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シナリオ詳細

茨の魔女
茨の魔女

完了

参加者 : 8 人

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オープニング

●魔女の独白
 知ってる。
 私を愛する人はいない。皆、皆憎んで、恨んで、嫌悪して。
 だから、眠らせてしまうの。
 そうすればきっと──私は安らかに暮らせるわ。

「そうでしょ?」
 答える者はいない。
 魔女が皆眠らせてしまったから。
「あのね、苦しくて、辛かったの」
 周りから心無い事をいっぱい言われたの。
 石を投げられたこともあったわね。
 そう呟く魔女の口元は孤を描いている。
「これでもう苦しくない」
 だって魔女の見下ろす人間は、険しい顔で魔女を見ない。
「もう辛くもない」
 傷つくような言葉を投げかけられることもない。
「もう、寂しくない」
 ずっとずっと、ここにいてくれるから。
「だからもっと……もっと、賑やかにするの!」
 眠る男の胸には、薔薇のような赤い花が咲いていた。


「森の奥にね、茨の魔女と呼ばれる女の子が住んでいるのさ」
 『黒猫の』ショウ(p3n000005)が首元のネックレスを弄りながら説明をする。
「持っている力をよく暴発させちゃうような子でね。地域の住民から疎まれていて、彼女もそれをわかっているから今まで必要最低限しか他人と接してこなかったようだ」
 今までは、と。ショウはそう言った。
 ショウは弄っていたネックレスから視線を君らへ──イレギュラーズへ向ける。
「その魔女を殺す。これが今回の依頼だよ」
 事の発端は、魔女が他人へ接触を図ったことによる。
 いつも通り住民たちは気味悪がり、魔女から距離を置こうとした。けれど魔女は離れるのでなく、住民たちに近付いてくる。
 そうして話しかけられていた男が、ある日行方不明になった。
 その次の日には花を詰みに行ったはずの少女が。またその次の日は年端もいかぬ少年が。
 徐々に消えていく住民。残った者は皆「魔女がやったんだ」と声を揃えて主張した。
「たまたまだと思ったんだ。今は物騒な事件も多いし、魔女が村に来ていた時期と偶然被ってしまったんじゃないかとね」
 猟奇的な殺人事件や、やりすぎたと咎められるような行為。そういった依頼が多いが故に、別の誰かが起こした事件なのではないか、と。
「……けれど、どうやら本当のようだ。魔女は住処の奥、大樹の根元で住民達と共にいた」
 それはもう、嬉しそうな笑顔を浮かべて。
 眠る住人達の顔を1人1人覗きこみ、何やら言葉をかけているようだった。
「さらわれた住人たちだが。あれは……もう死んでるね。ただの死体だ」
 遠目から観察しても、その顔に生気はなく。呼吸に上下するはずの胸も動かない。
 その内肉が腐って落ちていくはずだ。
「これ以上人が連れていかれたら、村がなくなってしまうとさ。じゃ、よろしく頼んだよ」

GMコメント

●成功条件
 茨の魔女の殺害

●敵情報
○茨の魔女
 外見年齢15歳程度の少女。実年齢は不明であるが、やや幼げな言動。
 魔法により茨を操る。また、狼の使い魔を操ることもできる。
 茨は地中から生えるが、R1の範囲より外の地中からは出てこない。

・茨の檻
 伸ばした茨でもって拘束する。ダメージ判定あり。BS呪縛付与。
・茨の鞭
 茨をしならせ、鞭のようにして攻撃する。また、時にそれらをより合わせて盾のように使用する。
・茨の罠
 地中から茨を突き上げ、範囲内にいる自分以外の対象を切り裂く。効果範囲は域(半径レンジ1)。

○狼×6体
 漆黒の毛並みを持つ狼。体のところどころが燃えている、魔女の使い魔。
 攻撃力等の単純な戦闘力だけなら魔女より高い。

・切りさく
 爪や牙で切りさく。
・ブレス
 口から炎を吐く。BS火炎付与。

●場所
 森の中。1本道を進んだ先にこじんまりとした家がある。
 その裏手から更に進んだ先に巨木がそびえたっており、その根元に魔女とさらってきた住民達はいる。
 1日春の陽気。時間帯は参加者同士で相談の上プレイングへ記載。
 どの時間帯でもその場に魔女はいるが、夜になると視界の悪さから暗闇のBSが慢性的に付与される。

