究極、最強、カブト＆クワガタＧＰ！　

オープニング

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　先日、天義にて孤児院の子供達を巻き込み、カタツムリＧＰを開催したベネディクト＝レベンディス＝マナガルム (p3p008160)。
　小規模ながらもなかなかに白熱した戦いを終えた彼だが、すぐにまた新たな戦いをプロデュースすることになる。

　ある日、幻想ローレットへとやってきたのは、１人の貴族。
　優男風ながらも、ダンディーさを感じさせる４０代の男性だった。
「ああ、すまない。依頼を願いたいのだが」
「ローレットへようこそ、いかがなされたかな、御仁」
　丁度、その場に詰めていたベネディクトが受付を行うことに。
　テーブルに着いた両者は、ローレットのスタッフが並べた紅茶を口にする。
　少し喉を潤した貴族の男性はダグラスと名乗った後、こう話を切り出した。
「まずは率直に依頼内容だけ。強いカブトムシかクワガタムシを捕まえてきてほしいのだ」
「是非、話を聞かせてほしいのじゃ」
「面白そうですね。ボクも聞いてみたいです」
　その貴族男性ダグラスの言葉を耳にし、近場にいたアカツキ・アマギ (p3p008034)やマギー・クレスト (p3p008373)が近づいてくる。
　２人もこの間、ベネディクト企画のカタツムリＧＰに参戦したメンバーだ。

　なんでも、貴族の仲間内で昆虫を戦わせる遊びが流行っているとのこと。
　丁度、季節は夏を迎えており、林ではカブトムシやクワガタムシの成虫が確認されるようになってきている。
　毎年、ダグラス自らお供を連れて、自身が幻想内に所有する林へと対決に出す成虫の採集に向かうそうなのだが、今年は対決当日までの間に外せない仕事が重なっており、やむを得ずローレットにその捕獲を依頼してきたとのことだ。
　話の最中、興味を抱いたイレギュラーズが続々と集まってくる。
　笑顔で身を乗り出してきた新道 風牙 (p3p005012)や、既に参戦する気満々のしにゃこ (p3p008456)。
　ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ (p3p007867)もこの依頼が気に入ったらしく顎に手を当てて聞いていたし、リンディス＝クァドラータ (p3p007979)は面白い物語の一つになりそうだと感じていたらしい。
　また、外からは、アルペストゥス (p3p000029)が窓をのぞき込んでいる。巨躯の竜である彼が如何様にして今回の依頼に臨むのかは見ものだ。
「……ああ、１体でいい。乱獲すると来年の開催が危うくなるからな」
　たった１体のカブトムシかクワガタムシをダグラスに引き渡せば完了という依頼である。
　正直、間に合わせになってしまう為、ダグラスもあまり期待はしていなかったのだが……。
「どうせなら、うんと強い１匹を届けたいな」
　折角だから、ベネディクトも楽しんでその１体を探し出したいと考える。
　丁度、ここに８人のメンバーが集まっている。
　今回参加表明するメンバー達が各１体ずつ捕獲、それらをトーナメント形式で戦わせた結果、勝ち上がった１体をダグラスに引き渡すということで意見は一致した。
　ダグラスもこれには悪い顔はしない。
　イレギュラーズサイドで楽しむ分には関係のない話だが、強い虫が手元に届くのであればどっしりと構えて貴族仲間との対決に臨めるというものだ。
「まあ、私としては強い虫が届けば文句は言わん。よろしく頼んだぞ」
　カップを空けたダグラスは席を立ち、依頼を受けたことに対する感謝として一礼し、ローレットから去っていったのだった。

