PandoraPartyProject

シナリオ詳細

貴方の為の花束を

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●お花は好きですか?
 太陽が煌めき、真っ青なインクを零した空に白い雲。
 とある美しい夏の日に、カランコロンと来店を告げるベルが鳴る。
「いらっしゃいませ」
 ここはとある世界の片隅の、とある花屋『ブーケ・ポーラ』
 色とりどりのたくさんの花が飾られた小さい店である。
「ええと、その」
 来店した気弱そうな、けれどとても優しそうな青年の目が宙を泳ぐ。
 うん、と一つ頷いて意を決したように彼は言った。
「憧れの人に告白をしたいんです」
「なるほど」
 店主は憧れの人の特徴を聞いていく。
 
 とても明るくて、優しい人で。綺麗というよりは可愛くて、いつも笑顔の素敵な人です。

「好きな花は?」
「えっと、三月生まれだからチューリップだって」

 恥ずかしそうに呟く青年に目を細めながら、店主はイメージを膨らませていく。
 形は王道の三方見。赤い一重咲きのチューリップの花をメインに添えて。
 アクセントにスイートピーとアルストロメリア。
 淡いピンクのラッピングペーパーにマゼンダのリボンをきゅっと結べば――。

 世界でただ一つの花束が出来上がっていた。
 青年の顔がぱぁっと明るくなり、すごいすごいと興奮を抑えきれていない。
「こんなに素敵な花を、ありがとうございます」
「きっとうまくいきますよ」

 赤いチューリップの花言葉は『愛の告白』
 
 大切な彼女へ、自らの想いに伝えるのにぴったりの花だった。
 男性は何度も頭を下げると、待ち合わせ場所へと向かった。
 その姿を見ていた店の主人――アイリスは満足げに微笑んだのであった。

 「さ、仕事に戻らなくちゃね。今日はどんな出会いがあるかしら」
 ここはとある世界の片隅の、とある小さい花屋『ブーケ・ポーラ』
 
 貴方の為の花束を作ります。

●貴方の為の花束を
 「なあ、お前さん。花とか好きかい?」
 全身真っ黒な境界案内人――『朧』が本を片手に特異運命座標へ問いかける。
 花?と首をかしげる貴方に黒衣は喉の奥でくっと笑う。
「いやあ、異世界のとある花屋なんだがな。たった一人の為にオーダーメイドで花束をつくってくれるんだと」
 なんでも大半の花は揃っているらしい。好きな色、好きな花、花言葉……。
 様々な要素を組み合わせた世界にただ一つの『貴方の為の花束を』が売りの花屋である。

「なあに、いつも忙しい世界のために戦ってくれているお前さんたちへの息抜きさ。自分へのご褒美でも、大切な誰かへの贈り物だっていいんだ」

――どうだい?行ってみないかい?

NMコメント

初めまして白(ハク)と申します。
今緊張しながらOP書いてます。心臓バックバクです。
今回はほのぼのとしたあったかいラリーになります!
PPPを初めたばかりでプレイングの練習をしたい方も、大切な人へ贈り物をしたいあなたも大歓迎です。お気軽にご参加ください!。

●目的
 世界に一つだけの花束を作る。

●場所
 とある異世界にあるお花屋さん『ブーケ・ポーラ』です。
 小さいお店ですがお花に詳しい主人が切り盛りしていて、人気の花屋です。
 外観としては幻想の街並みに近いかも。

 
●プレイング
 使いたい花、贈りたい人イメージ、お任せなどご指定ください。
 同行者がいればお名前、グループタグの表記などお忘れなく!
 関係者さんへの贈り物でも可能です。

例)・青系の花束
  ・友人へ
  もうすぐお友達が誕生日なの!
  青色が好きな子だから青系の花束をお願いしたいわ!

 ・百合
 ・自分へ
  百合の花が好きなのだけどぴんと来ないのよね……。
  だから是非お願いしたいわ

 ・お任せ
 ・自分へ
  来てみたはいいけど花とかあんま詳しくねーんだよなぁ……。
  店主さん、悪いんだけど俺イメージでなんかいいかんじに作れたりする?

