹に収まり、四方に爆散する。
 きちんと面と向かい攻撃すれば倒せるが、片手間では倒せず、こちらに余計な傷を入れてくる。足止め役としてはいやらしいくらい適役だ。妖精たちなら逃げ惑う混乱の中次々捕獲されてしまうだろう。
「クソ!こうも動きがチョロチョロ素早いと、当てるのも難しいなッ!」
 リミッターを解放し、どれに攻撃するか狙いを定め、二本の剣は十字を摸する。太陽と月を開講させる一瞬は紅と蒼を呼ぶ。太陽と月から逃れられるものなどはない。さらけ出された弱点を切っ先がとらえる。
 そこまでしておいて、アランはお気に召さないという。
 少しづつ、技を使うコストが負荷になっていく。手数の価値が徐々に上がってくる。考えなしに大技を連ねたらガス欠だ。
 ひたひたとした焦りが空気に混ざってきていた。
「オートマタは腕を支えにしている以上、そこを破壊できれば有利になるかもしれません。攻撃する際はオートマタの腕を主体に攻撃しましょう!」
 シフォリィに、ボディは応じた。
「その提案を理解し肯定します。肩関節か股関節辺り。アメンボウのポーズを取っているということは四肢で移動するということ。関節を破壊する、もしくはひしゃげさせて腕か足の動きを阻害可能でしたら、回避もし辛くなり、皆様の攻撃が当たりやすくなる可能性があります」
「ですよね!」
 重苦しい空気の束縛から不意に解放される。シフォリィの自動化された思考回路が今こそ好機と判断し、意識することもなく身体機能が活性化される。それは分別と引き換えに失った無尽蔵な幼年時代の爆発力。
 複雑な機能は壊れやすい。畳みかけると動く唇は有言実行だ。
「アメンボウ型を片付けたら、ブリッジ型を片付けますよ!」
 視界の端に真っ白な自分の現身と切り結ぶ親友が入る。今すぐにでも駆けつけて、代わりにモンスターを切り伏せてやりたい。
 しかし、アルテミアは妖精を撤退させることを優先したいと言った。どちらにせよ、オートマタを片付けなければ話にならない。
「腕から砕いてください!」
 原材料詐欺の鯛のディープシーは物理攻撃無効化魔法障壁を展開する。体表面にリンクされるため、ダメージのバックラッシュ分、どうしても負荷がかかる。
 あたりに、花とは別の甘い香りが漂った。小麦粉の焼けるいい匂い。ひょっとすると卵やはちみつの気配もしなくもない。重曹でふっくら膨らませた鯛焼きの皮の奥からひそやかなあんこの気配がにおわされている。ああ、あんこ。粒かこしかは永遠の命題だ。
 ベークのかぐわしい香りがブリッジ型を引き寄せ、その攻撃性をあおる。
 深海からのいけにえが異形の怪物たちの前に捧げられた。
 ブリッジ型の胴は、アルベドのものよりずいぶん太く作られていた。生物だったら確実に気道がつぶれている角度でついた頭部。複雑骨折している脚部。あばら骨までモールドされ、胸部装甲は戯画的に突き出している。
 そう、それは装甲だ。アルベドの前に飛び出して盾になり、返す刀で攻撃するカウンターシールドだ。
 硬質な乳房から突き出した曲刀が跳ね起きる勢いでベークの鼻先をかすめる。振り返れば肋骨がバカリと開き、死の抱擁。ぎしぎしと身に着けている装甲ごと絞り上げられる。血を吹くのと骨が折れるのとどちらが早いか時間の問題だ。
 体に施した再生の恩恵にも限界はある。赤字だ。吹き出すのは人身への変身効果で赤い血。
 献身的かつ自己犠牲的。範囲内の殺戮人形をつなぎとめるということは、他のもののダメージ軽減につながり、範囲攻撃に巻き込める数も増やせる。仲間が片付けてくれるのを信じていなければできない作戦だった。
 青い炎が、四つ辻を横切った。
 アルベドが剣を振るったのだと、斬撃が飛んだあとで分かった。
 焔纏・飛朱雀。そのコピーだ。
「ふふふ」
 アルベドは笑っている。一切血の気を感じない手足を振るい、ブリッジ型の囲みの中から蒼い炎を飛ばしてくるのだ。
 ローレット・イレギュラーズの動きに隙が生じた。ほんの一瞬見とれた罰のようにアメンボウ型が刃を振るう。
 腹の底から湧いてくる怒りは、アルベドの放った斬撃によるものなのか、アルテミアの技を盗んでいるという具体例を目の当たりにしたからなのか。
 隊列が乱れた。思うようにアメンボウを狩れず、思ったよりも傷ついていく。


 
「アルテミアさんのアルベドは……アルテミアさんにお任せをします」
 リースリットが言った。
 アルベドはアルテミアに妖精丸々一体分の能力が上乗せされたモンスターだ。力が拮抗している保証はない。それでも、アルテミアが相対するのが良策とリースリットは判断した。
「うふふ」
 アルベドは笑った。アルテミアの声で。だが、アルテミアとは違う笑顔で。
「知りたい?」