参加者 : 8 人

冒険が終了しました！　リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧（8人）

リプレイ

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　幻想某所。
　今回の依頼を受け、深緑出身の令嬢、『放火犯』アカツキ・アマギ（p3p008034）が以前の戦いを思い出す。
「カタツムリＧＰ……熱く楽しい戦いじゃった」
　その時一緒に戦った天義孤児院のソフィアちゃんは元気だろうか、また会いに行きたいとアカツキが回想に浸っていると、新たなＧＰが開幕する。
「今度はなんとカブクワＧＰ……！！」
　その言葉に、皆様々な想いを抱いて。
「カブトムシさんやクワガタムシさんを競わせるそんな遊びがあるんですね！？　初めてしりました！」
　プラチナブロンドの子爵令嬢、『小さな決意』マギー・クレスト（p3p008373）は外の世界は面白いことがいっぱいだと、目を輝かせる。
「……ベネディクトさんはこう、子供心に愛されてるのでしょうか？」
　異世界の「文字録保管者」である『レコード・レコーダー』リンディス＝クァドラータ（p3p007979）もカタツムリに続いて今度は甲虫２種の戦いと聞き、今回の話の発案者に視線を向けて。
「まさか、この様な依頼を引き受ける事になるとは思わなかったが……」
　剣に魔法、ドラゴンが存在した異世界からやってきた『ドゥネーヴ領主代行』ベネディクト＝レベンディス＝マナガルム（p3p008160）が今回の企画の発起人。
　幻想貴族の依頼を受け、強い甲虫を１体捕まえて引き渡せば依頼は完了ではある。
「貴族さんの趣味って謎ですよねー。ムシバトルが流行りなんて……」
　幻想貴族の考えに首を傾げる傭兵崩れの少女、『可愛いもの好き』しにゃこ（p3p008456）。
「まぁ、なんであれ、お仕事ならば全力でやりますよ！！」
「次回のことなども考えて大事に楽しまれている貴族さん達のようですし、是非ご協力して差し上げましょう」
　そんなしにゃこやリンディスを含め、頼りになる者達が共に依頼を引き受けてくれている。
　こうしてカブト＆クワガタＧＰを行うことで、最強の１匹を決めれば依頼人も喜ぶし、イレギュラーズ達も楽しめる。ベネディクトも彼なりに全力でこの企画に臨む構えだ。
「カブトムシ取りかー。懐かしいなあ」
　釣り目、褐色肌の『翡翠に輝く』新道 風牙（p3p005012）は子供の頃によく亡き父と一緒にとりに行ったことを思い出し、少しだけ感傷に浸ってしまう。
「このアカツキ・アマギは深緑出身。森の民にカブクワは身近な存在よ」
　とはいえ、箱入り娘だったこともあってアカツキに虫取りの経験はないが、気持ちは三代目クワガタ・メイジンだと彼女は大きく首を振って。
「気持ちで負けては勝負には勝てぬと言うしな！」
「……グル」
　古代竜の末裔である『煌雷竜』アルペストゥス（p3p000029）が仲間達の会話の中で小さく唸って。
（はて。カブトムシ？　クワガタムシ？　たまに森の中で見るアレのことだろうか）
　アルペストゥスはぼんやりそう考えていた。
「……よしっ！　こうなりゃダントツ最強のカブトムシを捕まえる！」
　そこでやる気を漲らせた風牙は、案内された依頼人である貴族所有の林を指さす。
「目指すぜ、ムシエンペラー！！」
　そんな風牙に続き、メンバー達は敷地へと入っていくだった。