●情報確度
 A。
 オープニングと解説以外に不確定要素はなし。

●ご挨拶
 愁と申します。
 魔女は殺しても呪いとかありませんのでご安心を。
 R4だと森の中に入ってしまう為木々によって視界が悪く、巨木の方へ攻撃することは困難でしょう。ただしプレイング次第では問題なく攻撃も可能となるかと思います。
 それではご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • 茨の魔女完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年04月23日 21時25分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

江野 樹里(p3p000692)
ジュリエット
武器商人(p3p001107)
闇之雲
シーヴァ・ケララ(p3p001557)
混紡
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
五行絶影
デッドマン=ネームレス(p3p002867)
亡者の群
クーア・ミューゼル(p3p003529)
こげねこ
ヨダカ=アドリ(p3p004604)
星目指し墜ちる鳥は
一ノ瀬 近衛(p3p004833)
影の住人

リプレイ

●炎と茨
 森の中。少し先ではちらちらと日の光が見える。この先に待ち受けるモノを知らなければ穏やかな空間でしかない。
「地の利は向こうにある。慎重に行こうか」
 声をかけた『千法万狩雪宗』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)を始めとしたイレギュラーズの面々は、注意深く辺りを探りながら進んでいた。
 前方と側面。森に潜んでいる可能性もある。そう思えば、まだ巨木に辿り着いていないからといって油断はできなかった。
「魔女に先手を打たれないよう、気を付けなければいけないのです」
 『魔道火車の瞳』クーア・ミューゼル(p3p003529)は耳をしっかりと澄ませ、足音を敵に聞かれぬよう忍ばせながら進む。
 彼らの注意深さあってか、何に遭遇することもなく巨木の手前まで辿り着いたイレギュラーズ。森を抜ける1歩前で様子を見る。
 巨木の根元。小柄な影がちょこちょこと動いている。その足元には寝かされた影が幾つかと、黒い塊。使い魔の狼だろう。
 『ジュリエット』江野 樹里(p3p000692)がその場から少し離れ、長い杖を水平に構えた。
「──魔砲、いきます」
 仲間たちが軌道から外れたことを確認し、杖を媒介に魔力を練る。
(戦闘では…私にやれることなどただの1つしかありません)
 体力はない。回避も苦手としている。1撃当たれば致命傷だろう。
 ならば、攻撃をするのみ。
 その優し気な風貌に反し、放たれる魔砲は破滅的威力をもって木々をなぎ倒した。
 破砕音、そして一瞬の沈黙。『星目指し墜ちる鳥』ヨダカ=アドリ(p3p004604)のどこか懐かしさを感じさせるバラッドと、狼の唸り声が静寂を破る。
「護衛のつもりでしょうか?一匹残らず散らしてあげましょう」
 『影の住人』一ノ瀬 近衛(p3p004833)は向かってくる狼に向かって炎を放つ。けれど、自らも燃えているが故か。ダメージは通っていそうだが、威嚇のつもりで放ったのに狼たちは怯む様子がない。
 森から出てきたイレギュラーズ達に魔女は視線を送り、嬉しそうに微笑んだ。
「まあ、まあ、新しい人だわ! 待ってて、すぐ戻ってくるから!」
 少女が寝かされた男に声をかけ、立ち上がる。あれが魔女だろう。とすれば、声をかけていたのは連れ去られた住民か。
「……茨の魔女よ。お前は一線を踏み越えた。その凶行、止めさせて貰うぞ」
 『亡者の群』デッドマン=ネームレス(p3p002867)が盾を構える。声をかけられた魔女はにっこりと笑い──地中から茨を生やした。
「遊んでくれるのね! 嬉しいわ、ずっと遊びましょう!」
 うねうねと意思を持つように動く茨。まるで棘の生えた触手だ。
(住人を殺し、言葉をかける魔女ですか……)
 近衛は魔女を一瞥すると、すらりと国切血染を抜いた。