 アルベドは、首をかしげた。白い髪が背を滑る。血色もない。陶器のような肌。美しい外見とは別の生物的忌避感がある。
「どうしてだか知りたいでしょう? なんで自分だったのか。なんでこんなはずかしい目に遭っているのか知りたいでしょう?」
 アルテミアの声でアルテミアとは違うしゃべり方をする。
「ねえ。錬金術はね、色々大変なんですって。材料を集めたり、作業工程が複雑だったり、熟成するのに時間がかかったり、とても大変なのですって。ずっと前からコツコツ準備してようやく結果が出るんですって」
 だからね。と、アルベドは言う。
「こっそり新たな錬金術の実験をしている人にとって、作業の途中で『これは――』なんて気が付く勘のいいヒトが一番興覚めで無粋で目障りで邪魔なのですって。どうにかしてぎゃふんと言わせたくなるのですって」
 きゃははははは。少女のようにアルベドは笑う。笑いと共につきこまれる剣撃。千切れた青銀の髪が風にさらわれる。あの日の森のように。
「あなた、あんなところで気が付いてしまうのだもの。あのスライムは装備を溶かしていただけなのに。そこだけ見ていればよかったのに。酸を体にため込んだスライムなんて割と良くいるでしょう? どうして『造られた』スライムだなんて気が付いてしまったの?」
 当時の依頼の傾向。経験、洞察力、女の勘。なんとでも言いようがある。逆にその勘が育てないまま得物を握れば、早晩死んでいくのだ。
「でもね。そういうのに気が付く勘の良さっていうのも応用できないかって考えるのも錬金術師の大事なところなんですって。だから――」
 焔纏・乱裂だと思う。白い炎が。ぬるりとした、炎が剣にまとわりついて。華やかな肩部がアルテミアを襲う。絶対に自分だけは食らうことがないはずの技。これはアルテミアのオリジナルなのに。アルテミアだけが繰り出せるように。盗まれたのだ。スガタカタチだけでなく、形にならないものまで盗まれている。
「素材にされたのよ。あはははは。答えは、勘がよかったからでした。優秀だから素材に選ばれたんですもの。光栄と思わなくちゃいけないんじゃないかしら」
 そうでしょう? 終始機嫌よさげに笑うアルベド。
「そして、素材は、もう結実したから要らないでしょう? 私がいるもの」
 アルベドはにっこり笑った。
「ああ、それとも、もしもの時の充填剤としてとっておいた方がいいのかしら」
 輸血用の血液パックは必要かしらと同じニュアンスでアルベドは言う。
「ねえ、あなた。素材になったヒト。どう思う?」
 アルテミアの猛攻で傷んだ前垂れを手でもってひらひらと波打たせた。
 フェアリー・コアを傷つけないように気遣うと、どうしても太刀筋が限定される。アルベドは布を強く近むと一気に引き裂き、その辺にほおり棄てた。真っ白なすねと膝が丸見えだ。
 アルテミアの呼吸は静かに深くなる。怒りに飲まれてはいけない。
「……妖精の命を使い、アルテミア様の記憶を機械のように読み上げる。私と似たような物ですね」
 ボディが冷静に分析した。
「しかし痛みも知らないただの人型だと判断します」
 ボディは痛みを知ろうとしている。経験を望んでいる。過去と現在を酷使するばかりの存在ではないと自負している。
「――そうね」
 アルテミアは口を開いた。噛みしめていた奥歯が痛む。
「生きていると色々あるのよ。私、あなたがいるって聞いた時から絶対に決めていたの」
 アルテミアは、この現場に身を投じると決めた時点で覚悟していた。突然過去が暴露されても動揺しないようにと。
「全力で阻止しようって。あなたが私が大事に胸に秘めたことを勝手にしゃべり出したり――」
 騎士とは乙女に付き従うもの。ゆえに、乙女に起きがちの数々の恥ずかしいあれやらこれやらをオブラートで包む方法を修行時代に実地で学ぶ。
「特に、私の顔でなりふり構わない無様な戦い方は許さないって!」
 点で倒せないなら、面で何度でも何度でも地獄を作ってやる。
「確かに私の情報を使って作ったのかもしれないけれど――妖精さんの分も上乗せされているかもしれないけれど――」
 今目の前にいるモンスターのスペックが自分を凌駕していようとも、この場から撤退させることをあきらめる気はない。
 殺意が形を持ってくる。アルテミアの上からアランがアルベドを斬り下ろす。
 全盛期の輝きを一撃に込め、振り下ろされる双剣。
 切っ先が肩口から入り、胸部を斬り下ろす。返す刀が乗りきらない。
「畜生、いつもと違って調子が出ねェ! ……くそったれ!」
 自分で分かった。躊躇があった。フェアリー・コアを避けなければならない。至近のアルテミアの位置取り。アルベドの白い顔。その面影が視界で交錯した。覚悟が乗りきらない一撃に運命の女神は微笑まない。