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　依頼者所有の林に入ったイレギュラーズ一行。
　ベネディクトはファミリアーのポメ太郎を連れ、皆と一緒に甲虫探しを行う。
　皆が固まってあれこれやっている中、アカツキが戸惑いを見せていて。
「しかし、気持ちだけはメイジン・アカツキじゃが実際のところどうすべきか……」
　アカツキもここは自然会話で植物と意思疎通し、式神の力も借りて捜索を行っていたようだ。
　特に甲虫についての知識がないしにゃこは、自らの足で探しに回っていた。
「餌で集めるとカブトムシとかクワガタ以外の虫もかなり集まるからちょっと苦手なんですよね……」
　仲間達は虫寄せのトラップを作っていたが、しにゃこは敢えて自分の力で探すこと事に。
　なお、その格好は虫刺され対策に、手袋に長袖、長ズボン。
「しにゃの魅力的なボディが隠れてしまうのはもったいないですが、今はそんな時ではないですからね！」
　この格好で、彼女は林の中を歩いて探しまくる。
「私はカブトを選ぶ。一本の槍で力を示す姿が好きだからだ」
　豪放にして闊達赤い瞳の『戦神凱歌』ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ（p3p007867）は、早くもそう宣言する。
　ベルフラウは日の当たりづらい暗所で柔らかい腐葉土が多く堆積している場所をチェックしていた。
「日中でも活動している個体はいるが、大抵寝床を確保出来なかった弱い者だ」
　そこを掘り起こし、ベルフラウは大きく綺麗な黒色の個体を選定しようとしていた。
「むぅ、手ごわそうなのはベルフラウさんか」
　あの知識量は侮れないと、風牙が対抗心を燃やす。
「昆虫大好き日本人の子代表として、負けられない！」
　そこで風牙はテレビでやっていたものを実践し、袋にバナナとお酒を入れて揉み、日光で発酵。最後に薄い布袋へと移して……。
「これで完成、バナナトラップ！」
　なお、彼はベーさんことベネディクトやマギーにも、その仕掛けを分け与える。
「虫取り初めてなのに一匹も取れなかった、じゃ寂しいしな」
　こういうのは、最初が肝心。ここで虫取りが好きになってもらえたなら、毎年虫取りで遊べる……と風牙は考えたらしい。
「これをネットに入れて、木に吊るせばいいんですよね」
　仕掛けを分けてもらったマギーが嬉しそうにメモを開き、風向きもチェックする。
　どうやら、この日の為にマギーも採集について調べてきたようだ。
　林の奥には行き過ぎず、林の方へと風が向いている木を何か所か選んでトラップを仕掛けていく。
「上手に仕掛けられるといいんですが……」
　そわそわしながら、マギーは枝に吊るす。
　ベルフラウ、風牙の話を参考にし、ベネディクトも居そうな場所を求めて周囲を見回す。
「……さて、何処に居るかな」
　別の木々によって陰になった木の北側が丁度良さそうと判断し、ベネディクトも早速甲虫を引き寄せるための仕掛けを準備する。
　彼らの傍らで風牙もトラップを仕掛け、あとは運を天に任せる。
「虫ガチャの始まりだ……！」
　そんな虫取りに長けた仲間や、記録している虫取り名人指南を借り、リンディスも樹に仕掛けを施してしばらく隠れて待つことにする。
　そんなメンバー達の会話で『樹液がいる』といった言葉を覚えていたアルペストゥス。
（……樹液。木を食べた時中から出るあれか）
　この辺では……と、彼は一番美味しい樹液を出す木を見定める。
「グル」
　徐に、鼻先の結晶角を木に突き刺したアルペストゥスは角へと樹液が付いたら後は甲虫達が近づくのを待ち、その場で丸くなって眠り始めるのだった。

●
　その後……。
　すでにある程度の数を発見していたベルフラウは、角の長さ、根元が太く長い個体を選ぶ。
「後は、角の先端……」
　角度が浅く、多少すり減っているか欠けている者が狙い目とのこと。
「お前だ、お前が私の相棒だ」
　その名は――センチュリオン。
　ベルフラウは夜行性のカブトムシが戦闘時に夜と感じられるよう、籠に入れた後暗幕をかけていた。