●NPC
 アイリス
『ブーケ・ポーラ』の主人です。金髪碧眼の美形。
 お花をとても愛しており、自らの仕事に誇りを持っています。
 彼女にほしい花束のイメージや好きな花や色など伝えればさっと作ってくれます。

境界案内人『朧』
呼ばれない限りはついてきませんがご指名くだされば黒衣の衣装でほいほい着いてきます。

●備考
アドリブが多めになることがございます。
万が一NGなどあれば併記していただきますようにお願いいたします。

  • 貴方の為の花束を完了
  • NM名
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月02日 17時02分
  • 章数1章
  • 総採用数8人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師

「それにしてモ、結構な品揃えだなァ。これだけ種類揃えるノ、面倒だったりしねぇのカ?」
 店内をぐるりと見渡した『双色クリムゾン』赤羽・大地(p3p004151)は正直な感想を述べた。

「大変じゃないといえば嘘になりますが……」
 好きなことですからとアイリスは言う。
「俺の同居人モ、何処からか本を沢山集めてくるんだがナ。本当、よくやるもんだヨ」
 俺には理解できないネと言わんばかりに赤羽は皮肉っぽく笑った。

「特定の誰かへの花束……という訳じゃなく、俺の図書館に、飾る花でもあると良いかな、と思って訪ねたのだけれど……。それでも大丈夫だろうか?」
 と、大地はアイリスへと問いかける。

「もちろん。貴方の為の花束の花束ですから。ご希望は?」
「……迷うな、俺は竜胆なんかも好きな花だけど」
 大地が悩む間に赤羽が口を挟む。
「俺個人は赤い花も好きだがナ」
「竜胆に赤い花、ですね」

 アイリスは瞼の裏でイメージを思い描き、近くの筒へ手を伸ばした。
 メインは竜胆、アクセントにはアスターを織り込んで。
 パウダーブルーのペーパーとバイオレットのリボンをあしらえば――。

「はい出来上がり。竜胆は水の中に入れて、水の深いところで茎を折ると長持ちしますよ」

 そっと渡された花束は青と赤のコントラストがお互いを引き立てあう物だった。

 竜胆は『固有の価値』を様々な本から見出す貴方へ。
 アスターは『変化を好む』天邪鬼な貴方へ贈ります。
 


成否

成功


第1章 第2節

イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
キラキラを守って

「こんにちは、花束、お願いできますか?」
 『おもちゃのお医者さん』イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)が頭を下げる。腕の中のぬいぐるみに微笑みかけ、彼は続けた。

「えっとね、この子への贈り物なんだ。この子と過ごすようになってとっくに1年が過ぎてるのに、特別なお祝いをね、まだ、してあげられてなくて」
『ええ、ずっと待ってたのに気が利かないんだから』
「はは……えっと、それで怒られちゃって」

 だから、とびきりの花束を、この子のために。
 
 そう言ったイーハートーヴにアイリスは頷く。
 残念ながら『彼女』の声を聴くことはできないけれど、きっと素敵なレディなんだろう。そしてフローリストナイフを手に取った。

「ふふ、何だか色んなことを思い出しちゃうね、お姫さま」
『ええ、そうね』
「俺は、俺のたくさんの子供達を、向こうの世界で不幸にさせてしまったから」
 この世界で、初めて君を作って。
 鋏や針を持つ手が、馬鹿みたいに震えて……。
 ぎゅっと、オフィーリアを抱きしめイーハトーヴは目を伏せた。

 二人の邪魔をしてはいけないと、アイリスはそっと花束を傍らへ置く。
 ピンクのガーベラをメインに控えめな霞草を添えて。
 ミルキーピンクのペーパーにシエナのリボンを結んで。
 ガーベラと霞草の花言葉は『感謝』 

「……ねえ、オフィーリア。いつも、ありがとう」
 ――君が傍にいてくれるから、俺はここまでやってこられたよ。

 


成否

成功


第1章 第3節

チック・シュテル(p3p000932)
赤翡翠

 自然に咲いた花を見たり偶に摘んだりする事はあるけれど。
「お店で買う……のは。した事、無かった……かも」
 折角だから、自分の花を選んで買っていこうかなと、『埋れ翼』チック・シュテル(p3p000932)はドアに手をかけた。
 店の中には色とりどりの花たちが、お客様を待っている。

「わあ。色んな花、こんなにいっぱい……あるなんて。凄い。」
 琥珀の瞳に光を灯し、チックはほうと溜息をついた。
「どれも綺麗で、良い香り。きっと……とても大事に、育てられて、きたんだね。」
「ありがとうございます。……ご注文は?」
 嬉しそうにアイリスは微笑み、チックに問いかけた。
 
「お任せしても良い、かな。おれが好きな色は……白。どの花も好き…だけど、小さい花が…結構好き」
「白くて小さい花ですね」
「本当は……分け合いっこしたい人、いる。でも……今は、会えない。だから、今回は。自分の住んでる所に……飾るつもり」
 