「……何か訳があるのかもしれませんが、私がやる事は変わりませんね。刀の錆にしてあげます」
 その姿は初めての依頼と思わせないほどに淡々としており、常と変わりない。
 もう1振りの刀も抜き、接敵。狼の牙を刀で受け止め、国切血染を振り下ろす。
 直撃寸前で飛び退られた為仕留めるとまではいかないが、手傷は負わせられたようだ。
 汰磨羈が挑発的な笑みを浮かべる。
(笑顔で虐殺とは……全くもって、恐れ入る)
 物騒な事件が幻想国内で頻発しているが、今回はそれなりに際立っているようだ。
「随分と物々しい護衛だな。一人では不安か?」
「護衛? お友達よ! ねえ、その遊びに私も混ぜて!」
 茨が汰磨羈へ向かいかける。その間に立ちはだかったのは綿雲のような髪を持つブルーブラッド。
「こんにちはお嬢さん、今日はとても心地よい天気ね」
 『混紡』シーヴァ・ケララ(p3p001557)は知人にあったような気安さで笑みを浮かべた。
「ああ、新しい人が沢山! ずっとずっとここに居て? 私と遊んで、離れないで」
 シーヴァが名を問う前に魔女が肉薄する。共に突き出された茨を短剣で切り裂いたシーヴァは、その口元に緩く弧を描いたまま。
「あら、気が早いわ。でも、そうね。ご一緒に遊んでは頂けないかしら?」
「勿論よ! ずっとずっと遊んで! 帰らないでここに居て! 帰さないから!!」
 立ちはだかるシーヴァに素早く茨が巻き付く。棘が食い込む感触に、シーヴァは笑みを浮かべながらも歯を食いしばった。
(……痛いわね)
 けれど魔女の心にも、棘が沢山刺さっている。
 独りは寂しくて。孤独で。たとえ辛く当たられると分かっていても、人の傍にいたいと願って。
 きっと、刺さった棘でその心はボロボロだ。
 ぱし、と聖なる光が茨をはじき、シーヴァを拘束から解放する。
「ヨダカ君、ありがとうね」
「どういたしまして、だよォ」
 ヨダカは魔女へ視線を向け、すぐに目を伏せて苦笑した。
「……こんな風になってしまう前に、出来れば君と話してみたかったよォ……」
 戦いの最中に交わすいくらかの言葉ではなく。落ち着いて目を見て話して、相手の言葉を聞いて。
(嫌悪されるから殺して、それって本当に安らかな事かい?)
 聞いてみたくとも、魔女の様子からするとはっきりとした答えは得られないだろう。
「お話? ねえそれより一緒にいて? ずっとずっとズット一緒にいるの!!」
「ずっと一緒、なんて気安く望むものもないのです」
 クーアが聞こえた魔女の言葉に眉を寄せた。
 どんなものも、いずれ消えるものだ。それに。
「命も焔も、いずれ燃え尽きるからこそ美しいのです」
「それでもずっと一緒にいたいのよ! だって消えちゃったらサビシイわ!!」
 クーアの元へ行こうとする魔女。シーヴァが行かせまいと短剣を構えた。
 けれど、代わりとでもいうようにクーアへ狼が襲い掛かる。それを遮ったのは汰磨羈だ。
 厄狩闘流『破禳』、火行討技が1つ。
 たん、と跳躍し狼の頭上で1回転。踵落としと共に起きた爆発が狼の体勢を崩す。
「放置は出来んな。確実に数を減らしていくぞ!」
 体勢を崩した狼へ炎が放たれる。クーアは自ら放った炎に首を傾げた。
(あの光景の再現には程遠いのです……)
 魅せられた炎にはまだまだ届かない。だから、もっと燃やさないと。
 ヨダカの遠術に畳みかけるように、武器商人の威嚇術が狼へ向けられる。
 初めの攻撃を躱した狼は威嚇術を受けて地面を転がった。
 不殺の術は狼の命を奪うことなく、しかしダメージは蓄積させる。現に狼はまだ動けるが、その足はよろよろとして覚束ない。
 飛びかかった狼の牙が死骸盾をも突き抜けて、武器商人の腕に傷を作る。しかし攻撃を受けた武器商人は笑みを絶やさない。いや、攻撃を受けたと感じていないというべきだろうか。
 喰らい付いていた狼が強打によって引きはがされる。デッドマンのシールドバッシュだ。樹里の魔砲に巻き込まれていたのだろうか、盾で殴られた狼は既にピクリとも動かない。
 デッドマンへ、武器商人はへらりと笑った。
「守護者の旦那、助かったよ」
「なら何よりだ。だが、まだ敵は……」
 その瞬間。聞こえた悲鳴に2人は振り向いた。