　こちらは、マギーが仕掛けたバナナトラップ。
「どうか、カブトムシさんがいますように……！」
　トラップの周囲と木の根元を観察していた彼女の表情が明るくなる。
「……あ、いました！　ここはしっかりと、です！」
　飛んで逃げられてはいけないと、マギーは脇をがしっとする。
　恐る恐る、マギーはそっと手を伸ばして……、捕まえたカブトムシを入れた虫かごの口をしっかりと閉じる。
「や、やりましたー！　キミの名前はシリウスさんです！　一番星のように輝けるカブトムシさんになれるように！」
「……お前に決めた！」
　喜ぶマギーの傍で、風牙も数匹のカブトムシの中から、特に体が大きく、体色が赤い個体を選ぶ。
「餌場周りの虫を片っ端から競り落とす闘争心！　美しく赤く輝く体表は、まるで宝石のよう！」
　風牙もまた一部欠けた角に注目する。これぞ、歴戦の戦士の証である。
「名は『ヘラクレス・ド・ルージュ』！　最強に相応しい名だ！」
　共に、最強伝説を。風牙はそのカブトムシに多大なる期待を寄せる。
　その近場では、ベネディクトもカブトムシを捕獲していた。
　樹から取ろうとした時もなかなか幹から離れようとはせず、ガッツを感じさせた。
「こいつなら、皆の選んだ虫にもいい勝負をしてくれるだろう」
　見た目はシンプルな只のカブトムシ。体は決して小さくなく、何より立派な角にベネディクトは可能性を見いだす。
「名前は……そうだな、ブラックアダマスとでも名付けようか」
　選んだ以上は、信じて戦いの舞台に送り出すのみだ。
　なお、その直後、大型のカブト、クワガタを発見していたリンディスだったが。
「……大きすぎるの、思ったよりも怖くて取りづらいですし」
　そんな個人的な事情も合わせ、リンディスは大型に囲まれながらも、一生懸命に抵抗していた小型のクワガタに惹かれて捕獲していたのだった。

「大きくて強そうなクワガタはっと……お、こっちに居るのかのう？」
　アカツキも少し遅れ、木々に案内されてクワガタを発見する。
「黒く照りかえった甲殻、立派に伸びた二本の角……こいつは大物クワガタじゃな！」
　そっとつかんだアカツキは、大型のパワー、巨大なハサミによる技が合わされば2000万パワーというやつだと考える。
「これならば、トーナメントもきっと勝ち抜いてくれるに違いないのじゃ」
　そっとそのクワガタを手に取ったアカツキは黒曜のような立派な色合いから、オブシディアンと名付けていた。
　林を歩き回っていたしにゃこも、見つけた中で一番大きなクワガタを確保する。なんでも、カブトムシより挟むという絡め手を使うのが私的に好みなのだとか。
「ついでに……」
　捕まえた子の頭に、マニキュアでハートマークをしにゃこは描く。
「やっぱ、しにゃ的には可愛い要素も外せないですよね！」
　なお、命名はブレイジングブラックダイヤモンドゴメス（BBDG）。本人曰く超カッコいい！　……のだとか。

　その日は遅くなって一行は一時的に解散したのだが、アルペストゥスは状況もあってそのまま林で寝たらしい。
「…………」
　角にたくさんの蟲がついていたのを確認して。
　ぶん。ぶんぶん。ぶぉんぶぉんぶぉん。
　盛大に首を振るアルペストゥス。自分の角に最後まで組み付いていた１匹がきっと一番強いと彼は考えて。
「……。グゥ！」
　ほとんどが飛び立った中で、１匹……きらきら金色に光るオウゴンオニクワガタだけがアルペストゥスの角にしがみつく。
（強い。角にぎっちとついている）
　その少し小さな１匹を確保したアルペストゥスは尻尾の刃で文字を刻み、やってきた仲間達へと【imperium】と名付けた名前を示したのだった。