 一瞬寂しそうな顔をした渡り鳥の彼に、ぴったりな花は――。
 
「お待たせしました」
 差し出されたのは鈴蘭をまとめ、白雪のペーパーに包み、白の光沢のあるリボンで結んだ花束だった。
「とても、綺麗……! 大事にする。ありがと、だよ。」
 差し出された花束を、大事そうに抱えチックは幸せそうに微笑んだ。

 鈴蘭の花言葉は『くもりのない純粋さ』そして『再び幸せが訪れる』
 いつか、貴方と大切な人が再開できますようにと願いを込めて。

成否

成功


第1章 第4節

クロエ・ブランシェット(p3p008486)
奉唱のウィスプ

「店主さんを見たら髪と目の色が母とよく似ててびっくりしました」
『波枕の鳥』クロエ・ブランシェット(p3p008486)はふわりと微笑んだ。

 花が大好きな母への誕生日プレゼントはマトリカリア。
『集う喜び』の花言葉を持つ花が大切だと聞いたから、探してみたがなかなかが見つからない。

「そんな時に、ここなら大半のお花があると聞いたのでもしかしたらと……」
「ええ、ありますよ」
 そうアイリスが答えれば、クロエの頬にうっすらと赤みが差した。
「やった……! あ、ごめんなさい」
 思わず取れてしまった敬語に、少し照れてクロエは指を摺り合わせる。
 そして、アイリスにオーダーを掛けた。
「その花と私の感謝の気持ちにカスミソウを使ってほしいです。
水色が好きだと言っていたので、あれば水色のリボンを結んでもらえますか?」
「かしこまりました」

 アイリスは、少女の想いに添うべく、鮮やかなパステル・ブルーのリボンを取り鋏を入れる。ラッピングペーパーは白を引き立てるベビーブルーの物を選んだ。メインには、お母様が好きなマトリカリアを。そして、傍に霞草を。色合いが似ている花たちは親子の様に見えた。

「まるで魔法みたい……喜んでもらえるといいなぁ……」
「こんなに優しいお嬢様からの贈り物なんです、喜んでいただけますよ」
 そういって優しく笑むアイリスに一瞬母が重なって。
 不思議な縁を感じながらクロエは大事そうに花束を抱えたのだった。


 

成否

成功


第1章 第5節

古木・文(p3p001262)
文具屋

「俺だったら……雛菊とか、わりと好きだがねぇ」
 ここに来る前に、貴方だったらどんな花束にすると問いかけたら、顎に手をあて
考え始めた朧の顔を『想心インク』古木・文(p3p001262)は思い出していた。
 存外可愛い花を好むのだなと、くすりと小さく笑みをこぼす。
 そして、店内へと足を踏み入れた。

「こんにちは、良いお花屋さんがあると聞いたものだから……だから、その」
 ええと、と文は少し視線を泳がせ申し訳なさそうに溜息をつく。
「どんな花束を作って欲しいとか、誰かにあげようかとか
 全くの無計画で来てしまってね……うーん、申し訳ない。」
「構いませんよ、花が好き。それで充分です」
 穏やかな文の雰囲気が気に入ったのかアイリスは目を細めた。
 ううんと悩んで、あ、と思いついたように文が顔をあげる。

「そうだ。あなたのオススメで一つ、作ってもらえないかな」
 たとえば……たとえば、そう。
 食卓の上に飾って楽しめるような、小さなサイズが良いのだけれど。

 可愛らしい花があれば、きっと食卓も華やかに、楽しいものになるだろう。
 それはとてもいいアイデアですねと、アイリスはこの青年に似合う花を見繕う。
 メインは食事の邪魔をしない白い雛菊を。そして白い便箋に想いをペンで走らせたようにヤグルマギクの青を添える。

 出来上がった小ぶりの花束を見て、文は黒衣の彼を思い出しまた笑う。
 案外彼は、自分と似ているのかもしれないと。
 

成否

成功


第1章 第6節

ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸

「僕は花の種類じゃなくて色で選んじゃうからなー何かお勧めはないかい?」
「どなたかへ贈られたりしますか?」
「んーまだ会えてない誰かに?」
「と、言いますと……?」
 きょとんとしたアイリスにランドウェラは笑う。
「はははっ、こんなこと言っても意味わからないよな。僕もわからない」
 そして少しだけ笑うのをやめ、真剣な顔で彼は言った。
「だから……店主さんが僕に花束をくれないかな」
「私からお客様に……ですか?」
「きっとそれが僕『ランドウェラ=ロード=ロウス』をイメージして作ってくれたものになるだろう?」