 アルベドは、自分の胸元を見下ろし、フフッと笑った。
「今、私を切ったあなた。その戦い方は無様じゃないの? 私を倒したいなら急所を狙えばいいのに。このコアとかね。きっと、とても簡単よ」
 こんな風に。と、放たれる斬撃がアランを襲う。
「黙りなさいっ!」
 アルテミアが一喝した。
 白い炎と青い炎が交錯する。侵食し、はね退け、食らい尽くし、食い破る。
 ギャリギャリギャリと壮絶な不協和音を上げながらのつばぜり合い。至近距離で切り合う。一手一手受けを間違えば腕が飛ぶ。鼻先を炎が舐めようと、切っ先がまつ毛の先を斬り飛ばそうと、チェーンデスマッチのように刃を嚙合わせるようにしながら合を重ねる。
 アランが舌打ちして、直近のオートマタを斬り飛ばした。
 アルテミアに襲いかかろうとするオートマタをブレンダの双剣が撫でるように切る。柔らかな動きは戦乙女の足取り。生体部品をまき散らしながらオートマタも機能停止するまでつかの間の輪舞曲に巻き込まれる。機械のみに余る恍惚を今わの際のメモリーに焼き付けるがいい。
「人形たちがいなくなれば妖精たちが避難ができるはず。そのための道を作らせてもらう!」
 ブレンダの輪舞曲の軌跡がが妖精の脱出路につながる。
 脚部をたわませ、アルテミアに突進しようとしていたオートマタの頭をルカの放った黒龍の頭が噛み砕いた。
「――空気よめねー人形だな、おい」
黒龍と同調した反動で激しい灼熱眼が胃の腑を絞り上げるのを根性でねじ伏せる。
 ばたばたと、ぱっくり開いた傷口から血が血祟りおちる。通りすがりに切られている。急所はずらしているが、手数で押し切られるのは業腹だ。
 その傷が急激に塞がった。リースリットと目が合った。何かとてつもなくいいものがルカを癒していったようだった。
「出し惜しみしません。斬りそこないを恐れて攻撃をためらうよりも、ここは思い切りよくいきます!」
 はつらつさを爆発させながら、シフォリィが声を上げる。
「あはは」
 不意の笑い声。
「今はおじいちゃんがアルベドチャンに対して1番強気にダメージを出せる立場にもなったからネ。無粋でごめんネ。お仕事だから、ガンガン行くヨ」
 それは奈落からの呼び声。狩人のいる領域で目の前だけ見ていけない。それは来る。意識の外からくる。風を切る音が聞こえたときはもう途切れる痛みを覚悟しなければならない。
 ずしゃ。
 アルベドの手から剣が落ちた。握っていることができなくなった。
 アルベドの手のひらが吹き飛んで焼失していた。ばらばらと細胞組織が草の上に落ちた。


 ギリギリのところだった。
 ウィリアムとリースリットは、回復に専念せざるを得なくなった。手分けをしてもまかない切れない傷。
 辻の草の上は、砕けたオートマタの破片とローレット・イレギュラーズの血しぶきで抽象画が描かれている。
 これ以上は、天秤が傾く。
「たくさん壊したのね」
 焦げた草の上に転がっているのは、同じ顔の殺戮人形の残骸だ。
「ええ」
 ギリギリだ。ローレット・イレギュラーズはこの次まともに攻撃を食らったら地に伏しかねない。
 ベークは、自らの再生能力を信じて地面を踏みしめながら細く息をつなげている。掌の下に空いた大穴がふさがっていくのは感触で分かるがそれも一瞬でひっくり返される程度でしかない。だが、今、立って、戦闘態勢を崩さないのが何よりの闘争だった。
 表情の抜け落ちた顔で手を見ている。まだ稼働しているブリッジ型とアメンボ型がアルベドの死角をガードする。
「――仕方ないわね。補填材とするかどうかは保留事項でいいのかしら――」
 アルベドのむき出しの手足はズタズタになっていた。だが、ここから更に殺し合いとなったら、ローレット側もただでは済まない。オートマタもまだ残っている。いいところ相打ちだ。
 少なくとも、アルベドの胸に埋まっているフェアリー・コアは容赦なく酷使されるだろう。使い切ったらオサラバだ。そして、確実にアルベドはローレット・イレギュラーズよりもフェアリー・コアを大事に思っていない。それが止まったらアルベド自身も機能停止するという条件を含めてだ。質を取られているようなものだ。欲をかいたらすべてが無駄になる。
「基になった人物の性質を能力面人格面共に大きく受けている様子ですね。恐らく与えられた命令から逸脱する事が出来ない枷がある」
 リースリットが細く呟いた。
 与えられた命令の詳細はわからないが、今がそのギリギリのラインであることは推し量れる。撤退していかない時は自分が背負う。と、リースリットは覚悟を決めた。犠牲は最小にすべきなのもわかっている。
 やるしかない。でも、何を? 自分が殿になってみんなを逃がす? それともアルベドに特攻する? いっそ、フェアリー・コアをギフトで燃やし尽くす?