●
　森にある大きな切り株の上。
「皆の捕まえて来た虫達も中々の様相を漂わせているな……だが、俺達も負けてはいないぞ」
　ベネディクトは仲間達の取ってきた甲虫を一通り見回して。
「このトーナメントを共に勝ち抜くぞ、ブラックアダマス！」
　一時の相棒と共に、これから始まるカブト＆クワガタＧＰに臨む。
　１戦目、マギーのシリウスとベルフラウのセンチュリオン戦。いずれもカブトムシだ。
「初戦、頑張りましょうね！」
　マギーがそっと切り株の上にシリウスを置き、バトルスタート。
　角でえいえいとやれば勝てると考えていたマギーだったが、相手は歴戦の個体。
「主砲用意！　Panzer vor！」
　一方、ベルフラウは相手の下に角を潜り込ませることが肝要と呼び掛けると、ブラックアダマスは一気に角を低く構えて一気に持ち上げる。
　パワフルな相手の力に、マギーも驚く。残念ながら完敗である。
「楽しかったですが、やっぱり少し悔しいですね」
　次は勝てるように頑張りたいと、マギーは悔しさを滲ませていた。
　２戦目はしにゃこのブレイジングブラックダイヤモンドゴメス（略称：ＢＢＤＧ）とアルペストゥスのimperium。クワガタ対決だ。
「いけ！　お前の持ち味は正面じゃない！　首だ、開いてるネックに噛み付け！！！」
「グゥ……」
　激しく声援を送るしにゃこに対し、じっと応援するアルペストゥス。
　互いに顎を使っての攻撃だが、imperiumがすくい上げるような態勢でいた。
「グゥ」
　思わず、アルペストゥスは見様見真似で体が動く。
「貴族様に買われたら繁殖し放題、餌食べ放題ですよ！！！　たぶん！」
　ＢＢＤＧは側面からの絡め手を仕掛け、imperiumの首を挟み込んで態勢を崩してしまう。
「……グルルル……！」
　負けてはしまったが、アルペストゥスは嬉しそうにimperiumを見つめていた。

　３戦目はカブトムシ対決。風牙のヘラクレス・ド・ルージュ(略称：ヘラクレス)とベネディクトのブラックアダマスの対決だ。
「さあいけ！　そして伝説を作るんだ！！」
「負けるな、ブラックアダマス」
　赤と黒の対決。思いっきり組み合った両者は一歩も譲らない。
（お前のその角は、お前よりも巨大な相手を打ち負かす為に輝く黒の槍）
　初めに見せてくれたあのガッツをもう一度。ベネディクトはその活躍を祈る。
　すると、組み合わさった角を下に噛ませたブラックアダマスがヘラクレスをがっつりと持ち上げ、投げ飛ばしてしまう。
「くそっ！」
　ヘラクレスの敗北に悔しがる風牙。
　勝負は時の運もある。強さを備えるのは間違いないが、少しだけツキが無かったヘラクレスが伝説を築けなかったことを、風牙は悔しがっていたのだった。

　４戦目。
　クワガタ同士の対決だが、大物であるアカツキのオブシディアンとリンディスの小さなスクナでは、皆前者の勝利とみていたようだ。
　アカツキのクワガタ、オブシディアンは相手を挟んでひねりながら放り投げるのを得意としている。
「妾と共に勝利の栄光を掴むのじゃ、オブシディアン！！」
　満を持して戦いの場に送り出したアカツキ。
　ただ、スクナは挟まれる前に素早く相手の懐に潜り込み、持ち上げてみせる。
「大きさ＝力ではない、クワガタの可能性を見せてもらいましょう」
　敢えて小さなクワガタを選んだリンディスだ。
「な、なんじゃと……！？」
　スクナは見事に、パワフルなオブシディアンをすくい投げてみせたのだった。

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　準決勝１戦目は、ベルフラウのセンチュリオンとしにゃこのＢＢＤＧの対決。
　正面から堂々と待ち構えるセンチュリオンに対し、ＢＢＤＧは側面から回り込む。
　一気にしにゃこのＢＢＤＧが思いっきり相手の角を挟み込み、持ち上げる。
「必殺、ブレイジングブラックダイヤモンドゴメス投げっぱなしジャーマンスープレックス！」
　だが、クワガタは顎を締める、持ち上げるの２段階の動作を要する。
　その一瞬に、センチュリオンはＢＢＤＧの体を持ち上げ返し、思いっきりその体を投げ飛ばす！
「ああ、ＢＢＤＧ！」
　負けはしたが、しにゃこは柄にもなく男の子っぽい競技で白熱してしまったと思わず手に汗握っていた。
　２戦目はベネディクトのブラックアダマスと、リンディスのスクナの対決。
　その黒い槍で相手を打ち負かそうとするブラックアダマスだが、ここでもスクナが素早く相手を持ち上げる。
　見た目以上の力を見せつけ、スクナが番狂わせの決勝進出を決めてみせた。