 『複製品』ではない『自分』を示すには十二分じゃないかな。

「……承知しました。お好きな色は?」
「紺色。黒と白と紅はあるけど紺色は持ってないから。さあさあ素敵な物をよろしく頼むよ!」

 どこか楽しそうに細められた目をじっと見つめ、この外見の割に子供の様な青年には何が似合うだろうかと、アイリスは蓄えた経験と知識をその脳内で稼働する。

「気に入っていただけると、良いのですが」

 ランドウェラに渡されたのは、マダガスカルジャスミンでその色の鮮やかさを引き立てた蔓日々草。それを濃紺の光沢のあるリボンで留めたもの。

 三月二十一日生まれの、誰でもない唯1人の『貴方』の思い出を積み重ねて欲しい。

 そう言えばまたランドウェラは楽しそうに眼を細めて。
「お代はこんぺいとうでも大丈夫かな?」
 無邪気に硝子の瓶を取り出した。

成否

成功


第1章 第7節

アト・サイン(p3p001394)
観光客

 生まれた時からダンジョンぐらしの男にとって、花とは動いて叫び毒の花粉を撒き散らすモンスターでしかなかった。
 何の因果か混沌に召喚されて、初めて咲いているだけの花を見たときの驚きはまだ覚えている。
 だから『観光客』アト・サイン(p3p001394)が、店内に並ぶ美しい花々をただ見つめていたのも無理のない話だった。
 注文もせず、ひたすら花を見つめているアトにアイリスは声をかける。

「お客様、いかがされましたか?」
「ん、あっ……店主さん?」
 声をかけられ、アトは気まずそうに顔を上げた。
「いやあ、すまないねえ、花をじっくり見る機会なんて中々ないものだから、つい」
「そうでしたか、ゆっくり見てくださいね」

 そうだ自分は花を買いに来たんだったと、アトは思い出した。
 花の知識に明るいわけではないが、どれも素敵で悩んでしまう。
「せっかくだからなにか、寝泊まりしている家に飾れるものを……」
 そして店内を見渡して、視界の端にとらえたのは正方形の紙の箱。
 あれならば場所も取らないし、ちょうどよさそうだ。

「そこの紙の箱に詰めてくれないか?」
「フラワーボックスですね」
「へえ、フラワーボックスっていうんだ? 詰める花は任せていいかな」
「かしこまりました」

 アイリスはアトが選んだ茶色の箱に、サンザシの花を詰めていく。
 『観光客』と自称する彼のこれからの旅が『希望』で満ち溢れたものでありますようにと願いを込め――。

成否

成功


第1章 第8節

ソロア・ズヌシェカ(p3p008060)
豊穣の空

「私の髪の色と似ているお花はあるだろうか? 濃いめの赤とか、そんな感じで」
 花の準備をしていたアイリスを見上げながら、『幻想の冒険者』ソロア・ズヌシェカ(p3p008060)は問いかけた。
「赤い花ですか? もちろんありますが……」
 髪の色と似ている花とは珍しいとアイリスは思った。
 そんな彼女の視線に気づいたのかソロアは理由を述べる。

「ん、あぁ、赤い花を探す理由か、私の髪色は母親譲りなんだ。」
 長いおさげを軽くつまんでソロアは笑って見せた。
「召喚されてきたから贈ることはできない代わりに……ていうのも変だが、家に飾っておこうかと思って」

 かつて、その細い躰に重すぎる期待を乗せられ、応えることができなければ折檻を受け、結果を出しても喜んでもらえたことなどない。
 努力することは嫌いではないが、限りない期待と折檻を受け続ける生活には疲れてたつもりだったのだが。

「ホームシックとやらだろうか。ありがとう、家に飾らせてもらうな。」
 彼女の髪によく似た赤のラナンキュラスの花束を抱えたソロアは、嬉しさと悲しさを織り交ぜたような表情で店を去った。

 ――あなたは魅力に満ちている。

 赤いラナンキュラスの花言葉に彼女が知る日はそう遠くないと信じて。
 アイリスはその小さい背中を見送り、店先に『CLOSE』の看板を下げた。

 ここはとある世界の片隅の、とある小さい花屋『ブーケ・ポーラ』
 
 貴方の為の花束を作ります。


成否

成功

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