 意識して制御し実用できるぎりぎりの大きさ。眼球の奥がジワリと熱い。あれを燃やせば、アルベドは機能停止する。
 何が最善? 責任、命の責任。自分が投げだす命の責任。自分が散らす命の責任。残された者の心の傷の責任。目の前にぶら下げられた目に見えない何かが心を押しつぶそうとする。全てを背負いきれるかしら。誰かが耳元で囁いた気がした。
「大丈夫だよ、リースリットチャン。おじいちゃんがいるからネ」
 ジュルナットが小さく応じた。見ててごらん。とアルベドを指さす。
「――アップデートはできそうだし。今度は血液、ああ、ひょっとしたら唾も含まれているかもしれないわ」
 アルベドはそう言った。損得勘定は終わったらしい。実際、アルテミアが流した血をアルベトの白い肌を汚していた。
「顔を真っ赤にして突っ込んでくると思っていたの。では、ごきげんよう。みなさま、明日の朝、目が覚めなければいいのに」
 アルベドとまだ移動は可能なオートマタは、構えを解かないまま後退し、森の木々の間に滑り込んでいった。
 後に残ったのは、アルテミアの顔をしたオートマタの残骸。オートマタだ。アルテミアではない。
「――私たちの勝ちです。妖精を避難させてあげられて、自分たちの足で歩いて帰れるのですもの」
「そうそう。恥ずかしい過去、暴露されなくてよかったな」
 アランが聞き逃さないようにしていたのはアルベトの口から出た情報であって、アルテミアの秘密などではもちろんない。ただ聞いてみないことには情報の性差ができないのですべて聞いておかざるを得なかっただけだ。
「俺は何も聞いてねーぞ!」
 ルカは言った。
「仕事中に耳を傾ける暇があるほどヤワな心してないからサ」
 ジュルナットはそれどころじゃなかったヨ。と頭をかいている。
「畜生。機会があったら抉り出してやろうと思ったのに」
 ルカがぼやいた。
「機会?」
 アルテミアが首をかしげた。ありったけの回復はされたがしばらくは尾を引くダメージだ。
「フェアリー・コアに当たったら、その隙をついて抉り出してやろうと思ってた。不殺でいけば壊れないだろ」
 ルカは、理屈はあってるよなと言った。
「――私が! 必死に! 当てないように! 細心の注意を払って――!」
 アルテミアがわなわなと震えた。声を荒げると、目の前が暗くなる。
「だから、突っ込んでいける隙がないほどいい切り合いだったって言いたいんだよ」
 戦闘民族、怖い。
「アルテミア。僕も狙っていたよ。アルベドが撤退しなければ仕方ないなあと」
 ウィリアムが言った。
「――もちろん、救出方向で」
 にっこりウィリアムは笑っているけれど、今も継続的に怒っているように見えた。。ひょっとすると、戦闘が始まった時より怒っているかもしれない。が、誰もそれを聞くことはできなかった。
「さあ、妖精たちを呼びに行こう。早く逃げてもらわないとネ」
 今にも吐血しそうになりながらも、ローレット・イレギュラーズは歩を進める。
「自らの足で歩いて帰ってこいと言われているのでな!少なくともそれだけは守らせてもらおう!」
 ぶっ倒れるのは、妖精をすべて逃がして、帰ってからだ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)[重傷]
泳げベーク君
アラン・アークライト(p3p000365)[重傷]
太陽の勇者
アルテミア・フィルティス(p3p001981)[重傷]
銀焔の乙女

あとがき

お疲れさまでした。アルベド、欠損込み負傷が一定レベルに達したので撤退です。コアの妖精救出ならず。ですが、当初の作戦目標はクリアです。優先するべきところが一貫していた結果でしょう。ゆっくり休んで、次のお仕事頑張ってくださいね。

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