「少しは視界も確保できた……でしょうか?」
 3発ほど魔砲を放った樹里は辺りを見回していた。
 先ほどよりひらけた空間。空が青い。少しどころではなく、戦闘には十分だ。
 離れた所に出現した茨を樹里が凝視する。考えているのは魔女をどうやって倒すのか──ではなく。
(茨……アロエみたいな感じで、食べたらおいしいでしょうか……?)
 食欲であった。
「戦闘が終わったら、是非試してみないと……ですね」
 ぐ、と握り拳を作る樹里。心の声がダダ漏れであることに果たして気づいているのか。
 そんな彼女へ手負いの狼が接近する。先程の魔砲に巻き込まれた傷だ。
 まともに喰らったら次は殺される。そう警戒すれば、攻撃者を狙うのは当然だろう。
 樹里は杖をかざし、魔力弾で弾幕を張る。
「あんまり近づくと……食べちゃいますよ?」
 勿論逆も有り得るが。世界は弱肉強食だ。
 だが、狼はその弾幕に飛び込んできた。樹里の目が丸く見開かれる。だが、すぐにその瞳は細められた。
 どうせ攻撃を喰らったら体力のない身は長く持たない。ならば、倒れる前に1体でも多く倒すのみ。
 長い杖を構えて魔力を放つ。けれど狼の素早さ故か、攻撃が当たらない。
 それにもどかしさを感じながら樹里は魔力を練り上げようとして──魔力不足に気づいた。
 初めの魔砲で使いすぎたか。青ざめる樹里に影が差す。
「! しまっ──」
 狼の爪に襲われる。樹里は悲鳴をあげて座り込み、思わず目を閉じた。
「樹里さん、大丈夫なのです!」
 すぐ近くから聞こえた声。それに樹里は恐る恐る目を開ける。
 影は差したままだ。それも、すぐ近く。けれどそれは襲ってこない。否、樹里を守らんとしている背中だ。
「クーアさん!」
「間にあって良かったです」
 牙を受け止めたクーアは組技でもって狼に立ち向かう。そこへ汰磨羈が加勢した。
「すまない。他をマークしていて反応が遅れた」
 狼の息の根を止め、汰磨羈がさらに向かってくる狼へ武器を構えながら謝罪を述べる。小さく首を振った樹里はゆっくりと立ち上がった。

 汰磨羈達の元へ辿りつく前に、狼へ武器商人の攻撃が降りかかる。それを躱した狼は首を巡らせ、回復を主としていたヨダカに狙いをつける。
 だが。
「そう易々と進ませるわけがないだろう」
 デッドマンが道を遮る。狼はグルルと唸り声を上げた。
 狼が大きく息を吸い、デッドマンは咄嗟に盾を突き出す。次の瞬間、その表面をブレスの炎が撫ぜた。
 ブレスを吐きながら首を左右に動かす狼。けれど、そこを真っ直ぐに進む影がある。
「すいません、あなた達の得意な炎はあまり効かないのです」
 炎によって近衛の肌が炙られる。だが、それ以上に炎が近衛を苛むことはない。
 目の前まで肉薄した近衛は、手に持った2振りの刀で狼の命を屠った。
「……あなたのナイトたちは皆倒れたよ。さて、孤独なお姫様はどうするのかな?」
「悲しい、とっても悲しいわ! だから……代わりにあなた達がお友達になって! ずっとずっとここにいて!」
 近衛の言葉に、魔女は『悲しい』と言いながら無邪気な笑みを浮かべる。
 拘束しようと伸ばされた茨は刀によって切り伏せられた。
「ごめんなさい……そろそろお別れの時間みたいだわ」
「ううん、お別れじゃないわ。お別れなんてさせない。一緒にいるの、いっしょに、ずっと、いっしょ」
 シーヴァの言葉に首を振り、呟き続ける魔女。
 汰磨羈がシーヴァの脇をすり抜けて強く踏み込んで、跳躍。
「ここで終わらせてやる。迷わずに逝け!」
 放たれた鴻翼楔に魔女の顔が歪む。けれど体勢を崩すまでは至らず、ゆらりと茨がうねった。
「お別れなんてしない! だって、一緒に、ずっと、ズット、一緒にいたいの!」
 ぼこぼこと茨が足元から突き出す。近くにいた汰磨羈と避け損ねたシーヴァは茨の罠に襲われた。
 茨から抜け出したシーヴァにヨダカの治癒魔術が向けられる。
 すでに使い魔である狼はいない。多勢に無勢であった。
「燃えてなくなって下さい」
 近衛の放った炎は、魔女の代わりに壁となった茨を燃やす。その懐へ潜り込んだシーヴァは、短剣を魔女の胸元に深く突き刺した。
「いずれ向こうで、お友達になりましょう」
 きょとん、と突き立てられた短剣を見た魔女はシーヴァの言葉に笑みを浮かべる。
「やくそ、く……よ……」
 眠るような表情を浮かべ、魔女は倒れた。
 同時に周囲の茨も力を失うように地面へ落ちる。
「──おやすみなさい、よい夢を」
 短剣を引き抜き、シーヴァは薔薇のように魔女の左胸に広がる血のシミを見下ろした。