　ついに、決勝戦。
　大きい個体が強いという考えの者も多く、センチュリオンはベルフラウの期待通りに勝ち上がってきた。
　だが、ここは混沌だ。皆の元々の常識が通用するとは限らず、大きい個体が必ずしも強いとは限らない。
　すでに、それをリンディスのスクナは証明してみせている。
「いけえええスクリュゥウウウドライバア！！！」
　組み合った両者にベルフラウが大声をかけるが、それが逆にセンチュリオンの身を竦ませて。
「見せてください、底力を！」
　ここでも、スクナは小さな体に秘めた力を発揮する。
　相手の角をやり過ごし、力を発揮される前に潜り込んで持ち上げて。
　その小さな体で、スクナはこのＧＰの優勝までつかみ取ったのである。

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　カブト＆クワガタＧＰを終えて。
「優勝した者はおめでとう、見事な戦いだったな」
「皆、お疲れ様じゃ」
　ベネディクトが依頼人も喜んでくれるに違いないと語ると、皆の健闘を称えるアカツキはオブシディアンを自身で飼育するのもいいかもしれないと考える。
「こういうのもたまには悪くないですね！」
　しにゃこもまた、愛着の湧いたＢＢＤＧを連れて帰ろうと考えていた。
　一方で、アルペストゥスは仲間とのふれ合いを楽しんだ後は、inperiumを、自らの鼻先から森へと返す。
　――きみはつよいから、またあえるね。
　林へと羽ばたいていくinperiumへとアルペストゥスはそんな思いを込めて声をかけていた。
「またどこかで――もしも子供たちにつかまったとき、良かったらその子たちと一緒に遊んであげてくださいね」
　勝者となるリンディスも仲間達のパートナーを見送り、そして自分の……スクナを依頼者である幻想貴族へと引き渡す。
　余談だが、その見た目こそ一時の不評を買ったスクナだったが。驚きの成果を上げたそのクワガタは貴族達の話題をさらっていた。
　リンディスもそれに同席させてもらい、スクナの活躍を誇らしげに見守っていたのだった。

成否

成功

ＭＶＰ

状態異常

なし

あとがき

　リプレイ、公開です。
　ＭＶＰは見事優勝しましたスクナを捕まえたあなたへ。

　以下、今回の皆様の相棒と戦績纏めです。

アルペストゥス クワガタムシ//imperium
風牙 カブトムシ//ヘラクレス・ド・ルージュ(ヘラクレス）
ベルフラウ カブトムシ//センチュリオン
リンディス クワガタムシ//スクナ
アカツキ クワガタムシ//オブシディアン
ベネディクト カブトムシ//ブラックアダマス
マギー カブトムシ//シリウス
しにゃこ クワガタムシ//ブレイジングブラックダイヤモンドゴメス（BBDG）

　以下、（カ）カブトムシ、（ク）クワガタムシ

１戦目 ×マギー（カ）×ベルフラウ（カ）○
２戦目 ○しにゃこ（ク）×アルペストゥス（ク）×
３戦目 ×風牙×（カ）ベネディクト（カ）○
４戦目 ○リンディス（ク）×アカツキ（ク）×

準決勝１戦目 ○ベルフラウ（カ）×しにゃこ（ク）×
準決勝２戦目 ×ベネディクト（カ）×リンディス（ク）○

決勝 ×ベルフラウ（カ）×リンディス（ク）○

　今回はリクエスト、ご参加、ありがとうございました！