●どうか、安らかに
「……茨のコ。我(アタシ)が愛すべき魔女のコ。此処にヒトリで眠るのは寂しくはないかぃ?」
 武器商人が目の前の空間へ話しかける。そこには何もない。けれど、武器商人が語り掛けているのは魂だ。
「此処からは余談。キミは殺され、キミを憎む者は誰も手を出せぬモノガタリ」
 不思議がる反応。武器商人は真意の見えぬ笑みを浮かべる。
「キミが望むなら我(アタシ)はキミを連れて行こう。我が眷属には青薔薇の魔女、あのコはキミに悪い感情を抱きやしないだろう。静かな眠りと引き換えに、キミが飽きて眠るまで、孤独はキミから遠ざかる」

「キミの望みは、なぁに?」

 武器商人は問う。ギフト《楽園(カヴン)》の従者にならないかと。
 自らは魔法が意思を持ったモノ。少なくとも自分はそう思っているし、そんな自分(魔法)が魔女を友好的に思わないわけがないのだ。青薔薇の魔女も、きっと。
 けれど、霊魂の答えは。
「……そう。大丈夫、もちろん静かな眠りも選択の1つさ」
 その声に僅かながら落胆が混じる。けれど、武器商人は強く霊魂を引き留めようとはしない。
 それが霊魂の、魔女の意思なら尊重すべきだ。
「眠るのですね。ならば祈りましょう」
 武器商人の言葉に、樹里がロザリオを握って目を閉じた。
 魔女だけではない。使い魔であった狼も、犠牲となった住民も。安らかに眠れるよう、祈りを捧げる。
「住民の遺体も遺族に返さないとね」
「ああ、そうだな」
 シーヴァが寝かされた複数の遺体へ目を向けた。デッドマンやヨダカもその言葉に頷く。
「できれば、お墓は他の人と一緒のところがいいねェ」
 本当は魔女も、仲良くしたかったはずだ。せめて墓は皆と同じ場所に作ってあげたい。
「あれ……それは?」
 近衛が気づいて指摘したのは樹里の腕の中。いつの間にか、何やら色々と抱えているのだ。
「茨と、あそこに余ってたお肉……です」
 焼いて明日の糧にするのです、という樹里。そのお腹がぐぅ、と小さく鳴る。
 茨は食べられるのだろうか。わからないが、料理方法によっては食べられるのかもしれない。
 そんなわけで、イレギュラーズは遺体を背負ったり、食料を抱えたりして森の道を戻ったのであった。

 結果として、魔女の遺体は住民達と同じ墓所に埋葬できなかった。
 住民の反発がそれだけ強かったのだ。『アレの死体なんて埋葬したら、怪異が起こりそうだ』と。
 魔女に対して友好的、同情的なイレギュラーズの面々にとっては複雑な心境だろう。
 だが、住民達は力を持たぬ者。力を持つ者は、たとえ死んだとしても彼らにとって脅威になる可能性がある。実際に脅威でないとしても、いつかそうなるかもしれないと思いながら生活することはできないのだ。
 それならばと地域の情報を聞き、ヨダカが見つけたのは小さな丘。
 ここならば住民達の暮らす場所を見渡すことができ、寂しくもないだろう。
 穴を掘り、魔女の遺体を中に入れる。少しずつ土を戻して、そうしてできたのは少しだけ土の盛り上がった簡素な墓。
 それを見ながらデッドマンは思う。どちらも間違っていたのだ、と。
 住民たちは魔女に対して正面から向き合っていれば。魔女はその力を正しく使えていれば。
(そうあれば、結果は変わっていただろう。ただ……とても、難しい事でもある)
「力さえなければ、なんて。……ほんと、厭な話だよォ」
 故郷の子守唄を歌い終えたヨダカが空を仰ぐ。その呟きは、丘に吹いた暖かな風に浚われた。

成否

成功

MVP

シーヴァ・ケララ(p3p001557)
混紡

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした。お墓まで作って頂いてありがとうございます。
 魔女は静かな眠りにつきましたが、きっと孤独ではないでしょう。

 魔女の抑え役を担い、彼女の最期に心を救ったであろう貴方へMVPをお贈り致します。

 参加して頂きありがとうございました。
 それではまた、ご縁がございましたらよろしくお願い致します。

PAGETOP